JP6705348B2 - 液体製剤、及び、パロノセトロンの安定性を向上する方法 - Google Patents
液体製剤、及び、パロノセトロンの安定性を向上する方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6705348B2 JP6705348B2 JP2016185567A JP2016185567A JP6705348B2 JP 6705348 B2 JP6705348 B2 JP 6705348B2 JP 2016185567 A JP2016185567 A JP 2016185567A JP 2016185567 A JP2016185567 A JP 2016185567A JP 6705348 B2 JP6705348 B2 JP 6705348B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- palonosetron
- acid
- stability
- liquid formulation
- liquid
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Medicinal Preparation (AREA)
- Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
Description
該液体製剤が、パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩を含有し、
前記容器の内側における少なくとも前記液体製剤と接する部分が、シリカ、ファイアブラストされたガラス、又は樹脂で形成される、液体製剤。
本発明の液体製剤は、容器に収容された液体製剤であって、液体製剤が、パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩を含有し、容器の内側における少なくとも液体製剤と接する部分が、シリカ、ファイアブラストされたガラス、又は樹脂で形成される。
本発明において、「パロノセトロン」は、(3aS)−2,3,3a,4,5,6−ヘキサヒドロ−2−[(S)−l−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル]2,3,3a,4,5,6−ヘキサヒドロ−l−オキソ−lHベンズ[de]イソキノリンを意味する。
本発明の液体製剤には、緩衝剤や等張化剤を添加してもよく、添加しなくてもよいが、緩衝剤及び/又は等張化剤をさらに含有することが好ましい。さらに、これら以外にも、液体製剤に通常用いられる配合成分を添加することができる。そのような配合成分としては、例えば、界面活性剤、希釈剤、無痛化剤、防腐剤、安定化剤(エデト酸、エデト酸一ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸等)、抗酸化剤、高分子量重合体等が挙げられる。これら他の配合成分を用いる場合、その配合量は、当業者が適宜決定することができる。
緩衝剤としては、例えば、リン酸又はリン酸塩、クエン酸又はクエン酸塩、酢酸又は酢酸塩、炭酸又は炭酸塩、酒石酸又は酒石酸塩、トロメタモール等が挙げられる。リン酸塩としては、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム等が挙げられ、クエン酸塩としては、クエン酸ナトリウム、クエン酸二ナトリウム等が挙げられ、酢酸塩としては、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等が挙げられ、炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられ、酒石酸塩としては、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム等が挙げられる。これらのうち、特にリン酸塩が好ましく挙げられる。また、緩衝剤は、無水物であってもよく、水和物等の溶媒和物であってもよい。
等張化剤としては、特に限定されないが、例えば、イオン性等張化剤、非イオン性等張化剤等が挙げられる。イオン性等張化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等が挙げられる。非イオン性等張化剤としては、グリセリン、プロピレングリコール、ブドウ糖、乳糖、ソルビトール、マンニトール等及びこれらの組み合わせが挙げられる。等張化剤としては、特に塩化ナトリウムが好ましく挙げられる。
本発明の液体製剤のpHは、特に制限されないが、パロノセトロンの安定性が向上する点、生理的pHにより近いpHが好ましい点から、5以上8.0以下が好ましく、5.5超7.8以下がより好ましく、6超7.5以下であることがさらに好ましい。なお、D−マンニトールによりパロノセトロンの安定性を図る場合、pHは、6.0以下であることが要求されるが、本発明の液体製剤は、容器の構成により液体製剤の安定性を図っているため、pHが6.0超7.5以下であってもよい。
本発明の液体製剤は、密閉可能であり、内部の無菌性を保つことができる容器内に収容される。容器の形状は、密閉可能であり、内部の無菌性を保つことができれば、どのような形態であってもよいが、一般的に注射液の充填に用いられるバイアル、アンプル、輸液バッグ、プレフィルドシリンジ等が挙げられる。容器は、さらに外装により包装されていてもよく、必要に応じて、外装内に他の薬剤等を封入してもよい。例えば、バッグ製剤を包装する外袋内に脱酸素剤を封入してもよい。
容器の内側にシリカ(SiO2)を形成してもよい。シリカの形成方法は、特に限定されないが、例えば、ホウケイ酸からなるバイアルの内面に、シリコート処理による表面処理を施してもよい。シリカは、容器の内側において、少なくとも液体製剤と接するように形成されていれば、特に限定されず、例えば、容器の底面、内側の側面の少なくとも一方又は両方に形成してもよい。ファイアブラストされたガラス、又は樹脂に関しても、シリカと同様である。
容器の内側にファイアブラストされたガラスを形成してもよい。例えば、ホウケイ酸からなるバイアルの内面にファイアブラスト処理を施してもよい。ファイアブラスト処理は、比較的速い流速で流通される混合ガス(例えば、メタンと酸素)による炎を、バイアルの内面に対して集中的に噴出する処理である。ファイアブラスト処理されたガラスとしては、ガラスバイアル VIALEX(登録商標)(ニプロ株式会社製)等が挙げられる。
容器の内側に樹脂を形成してもよい。例えば、ホウケイ酸からなるバイアルの内面に、シクロオレフィン樹脂(COP)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等をコーティングしてもよい。これらの樹脂のうち、樹脂への吸着を抑えてパロノセトロンの含量低下を抑制しやすいことから、シクロオレフィン樹脂(COP)が好ましい。また、本発明は、容器そのものが樹脂で形成されているものを用いてもよく、例えば、樹脂バイアル、樹脂アンプル、輸液バッグ、プレフィルドシリンジを用いてもよい。
本発明のパロノセトロン又はその薬学的に許容される塩の安定性を向上する方法は、パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩を含有する液体に対して、シリカ、ファイアブラストされたガラス、又は樹脂を接することにより、パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩の安定性を向上する方法である。
本発明の方法によれば、液体製剤と接する部分が、シリカ、ファイアブラストされたガラス、又は樹脂で形成されるため、後述する実験結果からも明らかなように、未処理のガラスと接する場合に比べて安定性に優れる。
下記の液体製剤1を、表1に示す処理が内部に施されたガラスバイアルに充填したもの(実施例1、2、4)と、表1に示す樹脂で形成された樹脂バイアル(実施例3)と、内部に表1に示す処理が施されていないガラスバイアルに充填したもの(比較例1)をそれぞれ3つ用意し、開始時、60℃で10日保管後、60℃で20日保管後における類縁物質量を測定した。その結果を表1に示す。ここで、「類縁物質」とは、パロノセトロンが注射用水中で分解されて形成される、パロノセトロン由来の物質の総称を指して言う。また、表1及び表2中の実施例の数値は、3つの試料の類縁物質の平均値である。
液体製剤1として下記の組成からなるパロノセトロン塩酸塩注射液5mLを調製した。
パロノセトロン塩酸塩:0.84mg
塩化ナトリウム:45.0mg
pH調整剤 水酸化ナトリウム:pHに応じて適量
塩酸:pHに応じて適量
溶剤 注射用水:適量
下記の液体製剤2を、表2に示す処理が内部に施されたガラスバイアルに充填したもの(実施例5〜7)をそれぞれ3つ用意し、開始時、60℃で10日保管後、60℃で20日保管後における類縁物質量を測定した。その結果を表2に示す。
液体製剤2として下記の組成からなるパロノセトロン塩酸塩注射液5mLを調製した。
パロノセトロン塩酸塩:0.84mg
塩化ナトリウム:42.0mg
リン酸水素ナトリウム水和物:9.0mg
pH調整剤 水酸化ナトリウム:pHに応じて適量
塩酸:pHに応じて適量
溶剤 注射用水:適量
下記の液体製剤3を充填した市販のパロノセトロン塩酸塩注射液(商品名;アロキシ静注、大鵬薬品工業社製)を1つ用意し、開始時、60℃で10日保管後、60℃で20日保管後における類縁物質量を測定した。その結果を表2に示す。
液体製剤3として、以下の組成からなる市販のパロノセトロン塩酸塩注射液(商品名;アロキシ静注、大鵬薬品工業社製)0.75mgを用意した。
パロノセトロン塩酸塩:0.84mg
D−マンニトール:207.5mg
エデト酸ナトリウム水和物:2.5mg
クエン酸ナトリウム水和物:18.5mg
クエン酸水和物:7.8mg
pH調整剤 水酸化ナトリウム:pHに応じて適量
塩酸:pHに応じて適量
溶剤 注射用水:適量
Claims (4)
- ガラス材料から得られた容器に収容された液体製剤であって、
該液体製剤が、パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩を含有し、
前記容器の内側における少なくとも前記液体製剤と接する部分が、シリカ、又はファイアブラストされたガラスで形成され、
前記液体製剤のpHが6.0超7.5以下であり、
前記液体製剤はマンニトールを含まない、
液体製剤。 - 緩衝剤をさらに含有する、請求項1に記載の液体製剤。
- 前記緩衝剤がリン酸塩である、請求項2に記載の液体製剤。
- マンニトールを含有せず、かつ、パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩を含有する、pH6.0超7.5以下の液体に対して、ガラス材料から得られた容器の内側に形成されたシリカ、又はファイアブラストされたガラスを接することにより、パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩の安定性を向上する方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016185567A JP6705348B2 (ja) | 2016-09-23 | 2016-09-23 | 液体製剤、及び、パロノセトロンの安定性を向上する方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016185567A JP6705348B2 (ja) | 2016-09-23 | 2016-09-23 | 液体製剤、及び、パロノセトロンの安定性を向上する方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018048096A JP2018048096A (ja) | 2018-03-29 |
JP6705348B2 true JP6705348B2 (ja) | 2020-06-03 |
Family
ID=61767270
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016185567A Active JP6705348B2 (ja) | 2016-09-23 | 2016-09-23 | 液体製剤、及び、パロノセトロンの安定性を向上する方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6705348B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019031465A (ja) * | 2017-08-09 | 2019-02-28 | ナガセ医薬品株式会社 | 医薬組成物 |
CN109875982B (zh) * | 2019-04-15 | 2022-05-20 | 广东红珊瑚药业有限公司 | 帕洛诺司琼透皮贴剂及其制备方法 |
Family Cites Families (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2815595B2 (ja) * | 1988-12-27 | 1998-10-27 | 松本製薬工業株式会社 | 医療用ガラス製品内表面の金属酸化物処理によるアルカリ等の溶出防止法 |
JP4323590B2 (ja) * | 1998-09-02 | 2009-09-02 | テルモ株式会社 | 医療用複室容器 |
JO2735B1 (en) * | 2003-01-30 | 2013-09-15 | هيلسين هيلث كير أس ايه. | Liquid pharmaceutical formations of balloonosterone |
MY143789A (en) * | 2003-02-18 | 2011-07-15 | Helsinn Healthcare Sa | Use of palonosetron treating post- operative nausea and vomiting |
CN100455286C (zh) * | 2006-11-21 | 2009-01-28 | 深圳海创医药科技发展有限公司 | 帕洛诺司琼注射液及其制备方法 |
US9173997B2 (en) * | 2007-10-02 | 2015-11-03 | Medimop Medical Projects Ltd. | External drug pump |
JP5537104B2 (ja) * | 2009-09-16 | 2014-07-02 | テルモ株式会社 | 制吐剤 |
EP3000750A1 (en) * | 2013-05-20 | 2016-03-30 | Fujimori Kogyo Co., Ltd. | Light-shielding sheet and container |
CN105934247A (zh) * | 2013-12-23 | 2016-09-07 | 株式会社三养生物制药 | 包含帕洛诺司琼的药物组合物 |
JP6753570B2 (ja) * | 2016-08-04 | 2020-09-09 | 光製薬株式会社 | バッグ製剤 |
JP6768404B2 (ja) * | 2016-08-12 | 2020-10-14 | 武田テバファーマ株式会社 | パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物 |
-
2016
- 2016-09-23 JP JP2016185567A patent/JP6705348B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2018048096A (ja) | 2018-03-29 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2018109005A (ja) | ベンダムスチン製剤 | |
JP2008524204A5 (ja) | ||
EP3206705A1 (en) | Stable injectable composition of bivalirudin and process for its preparation | |
JP7357540B2 (ja) | 液体医薬組成物 | |
JP2022180486A (ja) | 静脈内注入剤形 | |
JP6705348B2 (ja) | 液体製剤、及び、パロノセトロンの安定性を向上する方法 | |
KR101843613B1 (ko) | 약제학적 페메트렉시드 액제 | |
KR20170008252A (ko) | 사이클로포스파미드 액상 농축 제제 | |
JP6501399B2 (ja) | ペメトレキセドを含有する注射用溶液製剤 | |
JP2003521518A (ja) | モノチオグリセロール、l−システインまたはチオグリコール酸とともにペメトレクストを含む医薬組成物 | |
AU2006269628B2 (en) | Pharmaceutical formulations of endo-N-(9- methyl-9-azabicyclo[3 .3.1]non-3-yl)-1-methyl-1H-indazole-3-carboxamide hydrochloride | |
JP6936747B2 (ja) | パロノセトロンを含有する注射用溶液製剤 | |
JP6598158B2 (ja) | パロノセトロンを含有する安定な注射用液剤の製造方法 | |
JP6642377B2 (ja) | 液体製剤、及び、パロノセトロンの安定性を向上する方法 | |
JPWO2017179683A1 (ja) | ミカファンギンの安定化された医薬組成物 | |
JP7541984B2 (ja) | エピネフリンの安定な水性注射溶液 | |
JP7423028B2 (ja) | ボルテゾミブを含有する凍結乾燥医薬組成物 | |
JP7092687B2 (ja) | 製剤密封容器およびその利用 | |
JP6204349B2 (ja) | 注射剤用組成物 | |
JP6854710B2 (ja) | ペメトレキセドを含有する注射用溶液製剤 | |
JP6033931B2 (ja) | 有機溶媒無含有ゲムシタビン水溶液組成物 | |
JPWO2009075309A1 (ja) | 製剤組成物 | |
WO2019176239A1 (ja) | 容器充填ヒトpth(1-34)液体医薬組成物及びその製造方法 | |
JP2023169446A (ja) | ホスアプレピタント注射用水溶液剤 | |
WO2018029624A1 (en) | Subcutaneous formulations of palonosetron |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A625 | Written request for application examination (by other person) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A625 Effective date: 20180529 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20190618 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20190819 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20191017 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20191119 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20200115 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20200414 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20200427 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6705348 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |