JP6704669B1 - 加工部耐食性に優れた溶融Al−Zn系合金めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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【課題】高い加工度で曲げ加工された場合でも優れた加工部耐食性が得られる溶融Al−Zn系合金めっき鋼板およびその製造方法を提供する。【解決手段】鋼板表面にAl:40〜70mass%、Si:0.6〜15mass%を含有し、残部がZnおよび不可避的不純物からなるめっき層を有し、特定の定義によるめっき層の伸びが15.0%以上である溶融Al−Zn系合金めっき鋼板であり、このめっき鋼板は、溶融めっき後の冷却過程において、めっき浴を出てから450℃までの温度域での平均冷却速度を12℃/s以上とした上で、所定の条件で加熱処理を行うことにより得ることができる。【選択図】図1

Description

この発明は、Zn−55%Alめっき鋼板に代表される溶融Al−Zn系合金めっき鋼板とその製造方法に関するものである。
Zn−55%Alめっき鋼板に代表される溶融Al−Zn系合金めっき鋼板は、耐食性に優れているが、めっき層が純亜鉛めっき層などに比較して硬質であるため、めっき鋼板が曲げ加工を受けた場合、その加工部のめっき層にクラックが入りやすいという欠点がある。このように加工時の耐クラック性が悪いと、加工部の耐食性が劣化するという問題を生じる。この曲げ加工部の耐食性の劣化は、めっき鋼板、化成処理しためっき鋼板、めっき鋼板を下地にした塗装鋼板のいずれについても生じるため、大きな問題となっている。
このような問題を解決するための技術として、特許文献1〜3には、めっき鋼板に熱処理を施し、加工性を改善する技術が開示されている。
特開2002−322573号公報 特開2003−213395号公報 特開2006−70326号公報
特許文献1〜3に示される技術を適用することにより、めっき鋼板の加工性を改善することができるが、その効果は必ずしも十分なものとは言えず、めっき層が軟質である純亜鉛めっき鋼板などに比較すると、めっき鋼板の加工度によっては依然としてクラックが発生し、十分な加工部耐食性が得られない場合がある。
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、高い加工度で曲げ加工された場合でも優れた加工部耐食性が得られる溶融Al−Zn系合金めっき鋼板を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、そのような加工部耐食性に優れた溶融Al−Zn系合金めっき鋼板を安定して製造することができる製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために検討を重ねた結果、めっき層の伸び率を所定値以上とし、さらに好ましくは、めっき層のAlデンドライト部の硬度を所定値以下に抑えることにより、高い加工度で曲げ加工された場合でもクラックの発生が抑えられ、優れた加工部耐食性が得られることを見出した。また、このような加工部耐食性に優れためっき鋼板を得るには、めっき層が凝固しためっき鋼板を加熱処理する製法において、めっき直後の所定温度域での平均冷却速度を高めることが重要であることが判った。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、以下を要旨とするものである。
[1]鋼板表面にAl:40〜70mass%、Si:0.6〜15mass%を含有し、残部がZnおよび不可避的不純物からなるめっき層を有し、
下記により定義されるめっき層の伸びが15.0%以上であることを特徴とする加工部耐食性に優れた溶融Al−Zn系合金めっき鋼板。
伸び: 曲げ試験において、試験片を内側間隔nt(但し、t:めっき鋼板の板厚、n:小数部を含み得る数値)で180°曲げ加工した際に、下式で規定されるEl(%)を曲げ加工部の外側表面の伸びとした場合、試験片の曲げ加工部の外側表面を10倍ルーペで観察した時にクラックが認められない最小のn値のときの伸びEl(%)。
El(%)=(πt(n+2)-πt(n+1))/(π(n+1))*100
=1/(n+1)*100
[2]上記[1]の溶融Al−Zn系合金めっき鋼板において、めっき層のAlデンドライト部の硬度が150Hv以下であることを特徴とする加工部耐食性に優れた溶融Al−Zn系合金めっき鋼板。
[3]上記[1]または[2]の溶融Al−Zn系合金めっき鋼板において、めっき層の厚さが10〜30μmであることを特徴とする加工部耐食性に優れた溶融Al−Zn系合金めっき鋼板。
[4]鋼板をAl:40〜70mass%、Si:0.6〜15mass%を含有し、残部がZnおよび不可避的不純物からなるめっき浴で溶融めっきした後、めっき層が凝固しためっき鋼板を加熱処理する溶融Al−Zn系合金めっき鋼板の製造方法であって、
前記溶融めっき後のめっき鋼板の冷却過程では、めっき浴を出てから450℃までの温度域での平均冷却速度を12℃/s以上とし、
前記加熱処理では、めっき鋼板を100〜300℃の温度域の温度T(℃)まで加熱した後、この温度T(℃)から80℃までを下記(1)式で規定される冷却速度C(℃/hr)以下の平均冷却速度(℃/hr)で冷却することを特徴とする加工部耐食性に優れた溶融Al−Zn系合金めっき鋼板の製造方法。
C=(T−80)/10 …(1)
[5]上記[4]の製造方法において、めっき浴温が600℃以下であることを特徴とする加工部耐食性に優れた溶融Al−Zn系合金めっき鋼板の製造方法。
[6]上記[4]または[5]の製造方法において、めっき浴への鋼板の進入板温がめっき浴温+20℃以下であることを特徴とする加工部耐食性に優れた溶融Al−Zn系合金めっき鋼板の製造方法。
[7]上記[4]〜[6]のいずれかの製造方法において、めっき浴中のFe濃度が0.5mass%以下であることを特徴とする加工部耐食性に優れた溶融Al−Zn系合金めっき鋼板の製造方法。
[8]上記[1]〜[3]のいずれかの溶融Al−Zn系合金めっき鋼板の表面に化成処理皮膜を有することを特徴とする加工部耐食性に優れた化成処理鋼板。
[9]上記[1]〜[3]のいずれかの溶融Al−Zn系合金めっき鋼板の表面に化成処理皮膜を有し、その上層に単層または複層の塗膜を有することを特徴とする加工部耐食性に優れた塗装鋼板。
[10]上記[4]〜[7]のいずれかの製造方法で得られた溶融Al−Zn系合金めっき鋼板の表面に化成処理皮膜を形成することを特徴とする加工部耐食性に優れた化成処理鋼板の製造方法。
[11]上記[4]〜[7]のいずれかの製造方法で得られた溶融Al−Zn系合金めっき鋼板の表面に化成処理皮膜を形成し、次いでその上層に単層または複層の塗膜を形成することを特徴とする加工部耐食性に優れた塗装鋼板の製造方法。
本発明の溶融Al−Zn系合金めっき鋼板は、高い加工度で曲げ加工された場合でも曲げ加工部でのクラックの発生が抑えられ、優れた加工部耐食性が得られる。
また、本発明の製造方法によれば、そのような加工部耐食性に優れた溶融Al−Zn系合金めっき鋼板を安定して製造することができる。
曲げ試験による曲げ加工部の外側表面の伸びの求め方を示す説明図 実施例において行った日本自動車規格の複合サイクル試験(JASO−CCT)の工程を示す説明図
本発明の溶融Al−Zn系合金めっき鋼板は、鋼板表面にAl:40〜70mass%、Si:0.6〜15mass%を含有し、残部がZnおよび不可避的不純物からなるめっき層を有する。
めっき層中のAl含有量が40mass%未満では、Alによる耐食性の向上効果が十分に得られない。一方、Al含有量が70mass%を超えるとZnが不足するため、Znによる犠牲防食能が低下する。
また、めっき層中のSi含有量が0.6mass%未満では、Si添加による界面合金層の生成抑制効果が十分に得られないため、加工性が劣化する。一方、Si含有量が15mass%を超えた場合も耐食性が劣化する。
また、めっき層は、さらに、溶融Al−Zn系合金めっきにおける腐食生成物の安定元素として知られている、Cr、Ni、Co、Mn、Ca、V、Ti、B、Mo、Sn、Zr、Sr、Li、Agなどの中から選ばれる1種以上を、各元素1mass%未満の含有量で含むことができる。これら元素の各含有量が1mass%未満であれば、本発明の効果を阻害せず且つ腐食生成物安定効果によりさらなる耐食性向上が期待できる。
なお、めっき層には、めっき処理中にめっき浴と下地鋼板との反応によってめっき層中に取り込まれる下地鋼板成分や、めっき浴中の不可避的不純物(めっき浴中に溶けた下地鋼板成分や、めっき浴を建浴する際に使用するインゴット中に含有されている不可避的不純物など)が含まれる。めっき処理中に下地鋼板成分がめっき層中に取り込まれることにより、めっき層中にFeが数mass%程度含まれることがある。めっき浴中の不可避的不純物の種類は、例えば、下地鋼板成分としては、Fe、Mn、P、S、C、Nb、Ti、Bなどが挙げられる。また、インゴット中の不純物としては、Fe、Pb、Sb、Cd、As、Ga、Vなどが挙げられる。なお、めっき層中のFeについては、下地鋼板から取り込まれるものと、めっき浴中にあるものとを区別して定量することはできない。めっき層中の不可避的不純物の総含有量は特に限定はしないが、耐食性とめっきの均一な溶解性を維持するという観点から、Feを除いた不可避的不純物量が合計で1質量%以下であることが好ましい。
本発明の溶融Al−Zn系合金めっき鋼板が有するめっき層は、曲げ加工部の耐食性を確保するため、下記により定義される伸びが15.0%以上であることを条件とする。また、この伸びは20.0%以上であることがより好ましい。
ここで、めっき層の「伸び」とは、図1に示すように、曲げ試験において、試験片を内側間隔nt(但し、t:めっき鋼板の板厚、n:小数部を含み得る数値)で180°曲げ加工した際に、下式で規定されるEl(%)を曲げ加工部の外側表面(外側のめっき層)の伸びとした場合、試験片の曲げ加工部の外側表面を10倍ルーペで観察した時にクラックが認められない最小のn値のときの伸びEl(%)である。
El(%)=(πt(n+2)-πt(n+1))/(π(n+1))*100
=1/(n+1)*100
このめっき層の伸びが15.0%以上であることにより、曲げ加工部の高い耐食性を得ることができる。また、伸びが20.0%以上であれば、曲げ加工部のより高い耐食性が期待できる。
さらに、本発明の溶融Al−Zn系合金めっき鋼板が有するめっき層は、Alデンドライト部の硬度が150Hv以下であることが好ましい。Alデンドライト部の硬度が150Hv以下であることにより、めっき層の伸びが向上して加工性が向上する。また、この観点から、Alデンドライト部の硬度は130Hv以下であることがより好ましい。
めっき層の断面観察により、Alデンドライトは容易に判別できる。微細な測定用圧子を用いた荷重5gf程度のマイクロビッカース測定により、Alデンドライトのみの硬度が測定可能である。本発明では、同一サンプルについて、無作為に選択された5個のAlデンドライトの硬度を測定し、それらの平均値をAlデンドライト部の硬度とする。
めっき層の厚さは10〜30μmであることが好ましい。めっき層の厚さが10μm未満では耐食性が低下するおそれがあり、一方、30μmを超えると加工性の低下に伴い加工後耐食性が低下するおそれがある。本発明では、同一サンプルについて、無作為に選択された5箇所のめっき層の厚さを測定し、それらの平均値をめっき層の厚さとする。
次に、本発明の溶融Al−Zn系合金めっき鋼板の製造方法について説明する。
本発明の溶融Al−Zn系合金めっき鋼板の製造方法では、鋼板をAl:40〜70mass%、Si:0.6〜15mass%を含有し、残部がZnおよび不可避的不純物からなるめっき浴で溶融めっきした後、めっき層が凝固しためっき鋼板を所定の条件で加熱処理する。
ここで、めっき浴の組成の限定理由については、さきに説明しためっき層の組成の限定理由と同様である。
溶融Al−Zn系合金めっき鋼板(例えば、Zn−55%Alめっき鋼板)を熱処理し、めっき層を軟質化して加工性を改善する技術では、100〜300℃程度の比較的低い温度域での熱処理が行われる。本発明者らは、この技術による効果を格段に高めることができる条件を見出すべく詳細に調査・検討を行った結果、この技術の効果は、めっき後の冷却速度、より詳細には初晶Alが凝固しはじめてから完全に凝固するまでの浴温〜450℃の温度域での冷却速度に大きく影響されることが判明した。
この理由としては、以下のようなことが考えられる。熱処理によるめっき層の軟質化は、Zn過飽和のAl初晶から熱処理によりZnがAl初晶内に晶出することによって起こる。この場合、めっき後の冷却速度が遅いと、Al初晶から冷却中にある程度Znが晶出してしまうので、熱処理前のAl初晶の過飽和度が低くなり、その後に施される熱処理による効果が小さくなる。
めっき後の冷却過程でのAl初晶からのZnの晶出でも若干めっき層は軟質化するが、曲げ加工性を格段に改善するまでの効果は得られない。加工性を改善するためには、100〜300℃の温度域での熱処理が有効であり、この温度域でAl初晶から効率的にZnを晶出させるために、めっき浴を出てから450℃までの温度域での急冷によりAl初晶中のZnの過飽和度を高めることが重要となる。
また、めっき後の冷却速度が遅い場合、めっきが凝固するまでの高温に滞留する時間が長くなるため、めっきと下地鋼板の界面に生成する界面合金層の厚みが厚くなり、加工性が劣化する。
さらに、めっき後の冷却速度が遅い場合、デンドライトの密度が粗になるため、耐食性が劣化する。この理由は、鋼板の表面からインターデンドライトが腐食していった場合、デンドライトの密度が粗であると鋼板までの腐食経路が短くなり、鋼板の腐食が短時間で開始することになるためである。
以上のような知見に基づき、本発明の製造方法では、溶融めっき後のめっき鋼板の冷却過程において、めっき浴を出てから450℃までの温度域での平均冷却速度を12℃/s以上とする。また、この冷却速度は30℃/s以上が望ましく、50℃/s以上がさらに望ましい。
めっき後の平均冷却速度を12℃/s以上に制御するために、例えば、めっき鋼板に空気や窒素を吹き付ける気体冷却、或いはミストを吹き付けるミスト冷却を行うとともに、それらによる冷却条件を適宜制御する。
めっき浴を出た直後の鋼板温度はめっき浴温と同等であると考えられることから、鋼板がめっき浴を出てから鋼板温度が450℃になるまでの時間を求め、[めっき浴温−450℃]の値をこの時間で除することにより、上記平均冷却速度を求めることができる。
なお、めっき浴を出てから450℃までの温度域での平均冷却速度の上限は特にないが、一般に設備や冷却媒体の冷却能の制約などから実質的な上限は100℃/s程度である。
上記のような冷却条件で冷却され、めっき層が凝固しためっき鋼板を、以下のような所定の条件で加熱処理することにより、この加熱処理による効果(めっき層の軟質化効果)を最大限に発揮させることができる。
すなわち、この加熱処理では、めっき鋼板を100〜300℃の温度域の温度T(℃)まで加熱した後、この温度T(℃)から80℃までを下記(1)式で規定される冷却速度C(℃/hr)以下の平均冷却速度(℃/hr)で冷却(徐冷)する。
C=(T−80)/10 …(1)
ここで、この(1)式は本発明者らがめっき層の加熱およびその後の冷却条件がめっき層に与える影響を実験に基づき詳細に検討し、その結果導かれた実験式である。
この加熱処理において、加熱温度Tが100℃未満では、加熱処理による効果を得ようとした場合の加熱時間が、工程上実施が困難なほど長時間となり、一方、加熱温度Tが300℃を超えると下地鋼板とめっき層間の界面合金層の生成が促進されるため、却って加工性が劣化し、加工部耐食性も低下する。
加熱温度Tから80℃までの平均冷却速度が、上記(1)式で規定される冷却速度C(℃/hr)を超えると十分な加工性が確保できない。
この平均冷却速度は、加熱温度Tから80℃になるまでの時間を求め、[加熱温度T−80℃]の値をこの時間で除することにより求めることができる。
加熱処理の方法は特に限定するものではないが、例えば、めっき鋼板をコイルに巻き取った後、オフラインにおいてバッチ式の加熱炉にて加熱処理する方法などが挙げられる。この場合、加熱温度Tおよび加熱温度Tから80℃までの平均冷却速度は、例えば、コイルに取り付けた熱電対で測定する。
以上のような製造条件とすることにより、めっき層の伸びが15.0%以上(好ましくは20.0%以上)の溶融Al-Zn系合金めっき鋼板を得ることができる。
また、このめっき層の伸びの向上は、Alデンドライト部の軟化により実現されるものであるため、上述した製造条件を最適化し、めっき層のAlデンドライト部の硬度をできるだけ小さくする(望ましくは150Hv以下とする)ことが好ましい。
本発明の製造方法では、下地鋼板とめっき層間の界面合金層の生成抑制およびスパングルサイズの抑制のために、めっき浴の浴温を600℃以下、めっき浴への鋼板の進入板温を[めっき浴温+20℃以下]とすることが好ましい。ここで、スパングルサイズを抑制する必要があるのは、スパングルサイズが大きいとAl初晶の中心部のZn濃度が低くなりすぎ、その後の加熱処理によってもZnが十分に晶出せず、十分にめっき層が軟化しないためである。
また、めっき浴中のFe濃度を低く抑えることでスパングルサイズを抑制することができ、上述した理由から本発明の効果が得られやすくなるので、めっき浴中のFe濃度を0.5maaa%以下とするのが好ましい。めっき浴中のFeは主に鋼板由来の不純物であるので、例えば、低浴温、低進入板温にして、めっき浴と鋼板との反応性を低下させることにより、めっき浴中のFeを低濃度に管理することができる。
本発明の溶融Al−Zn系めっき鋼板は、その表面に化成処理皮膜を形成して化成処理鋼板とすることができる。この化成処理皮膜は、例えば、めっき鋼板にクロメート処理液またはクロムフリー化成処理液を塗布し、水洗することなく、80〜300℃(鋼板温度)で乾燥処理を行うクロメート処理またはクロムフリー化成処理により形成することが可能である。これら化成処理皮膜は単層でも複層でもよく、複層の場合には複数の化成処理を順次行えばよい。
また、本発明の溶融Al−Zn系めっき鋼板は、その表面に化成処理皮膜を形成し、さらにその上層に単層または複層の塗膜を形成して塗装鋼板とすることができる。下地となる化成処理皮膜は、上述した通りである。複層の塗膜としては、例えば、主剤樹脂の成分が異なる下塗り塗膜と上塗り塗膜が形成される。塗膜の形成方法としては、ロールコーター塗装、カーテンフロー塗装、スプレー塗装などが挙げられる。有機樹脂を含有する塗料を塗装した後、熱風乾燥、赤外線加熱、誘導加熱などの手段により加熱乾燥して塗膜を形成することが可能である。
溶融Al−Zn系めっき浴を備えた連続式溶融めっき設備において、冷延鋼板(板厚0.8mm)を溶融めっきし、溶融Al−Zn系めっき鋼板を製造した。この製造工程において、めっき浴から出ためっき鋼板を、ガスワイピングによるめっき付着量調整後、空気吹き付けにより冷却し、この際に吹き付ける空気圧を調整することにより450℃までの平均冷却速度を制御した。めっき鋼板をコイルに巻き取り、このコイルをオフラインのバッチ加熱装置で加熱処理した。
このようにして製造された溶融Al−Zn系めっき鋼板に、防錆剤としてZrO、SiOおよびリン酸を含有するウレタン樹脂ベースの化成皮膜を実験室で施し、その後の試験に供した。なお、化成皮膜の付着量は1g/mとした。
また、上記化成皮膜を施した溶融Al−Zn系めっき鋼板のサンプルについて、実験室にてエポキシ樹脂系のプライマーを塗布し、乾燥させて厚さ5μmのプライマー層を形成し、次いで、メラミン硬化ポリエステル系の上塗り塗料を塗布し、乾燥させて厚さ15μmの上塗り塗膜を形成し、塗装鋼板のサンプルを製造した。
製造された溶融Al−Zn系めっき鋼板について、さきに述べた方法でめっき層の構成(めっき層の伸び、Alデンドライト部の硬度、厚さ)を測定するとともに、上記化成処理材と塗装材について、曲げ加工部耐食性を以下のように評価した。その結果を、溶融Al−Zn系めっき鋼板の製造条件とともに、表1に示す。
(1)化成処理材の曲げ加工部耐食性評価
化成処理材の各サンプルについて、同板厚の板を内側に3枚挟んで180°曲げの加工(3T曲げ)を施した後、曲げ加工部の外側表面に対して、日本自動車規格の複合サイクル試験(JASO−CCT)を実施した。JASO−CCTは、図2に示すように、特定の条件での塩水噴霧、乾燥及び湿潤を1サイクルとした試験である。
各サンプルの曲げ加工部について、赤錆が発生するまでのサイクル数を測定し、以下の基準に従って評価した。
◎:赤錆発生サイクル数≧400サイクル
○:300サイクル≦赤錆発生サイクル数<400サイクル
×:赤錆発生サイクル数<300サイクル
(2)塗装材の曲げ加工部耐食性評価
塗装材の各サンプルについて、同板厚の板を内側に3枚挟んで180°曲げの加工(3T曲げ)を施した後、曲げ加工部の外側表面に対して、上記(1)と同様の日本自動車規格の複合サイクル試験(JASO−CCT)を実施した。
各サンプルの曲げ加工部について、赤錆が発生するまでのサイクル数を測定し、以下の基準に従って評価した。
◎:赤錆発生サイクル数≧300サイクル
○:200サイクル≦赤錆発生サイクル数<300サイクル
×:赤錆発生サイクル数<200サイクル
Figure 0006704669

Claims (3)

  1. 鋼板をAl:40〜70mass%、Si:0.6〜15mass%を含有し、残部がZnおよび不可避的不純物からなり、且つFe濃度が0.5mass%以下であるめっき浴組成を有し、めっき浴温が600℃以下であるめっき浴において、めっき浴への鋼板の進入板温がめっき浴温+20℃以下となる条件で溶融めっきした後、めっき層が凝固しためっき鋼板を加熱処理する溶融Al−Zn系合金めっき鋼板の製造方法であって、
    前記溶融めっき後のめっき鋼板の冷却過程では、めっき浴を出てから450℃までの温度域での平均冷却速度を50℃/s以上とし、
    前記加熱処理では、めっき鋼板を150〜300℃の温度域の温度T(℃)まで加熱した後、この温度T(℃)から80℃までを下記(1)式で規定される冷却速度C(℃/hr)以下の平均冷却速度(℃/hr)で冷却することを特徴とする加工部耐食性に優れた溶融Al−Zn系合金めっき鋼板の製造方法。
    C=(T−80)/10 …(1)
  2. 請求項1の製造方法で得られた溶融Al−Zn系合金めっき鋼板の表面に化成処理皮膜を形成することを特徴とする加工部耐食性に優れた化成処理鋼板の製造方法。
  3. 請求項1の製造方法で得られた溶融Al−Zn系合金めっき鋼板の表面に化成処理皮膜を形成し、次いでその上層に単層または複層の塗膜を形成することを特徴とする加工部耐食性に優れた塗装鋼板の製造方法。
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