JP2020090481A - ベンダムスチンを含有する溶液製剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 凍結乾燥された粉末の再構成の必要性を無くし、医療現場においてより使い勝手がよく、長期に亘って安定なベンダムスチン溶液製剤を提供することを課題とする。特に、主要な類縁物質であるポリエチレングリコールのエステル付加物の生成が抑制されたベンダムスチン溶液製剤を提供することを目的とする。【解決手段】ベンダムスチン又はその製薬上許容される塩、並びにポリエチレングリコールを含み、ポリオール系溶媒を含まないベンダムスチン含有溶液製剤であり、前記ベンダムスチン含有溶液製剤は封止できる密閉容器に封入されて、前記容器の内部の空隙部分の酸素濃度が10体積%以下である、ベンダムスチン含有溶液製剤。【選択図】なし

Description

本発明は、凍結乾燥製剤の場合に必要な溶液再構成の工程を不要とした、希釈後すぐ使用可能なベンダムスチンを含有する溶液製剤に関する。
ベンダムスチンは構造式(1)により表される化合物であり、塩酸塩の形態で白血病及び非ホジキンリンパ腫等の治療に用いられている。ベンダムスチン塩酸塩は、トレアキシン(登録商標)点滴静注用として凍結乾燥注射剤が上市されており、注射用水で再構成された後に希釈して投与される。特許文献1に、ベンダムスチン塩酸塩の凍結乾燥注射剤に関する記載がある。
Figure 2020090481
ベンダムスチンの凍結乾燥注射剤は優れた化学的安定性を有する。しかしながら、凍結乾燥注射剤は用時に注射用水等にて溶解させて溶液状態への再構成の操作を要するため、臨床使用において煩雑な手間がかかり不便である。またベンダムスチンは化学的に不安定で、加水分解を受けやすいため、溶液調製後から投与までの間に加水分解を受ける懸念がある。したがって、用時に再構成の必要がなく、希釈してすぐ投与可能なベンダムスチンを含有する溶液製剤が求められている。
ベンダムスチン含有溶液製剤について、特許文献2にN,N−ジメチルアセトアミド等の極性非プロトン性溶媒を用いた溶液の注射剤が記載されている。また、特許文献3や4にはポリエチレングリコール及びプロピレングリコールの混合溶媒を用い、更に抗酸化剤を添加した溶液の注射剤が記載されている。
特開2013−056901号公報 特表2012−503666号公報 特表2013−518130号公報 特表2015−506989号公報
ベンダムスチンは、ポリエチレングリコール(PEG)及びプロピレングリコール(PG)を溶剤とする溶液製剤が知られているが、保存経過に従い類縁物質が生成する。主たる類縁物質としては、これら溶剤とベンダムスチンとの反応物であり、具体的には、ベンダムスチン−PEGエステル体、及び/又はベンダムスチン−PGエステルが主要な類縁物質であることが知られている。したがって、ベンダムスチンの溶液製剤において、溶剤由来の類縁物質の生成を抑制することが望まれている。本発明は、長期にわたって安定なベンダムスチンを含有する溶液製剤を提供することを課題とし、特に溶剤由来の類縁物質の生成を抑制した安定なベンダムスチンの溶液製剤を提供することを課題とする。
本願は以下の[1]〜[3]に係る発明に関する。
[1] ベンダムスチン又はその製薬上許容される塩、並びにポリエチレングリコールを含み、ポリオール系溶媒を含まないベンダムスチン含有溶液製剤であり、前記ベンダムスチン含有溶液製剤は封止できる密閉容器に封入されて、前記容器の内部の空隙部分の酸素濃度が10体積%以下である、ベンダムスチン含有溶液製剤。
[2] ポリエチレングリコールがポチエチレングリコール400である、前記[1]に記載のベンダムスチン含有溶液製剤。
[3] 抗酸化剤を含む、前記[1]または[2]に記載のベンダムスチン含有溶液製剤。
本願発明のベンダムスチンを含有する溶液製剤は、ポリエチレングリコール由来のベンダムスチン類縁物質の生成を抑制し、長期にわたって類縁物質の生成量が低減された安定性の高い溶液製剤である。そして、用時に溶液への再構成の必要性を無くし、簡単な希釈操作により投与することができ、投与利便性が向上したベンダムスチン製剤を提供することができる。
本発明は、ベンダムスチン又はその製薬上許容される塩を用いる。ベンダムスチンは、4−[5−{ビス(2−クロロエチル)アミノ}−1−メチル−2−ベンズイミダゾリル]酪酸である。
ベンダムスチンの薬学的に許容されるその塩として、無機酸又は有機酸の塩が挙げられる。当該無機酸としては、例えば塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等が挙げられる。また有機酸としては、例えば酢酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、メチルスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられる。ベンダムスチンの薬学的に許容されるその塩としては、塩酸、臭化水素酸及びヨウ化水素酸から調製された酸性塩が好ましい。本発明において、ベンダムスチン塩酸塩を用いることが特に好ましい。
本発明の溶液製剤において、ベンダムスチン又はその製薬上許容される塩は、ベンダムスチン遊離塩基としての濃度が5mg/mL〜100mg/mLで用いることが好ましい。より好ましくは5mg/mL〜50mg/mLであり、15mg/mL〜30mg/mLであることが特に好ましい。ベンダムスチン塩酸塩を有効成分として用いる場合は、ベンダムスチン塩酸塩濃度として、5mg/mL〜100mg/mLが好ましい。より好ましくは5mg/mL〜50mg/mLであり、15mg/mL〜40mg/mLであることが特に好ましい。
本発明は、溶液製剤としてポリエチレングリコールを主たる溶剤として用い、ポリオール系溶媒を共溶媒として含まないことを特徴とする。
ポリエチレングリコールとしては、エチレングリコール重合物であって温度30℃以上において液体状態で存在するポリエチレングリコールを用いることが好ましい。好ましくは日本薬局方(局方)又は医薬品添加物規格(薬添規)に収載された規格を満たすポリエチレングリコールであって、マクロゴールを用いることが好ましい。マクロゴールは、医薬製剤において、安定化剤、可溶化剤、基剤、コーティング剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、溶剤、溶解補助剤などとして用いられている。
好ましくはマクロゴール300、マクロゴール400若しくはマクロゴール600である。マクロゴール300は、ポリエチレングリコール300とも称し、平均分子量が300のエチレングリコール分子の重合体で構成される無色透明の粘性の液体である。マクロゴール400は、ポリエチレングリコール400とも称し、平均分子量が400のエチレングリコール分子の重合体で構成される無色透明の粘稠性のある液体である。マクロゴール600は、ポリエチレングリコール600とも称し、平均分子量600のエチレングリコール分子の重合体で構成される無色透明の粘性の液又は白色ワセリン様の固体である。ポリエチレングリコール300(マクロゴール300)及び/又はポリエチレングリコール400(マクロゴール400)を用いることがより好ましい。より好ましくは、ポリエチレングリコール400(マクロゴール400)を含むポリエチレングリコール溶媒である。ポリエチレングリコール400を単独で用いても良く、ポリエチレングリコール300及び/又はポリエチレングリコール600と混合して用いても良い。
ポリエチレングリコールとしては、ポリエチレングリコール400は体積%で30体積%〜100体積%で含有し、残部が他の分子量のポリエチレングリコールであることが好ましい。ポリエチレングリコール400が主たる成分であることが更に好ましく、ポリエチレングリコール400が50体積%〜100体積%であり、更により好ましくはポリエチレングリコール400が70体積%〜100体積%で含有し、残部が他の分子量のポリエチレングリコールである態様が好ましい。
本発明の溶液製剤は、共溶媒としてポリオール系溶媒を含まない。ポリオール系溶媒とは、多価アルコールのことであり、2個以上のヒドロキシ基を保有した脂肪族化合物のことを指す。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどが該当し、ポリエチレングリコールは該当しない。
本発明のベンダムスチン含有溶液製剤において、ベンダムスチンの安定性を維持又は向上させる目的のために、抗酸化剤を用いても良い。抗酸化剤としては、リポ酸、モノチオグリセロール及びその類似物、アスコルビン酸及びその塩、没食子酸プロピル、メチオニン、システイン、メタ重亜硫酸塩、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、フェノール含有芳香族、脂肪族化合物及びジヒドロリポ酸から1種以上を用いることができる。好ましくは、抗酸化剤としてはモノチオグリセロール、アスコルビン酸又はその塩、若しくはそれらの混合物である。
溶液製剤中の好適な抗酸化剤濃度は、1.5mg/mL〜40mg/mLで適用することが好ましく、より好ましくは2.5mg/mL〜20mg/mLである。
本発明のベンダムスチン含有溶液製剤において、ベンダムスチンの安定性を維持又は向上させる目的のために、他の添加剤を用いても良い。他の添加剤として、通常の医薬製剤に用いる緩衝剤、pH調節剤、等調化剤、安定化剤、補助溶剤等を添加しても良い。
緩衝剤としては、例えば、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩等を挙げることができる。
pH調節剤としては、例えば、塩酸、水酸化ナトリウム、酢酸やその塩、リン酸やその塩、クエン酸やその塩、酒石酸やその塩などが挙げられる。
等張化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、果糖、キシリトール、ソルビトール、トレハロース、ニコチンアミド、ブドウ糖、精製白糖、マンニトールなどが挙げられる。
安定化剤としては、例えば、アセチルトリプトファン、アラニン、アルギニン、アルブミン、安息香酸、イノシトール、ヒスチジン、果糖、カルジアミドナトリウム、カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、キシリトール、グリシン、グルタミン酸、クレアチニン、リン酸二水素ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸、シスチン、臭化カルシウム、ゼラチン、ソルビトール、炭酸水素ナトリウム、チオシアン酸カリウム、デキストラン、糖酸カルシウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホシレート、ニコチン酸アミド、乳酸、乳糖、尿素、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸メチル、氷酢酸、ベンザルコニウム、ベンゼトニウム、マルトース、ピロリン酸ナトリウム、マレイン酸、リン酸やその塩、メグルミン、メタスルホ安息香酸ナトリウム、リジン塩酸塩、硫酸マグネシウムなどが挙げられる。
補助溶剤としては、ポリエチレングリコールと共に用いる溶剤であって、例えば、ベンダムスチンの溶解をより促進させるために使用する。使用する補助溶剤としては、例えば、オレイン酸、ゴマ油、N,N−ジメチルアセトアミド、精製オリブ油、精製オレイン酸、ソルビタン脂肪酸エステル、ダイズ油、中鎖脂肪酸トリグリセリド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリソルベート80、マクロゴール4000、リドカインなどがあげられる。
本発明のベンダムスチン溶液製剤において、pHを制御することにより類縁物質の生成を抑制することができる。好適なpHとしては3.0〜4.5であり、pH3.3〜4.1がより好ましく、更に好ましくはpH3.4〜3.9に調整する。
本発明のベンダムスチン溶液製剤において、製剤中の水分値を低く制御することにより類縁物質の生成を抑制することができる。当該溶液製剤に好適な水分値としては4.0%以下であり、より好ましくは3.0%以下である。水分含量を2.0%以下に調整することで、特にポリエチレングリコール由来の類縁物質の生成を抑制することができ、更に好ましい。
本発明のベンダムスチン含有溶液製剤は、前述したベンダムスチンを含有する溶液を容器に充填して封止した製剤であって、容器内部の溶液以外の空隙部分(ヘッドスペース)の酸素分圧を制御することが重要である。すなわち、前記製剤容器の空隙部分の酸素濃度が10体積%以下に制御する必要がある。酸素含量が制限された空隙部分は、窒素やアルゴン等の不活性ガスを充填しておくことが好ましい。本発明において空隙部分の酸素含量を10体積%以下に制御することで、ベンダムスチンの主要な類縁物質であるベンダムスチンとポリエチレングリコールのエステル生成体の生成を抑制することができ、類縁物質の含量が低減された安定なベンダムスチン溶液製剤を提供することができる。容器の空隙の酸素濃度は、より好ましくは5.0体積%以下の溶液製剤であり、1.0体積%以下であることが更に好ましい。
本発明のベンダムスチンを含有する溶液製剤の基本的な薬調方法は、特に限定されないが、例えば、ポリエチレングリコールにベンダムスチン又はその塩を添加して、室温で撹拌又はソニケーションにより溶解させることで調製される。若しくは、ポリエチレングリコールにベンダムスチンの安定性が維持又は向上する目的のために使用する添加剤を添加し、室温で撹拌又はソニケーションにより溶解させ、溶解を確認後、これにベンダムスチン又はその塩を添加して、室温で撹拌又はソニケーションにより溶解させることで調製される。場合によっては、予め2種類以上のポリエチレングリコールを任意の割合で混合して混合溶媒を調製した後、ベンダムスチン又はその塩を添加して、室温で撹拌又はソニケーションにより溶解させることで調製される。若しくは、予め2種類以上のポリエチレングリコールを任意の割合で混合して混合溶媒を調製した後、ベンダムスチンの安定性が維持又は向上する目的のために使用する添加剤を添加し、室温で撹拌又はソニケーションにより溶解させ、溶解を確認後、これにベンダムスチン又はその塩を添加して、室温で撹拌又はソニケーションにより溶解させることで調製される。
本発明の溶液製剤は、バイアル状容器に無菌的に充填され、気密性のゴム栓で封止した密封充填製剤として調製される。
使用される容器としては、ゴム栓等で密封可能であれば、バイアル状、シリンジ状等の形状は特に限定されないが、バイアル状の形状が好ましい。容器の材質としては、例えばソーダライムガラス製、ホウケイ酸ガラス製、環状ポリオレフィンポリマー製、環状ポリオレフィンコポリマー製があげられる。また当該容器は、安定性の向上やガラス成分の溶出抑制等の目的に応じて表面処理された容器を用いることができる。表面処理されたバイアルの例として、シリコートバイアル(不二硝子(株)製)、VISTバイアル(大和特殊硝子(株)製)、VIALEX(ニプロ(株)製)、type1 plus(SCHOTT(株)製)などが挙げられる。
ゴム栓の材質としては、ブチルゴム製のもの、さらにフッ素樹脂によりラミネートされたブチルゴム製のゴム栓を使用するのが好ましい。
これらの封止可能な容器は、容器及びゴム栓共に適当な方法により滅菌処理を施した包材であることが好ましい。
本発明において、バイアルを選定する際、医療現場での使い勝手と製剤の安定性を考慮する必要がある。例えば、薬液を1mL充填する際には、バイアルの候補としては、10mLバイアル、5mLバイアル、2mLバイアル、1mLバイアル等が挙げられるが、5mLバイアル、2mLバイアル若しくは1mLバイアルを使用するのが好ましい。更に好ましくは、2mLバイアル若しくは1mLバイアルを使用する。
本発明の溶液製剤における溶液中の溶存酸素の濃度を制御する方法として、溶液が充填された容器内に、窒素やアルゴン等の不活性ガスを直接注入し、一定量の不活性ガスを注入した後に、容器をゴム栓等で密封する方法が挙げられる。この方法を用いることで、容器内の空隙酸素濃度を10体積%以下に制御することが可能となる。
また、本発明に係る溶液製剤を充填した容器を密閉空間に設置し、空間内を薬液の任意の温度における蒸気圧を下回らない程度まで減圧し、その後、窒素やアルゴン等の不活性ガスを大気圧になるまで注入し、数時間静置した後、ゴム栓等で密栓する方法を用いても良い。この方法を用いることで、容器内の空隙酸素濃度を10体積%以下に制御することが可能となる。
溶液中の空隙の酸素濃度は、酸素センサーを用いた酸素濃度測定器により測定することができる。例えば、ニードル式酸素センサーを接続した酸素濃度計(MicroxTX3、製造元:PreSens社)を用いることで、本発明に係る密封状態の製剤中の容器の空隙酸素濃度を測定することができる。
本発明の溶液製剤は、ベンダムスチンを治療剤とする疾病に対する医薬品として注射用水もしくは生理食塩水にて希釈して使用することができる。
[ベンダムスチン、及びベンダムスチン由来類縁物質の液体クロマトグラフィー(HPLC)分析条件]
実施例及び比較例の溶液製剤を、以下の液体クロマトグラフィー(HPLC)条件にて分析し、ベンダムスチン及び各種類縁物質を定量分析した。
カラム:AGILENT社製ZORBAX Bonus−RP(内径4.6mm、長さ15.0cm)
カラム温度:30℃
移動相A:0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸水溶液
移動相B:0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸アセトニトリル溶液
移動相グラジェント:(A)93%(0分),93%(5分),73%(13分),73%(16分),43%(25分)
送液量:1.0mL/min.
波長:254nm
試料調整方法:5mLのメスフラスコに溶液注射剤を約250mg精密に測りとり、移動相A:N−メチル−2−ピロリドン=1:1溶液にてメスアップした。
[製剤中の空隙酸素の測定]
製剤中の容器の空隙酸素の測定には、ニードル式酸素センサーを接続した酸素濃度計(MicroxTX3、製造元:PreSens社)を使用した。ニードルの先端に酸素に感度を持つ蛍光染料(酸素センサー)がコートされたファイバーがあり、実施例及び比較例について溶液の注射剤のゴム栓にニードル式酸素センサーを刺し、バイアル中の空隙部分の酸素を測定した。
[実施例1]
ポリエチレングリコール300(PEG300、日油株式会社):ポリエチレングリコール400(PEG400、日油株式会社)=20:80(体積%)の溶液を調製し、アスコルビン酸(スリーF株式会社)を2.5mg/mLとなるように加えて溶解させた。この溶液にベンダムスチン塩酸塩を25mg/mLになるように加えて溶解させた。この溶液に1N水酸化ナトリウム水溶液を添加し、pHを3.5に調整し2mLずつガラスバイアルに充填した。このバイアルに窒素を吹き込みゴム栓・アルミキャップにより密栓して実施例1の製剤とした。
この製剤の空隙部分の酸素濃度は、0.2%であった。
[実施例2]
実施例1と同様の操作で、25mg/mLの濃度のベンダムスチン塩酸塩を含有する溶液を、ガラスバイアルに2mL充填した。このバイアルに窒素と空気の混合気体を吹き込みゴム栓・アルミキャップにより密栓して実施例2の製剤とした。
この製剤の空隙部分の酸素濃度は、5.1%であった。
[実施例3]
実施例1と同様の操作で、25mg/mLの濃度のベンダムスチン塩酸塩を含有する溶液を、ガラスバイアルに2mL充填した。このバイアルに窒素と空気の混合気体を吹き込みゴム栓・アルミキャップにより密栓して実施例3の製剤とした。
この製剤の空隙部分の酸素濃度は、6.5%であった。
[実施例4]
実施例1と同様の操作で、25mg/mLの濃度のベンダムスチン塩酸塩を含有する溶液を、ガラスバイアルに2mL充填した。このバイアルに窒素と空気の混合気体を吹き込みゴム栓・アルミキャップにより密栓して実施例4の製剤とした。
この製剤の空隙部分の酸素濃度は、8.6%であった。
[比較例1]
特表2015−506989号公報の記載に基づき、比較例1のベンダムスチン溶液製剤を調製した。
PEG400(日油株式会社)50mLに1N水酸化ナトリウム水溶液50μLを加えて撹拌し、塩基処理済みPEG400とした。この溶液にプロピレングリコール(PG、丸石製薬)を加え、PEG400:PG=90:10(体積%)の溶液を調製し、α−チオグリセロール(東京化成工業株式会社)を5.0mg/mLとなるように加えて溶解させた。この溶液にベンダムスチン塩酸塩を、25mg/mLになるように加えて溶解させた。この溶液を2mLずつガラスバイアルに充填した。このバイアルに窒素を吹き込みゴム栓・アルミキャップにより密栓して比較例1の製剤とした。
この製剤のpHは3.1、空隙部分の酸素濃度を、ニードル式酸素センサーを接続した酸素濃度計(MicroxTX3、製造元:PreSens社)を用いて測定したところ、0.2%であった。
[試験例1]
実施例1〜4及び比較例1の溶液製剤を、40℃の条件下にて4週間保存した。各製剤のベンダムスチン由来の類縁物質をHPLCで分析した。表1に、PEGエステル体の含有比率(%)及びPGエステル体の含有比率(%)、並びにその総量を溶媒類縁物質としてまとめた。
Figure 2020090481
上記結果より、PEGのみを溶剤として用いた処方の方が、PEG/PGを混合した溶剤と比較した際に、溶媒類縁物質(PEGエステルとPGエステルの合計値)を抑制できることが確認された。また、バイアルの空隙の酸素濃度を下げることで、よりPEGエステルを抑制できることが確認された。PEGエステルを抑制するためにも、バイアルの空隙の酸素濃度を低くすることは、非常に有用であることが確認された。
[実施例5]
ポリエチレングリコール300(PEG300、日油株式会社):ポリエチレングリコール400(PEG400、日油株式会社)=20:80(体積%)の溶液を調製し、アスコルビン酸(スリーF株式会社)を2.5mg/mLとなるように加えて溶解させた。この溶液にベンダムスチン塩酸塩を25mg/mLになるように加えて溶解させた。この溶液に1N水酸化ナトリウム水溶液を添加し、pHを2.7に調整し1mLずつ5mLガラスバイアル(バイアル瓶白V−FAS5mLCS、不二硝子)に充填した。このバイアルに窒素を吹き込みゴム栓・アルミキャップにより密栓して実施例5の製剤とした。
この製剤の空隙部分の酸素濃度は、4.9%であった。
[実施例6]
実施例5と同様の操作で、25mg/mLの濃度のベンダムスチン塩酸塩を含有する溶液を1mLずつ2mLガラスバイアル(CS−2(9.1)、不二硝子)に充填した。このバイアルに窒素を吹き込みゴム栓・アルミキャップにより密栓して実施例6の製剤とした。
この製剤の空隙部分の酸素濃度は、5.0%であった。
[実施例7]
実施例5と同様の操作で、25mg/mLの濃度のベンダムスチン塩酸塩を含有する溶液を1mLずつ1mLガラスバイアル(バイアル白V−MN1mL、不二硝子)に充填した。このバイアルに窒素を吹き込みゴム栓・アルミキャップにより密栓して実施例7の製剤とした。
この製剤の空隙部分の酸素濃度は、5.0%であった。
[実施例8]
実施例5と同様の操作で、25mg/mLの濃度のベンダムスチン塩酸塩を含有する溶液を1mLずつ5mLガラスバイアル(バイアル瓶白V−FAS5mLCS、不二硝子)に充填した。このバイアルに窒素を吹き込みゴム栓・アルミキャップにより密栓して実施例8の製剤とした。
この製剤の空隙部分の酸素濃度は、0.2%であった。
[実施例9]
実施例5と同様の操作で、25mg/mLの濃度のベンダムスチン塩酸塩を含有する溶液を4mLずつ5mLガラスバイアル(バイアル瓶白V−FAS5mLCS、不二硝子)に充填した。このバイアルに窒素を吹き込みゴム栓・アルミキャップにより密栓して実施例9の製剤とした。
この製剤の空隙部分の酸素濃度は、5.0%であった。
[実施例10]
ポリエチレングリコール300(PEG300、日油株式会社):ポリエチレングリコール400(PEG400、日油株式会社)=20:80(体積%)の溶液を調製し、アスコルビン酸(スリーF株式会社)を2.5mg/mLとなるように加えて溶解させた。この溶液にベンダムスチン塩酸塩を25mg/mLになるように加えて溶解させた。この溶液に1N水酸化ナトリウム水溶液を添加し、pHを2.6に調整し1mLずつ5mLガラスバイアル(バイアル瓶白V−FAS5mLCS、不二硝子)に充填し,ゴム栓で半打栓した。このバイアルを凍結乾燥機に設置した。棚の温度を20℃に設定し、バイアル中の内容物が20℃に到達した後、真空ポンプにより減圧し、密閉された装置内の気圧を1,000Paとした。その後、真空ポンプを停止し、窒素ガスを密閉された装置内に流入させた後に大気圧まで復圧し、2時間静置した。その後、再度真空ポンプにより減圧し、密閉された装置内の気圧を1,000Paとした。その後、真空ポンプを停止し、窒素ガスを密閉された装置内に流入させた後に大気圧まで復圧し、14時間静置した。その後、再度真空ポンプにより減圧し、密閉された装置内の気圧を1,000Paとした。その後、真空ポンプを停止し、窒素ガスを密閉された装置内に流入させた後に大気圧まで復圧し、棚を下降させて打栓した。打栓後、打栓したバイアルを取り出した。打栓したバイアルをアルミキャップにて巻締めし、実施例10の製剤とした。
この製剤の空隙部分の酸素濃度は、0.1%であった。
[実施例11]
実施例10と同様の操作で、25mg/mLの濃度のベンダムスチン塩酸塩を含有する溶液を4mLずつ5mLガラスバイアル(バイアル瓶白V−FAS5mLCS、不二硝子)に充填し、窒素ガスを封入し、実施例11の製剤とした。
この製剤の空隙部分の酸素濃度は、0.1%であった。
[比較例2]
プロピレングリコール(PG、丸石製薬):ポリエチレングリコール400(PEG400、日油株式会社)=10:90(体積%)の溶液を調製し、α−チオグリセロール(東京化成工業株式会社)を5.0mg/mLとなるように加えて溶解させた。この溶液にベンダムスチン塩酸塩を25mg/mLになるように加えて溶解させた。この溶液に1N水酸化ナトリウム水溶液を添加し、pHを2.5に調整し1mLずつ5mLガラスバイアル(バイアル瓶白V−FAS5mLCS、不二硝子)に充填した。このバイアルに窒素を吹き込みゴム栓・アルミキャップにより密栓して比較例2の製剤とした。
この製剤の空隙部分の酸素濃度は、3.1%であった。
[試験例2]
実施例5〜7及び比較例2の溶液製剤を、40℃の条件下にて2週間保存した。各製剤のベンダムスチン由来の類縁物質をHPLCで分析した。表2に、PEGエステル体の含有比率(%)及びPGエステル体の含有比率(%)、並びにその総量を溶媒類縁物質としてまとめた。
Figure 2020090481
上記結果より、PEGのみを溶剤として用いた処方の方が、PEG/PGを混合した溶剤と比較した際に、溶媒類縁物質(PEGエステルとPGエステルの合計値)を抑制できることが確認された。また、実施例5、6、7の結果より、バイアルサイズを小さくすることで、PEGエステルを抑制できることが確認された。
[試験例3]
実施例8〜11及び比較例2の溶液製剤を、40℃の条件下にて2週間保存した。各製剤のベンダムスチン由来の類縁物質をHPLCで分析した。表3に、PEGエステル体の含有比率(%)及びPGエステル体の含有比率(%)、並びにその総量を溶媒類縁物質としてまとめた。
Figure 2020090481
上記結果より、試験例2同様、PEGのみを溶剤として用いた処方の方が、PEG/PGを混合した溶剤と比較した際に、溶媒類縁物質(PEGエステルとPGエステルの合計値)を抑制できることが確認された。また、実施例9と11の結果より、バイアルの空隙の酸素濃度を下げることで、PEGエステルを抑制できることが確認された。

Claims (3)

  1. ベンダムスチン又はその製薬上許容される塩、並びにポリエチレングリコールを含み、ポリオール系溶媒を含まないベンダムスチン含有溶液製剤であり、前記ベンダムスチン含有溶液製剤は封止できる密閉容器に封入されて、前記容器の内部の空隙部分の酸素濃度が10体積%以下である、ベンダムスチン含有溶液製剤。
  2. ポリエチレングリコールがポリエチレングリコール400である、請求項1に記載のベンダムスチン含有溶液製剤。
  3. 抗酸化剤を含む、請求項1または2に記載のベンダムスチン含有溶液製剤。


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