JP2016041684A - がん治療用医薬組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】長期保存安定性に優れるペメトレキセド含有液体医薬組成物を提供すること。
【解決手段】(A)ペメトレキセド、その薬学的に許容できる塩、又はそれらの溶媒和物、(B)システイン、その薬学的に許容できる塩、又はそれらの溶媒和物〔好ましくは、L−システイン、その薬学的に許容できる塩、又はそれらの溶媒和物を含む成分〕、及び(C)キレート化剤〔好ましくは、エデト酸ナトリウム又はその水和物を含む成分〕を含有してなる液体医薬組成物。
【選択図】なし
【解決手段】(A)ペメトレキセド、その薬学的に許容できる塩、又はそれらの溶媒和物、(B)システイン、その薬学的に許容できる塩、又はそれらの溶媒和物〔好ましくは、L−システイン、その薬学的に許容できる塩、又はそれらの溶媒和物を含む成分〕、及び(C)キレート化剤〔好ましくは、エデト酸ナトリウム又はその水和物を含む成分〕を含有してなる液体医薬組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、がん治療用医薬組成物に関する。更に詳しくは、ペメトレキセドを含有する液体医薬組成物に関する。
ペメトレキセドは、複数の葉酸代謝酵素を同時に阻害することで抗腫瘍活性を示す葉酸代謝拮抗剤であり、悪性胸膜中皮腫及び非小細胞肺癌の治療において使用される。現在市販されているペメトレキセド製剤(アリムタ、登録商標)は、凍結乾燥製剤である。しかしながら、凍結乾燥製剤は患者へ投与する前に製剤を用時溶解する手間がかかる。また、製剤溶解のために投与準備作業が煩雑化することにより作業者が被曝する可能性が高まることが問題である。このような問題を回避するため、予め溶液化された製剤について検討が行われている。
例えば、特許文献1には、a)ペメトレクスト(ペメトレキセドと同義);b)モノチオグリセロール、L−システイン、チオグリコール酸、からなるグループから選ばれる少なくとも1種の抗酸化剤;及び、c)医薬的に許容しうる賦形剤を含む医薬組成物が、液体製剤として安定であると開示されている。また、抗酸化剤としては、前記した3種の化合物のみが有効であり、通常の抗酸化剤では効果が得られないと記載されている。
特許文献2には、a)ペメトレキセド又は薬学的に許容できるその塩;b)リポ酸、ジヒドロリポ酸、メチオニン及びそれらの混合物からなる群から選択される抗酸化剤;c)ラクトビオン酸、三塩基性クエン酸ナトリウム、及びそれらの混合物からなる群から選択されるキレート化剤;並びにd)薬学的に許容できる流動体を含み、特定のpHを呈する液体組成物が、長期保存安定性を有することが開示されている。
しかしながら、特許文献1の組成物は、高濃縮状態で摂氏4度にて保管することができると記載があるものの(特許文献1の[0003]参照)、具体的な保存試験の方法及び結果は開示されていない。
特許文献2の組成物は、約5℃から約25℃において保存した場合、少なくとも18か月の間不純物の発生を抑制して長期保存安定性を有するとされているが、さらなる長期安定性を有する液体組成物が求められている。
また、ペメトレキセドは水溶液中で着色が見られることがあることが知られている。
本発明の課題は、長期保存安定性に優れるペメトレキセド含有液体医薬組成物を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決する為に検討を重ねた結果、ペメトレキセドにシステインとキレート化剤を組み合わせることにより、類縁物質の生成が抑制され、更に、意外にも着色も抑制される場合があり、長期保存が可能になることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、(A)ペメトレキセド、その薬学的に許容できる塩、又はそれらの溶媒和物、(B)システイン、その薬学的に許容できる塩、又はそれらの溶媒和物、及び(C)キレート化剤を含有してなる液体医薬組成物に関する。
本発明のペメトレキセド含有液体医薬組成物は、長期間保存後に、類縁物質の増加が少ないという優れた効果を奏する。また、前記効果に加えて、着色が抑制されるという優れた効果を奏するものもある。
本発明の医薬組成物は、(A)ペメトレキセド、その薬学的に許容できる塩、又はそれらの溶媒和物、(B)システイン、その薬学的に許容できる塩、又はそれらの溶媒和物、及び(C)エデト酸ナトリウム又はその溶媒和物をはじめとするキレート化剤を含有し、液体であることを特徴とする。なお、本明細書において、「液体」とは、流動性のある液体を含み、一般的な液体又はわずかに粘性のある液体等を含む。
本発明の医薬組成物は、システイン、その薬学的に許容できる塩、又はそれらの溶媒和物とキレート化剤とを併用することにより、ペメトレキセドの液体での長期保存安定性に優れるという効果を奏するものである。その詳細な理由は不明なるも、システインの抗酸化作用及びキレート化剤による金属キレートの生成に起因するものと推察される。ただし、これらの推測は、本発明を限定するものではない。
〔成分(A)〕
本発明で用いられるペメトレキセドは、N- {4-[2-(2-amino-4-oxo-4,7-dihydro-1H -pyrrolo[2,3-d ]pyrimidin-5-yl)ethyl]benzoyl}-L-glutamate、その薬学的に許容できる塩、又はそれらの溶媒和物であり、葉酸代謝酵素を阻害する活性を有する。
本発明で用いられるペメトレキセドは、N- {4-[2-(2-amino-4-oxo-4,7-dihydro-1H -pyrrolo[2,3-d ]pyrimidin-5-yl)ethyl]benzoyl}-L-glutamate、その薬学的に許容できる塩、又はそれらの溶媒和物であり、葉酸代謝酵素を阻害する活性を有する。
本明細書において、薬学的に許容できる塩としては、塩基性塩、酸性塩が挙げられる。塩基性塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、遷移金属塩、アンモニウム塩、脂肪族アミン塩、アラルキルアミン塩、ヘテロ環芳香族アミン塩、第4級アンモニウム塩、塩基性アミノ酸塩等が挙げられる。具体的には、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩、亜鉛塩、鉄塩、アンモニウム塩、トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、エチレンジアミン塩、メグルミン塩、プロカイン塩、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ピリジン塩、ピコリン塩、キノリン塩、イソキノリン塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリエチルアンモニウム塩、ベンジルトリブチルアンモニウム塩、メチルトリオクチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、アルギニン塩、リジン塩等が用いられる。酸性塩としては、無機酸塩、有機酸塩、スルホン酸塩、酸性アミノ酸塩等が挙げられる。具体的には、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、過塩素酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、マンデル酸塩、グルタル酸塩、リンゴ酸塩、安息香酸塩、フタル酸塩、アスコルビン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩等が用いられる。
また、溶媒和物とは、任意の数の有機溶媒分子を配位する有機溶媒和物及び任意の数の水分子を配位する水和物を包含する。本明細書における「溶媒和物」としては、例えば、前記ペメトレキセド又はその薬学的に許容できる塩の溶媒和物を意味し、例えば、1有機溶媒和物、2有機溶媒和物、1水和物、2水和物、2.5水和物、7水和物等が挙げられる。
なお、ペメトレキセド、その薬学的に許容できる塩、及びそれらの溶媒和物は、公知の方法に従って合成することができ、本発明では、例えば、ペメトレキセド二ナトリウム2.5水和物を好適に用いることができる。
本発明の液体医薬組成物における成分(A)の含有量(ペメトレキセドとしての含有量)は、好ましくは0.1mg/mL以上、より好ましくは1mg/mL以上、更に好ましくは10mg/mL以上であり、また、好ましくは100mg/mL以下、より好ましくは75mg/mL以下、更に好ましくは50mg/mL以下である。
〔成分(B)〕
本発明で用いられるシステインは、L−システイン、D−システイン、ラセミ体、それらの薬学的に許容できる塩、又はそれらの溶媒和物が挙げられる。好ましくは、L−システイン、その薬学的に許容できる塩、又はそれらの溶媒和物が挙げられ、より好ましくは、L−システイン塩酸塩又はその溶媒和物が挙げられる。本発明では、例えば、L−システイン塩酸塩水和物を好適に用いることができる。成分(B)におけるL−システイン塩酸塩又はその溶媒和物の含有量は、特に限定はされないが、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、更に好ましくは実質的に100重量%である。なお、L−システイン塩酸塩又はその溶媒和物の含有量とは、複数の化合物を含有する場合は合計含有量のことを意味する。
本発明で用いられるシステインは、L−システイン、D−システイン、ラセミ体、それらの薬学的に許容できる塩、又はそれらの溶媒和物が挙げられる。好ましくは、L−システイン、その薬学的に許容できる塩、又はそれらの溶媒和物が挙げられ、より好ましくは、L−システイン塩酸塩又はその溶媒和物が挙げられる。本発明では、例えば、L−システイン塩酸塩水和物を好適に用いることができる。成分(B)におけるL−システイン塩酸塩又はその溶媒和物の含有量は、特に限定はされないが、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、更に好ましくは実質的に100重量%である。なお、L−システイン塩酸塩又はその溶媒和物の含有量とは、複数の化合物を含有する場合は合計含有量のことを意味する。
本発明の液体医薬組成物における成分(B)の含有量(システインとしての含有量)は、好ましくは0.01mg/mL以上、より好ましくは0.05mg/mL以上、更に好ましくは0.1mg/mL以上であり、また、好ましくは100mg/mL以下、より好ましくは10mg/mL以下、更に好ましくは5mg/mL以下、より更に好ましくは1mg/mL以下である。なお、本明細書において、システインとしての含有量とは、例えば、L−システイン、その薬学的に許容できる塩、又はそれらの溶媒和物を用いる場合には、L−システインとしての含有量のことを意味する。
また、システインとしての量は、ペメトレキセドとしての100重量部に対して、好ましくは0.05重量部以上、より好ましくは0.5重量部以上、更に好ましくは0.1重量部以上である。また、ペメトレキセドとしての100重量部に対して、好ましくは100重量部以下、より好ましくは10重量部以下、更に好ましくは5重量部以下である。
〔成分(C)〕
本発明で用いられるキレート化剤としては、例えば、EDTA、NTA、DTPA、HEDTA、TTHA、PDTA、それらの金属塩、それらの溶媒和物などが挙げられる。好ましくは、エデト酸ナトリウム(以下、「EDTA−Na」と呼ぶこともある)又はその溶媒和物が挙げられる。本発明では、例えば、エデト酸ナトリウム水和物を好適に用いることができる。成分(C)におけるエデト酸ナトリウム又はその溶媒和物の含有量は、特に限定はされないが、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、更に好ましくは実質的に100重量%である。なお、エデト酸ナトリウム又はその溶媒和物の含有量とは、複数の化合物を含有する場合は合計含有量のことを意味する。
本発明で用いられるキレート化剤としては、例えば、EDTA、NTA、DTPA、HEDTA、TTHA、PDTA、それらの金属塩、それらの溶媒和物などが挙げられる。好ましくは、エデト酸ナトリウム(以下、「EDTA−Na」と呼ぶこともある)又はその溶媒和物が挙げられる。本発明では、例えば、エデト酸ナトリウム水和物を好適に用いることができる。成分(C)におけるエデト酸ナトリウム又はその溶媒和物の含有量は、特に限定はされないが、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、更に好ましくは実質的に100重量%である。なお、エデト酸ナトリウム又はその溶媒和物の含有量とは、複数の化合物を含有する場合は合計含有量のことを意味する。
本発明の液体医薬組成物における成分(C)の含有量(例えば、エデト酸ナトリウムとしての含有量)は、好ましくは0.01mg/mL以上、より好ましくは0.05mg/mL以上、更に好ましくは0.1mg/mL以上であり、また、好ましくは100mg/mL以下、より好ましくは10mg/mL以下、更に好ましくは1mg/mL以下、より更に好ましくは0.5mg/mL以下である。
また、成分(C)の含有量は、ペメトレキセドとしての100重量部に対して、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上、更に好ましくは0.5重量部以上である。また、ペメトレキセドとしての100重量部に対して、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下、更に好ましくは2重量部以下である。
システインとしての量とエデト酸ナトリウムとしての量の割合(システイン/エデト酸ナトリウム)は、20/1〜1/20が好ましく、10/1〜1/10がより好ましく、5/1〜1/5が更に好ましい。
本発明の液体医薬組成物は、前記成分(A)〜(C)のほかに、液剤などの調製に一般に使用される担体を含む。そのような担体には、例えば、精製水、注射用水、生理食塩水、無水エタノール、植物油、マクロゴール400、ポリソルベート20、ポリソルベート80、プロピレングリコール、乳酸、グリセリン、それらの混合物などが含まれる。
本発明の液体医薬組成物は、前記成分(A)〜(C)及び上記の担体を含有するが、本発明の効果を損なわない範囲内で、本発明の液体医薬組成物が液体の形態をとるべく、常法に従って、その他の原料を適宜選択し、一種又は二種以上を組み合わせて含有させることができる。その他の原料としては、例えば、増粘剤、糖類、界面活性剤、防腐剤、殺菌剤又は抗菌剤、pH調節剤、等張化剤、香料又は清涼化剤、システイン以外の抗酸化剤などを挙げることができる。これらの含有量は適宜設定することができる。
以下に本発明の液体医薬組成物に使用される代表的な成分を例示するが、これらに限定されない。具体的には、糖類としては、例えば、乳糖、精製白糖、マンニトール、ソルビトール、マルトースなどを挙げることができる。界面活性剤としては、マクロゴール400、ポリソルベート20、ポリソルベート80、プロピレングリコールなどを挙げることができる。pH調節剤としては、塩酸、水酸化ナトリウム、酒石酸、リン酸水素ナトリウム水和物、無水リン酸二水素ナトリウム、無水クエン酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酢酸、酢酸ナトリウム、グリシンなどを挙げることができる。等張化剤としては、塩化ナトリウム、ブドウ糖などを挙げることができる。
本発明の液体医薬組成物は、必要に応じて、生体に許容される範囲内の浸透圧比に調節する必要がある。例えば、生理食塩液に対して、通常0.8〜1.2程度、好ましくは0.9〜1.1程度である。浸透圧比の調節は、緩衝剤、pH調節剤、等張化剤、塩類などを用いて行うことができる。
また、本発明の液体医薬組成物は、好ましくはpH7.0〜10.0、より好ましくはpH7.5〜9.5、更に好ましくはpH8.0〜9.0である。
本発明の液体医薬組成物は、前記成分(A)〜(C)を含有するのであれば、その調製方法は特に限定されない。例えば、注射用水に、(A)ペメトレキセド、その薬学的に許容できる塩、又はそれらの溶媒和物、(B)システイン、その薬学的に許容できる塩、又はそれらの溶媒和物、及び(C)キレート化剤を均一に混合して溶解させ、所定の浸透圧及びpHに調整し、必要によりろ過滅菌処理し、容器に充填することにより調製できる。容器への充填の際には、不活性ガス(窒素、アルゴンなど)を用いて容器内を低酸素状態にすることもできる。
本発明の液体医薬組成物が充填される容器としては、特に限定されず、当該分野で通常用いられる容器を用いることができる。例えば、ガラス製、環状ポリオレフィンポリマー製及び環状ポリオレフィンコポリマー製バイアル;ガラス製アンプル;ポリエチレン製、ポリプロピレン製及び環状ポリオレフィン製バッグ;ポリプロピレン製、環状ポリオレフィンポリマー製及び環状ポリオレフィンコポリマー製シリンジ等が挙げられる。また、当該容器は、摺動性や気密性、安定性を高めるため等の目的に応じて、表面処理して用いることができる。このような表面処理には、例えば、フッ化処理、シリコーン処理等が挙げられる。
かくして、本発明の液体医薬組成物が得られる。
本発明の液体医薬組成物は、長期保存後にも類縁物質の生成が抑制されている。なお、本明細書において、類縁物質とはペメトレキセド中の不純物や分解などにより生じる物質であって、類縁物質の含有量は、後述の実施例に記載の方法に従って測定することができる。
また、本発明の液体医薬組成物は、保存は医薬品において一般的に用いられる保存条件下で行うことが好ましい。保存温度は、好ましくは40℃以下、より好ましくは25℃以下、更に好ましくは10℃以下であり、下限値は特に設定されないが、2℃以上が好ましい。
本発明の液体医薬組成物は、該組成物を循環血中に移行することができるのであればその使用方法は特に限定されない。例えば、静脈内、筋肉内、皮下、皮内などに投与し得、悪性胸膜中皮腫、非小細胞肺癌等の治療に好適に用いることができる。
本発明の液体医薬組成物の投与量は、その投与方法、使用目的及び当該組成物の投与対象である患者の年齢、体重、症状によって適宜設定され一定ではない。例えば、ヒトの成人の場合、ペメトレキセドの量が、1日に体表面積当たり、好ましくは500mg/m2以下となる量で本発明の液体医薬組成物を投与することが好ましい。投与は、所望の投与量範囲内において、1日内において単回で又は数回に分けて行ってもよく、その方法は瞬時投与及び持続投与のいずれであってもよい。投与期間も任意である。
本明細書中において本発明の液体医薬組成物の投与対象とは、好ましくは悪性胸膜中皮腫、非小細胞肺癌の治療を必要とするヒトであるが、ウシ、ウマ、ヤギ等の家畜動物、イヌ、ネコ、ウサギ等のペット動物、又は、マウス、ラット、モルモット、サル等の実験動物であってもよい。
本発明はまた、悪性胸膜中皮腫、非小細胞肺癌の治療を必要とする個体に、本発明の液体医薬組成物の治療有効量を投与することを含む、悪性胸膜中皮腫又は非小細胞肺癌の治療方法を提供する。なお、悪性胸膜中皮腫、非小細胞肺癌の治療を必要とする個体とは、前記した本発明の液体医薬組成物の投与対象と同様である。
また、本明細書中において治療有効量とは、本発明の液体医薬組成物を上記個体に投与した場合に、投与していない個体と比較して、悪性胸膜中皮腫又は非小細胞肺癌が縮小する量のことである。具体的な有効量としては、投与形態、投与方法、使用目的及び個体の年齢、体重、症状等によって適宜設定され一定ではない。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によってなんら限定されるものではない。なお、本実施例において、室温とは25℃のことである。
〔類縁物質の測定〕
類縁物質量は下記の条件で行った高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定する。
<HPLC条件>
検出器:紫外吸光光度計(測定波長250nm)
移動相A:pH3.5のギ酸アンモニウム溶液/アセトニトリル混合液(19/1)
移動相B:pH3.5のギ酸アンモニウム溶液/アセトニトリル混合液(7/3)
グラジエント条件:
注入後の時間(分) 移動相A(vol%) 移動相B(vol%)
0〜3 100 0
3〜45 100→0 0→100
45〜46 0→100 100→0
46〜55 100 0
カラム:内径4.6mm,長さ15cmのステンレス管に3.5μmのオクチルシリル化シリカゲルを充填する。
類縁物質量は下記の条件で行った高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定する。
<HPLC条件>
検出器:紫外吸光光度計(測定波長250nm)
移動相A:pH3.5のギ酸アンモニウム溶液/アセトニトリル混合液(19/1)
移動相B:pH3.5のギ酸アンモニウム溶液/アセトニトリル混合液(7/3)
グラジエント条件:
注入後の時間(分) 移動相A(vol%) 移動相B(vol%)
0〜3 100 0
3〜45 100→0 0→100
45〜46 0→100 100→0
46〜55 100 0
カラム:内径4.6mm,長さ15cmのステンレス管に3.5μmのオクチルシリル化シリカゲルを充填する。
実施例1及び比較例1〜4
先ず、表1の処方にしたがって、調製溶液1を14L調製した。
先ず、表1の処方にしたがって、調製溶液1を14L調製した。
上記の調製溶液1を4mLとって、フッ化コーティングされたガラスバイアルに封入し、比較例1とした。また、調製溶液1にL−システイン塩酸塩水和物及びエデト酸ナトリウム水和物を表2に示す量を配合した後、pH調節剤で8.5に調整し、フッ化コーティングされたガラスバイアルに封入し、比較例2〜4及び実施例1とした。なお、実施例1におけるL−システインとしての量とEDTA−Naとしての量の比(L−システイン/EDTA−Na)は1.36/1.70(=0.80)であった。
<類縁物質の総量>
比較例1〜4及び実施例1のバイアルを、5℃×12日及び60℃×12日の条件で保存後、類縁物質の総量を測定した。結果を表3に示す。5℃×12日保存は熱量換算で室温保存の初期値、60℃×12日保存は室温保存の20カ月に相当する。
比較例1〜4及び実施例1のバイアルを、5℃×12日及び60℃×12日の条件で保存後、類縁物質の総量を測定した。結果を表3に示す。5℃×12日保存は熱量換算で室温保存の初期値、60℃×12日保存は室温保存の20カ月に相当する。
表3より、比較例1〜4は、いずれも60℃×12日保存後の類縁物質濃度が、5℃×12日保存後の類縁物質濃度の2倍以上となっている。一方、実施例1は、60℃×12日保存後の類縁物質濃度が、5℃×12日保存後の類縁物質濃度の約1.4倍となっており、比較例に対して類縁物質の増加が抑制されていることがわかる。
<呈色試験>
比較例1〜4及び実施例1のバイアルを、5℃×12日及び60℃×12日の条件で保存後、目視で着色の有無を確認し、無色の場合を「−」、黄色に着色した場合を「+」と評価した。結果を表4に示す。
比較例1〜4及び実施例1のバイアルを、5℃×12日及び60℃×12日の条件で保存後、目視で着色の有無を確認し、無色の場合を「−」、黄色に着色した場合を「+」と評価した。結果を表4に示す。
表4より、比較例1及び2は、60℃×12日保存後に黄色に着色した。また、比較例4は、60℃×12日保存後に濃黄色に着色した。一方、比較例3及び実施例1は、60℃×12日保存後にもほとんど着色しなかった。
実施例2〜10
表5に示す原料を用いて、実施例1と同様にして、液体組成物を調製した。調製後の溶液のpHは表5に示す通りである。得られた溶液を、SiO2ガラス薄膜でコーティングされたガラスバイアル(不二硝子社製)に封入した。なお、対比のために、比較例2の溶液も調製した。
表5に示す原料を用いて、実施例1と同様にして、液体組成物を調製した。調製後の溶液のpHは表5に示す通りである。得られた溶液を、SiO2ガラス薄膜でコーティングされたガラスバイアル(不二硝子社製)に封入した。なお、対比のために、比較例2の溶液も調製した。
<類縁物質の総量>
得られたサンプルを、60℃×12日及び60℃×21日の条件で保存後、類縁物質の総量を測定した。結果を表5に示す。60℃×21日保存は室温保存の36カ月に相当する。なお、調製直後の各サンプルにおける類縁物質の総量も併せて測定した。
得られたサンプルを、60℃×12日及び60℃×21日の条件で保存後、類縁物質の総量を測定した。結果を表5に示す。60℃×21日保存は室温保存の36カ月に相当する。なお、調製直後の各サンプルにおける類縁物質の総量も併せて測定した。
<呈色試験>
得られたサンプルを、5℃×21日及び60℃×21日の条件で保存後、目視で着色の有無を確認し、無色の場合を「−」、黄色に着色した場合を「+」と評価した。結果を表5に示す。
得られたサンプルを、5℃×21日及び60℃×21日の条件で保存後、目視で着色の有無を確認し、無色の場合を「−」、黄色に着色した場合を「+」と評価した。結果を表5に示す。
表5より、L−システインとエデト酸ナトリウム水和物等の濃度を振って実験した結果、実施例の組成物は、L−システイン、L−システイン塩酸塩水和物、及びエデト酸ナトリウム水和物の添加濃度が異なっても、それらを含まない比較例2に比して類縁物質濃度の増加抑制効果が認められた。
実施例11
表6に示す量のL−ステイン塩酸塩水和物及びエデト酸ナトリウム水和物を注射用液30mLに溶解させ、pH調節剤でpHを8.5に調整した。その後、得られた溶液に表6に示す量のペメトレキセド二ナトリウム2.5水和物を加え、再度pH調節剤でpHを8.5に調整した後、注射用水で50mLにメスアップした。調製溶液をSiO2ガラス薄膜でコーティングされたガラスバイアル(不二硝子社製)に封入した。
表6に示す量のL−ステイン塩酸塩水和物及びエデト酸ナトリウム水和物を注射用液30mLに溶解させ、pH調節剤でpHを8.5に調整した。その後、得られた溶液に表6に示す量のペメトレキセド二ナトリウム2.5水和物を加え、再度pH調節剤でpHを8.5に調整した後、注射用水で50mLにメスアップした。調製溶液をSiO2ガラス薄膜でコーティングされたガラスバイアル(不二硝子社製)に封入した。
比較例5
エデト酸ナトリウム水和物を含まないこと以外は実施例11と同様にして調製した。
エデト酸ナトリウム水和物を含まないこと以外は実施例11と同様にして調製した。
<呈色試験>
得られたサンプルを、60℃×13日及び60℃×21日の条件で保存後、目視で着色の有無を確認し、無色の場合を「−」、黄色に着色した場合を「+」と評価した。結果を表6に示す。
得られたサンプルを、60℃×13日及び60℃×21日の条件で保存後、目視で着色の有無を確認し、無色の場合を「−」、黄色に着色した場合を「+」と評価した。結果を表6に示す。
表6より、実施例11及び比較例5は、60℃×21日保存後においても無色澄明であった。
<類縁物質の総量>
実施例11及び比較例5のサンプルを、5℃×13日、60℃×13日及び60℃×21日の条件で保存後、類縁物質の総量を測定した。結果を表7に示す。
実施例11及び比較例5のサンプルを、5℃×13日、60℃×13日及び60℃×21日の条件で保存後、類縁物質の総量を測定した。結果を表7に示す。
表7より、60℃×21日保存後、比較例5の類縁物質濃度は実施例11の不純物濃度の約1.4倍まで増加した。
本発明により、類縁物質の増加が抑制され、更には着色も抑制された、室温下で長期保存可能なペメトレキセド溶液組成物を提供することが明らかになった。
本発明のペメトレキセド含有液体医薬組成物は、長期間保存後でも類縁物質の増加が抑制され、更には着色の抑制も見られることから、例えば、悪性胸膜中皮腫、非小細胞肺癌等の治療などに好適に用いられる。
Claims (7)
- (A)ペメトレキセド、その薬学的に許容できる塩、又はそれらの溶媒和物、(B)システイン、その薬学的に許容できる塩、又はそれらの溶媒和物、及び(C)キレート化剤を含有してなる液体医薬組成物。
- 成分(A)の含有量がペメトレキセドとして0.1〜100mg/mLである、請求項1記載の組成物。
- 成分(B)の含有量が、ペメトレキセド100重量部に対して、システインとして0.05〜100重量部である、請求項1又は2記載の組成物。
- 成分(C)の含有量が、ペメトレキセド100重量部に対して、0.01〜10重量部である、請求項1〜3いずれか1項に記載の組成物。
- 成分(B)がL−システイン、その薬学的に許容できる塩、又はそれらの溶媒和物を含む、請求項1〜4いずれか1項に記載の組成物。
- 成分(C)がエデト酸ナトリウム又はその水和物を含む、請求項1〜5いずれか1項に記載の組成物。
- 成分(B)がL−システイン塩酸塩又はその水和物を含む、請求項1〜6いずれか1項に記載の組成物。
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