JP6706869B2 - ポリプロピレン樹脂発泡体シート及びこれを用いた積層体 - Google Patents
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Description
この接着性を改善するために、ポリプロピレン樹脂に水酸基等の極性基を導入することが知られている。ポリプロピレン樹脂への極性基の導入は、例えば、プロピレンと、極性基を有するモノマーとを共重合することにより行われることがある。このような方法であると、伸び値の低下が大きく、コストも高くなる。
〔1〕
成分(A)としてポリプロピレン樹脂と、成分(B)として酸無水物構造を有するポリエチレン又は酸無水物構造を有するポリプロピレンのいずれかのポリオレフィン樹脂あるいは、カルボキシ基及び/又は酸無水物構造を有する変性ポリプロピレン樹脂と、成分(C)として気泡核剤とを含有するポリプロピレン樹脂発泡体シートであって、
前記ポリプロピレン樹脂発泡体シートは成分(A)100質量部に対し成分(B)を6〜30質量部含有し、また成分(A)及び(B)の合計100質量部に対し成分(C)を4〜10質量部含有し、
前記ポリプロピレン樹脂発泡体シートの表面のMD方向の表面粗さのRaが1.2μm以下で、MD方向の表面粗さRaのTD方向の表面粗さRaに対する比(MD/TD)が0.6以上で1.0より小さく、MD方向の引張破断伸び値が40〜80%の範囲にある、ポリプロピレン樹脂発泡体シート。
〔2〕
成分(B)が酸無水物構造を有する変性ポリプロピレン樹脂である、〔1〕記載のポリプロピレン樹脂発泡体シート。
〔3〕
成分(C)として、クエン酸金属塩、炭酸水素ナトリウム、及び/又はタルク粉末を含む、〔1〕または〔2〕記載のポリプロピレン樹脂発泡体シート。
〔4〕
前記ポリプロピレン樹脂発泡体シートの気泡密度が1.0×103〜3.0×103個/mm3である、〔1〕〜〔3〕のいずれか記載のポリプロピレン樹脂発泡体シート。
〔5〕
前記ポリプロピレン樹脂発泡体シートの発泡倍率が1.5〜4倍である、〔1〕〜〔4〕のいずれか記載のポリプロピレン樹脂発泡体シート。
〔6〕
前記ポリプロピレン樹脂発泡体シートが、積層体部材の心材として用いられる、〔1〕〜〔5〕のいずれか記載のポリプロピレン樹脂発泡体シート。
〔7〕
〔1〕〜〔6〕のいずれか記載のポリプロピレン樹脂発泡体シートと、該ポリプロピレン樹脂発泡体シートの一方の表面に直接接着された被着体層とを有する積層体。
〔8〕
〔1〕〜〔6〕のいずれか1項記載のポリプロピレン樹脂発泡体シートと、該ポリプロピレン樹脂発泡体シートの両表面に直接接着された被着体層とを有する積層体。
〔9〕
前記被着体層の引張弾性係数が前記ポリプロピレン樹脂発泡体シートの引張弾性係数よりも大きく、前記被着体層の線膨張係数が前記ポリプロピレン樹脂発泡体シートの線膨張係数と異なる、〔7〕又は〔8〕記載の積層体。
〔10〕
前記被着体層が構成材料として金属シート、樹脂シート、及び、樹脂シートで被覆された金属シートのいずれかを含む、〔7〕〜〔9〕のいずれか記載の積層体。
〔11〕
前記被着体層が構成材料としてアルミニウム、ステンレス又は銅の金属シートを含み、又は、アルミニウム、ステンレス及び銅から選ばれる金属の合金シートを含む、〔7〕〜〔10〕のいずれか記載の積層体。
〔12〕
前記積層体が、土木建築用、OA機器用、電気・電子機器用、又は自動車部品用の積層体部材である、〔7〕〜〔11〕のいずれか記載の積層体。
本発明のポリプロピレン樹脂発泡体シート(以下、「PP発泡シート」とも称す。)は、(A)ポリプロピレン樹脂と、(B)酸無水物構造を有するポリエチレン又は酸無水物構造を有するポリプロピレンのいずれかのポリオレフィン樹脂あるいは、カルボキシ基及び/又は酸無水物構造を有する変性ポリプロピレン樹脂と、(C)気泡核剤とを含有する。すなわち、本発明のPP発泡シートは、成分(A)〜(C)を含有する樹脂組成物を用いて形成される発泡体シートである。
本発明のPP発泡シートを構成する成分(A)はポリプロピレン樹脂である。成分(A)として用いるポリプロピレン樹脂に特に制限はなく、良好な発泡性を担保する観点からは、メルトフローレート(MFR)が0.5〜5.0g/10minが好ましく、0.8〜3.0g/10minがより好ましい。MFRは、温度:230℃、荷重2.16kgfの条件で、JIS−K7210に準拠して決定される。
成分(A)のポリプロピレン樹脂はプロピレンをモノマーとして用い、常法により重合して得ることができる。成分(A)のポリプロピレン樹脂は市場から入手することもできる。例えば、プライムポリプロ(商品名、プライムポリマー社製)、ノバテックPP(商品名、日本ポリプロ製)等を用いることができる。
本発明のPP発泡シートを構成する成分(B)はカルボキシ基及び/又は酸無水物構造[−C(=O)−O−C(=O)−]を有するポリエチレンまたはポリプロピレンのいずれかのポリオレフィン樹脂、あるいはカルボキシ基及び/又は酸無水物構造を有する変性ポリプロピレン樹脂である。成分(B)の樹脂は、樹脂を合成するに当たり、原料の少なくとも一部にカルボキシ基含有モノマーを用いたり、酸無水物構造を有するモノマーを用いたりして得ることができる。
また、成分(B)の樹脂は、カルボキシ基及び/又は酸無水物構造を有する変性ポリプロピレン樹脂(カルボン酸変性及び/又は無水カルボン酸変性されたポリプロピレン樹脂)であることも好ましく、より好ましくは酸無水物構造を有する変性ポリプロピレン樹脂である。
ここで、カルボキシ基及び/又は酸無水物構造を有する変性ポリプロピレン樹脂とは、原料としてプロピレンに加え、カルボキシ基含有モノマー及び/又は酸無水物構造を有するモノマーを用いて合成されるポリプロピレン樹脂である。
また、成分(B)の樹脂として、カルボキシ基及び/又は酸無水物構造を有する変性ポリプロピレン樹脂と共に、又は当該変性ポリプロピレン樹脂に代えて、カルボキシ基及び/又は酸無水物構造を有する変性ポリエチレン樹脂を用いることもできる。
成分(B)の樹脂の酸価は、小さいと層間の接着力を充分に発揮できず、大きすぎると成分(A)との相溶性が著しく低下して発泡性が悪化する。その為、酸化は0.5〜100が好ましく、さらに好ましくは0.5〜10である。また、MFRは2〜20g/10minが好ましく、3〜10g/10minがより好ましい。酸価は、JIS K 0070に準拠して決定する。
また、成分(B)として、変性ポリエチレン樹脂を用いる場合は、アドマー(商品名、三井化学社製)LF128(MFR2.7)などを用いることができる。
本発明のPP発泡シートは気泡核剤を含有する。この気泡核剤は、シートの製造工程において、樹脂が発泡する際に気泡核の形成を促すものであり、気泡の微細化と均一分散性を向上させる。
成分(C)の気泡核剤に特に制限はなく、例えば、重炭酸ソーダ、重炭酸アンモニウム、重曹クエン酸、アゾジカーボンアミド、タルク等を成分(C)として用いることができる。なお、本発明はこれらに限定されるものではなく、樹脂の発泡において一般的に用いられているものを広く適用することができる。
また、本発明のPP発泡シートは、MD方向の表面粗さRaが1.2μm以下である。本発明において、Raは、後述する[実施例]に記載の方法で決定される。MD方向のRaは、工業的には、少なくとも0.3μm以上であり、実際的には、本発明のように0.5μm以上の値を取ることが多いものと考えられる。また、本発明のPP発泡シートは、MD方向の表面粗さRaが1.2μm以下の表面において、MD方向の表面粗さRaに対するTD方向の表面粗さRaの比(MD/TD)が0.6以上で1.0より小さい必要がある。望ましくは、MD方向の表面粗さは、MD方向の表面粗さRaが1.0μm以下の表面粗さを満足し、さらにMD方向の表面粗さRaに対するTD方向の表面粗さRaの比(MD/TD)が0.6以上で1.0未満の範囲を満足することが望ましい。
また、本発明のPP発泡シートは、MD方向の引張破断伸び値が40〜80%である。ここで、引張破断伸び値が40%であるとは、引張試験を行う前の試験片の引張方向の長さを100%とし、140%の長さまで引っ張った状態において破断することを意味する。同様に、引張破断伸び値が80%であるとは、引張試験を行う前の試験片の引張方向の長さを100%とし、180%の長さまで引張った状態において破断することを意味する。本発明において「表面粗さRa」及び「引張破断伸び値」は、後述する実施例に記載の方法により決定される。
本発明のPP発泡シートは、シート表面に一定の凹凸を形成し、アンカー効果により接着性を高めるという従来技術とは発想を異にするものである。
本発明のPP発泡シートの気泡は圧延により、MD方向に延伸され、シートの厚さ方向に縮径されるため気泡形状がMD方向に伸びた扁平形状となる。そのため、厚さ方向の気泡径が縮小して、厚さ方向の気泡密度が増加するが、気泡径は測定位置によるばらつきが大きく、さらに気泡核剤や注入発泡ガス量によっても変動することから、本発明では、気泡径ではなく、気泡密度を測定した。
本発明のPP発泡シートは、発泡倍率が1.5〜4倍であることが好ましい。発泡倍率を1.5〜4倍とすることにより、加熱圧着時のPP発泡シート表面におけるミクロ表面の適度な変形と応力の伝播を可能とすることができる。この発泡倍率は、より好ましくは1.5〜3倍である。ここで、本願のような低発泡倍率のPP発泡シートを成形ロールダイにより圧延を行った発泡シート材の場合の伸び値は、樹脂分の影響が大きいが、これに加えて樹脂の配向も影響する。
また、本発明のPP発泡シートは、連続気泡率が15%以下であることも好ましい。連続気泡率を15%以下とすることにより、積層体の形成の際の熱圧着において、シートの潰れをより抑えることで所定の圧縮強度を得ることが可能となる。したがって、シートの潰れを極力避けて、所定の圧縮強度を付与したい場合には、PP発泡シートの連続気泡率は一定程度小さいことが好ましく、連続気泡率10%以下とすることが望ましい。ここで、連続気泡率が15%を超えると、加熱圧着時のPP発泡体表面の変形が不均一になる場合がある。
本発明のPP発泡シートは、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば、帯電防止剤、顔料、難燃剤等を含有してもよい。
本発明のPP発泡シートは、押出発泡プロセスにより製造することができる。具体的には、成分(A)〜(C)を混合して溶融混練する工程、ガス注入工程、押出工程、放圧工程、圧延工程の各工程を経て製造することができる。例えば、押出機に成分(A)〜(C)を本発明で規定する含有量となるように投入し、また押出機の途中に設けたシリンダー部からは炭酸ガス等のガスを圧入し、T型発泡ダイスの先端から押出し、当該先端の中心から水平方向に設置された二組の成形ロールダイの間を通過させることにより、所望の厚みのPP発泡シートを得ることができる。
本発明の積層体は、本発明のPP発泡シートと、このPP発泡シートの、表面粗さRaが1.2μm以下の表面に対して直に圧着された被着体層とを有する。この積層体は、PP発泡シートの両面の表面粗さRaがいずれも1.2μm以下であり、当該両面に対して、直に圧着された被着体層を有する形態(すなわち、PP発泡シートを心材として、その両面に被着体層が配された形態)が好ましい。
本発明の積層体を構成する被着体は特に制限されず、被着体の構成材料としては、例えば、金属シート、樹脂シート、樹脂シートで被覆された金属シートのいずれかを挙げることができる。被着体の構成材料とする金属シートとしては、アルミニウム、ステンレス、銅等の金属シートあるいはこれらの合金シートを挙げることができる。また、樹脂としては、極性基(好ましくはエステル基、エーテル基、水酸基、カルボキシ基、酸無水物基、アミノ基、チオール基等)を有する樹脂(例えばポリエステル樹脂、ポリオール樹脂、エポキシ樹脂等)が好ましい。また、樹脂は繊維で強化されたものでもよく、このような繊維強化樹脂複合材としては、ガラス繊維強化複合材(GFRP)を挙げることができる。
被着体の厚さは目的に応じて適宜に設計すればよく、例えば、積層体の種類や用途に応じて、1μm〜5.0mmとすることができる。望ましくは、被着体厚さは5μm〜2.0mmである。また、本発明の積層体の厚さも目的に応じて適宜に設計される。例えば、PP発泡シートの厚さは、前記のように0.5〜2.0mm程度であるから、積層体の厚さは、心材と上下の被着体厚さを加えて、約0.5〜12mmとすることができる。
<表面粗さRa>
JIS B0601 2001に準拠し、算術平均粗さを決定した。この測定には、ハンディサーフE−30A(東京精密社製)を用いた。各測定において、基準長さを2.5mmとした。
本発明で表面粗さRaが1.2μm以下という場合、PP発泡シート表面において、所定の方向に測定ラインを無作為に5箇所決定し、各測定ラインにおける算術平均粗さを測定し、得られた5つの測定値の平均が1.2μm以下であることを意味する。
すなわち、MD方向の表面粗さRaは、PP発泡シート表面において、MD方向に無作為に5箇所、算術平均粗さを測定し、5つの値の平均を、MD方向の表面粗さRaとした。TD方向の表面粗さRaは、PP発泡シート表面において、TD方向に無作為に5箇所、算術平均粗さを測定し、5つの値の平均を、TD方向の表面粗さRaとした。
JIS K 6767に準拠して引張破断伸び値を決定した。より詳細には、試験片として2号ダンベル試験片(厚さ1mm)を用い、引張速度を100mm/minとして、試験片が破断するまで引張試験を行い、破断後の伸び値(%)を測定した。
PP発泡シートの縦断面のSEM写真を撮影し、このSEM写真上において、100μm×100μmの領域を無作為に5箇所選抜し、各領域に存在する気泡数を計数した。各計数値から、各領域に基づく1mm2当たりの気泡数を算出し、得られた1mm2当たりの気泡数を3/2乗することにより、各領域に基づく1mm3当たりの気泡数とした。5つの各領域に基づく1mm3当たりの気泡数の平均値を算出し、気泡密度(個/mm3)とした。
発泡倍率は、発泡前の樹脂の比重を、水中置換法(JIS K 7112)にて測定した発泡体の比重で割った値である。発泡体の比重の測定には、メトラードレド社製の電子天秤AG204を使用した。測定値は、小数点以下第2位を四捨五入した値を発泡倍率とした。
本発明において引張弾性係数は、インストロン型引張試験機を用いて、JIS K7113に準拠して測定を行なった。引張弾性係数は、引張応力―歪み曲線の初めの直線部分を用いて次の式により計算した。
Em=Δσ/Δε
ここで、Em:引張弾性係数(MPa)
Δσ:直線上の2点のもとの平均断面積による応力の差
Δε:同じ2点間のひずみの差
線膨張係数とは、定圧下で温度を変えたときに物体の空間的広がりの増加する割合をいう。温度をT、その固体の長さをLとすると、線膨張係数αは以下の式で与えられる。
α=(1/L)・(∂L/∂T)
本発明においては、線膨張係数は、JIS K7197に準拠して測定を行なった。
線膨張係数αは、長さ10mm、幅5mm、厚さ100μmの試験片を、シートMD方向を高さ方向として切り出した試験片を用いて、株式会社リガク製のTMA 8310によってTMA曲線の測定を窒素雰囲気にて行った。この時の測定は、−40〜100℃の温度範囲で、昇温速度は5℃/minで行い平均線膨張係数を求めた。
なお、データ採取の前に一度試験片を今回の試験範囲の上限温度である100℃まで昇温し、成形によるひずみを緩和させた。
連続気泡率(連通率)は、ASTM D−2856−87に記載の方法に準じて決定した。具体的には、空気比較式比重計1000型(東京サイエンス社製)を用いた測定値を下記式に当てはめ、連続気泡率を決定した。
[連続気泡率(%)]=100×[(見掛け体積−空気比較式比重計による体積値)/見掛け体積]
シリンダー径65mmの押出機にMFR=0.5g/10mmのポリプロピレン樹脂(成分(A)、商品名:ノバテックPP EA9、日本ポリプロ社製)と、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(成分(B)、商品名:アドマーQE800、メルトフロレイト:9.1g/10分、酸価4.3、三井化学社製)と、気泡核剤(成分(C)、ポリスレン、永和化成工業社製)とを、下表に示す比で投入し、混練した。押出機途中のシリンダー部から炭酸ガスを7kg/cm2の圧力で圧入し、幅400mmのT型発泡ダイスの先端の中心から混練物を押出し、水平方向に設置された2組の成形ロールダイの間を通過させた。こうして圧延率を調整することで、厚さ1.0mmのPP発泡シートを得た。このPP発泡シートは、押出温度は160〜195℃、成形ロールダイによるMD方向の圧延を圧延率20〜90%として製造した。
下表に示す板厚0.1mmの被着体(シート)を2枚用いて、板厚1mmのPP発泡シートを挟み込み、高温プレス機を用いて、180℃×0.5MPaの条件で2分間保持した。次いで2分間放冷し、被着体/PP発泡シート/被着体 の3層構成からなる積層体を得た。各PP発泡シートについて、同じ条件で積層体を5つ作製した。
得られた積層体について、JIS K 6854−2に準拠して180°ピール強度を測定した。5つの積層体すべてにおいて、ピール強度が0.5N/mm以上であったものを合格(○)、ピール強度が0.5N/mm未満のものが1つでもあれば、不合格(×)とした。
結果を下表に示す。
これに対して、表2には、本発明の実施形態ではない比較例1から比較例6の結果を示す。比較例1〜比較例4は、実施例1から実施例9と同様に、いずれも押出発泡後、延伸率約60%の延伸を圧延により行なったものである。また、比較例5,比較例6の材料は、実施例2と同様の組成の材料を押出発泡直後に、それぞれ延伸率20%、延伸率90%の延伸を圧延により行なったものである。
実施例1から実施例5のPP発泡シートにアルミ箔を両面に接着した積層体の接着性評価結果を見ると、いずれの材料も接着性結果は良好であった。この理由は、発泡材に対する成分(B)の酸変性樹脂の配合量、成分(C)の気泡核剤の配合量ともに、本発明の規定範囲にあり、さらに発泡材の表面粗さRaや引張破断伸びが、本発明の規定範囲にあること、これにより、発泡樹脂シート表面が加熱圧着時の押圧力により、金属表面と発泡樹脂シートの表面が両者間の分子間力が強く作用するような状態になるように変形して、両者が強く密着することで、PP発泡シートとアルミ箔の表面でのミクロ界面における接着が起こり易くなり、さらには、金属表面とPP発泡シート表面に化学結合も生じるなどしたためと考えられる。
また、比較例3のように、成分(B)の量が本発明で規定するよりも少ないと、接着性に劣り、逆に、比較例4のように成分(B)の量が本発明で規定するよりも多いと、表面粗さが粗く、引張破断伸び値にも劣る結果となり、極性基の量が多いにもかかわらず、被着体との接着性に劣る結果となった。
Claims (12)
- 成分(A)としてポリプロピレン樹脂と、成分(B)として酸無水物構造を有するポリエチレン又は酸無水物構造を有するポリプロピレンのいずれかのポリオレフィン樹脂あるいは、カルボキシ基及び/又は酸無水物構造を有する変性ポリプロピレン樹脂と、成分(C)として気泡核剤とを含有するポリプロピレン樹脂発泡体シートであって、
前記ポリプロピレン樹脂発泡体シートは成分(A)100質量部に対し成分(B)を6〜30質量部含有し、また成分(A)及び(B)の合計100質量部に対し成分(C)を4〜10質量部含有し、
前記ポリプロピレン樹脂発泡体シートの表面のMD方向の表面粗さのRaが1.2μm以下で、MD方向の表面粗さRaのTD方向の表面粗さRaに対する比(MD/TD)が0.6以上で1.0より小さく、MD方向の引張破断伸び値が40〜80%の範囲にある、ポリプロピレン樹脂発泡体シート。 - 成分(B)が酸無水物構造を有する変性ポリプロピレン樹脂である、請求項1記載のポリプロピレン樹脂発泡体シート。
- 成分(C)として、クエン酸金属塩、炭酸水素ナトリウム、及び/又はタルク粉末を含む、請求項1または2記載のポリプロピレン樹脂発泡体シート。
- 前記ポリプロピレン樹脂発泡体シートの気泡密度が1.0×103〜3.0×103個/mm3である、請求項1〜3のいずれか1項記載のポリプロピレン樹脂発泡体シート。
- 前記ポリプロピレン樹脂発泡体シートの発泡倍率が1.5〜4倍である、請求項1〜4のいずれか1項記載のポリプロピレン樹脂発泡体シート。
- 前記ポリプロピレン樹脂発泡体シートが、積層体部材の心材として用いられる、請求項1〜5のいずれか1項記載のポリプロピレン樹脂発泡体シート。
- 請求項1〜6のいずれか1項記載のポリプロピレン樹脂発泡体シートと、該ポリプロピレン樹脂発泡体シートの一方の表面に直接接着された被着体層とを有する積層体。
- 請求項1〜6のいずれか1項記載のポリプロピレン樹脂発泡体シートと、該ポリプロピレン樹脂発泡体シートの両表面に直接接着された被着体層とを有する積層体。
- 前記被着体層の引張弾性係数が前記ポリプロピレン樹脂発泡体シートの引張弾性係数よりも大きく、前記被着体層の線膨張係数が前記ポリプロピレン樹脂発泡体シートの線膨張係数と異なる、請求項7又は8記載の積層体。
- 前記被着体層が構成材料として金属シート、樹脂シート、及び、樹脂シートで被覆された金属シートのいずれかを含む、請求項7〜9のいずれか1項記載の積層体。
- 前記被着体層が構成材料としてアルミニウム、ステンレス又は銅の金属シートを含み、
又は、アルミニウム、ステンレス及び銅から選ばれる金属の合金シートを含む、請求項7〜10のいずれか1項記載の積層体。 - 前記積層体が、土木建築用、OA機器用、電気・電子機器用、又は自動車部品用の積層
体部材である、請求項7〜11のいずれか1項記載の積層体。
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