JP7235288B2 - ベンダムスチンの液体製剤 - Google Patents
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Description
〔1〕 ベンダムスチン又はその医薬上許容される塩とポリエチレングリコール300とを含有する液体製剤。
〔2〕 ポリエチレングリコール200及びポリエチレングリコール400からなる群より選択される他のポリエチレングリコールを更に含有する、〔1〕に記載の液体製剤。
〔3〕 前記他のポリエチレングリコールが、ポリエチレングリコール400である、〔2〕に記載の液体製剤。
〔4〕 ポリエチレングリコール300と前記他のポリエチレングリコールとの重量比が、7:3~3:7である、〔2〕又は〔3〕に記載の液体製剤。
〔5〕 抗酸化剤を含有する、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の液体製剤。
〔6〕 抗酸化剤が、チオグリセロール及びモノチオグリセロールからなる群より選択される、〔5〕に記載の液体製剤。
〔7〕 pH調節剤を含有する、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の液体製剤。
〔8〕 pH調節剤が水酸化ナトリウムである、〔7〕に記載の液体製剤。
〔9〕 ポリエチレングリコール300を含有せしめることを含む、ベンダムスチン又はその医薬上許容される塩の液体製剤を安定化する方法。
〔10〕 ポリエチレングリコール200及びポリエチレングリコール400からなる群より選択される他のポリエチレングリコールを含有せしめることを含む、〔9〕に記載の方法。
〔11〕 前記他のポリエチレングリコールが、ポリエチレングリコール400である、〔10〕に記載の方法。
〔12〕 ポリエチレングリコール300と前記他のポリエチレングリコールとの重量比が、7:3~3:7である、〔10〕又は〔11〕に記載の方法。
〔13〕 液体製剤が、抗酸化剤を含有する、〔9〕~〔12〕のいずれかに記載の方法。
〔14〕 抗酸化剤が、チオグリセロール及びモノチオグリセロールからなる群より選択される、〔13〕に記載の方法。
〔15〕 液体製剤が、pH調節剤を含有する、〔9〕~〔14〕のいずれかに記載の方法。
〔16〕 pH調節剤が水酸化ナトリウムである、〔15〕に記載の方法。
ベンダムスチンの医薬上許容される塩としては、これらに限定されるものではないが、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、有機塩基との塩、アミノ酸塩が挙げられる。アルカリ金属塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩が挙げられ、アルカリ土類金属塩としては、例えば、マグネシウム塩、カルシウム塩が挙げられ、有機塩基との塩としては、例えば、N-メチルモルホリン塩、エタノールアミン塩、ピペラジン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、トリブチルアミン塩、tert-ブチルアミン塩、ジイソプロピルエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N-メチルピペリジン塩、メグルミン塩、トロメタミン塩、コリン塩、ベンザチン塩、4-フェニルシクロヘキシルアミン塩、ピリジン塩、4-ピロリジノピリジン塩、ピコリン塩が挙げられ、アミノ酸塩としては、例えば、グリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩が挙げられる。
また、ベンダムスチン又はその医薬上許容される塩は、酸付加塩であってもよく、これらに限定されるものではないが、例えば、フッ化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩等のハロゲン化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩等の低級(例えばC1-C6)アルカンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩等のアリールスルホン酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、リンゴ酸塩、フマール酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩等の有機酸塩が挙げられる。ハロゲン化水素酸塩が好ましく、塩酸塩が特に好ましい。
例えば、本発明の液体製剤中に、ベンダムスチンを塩酸塩として含める場合、濃度は、ベンダムスチン塩酸塩として、通常約10~約100mg/mL、好ましくは約20~約60mg/mL、より好ましくは約20~約50mg/mL、更に好ましくは約20~約30mg/mLであり、特に好ましくは約25mg/mLである。
本発明の液体製剤の投薬量は、処置対象となる具体的な疾患、所望の薬理活性の強さ、投与対象の全体の健康状態、副作用発現の可能性などに応じて当業者が適宜設定することができる。
好ましくは、本発明の液体製剤は、注射剤として使用される液体製剤である。注射剤として使用する場合、本発明の液体製剤は、ボーラス注射してもよいし、点滴注射してもよい。
また、本発明により得られるベンダムスチン又はその医薬上許容される塩の安定な液体製剤は、更に好ましくは、上記液体状態が保たれることに加えて、40℃1ヶ月の保存後に、下記の条件の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)行った場合に、相対保持時間約0.6(すなわち0.6付近)に見られる類縁物質(不純物)のピーク面積が、好ましくは、1%以下、0.5%以下、0.4%以下、0.3%以下、又は0.2%以下であり、かつ、総類縁物質のピーク面積が、好ましくは、2.4%以下、2.3%以下、2.2%以下、2.1%以下、2%以下、1.9%以下、1.8%以下、1.7%以下、1.6%以下、1.5%以下、1.4%以下、1.3%以下、又は1.2%以下であるものである。
[HPLC]
検出波長:230nm
移動相A:0.1%TFA/アセトニトリル混液(9:1)
移動相B:0.1%TFA/アセトニトリル混液(1:1)
グラジエント条件
注入後の時間(分) 移動相A(vol%) 移動相B(vol%)
0~3 100 0
3~16 100→50 0→50
16~33 50→30 50→70
33~35 30→10 70→90
35~40 10 90
40~41 10→100 90→0
41~45 100 0
カラム:ZORBAX 300SB-C18 80Å 4.6mm×250mm
カラム温度:30℃
PEG200とPEG300とを、7:3、1:1、3:7の重量比で混合することで、PEG200:PEG300(7:3 v/v)、PEG200:PEG300(1:1 v/v)、PEG200:PEG300(3:7 v/v)の混合溶剤を調製した。
PEG300とPEG400とを、7:3、1:1、3:7の重量比で混合することで、PEG300:PEG400(7:3 v/v)、PEG300:PEG400(1:1 v/v)、PEG300:PEG400(3:7 v/v)の混合溶剤を調製した。
モノチオグリセロールを最終濃度5mg/mL及び水酸化ナトリウムを最終濃度0.4mg/mLとなるようにとり、溶剤としてPEG300又は上で調製した混合溶剤のいずれかを加えて10mLとした。
この液5mLにベンダムスチン塩酸塩を最終濃度25mg/mLとなるように加え、常法に従って液体製剤を製造した。
得られた液体製剤の安定性試験は、40℃1週間及び40℃1ヶ月保存後の分解物(類縁物質)の生成並びに外観の観察で行った。また、冷所ないし冷暗所での保存も考慮し、5℃1週間保存後の外観の観察も行った。結果を表1~3に示す。
表1~3には、後述のHPLCで検出された相対保持時間約0.6の分解物のピーク面積(%)、この分解物を含めた種々の相対保持時間を有する類縁物質のピーク面積の合計(%;総類縁物質)、測定時期に各保存条件下で観察された外観が記載されている。
溶剤をPEG200若しくはPEG400に、又はPEG300とPEG600との重量比1:1の混合物に変更した以外は実施例1~7と同様にして、比較例1~3の液体製剤を製造した。得られた液体製剤の安定性試験を実施例1~7と同様に行った。比較例1、2の結果を表1に、比較例3の結果を表3に示す。
ベンダムスチンの分解物(類縁物質)量の測定は、下記の条件の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により行った。
検出波長:230nm
移動相A:0.1%TFA/アセトニトリル混液(9:1)
移動相B:0.1%TFA/アセトニトリル混液(1:1)
グラジエント条件
注入後の時間(分) 移動相A(vol%) 移動相B(vol%)
0~3 100 0
3~16 100→50 0→50
16~33 50→30 50→70
33~35 30→10 70→90
35~40 10 90
40~41 10→100 90→0
41~45 100 0
カラム:ZORBAX 300SB-C18 80Å 4.6mm×250mm
カラム温度:30℃
実施例1では、相対保持時間約0.6の分解物及び総類縁物質の生成量が十分に抑制されつつ、低温保存条件下でも凍結せずに液体状態が保たれた。
比較例1では、相対保持時間約0.6の分解物の生成量は抑制できたが、実施例1に比べて総類縁物質の生成量が多かった。
比較例2では、低温保存条件下で凍結して固体状態になってしまった。このような凍結は、活性成分含量の変動を招いたり、使用時に凍結物を融解する必要を生じたりすることから、医薬品としては望ましくない。
なかでも、PEG300:PEG400を7:3(v/v)で併用した実施例5が、相対保持時間約0.6の分解物及び総類縁物質の生成量の両方で特に優れていた。
比較例3では、低温保存条件下で凍結して固体状態になってしまった。また、PEG200又はPEG400を同割合で併用した実施例3及び実施例6に比べて、40℃1ヶ月保存後における相対保持時間約0.6の分解物及び総類縁物質の両方の生成量が多かった。
また、本発明により得られる液体製剤は、低温保存条件下でも液体状態を保つことができることから、医薬品として望ましいものである。
Claims (12)
- ベンダムスチン又はその医薬上許容される塩と
ポリエチレングリコール300と
ポリエチレングリコール200及びポリエチレングリコール400からなる群より選択される他のポリエチレングリコールと
を含有し、
ポリエチレングリコール300と該他のポリエチレングリコールとの重量比が、7:3~3:7である、液体製剤(但し、グリセリンを含有する液体製剤を除く)。 - 前記他のポリエチレングリコールが、ポリエチレングリコール400である、請求項1に記載の液体製剤。
- 抗酸化剤を含有する、請求項1又は2に記載の液体製剤。
- 抗酸化剤が、チオグリセロール及びモノチオグリセロールからなる群より選択される、請求項3に記載の液体製剤。
- pH調節剤を含有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の液体製剤。
- pH調節剤が水酸化ナトリウムである、請求項5に記載の液体製剤。
- ポリエチレングリコール300とポリエチレングリコール200及びポリエチレングリコール400からなる群より選択される他のポリエチレングリコールとを含有せしめることを含み、
ポリエチレングリコール300と該他のポリエチレングリコールとの重量比が、7:3~3:7である、
ベンダムスチン又はその医薬上許容される塩の液体製剤(但し、グリセリンを含有する液体製剤を除く)を安定化する方法。 - 前記他のポリエチレングリコールが、ポリエチレングリコール400である、請求項7に記載の方法。
- 液体製剤が、抗酸化剤を含有する、請求項7又は8に記載の方法。
- 抗酸化剤が、チオグリセロール及びモノチオグリセロールからなる群より選択される、請求項9に記載の方法。
- 液体製剤が、pH調節剤を含有する、請求項7~10のいずれか1項に記載の方法。
- pH調節剤が水酸化ナトリウムである、請求項11に記載の方法。
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JP2019000511A JP7235288B2 (ja) | 2019-01-07 | 2019-01-07 | ベンダムスチンの液体製剤 |
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