JP6501399B2 - ペメトレキセドを含有する注射用溶液製剤 - Google Patents

ペメトレキセドを含有する注射用溶液製剤 Download PDF

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本発明は、ペメトレキセドを含有する注射用溶液製剤について、ペメトレキセドの安定性を保持し類縁物質の形成を抑制する注射用溶液製剤に関する。
ペメトレキセドは化学名N−[4−[2−(2−アミノ−4−オキソ−4,7−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチル]ベンゾイル]L−グルタミン酸であり、その二ナトリウム塩を有効成分とする医薬品が、代謝拮抗性抗悪性腫瘍剤として、悪性胸膜中皮腫及び切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌の治療剤として用いられている。ペメトレキセドの医薬製剤は、有効成分のペメトレキセド2ナトリウム水和物と添加剤のD−マンニトールとを含む凍結乾燥粉製剤が、ペメトレキセド注射用製剤(登録商標 アリムタ(ALIMTA))として提供されている。該製剤は、投与時に生理食塩液を加えて充分に溶解し、必要量の溶解液を抜き取り、生理食塩液に混和し100mLとして用いられる。
一般的に凍結乾燥製剤は保存安定性に優れるものの、用時に溶解工程が必要であり、完全に溶解させるため十分な混和操作が必要となる。したがって、医用現場において、煩雑な溶解工程が不要で、希釈してすぐ投与できる溶液形態のRTU(ready−to−use)製剤が求められている。
ペメトレキセドは溶液安定性が低い物性であり、水溶液中で加水分解反応や酸化反応を伴う分解反応が進行することが知られている。そこで、ペメトレキセドの水溶液中での分解を抑制した水溶液製剤処方物が報告されている。
特許文献1は、製剤バイアル系内の空間酸素及び溶存酸素量を低減制御することで、ペメトレキセドの分解を抑制した溶液製剤を記載している。一方、種々の添加剤を用いてペメトレキセドの安定性を向上させた水溶液製剤も報告されている。特許文献2は、抗酸化剤としてモノチオグリセロール、L−システインまたはチオグリコール酸を用いた水溶液製剤を開示している。特許文献3には、リポ酸、ジヒドロリポ酸、メチオニンまたはこれらの混合物から選択される抗酸化剤、及びラクトビオン酸、三塩基性クエン酸ナトリウムまたはこれらの混合物から選択されるキレート剤を含有する溶液製剤が記載されている。特許文献4には、エチレンジアミン四酢酸2ナトリウム、クエン酸及びアスコルビン酸から選択される抗酸化剤を含む溶液製剤が記載されている。特許文献5は、アスコルビン酸類を0.0001〜0.5質量%用いた溶液製剤を記載している。これらの製剤は、脱気処理して系内の酸素濃度を低減した上で、更なる安定化効果を得るための安定化剤を用いた製剤である。
国際公開WO2012/121523号 特表2003−521518号公報 特表2013−540104号公報 特開2014−237607号公報 国際公開WO2015/050230号
本発明が、解決しようとする課題は、類縁物質の生成が抑制されたペメトレキセドを含む注射用溶液製剤を提供することにある。
本発明は、ペメトレキセド有効成分とする注射用溶液製剤において、グルコン酸塩及び/又は塩化ナトリウムである添加剤を用いることで、有効成分であるペメトレキセドの酸化や分解に伴う類縁物質の生成を抑制できることを見出したことに基づくものであり、以下の[1]〜[4]に記載の発明を要旨とする。
[1] ペメトレキセド又は薬学的に許容されるその塩(A)、グルコン酸塩及び/又は塩化ナトリウムである添加剤(B)を含有する注射用溶液製剤であって、前記ペメトレキセド(A)100質量部に対して、グルコン酸塩及び/又は塩化ナトリウムである添加剤(B)を1〜50質量部含有し、前記添加剤以外の他の添加剤(C)を20質量部以下で含有していても良いペメトレキセドを含有する注射用溶液製剤。
[2] ペメトレキセド(A)100質量部に対して、前記添加剤(B)を1〜50質量部含有し、他の添加剤を含有しない前記[1]に記載の注射用溶液製剤。
[3] 密閉容器に封入され、容器内の溶液中の溶存酸素濃度が1.0ppm以下である前記[1]または[2]に記載の注射用溶液製剤。
[4]ペメトレキセドの濃度が5〜50mg/mLである前記[1]〜[3]の何れか一項に記載の注射用溶液製剤。
本発明のペメトレキセドを含有する注射用溶液製剤は、ペメトレキセドの分解に伴う類縁物質の生成を抑制することでき、保存安定性に優れたペメトレキセドのRTU製剤を提供することができる。したがって、ペメトレキセドの効能を長期に亘って保持することができ、投与溶液の調製が容易な製剤を提供することができる。
本発明は、ペメトレキセド又は薬学的に許容されるその塩が100質量部に対して、グルコン酸塩及び/又は塩化ナトリウムである添加剤を1〜50質量部を含有し、前記添加剤以外の他の添加剤が20質量部以下で含有していても良いペメトレキセドを含有する注射用溶液製剤である。以下に、その詳細について説明する。
本発明は、ペメトレキセド又は薬学的に許容されるその塩(A)を用いる。
本発明において、ペメトレキセドは、N−[4−[2−(2−アミノ−4−オキソ−4,7−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチル]ベンゾイル]L−グルタミン酸である。
また、ペメトレキセドの薬学的に許容されるその塩とは、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、トリメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、モノエタノールアンモニウム塩、トリエタノールアンモニウム塩、ピリジニウム塩、置換ピリジニウム塩などの医薬的に許容し得るアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩および置換アンモニウム塩などが挙げられる。ナトリウム塩を用いることが好ましく、ペメトレキセド2ナトリウム塩が好ましい。
前記ペメトレキセド又は薬学的に許容されるその塩は、無水物又は水和物や溶媒和物であっても良い。水和物としては、例えば2.5水和物や7水和物が知られており、特に限定なく用いることができる。
本発明は、添加剤(B)としてグルコン酸塩及び/又は塩化ナトリウムを用いる。
該グルコン酸塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、アミン塩、ピリジニウム塩等の薬学的に許容できる塩で用いることができる。また、グルコン酸を添加剤として用い、当該注射用溶液製剤のpHに応じた共役塩基により塩を形成させてもよい。
本発明において、該グルコン酸塩は、前記ペメトレキセドと同じ共役塩基による塩であることが好ましく、ナトリウム塩であることが好ましい。
添加剤として用いる塩化ナトリウムは、特に限定されるものではないが、医薬品用添加剤として使用できる程度の品質であることが好ましい。
本発明に係る添加剤は、グルコン酸塩又は塩化ナトリウムの単独使用であっても良く、またこれらを併用して用いても良い。添加剤の併用使用の場合は、任意の割合で併用して良い。
前記添加剤(B)の添加量は、ペメトレキセド100質量部に対して、1以上で50質量部以下で用いる。なお、ペメトレキセド100質量部とは、ペメトレキセドの遊離酸を基準質量として用いる。添加剤としてグルコン酸塩及び塩化ナトリウムを併用して用いる場合は、その使用量はその2種類の添加剤の総和である。添加剤(B)の使用量は、ペメトレキセド100質量部に対して、5質量部以上で40質量部以下であることが好ましい。
本発明の注射用溶液製剤において、グルコン酸及び/又は塩化ナトリウム以外の他の添加剤(C)を、ペメトレキセドの安定性を維持する範囲において用いても良い。該他の添加剤として、通常の医薬製剤に用いる緩衝剤、pH調整剤、等調化剤等を添加しても良い。
他の添加剤(C)としては、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化ナトリウム等の塩類、ブドウ糖、乳糖、マンニトール等の糖類、ポリソルベート、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンヒマシ油、グリセリン、プロピレングリコール、塩酸、水酸化ナトリウム、無水クエン酸、リン酸等を挙げることができる。
他の添加剤(C)の含有量は、ペメトレキセドの安定性を考慮して適切な量を適宜設定して用いられるが、ペメトレキセド100質量部に対し、20質量部以下で添加して用いる必要がある。好ましくは、ペメトレキセド100質量部に対し10質量部以下で用いられる。より好ましくは、本発明の注射用溶液製剤は、ペメトレキセド又は薬学的に許容されるその塩、並びにグルコン酸塩及び/又は塩化ナトリウムである添加剤を含有し、他の添加剤を含有しない注射用溶液である。
本発明の注射用溶液製剤は、水を主体とする溶媒を用いて調製された溶液製剤である。該溶媒における水以外の溶媒としては、水と混合可能であり非経口投与用溶媒として許容されるものであれば特に限定されずに用いることができる。例えば、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。本発明は、水を溶媒として用いた溶液製剤であることが好ましい。水としては、非経口投与可能な品質であることが好ましく、すなわち注射用水と同等品質の水を溶媒として用いることが好ましい。
本発明の注射用溶液製剤は、pHが6.5以上で8.0以下であることが好ましい。より好ましくは、pHが6.5以上で7.5以下の注射用溶液製剤である。
当該注射用溶液製剤は、ペメトレキセド又は薬学的に許容されるその塩、グルコン酸塩及び/又は塩化ナトリウムである添加剤、並びに任意の他の添加剤を、水を主体とする溶媒により溶液を調製し、これにpH調整剤を用いてpHを6.5〜8.0に調整することで調製することができる。また、ペメトレキセドの適当な塩及び/又はグルコン酸の適当な塩を用いることで、得られる溶液のpHを6.5〜8.0に調整しても良い。例えば、ペメトレキセド2ナトリウム塩及びグルコン酸ナトリウムを用いることで、pH7〜8の溶液を調製することができる。
本発明の注射用溶液製剤におけるペメトレキセドの濃度は5mg/mL以上で50mg/mL以下に設定することが好ましい。より好ましくは、ペメトレキセド濃度として10mg/mL以上で40mg/mL以下である。
本発明の注射用溶液製剤は、バイアル状容器に無菌的に充填され、気密性のゴム栓で封止した密封充填製剤として調製される。
該バイアル状容器としては、ガラスバイアルやポリプロピレンやポリエチレン等の樹脂バイアルを用いても良い。溶液保存中に素材の成分溶出が抑制されたバイアルであることが好ましく、表面処理されたガラスバイアル容器を用いることが好ましい。このバイアルを用いて、気密性のゴム栓で封止することにより、本発明の注射用溶液製剤を調製することができる。ゴム栓の材質としては、ブチルゴム製のもの、さらにフッ素樹脂によりラミネートされたブチルゴム製のゴム栓を使用するのが好ましい。
ペメトレキセドは、主に酸化によって類縁物質を生成することが知られている。従って、本発明の注射用溶液製剤は、溶液中の溶存酸素の濃度を制御することが好ましい。該溶液中の溶存酸素濃度が1.0ppm以下であることが好ましい。より好ましくは、溶液溶存酸素濃度が0.5ppm以下の注射用溶液製剤である。
溶液中の溶存酸素濃度は、酸素センサーを用いた酸素濃度測定器により測定することができる。例えば、ニードル式酸素センサーを接続した酸素濃度計(MicroxTX3、製造元:PreSens社)を用い、当該注射用溶液製剤の溶液に酸素濃度計の酸素センサーを接液させることで、本発明に係る密封状態のバイアル製剤中の溶液の溶存酸素濃度を測定することができる。
なお、本発明の注射用製剤は、バイアル充填された溶液以外の空間(ヘッドスペース)は、窒素やアルゴン等の不活性ガスが充填されていることが好ましい。溶存酸素濃度は、ヘッドスペース内の酸素分圧に関係する。溶存酸素濃度を減少させるためには、ヘッドスペース内の酸素を除去することが有効であり、窒素やアルゴン等の不活性ガスを充填しておくことが好ましい。
本発明の注射用溶液製剤における溶液中の溶存酸素濃度を制御する方法として、溶液が充填された容器内に、窒素やアルゴン等の不活性ガスを直接注入し、一定量の不活性ガスを注入した後に、容器をゴム栓等で密封する方法が挙げられる。具体的な方法としては、溶液が充填されたバイアルに、不活性ガス注入針を液面よりも上に入れ、注入針から不活性ガスを一定量吹き込んだ後、該注入針をバイアルから出し、その後速やかにゴム栓等で打栓し、キャップで巻締めて密封する方法である。この方法を用いることで、注射用溶液中の酸素濃度を1.0ppm以下に制御することが可能となる。
また、本発明に係る注射用溶液を充填したバイアルを密閉空間に設置し、空間内の温度における薬液の蒸気圧を下回らない程度まで減圧し、その後、窒素やアルゴン等の不活性ガスを大気圧になるまで注入し、この操作を任意の回数で繰り返し、その後、ゴム栓等で密栓する方法を用いても良い。その具体的な方法としては、本発明に係る注射用溶液が充填されゴム栓等により半打栓されたバイアルを、凍結乾燥機に入庫し、真空ポンプ等により凍結乾燥庫内の気圧を、その温度における溶液の蒸気圧を下回らない程度に減圧する。その後、凍結乾燥機の内部が大気圧になるまで窒素やアルゴン等の不活性ガスを注入し、この操作を任意の回数、例えば2〜5回程度繰り返した後、打栓し、キャップで巻締めて密封する方法である。
また、前記のような薬液を充填したバイアルの内部を減圧し、その後、バイアルの内部を大気圧になるまで不活性ガスを注入できる装置を使用しても良い。
前記の方法を用いることで、注射用溶液製剤中の溶液の酸素濃度を1.0ppm以下に制御することが可能となる。
本発明の注射用溶液製剤は、室温、好ましくは冷所にて保存される。また、遮光下で保存することが好ましい。
本発明の注射用溶液製剤は、ペメトレキセドを治療剤とする疾病に対する医薬品として使用することができる。ペメトレキセドは代謝拮抗性抗悪性腫瘍剤であり、悪性胸膜中皮腫及び切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌の治療剤として用いられている。悪性胸膜中皮腫に適用する場合、シスプラチンとの併用において、成人に1日1回、ペメトレキセドとして500mg/m(体表面積)を点滴静注し、少なくとも20日間休薬する。また、非小細胞肺癌に適用する場合、成人に1日1回、ペメトレキセドとして500mg/m(体表面積)を点滴静注し、少なくとも20日間休薬する。これらの治療において、ペメトレキセドは、生理食塩水等の適当な注射用媒体によりペメトレキセドとして5mg/mL程度の希釈溶液を調製して投与に供せられる。
本発明の注射用溶液製剤は、希釈するだけですぐに投与に供することができるRTU(ready to use)製剤であり、投与溶液調製が簡便な製剤として有用である。
以下に、本発明を実施例により更に説明する。ただし、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
ペメトレキセド2ナトリウム塩2.5水和物1,540mg(ペメトレキセドに換算して1,250mg)、グルコン酸ナトリウム250mgを適量の注射用水に溶かし、適量の塩酸溶液および適量の水酸化ナトリウム溶液でpH7.2に調整し、注射用水を加えて全量を50mLとした。
この溶液を、孔径0.22μmのメンブランフィルターを用いて無菌ろ過を行い、バイアルにろ過した液を4mL充填し、ゴム栓で半打栓した。このバイアルを凍結乾燥機に入庫し、真空ポンプで庫内を約5,000Paまで減圧し、その後大気圧になるまで庫内に窒素を注入した。この減圧−窒素注入操作を3回繰り返した。その後、打栓、巻締めを行い密封して、実施例1の注射用溶液製剤を調製した。
[実施例2]
前記実施例1に記載の操作において、グルコン酸ナトリウムの添加量を65mgとした以外は、実施例1と同様の操作により実施例2の注射用溶液製剤を調製した。
[実施例3]
前記実施例1に記載の操作において、グルコン酸ナトリウムの代わりに塩化ナトリウムを250mg添加したこと以外は実施例1と同様の方法で実施例3の注射用溶液製剤を調製した。
[比較例1]
前記実施例1に記載の操作において、グルコン酸ナトリウムの代わりにクエン酸ナトリウムを125mg添加したこと以外は実施例1と同様の方法で、比較例1の注射用溶液製剤を調製した。
[比較例2]
前記実施例1に記載の操作において、グルコン酸ナトリウムを用いなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で、比較例2の注射用溶液製剤を調製した。
[比較例3]
ペメトレキセド2ナトリウム塩2.5水和物123mg(ペメトレキセドに換算して100mg)を秤量し、適量の注射用水に溶かし、適量の塩酸溶液および適量の水酸化ナトリウム溶液でpH7.2に調整し、注射用水を加えて全量を20mLとした。
この溶液を孔径0.22μmのメンブランフィルターを用いて無菌ろ過を行い、バイアルにろ過した液を2mL充填した。バイアル内に、窒素を吹き込み、その後ゴム栓で打栓し、巻締めを行い密封して、比較例3に係る注射用溶液製剤を調製した。
[比較例4]
前記実施例1に記載の操作において、溶液調製の際にエデト酸2ナトリウム二水和物をエデト酸2ナトリウム換算で20mg添加し、それ以外は比較例3と同様の操作により、比較例4の注射用溶液製剤を調製した。
[比較例5]
ペメトレキセド2ナトリウム塩2.5水和物616mg(ペメトレキセドに換算して500mg)に、適量の注射用水に溶かし、注射用水を加えて全量を20mLとした。
この溶液を孔径0.22μmのメンブランフィルターを用いて無菌ろ過を行い、バイアルにろ過した液を2mL充填した。バイアル内に、窒素を吹き込み、その後ゴム栓で打栓し、巻締めを行い密封し、比較例5〜8に係る注射用溶液製剤を調製した。
[比較例6]
前記比較例5に記載の操作において、溶液調製の際に、アスコルビン酸20mgを秤量して添加して、それ以外は比較例5と同様の操作により比較例6の注射用溶液製剤を調製した。
[比較例7]
前記比較例5に記載の操作において、溶液調製の際に、アルファチオグリセロール20mgを秤量して添加して、それ以外は比較例5と同様の操作により比較例7の注射用溶液製剤を調製した。
[比較例8]
前記比較例5に記載の操作において、溶液調製の際に、チオグリコール酸ナトリウム20mgを秤量して添加して、それ以外は比較例5と同様の操作により比較例8の注射用溶液製剤を調製した。
[ペメトレキセド類縁物質の分析条件]
実施例及び比較例のペメトレキセド分解由来の類縁物質を、以下の液体クロマトグラフィー(HPLC)条件にて分析した。
カラム:ジーエルサイエンス社製Inertsil ODS―3(内径4.6mm、長さ25cm)
カラム温度:40℃
移動相A:リン酸塩緩衝液(pH 6.8)/アセトニトリル混液(47:3)
移動相B:アセトニトリル
送液量:1.0mL/min.
波長:225nm
移動相の送液:表3に示す条件で送液した。
[表1]
Figure 0006501399
[溶存酸素の測定]
ニードル式酸素センサーを接続した酸素濃度計(MicroxTX3、製造元:PreSens社)を使用した。ニードルの先端に酸素に感度を持つ蛍光染料(酸素センサー)がコートされたファイバーがあり、実施例及び比較例の注射用溶液製剤のゴム栓にニードル式酸素センサーを刺して接液し、バイアル中の密閉状態の溶液の溶存酸素を測定した。
[試験例1]60℃保存安定性試験
実施例1〜3及び比較例1〜4の注射用溶液製剤を、60℃の条件下にて最大4週間まで保存した。各製剤について、ペメトレキセド由来の類縁物質をHPLCにて分析した。また、製剤の保存試験開始時における溶液中の溶存酸素を酸素濃度計で測定した。分析結果を表2及び表3に示す。
[表2]
Figure 0006501399
[表3]
Figure 0006501399
表2に示した実施例の溶液製剤の保存安定性試験の結果から、過酷条件である60℃、4週間後の当該注射用溶液製剤において、ペメトレキセド由来類縁物質の生成量は類縁物質総量として1%以下であった。
一方、表3に示したように、添加剤を用いない比較例2及び3は総類縁物質生成量が1%を超えるものであった。添加剤として、クエン酸ナトリウムを添加した溶液製剤については、無添加製剤と同等の類縁物質生成量であり、安定性のための添加剤効果が認められなかった。また、キレート剤であるエデト酸2ナトリウムを添加した比較例4の溶液製剤は、2週間の観察で類縁物質の著しい増加が認められた。
以上の結果から、ペメトレキセド類縁物質の生成抑制効果を示す製剤添加剤としては、グルコン酸ナトリウムと塩化ナトリウムが有効であることが示された。
[試験例2]25℃保存安定性試験
比較例5〜8の注射用溶液製剤を、25℃の条件下にて最大4週間まで保存した。保存中の製剤について、ペメトレキセド由来の類縁物質をHPLCにて分析した。また、製剤の保存試験開始時における溶液中の溶存酸素を酸素濃度計で測定した。分析結果を表4に示す。
[表4]
Figure 0006501399
表4に示されるように、アスコルビン酸、アルファチオグリセロール、チオグリコール酸ナトリウムの抗酸化剤は、これら抗酸化剤を添加しない比較例5に係る注射用溶液製剤より類縁物質総量が多く、ペメトレキセドの安定化添加剤として機能しないことが明らかとなった。
本発明によれば、ペメトレキセドの分解に伴う類縁物質の生成を抑制した保存安定性に優れるペメトレキセドを含む注射用溶液製剤を提供することができる。本発明の注射用溶液製剤で使用している添加剤は、医薬製剤として人への使用実績があり、且つ使用実績使用量以下の量である。従って、医薬的に安全で、投与時の調製が簡便なペメトレキセド注射用溶液製剤を提供することができる。

Claims (4)

  1. ペメトレキセド又は薬学的に許容されるその塩(A)、グルコン酸塩である添加剤(B)、緩衝剤、pH調整剤、又は等張化剤からなる群から選択される、前記添加剤以外の他の添加剤(C)からなる注射用溶液製剤であって、
    前記ペメトレキセド(A)100質量部に対して、グルコン酸塩である添加剤(B)を1〜50質量部含有する、ペメトレキセドを含有する注射用溶液製剤。
  2. ペメトレキセド(A)100質量部に対して、前記添加剤(B)を1〜50質量部で含有し、他の添加剤(C)を20質量部以下で含有していても良い請求項1に記載の注射用溶液製剤。
  3. 密閉容器に封入され、容器内の溶液中の溶存酸素濃度が1.0ppm以下である請求項1または2に記載の注射用溶液製剤。
  4. ペメトレキセド(A)の濃度が5〜50mg/mLである請求項1〜3の何れか一項に記載の注射用溶液製剤。

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