JP6704340B2 - タイヤ - Google Patents
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Description
[1] 樹脂を含む環状のタイヤ骨格体と、前記タイヤ骨格体における内周面の少なくとも一部に設けられ、ウレタン樹脂を含む樹脂層であって、前記樹脂層の引張弾性率が2Ma以上50MPa以下であり、前記樹脂層の引張弾性率が前記タイヤ骨格体の引張弾性率の0.01倍以上0.50倍以下であり、かつ、前記樹脂層の軟化点が80℃以上である、樹脂層と、を有するタイヤ。
[2] 前記樹脂層の厚みは、1μm以上1000μm以下である[1]に記載のタイヤ。
[3] 前記ウレタン樹脂は、三次元網目構造を有する[1]又は[2]に記載のタイヤ。
[4] 前記ウレタン樹脂は、モノマー単位として、ポリイソシアネートと、ポリエーテルポリオール及びポリカーボネートポリオールから選択される少なくとも1種と、を含む[1]〜[3]のいずれか1つに記載のタイヤ。
[6] 前記樹脂層の表面抵抗値は、1.0×104Ω/sq以上2.0×1010Ω/sq以下である[1]〜[5]のいずれか1つに記載のタイヤ。
[7] 前記樹脂層は、グリセリン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アルキル硫酸塩、ショ糖脂肪酸エステル、及びグリセリン脂肪酸エステルから選択される少なくとも1種をさらに含む[1]〜[6]のいずれか1つに記載のタイヤ。
また、「ゴム」とは、弾性を有する高分子化合物であるが、本明細書では、熱可塑性エラストマーとは区別される。
また、「熱可塑性エラストマー」とは、弾性を有する高分子化合物であって、結晶性で融点の高いハードセグメント若しくは高い凝集力のハードセグメントを構成するポリマーと、非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを構成するポリマーとを有する共重合体を意味する。
また、「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本発明のタイヤは、樹脂を含む環状のタイヤ骨格体と、前記タイヤ骨格体における内周面の少なくとも一部に設けられ、ウレタン樹脂を含み、軟化点が80℃以上である樹脂層と、を有する。
したがって、例えば軟化点が80℃未満の保護膜をタイヤ骨格体の内周面に設けた場合は、走行中の発熱によって保護膜が変形し、保護膜としての機能が果たせなくなる場合がある。
そのため、樹脂層が設けられていない場合に比べて、路面から受ける衝撃や振動によるタイヤ骨格体の歪みが樹脂層によって分散され、タイヤ骨格体の内周面における亀裂の発生が抑制され、タイヤの耐久性が向上する。また、樹脂層の軟化点が80℃以上であることにより、軟化点が80℃未満の樹脂層が設けられている場合に比べ、走行中にタイヤ骨格体の内部が温度上昇しても、路面から受ける衝撃や振動によるタイヤ骨格体の歪みを分散する樹脂層の機能が維持される。さらに、樹脂層がウレタン樹脂を含むことにより、他の樹脂(例えばポリスチレン樹脂)からなる樹脂層が形成されている場合に比べ、柔軟性があり亀裂を抑制するという利点がある。
加えて、樹脂層の引張弾性率が前記範囲であることにより、前記範囲より小さい場合に比べ、走行時の衝撃による樹脂層の剥離が抑制され亀裂抑制効果が持続しやすく、前記範囲より大きい場合に比べ、樹脂層の柔軟性により亀裂抑制効果がさらに得られやすい。また、樹脂層の引張弾性率のタイヤ骨格体に対する比率が前記範囲であることにより、前記範囲より小さい場合に比べ、走行時の衝撃による樹脂層の剥離が抑制されるため、亀裂抑制効果が持続しやすく、前記範囲より大きい場合に比べ、樹脂層の柔軟性により亀裂抑制効果がさらに得られやすい。
以上のことから、本発明のタイヤは、樹脂を含むタイヤ骨格体の内周面における亀裂の発生が抑制されると考えられる。
また、上記引張弾性率は、引張試験機(RTF−1210、エーアンドデー社製)を用いて、室温(25℃)下、引張速度100mm/分で測定し、初期傾きから求めた引張弾性率の値である。
以下、本発明のタイヤの一実施態様で用いられるタイヤ骨格体、樹脂層、及びタイヤの実施形態について説明する。
タイヤ骨格体は、樹脂を含む環状の部材である。タイヤ骨格体は、ビード部を含む単一の層からなる部材であり、タイヤ形状を維持し、荷重保護機能を有する。つまり、樹脂を含むタイヤ骨格体は、例えば、タイヤ形状を維持し、かつ、従来のゴム製のタイヤに比べ、薄肉、軽量化を図る目的で設計されている。
タイヤ骨格体は、樹脂(すなわち樹脂成分)を含む樹脂材料を用いて形成することができる。タイヤ骨格体の形成に用いられる樹脂材料は、樹脂を少なくとも含んでいればよく、本発明の効果を損なわない範囲で、添加剤等の他の成分を含んでもよい。ただし、前記樹脂材料中における樹脂の含有量は、樹脂材料の総量に対して、50質量%以上が好ましく、90質量%以上が更に好ましい。
熱可塑性樹脂としては、ポリアミド系熱可塑性樹脂、ポリエステル系熱可塑性樹脂、オレフィン系熱可塑性樹脂、ポリウレタン系熱可塑性樹脂、塩化ビニル系熱可塑性樹脂、ポリスチレン系熱可塑性樹脂等を例示することができる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、熱可塑性樹脂としては、ポリアミド系熱可塑性樹脂、ポリエステル系熱可塑性樹脂、及びオレフィン系熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1種が好ましく、ポリアミド系熱可塑性樹脂及びオレフィン系熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1種が更に好ましい。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーとは、結晶性で融点の高いハードセグメントを形成するポリマーと非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを形成するポリマーとを有する共重合体からなる熱可塑性の樹脂材料であって、ハードセグメントを形成するポリマーの主鎖にアミド結合(−CONH−)を有するものを意味する。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、少なくともポリアミドが結晶性で融点の高いハードセグメントを形成し、他のポリマー(例えば、ポリエステル、ポリエーテル等)が非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを形成している材料が挙げられる。また、ポリアミド系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメント及びソフトセグメントの他に、ジカルボン酸等の鎖長延長剤を用いて形成されてもよい。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーとしては、具体的には、JIS K6418:2007に規定されるアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)等や、特開2004−346273号公報に記載のポリアミド系エラストマー等を挙げることができる
ポリアミド系熱可塑性エラストマーにおいて、ハードセグメントを形成するポリアミドとしては、例えば、下記一般式(1)又は一般式(2)で表されるモノマーによって生成されるポリアミドを挙げることができる。
また、一般式(2)中、R2としては、炭素数3〜18の炭化水素の分子鎖、例えば炭素数3〜18のアルキレン基が好ましく、炭素数4〜15の炭化水素の分子鎖、例えば炭素数4〜15のアルキレン基が更に好ましく、炭素数10〜15の炭化水素の分子鎖、例えば炭素数10〜15のアルキレン基が特に好ましい。
一般式(1)又は一般式(2)で表されるモノマーとしては、ω−アミノカルボン酸又はラクタムが挙げられる。また、ハードセグメントを形成するポリアミドとしては、これらω−アミノカルボン酸又はラクタムの重縮合体、ジアミンとジカルボン酸との共縮重合体等が挙げられる。
ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、3−メチルペンタメチレンジアミン、メタキシレンジアミン等の炭素数2〜20の脂肪族ジアミン等のジアミン化合物を挙げることができる。
また、ジカルボン酸は、HOOC−(R3)m−COOH(R3:炭素数3〜20の炭化水素の分子鎖、m:0又は1)で表すことができ、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸を挙げることができる。
ハードセグメントを形成するポリアミドとしては、ラウリルラクタム、ε−カプロラクタム、又はウデカンラクタムを開環重縮合したポリアミドを好ましく用いることができる。
ここで、「ABA型トリブロックポリエーテル」とは、下記一般式(3)に示されるポリエーテルを意味する。
ポリスチレン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、少なくともポリスチレンがハードセグメントを形成し、他のポリマー(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリエチレン、水添ポリブタジエン、水添ポリイソプレン等)が非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを形成している材料が挙げられる。ハードセグメントを形成するポリスチレンとしては、例えば、公知のラジカル重合法、イオン性重合法等で得られるものが好ましく用いられ、具体的には、アニオンリビング重合を持つポリスチレンが挙げられる。また、ソフトセグメントを形成するポリマーとしては、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ(2,3−ジメチル−ブタジエン)等が挙げられる。
また、ソフトセグメントを形成するポリマーの数平均分子量としては、5000〜1000000が好ましく、10000〜800000がより好ましく、30000〜500000が更に好ましい。さらに、ハードセグメント(x)及びソフトセグメント(y)との体積比(x:y)は、成形性の観点から、5:95〜80:20が好ましく、10:90〜70:30がより好ましい。
ポリスチレン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン系共重合体[SBS(ポリスチレン−ポリ(ブチレン)ブロック−ポリスチレン)、SEBS(ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック−ポリスチレン)]、スチレン−イソプレン共重合体(ポリスチレン−ポリイソプレンブロック−ポリスチレン)、スチレン−プロピレン系共重合体[SEP(ポリスチレン−(エチレン/プロピレン)ブロック)、SEPS(ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン)、SEEPS(ポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン)、SEB(ポリスチレン(エチレン/ブチレン)ブロック)]等が挙げられる。
ポリウレタン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、少なくともポリウレタンが物理的な凝集によって疑似架橋を形成しているハードセグメントを形成し、他のポリマーが非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを形成している材料が挙げられる。
ポリウレタン系熱可塑性エラストマーとしては、具体的には、JIS K6418:2007に規定されるポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)が挙げられる。ポリウレタン系熱可塑性エラストマーは、下記式Aで表される単位構造を含むソフトセグメントと、下記式Bで表される単位構造を含むハードセグメントとを含む共重合体として表すことができる。
これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、Rで表される脂環族炭化水素を含むジイソシアネート化合物としては、例えば、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4−シクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。さらに、Rで表される芳香族炭化水素を含む芳香族ジイソシアネート化合物としては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等が挙げられる。
これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、P’で表される脂環族炭化水素を含む脂環族ジオール化合物としては、例えば、シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,3−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール等が挙げられる。
さらに、P’で表される芳香族炭化水素を含む芳香族ジオール化合物としては、例えば、ヒドロキノン、レゾルシン、クロロヒドロキノン、ブロモヒドロキノン、メチルヒドロキノン、フェニルヒドロキノン、メトキシヒドロキノン、フェノキシヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルサルファイド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、ビスフェノールA、1,1−ジ(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)エタン、1,4−ジヒドロキシナフタリン、2,6−ジヒドロキシナフタリン等が挙げられる。
これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリウレタン系熱可塑性エラストマーとしては、具体的には、芳香族ジオールと芳香族ジイソシアネートとからなるハードセグメントと、ポリ炭酸エステルからなるソフトセグメントとの組合せが好ましく、より具体的には、トリレンジイソシアネート(TDI)/ポリエステル系ポリオール共重合体、TDI/ポリエーテル系ポリオール共重合体、TDI/カプロラクトン系ポリオール共重合体、TDI/ポリカーボネート系ポリオール共重合体、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)/ポリエステル系ポリオール共重合体、MDI/ポリエーテル系ポリオール共重合体、MDI/カプロラクトン系ポリオール共重合体、MDI/ポリカーボネート系ポリオール共重合体、及びMDI+ヒドロキノン/ポリヘキサメチレンカーボネート共重合体から選ばれる少なくとも1種が好ましく、TDI/ポリエステル系ポリオール共重合体、TDI/ポリエーテル系ポリオール共重合体、MDI/ポリエステルポリオール共重合体、MDI/ポリエーテル系ポリオール共重合体、及びMDI+ヒドロキノン/ポリヘキサメチレンカーボネート共重合体から選ばれる少なくとも1種が更に好ましい。
オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、少なくともポリオレフィンが結晶性で融点の高いハードセグメントを形成し、他のポリマー(例えば、ポリオレフィン、他のポリオレフィン、ポリビニル化合物等)が非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを形成している材料が挙げられる。ハードセグメントを形成するポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレン、ポリブテン等が挙げられる。
オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、オレフィン−α−オレフィンランダム共重合体、オレフィンブロック共重合体等が挙げられ、具体的には、プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−4−メチル−1ペンテン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−4−メチル−ペンテン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、1−ブテン−4−メチル−ペンテン、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート共重合体、プロピレン−メタクリル酸共重合体、プロピレン−メタクリル酸メチル共重合体、プロピレン−メタクリル酸エチル共重合体、プロピレン−メタクリル酸ブチル共重合体、プロピレン−メチルアクリレート共重合体、プロピレン−エチルアクリレート共重合体、プロピレン−ブチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、プロピレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
また、エチレンとプロピレンといったように2種以上のオレフィン樹脂を組み合わせて用いてもよい。また、オレフィン系熱可塑性エラストマー中のオレフィン樹脂含有率は、50質量%以上100質量%以下が好ましい。
オレフィン系熱可塑性エラストマーは、公知の方法によって共重合することで合成することができる。
「オレフィン系熱可塑性エラストマーを酸変性してなるもの」とは、オレフィン系熱可塑性エラストマーに、カルボン酸基、硫酸基、燐酸基等の酸性基を有する不飽和化合物を結合させることをいう。
オレフィン系熱可塑性エラストマーに、カルボン酸基、硫酸基、燐酸基等の酸性基を有する不飽和化合物を結合させることとしては、例えば、オレフィン系熱可塑性エラストマーに、酸性基を有する不飽和化合物として、不飽和カルボン酸(一般的には、無水マレイン酸)の不飽和結合部位を結合(例えば、グラフト重合)させることが挙げられる。
酸性基を有する不飽和化合物としては、オレフィン系熱可塑性エラストマーの劣化抑制の観点からは、弱酸基であるカルボン酸基を有する不飽和化合物が好ましく、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等が挙げられる。
ポリエステル系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、少なくともポリエステルが結晶性で融点の高いハードセグメントを形成し、他のポリマー(例えば、ポリエステル又はポリエーテル等)が非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを形成している材料が挙げられる。
ハードセグメントを形成するポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等が挙げられ、ポリブチレンテレフタレートが好ましい。
脂肪族ポリエーテルとしては、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとの共重合体等が挙げられる。
脂肪族ポリエステルとしては、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリエナントラクトン、ポリカプリロラクトン、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペート等が挙げられる。
これらの脂肪族ポリエーテル及び脂肪族ポリエステルの中でも、得られるポリエステルブロック共重合体の弾性特性の観点から、ソフトセグメントを形成するポリマーとしては、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペート等が好ましい。
樹脂材料は、所望に応じて、樹脂以外の他の成分を含んでもよい。他の成分としては、例えば、ゴム、各種充填剤(例えば、シリカ、炭酸カルシウム、クレイ)、老化防止剤、オイル、可塑剤、着色剤、耐候剤、補強材等が挙げられる。
樹脂材料に含まれる樹脂の融点は、例えば100℃〜350℃程度が挙げられ、タイヤの耐久性及び生産性の観点から、100℃〜250℃程度が好ましく、120℃〜250℃が更に好ましい。
樹脂層は、タイヤ骨格体における内周面の少なくとも一部に設けられた層である。なお、樹脂層は、タイヤ形状維持機能及び荷重保持機能を有さない層である。
樹脂層は、ウレタン樹脂を含み、引張弾性率及び軟化点が前記条件を満たすものであれば特に限定されず、本発明の効果を損なわない範囲で、ウレタン樹脂以外の樹脂、添加剤等の他の成分を含んでもよい。
樹脂層は、耐光性の観点から、添加剤として、トリアジン系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤、アミン系老化防止剤、及びカーボンブラックから選択される少なくとも1種をさらに含むことが好ましい。
添加剤は、1種のみ添加してもよく、2種以上併用してもよい。
また、タイヤの製造過程において、タイヤ骨格体の内周面に樹脂層を設けた後に、例えばトレッドゴムの加硫等の目的で加熱を行う場合は、樹脂層の軟化点が120℃以上であることがさらに好ましく、140℃以上であることが特に好ましい。
樹脂層の軟化点を調整する手段としては、例えば、ウレタン樹脂の分子量、ウレタン樹脂を構成するモノマー単位の種類及び質量比、ウレタン樹脂が架橋剤による三次元網目構造を有する場合は架橋剤の添加量、樹脂層におけるウレタン樹脂の含有量、添加剤の種類及び添加量等の調整が挙げられる。
以下、樹脂層を構成する各成分、樹脂層の形成方法、樹脂層の特性等について説明する。
ウレタン樹脂としては、例えば、ポリイソシアネートとポリオールとの重合体が挙げられる。すなわち、ウレタン樹脂は、例えば、モノマー単位として、ポリイソシアネートとポリオールとを含むものが挙げられる。
なお、ウレタン樹脂は、モノマー単位として、ポリイソシアネートと、後述するポリエーテルポリオール及びポリカーボネートポリオールから選択される少なくとも一種と、を含むことが好ましい。
ウレタン樹脂は、軟化点の高い樹脂層を形成する観点から、三次元網目構造を有することが好ましい。三次元網目構造を有するウレタン樹脂としては、例えば、3官能以上のポリイソシアネートと3官能以上のポリオールとの重合体、ポリイソシアネートとポリオールとの重合体である架橋前のウレタン樹脂と架橋剤とを含む組成物の硬化物等が挙げられる。
上記ポリイソシアネートは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
低分子ポリオールの具体例としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3‐ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,2‐ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2‐ヘキサンジオール、1,5‐ヘキサンジオール、1,6‐ヘキサンジオール、2,5‐ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,7‐ヘプタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、1,2‐オクタンジオール、1,8−オクタンジオール、2,2,4‐トリメチル−1,3−ペンタンジオール、プロピレンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、水添ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物、2,2‐ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸、2,5,6−トリメトキシ−3,4−ジヒドロキシヘキサン酸、2,3−ジヒドロキシ−4,5−ジメトキシペンタン酸が挙げられる。
ポリオールは、これらの中でも、骨格体に対する力学的追従性の観点から高分子ポリオールが好ましく、さらに耐水性の観点から、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールが好ましい。
極性基としては、カルボキシル基、カルボニルオキシカルボニル基、エポキシ基、ヒドロキシ基、オキシ基、エステル基、シラノール基、シリル基、アミノ基、ニトリル基、スルホ基等が挙げられる。なお、極性基は、ポリイソシアネートとポリオールとの反応後に反応せずに残ったヒドロキシ基であってもよい。
架橋剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
有機イソシアネートとしては、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、及び、それらの混合物が挙げられる。有機イソシアネートが有する有機基としては、芳香族の有機基及び脂肪族の有機基のいずれでもよく、芳香族の有機基及び脂肪族の有機基を組み合わせてもよい。中でも、反応性の観点から、脂肪族の有機基を有する有機イソシアネートが特に好ましい。
なお、カルボジイミド化合物は、通常、有機ジイソシアネートの縮合反応により合成される。
オキサゾリン化合物は、例えば、付加重合性オキサゾリンと、必要に応じて任意の不飽和単量体とを含む単量体成分を、公知の重合法により水性媒体中で溶液重合することにより製造しうる。
付加重合性オキサゾリンの具体例としては、例えば、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等が挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、オキサゾリン化合物の製造に用いうる任意の不飽和単量体は、付加重合性オキサゾリンと共重合可能であり、かつ、オキサゾリン基と反応しない単量体である。
上記膨潤率の測定は以下のようにして行う。具体的には、ウレタン樹脂100質量部を25℃のテトラヒドロフラン溶媒中に48時間浸漬した後、テトラヒドロフラン溶媒中から膨潤体を取り出し、表面を軽く拭いた後のウレタン樹脂(すなわち、ウレタン樹脂にテトラヒドロフランが含有した「ウレタン樹脂のテトラヒドロフラン膨潤体」の質量からウレタン樹脂の質量の増加の割合(質量倍)を求め、得られた値を「膨潤率(質量倍)」とする。つまり、膨潤前のウレタン樹脂の質量をMb、膨潤後のウレタン樹脂(ウレタン樹脂のテトラヒドロフラン膨潤体)の質量をMaとしたとき、膨潤率(質量倍)は下記式で表される。
式:膨潤率(質量倍)=Ma/Mb
重量平均分子量の測定は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、型番:HLC−8320GPC、東ソー社製)を用いて行う。測定条件は、カラム:TSK−GEL SuperHM−M(東ソー社製)、展開溶媒:1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(和光純薬工業製)、カラム温度:40℃、流速:0.3ml/分で、RI検出器を用いて重量平均分子量を求める。
トリアジン系紫外線吸収剤は、トリアジン骨格を有する紫外線吸収剤である。
トリアジン系紫外線吸収剤の具体例としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチルフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシブチル)フェニル〕−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシブチル)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニル〕−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチルフェニル)−4,6−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−4,6−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−4,6−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−s−トリアジン、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール等が挙げられる。
一般式(4)中のR4で示されるアルキルオキシアルキレン基は、例えば、R41−O−L42−で表される。ここで、R41は炭素数1以上20以下の直鎖又は分岐のアルキル基を示し、L42は炭素数1以上20以下の直鎖又は分岐のアルキレン基を示し、R41及びL42の総炭素数は2以上21以下である。
樹脂層がトリアジン系紫外線吸収剤を含むことで、タイヤの耐光性が向上する。そのため、例えばタイヤ骨格体の内周面に太陽光が照射され続けたあとに、タイヤを車両に装着して走行し続けた場合における、タイヤ骨格体の内周面の亀裂の発生が抑制され、タイヤの耐久性が向上する。
樹脂層全体に対するトリアジン系紫外線吸収剤の含有量としては、例えば2質量%以上20質量%以下が挙げられ、耐光性及びウレタン樹脂への溶解性の観点から2質量%以上20質量%以下が好ましく、2質量%以上10質量%以下がより好ましい。
ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤としては、例えば、アミノ基の両隣に置換基を有するアミンが挙げられ、その中でも2,6位を置換された飽和複素環アミンが挙げられる。
ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤の具体例としては、例えば、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2'−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート等が挙げられる。
一般式(5)中のR52は、炭素数1以上36以下の直鎖のアルキル基、又は一般式(6)で表される基が好ましい。
一般式(6)中のR61は、一般式(5)中のR51と同じ基であることが好ましい。
一般式(6)中のL62は、炭素数1以上36以下の直鎖のアルキレン基が好ましい。
一般式(5)で表される化合物は、R52が一般式(6)で表される基であり、かつ、一般式(6)中のR61が一般式(5)中のR51と同じ基であり、一般式(6)中のL62は、炭素数1以上36以下の直鎖のアルキレン基であるものが好ましい。
樹脂層がヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤を含むことで、タイヤの耐光性が向上する。そのため、例えばタイヤ骨格体の内周面に太陽光が照射され続けたあとに、タイヤを車両に装着して走行し続けた場合における、タイヤ骨格体の内周面の亀裂の発生が抑制され、タイヤの耐久性が向上する。
樹脂層全体に対するヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤の含有量としては、例えば0.1質量%以上10質量%以下が挙げられ、耐光性及びウレタン樹脂への溶解性の観点から0.5質量%以上10質量%以下が好ましく、1質量%以上8質量%以下がより好ましい。
アミン系老化防止剤としては、例えば、フェニル−α−ナフチルアミン(PAN)、オクチルジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(DPPD)、N,N’−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン(DNPD)、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン(IPPN)、N,N’−ジアリル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン誘導体、ジアリル−p−フェニレンジアミン混合物、アルキル化フェニレンジアミン、4,4’−ビス(α、α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N−フェニル−N’−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロプロピル)−p−フェニレンジアミン、ジアリルフェニレンジアミン混合物、ジアリル−p−フェニレンジアミン混合物、N−(1−メチルヘプチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、ジフェニルアミン誘導体等が挙げられる。
樹脂層がアミン系老化防止剤を含むことで、タイヤの耐光性が向上する。そのため、例えばタイヤ骨格体の内周面に太陽光が照射され続けたあとに、タイヤを車両に装着して走行し続けた場合における、タイヤ骨格体の内周面の亀裂の発生が抑制され、タイヤの耐久性が向上する。
樹脂層全体に対するアミン系老化防止剤の含有量としては、例えば0.1質量%以上10質量%以下が挙げられ、耐光性及びウレタン樹脂への溶解性の観点から0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、0.5質量%以上5質量%以下がより好ましい。
カーボンブラックとしては、ファーネス法により得られるファーネスブラック、チャンネル法により得られるチャンネルブラック、アセチレン法により得られるアセチレンブラック、サーマル法により得られるサーマルブラック等が挙げられる。カーボンブラックの種類は特に制限されず、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
樹脂層全体に対するカーボンブラックの含有量としては、例えば0.1質量%以上20質量%以下が挙げられ、耐光性及び樹脂層の軟化点調整の観点から4.5質量%以上17質量%以下が好ましく、10質量%以上14.5質量%以下がより好ましい。
その他の添加剤としては、例えば、帯電防止剤、可塑剤、アミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等の酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、オゾン防止剤、レべリング剤、増粘剤、着色剤、発泡剤、消泡剤、沈降防止剤等が挙げられる。
帯電防止剤としては、例えば、グリセリン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アルキル硫酸塩、ショ糖脂肪酸エステル、及びグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
樹脂層は、上記帯電防止剤の中でも、ポリウレタン樹脂との溶解、混合性、帯電防止剤の親水性の観点から、グリセリン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びアルキル硫酸塩から選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。
重量平均分子量及び数平均分子量の測定は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、型番:HLC−8320GPC、東ソー社製)を用いて行う。測定条件は、カラム:TSK−GEL SuperHM−M(東ソー社製)、展開溶媒:1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(和光純薬工業製)、カラム温度:40℃、流速:0.3ml/分である。また、RI検出器を用いて重量平均分子量及び数平均分子量を求める。
樹脂層が上記帯電防止剤を含むことで、静電気の蓄積が抑制され、静電気に起因する誇りの付着等が抑制される。
樹脂層全体に対する帯電防止剤の含有量としては、例えば1質量%以上50質量%以下が挙げられ、帯電防止及び耐水性の観点から1質量%以上30質量%以下が好ましく、2質量%以上20質量%以下がより好ましい。
樹脂層の形成方法は、特に限定されず、公知の方法を適用すればよい。
具体的には、例えば、まず、ウレタン樹脂を構成するモノマーを溶媒に分散させた分散液、ウレタン樹脂そのものを分散させた分散液、架橋前のウレタン樹脂と架橋剤とを溶媒に分散させた分散液等の樹脂層形成用塗布液を準備する。そして、例えば、樹脂層形成用塗布液を、タイヤ骨格体の内周面における樹脂層形成位置に塗布して塗膜を形成した後、必要に応じて塗膜を乾燥させて溶媒を除去し、必要に応じて加熱により塗膜を硬化させることで樹脂層を形成する。
樹脂層形成用塗布液に含まれる溶媒は、特に限定されないが、水系溶媒であることが好ましい。
樹脂層形成用塗布液における固形分濃度は、特に限定されないが、作業性の観点から、例えば20質量%以上90質量%以下の範囲が挙げられる。
なお、後述するように、タイヤの製造過程において加硫工程を経る場合は、加硫工程における加熱が塗膜を硬化させる加熱を兼ねてもよい。加硫工程における加硫温度としては、例えば100℃以上200℃以下が挙げられ、加硫時間としては、例えば5分以上240分以下が挙げられる。
樹脂層の厚みは、特に限定されないが、亀裂抑制の観点から、1μm以上1000μm以下が好ましく、1μm以上400μm以下がより好ましく、5μm以上200μm以下がさらに好ましく、10μm以上150μm以下が特に好ましい。
樹脂層の厚みが上記範囲であることにより、上記範囲よりも薄い場合に比べてタイヤ骨格体の内周面における亀裂抑制の効果が得られやすい。また、樹脂層の厚みが上記範囲であることにより、上記範囲よりも厚い場合に比べて、走行時に受ける衝撃でウレタン樹脂の伸縮が繰り返されることによる樹脂層の剥離が起こりにくく、亀裂抑制の効果が持続しやすい。
また、樹脂層の厚みは、タイヤ耐久性の観点から、タイヤ骨格体の厚みの0.2倍以下であることが好ましく、0.1倍以下であることがより好ましく、0.001倍以上0.07倍以下であることがさらに好ましい。
樹脂層の引張弾性率を上記範囲とする方法としては、例えば、ウレタン樹脂を構成するモノマー種の選択、ウレタン樹脂の分子量の調整、架橋剤の添加量の調整、添加剤の種類及び添加量の調整等が挙げられる。
樹脂層の表面抵抗値を上記範囲とする方法としては、カーボンブラックの含有量の調整、前述の帯電防止剤の種類及び含有量の調整等が挙げられる。
樹脂層は、タイヤ骨格体における内周面の少なくとも一部に設けられていることで、亀裂の発生が抑制されるが、タイヤ骨格体の中でも特に、サイド部における内周面の少なくとも一部に樹脂層が設けられていることが好ましい。タイヤ骨格体のサイド部は、他の位置に比べて特に、走行時における路面からの衝撃を受けやすいため、内周面に樹脂層が設けられることによって、亀裂の発生が抑制されやすい。
なお、樹脂層は、サイド部における内周面の一部に設けられてもよく、サイド部における内周面の全体に設けられてもよい。また、樹脂層は、サイド部以外の場所(クラウン部等)における内周面に設けられていてもよく、サイド部とサイド部以外の場所との両方における内周面に設けられてもよい。ただし、タイヤ骨格体の内周面に光が照射されることによる劣化(すなわち、タイヤ骨格体に含まれる樹脂の劣化)を抑制する観点からは、タイヤ骨格体の内周面全体に樹脂層が設けられていることが好ましい。
また、樹脂層は、タイヤ骨格体の内周面に接触して設けられてもよく、他の層(例えば接着剤層等)を介して設けられていてもよい。
また、トレッド端とは、タイヤをJATMA YEAR BOOK(2009年度版、日本自動車タイヤ協会規格)に規定されている標準リムに装着し、JATMA YEAR BOOKでの適用サイズ・プライレーティングにおける最大負荷能力(内圧−負荷能力対応表の太字荷重)に対応する空気圧(最大空気圧)の100%を内圧として充填し、最大負荷能力を負荷したときのタイヤ幅方向最外の接地部分を指す。なお、使用地又は製造地においてTRA規格、ETRTO規格が適用される場合は各々の規格に従う。
また、ビード部とは、タイヤ径方向内側端からタイヤ断面高さの30%までをいう。
また、クラウン部とは、一方のトレッド端から他方のトレッド端までのことをいう。
本発明のタイヤは、必要に応じてタイヤ骨格体以外の部材を含んでもよい。例えば、タイヤ骨格体の外周に配置又は埋設してタイヤ骨格体を補強するための補強部材を含んでもよい。補強部材としては、スチールコード等の金属部材を樹脂材料で被覆したものが挙げられる。金属部材を被覆する樹脂材料は特に制限されないが、タイヤ走行時に必要とされる弾性、製造時の成形性等の観点からは熱可塑性エラストマーを含むことが好ましい。補強部材の被覆樹脂を加熱してタイヤ骨格体に溶着させる場合は、金属部材を被覆する樹脂材料が、タイヤ骨格体本体を形成する樹脂材料の樹脂と同種の樹脂を含むことが好ましい。なお、「同種」とは、エステル系同士等、樹脂の主鎖を構成する骨格と共通する骨格を備えたものを意味する。
以下、図面を参照して本発明のタイヤの実施形態について説明する。
図1Aは、本実施形態のタイヤ10の一部の断面を示す斜視図である。図1Bは、本実施形態のタイヤ10をリムに装着したときのビード部の断面図である。図1Aに示すように、タイヤ10は、従来一般のゴム製の空気入りタイヤと略同様の断面形状を呈している。図1Aに示すように、タイヤ10は、図1Bに示すリム20のビードシート21およびリムフランジ22に接触する1対のビード部12と、ビード部12からタイヤ径方向外側に延びるサイド部14と、一方のサイド部14のタイヤ径方向外側端と他方のサイド部14のタイヤ径方向外側端とを連結するクラウン部16(外周部)と、からなるタイヤケース17を備えている。
本実施形態では、タイヤケース17の内周面全体にわたって樹脂層15が設けられているが、樹脂層15の形態はこれに限定されるものではない。樹脂層15は、例えば、サイド部14の内周面のみに部分的に設けられてもよく、サイド部14の内周面の中でも特に亀裂が発生しやすい箇所(例えばサイド部とトレッド部との境界部分内側等)に部分的に設けられてもよく、格子状又はストライプ状のような形状で設けられてもよい。また、樹脂層15は、クラウン部16の内周面のみに設けられてもよく、サイド部14及びクラウン部16における内周面のみに設けられてもよい。さらに樹脂層15は、タイヤケース17における内周面の少なくとも一部に設けられていればよく、内周面に加えてその他の箇所(例えば外周面)にも設けられていてもよい。
また本実施形態では、樹脂層15がタイヤケース17の内周面に接して設けられているが、他の層(例えば接着剤層等)を介してタイヤケース17の内周面に設けられていてもよい。
(タイヤケース成形工程)
まず、薄い金属の支持リングに支持されたタイヤケース半体同士を互いに向かい合わせる。次いで、タイヤケース半体の突き当て部分の外周面と接するように接合金型を設置する。接合金型は、タイヤケース半体の接合部(突き当て部分)周辺を所定の圧力で押圧するように構成されている。次いで、タイヤケース半体の接合部周辺を、タイヤケースを構成する樹脂材料の融点以上の温度で押圧することで、接合部が溶融し、タイヤケース半体同士が融着して一体となり、タイヤケース17が形成される。
本実施形態では、接合金型を用いてタイヤケース半体の接合部を加熱したが、本発明はこれに限定されず、例えば、別に設けた高周波加熱機等によって接合部を加熱したり、予め熱風、赤外線の照射等によって軟化または溶融させ、接合金型によって加圧したりして、タイヤケース半体を接合させてもよい。
次に、形成されたタイヤケース17の内周面に、樹脂層15を形成する。樹脂層15の形成は、例えば、前述の樹脂層形成用塗布液を用いて行われる。具体的には、タイヤケース17の内周面のうち樹脂層15を設ける位置に樹脂層形成用塗布液を塗布して塗膜を形成し、乾燥により塗膜に含まれる溶媒の少なくとも一部を除去した後、必要に応じて加熱を行い、塗膜を硬化させることで、樹脂層15が形成される。
なお、本実施形態では、タイヤケース17の形成後に樹脂層15を設けたが、これに限られず、タイヤケース半体に樹脂層15を形成した後にタイヤケース半体を接合し、樹脂層15が設けられたタイヤケース17を形成してもよい。また、樹脂層15の形成は、後述する補強コード部材巻回工程の後でもよく、積層工程の後でもよく、加硫工程の後でもよい。また、樹脂層形成用塗布液の塗布による塗膜の形成及び塗膜の乾燥を加硫工程よりも前に行い、加硫工程における加熱によって樹脂層形成用塗布液の塗膜を硬化させて樹脂層15を形成してもよい。
次に、補強コード26をタイヤケース17に巻回する。補強コード26の巻回は、例えば、図示を省略するコード加熱装置を備えたコード供給装置を用いて行う。
具体的には、例えば、コード加熱装置によって補強コード26が加熱され、補強コード26の被覆用樹脂材料27が溶融または軟化した状態で、回転するタイヤケース17のクラウン部16の外周面に一定のテンションをもって螺旋状に巻きつけられる。このとき、クラウン部16の外周面に、補強コード26の下面26Dが接触する。そして、加熱により溶融または軟化した状態の被覆用樹脂材料27がクラウン部16の外周面上に広がり、クラウン部16の外周面に補強コード26が溶着される。これにより、クラウン部16と補強コード26との接合強度が向上する。
なお、本実施形態では、上述のようにしてクラウン部16の外周面に補強コード26を接合したが、他の方法で接合を行ってもよい。例えば、補強コード26の一部又は全体がクラウン部16に埋設されるように接合を行ってもよい。
次に、図示を省略するブラスト装置にて、補強コード層28の外周面17Sに向け、タイヤケース17側を回転させながら、外周面17Sへ投射材を高速度で射出する。射出された投射材は、外周面17Sに衝突し、この外周面17Sに算術平均粗さRaが0.05mm以上となる微細な粗化凹凸96を形成する。補強コード層28の外周面17Sに微細な粗化凹凸96が形成されることで、外周面17Sが親水性となり、後述する接合剤の濡れ性が向上する。
次に、粗化処理を行なった補強コード層28の外周面17Sに、クッションゴム29を接合するための接合剤を塗布する。接合剤は特に制限されず、トリアジンチオール系接着剤、塩化ゴム系接着剤、フェノール系樹脂接着剤、イソシアネート系接着剤、ハロゲン化ゴム系接着剤、ゴム系接着剤等を用いることができるが、クッションゴム29が加硫できる温度(90℃〜140℃)で反応するものであることが好ましい。
次に、生タイヤケースを加硫缶やモールドに収容して加硫する。このとき、粗化処理によって補強コード層28の外周面17Sに形成された粗化凹凸96に、未加硫のクッションゴム29が流れ込む。そして、加硫が完了すると、粗化凹凸96に流れ込んだクッションゴム29により、アンカー効果が発揮されて、タイヤケース17及び補強コード26とクッションゴム29との接合強度が向上する。すなわち、クッションゴム29を介してタイヤケース17及び補強コード26とトレッド30との接合強度が向上する。
(実施例A1)
−タイヤの作製−
タイヤ骨格体を形成する樹脂材料として、表2に示す組成(骨格体用樹脂材料組成)の樹脂材料を用いた。樹脂材料をペレット化し、射出成形機として三菱重工プラスチックテクノロジー(株)製「1300emII」を用いて成形温度260℃、金型温度60℃、の条件で射出成形し、タイヤケース半体を得た。得られたタイヤケース半体を用いて、上述の実施形態に示した製造方法でタイヤ骨格体(タイヤケース17)を作製した。タイヤ骨格体の厚みは1.5mmであった。
なお、樹脂層形成用塗布液は、表2に示す組成で配合し、メカニックスターラにて室温(25℃)で10分間攪拌することで得た。また、樹脂層形成用塗布液の塗膜を乾燥させる乾燥温度は室温(25℃)、乾燥時間は120分とした。さらに、塗膜の硬化は、150℃の熱風オーブンを用い、加熱温度は150℃、加熱時間は20分とした。
なお、補強コード部材の金属部材(金属部材26A)として、平均直径φ1.15mmのマルチフィラメント(φ0.35mmのモノフィラメント(スチール製、強力:280N、伸度:3%)7本を撚った撚り線)を用いた。また、補強コード部材としては、上記金属部材を、タイヤ骨格体を形成する樹脂材料と同じ組成の樹脂材料(被覆用樹脂材料27)で被覆したものを用いた。
また、加硫工程における加硫温度は150℃、加硫時間は20分とした。
タイヤ骨格体を形成する樹脂材料として、表2に示す組成の樹脂材料を用いた。樹脂材料をペレット化し、電熱プレス(小平製作所製)を用いて、260℃、10MPaの条件下、10分間加熱することで、加熱プレスを行い、長さ150mm、幅50mm、厚み2mmの樹脂プレートを作製した。得られた樹脂プレートから、JISK6251(1993年)に規定されるダンベル状試験片(5号形試験片)を打ち抜き、評価用のタイヤ骨格体試験片を作製した。
形成された樹脂層に含まれるウレタン樹脂のゲル分率を前述の方法で測定したところ、膨潤率が4.0質量倍であった。
樹脂層の膜厚は、デジタルマイクロメータ(MDC−25MX(株式会社ミツトヨ製))及び光学顕微鏡(VHX−5000(キーエンス社製))を用いて、求めた。結果を表2に示す。
上記樹脂層が形成されたタイヤ骨格体試験片を用い、タイヤ骨格体及び樹脂層それぞれについて、引張試験機(RTF−1210、エーアンドデー社製)により、室温下(25℃)、引張速度100mm/分で測定し、初期傾きから引張弾性率を求めた。樹脂層の引張弾性率の値(表2中の「弾性率(MPa)」)及びタイヤ骨格体の引張弾性率に対する樹脂層の引張弾性率の比(表2中の「弾性率比(%)」)を表2に示す。なお、表2に示す「弾性率比(%)」の数値は、「樹脂層の引張弾性率÷タイヤ骨格体の引張弾性率×100」の値である。
上記樹脂層が形成されたタイヤ骨格体試験片を用い、樹脂層について、紫外・可視・近赤外分光光度計(SolidSpec−3700DUV、島津製作所社製)を用いて、紫外線(280nm及び350nm)の光透過率を測定した。350nmの紫外線における透過率(表2中「透過率350nm(%)」)及び280nmの紫外線における透過率(表2中「透過率280nm(%)」を表2に示す。なお、280nmの紫外線における透過率が1%以下、かつ、350nmの紫外線における透過率が2%以下であれば、遮光性が高いと判断した。
樹脂層の形成に用いる樹脂層形成用塗布液として表2に示す組成の分散液を用いた。そして、ガラスシャーレの上に樹脂層形成用塗布液を塗布し、室温(25℃)で120分間乾燥させ、150℃の熱風オーブンを用いて20分間加熱することで、表2に示す膜厚の樹脂膜試験片を得た。
樹脂層のタイヤ骨格体に対する密着性の評価は、上記樹脂層が形成されたタイヤ骨格体試験片を用いて、JISK5600(ISO2409)に基づき、クロスハッチ(碁盤目)試験より行った。
具体的な試験方法は、まず、クロスハッチカッター(モデル295(エリクセン社製))を用いて試験片の樹脂層に1mm間隔で11本のカット線(1)を入れる。カット線(1)に直角に11本のカット線(2)を入れ、1mm方眼の100マスを作成する。100マスの上にセロファンテープを貼り、強制的に引き剥がした後、ルーペを用いて、樹脂層のはがれ具合を調べる。
日本塗料検査協会評価基準に基づき、下記表1に示す通り、10点満点の点数評価を行った。結果を表2に示す。なお、8点以上であれば合格である。
上記樹脂層が形成されたタイヤ骨格体試験片を用い、樹脂層側の面に対して、キセノン耐光促進試験機(Ci4000、アトラス社製)を用いて、光照射を行った。光照射の条件は、照射光量60W/cm2(波長300nm〜400nm)、ブラックパネル温度65℃、湿度50%RH、降雨条件なし、照射時間1000時間とした。
重量平均分子量の測定は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、型番:HLC−8320GPC、東ソー社製)を用いた。測定条件は、カラム:TSK−GEL SuperHM−M(東ソー社製)、展開溶媒:1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(和光純薬工業製)、カラム温度:40℃、流速:0.3ml/分で、RI検出器を用いて重量平均分子量を求めた。
光照射前の試験片における上記重量平均分子量を100としたときの、光照射後の試験片における上記重量平均分子量の換算値を求め、耐光性を評価した。得られた換算値の値を表2(表2中の「耐光性」)に示す。上記換算値が80以上であれば、耐光性があると判断した。
上記樹脂層が形成されたタイヤ骨格体試験片を用い、試験片中央に直径0.3mmの穴をあけ、電磁式サーボ式疲労試験機(EMT−1kNV、島津製作所社製)を用いて、歪11%、周波数17Hz、40℃の条件で繰返し疲労試験を行った。破断するまでの回数を耐亀裂回数とし、結果を表2(表2中の「耐亀裂回数(回)」)に示す。
得られたタイヤ(タイヤサイズ:225/45R17)を、JATMAに準拠する7.5JJ×17のリムに組み付けて、25±2℃の室内中で内圧3.0kg/cm2に調整した。その後、540kgの荷重をタイヤに負荷し、直径3mのドラム上で速度60km/時で3000km走行させた(以下「条件1」ともいう)。
また、別のタイヤ(タイヤサイズ:225/45R17)を、JATMAに準拠する7.5JJ×17のリムに組み付けて、25±2℃の室内中で内圧3.0kg/cm2に調整した。その後、540kgの荷重をタイヤに負荷し、直径3mのドラム上で速度60km/時で2500km走行させた(以下「条件2」ともいう)。
「A」:条件1及び条件2の両方において完走し外傷が見られなかった
「B」:条件1においては未完走若しくは完走したものの外傷が見られたが、条件2においては完走し外傷が見られなかった
「C」:条件1及び条件2の両方において未完走若しくは完走したものの外傷が見られた
なお、「未完走」とは、タイヤ走行耐久性試験の終了以前に、部材の剥離、エア漏れ、タイヤの膨れ等が発生し走行不能となったものをいう。
評価結果が「A」又は「B」であればタイヤとしての使用に好適であると言える。結果を表2に示す。
得られた別のタイヤ(タイヤサイズ:225/45R17)を、メタルハライドランプ下で12時間曝露後、JATMAに準拠する7.5JJ×17のリムに組み付けて、25±2℃の室内中で内圧3.0kg/cm2に調整した。その後、540kgの荷重をタイヤに負荷し、直径3mのドラム上で速度60km/時で3000km走行させた(UV曝露後走行耐久性試験)。
「A」:完走し外傷が見られなかった
「B」:完走し、わずかに外傷が見られたが、許容範囲であった
「C」:未完走若しくは完走したものの、許容範囲を超える外傷が見られた
なお、「未完走」とは、タイヤ走行耐久性試験の終了以前に、部材の剥離、エア漏れ、タイヤの膨れ等が発生し走行不能となったものをいう。
評価結果が「A」又は「B」であればタイヤとしての使用に好適であると言える。結果を表2に示す。
タイヤ骨格体を形成する樹脂材料の組成(骨格体用樹脂材料組成)及び樹脂層形成用塗布液の組成(樹脂層形成用塗布液組成)を表2〜表4に示すように変更した以外は、実施例A1と同様に、タイヤの作製及び試験片の作製を行った。また、実施例A1と同様にして、膜厚の測定、引張弾性率の測定、紫外線透過率の測定、軟化点の測定、密着性の評価、耐光性試験、亀裂進展性試験、及びタイヤ走行耐久性試験を行った。測定及び評価の結果を表2〜表4に示す。
なお、比較例A1については、タイヤの作製及び試験片の作製において樹脂層を設ける工程を省略した。また、比較例A1については、膜厚の測定、引張弾性率の測定、紫外線透過率の測定、軟化点の測定、及び密着性の評価を省略し、耐光性試験については樹脂層を除去する工程を省略して行った。
実施例A2では膨潤率:4.0質量倍、実施例A3では膨潤率:5.0質量倍、実施例A4では膨潤率:5.0質量倍、実施例A6では膨潤率:3.0質量倍、実施例A7では膨潤率:4.0質量倍、実施例A11では膨潤率:4.0質量倍、実施例A16では膨潤率:5.0質量倍、比較例A3では膨潤率:3.0質量倍、比較例A4では膨潤率:17質量倍であった。比較例A5ではウレタン樹脂がテトラヒドロフランに溶解し、評価できなかった。
・TPA1:ポリアミド系熱可塑性エラストマー(宇部興産(株)製、品名:XPA9055X1)
・TPA2:ポリアミド系熱可塑性エラストマー(宇部興産(株)製、品名:XPA9048X1)
・TPEE3:はポリエステル系熱可塑性エラストマー(東レ・デュポン(株)製、品名:ハイトレル5557)
・PU1:ウレタン樹脂水分散液(不揮発分濃度:38質量%、第一工業製薬(株)製、品名:スーパーフレックス460)
・PU2:ウレタン樹脂水分散液(不揮発分濃度:38質量%、第一工業製薬(株)製、品名:スーパーフレックス470)
・PU3:ウレタン樹脂水分散液(不揮発分濃度:32.5〜36.5質量%、大日精化工業(株)製、品名:レザミンD4080)
・架橋剤:架橋剤(不揮発分濃度:40質量%、大日精化(株)製、品名:レザミンD−52)
・CBPU:カーボンブラック含有ウレタン樹脂水分散液(不揮発分濃度:22質量%、不揮発分中のカーボンブラック含有量:10質量%、不揮発分中のウレタン樹脂含有量:12質量%、大日精化工業社製、品名:セイカセブンDW−1790ブラック(A))
・UVA:トリアジン系紫外線吸収剤(BASF社製、品名:Tinuvin400)
・HALS:ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤(BASF社製、品名:Tinuvin123)
また、上記PU2(スーパーフレックス470)に含まれるウレタン樹脂は、モノマー単位のうちポリイソシアネート成分として1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートを含み、ポリオール成分としてポリヘキサメチレングリコールを含む。
また、上記PU3(レザミンD4080)に含まれるウレタン樹脂は、モノマー単位のうちポリオール成分としてエーテルカーボネート系のポリオールを含む。
また、上記CBPU(セイカセブンDW−1790ブラック(A))に含まれるウレタン樹脂は、モノマー単位のうちポリイソシアネート成分としてイソホロンジイソシアネートを含み、ポリオール成分としてポリヘキサメチレングリコール及びポリヘキサメチレンカーボネートジオールを含む。
表2〜表4中、組成における「−」は、その成分を含まないことを意味し、組成における数値は添加量(質量部)を示す。
また、表2〜表4中、樹脂層特性及び密着性における「−」は、樹脂層を有していないため測定及び評価を省略したことを示す。
また、表2〜表4中、走行耐久性及びUV曝露後走行耐久性における「−」は、評価に耐え得るタイヤが得られず、評価不可能であったことを意味する。
(実施例B1)
タイヤ骨格体を形成する樹脂材料の組成(骨格体用樹脂材料組成)及び樹脂層形成用塗布液の組成(樹脂層形成用塗布液組成)を表5に示すように変更した以外は、実施例A1と同様に、タイヤの作製、試験片の作製、膜厚の測定、引張弾性率の測定、軟化点の測定、及びタイヤ走行耐久性試験を行った。測定及び評価の結果を表5に示す。
上記樹脂層が形成されたタイヤ骨格体試験片を用い、樹脂層の表面における表面抵抗値を測定した。具体的には、高抵抗率計(ハイテスターUP MCP−HT450、三菱化学社製)及びURSプローブを用い、JIS K6911:(1995年度)に従い、印加電圧100Vで、30秒後の表面抵抗値を測定した。結果を表5に示す。なお、表面抵抗値が1.0×1010Ω/sq以下であれば、低抵抗値であると判断した。
タイヤ骨格体を形成する樹脂材料の組成(骨格体用樹脂材料組成)及び樹脂層形成用塗布液の組成(樹脂層形成用塗布液組成)を表5に示すように変更した以外は、実施例B1と同様にして、タイヤの作製及び試験片の作製を行った。また実施例B1と同様にして、膜厚の測定、引張弾性率の測定、軟化点の測定、表面抵抗値の測定、及びタイヤ走行耐久性試験を行った。測定及び評価の結果を表5に示す。
なお、比較例B1については、タイヤの作製及び試験片の作製において樹脂層を設ける工程を省略した。また、比較例B1については、膜厚の測定、引張弾性率の測定、及び軟化点の測定を省略し、表面抵抗値の測定についてはタイヤ骨格体表面における表面抵抗値を測定した。
・TPA1:ポリアミド系熱可塑性エラストマー(宇部興産(株)製、品名:XPA9055X1)、
・TPA2:ポリアミド系熱可塑性エラストマー(宇部興産(株)製、品名:XPA9048X1)
・PU1:ウレタン樹脂水分散液(不揮発分濃度:38質量%、第一工業製薬(株)製、品名:スーパーフレックス460)
・PU3:ウレタン樹脂水分散液(不揮発分濃度:32.5〜36.5質量%、大日精化工業(株)製、品名:レザミンD4080)
・架橋剤:架橋剤(不揮発分濃度:40質量%、大日精化(株)製、品名:レザミンD−52)
・PVA:ポリビニルアルコール(重量平均分子量:2000)
・PEG200:ポリエチレングリコール(数平均分子量:200、東京化成工業社製)
・PEG400:ポリエチレングリコール(数平均分子量:400、東京化成工業社製)
また、上記PU3(レザミンD4080)に含まれるウレタン樹脂は、モノマー単位のうちポリオール成分としてエーテルカーボネート系のポリオールを含む。
また、表5中、組成における「−」は、その成分を含まないことを意味し、組成における数値は添加量(質量部)を示す。
また、表5中、樹脂層特性における「−」は、樹脂層を有していないため測定を省略したことを示す。
Claims (7)
- 樹脂を含む環状のタイヤ骨格体と、
前記タイヤ骨格体における内周面の少なくとも一部に設けられ、ウレタン樹脂を含む樹脂層であって、前記樹脂層の引張弾性率が2Ma以上50MPa以下であり、前記樹脂層の引張弾性率が前記タイヤ骨格体の引張弾性率の0.01倍以上0.50倍以下であり、かつ、前記樹脂層の軟化点が80℃以上である、樹脂層と、
を有するタイヤ。 - 前記樹脂層の厚みは、1μm以上1000μm以下である請求項1に記載のタイヤ。
- 前記ウレタン樹脂は、三次元網目構造を有する請求項1又は請求項2に記載のタイヤ。
- 前記ウレタン樹脂は、モノマー単位として、ポリイソシアネートと、ポリエーテルポリオール及びポリカーボネートポリオールから選択される少なくとも1種と、を含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のタイヤ。
- 前記樹脂層は、トリアジン系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤、アミン系老化防止剤、及びカーボンブラックから選択される少なくとも1種をさらに含む請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のタイヤ。
- 前記樹脂層の表面抵抗値は、1.0×104Ω/sq以上2.0×1010Ω/sq以下である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のタイヤ。
- 前記樹脂層は、グリセリン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アルキル硫酸塩、ショ糖脂肪酸エステル、及びグリセリン脂肪酸エステルから選択される少なくとも1種をさらに含む請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のタイヤ。
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