JP6704368B2 - 絶縁監視装置、方法およびプログラム - Google Patents

絶縁監視装置、方法およびプログラム Download PDF

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本発明は、被測定電線路の絶縁監視を行う絶縁監視装置、方法およびプログラムに関する。
電気の利用は、便利な反面、適切な管理や使用を誤れば、大変危険な側面も併せ持っており、電気火災や感電事故等の重大な事故を引き起こす可能性も少なくない。
例えば、その重大事故の原因の一つとして、電路や機器の絶縁不良に深く関係しているのが漏洩電流Iである。ここで、漏洩電流Iには、対地静電容量に起因する漏洩電流と、絶縁抵抗に直接関与している対地絶縁抵抗に起因する漏洩電流とが含まれている。なお、対地静電容量に起因する漏洩電流は、「Ic」と称するが、「Igc」と称することもある。本実施例では、対地絶縁抵抗に起因する漏洩電流は、「Ic」と称する。また、対地絶縁抵抗に起因する漏洩電流は、「Ir」、「I0r」と称することもあるが、「Igr」と称することもある。本実施例では、対地絶縁抵抗に起因する漏洩電流は、「Ir」または「I0r」と称する。上述した電気火災等を引き起こす原因は、絶縁抵抗の存在である。よって、Irのみを正確に検出することができれば、回路の絶縁状態をチェックすることができ、漏電火災等の大惨事を避けることができる。
例えば、特許文献1では、被測定電線路Aの全体にクランプし、被測定電線路Aに流れている漏洩電流Iを検出するCTセンサ部と、被測定電線路Aの電圧を検出する電圧検出部と、漏洩電流Iと被測定電線路Aの電圧とに基づいて、位相パルス幅を測定する位相パルス幅測定部と、被測定電線路Aの電圧に基づいて、電源周波数を測定する電源周波数測定部と、位相パルス幅測定部で測定された位相パルス幅と、電源周波数測定部で測定された電源周波数から被測定電線路Aに流れる漏洩電流Iの位相角度を算出する位相角度算出部と、位相角度算出部で算出された漏洩電流Iの位相角度と、漏洩電流Iに基づいて、Irを算出する漏洩電流算出部と、Irが所定の値を超えたかどうかを判断する判断部と、判断部の判断に基づいて、被測定電線路を遮断する遮断部を備える漏洩電流遮断装置が開示されている。
特許第4159590号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている漏洩電流遮断装置は、3相をΔ結線し、3相のうち1相を接地する結線方式(いわゆる、Δ結線方式)のみを前提にしており、3相をY結線し、中性点を接地して接地線を引き出した3相4線式の結線方式(いわゆる、Y結線方式)などに適用できるものではない。
Y結線方式では、3相に対地電圧が発生しており、電線路の絶縁劣化による漏電電流はこの3相の電圧を考慮する必要がある。つまり、配電線の接地構成や電圧の発生箇所が異なるので、特許文献1に記載されている技術をY結線方式にそのまま適用できるものではない。
本発明では、Δ結線方式およびY結線方式の両方式に対応し、被測定電線路の絶縁監視を行うことができる絶縁監視装置、方法およびプログラムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様における絶縁監視装置は、3相(R相、S相、T相)をY結線し中性点を接地して接地線を引き出した3相4線式の被測定電線路の絶縁状態を監視する第1監視部と、前記3相(R相、S相、T相)をΔ結線し、いずれかの相を接地して接地線を引き出した3相3線式の被測定電線路の絶縁状態を監視する第2監視部と、前記第1監視部による監視情報、または、前記第2監視部による監視情報を外部に通知する通知部とを備える。
また、本発明の一態様における絶縁監視方法は、第1監視部によって、3相(R相、S相、T相)をY結線し中性点を接地して接地線を引き出した3相4線式の被測定電線路の絶縁状態を監視する第1監視工程と、第2監視部によって、前記3相(R相、S相、T相)をΔ結線し、いずれかの相を接地して接地線を引き出した3相3線式の被測定電線路の絶縁状態を監視する第2監視工程と、通知部によって、前記第1監視部による監視情報、または、前記第2監視部による監視情報を外部に通知する通知工程とを備える。
また、本発明の一態様における絶縁監視プログラムは、3相(R相、S相、T相)をY結線し中性点を接地して接地線を引き出した3相4線式の被測定電線路の絶縁状態を監視する第1監視工程と、前記3相(R相、S相、T相)をΔ結線し、いずれかの相を接地して接地線を引き出した3相3線式の被測定電線路の絶縁状態を監視する第2監視工程と、前記第1監視工程による監視情報、または、前記第2監視工程による監視情報を外部に通知する通知工程と、をコンピュータによって実現するためのプログラムである。
本発明によれば、Δ結線方式およびY結線方式の両方式に対応し、被測定電線路の絶縁監視を行うことができる。
絶縁監視装置の構成を示す図である。 第1監視部の第1の構成を示す図である。 漏洩電流に含まれているIcについての説明に供する図である。 第1基準電圧に基づく位相差とIrの関係についての説明に供する図である。 第2基準電圧に基づく位相差とIrの関係についての説明に供する図である。 第3基準電圧に基づく位相差とIrの関係についての説明に供する図である。 各相抵抗成分漏洩電流算出部により各相のIrを算出する手順についての説明に供する図である。 各相抵抗成分漏洩電流算出部の動作についての説明に供する図である。 第1監視部の第2の構成を示す図である。 第1位相差検出部で検出された位相差θがπ/6≦θ≦5π/6のときの第1抵抗分漏洩電流算出部で算出されるIrについての説明に供する図である。 第1位相差検出部で検出された位相差θが5π/6≦θ≦3π/2のときの第1抵抗分漏洩電流算出部で算出されるIrについての説明に供する図である。 第1位相差検出部で検出された位相差θが3π/2≦θ≦13π/6のときの第1抵抗分漏洩電流算出部で算出されるIrについての説明に供する図である。 クランプ部の構成についての説明に供する図である。 第2監視部の構成を示す図である。 本発明にかかるΔ結線方式についての説明に供する図である。 T相の1相地絡の場合における漏洩電流とIrとの関係についての説明に供する図である。 R相の1相地絡の場合における漏洩電流とIrとの関係についての説明に供する図である。 rを算出する演算式の導出についての説明に供する第1の図である。 rを算出する演算式の導出についての説明に供する第2の図である。 絶縁監視装置の動作についての説明に供するフローチャートである。
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
絶縁監視装置1は、3相をΔ結線し、3相のうち1相を接地する3相3線式の結線方式(いわゆる、Δ結線方式)と、3相をY結線し、中性点を接地して接地線を引き出した3相4線式の結線方式(いわゆる、Y結線方式)の双方に対応し、被測定電線路の絶縁監視を行う装置である。特に、絶縁監視装置1は、検出のために電路及び機械設備等を停電状態にすることなく、かつ、被測定電線路に接続されている機器の機能を破壊することなく、外部から簡単かつ安全に絶縁の良否に直接関係する対地絶縁抵抗に起因する抵抗成分漏洩電流(以下、「Ir」という。)を正確に検出し、Irが所定の値を超えていることを外部に通知する機能を有している。
以下に、絶縁監視装置1の具体的な構成について説明する。絶縁監視装置1は、図1に示すように、第1監視部10と、第2監視部20と、通知部31とを備える。
第1監視部10は、3相(R相、S相、T相)をY結線し中性点を接地して接地線を引き出した3相4線式の被測定電線路の絶縁状態を監視する。
第2監視部20は、3相(R相、S相、T相)をΔ結線し、いずれかの相を接地して接地線を引き出した3相3線式の被測定電線路の絶縁状態を監視する。
通知部31は、第1監視部10による監視情報、または、第2監視部20による監視情報を外部に通知する。例えば、通知部31は、Irを含む絶縁情報をディスプレイに出力する。
監視情報には、漏洩電流Iや、漏洩電流Iに含まれているIrや、位相差(位相角度)や、基準電圧や、絶縁抵抗値(Gr)や、温度などが含まれている。また、監視情報には、対地静電容量に起因する静電容量成分漏洩電流(以下、「Ic」という。)なども含まれてよい。Icは、被測定電線路の長さに応じて容量が増大するだけでなく、電気機器に使用されているインバータやノイズフィルター等に起因する高調波歪み電流によっても容量が増大する成分である。また、絶縁監視装置1は、所定時間間隔(例えば、250msec)で絶縁監視を行う。
漏洩電流Iは、IrとIcとの和(ベクトル和)である。Icは、被測定電線路の長さに応じて容量が増大するだけでなく、電気機器に使用されているインバータやノイズフィルター等に起因する高調波歪み電流によっても容量が増大する成分である。絶縁監視装置1は、電気火災等を引き起こす原因となるIrを漏洩電流Iから正確に算出することができる。
絶縁監視装置1は、図1に示すように、第1監視部10による監視情報に含まれているIr、または、第2監視部20による監視情報に含まれているIrが所定の値を超えているかどうかを判定する判定部32を備える。所定の値とは、例えば、10mAである。
通知部31は、判定部32によりIrが所定の値を超えていると判定された場合、Irが所定の値を超えていることを外部に通知する。
<通信部の構成と動作について>
通知部31は、シリアル通信(例えば、RS−485)用の端子やLAN接続用の端子を備えている。シリアル通信用の端子にシーケンサーが接続されており、Irが所定の値を超えている場合、シーケンサーのパトライト(登録商標)が点灯する。作業者は、パトライトの点灯により、Irが所定の値を超えていることを認識し、必要な手段を講ずることができる。
また、通信部31は、LAN接続端子を介して、ネットワークに接続されている端末装置(スマートフォンやパーソナルコンピュータなど)にデータを送信することができる。なお、端末装置には、絶縁監視装置1から送信されてきた監視情報を受信し、所定のフォームで表示可能なアプリケーションがインストールされているものとする。
通常時には、絶縁監視装置1は、定期的に通信部31を介して端末装置に監視情報を送信する。なお、端末装置のアプリケーションを操作して絶縁監視装置1にアクセスして、監視情報を取得するプル型の構成でもよい。
よって、端末装置の操作者は、絶縁監視装置1が設置されている場所(工場など)の電路および負荷機器の状態を常に把握することができる。
また、異常時(Irが所定の値を超えている時)には、絶縁監視装置1は、通信部31を介して端末装置にIrが所定の値を超えていることを示す情報を送信する。
例えば、地方の工場などで電気設備管理者が工場にいない場合(特に、深夜など)、ネットワークを介して遠隔地に配置されている端末装置の操作者がIrの異常値を認識し、必要な手段を講ずることができる。
さらに、絶縁監視装置1は、どの負荷にどのくらいの値のIrが発生しているのかを検知し、外部に通知することもできる。
また、判定部32は、第1監視部10による監視情報、または、第2監視部20による監視情報を経時的に収集し、例えば、Irが設定値を超えることを予測する機能を有していてもよい。当該構成によれば、絶縁監視装置1は、実際にIrが設定値を超えていなくても、近い将来Irが設定値を超えるかもしれないことを予測でき、サービスの向上を図ることができる。
<第1監視部の第1の構成と動作について>
以下に、第1監視部10の第1の構成と動作について説明する。第1監視部10は、Y結線方式に対応し、図2に示すように、第1漏洩電流検出部11aと、第1電圧検出部12aと、第1位相差検出部13aと、第1抵抗成分漏洩電流算出部14aと、判断処理部15aとを備える。
第1漏洩電流検出部11aは、被測定電線路に流れている漏洩電流Iを検出する。具体的には、第1漏洩電流検出部11aは、クランプ部100を利用して被測定電線路をクランプし、被測定電線路に流れている漏洩電流を検出する。なお、クランプ部100は、図2に実線で示すように、被測定電線路の3相を一括して挟み込む形態でもよいし、図2に点線で示すように、接地線Gのみを挟みこむ形態でもよい。また、クランプ部100は、被測定電線路を構成する電線路を一本ずつ選択的に挟み込む構成であってもよい。
また、第1漏洩電流検出部11aは、検出した漏洩電流の実効値を算出する。第1漏洩電流検出部11aは、算出した漏洩電流の実効値を第1位相差検出部13aと第1抵抗成分漏洩電流算出部14aに出力する。
第1電圧検出部12aは、被測定電線路の3相すべてが接続されており、そのうちのいずれか2相の間に印加されている電圧を検出する。以下では、R相−T相間から検出した電圧を第1基準電圧VR−Tといい、T相−S相間から検出した電圧を第2基準電圧VT−Sといい、S相−R相間から検出した電圧を第3基準電圧VS−Rという。また、厳密には、第1電圧検出部12aは、検出した電圧の実効値を第1位相差検出部13aに出力する。
第1位相差検出部13aは、第1漏洩電流検出部11aにより検出された漏洩電流の実効値と第1電圧検出部12aにより検出された電圧(例えば、第1基準電圧VR−T)の実効値とに基づいて、位相差θを検出する。具体的には、第1位相差検出部13aは、第1基準電圧VR−Tの零クロスする点と漏洩電流の零クロスする点とに基づいて、第1基準電圧VR−Tと漏洩電流の位相差θを検出する。
第1抵抗成分漏洩電流算出部14aは、第1位相差検出部13aにより検出された位相差θと、第1漏洩電流検出部11aにより検出された漏洩電流の実効値とに基づいて、被測定電線路に流れている漏洩電流に含まれているIrを算出する。
具体的には、第1抵抗成分漏洩電流算出部14aは、第1位相差検出部13aにより検出された位相差θと、第1漏洩電流検出部11aにより検出された漏洩電流の実効値(I)とに基づいて、被測定電線路に流れている漏洩電流に含まれているIrを(1)式により算出する。なお、(1)式の導出方法については、後述する。
r=I×sinθ/cos(π/3) ・・・(1)
判定部32は、第1抵抗成分漏洩電流算出部14aにより算出されたIrが所定の値を超えているかどうかを判定する。
<Icについての考察>
ここで、漏洩電流に含まれているIcについて図3を用いて考察する。なお、以下では、R相に発生しているIcをIc(r)といい、T相に発生しているIcをIc(t)といい、S相に発生しているIcをIc(s)という。また、Ic(r)、Ic(t)およびIc(s)は、平衡しているものとする。
図3に示すように、Ic(r)は、R相からπ/2進んだところに発生し、Ic(t)は、T相からπ/2進んだところに発生する。よって、Ic(r)とIc(t)とを合成したベクトルIc(rt)は、X軸上に示すことができる。また、Ic(s)は、S相からπ/2進んだところ(X軸上)に発生する。よって、3相すべての静電容量を合成した成分Ic(rts)は、ベクトルIc(rt)とIc(s)とによりキャンセルされる。つまり、3相の対地静電容量であるIc(r)、Ic(t)およびIc(s)が平衡しているときには、各相の対地静電容量は考慮しなくてよいようになる。これにより、被測定電線路での対地静電容量をキャンセルでき、またフィルタ効果により高調波やノイズの影響を受けない抵抗分漏洩電流Irを高精度に検出することができる。
<判断処理部の動作について>
判断処理部15aは、第1位相差検出部13aにより検出された位相差が所定の範囲内であるかどうかを判断し、位相差が所定の範囲内ではないと判断した場合、第1位相差検出部13aにより検出された位相差を第1電圧検出部12aに送信する。第1電圧検出部12aは、判断処理部15aから送信されてきた位相差に基づいて、被測定電線路における電圧を検出する相を切り替え、切り替えた後の2相の間に印加されている電圧を検出する。
具体的には、判断処理部15aは、第1位相差検出部13aにより検出された位相差θが所定の範囲である、π/6≦θ≦5π/6、に含まれているかどうかを判断し、当該範囲に含まれていない場合には、位相差θを第1電圧検出部12aに送信する。
第1電圧検出部12aは、被測定電線路のR相とT相の間に印加されている電圧(第1基準電圧VR−T)を検出している状態において、位相差θが、5π/6≦θ≦3π/2、に含まれている場合には、T相とS相の間に印加されている電圧(第2基準電圧VT−S)を検出するように切り替える。
また、第1電圧検出部12aは、被測定電線路のR相とT相の間に印加されている電圧(第1基準電圧VR−T)を検出している状態において、位相差θが、3π/2≦θ≦13π/6、に含まれている場合には、S相とR相の間に印加されている電圧(第3基準電圧VS−R)を検出するように切り替える。
このようにして、第1監視部10は、移動原点方式を採用することにより、位相差θがどの範囲でも(1)式によりIrを算出することができ、Y結線方式において、Irを正確に検出することができる。
<移動原点方式の説明>
ここで、移動原点方式について説明する。なお、以下では、3相の対地静電容量であるIc(r)、Ic(t)およびIc(s)が平衡しているものとし、3相各相の対地静電容量は考慮しない。
図4は、第1基準電圧VR−Tに基づいて、第1位相差検出部13aで検出された位相差θがπ/6≦θ≦5π/6の範囲内の場合において、第1抵抗成分漏洩電流算出部14aにより算出されるIrの説明図である。なお、図4では、R相及びT相の双方に漏電が発生した場合を示している。
R相及びT相の双方に漏電が発生した場合には、R相の抵抗成分漏洩電流Ir(r)とT相の抵抗成分漏洩電流Ir(t)とが発生する。
また、漏電電流Iは、3相各相の対地静電容量は考慮しないので、R相電圧VRと同相の抵抗成分漏洩電流Ir(r)と、T相電圧VTと同相のT相の抵抗成分漏洩電流Ir(t)とのベクトル和となることから、第1基準電圧VR−Tを基準(θ=0)としたとき、漏電電流Iは、π/6≦θ≦5π/6の範囲に発生する。
また、第1基準電圧VR−Tを基準(θ=0)としたときに、漏電電流Iがπ/6≦θ≦5π/6の範囲に発生したときには、Irは、R相のみ、T相のみ、またはR相とT相の双方に発生したと判断できる。なお、R相のみに漏電が発生したときはθ=π/6であり、T相のみに漏電が発生したときはθ=5π/6である。R相及びT相の双方に漏電が発生したときはπ/6<θ<5π/6の範囲である。
また、図4に基づけば、R相T相間に発生しているIr(Ir=Ir(r)+Ir(t))は、以下のように導き出せる。
a=I×sinθ ・・・(2)
b=Ir×cos(π/3) ・・・(3)
また、a=bである。
r=I×sinθ/cos(π/3) ・・・(4)
つぎに、位相差θが5π/6≦θ≦3π/2に含まれている場合には、第1電圧検出部12aは、基準電圧を検出する相を切り替えて、T相とS相の間に印加されている電圧(第2基準電圧VT−S)を検出する。
図5は、第2基準電圧VT−Sに基づいて、第1位相差検出部13aで検出された位相差θがπ/6≦θ≦5π/6の範囲内の場合において、第1抵抗成分漏洩電流算出部14aにより算出されるIrの説明図である。なお、図5では、T相及びS相の双方に漏電が発生した場合を示している。
T相及びS相の双方に漏電が発生した場合には、T相の抵抗成分漏洩電流Ir(t)とS相の抵抗成分漏洩電流Ir(s)とが発生する。
また、漏電電流Iは、3相各相の対地静電容量は考慮しないので、T相電圧VTと同相の抵抗成分漏洩電流Ir(t)と、S相電圧VSと同相のS相の抵抗成分漏洩電流Ir(s)のベクトル和となることから、第2基準電圧VT−Sを基準(θ=0)としたとき、漏電電流Iは、π/6≦θ≦5π/6の範囲に発生する。
また、第1基準電圧VR−Tを基準(θ=0)としたときに、漏電電流Iが5π/6≦θ≦3π/2の範囲に発生したときには、Irは、T相のみ、S相のみ、またはT相とS相の双方に発生したと判断できる。なお、T相のみに漏電が発生したときはθ=5π/6であり、S相のみに漏電が発生したときはθ=3π/2である。T相及びS相の双方に漏電が発生したときは、5π/6<θ<3π/2の範囲である。
また、図5に基づけば、T相S相間に発生しているIr(Ir=Ir(t)+Ir(s))は、以下のように導き出せる。
c=I×sinθ ・・・(5)
d=Ir×cos(π/3) ・・・(6)
また、c=dである。
r=I×sinθ/cos(π/3) ・・・(7)
つまり、(7)式は、(4)式と同一なので、位相差θが5π/6≦θ≦3π/2に含まれている場合でもIrの算出式を変更する必要がない。
つぎに、位相差θが3π/2≦θ≦13π/6に含まれている場合には、第1電圧検出部12aは、基準電圧を検出する相を切り替えて、S相とR相の間に印加されている電圧(第3基準電圧VS−R)を検出する。
図6は、第3基準電圧VS−Rに基づいて、第1位相差検出部13aで検出された位相差θがπ/6≦θ≦5π/6の範囲内の場合において、第1抵抗成分漏洩電流算出部14aにより算出されるIrの説明図である。なお、図6では、S相及びR相の双方に漏電が発生した場合を示している。
S相及びR相の双方に漏電が発生した場合には、S相の抵抗成分漏洩電流Ir(s)とR相の抵抗成分漏洩電流Ir(r)とが発生する。
また、漏電電流Iは、3相各相の対地静電容量は考慮しないので、S相電圧VSと同相の抵抗成分漏洩電流Ir(s)と、R相電圧VRと同相のR相の抵抗成分漏洩電流Ir(r)のベクトル和となることから、第3基準電圧VS−Rを基準(θ=0)としたとき、漏電電流Iは、π/6≦θ≦5π/6の範囲に発生する。
また、第1基準電圧VR−Tを基準(θ=0)としたときに、漏電電流Iが3π/2≦θ≦13π/6の範囲に発生したときには、Irは、S相のみ、R相のみ、またはS相とR相の双方に発生したと判断できる。なお、S相のみに漏電が発生したときはθ=3π/2であり、R相のみに漏電が発生したときはθ=13π/6(つまり、θ=π/6)である。S相及びR相の双方に漏電が発生したときは、3π/2<θ<13π/6の範囲である。
また、図6に基づけば、S相R相間に発生しているIr(Ir=Ir(s)+Ir(r))は、以下のように導き出せる。
e=I×sinθ ・・・(8)
f=Ir×cos(π/3) ・・・(9)
また、e=fである。
r=I×sinθ/cos(π/3) ・・・(10)
つまり、(10)式は、(4)式および(7)式と同一なので、位相差θが5π/6≦θ≦3π/2に含まれている場合でもIrの算出式を変更する必要がない。
よって、第1監視部10は、移動原点方式を採用することにより、位相差θがどの範囲でも(1)式によりIrを算出することができるので、位相差θの範囲に応じて、Irの算出式を変更する必要がないメリットがある。
また、基準電圧は、環境の変化(例えば、晴天から雨天に変化)により接地抵抗が変動すると、変化する。つまり、第1基準電圧VR−Tに基づいて、T相−S相間に生じたIrやS相−R相間に生じたIrを算出すると誤差が生じる。そこで、第1監視部10は、3相すべての電圧を第1電圧検出部12aに取り込み、位相差に基づいて、基準電圧を変更する移動原点方式を採用することにより、基準電圧のベクトルが変化しても、正確なIrを算出することができる。
<各相抵抗成分漏洩電流算出部の動作について>
また、第1監視部10は、図2に示すように、第1抵抗成分漏洩電流算出部14aにより算出された抵抗成分漏洩電流と、第1位相差検出部13aにより検出された位相差とに基づいて、第1電圧検出部12aにより電圧が検出されている各相それぞれの抵抗成分漏洩電流を算出する各相抵抗成分漏洩電流算出部16aを備える。
ここで、漏洩電流Iが10mAであり、位相差が90度の位置に生じている場合を一例として、図7を用いて説明する。なお、図7に示す例では、3相各相の対地静電容量はキャンセルされ、漏洩電流IがIrであるとする。
各相抵抗成分漏洩電流算出部16aは、R相の抵抗成分漏洩電流Ir(r)を10mAと算出し、T相の抵抗成分漏洩電流Ir(t)を10mAと算出する。
図8に実験データを示す。実験の諸条件は、以下のとおりである。
・試験日時:2017/2/24、13:00
・温湿度:23℃/39%
・試験場所:佐鳥電機芝別館4F実験室
・装置製造番号:STRI1FZ0007
・装置プログラムVer:1.10.00
・電源:デンケン製 MDAC−5A (2016/9/21校正、2017/9/20期限)
・使用トランス:ユニオン電機製 MCW−6−2040(Y200V→Y400V)
・基準電圧周波数:50Hz
・相電圧:200V
図8の実験番号1は、R相に70mAの漏洩電流が発生し、T相に10mAの漏洩電流が発生した場合における、漏洩電流Iと位相差θを計測し、(1)式に基づいてIrを算出したものである。実験番号2以降も同様にして、R相に発生する漏洩電流とT相に発生する漏洩電流を適宜変更して、実験を行った。
このような実験を複数回繰り返し、R相とT相に発生する漏洩電流の組み合わせを網羅したテーブルを作成する。
よって、各相抵抗成分漏洩電流算出部16aは、抵抗成分漏洩電流算出部14により算出されたIrと、位相差検出部13により検出された位相差θとに基づいて、テーブルを参照し、R相に発生しているIr(r)とT相に発生しているIr(t)を求めることができる。なお、図8に示す例では、R相とT相にIrが発生した場合を示しているが、実際には、T相に発生する漏洩電流とS相に発生する漏洩電流を適宜変更して、実験を行ってテーブルを作成し、また、S相に発生する漏洩電流とR相に発生する漏洩電流を適宜変更して、実験を行ってテーブルを作成する。
各相抵抗成分漏洩電流算出部16aは、第1基準電圧VR−Tのときには、R相とT相のテーブルを参照し、第2基準電圧VT−Sのときには、T相とS相のテーブルを参照し、第3基準電圧VS−Rのときには、S相とR相のテーブルを参照する。
また、各相抵抗成分漏洩電流算出部16aは、テーブルを参照する構成ではなく、漏洩電流Iと位相差θとIrとを所定の関数に代入して、各相のIrを算出する構成でもよい。具体的には、各相抵抗成分漏洩電流算出部16aは、漏洩電流検出部11により検出された漏洩電流Iと、位相差検出部13により検出された位相差θを(11)式に代入して、Ir(r)を算出する。つぎに、各相抵抗成分漏洩電流算出部16aは、算出したIr(r)と、抵抗成分漏洩電流算出部14により算出されたIrを(12)式に代入して、Ir(t)を算出する。
Figure 0006704368
r(t)=Ir−Ir(r) ・・・(12)
なお、(11)式と(12)式は、第1基準電圧VR−Tのときに利用する関数である。さらに厳密には、(11)式と(12)式は、位相差θが「π/6≦θ≦π/2」の範囲にある場合に利用する関数である。第1基準電圧VR−Tにおいて位相差θが「π/2≦θ≦5π/6」の範囲にある場合には、(13)式と(14)式を利用する。
Figure 0006704368
r(r)=Ir−Ir(t) ・・・(14)
また、基準電圧が2基準電圧VT−Sの場合と第3基準電圧VS−Rの場合においても、それぞれ位相差θの範囲に適した関数を利用する。
また、各相のIgrを算出する関数は、位相差θに基づいて、抵抗成分漏洩電流算出部14により算出されたIgrから各相に発生しているIgrの割合を求めるものであって、(11)式から(14)式に限定されず、他の関数によって各相のIgrを算出してもよい。
<Y結線における2相同時に漏電するケースについて>
上述した2相同時の漏電発生が生じる可能性は低いと予想されるが、負荷機器の動作を考察すると、3相においてある程度変動しながらも各相で劣化が生じ、間欠漏電が発生することがある。
また、図7に示すように、T相とR相の2相同時に地絡が生じている場合には、漏洩電流Iは、10mAであるが、R相の抵抗成分漏洩電流Ir(r)とT相の抵抗成分漏洩電流Ir(t)を合成したIrは、(1)式から、20mAとなり、Io<Ir、となる。
つまり、漏電検出を漏洩電流Iの値に頼っていると、実は、大きなIrが発生していることがある。このような場合において、第1監視部10は、素早く正確にIrを検出することができる。
また、第1抵抗成分漏洩電流算出部14aは、基準電圧(例えば、VR−T)とIrに基づいて、(15)式により絶縁抵抗値(Gr)を算出する。
Gr=VR−T/Ir ・・・(15)
<第1監視部の第2の構成と動作について>
第1監視部10は、上述した第1の構成でもよいし、以下に説明する第2の構成でもよい。第1監視部10は、図9に示すように、第1漏洩電流検出部11bと、第1電圧検出部12bと、第1位相差検出部13bと、第1抵抗成分漏洩電流算出部14bとを備える。
第1漏洩電流検出部11bは、被測定電線路に流れている漏洩電流を検出する。
第1電圧検出部12bは、被測定電線路のいずれかの2相の間に発生している電圧を基準電圧として検出する。
第1位相差検出部13bは、第1電圧検出部12bにより検出された基準電圧と第1漏洩電流検出部11bにより検出された漏洩電流とに基づいて、位相差を検出する。
第1抵抗成分漏洩電流算出部14bは、第1位相差検出部13bにより検出された位相差と、第1漏洩電流検出部11bにより検出された漏洩電流とに基づいて、被測定電線路に流れている漏洩電流に含まれているIrを算出する。
第1監視部10は、クランプ部100により3相のR相、S相、T相に加え、接地線Gを含む被測定電線路を把持し、第1漏洩電流検出部11bはクランプ部100を介して被測定電線路に流れている漏電電流Iを検出する。漏電電流Iの検出は、零相変流器(ZCT)により検出してもよいし、3相各相とN相の電流を個別に検出してベクトル和を求めるようにしてもよい。
第1電圧検出部12bは、被測定電線路から3相のうちのいずれかの2相の間に発生している電圧、例えば、R相とT相との間の電圧VR−T(VR−VT)を基準電圧として検出する。なお、基準電圧は、T相とS相との間の電圧VT−S、又はS相とR相との間の電圧VS−Rとしてもよい。以下では、基準電圧は、VR−Tである場合について説明する。
第1位相差検出部13bは、第1電圧検出部12bによって検出された基準電圧VR−Tと第1漏洩電流検出部12bにより検出された漏洩電流Iとの位相差θを検出する。具体的には、第1位相差検出部13bは、基準電圧VR−Tの零クロスする点と漏洩電流Iの零クロスする点とから基準電圧VR−Tと漏洩電流Iの位相差θを検出する。第1位相差検出部13bで検出された基準電圧VR−Tと漏洩電流Iの位相差θは、第1抵抗分漏洩電流算出部14bに入力される。
また、第1漏洩電流検出部11bは、漏電電流Iの実効値(スカラー量)を算出し、漏電電流Iの実効値(スカラー量)を第1抵抗分漏洩電流算出部14bに入力する。第1抵抗分漏洩電流算出部14bは、第1位相差検出部13bで検出された位相差と漏洩電流Iの実効値とに基づいて、被測定電線路に流れている漏洩電流Iに含まれている対地絶縁抵抗に起因する抵抗分漏洩電流を算出する。第1抵抗分漏洩電流算出部14bで算出するIrの詳細については後述する。
ここで、3相の対地静電容量CR、CS、CTが平衡であるときは、3相の対地静電容量CR、CS、CTを通して流れる3相各相の静電容量分漏洩電流I0cR、I0cS、I0cTは、2π/3ずつずれているので、静電容量分漏洩電流I0cは零である。つまり、3相の対地静電容量CR、CS、CTが平衡であるときは、3相の対地静電容量CR、CS、CTは考慮しなくてよい。これにより、被測定電線路での対地静電容量をキャンセルでき、またフィルタ効果により高調波やノイズの影響を受けないIrの高精度検出を実現できる。
図10は、第1位相差検出部13bで検出された位相差θがπ/6≦θ≦5π/6のときの第1抵抗分漏洩電流算出部14bで算出されるIrの説明図である。図10では、R相及びT相の双方に漏電が発生した場合の特性を示している。
いま、R相及びT相の双方に漏電が発生した場合には、R相の抵抗分漏洩電流Ir(r)とT相の抵抗分漏洩電流Ir(t)とが発生する。この場合、前述したように3相各相の静電容量分漏洩電流I0cは考慮しなくてよいので、漏電電流Iは、R相電圧VRと同相の抵抗分漏洩電流Ir(r)と、T相電圧VTと同相のT相の抵抗分漏洩電流Ir(t)とのベクトル和となることから、基準電圧VR−Tを基準(θ=0)としたとき、漏電電流Iは、π/6≦θ≦5π/6の範囲にある。
逆に言えば、基準電圧VR−Tを基準(θ=0)としたとき、漏電電流Iがπ/6≦θ≦5π/6の範囲にあるときは、R相及び(又は)T相に漏電が発生したと判断できる。R相のみに漏電が発生したときはθ=π/6であり、T相のみに漏電が発生したときはθ=5π/6である。R相及びT相の双方に漏電が発生したときはπ/6<θ<5π/6の範囲である。
図10に示すように、Irは、R相電圧VRと同相の抵抗分漏洩電流Ir(r)、T相電圧VTと同相のT相の抵抗分漏洩電流Ir(t)とのスカラー量の和である。図10の頂点(0、a1、b1)の三角形の線分(a1、b1)の長さと、頂点(0、a2、b2)の三角形の線分(a2、b2)の長さに着目すると、(16)、(17)、(18)式が成立する。
線分(a1、b1)=I×sinθ ・・・(16)
線分(a2、b2)=Ir×cos(π/3) ・・・(17)
線分(a1、b1)=線分(a2、b2) ・・・(18)
(16)式及び(17)式を(18)式に代入すると、(19)式が得られる。
r=I×sinθ/cos(π/3) ・・・(19)
すなわち、第1抵抗分漏洩電流算出部14bは、基準電圧VR−Tを基準(θ=0)としたとき、漏電電流Iがπ/6≦θ≦5π/6の範囲にあるときは、Irを(19)式に基づいて算出する。
図11は、第1位相差検出部13bで検出された位相差θが5π/6≦θ≦3π/2のときの第1抵抗分漏洩電流算出部14bで算出されるIrの説明図である。図11では、T相及びS相の双方に漏電が発生した場合の特性を示している。
いま、T相及びS相の双方に漏電が発生した場合には、T相の抵抗分漏洩電流Ir(t)とS相の抵抗分漏洩電流Ir(s)が発生する。この場合、前述したように3相各相の静電容量分漏洩電流I0cは考慮しなくてよいので、漏電電流Iは、T相電圧VTと同相の抵抗分漏洩電流Ir(t)と、S相電圧VSと同相のS相の抵抗分漏洩電流Ir(s)とのベクトル和となることから、基準電圧VR−Tを基準(θ=0)としたとき、漏電電流Iは、5π/6≦θ≦3π/2の範囲にある。
逆に言えば、基準電圧VR−Tを基準(θ=0)としたとき、漏電電流Iが5π/6≦θ≦3π/2の範囲にあるときは、T相及び(又は)S相に漏電が発生したと判断できる。T相のみに漏電が発生したときはθ=5π/6であり、S相のみに漏電が発生したときはθ=3π/2である。T相及びS相の双方に漏電が発生したときは5π/6<θ<3π/2の範囲である。
図11に示すように、Irは、T相電圧VTと同相の抵抗分漏洩電流Ir(t)、S相電圧VSと同相のS相の抵抗分漏洩電流Ir(s)とのスカラー量の和である。図11の頂点(0、c1、d1)の三角形の線分(c1、d1)の長さと、頂点(0、c2、d2)の三角形の線分(c2、d2)の長さに着目すると、下記(20)、(21)、(22)式が成立する。
線分(c1、d1)=I×sin(θ−2π/3) ・・・(20)
線分(c2、d2)=Ir×cos(π/3) ・・・(21)
線分(c1、d1)=線分(c2、c2) ・・・(22)
(20)式及び(21)式を(22)式に代入すると、(23)式が得られる。
r=I×sin(θ−2π/3)/cos(π/3) ・・・(23)
すなわち、第1抵抗分漏洩電流算出部14bは、基準電圧VR−Tを基準(θ=0)としたとき、漏電電流Iが5π/6≦θ≦3π/2の範囲にあるときは、Irを(23)式に基づいて算出する。
図12は、第1位相差検出部13bで検出された位相差θが3π/2≦θ≦13π/6のときの第1抵抗分漏洩電流算出部14bで算出されるIrの説明図である。図12では、S相及びR相の双方に漏電が発生した場合の特性を示している。
いま、S相及びR相の双方に漏電が発生した場合には、S相の抵抗分漏洩電流Ir(s)とR相の抵抗分漏洩電流Ir(r)が発生する。この場合、前述したように3相各相の静電容量分漏洩電流I0cは考慮しなくてよいので、漏電電流Iは、S相電圧VSと同相の抵抗分漏洩電流Ir(s)と、R相電圧VRと同相のR相の抵抗分漏洩電流Ir(r)とのベクトル和となることから、基準電圧VR−Tを基準(θ=0)としたとき、漏電電流Iは、3π/2≦θ≦13π/6の範囲にある。
逆に言えば、基準電圧VR−Tを基準(θ=0)としたとき、漏電電流Iが3π/2≦θ≦13π/6の範囲にあるときは、S相及び(又は)R相に漏電が発生したと判断できる。S相のみに漏電が発生したときはθ=3π/2であり、R相のみに漏電が発生したときはθ=13π/6である。S相及びR相の双方に漏電が発生したときは3π/2<θ<13π/6の範囲である。
図12に示すように、Irは、S相電圧VSと同相の抵抗分漏洩電流Ir(s)、R相電圧VRと同相のR相の抵抗分漏洩電流Ir(r)とのスカラー量の和である。図12の頂点(0、e1、f1)の三角形の線分(e1、f1)の長さと、頂点(0、e2、f2)の三角形の線分(e2、f2)の長さに着目すると、下記(24)、(25)、(26)式が成立する。
線分(e1、f1)=I×sin(θ−4π/3) ・・・(24)
線分(e2、f2)=Ir×cos(π/3) ・・・(25)
線分(e1、f1)=線分(e2、f2) ・・・(26)
(24)式及び(25)式を(26)式に代入すると、(27)式が得られる。
r=I×sin(θ−4π/3)/cos(π/3) ・・・(27)
すなわち、第1抵抗分漏洩電流算出部14bは、基準電圧VR−Tを基準(θ=0)としたとき、漏電電流Iが3π/2≦θ≦13π/6(−π/2≦θ≦π/6)の範囲にあるときは、Irを(27)式に基づいて算出する。
このように、基準電圧をVR−T(VR−VT)とし、基準電圧VR−Tと漏洩電流Iとの位相差をθとし、基準電圧VR−Tの零クロス点と漏洩電流Iの零クロス点とから位相差θを求める。そして、位相差θの範囲で下記の(A)、(B)、(C)で場合分けし、Irを求める。
(A)π/6≦θ≦5π/6のとき
r=I×sinθ/cos(π/3)
(B)5π/6≦θ≦3π/2のとき
r=I×sin(θ−2π/3)/cos(π/3)
(C)3π/2≦θ≦13π/6(−π/2≦θ≦π/6)のとき
r=I×sin(θ−4π/3)/cos(π/3)
場合分けするのは、3相3線式の場合はS相を接地しているので3相のうちのR相とT相との1組が漏電検出の対象となるが、3相4線式の場合にはS相は接地されていないので、R相とT相、T相とS相、S相とR相、の3通りの組み合わせが漏電検出の対象となるからである。
上述のように構成される第1監視部10によれば、被測定電線路から基準電圧を検出するとともに漏洩電流Iを検出し、基準電圧と漏洩電流との位相差θに応じて場合分けして、位相差θと漏洩電流Iとに基づいてIrを算出するので、3相4線式の配電線路に流れる漏電電流をIrとして容易に検出できる。
<クランプ部の接続方法について>
クランプ部100は、図2に示すように、接地線G以外の被測定電線路のみをクランプする構成でもよいし、図13に示すように、被測定電線路と接地線Gのすべてをクランプする構成でもよい。前者は、主に、負荷側において、接地線Gと被測定電線路のいずれかの相とを接続して利用するケースに適した接続方法である。後者は、主に、負荷側において、被測定電線路のすべてが接続される三相交流モータを利用するケースに適した接続方法である。
<第2監視部の構成と動作について>
つぎに、第2監視部20の具体的な構成について説明する。第2監視部20は、Δ結線方式に対応し、図14に示すように、第2漏洩電流検出部21と、第2電圧検出部22と、第2位相差検出部23と、第2抵抗成分漏洩電流算出部24とを備える。
第2漏洩電流検出部21は、被測定電線路に流れている漏洩電流Iを検出する。具体的には、第2漏洩電流検出部21は、クランプ部101を利用して被測定電線路をクランプし、被測定電線路に流れている漏洩電流を検出する。なお、クランプ部101は、図14においては、被測定電線路全体を一括して挟み込む形態を示しているが、これに限られず、被測定電線路を構成する電線路を選択的に挟み込む構成であってもよいし、被測定電線路を構成する電線路を一本ずつ選択的に挟み込む構成であってもよい。
また、第2漏洩電流検出部21は、検出した漏洩電流の実効値を算出する。第2漏洩電流検出部21は、算出した漏洩電流の実効値を第2位相差検出部23と第2抵抗成分漏洩電流算出部24に出力する。
第2電圧検出部22は、被測定電線路のいずれか2相の間に印加されている電圧を検出する。図14に示す例では、S相を設置しているため、第2電圧検出部22は、R相とT相の間に印加されている電圧を検出する。
第2位相差検出部23は、第2漏洩電流検出部21により検出された漏洩電流と第2電圧検出部22により検出された電圧(以下、「基準電圧」という。)とに基づいて、位相差θを検出する。具体的には、第2位相差検出部23は、基準電圧の零クロスする点と漏洩電流の零クロスする点とに基づいて、基準電圧と漏洩電流の位相差θを検出する。
第2抵抗成分漏洩電流算出部24は、第2位相差検出部23により検出された位相差と、第2漏洩電流検出部21により検出された漏洩電流の実効値とに基づいて、被測定電線路に流れている漏洩電流に含まれているIrを算出する。
具体的には、第2抵抗成分漏洩電流算出部24は、第2位相差検出部23により検出された位相差θと、第2漏洩電流検出部21により検出された漏洩電流の実効値(I)に基づいて、被測定電線路に流れている漏洩電流に含まれているIrを(28)式により算出する。なお、(28)式の導出方法については、後述する。
r=I×sinθ/cos(π/6) ・・・(28)
また、第2抵抗成分漏洩電流算出部24は、基準電圧とIrに基づいて、(29)式により絶縁抵抗値(Gr)を算出する。
Gr=V/Ir ・・・(29)
判定部32は、第2抵抗成分漏洩電流算出部24により算出されたIrが所定の値を超えているかどうかを判定する。
<本発明にかかるΔ結線方式についての考察>
ここで、本発明にかかるΔ結線方式(以下では、「ベクトル理論Ir方式」という。)について説明する。Y結線方式において、上述したように、各相のIc成分が平衡していれば、Icは打ち消され零になる。しかし、Δ結線方式では、S相を接地した場合、S相は零電位となり、S相にIcは発生しない。すなわち、対地電位のあるR相とT相にIcが発生する。
R相とT相で大きさの等しいIcが発生している場合、R相のIcをIc(r)とし、T相のIcをIc(t)とすると、ベクトル合成により、図15に示すように、R相とT相の相間電圧VR−T(R→T)を基準とした180度の位置に合成されたIc(rt)が発生する。
また、Ic(rt)とR相に生じるIr(r)とT相に生じるIr(t)のベクトル合成が漏洩電流Iになる。
例えば、T相の1相地絡の場合には、図16に示すように、Ir(t)とIc(rt)のベクトル合成が漏洩電流Iになる。漏洩電流Iは、Ic(rt)の変動に伴って変動する。一例として、約107mAのIc(rt)が発生している状況で、T相に約100mAのIr(t)が発生した場合、ベクトル和として漏洩電流Iは、約180mAとなる。このようなケースにおいては、漏洩電流Iが増加傾向にあり、I0方式と呼ばれる従来方式でも検出は可能である。しかし、R相においては、その関係が大きく異なる。
ここで、R相の1相地絡の場合には、図17に示すように、Ir(r)とIc(rt)のベクトル合成が漏洩電流Iになる。つまり、T相の1相地絡の場合と異なり、R相の1相地絡の場合には、漏洩電流Iは、Ic(rt)より小さくなる。例えば、約107mAのIc(rt)が発生している状況で、R相に約100mAのIr(r)が発生した場合、ベクトル和として漏洩電流Iは、約104mAとなり、Ic(rt)よりも小さくなる。つまり、Δ結線方式においては、T相では「I>Ir(t)」となり、R相では、「I<Ir(t)」になる。
例えば、I0方式において、30mA以上の漏洩電流が生じている場合に通知を行うような設定の場合、10mAのIc(rt)が発生しており、かつ、30mAのIr(r)が発生していても、漏洩電流Iは、26mA程度を示すため、設定以上の漏洩電流が生じていないとして、通知しないことがあり得る。I0方式では、R相における危険な状態を見逃していることも考えられる。
一方、ベクトル理論Ir方式を採用する第2監視部20は、R相の1相地絡の場合においても正確にIr(r)を検出することができるので、R相における危険な状態を見過ごさない利点がある。
<Irを算出する演算式の導出方法について>
つぎに、ベクトル理論Ir方式におけるIrを算出するための(28)式の導出方法について説明する。R相とT相の相間電圧Vを基準とし、接地線に流れる漏洩電流Iと相間電圧V(T→R)の位相差θからIrを求めることができる。
図15に示すベクトル図より、R→T及びT→Sを反転させ、T→Rを基準としてベクトル図を整理すると、図18に示すベクトル図になる。T→Rを基準とし、S→Rはそれよりπ/3、S→Tは2π/3進む。また、S→R、S→Tよりπ/2進みのIc(r)、Ic(t)のベクトル合成であるIc(rt)は、πになる。よって、漏洩電流Iは、π/3から2π/3の領域に発生する。
第2位相差検出部23は、第2漏洩電流検出部21から送られてくる漏洩電流Iの波形と、第2電圧検出部22から送られてくるV(T→R)の波形に基づいて、位相差θを検出する。
また、Ir(r)とIr(t)の位相を合わせる手順について説明する。π/2を挟んで、π/3の位相差のあるIr(r)とIr(t)の位相角を一致させて、Irを求める。
つまり、図19に示すように、位相差θは、「π/2<θ」であり、「sinθ=sin(π−θ)」であるので、Ic(rt)は、T→Rに平行になり、2π/3のS→Tは、「Sin2π/3=Sin(π−2π/3)=Sinπ/3」となりπ/3のS→Rに重なる。また、漏洩電流IからT→Rに垂線を下し、三角関数より、(30)式を得ることができる。
Cos(π/6)=I×sinθ/Ir ・・・(30)
(30)式を展開することにより、(28)式を導出することができる。
また、ベクトル理論Ir方式では、V(T→R)を基準電圧としてIrを算出しているため、S相の漏洩電流も検出可能となり、Ic(s)の影響を受けないため、より安定した測定精度を実現できる。
<電圧の測定について>
被測定電線路に高電圧(例えば、6600Vなど)が印加されている場合には、接地形計器用変圧器(EVT)を用いて、高電圧を所定の電圧(例えば、200Vや110Vなど)に降圧し、降圧後の電圧が第1電圧検出部12a,12bや第2電圧検出部22に入力される構成でもよい。さらに、接地形計器用変圧器(EVT)により電圧を降圧する際に位相ずれが生じる場合がある。第1位相差検出部13a,13bおよび第2位相差検出部23は、接地形計器用変圧器(EVT)による位相ずれを補正する機能を有する。
<絶縁抵抗試験(メガー試験)による漏電管理と、Ir方式による漏電管理の相違について>
絶縁抵抗試験(メガー試験)では、高電圧を印加して測定対象物に負担を与えるため、停電状態にし、かつ、電線路から負荷を切り離して絶縁抵抗を測定している。つまり、メガー試験によって測定される絶縁抵抗は、停電状態であって、かつ、電線路から負荷が切り離された状態のものである。
一方、本願発明にかかるIr方式では、通電状態であって、かつ、電線路に負荷が接続されている状態において絶縁抵抗を測定するものである。
よって、メガー試験によって測定される絶縁抵抗は、非通電状態という特殊な状態において測定されるものであるが、Ir方式によって測定される絶縁抵抗は、通電状態において測定されるものであり、文言的には同じでも、内容は異なるものである。
さらに、メガー試験では、停電状態にする必要があるため、絶縁抵抗を常時測定(監視)することが困難であるが、Ir方式では、停電状態にする必要がないため、絶縁抵抗を常時測定(監視)することができる。
このように、Ir方式による漏電管理は、メガー試験による漏電管理に比して、信頼性の高い絶縁抵抗を常時測定(監視)できるメリットがある。
<方法>
つぎに、絶縁監視装置1による監視情報の通知手順について、図20に示すフローチャートを用いて説明する。
ステップS1において、第1監視部10は、3相(R相、S相、T相)をY結線し中性点を接地して接地線を引き出した3相4線式の被測定電線路の絶縁状態を監視する。
ステップS2において、第2監視部20は、3相(R相、S相、T相)をΔ結線し、いずれかの相を接地して接地線を引き出した3相3線式の被測定電線路の絶縁状態を監視する。
ステップS3において、通知部31は、ステップS1の工程による監視情報、または、ステップS2の工程による監視情報を外部に通知する。
よって、第1監視部10は、移動原点方式を採用することにより、位相差θがどの範囲でも(1)式によりIrを算出することができ、Y結線方式において、Irを正確に検出することができる。
<プログラム>
また、本実施例では、主に、Y結線方式において、Irを正確に検出する第1監視部10の構成と動作について説明したが、これに限られず、各構成要素を備え、Y結線方式において、Irを正確に検出するための方法、およびプログラムとして構成されてもよい。
また、第1監視部10を構成する各機能を実現するためのプログラムをコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。
具体的には、当該プログラムは、3相(R相、S相、T相)をY結線し中性点を接地して接地線を引き出した3相4線式の被測定電線路の絶縁状態を監視する第1監視工程と、
前記3相(R相、S相、T相)をΔ結線し、いずれかの相を接地して接地線を引き出した3相3線式の被測定電線路の絶縁状態を監視する第2監視工程と、
前記第1監視工程による監視情報、または、前記第2監視工程による監視情報を外部に通知する通知工程と、をコンピュータによって実現するためのプログラムである。
さらに、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータで読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
さらに「コンピュータで読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短期間で動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
1 絶縁監視装置、10 第1監視部、11a,11b 第1漏洩電流検出部、12a,12b 第1電圧検出部、13a,13b 第1位相差検出部、14a,14b 第1抵抗成分漏洩電流算出部、15a 判断処理部、16a 各相抵抗成分漏洩電流算出部、20 第2監視部、21 第2漏洩電流検出部、22 第2電圧検出部、23 第2位相差検出部、24 第2抵抗成分漏洩電流算出部、31 通知部、32 判定部、100,101 クランプ部

Claims (7)

  1. 3相(R相、S相、T相)をY結線し中性点を接地して接地線を引き出した3相4線式の被測定電線路の絶縁状態を監視する第1監視部と、
    前記3相(R相、S相、T相)をΔ結線し、いずれかの相を接地して接地線を引き出した3相3線式の被測定電線路の絶縁状態を監視する第2監視部と、
    前記第1監視部による監視情報、または、前記第2監視部による監視情報を外部に通知する通知部と
    前記第1監視部による監視情報に含まれている対地絶縁抵抗に起因する抵抗成分漏洩電流、または、前記第2監視部による監視情報に含まれている対地絶縁抵抗に起因する抵抗成分漏洩電流が所定の値を超えているかどうかを判定する判定部と
    を備え
    前記第1監視部は、
    前記被測定電線路に流れている漏洩電流を検出する第1漏洩電流検出部と、
    前記被測定電線路のいずれか2相の間に印加されている電圧を検出する第1電圧検出部と、
    前記第1漏洩電流検出部により検出された漏洩電流と、前記第1電圧検出部により検出された電圧との位相差を検出する第1位相差検出部と、
    前記第1位相差検出部により検出された位相差と、前記第1漏洩電流検出部により検出された漏洩電流とに基づいて、前記被測定電線路に流れている漏洩電流に含まれている対地絶縁抵抗に起因する抵抗成分漏洩電流を算出する第1抵抗成分漏洩電流算出部と、
    前記第1位相差検出部により検出された位相差が所定の範囲内であるかどうかを判断し、位相差が所定の範囲内ではないと判断した場合、前記第1位相差検出部により検出された位相差を前記第1電圧検出部に送信する判断処理部と
    を備え、
    前記第1電圧検出部は、前記判断処理部から送信されてきた位相差に基づいて、前記被測定電線路における電圧を検出する相を切り替え、切り替えた後の2相の間に印加されている電圧を検出し、
    前記判定部は、前記第1抵抗成分漏洩電流算出部により算出された抵抗成分漏洩電流が所定の値を超えているかどうかを判定し、
    前記通知部は、前記判定部により対地絶縁抵抗に起因する抵抗成分漏洩電流が所定の値を超えていると判定された場合、対地絶縁抵抗に起因する抵抗成分漏洩電流が所定の値を超えていることを外部に通知する絶縁監視装置。
  2. 前記判断処理部は、前記第1位相差検出部により検出された位相差θが所定の範囲である、π/6≦θ≦5π/6、に含まれているかどうかを判断し、
    前記第1電圧検出部は、前記被測定電線路のR相とT相の間に印加されている電圧を検出している状態において、
    位相差θが、5π/6≦θ≦3π/2、に含まれている場合には、T相とS相の間に印加されている電圧を検出するように切り替え、
    位相差θが、3π/2≦θ≦13π/6、に含まれている場合には、S相とR相の間に印加されている電圧を検出するように切り替える請求項記載の絶縁監視装置。
  3. 前記第1抵抗成分漏洩電流算出部は、前記第1位相差検出部により検出された位相差θと、前記第1漏洩電流検出部により検出された漏洩電流の実効値とに基づいて、前記被測定電線路に流れている漏洩電流に含まれている対地絶縁抵抗に起因する抵抗成分漏洩電流Irを
    r=I×sinθ/cos(π/3)
    により算出する請求項またはに記載の絶縁監視装置。
  4. 第1抵抗成分漏洩電流算出部により算出された抵抗成分漏洩電流と、前記第1位相差検出部により検出された位相差とに基づいて、前記第1電圧検出部により電圧が検出されている各相それぞれの抵抗成分漏洩電流を算出する各相第1抵抗成分漏洩電流算出部を備える請求項からのいずれか一項に記載の絶縁監視装置。
  5. 3相(R相、S相、T相)をY結線し中性点を接地して接地線を引き出した3相4線式の被測定電線路の絶縁状態を監視する第1監視部と、
    前記3相(R相、S相、T相)をΔ結線し、いずれかの相を接地して接地線を引き出した3相3線式の被測定電線路の絶縁状態を監視する第2監視部と、
    前記第1監視部による監視情報、または、前記第2監視部による監視情報を外部に通知する通知部と、
    前記第1監視部による監視情報に含まれている対地絶縁抵抗に起因する抵抗成分漏洩電流、または、前記第2監視部による監視情報に含まれている対地絶縁抵抗に起因する抵抗成分漏洩電流が所定の値を超えているかどうかを判定する判定部と
    を備え、
    前記第2監視部は、
    前記被測定電線路に流れている漏洩電流を検出する第2漏洩電流検出部と、
    前記被測定電線路のいずれか2相の間に印加されている電圧を検出する第2電圧検出部と、
    第2漏洩電流検出部により検出された漏洩電流と前記第2電圧検出部により検出された電圧と位相差を検出する第2位相差検出部と、
    前記第2位相差検出部により検出された位相差と、前記第2漏洩電流検出部により検出された漏洩電流とに基づいて、前記被測定電線路に流れている漏洩電流に含まれている対地絶縁抵抗に起因する抵抗成分漏洩電流を算出する第2抵抗成分漏洩電流算出部と
    を備え、
    前記判定部は、第2抵抗成分漏洩電流算出部により算出された抵抗成分漏洩電流が所定の値を超えているかどうかを判定し、
    前記第2抵抗成分漏洩電流算出部は、前記第2位相差検出部により検出された位相差θと、前記第2漏洩電流検出部により検出された漏洩電流の実効値I とに基づいて、前記被測定電線路に流れている漏洩電流に含まれている対地絶縁抵抗に起因する抵抗成分漏洩電流I rを
    r=I ×sinθ/cos(π/6)
    により算出る絶縁監視装置。
  6. 第1監視部によって、3相(R相、S相、T相)をY結線し中性点を接地して接地線を引き出した3相4線式の被測定電線路の絶縁状態を監視する第1監視工程と、
    第2監視部によって、前記3相(R相、S相、T相)をΔ結線し、いずれかの相を接地して接地線を引き出した3相3線式の被測定電線路の絶縁状態を監視する第2監視工程と、
    通知部によって、前記第1監視部による監視情報、または、前記第2監視部による監視情報を外部に通知する通知工程と
    判定部によって、前記第1監視部による監視情報に含まれている対地絶縁抵抗に起因する抵抗成分漏洩電流、または、前記第2監視部による監視情報に含まれている対地絶縁抵抗に起因する抵抗成分漏洩電流が所定の値を超えているかどうかを判定する判定工程と
    を備え
    前記第1監視工程は、
    第1漏洩電流検出部によって、前記被測定電線路に流れている漏洩電流を検出する第1漏洩電流検出工程と、
    第1電圧検出部によって、前記被測定電線路のいずれか2相の間に印加されている電圧を検出する第1電圧検出工程と、
    第1位相差検出部によって、前記第1漏洩電流検出部により検出された漏洩電流と、前記第1電圧検出部により検出された電圧との位相差を検出する第1位相差検出工程と、
    第1抵抗成分漏洩電流算出部によって、前記第1位相差検出部により検出された位相差と、前記第1漏洩電流検出部により検出された漏洩電流とに基づいて、前記被測定電線路に流れている漏洩電流に含まれている対地絶縁抵抗に起因する抵抗成分漏洩電流を算出する第1抵抗成分漏洩電流算出工程と、
    判断処理部によって、前記第1位相差検出部により検出された位相差が所定の範囲内であるかどうかを判断し、位相差が所定の範囲内ではないと判断した場合、前記第1位相差検出部により検出された位相差を前記第1電圧検出部に送信する判断処理工程と
    を備え、
    前記第1電圧検出工程では、前記判断処理部から送信されてきた位相差に基づいて、前記被測定電線路における電圧を検出する相が切り替えられ、切り替えた後の2相の間に印加されている電圧が検出され、
    前記判定工程では、前記第1抵抗成分漏洩電流算出部により算出された抵抗成分漏洩電流が所定の値を超えているかどうかが判定され、
    前記通知工程では、前記判定部により対地絶縁抵抗に起因する抵抗成分漏洩電流が所定の値を超えていると判定された場合、対地絶縁抵抗に起因する抵抗成分漏洩電流が所定の値を超えていることが外部に通知される絶縁監視方法。
  7. 3相(R相、S相、T相)をY結線し中性点を接地して接地線を引き出した3相4線式の被測定電線路の絶縁状態を監視する第1監視工程と、
    前記3相(R相、S相、T相)をΔ結線し、いずれかの相を接地して接地線を引き出した3相3線式の被測定電線路の絶縁状態を監視する第2監視工程と、
    前記第1監視工程による監視情報、または、前記第2監視工程による監視情報を外部に通知する通知工程と、
    前記第1監視部による監視情報に含まれている対地絶縁抵抗に起因する抵抗成分漏洩電流、または、前記第2監視部による監視情報に含まれている対地絶縁抵抗に起因する抵抗成分漏洩電流が所定の値を超えているかどうかを判定する判定工程と
    をコンピュータによって実現するための絶縁監視プログラムであって、
    前記第1監視工程では、
    前記被測定電線路に流れている漏洩電流を検出する第1漏洩電流検出工程と、
    前記被測定電線路のいずれか2相の間に印加されている電圧を検出する第1電圧検出工程と、
    前記第1漏洩電流検出部により検出された漏洩電流と、前記第1電圧検出部により検出された電圧との位相差を検出する第1位相差検出工程と、
    前記第1位相差検出部により検出された位相差と、前記第1漏洩電流検出部により検出された漏洩電流とに基づいて、前記被測定電線路に流れている漏洩電流に含まれている対地絶縁抵抗に起因する抵抗成分漏洩電流を算出する第1抵抗成分漏洩電流算出工程と、
    前記第1位相差検出部により検出された位相差が所定の範囲内であるかどうかを判断し、位相差が所定の範囲内ではないと判断した場合、前記第1位相差検出部により検出された位相差を前記第1電圧検出部に送信する判断処理工程と
    が実現され、
    前記第1電圧検出工程では、前記判断処理部から送信されてきた位相差に基づいて、前記被測定電線路における電圧を検出する相が切り替えられ、切り替えた後の2相の間に印加されている電圧が検出され、
    前記判定工程では、前記第1抵抗成分漏洩電流算出部により算出された抵抗成分漏洩電流が所定の値を超えているかどうかが判定され、
    前記通知工程では、前記判定部により対地絶縁抵抗に起因する抵抗成分漏洩電流が所定の値を超えていると判定された場合、対地絶縁抵抗に起因する抵抗成分漏洩電流が所定の値を超えていることが外部に通知される、絶縁監視プログラム
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