JP2023105867A - 絶縁監視装置、絶縁監視装置の動作試験システム、絶縁監視装置の動作試験方法、及び絶縁監視装置の動作試験プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】絶縁監視装置の動作試験及び精度試験を簡易な構成により、短時間で安全かつ正確に実施すること。【解決手段】交流回路の電路3のいずれか2相の間に印加されている電圧を検出し基準電圧Vrefとして取得する基準電圧検出部11と、基準電圧Vrefと同期する試験電流Itを試験電流出力線5に出力可能な試験電流出力部15と、電路3及び試験電流出力線5の電流検出結果に基づいて測定漏洩電流Iomとして取得する漏洩電流検出部13と、試験電流Itが出力されていない時に漏洩電流検出部13により取得された第1測定漏洩電流Iom(1)と、試験電流Itが出力されている時に漏洩電流検出部13により取得された第2測定漏洩電流Iom(2)と、に基づいて漏洩電流検出部13の検出精度に関する情報を生成する演算制御部16と、を備える。【選択図】図1
Description
本発明は絶縁監視装置、絶縁監視装置の動作試験システム、絶縁監視装置の動作試験方法、及び絶縁監視装置の動作試験プログラムに関する。
低圧電路の地絡を監視する絶縁監視装置は、高圧自家用施設の低圧電路を常時絶縁監視することにより、漏電による感電や火災事故、停電故障などを未然に防止する等、電気保安レベルの向上に寄与している。絶縁監視装置は、その漏電検出機能について、動作試験及び精度(誤差)試験を定期的に行うことが法令で義務付けられている。このような絶縁監視装置の動作試験及び精度試験を行う場合、正確に測定・判定するためには監視・計測中の電路からZCTを取り外す必要があり、充電部付近での作業は危険を伴う恐れがある。また、測定電路を停電させる方法もあるが、顧客の設備を停電させることは現実的には難しい。
これに対し、監視対象の電路を停電させることなく活線状態のままで絶縁監視装置の動作試験及び精度試験を行える試験電流発生装置及び絶縁監視装置用の試験装置が開示されている(特許文献1参照)。特許文献1の試験電流発生装置は、零相電流の検出情報と、試験用電流を流すことによって絶縁監視装置の検出に係る抵抗性の電流成分の目標値と、抵抗性の電流成分の位相を特定するための情報として予め設定されている基準位相情報とに基づいて、零相電流に含まれる抵抗性の電流成分に足し合わせたときに目標値が得られる試験用電流を生成するものである。
上記特許文献1に記載の試験電流発生装置及び絶縁監視装置用の試験装置では、試験電流の出力値の算出が地絡電流検出装置で検出する零相電流の電流値に依存し、地絡電流検出装置の精度(電流値及び/又は位相差)が不正確である場合には、発生すべき試験電流の算出においても誤差が発生する。その結果、本来出力すべき目標値の試験電流からずれたものが試験電流として出力されるため、正確な精度試験を行うことができないという問題があった。また、その場合に、地絡事故が発生したものとして警報を発する動作を実行するべき電流値として設定されている警報発生電流値に対しても、本来出力すべき試験電流値を出力できないので、正確な警報作動試験を行うことができないという問題があった。
また、出力すべき試験電流の算出のための回路が必要であり、構成が複雑となる問題があった。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、絶縁監視装置の動作試験及び精度試験を簡易な構成により、短時間で安全かつ正確に実施することができる絶縁監視装置、絶縁監視装置の動作試験システム、絶縁監視装置の動作試験方法、及び絶縁監視装置の動作試験プログラムを提供することにある。
上記した目的を達成するために、本発明に係る絶縁監視装置は、交流回路の監視対象電路のいずれか2相の間に印加されている電圧を検出し基準電圧として取得する基準電圧検出部と、前記基準電圧と同期する試験電流を試験電流出力線に出力可能な試験電流出力部と、前記監視対象電路及び前記試験電流出力線の電流検出結果に基づいて測定漏洩電流を取得する漏洩電流検出部と、前記試験電流が出力されていない時に前記漏洩電流検出部により取得された第1測定漏洩電流と、前記試験電流が出力されている時に前記漏洩電流検出部により取得された第2測定漏洩電流と、に基づいて前記漏洩電流検出部の検出精度に関する情報を生成する演算部と、を備える。
上記した目的を達成するために、本発明に係る絶縁監視装置の動作試験システムは、交流回路の監視対象電路のいずれか2相の間に印加されている電圧を検出し基準電圧として取得する基準電圧検出部と、前記基準電圧と同期する試験電流を試験電流出力線に出力可能な試験電流出力部と、前記監視対象電路及び前記試験電流出力線を流れる前記試験電流を含む漏洩電流を検出し測定漏洩電流として取得する漏洩電流検出部と、前記試験電流が出力されていない時に前記漏洩電流検出部により検出された第1測定漏洩電流と、前記試験電流が出力されている時に前記漏洩電流検出部により検出された第2測定漏洩電流と、に基づいて前記漏洩電流検出部の検出精度に関する情報を生成する演算部と、を備える。
上記した目的を達成するために、本発明に係る絶縁監視装置の動作試験方法は、交流回路の監視対象電路の漏洩電流を検出する絶縁監視装置の、前記漏洩電流の検出精度に関する情報を、コンピュータが、生成する動作試験方法であって、監視対象電路のいずれか2相の間に印加されている電圧を検出し基準電圧として取得する基準電圧検出工程と、前記監視対象電路に流れる漏洩電流を検出して第1測定漏洩電流として取得する第1測定漏洩電流取得工程と、前記基準電圧と同期する試験電流を試験電流出力線に出力する試験電流出力工程と、前記試験電流が出力されている時に前記監視対象電路と前記試験電流出力線に流れる前記試験電流を含む漏洩電流を検出して第2測定漏洩電流として取得する第2測定漏洩電流取得工程と、第1測定漏洩電流及び第2測定漏洩電流に基づいて前記検出精度に関する情報を生成する演算工程と、を備える。
上記した目的を達成するために、本発明に係るコンピュータによって実現するための絶縁監視装置の動作試験プログラムは、監視対象電路のいずれか2相の間に印加されている電圧を検出し基準電圧として取得する基準電圧検出工程と、前記監視対象電路に流れる漏洩電流を検出して第1測定漏洩電流として取得する第1測定漏洩電流取得工程と、前記基準電圧と同期する試験電流を試験電流出力線に出力する試験電流出力工程と、前記試験電流が出力されている時に前記監視対象電路と前記試験電流出力線に流れる前記試験電流を含む漏洩電流を検出して第2測定漏洩電流として取得する第2測定漏洩電流取得工程と、第1測定漏洩電流及び第2測定漏洩電流に基づいて前記検出精度に関する情報を生成する演算工程と、を含む。
上記手段を用いる本発明によれば、絶縁監視装置の動作試験及び精度試験を簡易な構成により、短時間で安全かつ正確に実施することができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しながら説明する。
<システム構成>
図1は、本発明の一実施形態における絶縁監視装置を交流回路に適用したシステム構成を示す図である。図2は、図1の変圧器の構成例として(a)単相三線式、(b)三相3線式(デルタ結線)、及び(c)三相3線式(スター結線)を示す図である。図3は、動作試験実行中の表示部17の画面表示例を示す図である。
図1は、本発明の一実施形態における絶縁監視装置を交流回路に適用したシステム構成を示す図である。図2は、図1の変圧器の構成例として(a)単相三線式、(b)三相3線式(デルタ結線)、及び(c)三相3線式(スター結線)を示す図である。図3は、動作試験実行中の表示部17の画面表示例を示す図である。
本実施形態に係る絶縁監視装置1は、変電設備(キュービクル)内に設置され、図1に示すように、変電設備の変圧器2の二次側(低圧側)の電路(監視対象電路)3より供給されている電気機器の対接地絶縁を常時監視する装置である。絶縁監視装置1は、監視対象である電路3を一時停電させることなく、活線状態で電路3の漏洩電流Ioを計測して異常漏電等の監視情報を検出し、計測結果や検出した監視情報を外部に通知する機能を有する。漏洩電流Ioには、絶縁抵抗に直接関与している対地絶縁抵抗に起因する抵抗成分漏洩電流Iorと、対地静電容量に起因する容量成分漏洩電流Iocとが含まれている。本実施形態の絶縁監視装置1は、漏洩電流Ioに加え、電路3の結線方式に応じて抵抗成分漏洩電流Ior及び容量成分漏洩電流Iocも計測できるIor測定方式を採用している。
絶縁監視装置1は、図1に示すように、変圧器2の2次側の3線式の電路3に適用されている。変圧器2と電路3の結線方式は、図2に示すように、単相3線式(図2(a))、三相3線デルタ結線(図2(b))、又は、三相3線スター結線(図2(c))のいずれでも構わない。結線方式は、絶縁監視装置1の設定項目において予め選択し記憶しておく。
絶縁監視装置1は、図1に示すように、基準電圧検出部11、零相変流器12、零相変流器12と接続される漏洩電流検出部13、動作試験選択部14、試験電流出力部15、演算制御部(演算部)16、表示部17、及び警報出力部18を備える。また、絶縁監視装置1は、携帯測定端末4と有線又は無線で通信を行い、携帯測定端末4から端末測定情報を取得する機能を有する。携帯測定端末4は例えば、任意の電路を貫通可能なクランプ41を備える校正されたハンディメータであり、クランプした電路の電流等を検出して計測し、計測結果をハンディメータの前面パネルに設けられた表示部42に表示したり、端末測定情報として外部に出力したりすることができる端末である。
基準電圧検出部11は、電路3の3相のうち、いずれか2相に電気的に接続されてその2相の間に印加されている電圧を基準電圧Vrefとして検出し、基準電圧Vrefの実効値RMS(Vref)、周波数F(Vref)、及び位相θ(Vref)を算出して試験電流出力部15及び演算制御部16に出力する。基準電圧Vrefの周波数F(Vref)は、後述する試験電流Itの生成の際に用いられる(以下単に基準周波数という)。基準電圧Vrefの位相θ(Vref)は、後述する位相差の算出において基準となる位相として用いられる(以下単に、基準位相という)。
零相変流器12は、いわゆるZCTであり、電路3を一括で貫通し、電路3に流れる漏洩電流Ioを検出する。また、零相変流器12は、電路3に加えて、後述する試験電流出力線5も貫通する。以下、零相変流器12が一括して貫通する電路3及び試験電流出力線5をまとめて被測定電線路6と呼ぶ。すなわち、零相変流器12は、被測定電線路6に流れる漏洩電流Ioを検出可能であり、後述する試験電流Itが出力されている場合には、試験電流Itを含む漏洩電流Ioを検出する。なお、電路3及び試験電流出力線5に実際に発生している漏洩電流Ioを発生漏洩電流Ioa、零相変流器12により検出される漏洩電流を測定漏洩電流Iomと、区別して表記する。
漏洩電流検出部13は、電路3及び試験電流出力線5、即ち被測定電線路6の電流検出結果に基づいて測定漏洩電流Iomを取得する。具体的には、漏洩電流検出部13は、零相変流器12と電気的に接続され、零相変流器12により検出された被測定電線路6の漏洩電流Ioを測定漏洩電流Iomとして取得し、測定漏洩電流Iomの実効値RMS(Iom)を算出する。本実施形態においては、絶縁監視装置1の動作試験を実行中に、漏洩電流検出部13は、試験電流Itが出力されていない時(未出力の状態)における第1測定漏洩電流Iom(1)と、試験電流Itが出力されている時(出力された状態)における第2測定漏洩電流Iom(2)と、をそれぞれ取得し、それらの実効値RMS(Iom(1))及びRMS(Iom(2))を算出し、演算制御部16に出力する。
動作試験選択部14は、例えば、絶縁監視装置1の前面パネルに設けられるスイッチ等である。作業者が動作試験選択部14の当該スイッチにおいてオン動作、オフ動作をすることにより、絶縁監視装置1の動作試験が開始、終了される。ここで、絶縁監視装置1の動作試験には、少なくとも、警報作動試験、精度試験、及びIor精度試験が含まれる。警報作動試験は、警報閾値Th以上の試験電流Itを出力し、絶縁監視装置1が警報(アラーム)状態となることを確認するための試験である。精度試験は、所定の電流値の試験電流Itを出力し、絶縁監視装置1での計測結果と、校正された携帯測定端末4による試験電流出力線5を流れる電流の計測結果とを比較し、漏洩電流検出部13の測定精度の確認を行うための試験である。Ior精度試験は、絶縁監視装置1のIor測定方式における測定精度を確認するものであり、漏洩電流検出部13の測定精度を確認するIor電流値精度試験と、漏洩電流検出部13及び後述する位相差算出部21の精度を確認するIor位相差精度試験を含む。
試験電流出力部15は、動作試験の実行時に基準電圧Vrefと同期する(同じ周波数及び同じ位相)のダミーの漏洩電流を出力する機能を有する。試験電流出力部15は、零相変流器12が貫通する試験電流出力線5と電気的に接続され、動作試験選択部14においてオン動作がされると、試験電流出力線5に、ダミーの漏洩電流として、所定の電流値(実効値)で基準周波数と同じ周波数かつ基準位相と同じ位相の試験電流Itの出力を開始する。試験電流Itの所定の電流値は、動作試験前に絶縁監視装置1において予め設定して記憶させることが可能である。以下、試験電流Itについて設定された所定の電流値(実効値)を設定試験電流値RMS(It)と表記する。本実施形態では、警報作動試験と精度試験を同じ試験電流Itで行えるように設定試験電流値RMS(It)が選択されている。
具体的には、作業者により動作試験選択部14においてオン動作がされた後に、漏洩電流検出部13により第1測定漏洩電流Iom(1)が取得されてから、試験電流出力部15は、試験電流出力線5に試験電流Itを出力する。試験電流Itの設定試験電流値RMS(It)は、例えば、電気保安業務の法令に基づく評価基準である「50mA」に基づいて、警報作動試験及び精度試験に適した値に設定される。また、試験電流出力部15は、作業者により動作試験選択部14においてオフ動作がされると、試験電流Itの出力を停止する。試験電流出力部15は、絶縁監視装置1の前面パネル等において出力する試験電流Itの電流値を変更したり設定したりでき、設定した電流値及び位相を出力する性能について出荷時に又は定期校正によって校正されている。
試験電流出力線5の配線の一部は、絶縁監視装置1の前面パネルに物理的にアクセス可能に設けられている。少なくとも動作試験の実行中に、作業者が、試験電流出力線5の当該配線を携帯測定端末4でクランプする。この状態で、携帯測定端末4は、試験電流出力線5に流れる試験電流Itの電流値(実効値)である端末測定電流Ihを検出し、端末測定電流Ihの検出結果を端末測定情報の一つとして取得し記憶する。
演算制御部16は、後述するコンピュータ500から構成される演算制御ユニットで、絶縁監視装置1の内部の各コンポーネントや各検出部と有線又は無線で通信し情報を取得して各種演算を実行したり接続された各部の制御を行ったりできるように接続されている。また、演算制御部16は、外部機器、例えば、携帯測定端末4等とも通信し端末測定情報等を取得可能である。本実施形態では、演算制御部16は、主に予めインストールされた所定の動作試験プログラムに従って動作し、漏洩電流検出部13の検出精度に関する情報を生成する。具体的には、動作試験に必要な情報を取得するための制御、取得した情報に基づいた演算、演算結果を用いた警報動作試験の判定及び精度試験の判定、そして判定結果に基づく表示や警報出力の制御を行う動作試験ルーチンやその他の支援プログラムを実行する機能を有する。なお、演算制御部16は、複数のユニットから構成されてもよく、その場合は各ユニットが連携して機能を実行してもよい。演算制御部16の詳細は後述する。
表示部17は、例えば液晶パネルディスプレイ(LCD)等であり、例えば絶縁監視装置1の前面パネルに設けられている。表示部17は、図3に示すように、表示エリアDの近傍に配置される上下ボタンB1、B2を押下することにより、表示される項目、数値、及び単位等が順に切り替わる。表示部17は、少なくとも、絶縁監視装置1の計測結果として漏洩電流Io(図3の上段)、漏洩電流Ioの位相差θ(Io)(図3の中段)及び、漏洩電流Ioの抵抗成分漏洩電流Ior(図3の下段)を表示する機能を有する。また、動作試験の実行中においては、表示エリアDに「TEST」の表記が表示される。また、動作試験の実行中においては、漏洩電流Ioとして後述する漏洩電流変化分ΔIo、位相差(Angle)として変化分位相差θ(ΔIo)、及び抵抗成分漏洩電流Iorとして、基準位相平行成分ΔIo(x)を表示する。
警報出力部18は、演算制御部16で測定漏洩電流Iomが警報閾値Th以上であると判定された場合に、漏電警報として、絶縁監視装置1の前面パネルに設けられた表示ランプ、ブザー、液晶表示等、又はこれらの組み合わせたものを動作させて報知する。また、警報出力部18は、漏電警報信号を生成し、外部に漏電警報信号を出力する。警報閾値Thは例えば「50mA」に設定される。
<演算制御部の構成と機能>
次に、演算制御部16の内部構成及び演算制御部16の機能について図4を参照しながら説明する。図4は、演算制御部16の構成と演算制御部16が実行する動作試験の入出力構成を示すブロック図である。
次に、演算制御部16の内部構成及び演算制御部16の機能について図4を参照しながら説明する。図4は、演算制御部16の構成と演算制御部16が実行する動作試験の入出力構成を示すブロック図である。
演算制御部16は、本実施形態では主に、基準電圧検出部11により検出された基準電圧Vref、漏洩電流検出部13により検出された測定漏洩電流Iomを用いて、各種演算及び所定の閾値との比較判定を実行し絶縁監視装置1の漏洩電流の検出精度に関する情報を生成する。また、演算制御部16は、表示部17や警報出力部18等を制御して測定結果、演算(算出)結果、判定結果、警報等の絶縁監視装置1の漏洩電流の検出精度に関する情報を表示したり、出力する機能を有する。また、演算制御部16は、動作試験選択部14のオン・オフ動作を受けて試験電流出力部15を制御する機能を有する。演算制御部16は、位相差算出部21、ベクトル演算部22、判定部23、抵抗成分漏洩電流算出部24、及び制御部25を有する。
位相差算出部21は、漏洩電流検出部13により検出された測定漏洩電流Iomの実効値RMS(Iom)と基準電圧検出部11により検出された基準電圧Vrefの実効値RMS(Vref)とに基づいて、測定漏洩電流Iomの基準位相に対する位相差θ(Iom)を検出する。具体的には、位相差算出部21は、基準電圧検出部11において算出された基準周波数F(Vref)の1周期の時間に対し、基準電圧Vrefの零クロスする点と測定漏洩電流Iomの零クロスする点との時間差に基づいて、基準位相に対する測定漏洩電流Iomの位相差θ(Iom)を検出する。なお、以下の説明では、簡単のために、基準位相を0°として位相差θ(Iom)を算出している。位相差算出部21は、動作試験の実行中に、第1測定漏洩電流Iom(1)の第1測定位相差θ(Iom(1))、第2測定漏洩電流Iom(2)の第2測定位相差θ(Iom(2))を算出する。
ベクトル演算部22は、動作試験の実行中に、第1測定漏洩電流Iom(1)及び第2測定漏洩電流Iom(2)に基づいて、ベクトル演算を行い、漏洩電流変化分ΔIo及び漏洩電流変化分ΔIoの直交成分を算出する。
具体的には、第2測定漏洩電流Iom(2)の実効値RMS(Iom(2))及び第2測定位相差θ(Iom(2))で大きさと方向(角度)が定義される第2測定漏洩電流Iom(2)のベクトルから、第1測定漏洩電流Iom(1)の実効値RMS(Iom(1))及び第1測定位相差θ(Iom(1))で大きさと方向(角度)が定義される第1測定漏洩電流Iom(1)のベクトルを差し引いた漏洩電流変化分ΔIoのベクトルを、下記の(1)式により算出する。ベクトル演算の詳細については後述する。
ΔIo=Iom(2)-Iom(1) ・・・(式1)
ΔIo=Iom(2)-Iom(1) ・・・(式1)
漏洩電流変化分ΔIoのベクトルは、大きさとして変化分電流値RMS(ΔIo)、方向(角度)として変化分位相差θ(ΔIo)で定義されるベクトルである。すなわち、変化分電流値RMS(ΔIo)は、漏洩電流変化分ΔIoの電流値の実効値であり、変化分位相差θ(ΔIo)は、基準位相に対する漏洩電流変化分ΔIoの位相差である。なお、以降の説明において、漏洩電流変化分ΔIoをΔIo(2-1)と表記し、異なるタイミングで取得された複数の組の第1測定漏洩電流Iom(1)及び第2測定漏洩電流Iom(2)を区別する場合がある。
また、ベクトル演算部22は、漏洩電流変化分ΔIoの直交成分として、変化分電流値RMS(ΔIo)と変化分位相差θ(ΔIo)に基づいて、基準位相と同相の(すなわち試験電流Itのベクトルと平行な)ベクトル成分である基準位相平行成分ΔIo(x)の電流値RMS(ΔIo(x))及び基準位相と垂直の(すなわち試験電流Itのベクトルと垂直な)ベクトル成分である基準位相垂直成分ΔIo(y)の電流値RMS(ΔIo(y))を算出する。
判定部23は、動作試験の実行中に、警報作動試験として、変化分電流値RMS(ΔIo)が、警報閾値Th以上であるか否かを判定する(警報作動判定)。
また、判定部23は、動作試験の実行中に、精度試験として、漏洩電流変化分ΔIoの電流値RMS(ΔIo)と、携帯測定端末4から取得した端末測定電流Ihとの差分が所定の誤差の範囲外であるか否かを判定する(精度判定)。所定の誤差の範囲は、例えば、端末測定電流Ihの±10%に設定される。なお、所定の誤差の範囲の設定値は、絶縁監視装置1において変更可能となっている。
また、判定部23は、動作試験の実行中において、Ior測定方式の精度試験として、次の2つの条件について判定を行う(Ior精度判定)。
(条件1)基準位相平行成分ΔIo(x)の電流値と携帯測定端末4から取得した端末測定電流Ihとの差分が所定の誤差の範囲外であるか否か(Ior電流値精度判定)
(条件2)変化分位相差θ(ΔIo)が基準位相(0°)に対して所定の誤差の範囲外であるか否か(Ior位相差精度判定)
条件1が真の判定であれば、絶縁監視装置1のIor測定方式における電流値の検出精度が不正確であり、条件2が真の判定であれば、絶縁監視装置1のIor測定方式における位相差の検出精度が不正確である。所定の誤差の範囲はそれぞれ、例えば、端末測定電流Ihの±10%、基準位相の±5degに設定される。なお、所定の誤差の範囲の設定値は、絶縁監視装置1において変更可能となっている。
(条件1)基準位相平行成分ΔIo(x)の電流値と携帯測定端末4から取得した端末測定電流Ihとの差分が所定の誤差の範囲外であるか否か(Ior電流値精度判定)
(条件2)変化分位相差θ(ΔIo)が基準位相(0°)に対して所定の誤差の範囲外であるか否か(Ior位相差精度判定)
条件1が真の判定であれば、絶縁監視装置1のIor測定方式における電流値の検出精度が不正確であり、条件2が真の判定であれば、絶縁監視装置1のIor測定方式における位相差の検出精度が不正確である。所定の誤差の範囲はそれぞれ、例えば、端末測定電流Ihの±10%、基準位相の±5degに設定される。なお、所定の誤差の範囲の設定値は、絶縁監視装置1において変更可能となっている。
抵抗成分漏洩電流算出部24は、漏洩電流検出部13により検出された漏洩電流Ioの実効値と、位相差算出部21により検出された位相差θ(ΔIo)と、に基づいて、被測定電線路6に流れている漏洩電流Ioに含まれている抵抗成分漏洩電流Iorを算出する。本実施形態では、抵抗成分漏洩電流算出部24は、動作試験を実行していない時に、抵抗成分漏洩電流Iorの算出結果を表示部17に表示する。
制御部25は、演算制御部16と外部機器との通信及びデータの入出力や、演算制御部16内部の制御を行う機能を有する。制御部25は、携帯測定端末4と通信し端末測定電流Ihを取得する。
<ベクトル演算>
次に、結線方法ごとに本実施形態におけるベクトル演算の具体例について説明する。
次に、結線方法ごとに本実施形態におけるベクトル演算の具体例について説明する。
まず、図2、図5から図8を参照しながら図2(a)に示す単相3線式の場合について説明する。図5は、単相三線式において試験電流Itが出力されていない時に被測定電線路6に発生する発生漏洩電流のベクトルを示す図である。図6は、単相三線式において試験電流Itが出力されている状態での、(a)被測定電線路6に発生する発生漏洩電流のベクトルを示す図、(b)正確に検出された測定漏洩電流のベクトルを示す図、である。図7は、単相三線式において試験電流Itが出力された状態での、(a)被測定電線路6に発生する発生漏洩電流と不正確に検出された測定漏洩電流のベクトルを示す図、(b)不正確に検出された測定漏洩電流の漏洩電流変化分のベクトルを示す図、である。図8は、図7(b)の漏洩電流変化分のベクトルを直行成分に分解した図、である。
単相3線式の場合は、図2(a)に示すように、中間線Nに対するA相及びB相から構成される。本実施形態では、基準電圧検出部11は、中間線NとA相に電気的に接続されて基準電圧Vrefを検出する。なお、中間線NとB相の間で基準電圧Vrefを検出してもよい。図5及び図6のxy平面は、基準電圧Vrefの位相(基準位相)を0°としたときの、被測定電線路6に発生する漏洩電流Ioの大きさ(実効値)RMS(Io)と位相差θ(Io)に基づいて、電流値(実効値)を矢印の長さ(大きさ、スカラ量)、基準位相に対する位相差を0°~360°の範囲で表される方向、によるベクトルとして示す平面である。
単相3線式の場合、x軸は、中心の交点Oから右側が基準電圧Vrefを検出しているA相の地絡分(抵抗成分)、左側がB相の地絡分(抵抗成分)を示し、y軸は、交点Oから上側がA相の地絡分(抵抗成分)から90°進んで発生するA相の容量分、下側がB相の抵抗成分(抵抗成分)から90°進んで発生するB相の容量分を示す。ここで、xy平面のy軸及びx軸で区切られた4つの象限を、図5から図8に示すように、右上を象限α、左上を象限β、左下を象限γ、右下を象限δと呼ぶことにする。
試験電流Itが出力されていない時に電路3(被測定電線路6)に実際に発生している第1発生漏洩電流Ioa(1)が例えば、図5に示すように、象限αに発生している場合についてのベクトル演算について説明する。この時、漏洩電流検出部13の精度が正確であれば、漏洩電流検出部13は、第1発生漏洩電流Ioa(1)と同じ大きさかつ同じ方向の第1測定漏洩電流Iom(1)を検出し取得する。
そこに、図6(a)に示すように、基準位相と同位相の試験電流Itが出力されると、被測定電線路6に試験電流Itのベクトルが発生する。被測定電線路6には、試験電流Itの出力前後で変わらず第1発生漏洩電流Ioa(1)が発生しているため、試験電流Itが出力されている状態では、第1発生漏洩電流Ioa(1)と試験電流Itのベクトル和である第2発生漏洩電流Ioa(2)が象限αに発生する。この時、漏洩電流検出部13の精度が正確であれば、漏洩電流検出部13は第2発生漏洩電流Ioa(2)と同じ大きさかつ位相の第2測定漏洩電流Iom(2)を取得する。
そして、演算制御部16において、図6(b)に示すように、第2測定漏洩電流Iom(2)と第1測定漏洩電流Iom(1)のベクトル差分である漏洩電流変化分ΔIo(2-1)が算出される。
漏洩電流検出部13の精度が正確であれば、算出された漏洩電流変化分ΔIo(2-1)は、試験電流Itと同じスカラ量及び方向を有するベクトル、即ち漏洩電流変化分ΔIoの電流値(大きさ)は試験電流Itの設定試験電流値RMS(It)であり、位相は基準位相と同相である。そのため、動作試験の実行中においては、漏洩電流変化分ΔIo(2-1)を警報閾値Thと比較して警報作動の判定をすることで、零相変流器12を電路3から取り外すことなく警報作動試験をすることができる。
一方、漏洩電流検出部13の測定精度の低下等により、漏洩電流検出部13が漏洩電流Ioを不正確に検出している場合、例えば、図7(a)に示すように、漏洩電流検出部13は、実際に発生している第1発生漏洩電流Ioa(1)及び第2発生漏洩電流Ioa(2)からずれている第1測定漏洩電流Iom(1’)及び第2測定漏洩電流Iom(2’)を検出する。なお、図7(a)では、正確に検出された測定漏洩電流Iomと不正確に検出された測定漏洩電流Iomを区別するために、第1測定漏洩電流をIom(1’)、第2測定漏洩電流をIom(2’)と表記している。
この時、図7(b)に示すように、第2測定漏洩電流Iom(2’)と第1測定漏洩電流Iom(1’)のベクトル差分である漏洩電流変化分ΔIo(2’-1’)は、試験電流Itと、大きさ及び方向のいずれか又は両方において異なる。
従って、動作試験の実行中に、試験電流Itが出力されていない状態で漏洩電流検出部13が検出する第1測定漏洩電流Iom(1)と、試験電流Itが出力されている状態で漏洩電流検出部13が検出する第2測定漏洩電流Iom(2)とに基づいて求めた漏洩電流変化分ΔIoの大きさが、試験電流Itの大きさと異なっていれば、漏洩電流検出部13の検出精度が正確ではない、ということがいえる。同様に、漏洩電流変化分ΔIoの方向が、試験電流Itの方向と異なっていれば、漏洩電流検出部13及び位相差算出部21のいずれか又は両方の検出精度又は算出精度が正確ではない、ということがいえる。
また、図8に示すように、漏洩電流変化分ΔIo(2’-1’)をxy平面のx軸とy軸にそれぞれ平行な直行成分に分解した場合の、x軸に平行な成分のベクトルを基準位相平行成分ΔIo(x)、その大きさをRMS(ΔIo(x))とし、y軸に平行な成分のベクトルを基準位相垂直成分ΔIo(y)、大きさをRMS(ΔIo(y))とする。試験電流Itはx軸に平行かつy軸に垂直であるから基準位相平行成分ΔIo(x)は試験電流Itに平行であり、基準位相垂直成分ΔIo(y)は、試験電流Itに垂直となる。また、基準位相平行成分ΔIo(x)の大きさRMS(ΔIo(x))及び基準位相垂直成分ΔIo(y)の大きさRMS(ΔIo(y))は、変化分電流値RMS(ΔIo)及び変化分位相差θ(ΔIo)を用いて、それぞれ下記(2)及び(3)式により算出される。
RMS(ΔIo(x))=RMS(ΔIo)*|cos(θ(ΔIo))| ・・・(式2)
RMS(ΔIo(y))=RMS(ΔIo)*|sin(θ(ΔIo))| ・・・(式3)
RMS(ΔIo(x))=RMS(ΔIo)*|cos(θ(ΔIo))| ・・・(式2)
RMS(ΔIo(y))=RMS(ΔIo)*|sin(θ(ΔIo))| ・・・(式3)
単相3線式の場合、x軸に平行な成分は漏洩電流の抵抗成分を表しているため、算出された基準位相平行成分ΔIo(x)は漏洩電流変化分ΔIoのA相又はB相の抵抗成分すなわち抵抗成分漏洩電流Iorに該当する。従って、動作試験の実行中においては、基準位相平行成分ΔIo(x)の値が表示部17に抵抗成分漏洩電流Iorとして表示される。
次に、図9を参照しながら三相3線式のデルタ結線の場合について説明する。図9は、三相3線式(デルタ結線)において(a)試験電流Itが出力されていない時の被測定電線路6に発生する発生漏洩電流のベクトルを示す図、(b)試験電流Itが出力されている時の被測定電線路6に発生する漏洩電流を示す図、(c)試験電流Itが出力されている時に検出された測定漏洩電流と投影電流変化分のベクトルを示す図である。
三相3線式デルタ結線の場合は、図2(b)に示すように、例えばS相接地に対するS相、T相、R相の3相から構成される。本実施形態では、基準電圧検出部11は、R相とT相に電気的に接続されて基準電圧Vrefを検出する。図9の各xy平面は、基準電圧Vrefの位相(基準位相)を0°としたときの、被測定電線路6に発生する漏洩電流Ioについて、電流値(実効値)を矢印の長さ(大きさ、スカラ量)、基準位相に対する位相差を0°~360°の範囲で表される方向、によるベクトルとして示す平面である。図9(a)に示すようにR相-T相で取得される基準電圧Vrefのベクトルはx軸と平行になり、基準位相は0°である。単相3線式の時と同様に、右上を象限α、左上を象限β、左下を象限γ、右下を象限δと呼ぶ。
試験電流Itが出力されていない時に電路3(被測定電線路6)に実際に発生している第1発生漏洩電流Ioa(1)が例えば、図9(a)に示すように、象限βに発生している場合についてのベクトル演算について説明する。この時、漏洩電流検出部13の精度が正確であれば、漏洩電流検出部13は、第1発生漏洩電流Ioa(1)と同じ大きさかつ同じ方向の第1測定漏洩電流Iom(1)を検出し取得する。
そこに、図9(b)に示すように、基準位相と同位相の試験電流Itが出力されると、被測定電線路6に試験電流Itのベクトルが発生する。被測定電線路6には、試験電流Itの出力前後で変わらず第1発生漏洩電流Ioa(1)が発生しているため、試験電流Itが出力されている状態では、第1発生漏洩電流Ioa(1)と試験電流Itのベクトル和である第2発生漏洩電流Ioa(2)が象限α又はβに発生する。この時、漏洩電流検出部13の精度が正確であれば、図9(c)に示すように、漏洩電流検出部13は第2発生漏洩電流Ioa(2)と同じ大きさかつ同じ方向の第2測定漏洩電流Iom(2)を取得する。
そして、演算制御部16において、第2測定漏洩電流Iom(2)と第1測定漏洩電流Iom(1)のベクトル差分である漏洩電流変化分ΔIoが算出される。漏洩電流検出部13の精度が不正確な場合、及び直交成分の算出については、単相3線式と同様であるため、説明を省略する。
次に、図10を参照しながら三相3線式のスター結線の場合について説明する。図10は、三相3線式(スター結線)において、(a)試験電流が出力されていない時の被測定電線路6に発生する発生漏洩電流のベクトルを示す図、(b)試験電流が出力されている時の被測定電線路6に発生する漏洩電流を示す図、(c)試験電流が出力されている時に検出された測定漏洩電流と漏洩電流変化分のベクトルを示す図である。
三相3線式スター結線の場合は、図2(c)に示すように、例えば中性点接地に対するS相、T相、R相の3相から構成される。本実施形態では、基準電圧検出部11は、R相とT相に電気的に接続されて基準電圧Vrefを検出する。図10の各xy平面は、基準電圧Vrefの位相(基準位相)を0°としたときの、被測定電線路6に発生する漏洩電流Ioについて、電流値(実効値)を矢印の長さ(大きさ、スカラ量)、基準位相に対する位相差を0°~360°の範囲で表される方向、によるベクトルとして示す平面である。図10(a)に示すようにR相-T相の間で取得される基準電圧Vrefのベクトルはx軸と平行になり、基準位相は0°である。単相3線式の時と同様に、右上を象限α、左上を象限β、左下を象限γ、右下を象限δと呼ぶ。
試験電流Itが出力されていない時に電路3(被測定電線路6)に実際に発生している第1発生漏洩電流Ioa(1)が例えば、図10(a)に示すように、象限δに発生している場合についてのベクトル演算について説明する。この時、漏洩電流検出部13の精度が正確であれば、漏洩電流検出部13は、第1発生漏洩電流Ioa(1)と同じ大きさかつ同じ方向の第1測定漏洩電流Iom(1)を検出し取得する。
そこに、図10(b)に示すように、基準位相と同位相の試験電流Itが出力されると、被測定電線路6に試験電流Itのベクトルが発生する。被測定電線路6には、試験電流Itの出力前後で変わらず第1発生漏洩電流Ioa(1)が発生しているため、試験電流Itが出力されている状態では、第1発生漏洩電流Ioa(1)と試験電流Itのベクトル和である第2発生漏洩電流Ioa(2)が象限δに発生する。この時、漏洩電流検出部13の精度が正確であれば、図10(c)に示すように、漏洩電流検出部13は第2発生漏洩電流Ioa(2)と同じ大きさかつ同じ方向の第2測定漏洩電流Iom(2)を取得する。
そして、演算制御部16において、第2測定漏洩電流Iom(2)と第1測定漏洩電流Iom(1)のベクトル差分である漏洩電流変化分ΔIoが算出される。漏洩電流検出部13の精度が不正確な場合、及び直交成分の算出については、単相3線式と同様であるため、説明を省略する。
以上のように、各結線方式において、ベクトル演算により漏洩電流変化分ΔIo、漏洩電流変化分ΔIoの直交成分である基準位相平行成分ΔIo(x)及び基準位相垂直成分ΔIo(y)を算出することができる。
<動作試験方法>
図11は、本実施形態における絶縁監視装置の動作試験ルーチンに関するフローチャートである。以下同フローチャートに沿って説明する。当該動作試験ルーチンは、動作試験選択部14がオン動作されことによりスタートする。
図11は、本実施形態における絶縁監視装置の動作試験ルーチンに関するフローチャートである。以下同フローチャートに沿って説明する。当該動作試験ルーチンは、動作試験選択部14がオン動作されことによりスタートする。
まず、ステップS1として、基準電圧検出部11は、電路3の基準電圧Vrefを取得する。また、漏洩電流検出部13は、試験電流Itが未出力の状態における被測定電線路6の第1測定漏洩電流Iom(1)を取得する。
ステップS2として、試験電流出力部15は、大きさが設定試験電流値RMS(It)かつ基準位相と同位相の試験電流Itを試験電流出力線5に出力する。また、演算制御部16は、表示部17に設定試験電流値RMS(It)を表示する。
続くステップS3として、漏洩電流検出部13は、試験電流出力部15から試験電流Itが出力された状態における被測定電線路6の第2測定漏洩電流Iom(2)を取得する。
続くステップS4として、演算制御部16は、制御部25を介して携帯測定端末4から端末測定電流Ihを取得する。
ステップS5として、ベクトル演算部22は、第1測定漏洩電流Iom(1)及び第2測定漏洩電流Iom(2)に基づいて、ベクトル演算を行い、漏洩電流変化分ΔIo、変化分電流値RMS(ΔIo)、及び、変化分位相差θ(ΔIo)を算出する。さらに、ベクトル演算部22は、漏洩電流変化分ΔIoの直交成分である基準位相平行成分ΔIo(x)及び基準位相垂直成分ΔIo(y)を算出する。
続くステップS6として、演算制御部16は、表示部17に変化分電流値RMS(ΔIo)、変化分位相差θ(ΔIo)、基準位相平行成分ΔIo(x)を表示させる。
ステップS7として、判定部23は、警報作動判定を行う。当該判定結果が真(Yes)である場合、ステップS8に進む。一方、当該判定結果が偽(No)である場合、ステップS9に進む。
ステップS8では、即ち、ステップS7の警報作動判定において真(Yes)であると判定された場合は、演算制御部16は、警報出力部18において漏電検出警報を生成、出力して、ステップS9へ進む。
ステップS9では、即ち、ステップS7の警報作動判定において偽(No)であると判定された場合、又は、ステップS8の動作が警報のリセット等により完了した場合、判定部23は、精度判定、Ior電流値精度判定、Ior位相差精度判定を行う。これらのいずれかの判定結果が真(Yes)である場合は、ステップS10に進む。一方、これらすべての判定結果が偽(No)である場合は、ステップS11へ進む。
ステップS10では、即ち、ステップS9の精度判定、Ior電流値判定、Ior位相差判定のいずれかにおいて、真(Yes)であると判定された場合は、演算制御部16の要求により、警報出力部18において漏洩電流検出部13の精度異常警報が生成、出力されて、ステップS11へ進む。
ステップS11では、即ち、ステップS9の精度判定、Ior電流値判定、Ior位相差判定のすべてにおいて偽(No)と判定された場合、又は、ステップS10の動作が警報のリセット等により完了した場合、演算制御部16は、動作試験選択部14のオフ動作による解除要求を受信すると、試験電流出力部15において試験電流Itの出力を停止して、当該ルーチンをリターンする。
<動作試験プログラム>
絶縁監視装置1の零相変流器12を電路3から取り外すことなく、絶縁監視装置1の動作試験を行う絶縁監視装置1の動作試験プログラムは、主に以下の工程で構成されており、コンピュータ500(ハードウェア)によって実行される。
絶縁監視装置1の零相変流器12を電路3から取り外すことなく、絶縁監視装置1の動作試験を行う絶縁監視装置1の動作試験プログラムは、主に以下の工程で構成されており、コンピュータ500(ハードウェア)によって実行される。
工程1(基準電圧検出工程):電路3のいずれか2相の間に印加されている電圧を検出し、基準電圧Vrefとして取得する工程
工程2(第1測定漏洩電流取得工程):電路3に流れる漏洩電流を検出して第1測定漏洩電流Iom(1)として取得する工程
工程3(試験電流出力工程):所定の大きさ且つ基準電圧Vrefと同期する(すなわち基準電圧Vrefと同じ周波数及び同じ位相の)試験電流Itを試験電流出力線5に出力する工程
工程4(第2測定漏洩電流取得工程):試験電流Itが試験電流出力線5に出力されている時に電路3と試験電流出力線5(被測定電線路6)に流れる漏洩電流を検出して第2測定漏洩電流Iom(2)として取得する工程
工程5(演算工程):第1測定漏洩電流Iom(1)及び第2測定漏洩電流Iom(2)に基づいて漏洩電流検出部13の検出精度に関する情報を生成する工程
工程2(第1測定漏洩電流取得工程):電路3に流れる漏洩電流を検出して第1測定漏洩電流Iom(1)として取得する工程
工程3(試験電流出力工程):所定の大きさ且つ基準電圧Vrefと同期する(すなわち基準電圧Vrefと同じ周波数及び同じ位相の)試験電流Itを試験電流出力線5に出力する工程
工程4(第2測定漏洩電流取得工程):試験電流Itが試験電流出力線5に出力されている時に電路3と試験電流出力線5(被測定電線路6)に流れる漏洩電流を検出して第2測定漏洩電流Iom(2)として取得する工程
工程5(演算工程):第1測定漏洩電流Iom(1)及び第2測定漏洩電流Iom(2)に基づいて漏洩電流検出部13の検出精度に関する情報を生成する工程
ここで、コンピュータ500の構成と動作について図を用いて説明する。図14は、コンピュータ500の構成を示すブロック図である。図15は、ハードウェアの構成を示すブロック図である。
コンピュータ500は、図14に示すように、プロセッサ501と、メモリ502と、ストレージ503と、入出力I/F504と、通信I/F505とがバスA上に接続されて構成されており、これらの各構成要素の協働により、本開示に記載される機能、及び/又は、方法を実現する。
入出力I/F504には、例えば、各種の情報を表示するディスプレイ、及び、ユーザの操作を受け付けるタッチパネルなどが接続される。タッチパネルは、ディスプレイの前面に配置される。よって、ユーザは、ディスプレイに表示されるアイコンを指でタッチ操作などをすることにより、直感的な操作を行うことができる。なお、タッチパネルは、ディスプレイの前面に配置されていなくてもよい。また、タッチパネルに代えて、又は、タッチパネルと共に、キーボード及びマウスなどのポインティングデバイスが入出力I/F504に接続される構成でもよい。また、入出力I/F504には、外部に音声を出力するスピーカや、外部の音声が入力されるマイクが接続されてもよい。
ディスプレイは、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどにより構成され、プロセッサ501による制御の下、種々の情報を表示することで、表示部17の機能の一部を実現する。プロセッサ501が支援プログラムに基づいてディスプレイを制御することにより、表示部17の一部の機能が実現される。
メモリ502は、RAM(Random Access Memory)で構成される。RAMは、揮発メモリ又は不揮発性メモリで構成されている。
ストレージ503は、ROM(Read Only Memory)で構成される。ROMは、不揮発性メモリで構成されており、例えば、HDD(Hard Disc Drive)又はSSD(Solid State Drive)により実現される。ストレージ503には、上述した工程1から工程5で実現される動作試験プログラムなどの各種のプログラムが格納されている。
例えば、プロセッサ501は、コンピュータ500全体の動作を制御する。プロセッサ501は、ストレージ503からオペレーティングシステムや多様な機能を実現する様々なプログラムをメモリ502にロードし、ロードしたプログラムに含まれる命令を実行する演算装置である。
具体的には、プロセッサ501は、ユーザの操作を受け付けた場合、ストレージ503に格納されているプログラム(例えば、動作試験プログラム)を読み出し、読み出したプログラムをメモリ502に展開し、プログラムを実行する。また、プロセッサ501が動作試験プログラムを実行することにより、演算制御部16の各機能が実現される。
ここで、プロセッサ501の構成について説明する。プロセッサ501は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、これら以外の各種演算装置、又はこれらの組み合わせにより実現される。
また、本開示に記載される機能、及び/又は、方法を実現するために、プロセッサ501、メモリ502及びストレージ503などの機能の一部又は全部は、図15に示すように、専用のハードウェアである処理回路601で構成されてもよい。処理回路601は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化されたプロセッサ、並列プログラム化されたプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はこれらを組み合わせたものである。
また、プロセッサ501は、単一の構成要素として説明したが、これに限られず、複数の物理的に別体のプロセッサの集合により構成されてもよい。本明細書において、プロセッサ501によって実行されるとして説明されるプログラム又は当該プログラムに含まれる命令は、単一のプロセッサ501で実行されてもよいし、複数のプロセッサにより分散して実行されてもよい。また、プロセッサ501によって実行されるプログラム又は当該プログラムに含まれる命令は、複数の仮想プロセッサにより実行されてもよい。
通信I/F505は、所定の通信規格に準拠したインターフェイスであり、有線又は無線により外部装置と通信を行う。
このようにして、絶縁監視装置1の動作試験プログラムは、コンピュータ500で実行されることにより、絶縁監視装置1の零相変流器12を電路3から取り外すことなく、絶縁監視装置1の動作試験を行う好適に行うことができる。
以上のように本実施形態の絶縁監視装置1では、電路3が活線状態のままで、動作試験を実行する。そして、演算制御部16が、試験電流Itが出力されていない時に漏洩電流検出部13により検出された第1測定漏洩電流Iom(1)と、試験電流Itが出力されている時に漏洩電流検出部13により検出された第2測定漏洩電流Iom(2)とを取得し、これらをベクトル差分することにより漏洩電流変化分ΔIoを算出する。そして絶縁監視装置1は、算出した漏洩電流変化分ΔIoを漏洩電流検出部13により検出された試験電流Itと見なして動作試験の警報作動判定及び精度判定を行う。そのため、電路3から零相変流器12を取り外す必要がなく安全に動作試験を行うことができる。また、電路3を停電とする必要がないため、電路3の設備利用者の負担が軽減する。さらに、試験電流Itの出力が数秒で完結するため、短時間での動作試験が可能となり、動作試験において電路3の漏電状況の変動による影響を受けにくくなる。
また、判定部23は、漏洩電流変化分ΔIoに基づいて警報動作判定及び精度判定を行う。ここで、漏洩電流変化分ΔIoは理論的には試験電流Itと同じ大きさ(スカラ量)及び同じ方向(位相差)のベクトルとなり、実質同一である。そのため、試験電流Itの設定試験電流値RMS(It)は警報閾値Th以上であれば、任意かつ既知の電流値を設定して動作試験及び精度試験を行うことができる。このように、試験電流Itに既知の電流値を設定できることにより、試験電流Itの出力構成を簡易なものとでき、試験電流Itの出力も数秒で完結するため短時間での動作試験が可能となるため電路3の漏電状況変化の発生に影響されずにより正確な動作試験を行うことができる。また、漏洩電流検出部13で取得した電流値を用いずに試験電流Itの電流値を設定できる。そのため、漏洩電流検出部13の検出精度をより正確に診断できる。また、絶縁監視装置1は、例えば試験電流Itを出力する前の状態(出力していない状態)において、電路3に既に警報閾値Th以上の漏洩電流Ioが流れており絶縁監視装置1の機能により警報状態となる場合であっても、所定の試験電流Itを出力し、試験電流出力前後の変化分である漏洩電流変化分ΔIoを用いることで、警報動作判定及び精度判定を行うことができる。すなわち、動作試験前、具体的には試験電流出力前の電路3の状態に関わらず、動作試験及び精度試験を行うことができる。
また、校正された携帯測定端末4により試験電流Itを検出した端末測定電流Ihを取得して、算出した漏洩電流変化分ΔIoと比較することで、漏洩電流検出部13の検出結果の精度を自動で判定する。これにより、作業者又は遠隔において精度異常をより短時間に効率よく把握できる。また、携帯測定端末4以外の外部機器を必要としないため、簡易な構成で動作試験を行うことができる。
また、算出した漏洩電流変化分ΔIoを設定試験電流値RMS(It)と比較することで、漏洩電流検出部13の検出結果の精度を自動で判定する。これにより、装置単体で精度試験を含む動作試験をより簡易な構成で短時間に容易に実施することができる。
また、漏洩電流変化分ΔIoについて、変化分位相差θ(ΔIo)、試験電流Itと並行なベクトル成分である基準位相平行成分ΔIo(x)、及び、垂直なベクトル成分である基準位相垂直成分ΔIo(y)を算出することで、Ior測定方式の演算において必要な漏洩電流検出部13の検出精度、及び位相差算出部21の検出精度の確認診断が可能となる。
また、ベクトル演算の結果を表示部17に表示することで、作業者にとっても携帯測定端末4の計測結果と容易に比較することができ、作業効率が向上する。さらに、精度判定の結果により警報を出力することで、作業者又は遠隔において精度異常をより効率的に把握できる。
以上のことから、本実施形態に係る絶縁監視装置1は、絶縁監視装置1の動作試験及び精度試験を簡易な構成により、短時間で安全かつ正確に実施することができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。
例えば上記実施形態では、電路3は単相3線式又は三相3線式であったが、電路3は、単相2線式、又は、三相4線式(スター結線)でも構わない。
また、上記実施形態では、基準電圧検出部11は、電路3の3相のうち、いずれか2相に電気的に接続されていたが、電路3の3相すべてに接続されて、そのうちのいずれか2相の間に印加されている電圧を検出してもよい。
また、上記実施形態では、零相変流器12は、電路3を一括で貫通していたが、電路3の3相3線の一括貫通に替えて、低圧側のB種接地線Gのみを貫通してもよい。これにより、ZCT径が小さい安価なものを使用することができる。
上記実施形態では、演算制御部16が制御部25を介して携帯測定端末4から端末測定電流Ihを取得する動作はステップS4において実行されていたが、ステップS2の試験電流It出力より後であり、ステップS9の精度判定より前に実行されれば良い。
また、上記実施形態では、判定部23が行う精度判定及びIor電流値精度判定において、差分の算出に端末測定電流Ihの電流値RMS(Ih)を用いていたが、代わりに絶縁監視装置1内部に記憶されている試験電流Itの出力値である設定試験電流値RMS(It)を用いて差分を算出してもよい。これにより、携帯測定端末4を用いずに、絶縁監視装置1の出荷時又は定期校正時の校正の信頼度に基づいて漏洩電流検出部13の検出精度を補助的に診断することができる。
また、上記実施形態では、判定部23が行うIor位相差精度判定において、変化分位相差θ(ΔIo)が基準位相(0°)に対して所定の誤差の範囲外であるか否かを判定しいていたが、代わりに、基準位相垂直成分ΔIo(y)用いて位相差の検出精度の判定をしてもよい。
また、上記実施形態では、表示部17において図3に示すように、数値のみの表示を行っていたが、表示部17にさらに表示領域を設け、図5から図10に示すようなベクトル図を表示してもよい。これにより、作業者が視覚的に把握することができる。
試験電流出力部15は、試験電流Itの所定の位相について、動作試験前に絶縁監視装置1において予め設定したり記憶させたりできてもよい。また、試験電流出力部15は、絶縁監視装置1の前面パネル等において、出力する試験電流Itの位相を変更したり設定したりでき、設定した位相を出力する性能について出荷時に又は定期校正によって校正されていてもよい。これにより、試験電流出力が基準電圧位相とうまく同期しない場合に、試験電流出力部15の簡易的な調整(一時的な校正)が可能となる。
例えば上記実施形態では、携帯測定端末4は、試験電流出力線5の電流を検出する機能のみを備えていたが、図12に示す第1変形例のように、電路3の3相のうちいずれか2相に電気的に接続して端末測定電圧Vhを取得する機能を備え、端末測定電圧Vhに基づいて検出した端末測定電流Ihの抵抗成分である端末測定抵抗成分電流Iorhを算出、表示、出力できる端末であってもよい。そして、図13の当該第1変形例の動作試験フローに示すように、絶縁監視装置1の演算制御部16は、携帯測定端末4から端末測定電流Ih、端末測定電圧Vh、端末測定抵抗成分電流Iorhのそれぞれを端末測定情報として取得し、ステップS9の精度判定において、さらに基準位相平行成分ΔIo(x)と端末測定抵抗成分電流Iorhとの差分を算出し、当該差分が所定の誤差の範囲外であるか否かを判定し、範囲外と判定された場合には、ステップS10において抵抗成分漏洩電流Iorの測定誤差として別途の警報を生成、出力してもよい。これにより、絶縁監視装置1のIor方式による測定の測定誤差をより正確に把握することができる。
1 :絶縁監視装置
2 :変圧器
3 :電路(監視対象電路)
4 :携帯測定端末
5 :試験電流出力線
6 :被測定電線路
11 :基準電圧検出部
12 :零相変流器
13 :漏洩電流検出部
14 :動作試験選択部
15 :試験電流出力部
16 :演算制御部(演算部)
17 :表示部
18 :警報出力部
21 :位相差算出部
22 :ベクトル演算部
23 :判定部
24 :抵抗成分漏洩電流算出部
25 :制御部
2 :変圧器
3 :電路(監視対象電路)
4 :携帯測定端末
5 :試験電流出力線
6 :被測定電線路
11 :基準電圧検出部
12 :零相変流器
13 :漏洩電流検出部
14 :動作試験選択部
15 :試験電流出力部
16 :演算制御部(演算部)
17 :表示部
18 :警報出力部
21 :位相差算出部
22 :ベクトル演算部
23 :判定部
24 :抵抗成分漏洩電流算出部
25 :制御部
Claims (12)
- 交流回路の監視対象電路のいずれか2相の間に印加されている電圧を検出し基準電圧として取得する基準電圧検出部と、
前記基準電圧と同期する試験電流を試験電流出力線に出力可能な試験電流出力部と、
前記監視対象電路及び前記試験電流出力線の電流検出結果に基づいて測定漏洩電流を取得する漏洩電流検出部と、
前記試験電流が出力されていない時に前記漏洩電流検出部により取得された第1測定漏洩電流と、前記試験電流が出力されている時に前記漏洩電流検出部により取得された第2測定漏洩電流と、に基づいて前記漏洩電流検出部の検出精度に関する情報を生成する演算部と、
を備える絶縁監視装置。 - 前記基準電圧に対する前記測定漏洩電流の位相差を検出する位相差算出部をさらに備える、
請求項1に記載の絶縁監視装置。 - 前記漏洩電流検出部は、前記第1測定漏洩電流の実効値及び前記第2測定漏洩電流の実効値を算出し、
前記演算部は、前記第1測定漏洩電流について前記位相差算出部により検出された第1測定位相差と、前記第2測定漏洩電流について前記位相差算出部により検出された第2測定位相差と、前記第1測定漏洩電流の実効値と、前記第2測定漏洩電流の実効値と、に基づいて、前記第1測定漏洩電流と前記第2測定漏洩電流とをベクトル演算して漏洩電流変化分を算出する、
請求項2に記載の絶縁監視装置。 - 前記演算部は、
測定端末による前記試験電流の検出結果である端末測定電流を当該測定端末から取得し、
当該端末測定電流と前記漏洩電流変化分とに基づいて、前記漏洩電流検出部の検出精度を診断する、
請求項3に記載の絶縁監視装置。 - 前記演算部は、前記試験電流の出力値と前記漏洩電流変化分とに基づいて、前記漏洩電流検出部の検出精度を診断する、
請求項3又は4に記載の絶縁監視装置。 - 前記演算部は、前記漏洩電流変化分の前記基準電圧に対する位相差を算出する、
請求項3から5のいずれかに記載の絶縁監視装置。 - 前記演算部は、前記漏洩電流変化分のうち、前記試験電流と平行なベクトル成分を算出する、
請求項3から6のいずれかに記載の絶縁監視装置。 - 前記漏洩電流変化分を表示する表示部をさらに備える、
請求項3から7のいずれかに記載の絶縁監視装置。 - 前記表示部は、前記漏洩電流変化分の前記基準電圧に対する位相差を表示する
請求項8に記載の絶縁監視装置。 - 交流回路の監視対象電路のいずれか2相の間に印加されている電圧を検出し基準電圧として取得する基準電圧検出部と、
前記基準電圧と同期する試験電流を試験電流出力線に出力可能な試験電流出力部と、
前記監視対象電路及び前記試験電流出力線を流れる前記試験電流を含む漏洩電流を検出し測定漏洩電流として取得する漏洩電流検出部と、
前記試験電流が出力されていない時に前記漏洩電流検出部により検出された第1測定漏洩電流と、前記試験電流が出力されている時に前記漏洩電流検出部により検出された第2測定漏洩電流と、に基づいて前記漏洩電流検出部の検出精度に関する情報を生成する演算部と、
を備える、
絶縁監視装置の動作試験システム。 - 交流回路の監視対象電路の漏洩電流を検出する絶縁監視装置の、当該漏洩電流の検出精度に関する情報を、コンピュータが、生成する動作試験方法であって、
前記監視対象電路のいずれか2相の間に印加されている電圧を検出し基準電圧として取得する基準電圧検出工程と、
前記監視対象電路に流れる漏洩電流を検出して第1測定漏洩電流として取得する第1測定漏洩電流取得工程と、
前記基準電圧と同期する試験電流を試験電流出力線に出力する試験電流出力工程と、
前記試験電流が出力されている時に前記監視対象電路と前記試験電流出力線に流れる前記試験電流を含む漏洩電流を検出して第2測定漏洩電流として取得する第2測定漏洩電流取得工程と、
第1測定漏洩電流及び第2測定漏洩電流に基づいて前記検出精度に関する情報を生成する演算工程と、
を備える絶縁監視装置の動作試験方法。 - 交流回路の監視対象電路の漏洩電流を検出する絶縁監視装置の、当該漏洩電流の検出精度に関する情報を生成する動作試験プログラムであって、
前記監視対象電路のいずれか2相の間に印加されている電圧を検出し基準電圧として取得する基準電圧検出工程と、
前記監視対象電路に流れる漏洩電流を検出して第1測定漏洩電流として取得する第1測定漏洩電流取得工程と、
前記基準電圧と同期する試験電流を試験電流出力線に出力する試験電流出力工程と、
前記試験電流が出力されている時に前記監視対象電路と前記試験電流出力線に流れる前記試験電流を含む漏洩電流を検出して第2測定漏洩電流として取得する第2測定漏洩電流取得工程と、
第1測定漏洩電流及び第2測定漏洩電流に基づいて前記検出精度に関する情報を生成する演算工程と、
をコンピュータによって実現するための、
絶縁監視装置の動作試験プログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022006862A JP2023105867A (ja) | 2022-01-20 | 2022-01-20 | 絶縁監視装置、絶縁監視装置の動作試験システム、絶縁監視装置の動作試験方法、及び絶縁監視装置の動作試験プログラム |
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- 2022-01-20 JP JP2022006862A patent/JP2023105867A/ja active Pending
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