JP6794245B2 - タイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤに関する。
近年、軽量化、成形の容易さ、リサイクルのし易さ等の理由から、ゴム等の従来の材料に代えて樹脂材料を用いて形成したタイヤ本体(以下、タイヤ骨格体ともいう)を備えるタイヤの開発が進められている。例えば、特許文献1では、樹脂材料としてポリアミド系熱可塑性エラストマーを用いて形成したタイヤ骨格体を有するタイヤが提案されている。
特開2012−46030号公報
タイヤ骨格体が樹脂を含むタイヤでは、タイヤの使用(例えば、タイヤを装着した車両の走行)に伴って、外部から受ける衝撃によりタイヤ骨格体の内周面に亀裂が発生する場合がある。特に、タイヤ骨格体の内周面が光に曝された後にタイヤを使用すると、タイヤ骨格体の内周面における上記亀裂はさらに発生しやすくなることがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、タイヤ骨格体が樹脂を含み、かつ、タイヤ骨格体の内周面における亀裂の発生が抑制されたタイヤを提供することを課題とする。
上記課題を解決するための具体的な手段には、以下の態様が含まれる。
[1] ポリアミド系熱可塑性樹脂及びポリアミド系熱可塑性エラストマーから選択される少なくとも一種の樹脂を含む環状のタイヤ骨格体と、前記タイヤ骨格体における内周面の少なくとも一部に設けられ、ウレタン樹脂を含む樹脂層と、前記タイヤ骨格体と前記樹脂層との間に介在し、前記タイヤ骨格体と前記樹脂層との両方に接して設けられた接着層であって、レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックスを含む組成物の硬化物である接着層と、を有するタイヤ。
[2] 前記樹脂層の軟化点は80℃以上である[1]に記載のタイヤ。
[3] 前記ウレタン樹脂は、三次元網目構造を有する[1]又は[2]に記載のタイヤ。
[4] 前記ウレタン樹脂は、モノマー単位として、ポリイソシアネートと、ポリエーテルポリオール及びポリカーボネートポリオールから選択される少なくとも1種と、を含む[1]〜[3]のいずれか1つに記載のタイヤ。
[5] 前記樹脂層はカーボンブラックをさらに含み、前記樹脂層の全質量に対する前記カーボンブラックの含有量が0.1質量%以上20質量%以下である[1]〜[4]のいずれか1つに記載のタイヤ。
本発明によれば、タイヤ骨格体が樹脂を含み、かつ、タイヤ骨格体の内周面における亀裂の発生が抑制されたタイヤが提供される。
本発明の一実施形態に係るタイヤの一部の断面を示す斜視図である。 リムに装着したビード部の断面図である。 本発明の一実施形態に係るタイヤにおけるタイヤケースのサイド部に接着層及び樹脂層が設けられた状態を示すタイヤ回転軸に沿った断面図である。 本発明の一実施形態に係るタイヤにおけるタイヤケースのクラウン部に補強コードが設けられた状態を示すタイヤ回転軸に沿った断面図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
なお、本明細書において、「樹脂」とは、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、及び熱硬化性樹脂を含む概念であり、加硫ゴムは含まない。
また、「ゴム」とは、弾性を有する高分子化合物であるが、本明細書では、熱可塑性エラストマーとは区別される。
また、「熱可塑性エラストマー」とは、弾性を有する高分子化合物であって、結晶性で融点の高いハードセグメント若しくは高い凝集力のハードセグメントを構成するポリマーと、非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを構成するポリマーとを有する共重合体を意味する。
また、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
≪タイヤ≫
本発明のタイヤは、ポリアミド系熱可塑性樹脂及びポリアミド系熱可塑性エラストマーから選択される少なくとも一種の樹脂を含む環状のタイヤ骨格体と、前記タイヤ骨格体における内周面の少なくとも一部に設けられ、ウレタン樹脂を含む樹脂層と、前記タイヤ骨格体と前記樹脂層との間に介在し、前記タイヤ骨格体と前記樹脂層との両方に接して設けられた接着層であって、レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックスを含む組成物の硬化物である接着層(以下「RFL層」ともいう)と、を有する。
以下、ポリアミド系熱可塑性樹脂及びポリアミド系熱可塑性エラストマーから選択される少なくとも一種の樹脂を「ポリアミド系樹脂」と総称する場合がある。
タイヤ骨格体が樹脂を含むタイヤは、例えば車両に装着して走行すると、路面から衝撃を受け続けることによって、タイヤ骨格体の内周面に亀裂が発生する場合がある。特に、タイヤ骨格体の内周面が露出した状態でタイヤを屋外に陳列すると、タイヤ骨格体の内周面に太陽光が照射され、太陽光の紫外線等によってタイヤ骨格体に含まれる樹脂が劣化することがある。そして、タイヤ骨格体に含まれる樹脂が劣化した状態で路面からの衝撃を受け続けると、タイヤ骨格体の内周面における亀裂は、より発生しやすくなる。
一方、本発明のタイヤでは、タイヤ骨格体の内周面に、ウレタン樹脂を含む樹脂層がRFL層を介して設けられている。
そのため、路面から受ける衝撃や振動によるタイヤ骨格体の歪みがRFL層及び樹脂層によって分散され、RFL層及び樹脂層が設けられていない場合に比べて、タイヤ骨格体への応力集中が緩和される。特に、ウレタン樹脂を含む樹脂層がRFL層を介して設けられていることにより、RFL層を介さずに樹脂層が設けられている場合に比べても、より振動や歪みが分散されやすく、タイヤ骨格体への応力集中が緩和される。また、樹脂層がウレタン樹脂を含むことにより、他の樹脂(例えばオレフィン系樹脂)からなる樹脂層がRFL層を介して設けられている場合に比べ、柔軟で強靭かつRFL層と良密着という利点がある。
さらに、RFL層が、RFL層との接着性の高いポリアミド系樹脂を含むタイヤ骨格体の内周面と、樹脂層と、の両方に接して設けられているため、RFL層の接着力により樹脂層が剥離しにくく、タイヤの耐久性が向上する。
以上のことから、本発明のタイヤは、樹脂を含むタイヤ骨格体の内周面における亀裂の発生が抑制されると考えられる。
以下、本発明のタイヤの一実施態様で用いられるタイヤ骨格体、RFL層、樹脂層、及びタイヤの実施形態について説明する。
[タイヤ骨格体]
タイヤ骨格体は、ポリアミド系熱可塑性樹脂及びポリアミド系熱可塑性エラストマーから選択される少なくとも一種の樹脂を含む環状の部材である。タイヤ骨格体は、ビード部を含む単一の層からなる部材であり、タイヤ形状を維持し、荷重保護機能を有する。つまり、樹脂を含むタイヤ骨格体は、例えば、タイヤ形状を維持し、かつ、従来のゴム製のタイヤに比べ、薄肉、軽量化を図る目的で設計されている。
タイヤ骨格体は、ポリアミド系樹脂を含む樹脂材料を用いて形成することができる。タイヤ骨格体の形成に用いられる樹脂材料は、ポリアミド系樹脂を少なくとも含んでいればよく、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリアミド系樹脂以外の樹脂(以下「他の樹脂」ともいう)、添加剤等の他の成分を含んでもよい。
ただし、前記樹脂材料中におけるポリアミド系樹脂の含有量は、樹脂材料の総量に対して、50質量%以上が好ましく、90質量%以上が更に好ましい。また、ポリアミド系樹脂及び他の樹脂を含む樹脂全体の含有量は、樹脂材料の総量に対して、50質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。さらに、樹脂全体に対するポリアミド系樹脂の含有量は、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましい。
タイヤ骨格体は、少なくともポリアミド系樹脂を含んでいればよいが、力学的耐久性の観点から、樹脂として、熱可塑性エラストマーを含むことが好ましく、ポリアミド系熱可塑性エラストマーを含むことがより好ましい。
−ポリアミド系熱可塑性エラストマー−
ポリアミド系熱可塑性エラストマーとは、結晶性で融点の高いハードセグメントを形成するポリマーと非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを形成するポリマーとを有する共重合体からなる熱可塑性の樹脂材料であって、ハードセグメントを形成するポリマーの主鎖にアミド結合(−CONH−)を有するものを意味する。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、少なくともポリアミドが結晶性で融点の高いハードセグメントを形成し、他のポリマー(例えば、ポリエステル、ポリエーテル等)が非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを形成している材料が挙げられる。また、ポリアミド系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメント及びソフトセグメントの他に、ジカルボン酸等の鎖長延長剤を用いて形成されてもよい。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーとしては、具体的には、JIS K6418:2007に規定されるアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)等や、特開2004−346273号公報に記載のポリアミド系エラストマー等を挙げることができる
ポリアミド系熱可塑性エラストマーにおいて、ハードセグメントを形成するポリアミドとしては、例えば、下記一般式(1)又は一般式(2)で表されるモノマーによって生成されるポリアミドを挙げることができる。
[一般式(1)中、Rは、炭素数2〜20の炭化水素の分子鎖(例えば炭素数2〜20のアルキレン基)を表す。]
[一般式(2)中、Rは、炭素数3〜20の炭化水素の分子鎖(例えば炭素数3〜20のアルキレン基)を表す。]
一般式(1)中、Rとしては、炭素数3〜18の炭化水素の分子鎖、例えば炭素数3〜18のアルキレン基が好ましく、炭素数4〜15の炭化水素の分子鎖、例えば炭素数4〜15のアルキレン基が更に好ましく、炭素数10〜15の炭化水素の分子鎖、例えば炭素数10〜15のアルキレン基が特に好ましい。
また、一般式(2)中、Rとしては、炭素数3〜18の炭化水素の分子鎖、例えば炭素数3〜18のアルキレン基が好ましく、炭素数4〜15の炭化水素の分子鎖、例えば炭素数4〜15のアルキレン基が更に好ましく、炭素数10〜15の炭化水素の分子鎖、例えば炭素数10〜15のアルキレン基が特に好ましい。
一般式(1)又は一般式(2)で表されるモノマーとしては、ω−アミノカルボン酸又はラクタムが挙げられる。また、ハードセグメントを形成するポリアミドとしては、これらω−アミノカルボン酸又はラクタムの重縮合体、ジアミンとジカルボン酸との共縮重合体等が挙げられる。
ω−アミノカルボン酸としては、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、10−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等の炭素数5〜20の脂肪族ω−アミノカルボン酸等を挙げることができる。また、ラクタムとしては、ラウリルラクタム、ε−カプロラクタム、ウデカンラクタム、ω−エナントラクタム、2−ピロリドン等の炭素数5〜20の脂肪族ラクタム等を挙げることができる。
ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、3−メチルペンタメチレンジアミン、メタキシレンジアミン等の炭素数2〜20の脂肪族ジアミン等のジアミン化合物を挙げることができる。
また、ジカルボン酸は、HOOC−(R)m−COOH(R:炭素数3〜20の炭化水素の分子鎖、m:0又は1)で表すことができ、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸を挙げることができる。
ハードセグメントを形成するポリアミドとしては、ラウリルラクタム、ε−カプロラクタム、又はウデカンラクタムを開環重縮合したポリアミドを好ましく用いることができる。
また、ソフトセグメントを形成するポリマーとしては、例えば、ポリエステル、ポリエーテル等が挙げられ、具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ABA型トリブロックポリエーテル等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、ポリエーテルの末端にアンモニア等を反応させることによって得られるポリエーテルジアミン等も用いることができる。
ここで、「ABA型トリブロックポリエーテル」とは、下記一般式(3)に示されるポリエーテルを意味する。
[一般式(3)中、x及びzは、1〜20の整数を表す。yは、4〜50の整数を表す。]
一般式(3)において、x及びzは、それぞれ、1〜18の整数が好ましく、1〜16の整数がより好ましく、1〜14の整数が更に好ましく、1〜12の整数が特に好ましい。また、一般式(3)において、yは、5〜45の整数が好ましく、6〜40の整数がより好ましく、7〜35の整数が更に好ましく、8〜30の整数が特に好ましい。
ハードセグメントとソフトセグメントとの組合せとしては、上述で挙げたハードセグメントとソフトセグメントとのそれぞれの組合せを挙げることができる。これらの中でも、ハードセグメントとソフトセグメントとの組合せとしては、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ポリエチレングリコールの組合せ、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ポリプロピレングリコールの組合せ、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ポリテトラメチレンエーテルグリコールの組合せ、又はラウリルラクタムの開環重縮合体/ABA型トリブロックポリエーテルの組合せが好ましく、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ABA型トリブロックポリエーテルの組合せがより好ましい。
ハードセグメントを形成するポリマー(ポリアミド)の数平均分子量は、溶融成形性の観点から、300〜15000が好ましい。また、ソフトセグメントを形成するポリマーの数平均分子量としては、強靱性及び低温柔軟性の観点から、200〜6000が好ましい。さらに、ハードセグメント(x)及びソフトセグメント(y)との質量比(x:y)は、成形性の観点から、50:50〜90:10が好ましく、50:50〜80:20がより好ましい。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントを形成するポリマー及びソフトセグメントを形成するポリマーを公知の方法によって共重合することで合成することができる。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーの市販品としては、例えば、宇部興産(株)の「UBESTA XPA」シリーズ(例えば、XPA9063X1、XPA9055X1、XPA9048X2、XPA9048X1、XPA9040X1、XPA9040X2XPA9044等)、ダイセル・エポニック(株)の「ベスタミド」シリーズ(例えば、E40−S3、E47−S1、E47−S3、E55−S1、E55−S3、EX9200、E50−R2等)等を用いることができる。
−ポリアミド系熱可塑性樹脂−
ポリアミド系熱可塑性樹脂としては、前述のポリアミド系熱可塑性エラストマーのハードセグメントを形成するポリアミドの中から融点が160℃以上のものを挙げることができる。ポリアミド系熱可塑性樹脂としては、具体的には、ε-カプロラクタムを開環重縮合したポリアミド(アミド6)、ウンデカンラクタムを開環重縮合したポリアミド(アミド11)、ラウリルラクタムを開環重縮合したポリアミド(アミド12)、ジアミンと二塩基酸とを重縮合したポリアミド(アミド66)、メタキシレンジアミンを構成単位として有するポリアミド(アミドMX)等を例示することができる。
アミド6は、例えば、{CO−(CH)5−NH}で表すことができる。アミド11は、例えば、{CO−(CH10−NH}で表すことができる。アミド12は、例えば、{CO−(CH11−NH}で表すことができる。アミド66は、例えば、{CO(CHCONH(CHNH}で表すことができる。アミドMXは、例えば、下記構造式(A−1)で表すことができる。ここで、nは構成単位数を表す。
アミド6の市販品としては、例えば、宇部興産(株)製の「UBEナイロン」シリーズ(例えば、1022B、1011FB等)を用いることができる。アミド11の市販品としては、例えば、アルケマ(株)製の「Rilsan B」シリーズを用いることができる。アミド12の市販品としては、例えば、宇部興産(株)製の「UBEナイロン」シリーズ(例えば、3024U、3020U、3014U等)を用いることができる。アミド66の市販品としては、例えば、宇部興産(株)製の「UBEナイロン」シリーズ(例えば、2020B、2015B等)を用いることができる。アミドMXの市販品としては、例えば、三菱ガス化学(株)製の「MXナイロン」シリーズ(例えば、S6001、S6021、S6011等)を用いることができる。
ポリアミド系熱可塑性樹脂は、上記の構成単位のみで形成されるホモポリマーであってもよく、上記の構成単位と他のモノマーとのコポリマーであってもよい。コポリマーの場合、各ポリアミド系熱可塑性樹脂における上記構成単位の含有率は、40質量%以上であることが好ましい。
−その他の樹脂−
その他の樹脂としては、ポリアミド系熱可塑性樹脂以外の熱可塑性樹脂、ポリアミド系熱可塑性エラストマー以外の熱可塑性エラストマー、及び熱硬化性樹脂が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール系熱硬化性樹脂、ユリア系熱硬化性樹脂、メラミン系熱硬化性樹脂、エポキシ系熱硬化性樹脂等が挙げられる。
ポリアミド系熱可塑性樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル系熱可塑性樹脂、オレフィン系熱可塑性樹脂、ポリウレタン系熱可塑性樹脂、塩化ビニル系熱可塑性樹脂、ポリスチレン系熱可塑性樹脂等が挙げられる。
ポリアミド系熱可塑性エラストマー以外の熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPEE)、熱可塑性ゴム架橋体(TPV)、若しくはその他の熱可塑性エラストマー(TPZ)等が挙げられる。
−他の成分−
樹脂材料は、所望に応じて、樹脂以外の他の成分を含んでもよい。他の成分としては、例えば、ゴム、各種充填剤(例えば、シリカ、炭酸カルシウム、クレイ)、老化防止剤、オイル、可塑剤、着色剤、耐候剤、補強材等が挙げられる。
−樹脂材料の物性−
樹脂材料に含まれる樹脂の融点は、例えば100℃〜350℃程度が挙げられ、タイヤの耐久性及び生産性の観点から、100℃〜250℃程度が好ましく、120℃〜250℃が更に好ましい。
樹脂材料(タイヤ骨格体)自体のJIS K7113:1995に規定される引張弾性率は、50MPa〜1000MPaが好ましく、50MPa〜800MPaが更に好ましく、50MPa〜700MPaが特に好ましい。樹脂材料の引張弾性率が、50MPa〜1000MPaであると、タイヤ骨格の形状を保持しつつ、リム組みを効率的に行なうことができる。
樹脂材料(タイヤ骨格体)自体のJIS K7113(1995)に規定される引張強さは、通常、15MPa〜70MPa程度であり、17MPa〜60MPaが好ましく、20MPa〜55MPaが更に好ましい。
樹脂材料(タイヤ骨格体)自体のJIS K7113(1995)に規定される引張降伏強さは、5MPa以上が好ましく、5MPa〜20MPaが更に好ましく、5MPa〜17MPaが特に好ましい。樹脂材料の引張降伏強さが、5MPa以上であると、走行時等にタイヤにかかる荷重に対する変形に耐えることができる。
樹脂材料(タイヤ骨格体)自体のJIS K7113(1995)に規定される引張降伏伸びは、10%以上が好ましく、10%〜70%が更に好ましく、15%〜60%が特に好ましい。樹脂材料の引張降伏伸びが、10%以上であると、弾性領域が大きく、リム組み性を良好にすることができる。
樹脂材料(タイヤ骨格体)自体のJIS K7113(1995)に規定される引張破断伸びは、50%以上が好ましく、100%以上が更に好ましく、150%以上が特に好ましく、200%以上が最も好ましい。樹脂材料の引張破断伸びが、50%以上であると、リム組み性が良好であり、衝突に対して破壊し難くすることができる。
樹脂材料(タイヤ骨格体)自体のISO 75−2又はASTM D648に規定される荷重たわみ温度(0.45MPa荷重時)は、50℃以上が好ましく、50℃〜150℃が更に好ましく、50℃〜130℃が特に好ましい。樹脂材料の荷重たわみ温度が、50℃以上であると、タイヤの製造において加硫を行う場合であってもタイヤ骨格体の変形を抑制することができる。
[樹脂層]
樹脂層は、タイヤ骨格体における内周面の少なくとも一部に設けられた層である。なお、樹脂層は、タイヤ形状維持機能及び荷重保持機能を有さない層である。
樹脂層は、少なくともウレタン樹脂を含んでいれば特に限定されず、本発明の効果を損なわない範囲で、ウレタン樹脂以外の樹脂、添加剤等の他の成分を含んでもよい。
樹脂層は、耐光性及び耐熱性の観点から、添加剤として、カーボンブラックをさらに含むことが好ましい。
添加剤は、1種のみ添加してもよく、2種以上併用してもよい。
樹脂層は、軟化点が80℃以上である層であることが好ましい。
車両の走行時には、路面から受ける振動や衝撃等によってタイヤの温度が上昇しやすい。タイヤ外周面は車両走行時に空冷されることで温度上昇が抑制されるが、タイヤ骨格体の内部は熱がこもりやすく、タイヤの中でも特に温度上昇しやすい。一方、樹脂層の軟化点が80℃以上であれば、走行中におけるタイヤ骨格体内部の温度上昇に伴う樹脂層の変形が起こりにくく、路面から受ける衝撃や振動によるタイヤ骨格体の歪みを分散する樹脂層の機能が維持され、タイヤの耐久性が向上すると考えられる。
ここで、上記軟化点は、以下のようにして得られる値である。具体的には、動的粘弾性測定試験機(RSAG2、TAインスツルメンツ社製)を使用し、温度0℃から180℃まで、昇温速度4℃/分、歪1%、測定周波数35Hzの条件で測定を行う。そして、弾性損失(E’)の1次微分の最小ピーク位置における温度を、軟化点(℃)とする。
樹脂層の軟化点は、走行中における樹脂層の変形をより抑制する観点から、80℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましく、120℃以上がさらに好ましい。
また、タイヤの製造過程において、タイヤ骨格体の内周面に樹脂層を設けた後に、例えばトレッドゴムの加硫等の目的で加熱を行う場合は、樹脂層の軟化点が120℃以上であることが特に好ましく、140℃以上であることが最も好ましい。
樹脂層の軟化点を調整する手段としては、例えば、樹脂層に含まれるウレタン樹脂の分子量、ウレタン樹脂を構成するモノマー単位の種類及び質量比、後述するようにウレタン樹脂が架橋剤による三次元網目構造を有する場合は架橋剤の添加量、樹脂層におけるウレタン樹脂の含有量、添加剤の種類及び添加量等の調整が挙げられる。
以下、樹脂層の一例として、軟化点が80℃以上である樹脂層について、樹脂層を構成する各成分、樹脂層の形成方法、樹脂層の特性等について説明するが、これに限定されるものではない。
−ウレタン樹脂−
ウレタン樹脂としては、例えば、ポリイソシアネートとポリオールとの重合体が挙げられる。すなわち、ウレタン樹脂は、例えば、モノマー単位として、ポリイソシアネートとポリオールとを含むものが挙げられる。
なお、ウレタン樹脂は、モノマー単位として、ポリイソシアネートと、後述するポリエーテルポリオール及びポリカーボネートポリオールから選択される少なくとも一種と、を含むことが好ましい。
ウレタン樹脂は、軟化点の高い樹脂層を形成する観点から、三次元網目構造を有することが好ましい。三次元網目構造を有するウレタン樹脂としては、例えば、3官能以上のポリイソシアネートと3官能以上のポリオールとの重合体、ポリイソシアネートとポリオールとの重合体である架橋前のウレタン樹脂と架橋剤とを含む組成物の硬化物等が挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートが挙げられる。これらの中でも、ポリイソシアネートは、耐光性の観点から、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートが好ましく、脂肪族ポリイソシアネートがより好ましい。
ポリイソシアネートの具体例としては、例えば、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4(2,4,4)−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3’‐ジメチルジフェニル、4,4’−ジイソシアネート、ジアニシジンイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、水添化キシレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、テトラメチルキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシルジイソシアネート、リジンイソシアネート、ジメチルトリフェニルメタンテトライソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート、ウレタン変性トルエンジイソシアネート、アロファネート変性トルエンジイソシアネート、ビュウレット変性トルエンジイソシアヌレート、イソシアヌレート変性トルエンジイソシアネート、ウレタン変性ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、アシル尿素変性ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネートなどのイソシアネート化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記ポリイソシアネートは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリオールとしては、例えば、低分子ポリオール、高分子ポリオールが挙げられる。
低分子ポリオールの具体例としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3‐ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,2‐ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2‐ヘキサンジオール、1,5‐ヘキサンジオール、1,6‐ヘキサンジオール、2,5‐ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,7‐ヘプタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、1,2‐オクタンジオール、1,8−オクタンジオール、2,2,4‐トリメチル−1,3−ペンタンジオール、プロピレンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、水添ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物、2,2‐ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸、2,5,6−トリメトキシ−3,4−ジヒドロキシヘキサン酸、2,3−ジヒドロキシ−4,5−ジメトキシペンタン酸が挙げられる。
高分子ポリオールとしては、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド共重合体、THF/エチレンオキサイド共重合体、THF/プロピレンオキサイド共重合体などのポリエーテルポリオール類;ジメチロールプロピオン酸、ポリエチレンアジペート、ポリ(プロピレンアジペート)、ポリ−ε−カプロラクトン、及びこれらの共重合体であるポリエステルポリオール類;ポリエーテルエステルポリオール、ポリ炭酸エステル化合物(例えばポリヘキサメチレンカーボネートジオール等)等のポリカーボネートポリオール;炭化水素骨格ポリオール;これらの重付加体などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記ポリオールは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリオールは、これらの中でも、耐亀裂性の観点から高分子ポリオールが好ましく、さらに耐水性の観点から、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールが好ましい。
ウレタン樹脂が架橋前のウレタン樹脂と架橋剤とを含む組成物の硬化物である場合、架橋前のウレタン樹脂としては、例えば、架橋剤の官能基と架橋反応する極性基を有するものが挙げられる。
極性基としては、カルボキシル基、カルボニルオキシカルボニル基、エポキシ基、ヒドロキシ基、オキシ基、エステル基、シラノール基、シリル基、アミノ基、ニトリル基、スルホ基等が挙げられる。なお、極性基は、ポリイソシアネートとポリオールとの反応後に反応せずに残ったヒドロキシ基であってもよい。
架橋剤としては、上記極性基と反応して結合を形成する官能基を1分子内に2個以上有する化合物が挙げられる。架橋剤の具体例としては、例えば、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、イソシアネート化合物等が挙げられる。
架橋剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
エポキシ化合物の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサングリコール、ネオペンチルグリコール等のグリコール類1モルと、エピクロルヒドリン2モルとのエーテル化によって得られるジエポキシ化合物;グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール類1モルと、エピクロルヒドリン2モル以上とのエーテル化によって得られるポリエポキシ化合物;フタル酸、テレフタル酸、シュウ酸、アジピン酸等のジカルボン酸1モルと、エピクロルヒドリン2モルとのエステル化によって得られるジエポキシ化合物;等が挙げられる。
カルボジイミド化合物としては、例えば、有機モノイソシアネート、有機ジイソシアネート、有機トリイソシアネート等の有機イソシアネートから製造された、1分子内にカルボジイミド基を2以上有する化合物が挙げられる。
有機イソシアネートとしては、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、及び、それらの混合物が挙げられる。有機イソシアネートが有する有機基としては、芳香族の有機基及び脂肪族の有機基のいずれでもよく、芳香族の有機基及び脂肪族の有機基を組み合わせてもよい。中でも、反応性の観点から、脂肪族の有機基を有する有機イソシアネートが特に好ましい。
なお、カルボジイミド化合物は、通常、有機ジイソシアネートの縮合反応により合成される。
有機イソシアネートの具体例としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート等の有機ジイソシアネート;イソホロンイソシアネート、フェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等の有機モノイソシアネートが挙げられる。
オキサゾリン化合物としては、オキサゾリン基を有する重合体が挙げられる。
オキサゾリン化合物は、例えば、付加重合性オキサゾリンと、必要に応じて任意の不飽和単量体とを含む単量体成分を、公知の重合法により水性媒体中で溶液重合することにより製造しうる。
付加重合性オキサゾリンの具体例としては、例えば、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等が挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、オキサゾリン化合物の製造に用いうる任意の不飽和単量体は、付加重合性オキサゾリンと共重合可能であり、かつ、オキサゾリン基と反応しない単量体である。
イソシアネート化合物としては、1分子中に2個以上のイソシアネート基を含有する化合物が挙げられる。イソシアネート化合物の具体例としては、前述のポリイソシアネートが挙げられる。イソシアネート化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
架橋前のウレタン樹脂100質量部に対する架橋剤の添加量は、架橋剤の種類によっても異なるが、例えば2質量部以上20質量部以下が挙げられ、樹脂層の軟化点を高くする観点及び樹脂層の他の物性値とのバランスを取る観点から、3質量部以上15質量部以下が好ましい。
三次元網目構造を有するウレタン樹脂における架橋密度を示すゲル分率としては、例えば50質量%以上99質量%以下が挙げられ、耐薬品性の観点から80質量%以上99質量%以下が好ましく、85質量%以上99質量%以下がより好ましい。
上記ゲル分率の測定は以下のようにして行う。具体的には、ウレタン樹脂100質量部を25℃のテトラヒドロフラン2667質量部に48時間浸漬した後、テトラヒドロフランで洗浄後乾燥させた後に残留した固形分の質量の割合(質量%)を求め、得られた値を「ゲル分率(質量%)」とする。
なお、添加物を含む樹脂層についてウレタン樹脂のゲル分率を測定する場合においても、上記と同様の方法で、ウレタン樹脂のゲル分率を求める。
ウレタン樹脂の重量平均分子量としては、例えば、10000以上400000以下が挙げられ、30000以上400000以下が好ましく、30000以上300000以下がより好ましい。
重量平均分子量の測定は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、型番:HLC−8320GPC、東ソー社製)を用いて行う。測定条件は、カラム:TSK−GEL SuperHM−M(東ソー社製)、展開溶媒:1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(和光純薬工業製)、カラム温度:40℃、流速:0.3ml/分で、RI検出器を用いて重量平均分子量を求める。
樹脂層におけるウレタン樹脂の含有量は、樹脂層の全質量に対して、30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上がさらに好ましい。
−カーボンブラック−
カーボンブラックとしては、ファーネス法により得られるファーネスブラック、チャンネル法により得られるチャンネルブラック、アセチレン法により得られるアセチレンブラック、サーマル法により得られるサーマルブラック等が挙げられる。カーボンブラックの種類は特に制限されず、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
カーボンブラックの粒子径は特に制限されず、例えば、平均粒子径が0.03μm〜20μmの範囲が挙げられ、0.05μm〜10μmの範囲であることが好ましく、0.1μm〜5μmの範囲であることがより好ましい。平均粒子径が異なるカーボンブラックを2種以上併用してもよい。
樹脂層がカーボンブラックを含むことで、タイヤの耐光性が向上するとともに、樹脂層の軟化点を高くすることができ、後述する樹脂層の表面抵抗値の調整も可能となる。
樹脂層の全質量に対するカーボンブラックの含有量としては、例えば0.1質量%以上20質量%以下が挙げられ、耐光性及び樹脂層の軟化点調整の観点から4.5質量%以上17質量%以下が好ましく、10質量%以上14.5質量%以下がより好ましい。
−その他の添加剤−
その他の添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤、老化防止剤、帯電防止剤、レべリング剤(増粘剤)、着色剤、消泡剤、沈降防止剤等が挙げられる。
樹脂層は、さらに紫外線吸収剤を含むことで、タイヤの耐光性が向上する。紫外線吸収剤としては、例えば、トリアジン骨格を有するトリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。樹脂層の全質量に対する紫外線吸収剤の含有量としては、例えば1質量%以上10質量%以下が挙げられる。
樹脂層は、さらにラジカル捕捉剤を含むことで、タイヤの耐光性が向上する。ラジカル捕捉剤としては、例えば、アミノ基の両隣に置換基を有するアミンであるヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤等が挙げられる。樹脂層の全質量に対するラジカル捕捉剤の含有量としては、例えば0.1質量%以上10質量%以下が挙げられる。
樹脂層は、さらに老化防止剤を含むことで、タイヤの耐光性が向上する。老化防止剤としては、例えば、アミン系老化防止剤等が挙げられる。樹脂層の全質量に対する老化防止剤の含有量としては、例えば0.1質量%以上10質量%以下が挙げられる。
樹脂層は、さらに帯電防止剤を含むことで、タイヤへの静電気の蓄積が抑制され、静電気に起因する誇りの付着等が抑制される。帯電防止剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。樹脂層の全質量に対する帯電防止剤の含有量としては、例えば1質量%以上50質量%以下が挙げられる。
−樹脂層の形成−
樹脂層の形成方法は、特に限定されず、公知の方法を適用すればよい。
具体的には、例えば、まず、ウレタン樹脂を構成するモノマーを溶媒に分散させた分散液、ウレタン樹脂そのものを分散させた分散液、架橋前のウレタン樹脂と架橋剤とを溶媒に分散させた分散液等の樹脂層形成用塗布液を準備する。そして、例えば、樹脂層形成用塗布液を、タイヤ骨格体の内周面における樹脂層形成位置に塗布して塗膜を形成した後、必要に応じて塗膜を乾燥させて溶媒を除去し、必要に応じて加熱により塗膜を硬化させることで樹脂層を形成する。上記樹脂層形成位置の詳細については後述する。
なお、樹脂層の少なくとも一部は、RFL層に接している。すなわち、樹脂層形成用塗布液を塗布する工程においては、RFL層又はRFL塗膜の少なくとも一部に接するように、樹脂層形成用塗布液を塗布する。
樹脂層形成用塗布液は、必要に応じて前述の添加剤を含んでもよい。
樹脂層形成用塗布液に含まれる溶媒は、特に限定されないが、水系溶媒であることが好ましい。
樹脂層形成用塗布液における固形分濃度は、特に限定されないが、作業性の観点から、例えば20質量%以上90質量%以下の範囲が挙げられる。
樹脂層形成用塗布液の塗膜を乾燥させる乾燥温度は、特に限定されないが、例えば10℃以上80℃以下が挙げられ、乾燥時間は、例えば2分以上3日以下が挙げられる。また、樹脂層形成用塗布液の塗膜を硬化させるための加熱温度は、用いる樹脂層形成用塗布液の組成等によって異なるが、例えば40℃以上150℃以下が挙げられ、加熱時間は例えば1分以上300分以下が挙げられる。
なお、後述するように、タイヤの製造過程において加硫工程を経る場合は、加硫工程における加熱が塗膜を硬化させる加熱を兼ねてもよい。加硫工程における加硫温度としては、例えば100℃以上200℃以下が挙げられ、加硫時間としては、例えば5分以上240分以下が挙げられる。
−樹脂層の厚み、特性−
樹脂層の厚みは、特に限定されないが、亀裂抑制の観点から、1μm以上1000μm以下が好ましく、5μm以上200μm以下がより好ましく、10μm以上150μm以下がさらに好ましい。
樹脂層の厚みが上記範囲であることにより、上記範囲よりも薄い場合に比べてタイヤ骨格体の内周面における亀裂抑制の効果が得られやすい。また、樹脂層の厚みが上記範囲であることにより、上記範囲よりも厚い場合に比べて、走行時に受ける衝撃でウレタン樹脂の伸縮が繰り返されることによる樹脂層の剥離が起こりにくく、亀裂抑制の効果が持続しやすい。
また、樹脂層の厚みは、タイヤ耐久性の観点から、タイヤ骨格体の厚みの0.2倍以下であることが好ましく、0.15倍以下であることがより好ましく、0.01倍以上0.1倍以下であることがさらに好ましい。
樹脂層の引張弾性率は、亀裂抑制の観点から、タイヤ骨格体の引張弾性率の0.02倍以上0.20倍以下であることが好ましい。
樹脂層の引張弾性率が上記範囲であることにより、タイヤ骨格体の引張弾性率の0.02倍未満である場合に比べ、走行時の衝撃による樹脂層の剥離が抑制されるため、亀裂抑制の効果が持続しやすい。また、樹脂層の引張弾性率が上記範囲であることにより、タイヤ骨格体の引張弾性率の0.2倍を超える場合に比べ、樹脂層の柔軟性により亀裂抑制の効果がさらに得られやすい。
また、樹脂層の引張弾性率は、亀裂抑制の観点から、2MPa以上200MPa以下が好ましい。
なお、上記引張弾性率は、引張試験機(RTF−1210、エーアンドデー社製)を用いて、室温(25℃)下、引張速度100mm/分で測定し、初期傾きから求めた引張弾性率の値である。
樹脂層の引張弾性率を上記範囲とする方法としては、例えば、ウレタン樹脂を構成するモノマー種の選択、ウレタン樹脂の分子量の調整、架橋剤の添加量の調整、添加剤の種類及び添加量の調整等が挙げられる。
樹脂層の表面抵抗値は、静電気の蓄積抑制の観点から、1.0×10Ω/sq以上1.0×1010Ω/sq以下が好ましい。
樹脂層の表面抵抗値を上記範囲とする方法としては、カーボンブラックの含有量の調整、前述の帯電防止剤の種類及び含有量の調整等が挙げられる。
−樹脂層の位置−
樹脂層は、タイヤ骨格体における内周面の少なくとも一部に設けられていればよいが、タイヤ骨格体の中でも特に、サイド部における内周面の少なくとも一部に樹脂層が設けられていることが好ましい。タイヤ骨格体のサイド部は、他の位置に比べて特に、走行時における路面からの衝撃を受けやすいため、内周面に樹脂層が設けられることによって、亀裂の発生が抑制されやすい。
なお、樹脂層は、サイド部における内周面の一部に設けられてもよく、サイド部における内周面の全体に設けられてもよい。また、樹脂層は、サイド部以外の場所(クラウン部等)における内周面に設けられていてもよく、サイド部とサイド部以外の場所との両方における内周面に設けられてもよい。ただし、タイヤ骨格体の内周面に光が照射されることによる劣化(すなわち、タイヤ骨格体に含まれる樹脂の劣化)を抑制する観点からは、タイヤ骨格体の内周面全体に樹脂層が設けられていることが好ましい。
ここで、サイド部とは、ビード部からトレッド端までのことをいう。
また、トレッド端とは、タイヤをJATMA YEAR BOOK(2009年度版、日本自動車タイヤ協会規格)に規定されている標準リムに装着し、JATMA YEAR BOOKでの適用サイズ・プライレーティングにおける最大負荷能力(内圧−負荷能力対応表の太字荷重)に対応する空気圧(最大空気圧)の100%を内圧として充填し、最大負荷能力を負荷したときのタイヤ幅方向最外の接地部分を指す。なお、使用地又は製造地においてTRA規格、ETRTO規格が適用される場合は各々の規格に従う。
また、ビード部とは、タイヤ径方向内側端からタイヤ断面高さの30%までをいう。
また、クラウン部とは、一方のトレッド端から他方のトレッド端までのことをいう。
なお、樹脂層は、前述のように、RFL層に接して設けられる。樹脂層は、RFL層の少なくとも一部に接して設けられていればよく、RFL層全体を覆うように設けられていてもよい。また、樹脂層におけるタイヤ骨格体側の面全体がRFL層に接して設けられてもよいが、樹脂層の少なくとも一部がRFL層に接して設けられていればよく、樹脂層の一部がタイヤ骨格体の内周面のうちRFL層が設けられていない領域に設けられていてもよい。
ただし、接着性の観点から、樹脂層におけるタイヤ骨格体側の面全体に対するRFL層と接する領域が50%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
[接着層(RFL層)]
RFL層は、レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックスを含む組成物の硬化物であり、タイヤ骨格体及び樹脂層の両方に接して設けられている。
以下、レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックスを含む組成物について説明する。なお、以下において、レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックスを「RFL」と称する場合がある。
−レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックスを含む組成物−
RFLを含む組成物は、少なくともRFLを含み、必要に応じて溶媒等のその他の成分を含んでもよい。RFLを含む組成物は、RFLを主成分とする組成物であることが好ましい。すなわち、RFLにおける溶媒以外の成分の含有量が、RFLを含む組成物における溶媒以外の成分全体に対し、50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。
RFLは、レゾール化反応により得られたレゾルシノール−ホルムアルデヒド縮合物と、ラテックスと、からなる組成物である。
レゾルシノール−ホルムアルデヒド縮合物は、レゾルシノールとホルムアルデヒドとの縮合体である。レゾルシノール−ホルムアルデヒド縮合物は、例えば、レゾルシノール及び比較的低分子量のレゾルシノール・ホルムアルデヒド縮合物の少なくとも一種と、ホルムアルデヒドと、をレゾール反応によりレゾルシノール・ホルムアルデヒド縮合反応させて得られる。
レゾルシノール−ホルムアルデヒド縮合物は、ホルムアルデヒド由来の構成単位とレゾルシノール由来の構成単位とを含有し、ホルムアルデヒド由来の構成単位が化学量論的に不足する状態が維持されていることが好ましい。それにより、樹脂を低分子量で可溶性に維持することができる。
ラテックスとしては、例えば、アクリルゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、イソプレンゴムラテックス、ウレタンゴムラテックス、エチレン−プロピレンゴムラテックス、ブチルゴムラテックス、クロロプレンゴムラテックス、シリコーンゴムラテックス、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、天然ゴムラテックス、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテックス、ブタジエンゴムラテックス、ブチルゴムラテックス、カルボキシル化ブタジエン・スチレン共重合体ラテックス又はクロルスルホン化ポリエチレンラテックス、ニトリルゴムラテックス等が挙げられる。
中でも、タイヤ骨格体に含まれるポリアミド系樹脂及び樹脂層に含まれるウレタン樹脂との接着性から、ラテックスとして、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテックスが好ましい。さらに、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテックスの中でも、ビニルピリジン、スチレン、及びブタジエンの2段重合からなる2重構造を有する共重合ゴムラテックスであることがより好ましい。なお、これらは単独であるいは二種以上混合したものなどを用いてもよく、またレゾルシノールとホルムアルデヒドを反応させる反応系に反応前から共存させてもよい。
ビニルピリジン、スチレン、及びブタジエンの2段重合からなる2重構造を有する共重合ゴムラテックスは、ビニルピリジン、スチレン、及びブタジエンの共重合ゴムラテックスであり、例えば以下の方法で得られる。
具体的には、例えば、まず、(i)スチレン含有率が10質量%〜60質量%、ブタジエン含有率が60質量%未満、及びビニルピリジン含有率0.5質量%〜15質量%で構成される単量体混合物を重合させる。次いで、(ii)スチレン含有率10質量%〜40質量%、ブタジエン含有率45質量%〜75質量%、及びビニルピリジン含有率5質量%〜20質量%で構成される単量体混合物を、(i)におけるスチレン含有量よりも低いスチレン含有量で重合させる。以上の方法により、ビニルピリジン、スチレン、及びブタジエンの2段重合からなる2重構造を有する共重合ゴムラテックスが得られる。
RFLを含む組成物は、レゾルシノール−ホルムアルデヒド縮合物がレゾール化した高分子化合物とラテックスとが3次元的に十分にからみあった構造を有することが好ましい。このため、RFLを含む組成物の調製においては、レゾール化反応をラテックスが溶媒に分散した分散液中で行うことが好ましい。
溶媒としては、酸性、中性、若しくはアルカリ性の水系溶媒、アセトン、又はアルコール等が挙げられる。なお、ラテックスは、pHが中性領域では水溶性が低いため、熟成でのレゾルシノール・ホルムアルデヒド縮合反応(レゾール化反応)を十分行わせるため、溶媒としてアルカリ性の水系溶媒を用いることが好ましい。具体的には、レゾール化反応が、pH8.0以上、好ましくはpH8.5〜10.0の範囲の溶媒中で行われることが好ましい。
ここで、アルカリ性の水系溶媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化アンニモニウム、アンモニア、モノメチルアミン等の有機アミン等の塩基を水に溶解したものが挙げられる。また、アルカリ性の水系溶媒として、任意のアニオン系界面活性剤を用いて、ボールミル、サンドミルによって、上記塩基を中性の水に分散させたものを用いてもよい。この場合、RFL層の接着力を有効に発現させるために、界面活性剤の量を分散状態が悪くならない程度に少量にすることが好ましい。
なお、RFLを含む組成物中のホルムアルデヒド(F)とレゾルシノール(R)とのモル比(F/R)や全ラテックスの固形分質量(L)に対するレゾルシノール及びホルムアルデヒド総質量(RF)の割合(RF/L)等は目的に応じて適宜選択される。
レゾール化反応をラテックスが溶媒に分散した分散液中で行う方法としては、例えば、アルカリ性の水系溶媒中に、レゾルシノール−ホルムアルデヒド縮合物の原料とラテックスとを添加して混合させる方法が挙げられる。ここで、上記レゾルシノール−ホルムアルデヒド縮合物の原料には、前記の通り、レゾルシノール及び比較的低分子量のレゾルシノール−ホルムアルデヒド縮合物の少なくとも一種、並びにホルムアルデヒドが含まれる。
なお、ラテックスを含まない分散液中でレゾール化反応を開始し、反応初期段階で、低縮合度の反応中間体を含むアルカリ性の水系溶媒にラテックスを添加し、混合して反応を続行させてもよい。
−接着層(RFL層)の形成−
RFL層の形成方法は、特に限定されず、公知の方法を適用すればよい。
具体的には、例えば、RFLを含む組成物をタイヤ骨格体の内周面におけるRFL層形成位置に塗布してRFL塗膜を形成する工程と、必要に応じてRFL塗膜を乾燥させる工程と、加熱によりRFL塗膜を硬化させる工程と、を経てRFL層が形成される。
RFL層形成位置の詳細については後述する。
RFLを含む組成物の塗布方法としては、例えば、バーコート法、ニーダーコート法、カーテンコート法、ローラコート法、スピンコート法、刷毛塗法、スプレー法等が挙げられる。
なお、RFL塗膜を硬化させる工程では、RFL塗膜が、前述の樹脂層又は樹脂層形成用塗布液の塗膜に接触した状態で、加熱されることが好ましい。つまり、RFL塗膜を硬化させる工程の前に、RFL塗膜上に樹脂層を設ける工程、又はRFL塗膜上に樹脂層形成用塗布液を塗布して樹脂層形成用塗布液の塗膜を形成する工程を経て、RFL層が形成されることが好ましい。なお、RFL塗膜上に樹脂層形成用塗布液の塗膜を形成する工程を経る場合、RFL塗膜を硬化させる工程における加熱によって、樹脂層形成用塗布液の塗膜が硬化し、RFL層の形成とともに樹脂層が形成されてもよい。
RFL塗膜を乾燥させる工程における乾燥温度は、特に限定されないが、例えば200℃以上250℃以下が挙げられ、乾燥時間は、例えば1分以上60分以下が挙げられる。また、RFL塗膜を硬化させる工程における加熱温度は、用いるRFLの組成等によって異なるが、例えば140℃以上250℃以下が挙げられ、加熱時間は例えば1分以上40分以下が挙げられる。
なお、後述するように、タイヤの製造過程において加硫工程を経る場合は、加硫工程における加熱が、上記RFL塗膜を硬化させる工程における加熱を兼ねてもよい。加硫工程における加硫温度及び加硫時間は前述の通りである。
RFL塗膜を形成する工程の前に、必要に応じて、タイヤ骨格体の内周面におけるRFL層形成位置に前処理を施してもよい。RFL層形成位置をあらかじめ前処理することで、接着力を強固にすることができる。このような前処理法としては、例えば、電子線、マイクロ波、コロナ放電、プラズマ放電、及び脱脂処理等を挙げることができる。また、単にバフ掛けやヤスリなどを用いて前処理することもできる。
−接着層(RFL層)の厚み−
RFL層の厚みとしては、例えば1μm以上20μm以下が挙げられ、2μm以上10μm以下が好ましく、3μm以上10μm以下がより好ましい。RFL層の厚みが上記範囲であることにより、上記範囲よりも薄い場合に比べ、タイヤ骨格体と樹脂層との接着性がより向上する。一方、RFL層の厚みが上記範囲であることにより、上記範囲よりも厚い場合に比べて、RFL層での凝集破壊がしにくいという利点がある。
また、RFL層の厚みは、タイヤ耐久性の観点から、樹脂層の厚みの0.067倍以上0.5倍以下であることが好ましく、0.067倍以0.33倍以下であることがさらに好ましい。
また、RFL層及び樹脂層の合計厚みとしては、例えば7μm以上210μm以下が挙げられる。
[その他の部材]
本発明のタイヤは、必要に応じてタイヤ骨格体以外の部材を含んでもよい。例えば、タイヤ骨格体の外周に配置又は埋設してタイヤ骨格体を補強するための補強部材を含んでもよい。補強部材としては、スチールコード等の金属部材を樹脂材料で被覆したものが挙げられる。金属部材を被覆する樹脂材料は特に制限されないが、タイヤ走行時に必要とされる弾性、製造時の成形性等の観点からは熱可塑性エラストマーを含むことが好ましい。補強部材の被覆樹脂を加熱してタイヤ骨格体に溶着させる場合は、金属部材を被覆する樹脂材料が、タイヤ骨格体本体を形成する樹脂材料の樹脂と同種の樹脂を含むことが好ましい。なお、「同種」とは、エステル系同士等、樹脂の主鎖を構成する骨格と共通する骨格を備えたものを意味する。
ある実施態様では、金属部材が接着剤(接着層)を介して被覆用樹脂材料で被覆された構造を有する補強部材がタイヤ骨格体の上に配置されてもよい。この場合、タイヤ骨格体のマルテンス硬度(d1)、被覆用樹脂材料の層のマルテンス硬度(d2)、及び接着層のマルテンス硬度(d3)が、d1≦d2<d3の関係を満たすことが好ましい。被覆用樹脂材料の層のマルテンス硬度を、接着層のマルテンス硬度よりも小さく、かつ、タイヤ骨格体のマルテンス硬度よりも大きく又は同等に設定することで、タイヤ骨格体を構成する樹脂材料と金属部材との剛性段差が効果的に緩和される。その結果、タイヤの耐久性を更に向上させることができる。
以下、図面を参照して本発明のタイヤの実施形態について説明する。
[第1実施形態]
図1Aは、本実施形態のタイヤ10の一部の断面を示す斜視図である。図1Bは、本実施形態のタイヤ10をリムに装着したときのビード部の断面図である。図1Aに示すように、タイヤ10は、従来一般のゴム製の空気入りタイヤと略同様の断面形状を呈している。図1Aに示すように、タイヤ10は、図1Bに示すリム20のビードシート21およびリムフランジ22に接触する1対のビード部12と、ビード部12からタイヤ径方向外側に延びるサイド部14と、一方のサイド部14のタイヤ径方向外側端と他方のサイド部14のタイヤ径方向外側端とを連結するクラウン部16(外周部)と、からなるタイヤケース17を備えている。
タイヤケース17は上述したタイヤ骨格体に相当し、上述した樹脂材料から形成されている。なお、タイヤケース17の各部位を補強するために、補強材(高分子材料や金属製の繊維、コード、不織布、織布等)を埋設配置してもよい。
本実施形態のタイヤケース17は、タイヤケース17の周方向に沿ってトレッド幅を等分した状態の形状であるタイヤケース半体(タイヤ骨格片)を2つ作製し、これらをタイヤの赤道面部分で接合させて形成される。なお、タイヤケース17は、2つの部材を接合して形成するものに限らず、3以上の部材を接合して形成してもよい。
タイヤケース半体は、例えば、真空成形、圧空成形、インジェクション成形、メルトキャスティング等の方法で作製できる。このため、従来のようにゴムでタイヤケースを成形する場合に比較して、加硫を行う必要がなく、製造工程を大幅に簡略化でき、成形時間を省略することができる。
本実施形態において、図1Bに示すビード部12には、従来一般の空気入りタイヤと同様に、円環状のビードコア18が埋設されている。本実施形態ではビードコア18としてスチールコードを用いるが、有機繊維コード、樹脂被覆した有機繊維コード、硬質樹脂コード等を用いてもよい。なお、ビード部12の剛性が確保され、リム20との嵌合に問題がなければ、ビードコア18を省略することもできる。
本実施形態では、ビード部12のリム20と接触する部分や、少なくともリム20のリムフランジ22と接触する部分には、タイヤケース17を構成する樹脂材料よりもシール性に優れた材料からなる円環状のシール層24が形成されている。シール層24は、タイヤケース17(ビード部12)とビードシート21とが接触する部分にも形成されていてよい。なお、タイヤケース17を構成する樹脂材料のみでリム20との間のシール性が確保できれば、シール層24は省略してもよい。タイヤケース17を構成する樹脂材料よりもシール性に優れた材料としては、タイヤケース17を構成する樹脂材料よりも軟質な材料、例えばゴム、樹脂材料よりも軟質な熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーが挙げられる。
図1A及び図2に示すように、タイヤケース17の内周面には、RFL層13(接着層)を介して樹脂層15が設けられている。RFL層13は、前述のRFL層に相当し、RFLを含む組成物の硬化物である。また、樹脂層15は、前述の樹脂層に相当し、少なくともウレタン樹脂を含む層である。
本実施形態では、タイヤケース17の内周面全体にわたってRFL層13及び樹脂層15が設けられているが、RFL層13及び樹脂層15の形態はこれに限定されるものではない。RFL層13及び樹脂層15は、例えば、サイド部14の内周面のみに部分的に設けられてもよく、サイド部14の内周面の中でも特に亀裂が発生しやすい箇所(例えばベルト端、ショルダー部等)に部分的に設けられてもよく、格子状又はストライプ状のような形状で設けられてもよい。また、RFL層13及び樹脂層15は、クラウン部16の内周面のみに設けられてもよく、サイド部14及びクラウン部16における内周面のみに設けられてもよい。さらにRFL層13及び樹脂層15は、タイヤケース17における内周面の少なくとも一部に設けられていればよく、内周面に加えてその他の箇所(例えば外周面)にも設けられていてもよい。
図1Aに示すように、クラウン部16には、タイヤケース17を構成する樹脂材料よりも剛性が高い補強コード26がタイヤケース17の周方向に巻回されている。補強コード26は、タイヤケース17の軸方向に沿った断面視で、少なくとも一部がクラウン部16に埋設された状態で螺旋状に巻回されており、補強コード層28を形成している。補強コード層28のタイヤ径方向外周側には、タイヤケース17を構成する樹脂材料よりも耐摩耗性に優れた材料、例えばゴムからなるトレッド30が配置されている。
本実施形態では、図3に示すように、補強コード26はスチールコード等の金属部材26Aを被覆用樹脂材料27で被覆した被覆コード部材である。本実施形態では、被覆用樹脂材料27としてタイヤケース17を形成する樹脂材料と同じ樹脂材料を用いているが、他の熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマーを用いてもよい。補強コード26は、クラウン部16との接触部分において、溶接、接着剤による接着等の方法で接合されている。なお、補強コード26は、被覆用樹脂材料27で被覆されていない状態のスチールコード等であってもよい。
被覆用樹脂材料27の引張弾性率は、タイヤケース17を形成する樹脂材料の引張弾性率の0.1倍から10倍の範囲内に設定することが好ましい。被覆用樹脂材料27の引張弾性率がタイヤケース17を形成する樹脂材料の引張弾性率の10倍以下であると、クラウン部が硬くなり過ぎず、リム組み性が容易になる。被覆用樹脂材料27の引張弾性率がタイヤケース17を形成する樹脂材料の引張弾性率の0.1倍以上であると、補強コード層28を構成する樹脂が柔らかすぎず、ベルト面内せん断剛性に優れ、コーナリング力が向上する。
本実施形態では、図3に示すように、補強コード26は、断面形状が略台形状とされている。なお、以下では、補強コード26の上面(タイヤ径方向外側の面)を符号26Uで示し、下面(タイヤ径方向内側の面)を符号26Dで示す。また、本実施形態では、補強コード26の断面形状を略台形状とする構成としているが、本発明はこの構成に限定されず、断面形状が下面26D側(タイヤ径方向内側)から上面26U側(タイヤ径方向外側)へ向かって幅広となる形状を除いた形状であれば、いずれの形状でもよい。
図3に示すように、補強コード26は、周方向に間隔をあけて配置されていることから、隣接する補強コード26との間に隙間28Aが形成されている。このため、補強コード層28の外周面17Sは、凹凸を有する形状となっている。
補強コード層28の外周面17S(凹凸含む)及び補強コード26の隙間28Aにおけるタイヤケース17の外周面には、微細な粗化凹凸96が形成され、その上に接合剤を介して、クッションゴム29が接合されている。クッションゴム29は、補強コード26及びタイヤケース17との接触面において、粗化凹凸96を埋めるように流れ込んでいる。
クッションゴム29の上(タイヤ外周面側)には、上述したトレッド30が接合されている。トレッド30には、従来のゴム製の空気入りタイヤと同様に、路面との接地面に複数の溝からなるトレッドパターン(図示省略)が形成されている。
次に、本実施形態のタイヤの製造方法について説明する。
(タイヤケース成形工程)
まず、薄い金属の支持リングに支持されたタイヤケース半体同士を互いに向かい合わせる。次いで、タイヤケース半体の突き当て部分の外周面と接するように接合金型を設置する。接合金型は、タイヤケース半体の接合部(突き当て部分)周辺を所定の圧力で押圧するように構成されている。次いで、タイヤケース半体の接合部周辺を、タイヤケースを構成する樹脂材料の融点以上の温度で押圧することで、接合部が溶融し、タイヤケース半体同士が融着して一体となり、タイヤケース17が形成される。
本実施形態では、接合金型を用いてタイヤケース半体の接合部を加熱したが、本発明はこれに限定されず、例えば、別に設けた高周波加熱機等によって接合部を加熱したり、予め熱風、赤外線の照射等によって軟化または溶融させ、接合金型によって加圧したりして、タイヤケース半体を接合させてもよい。
(RFL層及び樹脂層形成工程)
次に、形成されたタイヤケース17の内周面に、RFL層13及び樹脂層15を形成する。RFL層13及び樹脂層15の形成は、例えば、前述のRFLを含む組成物及び樹脂層形成用塗布液を用いてそれぞれ行われる。
具体的には、例えば、タイヤケース17の内周面のうちRFL層13を設ける位置にRFLを含む組成物を塗布してRFL塗膜を形成し、乾燥によりRFL塗膜に含まれる溶媒の少なくとも一部を除去する。次に、タイヤケース17の内周面のうち樹脂層15を設ける位置にRFL塗膜に接するように樹脂層形成用塗布液を塗布して塗膜を形成し、乾燥により樹脂層形成用塗布液の塗膜に含まれる溶媒の少なくとも一部を除去する。そして、必要に応じて加熱を行い、RFL塗膜及び樹脂層形成用塗布液の塗膜を硬化させることで、RFL層13及び樹脂層15が形成される。
なお、本実施形態では、タイヤケース17の形成後にRFL層13及び樹脂層15を設けたが、これに限られず、タイヤケース半体にRFL層13及び樹脂層15を形成した後にタイヤケース半体を接合し、RFL層13及び樹脂層15が設けられたタイヤケース17を形成してもよい。また、RFL層13及び樹脂層15の形成は、後述する補強コード部材巻回工程の後でもよく、積層工程の後でもよく、加硫工程の後でもよい。また、RFL塗膜及び樹脂層形成用塗布液の塗膜の形成及び乾燥を加硫工程よりも前に行い、加硫工程における加熱によってRFL塗膜及び樹脂層形成用塗布液の塗膜を硬化させ、RFL層13及び樹脂層15を形成してもよい。
(補強コード部材巻回工程)
次に、補強コード26をタイヤケース17に巻回する。補強コード26の巻回は、例えば、図示を省略するコード加熱装置を備えたコード供給装置を用いて行う。
具体的には、例えば、コード加熱装置によって補強コード26が加熱され、補強コード26の被覆用樹脂材料27が溶融または軟化した状態で、回転するタイヤケース17のクラウン部16の外周面に一定のテンションをもって螺旋状に巻きつけられる。このとき、クラウン部16の外周面に、補強コード26の下面26Dが接触する。そして、加熱により溶融または軟化した状態の被覆用樹脂材料27がクラウン部16の外周面上に広がり、クラウン部16の外周面に補強コード26が溶着される。これにより、クラウン部16と補強コード26との接合強度が向上する。
なお、本実施形態では、上述のようにしてクラウン部16の外周面に補強コード26を接合したが、他の方法で接合を行ってもよい。例えば、補強コード26の一部又は全体がクラウン部16に埋設されるように接合を行ってもよい。
(粗化処理工程)
次に、図示を省略するブラスト装置にて、補強コード層28の外周面17Sに向け、タイヤケース17側を回転させながら、外周面17Sへ投射材を高速度で射出する。射出された投射材は、外周面17Sに衝突し、この外周面17Sに算術平均粗さRaが0.05mm以上となる微細な粗化凹凸96を形成する。補強コード層28の外周面17Sに微細な粗化凹凸96が形成されることで、外周面17Sが親水性となり、後述する接合剤の濡れ性が向上する。
(積層工程)
次に、粗化処理を行なった補強コード層28の外周面17Sに、クッションゴム29を接合するための接合剤を塗布する。接合剤は特に制限されず、トリアジンチオール系接着剤、塩化ゴム系接着剤、フェノール系樹脂接着剤、イソシアネート系接着剤、ハロゲン化ゴム系接着剤、ゴム系接着剤等を用いることができるが、クッションゴム29が加硫できる温度(90℃〜140℃)で反応するものであることが好ましい。
次に、接合剤が塗布された外周面17Sに未加硫状態のクッションゴム29を1周分巻き付け、クッションゴム29の上にゴムセメント組成物等の接合剤を塗布する。次いで、接合剤が塗布されたクッションゴム29の上に加硫済みまたは半加硫状態のトレッドゴム30Aを1周分巻き付けて、生タイヤケースの状態とする。
(加硫工程)
次に、生タイヤケースを加硫缶やモールドに収容して加硫する。このとき、粗化処理によって補強コード層28の外周面17Sに形成された粗化凹凸96に、未加硫のクッションゴム29が流れ込む。そして、加硫が完了すると、粗化凹凸96に流れ込んだクッションゴム29により、アンカー効果が発揮されて、タイヤケース17及び補強コード26とクッションゴム29との接合強度が向上する。すなわち、クッションゴム29を介してタイヤケース17及び補強コード26とトレッド30との接合強度が向上する。
そして、タイヤケース17のビード部12に、上述したシール層24を、接着剤等を用いて接着すれば、タイヤ10の完成となる。
なお、タイヤ10の完成後に、更に、タイヤ10を加熱するアニール処理を行ってもよい。
タイヤ10は、ビード部12をリム20に装着することで、タイヤ10とリム20との間で空気室を形成する、所謂チューブレスタイヤであるが、本発明はこの構成に限定されず、完全なチューブ形状であってもよい。
以上、実施形態を挙げて本発明を実施するための形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。なお、本発明に適用可能な実施形態の詳細については、例えば、特開2012−46031号公報の記載を参照することができる。
以下、本発明により、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの記載に何ら制限を受けるものではない。
[実施例A]
(実施例A1)
−RFLを含む組成物の調製−
レゾルシノール9g、ホルムアルデヒド(37質量%溶液、日本ホルマリン工業(株)製)12g及びNaOH(0.1mol/l)4質量%溶液28gを軟水217gに添加混合したものに、あらかじめ混合しておいたスチレン−ブタジエンラテックス(SBL)[(JSR2108、JSR社製)40質量%ラテックス]96g及びビニルピリジン(VP)ラテックス[PYRATEX(41質量%ラテックス)、日本エイアンドエル(株)]93gを、混合して1時間撹拌して、レゾルシノールホルマリンラテックス(RFL)の20質量%分散液を得た。これを、RFLを含む組成物として用いた。
−タイヤの作製−
タイヤ骨格体を形成する樹脂材料として、表2に示す組成(骨格体用樹脂材料組成)の樹脂材料を用いた。樹脂材料をペレット化し、射出成形機として三菱重工プラスチックテクノロジー(株)製「1300emII」を用いて成形温度260℃、金型温度60℃、の条件で射出成形し、タイヤケース半体を得た。得られたタイヤケース半体を用いて、上述の実施形態に示した製造方法でタイヤ骨格体(タイヤケース17)を作製した。タイヤ骨格体の厚みは1.5mmであった。
上記RFLを含む組成物の調製で得られた分散液と、樹脂層の形成に用いる樹脂層形成用塗布液として表2に示す組成(樹脂層形成用塗布液組成)の分散液と、を用い、上述の実施形態に示した製造方法で、タイヤ骨格体の内周面全体に、RFL層(RFL層13)及び樹脂層(樹脂層15)を形成した。形成されたRFL層及び樹脂層の膜厚を表2に示す。
なお、樹脂層形成用塗布液は、表2に示す組成で配合し、メカニックスターラにて室温(25℃)で10分間攪拌することで得た。
また、RFL層及び樹脂層は、RFL塗膜を乾燥させ、RFL塗膜上に樹脂層形成用塗布液の塗膜の形成及び乾燥を行った後に、RFL塗膜及び樹脂層形成用塗布液の塗膜を加熱により硬化させ、RFL層及び樹脂層を形成した。なお、RFL塗膜を乾燥させる乾燥温度は室温(25℃)、乾燥時間は60分、樹脂層形成用塗布液の塗膜を乾燥させる乾燥温度は室温(25℃)、乾燥時間は120分とした。さらに、RFL塗膜及び樹脂層形成用塗布液の塗膜の硬化は、145℃の熱風オーブンを用いて、加熱温度を145℃、加熱時間を20分として行った。
RFL層及び樹脂層が形成されたタイヤ骨格体を用いて、上述の実施形態に示した補強コード部材巻回工程、粗化処理工程、積層工程、及び加硫工程を経て、シール層の接着を行うことにより、タイヤサイズ225/40R18のタイヤを作製した。
なお、補強コード部材の金属部材(金属部材26A)として、平均直径φ1.15mmのマルチフィラメント(φ0.35mmのモノフィラメント(スチール製、強力:280N、伸度:3%)7本を撚った撚り線)を用いた。また、補強コード部材としては、上記金属部材を、タイヤ骨格体を形成する樹脂材料と同じ組成の樹脂材料(被覆用樹脂材料27)で被覆したものを用いた。
また、加硫工程における加硫温度は150℃、加硫時間は20分とした。
−試験片の作製−
タイヤ骨格体を形成する樹脂材料として、表2に示す組成の樹脂材料を用いた。樹脂材料をペレット化し、電熱プレス(小平製作所製)を用いて、260℃、10MPaの条件下、10分間加熱することで、加熱プレスを行い、長さ150mm、幅50mm、厚み2mmの樹脂プレートを作製した。
得られた樹脂プレートから、JISK6251(1993年)に規定されるダンベル状試験片(5号形試験片及び3号形試験片)を打ち抜き、評価用のタイヤ骨格体試験片を作製した。
樹脂層の形成に用いる樹脂層形成用塗布液として表2に示す組成の分散液を用いた。そして、タイヤ骨格体試験片(5号形試験片及び3号形試験片)の表面に前記RFLを含む組成物を塗布して室温(25℃)で30分乾燥させ、その上に樹脂層形成用塗布液を塗布し、室温(25℃)で120分間乾燥させ、145℃の熱風オーブンを用いて、20分間加熱することで、表2に示す膜厚のRFL層及び表2に示す膜厚の樹脂層が形成されたタイヤ骨格体試験片を得た。
形成された樹脂層に含まれるウレタン樹脂のゲル分率を前述の方法で測定したところ、ゲル分率が90であった。
−膜厚の測定−
RFL層及び樹脂層の膜厚は、デジタルマイクロメータ(MDC−25MX(株式会社ミツトヨ製))及び光学顕微鏡(VHX−5000(キーエンス社製))を用いて、求めた。結果を表2に示す。
−軟化点の測定−
樹脂層の形成に用いる樹脂層形成用塗布液として表2に示す組成の分散液を用いた。そして、ガラスシャーレの上に樹脂層形成用塗布液を塗布し、室温(25℃)で120分間乾燥させ、145℃の熱風オーブンを用いて、20分間加熱することで、表2に示す膜厚の樹脂膜試験片を得た。
得られた樹脂膜試験片について、動的粘弾性測定試験機(RSAG2、TAインスツルメンツ社製)を使用して、温度0℃から180℃まで、昇温速度4℃/分、歪1%、測定周波数35Hzにて測定した。弾性損失(E’)の1次微分の最小ピーク位置における温度を、軟化点(℃)とした。結果を表2に示す。
−破断後の追従性試験−
破断後の追従性試験は、上記RFL層及び樹脂層が形成されたタイヤ骨格体試験片(3号形試験片)を用いて行った。具体的には、引張試験機(島津製作所社製、島津オートグラフAGS−J(5KN))により、チャック間50mm、引張速度を100mm/minに設定し、試験片が破断するまで引っ張った後の破断部におけるRFL層及び樹脂層を目視で観察し、ヒビが確認されたものについては爪による引掻き試験を行って評価した。評価基準は以下の通りであり、結果を表2(表2中の「追従性」)に示す。
「A」:破断部におけるRFL層及び樹脂層にヒビが確認されない
「B」:破断部におけるRFL層又は樹脂層に小さなヒビが確認されるが、爪で剥げない
「C」:破断部におけるRFL層又は樹脂層にヒビが確認され、爪で容易に剥げる
−密着性の評価−
RFL層及び樹脂層のタイヤ骨格体に対する密着性の評価は、上記RFL層及び樹脂層が形成されたタイヤ骨格体試験片(5号形試験片)を用いて、JISK5600(ISO2409)に基づき、クロスハッチ(碁盤目)試験より行った。
具体的な試験方法は、まず、クロスハッチカッター(モデル295(エリクセン社製))を用いて試験片の樹脂層及びRFL層に1mm間隔で11本のカット線(1)を入れる。カット線(1)に直角に11本のカット線(2)を入れ、1mm方眼の100マスを作成する。100マスの上にセロファンテープを貼り、強制的に引き剥がした後、ルーペを用いて、樹脂層及びRFL層のはがれ具合を調べる。
日本塗料検査協会評価基準に基づき、下記表1に示す通り、10点満点の点数評価を行った。結果を表2に示す。なお、8点以上であれば合格である。
−亀裂進展性試験−
上記RFL層及び樹脂層が形成されたタイヤ骨格体試験片(5号形試験片)を用い、試験片中央に直径0.3mmの穴をあけ、電磁式サーボ式疲労試験機(EMT−1kNV、島津製作所社製)を用いて、歪11%、周波数17Hz、40℃の条件で繰返し疲労試験を行った。破断するまでの回数を耐亀裂回数とし、結果を表2(表2中の「耐亀裂回数(回)」)に示す。
−タイヤ走行耐久性試験−
得られたタイヤ(タイヤサイズ:225/45R17)を、JATMAに準拠する7.5JJ×17のリムに組み付けて、25±2℃の室内中で内圧3.0kg/cmに調整した。その後、540Kgの荷重をタイヤに負荷し、直径3mのドラム上で速度60km/時で3000km走行させた(以下「条件1」ともいう)。
タイヤ走行耐久性試験を行った後、タイヤ骨格体の内周面における長さ30mm以上の亀裂(以下「深刻亀裂」ともいう)及び長さ30mm未満の亀裂(以下「軽微亀裂」ともいう)の数を確認し、以下の基準で評価した。結果を表2に示す。
「A」:3000km完走し、3000km完走後の深刻亀裂の数が0
「B」:3000km完走したが、3000km完走後の深刻亀裂の数が1以上
「C」:3000km未完走
なお、「未完走」とは、タイヤ走行耐久性試験の終了以前に、部材の剥離、エア漏れ、タイヤの膨れ等が発生し走行不能となったものをいう。
(実施例A2〜実施例A4、比較例A1〜比較例A4)
タイヤ骨格体を形成する樹脂材料の組成(骨格体用樹脂材料組成)、RFL層の有無、及び樹脂層形成用塗布液の組成(樹脂層形成用塗布液組成)を表2に示すように変更した以外は、実施例A1と同様に、タイヤの作製及び試験片の作製を行った。また、実施例A1と同様にして、膜厚の測定、軟化点の測定、密着性の評価、破断後の追従性試験、亀裂進展性試験、及びタイヤ走行耐久性試験を行った。測定及び評価の結果を表2に示す。
なお、比較例A1については、タイヤの作製及び試験片の作製においてRFL層及び樹脂層を設ける工程を省略した。また、比較例A1については、膜厚の測定、軟化点の測定、密着性の評価、及び破断後の追従性試験を省略した。
また、タイヤの作製及び試験片の作製において、比較例A2ではRFL層及び樹脂層を設ける代わりにRFL層のみを設け、比較例A3及び比較例A4ではRFL層及び樹脂層を設ける代わりに樹脂層のみを設けた。また、比較例A2については樹脂層の膜厚の測定及び軟化点の測定を省略し、比較例A3及び比較例A4についてはRFL層の膜厚の測定を省略した。
なお、実施例A2、実施例A3、実施例A4、比較例A3、及び比較例A4において形成された樹脂層に含まれるウレタン樹脂のゲル分率を前述の方法で測定した。実施例A2ではゲル分率:92%、実施例A3ではゲル分率:90%、実施例A4ではゲル分率:95%であった。また、比較例A3ではゲル分率:91%であった。
表2中の表記の意味は以下の通りである。
・TPA1:ポリアミド系熱可塑性エラストマー(宇部興産(株)製、品名:XPA9055X1)
・TPA2:ポリアミド系熱可塑性エラストマー(宇部興産(株)製、品名:XPA9048X1)
・PU1:ウレタン樹脂水分散液(不揮発分濃度:32.5〜36.5質量%、大日精化工業(株)製、品名:レザミンD4080)
・PU2:ウレタン樹脂水分散液(不揮発分濃度:38質量%、第一工業製薬(株)製、品名:スーパーフレックス460)
・PU3:ウレタン樹脂水分散液(不揮発分濃度:38質量%、第一工業製薬(株)製、品名:スーパーフレックス470)
・架橋剤1:架橋剤(大日精化(株)製、品名:レザミンD−52)
・CBPU:カーボンブラック含有ウレタン樹脂水分散液(不揮発分濃度:22質量%、不揮発分中のカーボンブラック含有量:10質量%、不揮発分中のウレタン樹脂含有量:12質量%、大日精化工業社製、品名:セイカセブンDW−1790ブラック(A))
なお、上記PU1(レザミンD4080)に含まれるウレタン樹脂は、モノマー単位のうちポリオール成分としてエーテルカーボネート系のポリオールを含む。
また、上記PU2(スーパーフレックス460)に含まれるウレタン樹脂は、モノマー単位のうちポリイソシアネート成分として1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートを含み、ポリオール成分としてポリヘキサメチレングリコールを含む。
また、上記CBPU(セイカセブンDW−1790ブラック(A))に含まれるウレタン樹脂は、モノマー単位のうちポリイソシアネート成分としてイソホロンジイソシアネートを含み、ポリオール成分としてポリヘキサメチレングリコール及びポリヘキサメチレンカーボネートジオールを含む。
表2中、「CB含有率(%)」は、樹脂層の全質量に対するカーボンブラックの含有率(質量%)を意味する。
表2中、組成及びRFL層の膜厚における「−」は、その成分又は層を含まないことを意味し、組成における数値は添加量(質量部)を示す。
表2中、樹脂層特性における「−」は、樹脂層を有していないため測定を省略したことを示す。
表2中、追従性及び密着性における「−」は、RFL層及び樹脂層を有していないため評価を省略したことを示す。
[実施例B]
(実施例B1)
タイヤ骨格体を形成する樹脂材料の組成(骨格体用樹脂材料組成)、RFL層の有無、及び樹脂層形成用塗布液の組成(樹脂層形成用塗布液組成)を表3に示すように変更した以外は、実施例A1と同様に、タイヤの作製、試験片の作製、膜厚の測定、軟化点の測定、及び密着性の評価を行った。測定及び評価の結果を表3に示す。
−紫外線透過率の測定−
上記RFL層及び樹脂層が形成されたタイヤ骨格体試験片を用い、樹脂層について、紫外・可視・近赤外分光光度計(SolidSpec−3700DUV、島津製作所社製)を用いて、紫外線(280nm及び350nm)の光透過率を測定した。350nmの紫外線における透過率(表3中「透過率350nm(%)」)及び280nmの紫外線における透過率(表3中「透過率280nm(%)」を表3に示す。
−耐光性試験−
上記RFL層及び樹脂層が形成されたタイヤ骨格体試験片を用い、樹脂層側の面に対して、キセノン耐光促進試験機を用いて、光照射を行った。光照射の条件は、照射光量60W/cm(波長300nm〜400nm)、ブラックパネル温度65℃、湿度50%RH、降雨条件なし、照射時間1000時間とした。
光照射前の試験片、800時間キセノン光照射後の試験片、1000時間キセノン光照射後の試験片、及び7日間メタルハライド光照射後の試験片すべてについて、樹脂層及びRFL層をカッターなどにより除去し、樹脂層及びRFL層が除去されたタイヤ骨格体試験片における樹脂層側(光照射側)の面から厚さ0.3mmを切り取り、重量平均分子量の測定を行った。
重量平均分子量の測定は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、型番:HLC−8320GPC、東ソー社製)を用いた。測定条件は、カラム:TSK−GEL SuperHM−M(東ソー社製)、展開溶媒:1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(和光純薬工業製)、カラム温度:40℃、流速:0.3ml/分で、RI検出器を用いて重量平均分子量を求めた。
光照射前の試験片における上記重量平均分子量を100としたときの、光照射後の試験片における上記重量平均分子量の換算値を求め、耐光性を評価した。得られた換算値の値を表3(表3中の「耐光性1000時間後の分子量(初期対比INDEX)」、「耐光性800時間後の分子量(初期対比INDEX)」、及び「耐光性7日間後の分子量(初期対比INDEX)」)に示す。
−光照射後タイヤ走行耐久性試験−
得られたタイヤ(タイヤサイズ:225/45R17)の内周面に、キセノン耐光促進試験機を用いて、光照射を行った。光照射の条件は、照射光量60W/cm(波長300nm〜400nm)、ブラックパネル温度65℃、湿度50%RH、降雨条件なし、照射時間1000時間とした。
光照射後のタイヤを、JATMAに準拠する7.5JJ×17のリムに組み付けて、25±2℃の室内中で内圧3.0kg/cmに調整した。その後、540Kgの荷重をタイヤに負荷し、直径3mのドラム上で速度60km/時で3000km走行させた。
タイヤ走行耐久性試験を行った後、タイヤ骨格体の内周面における長さ30mm以上の亀裂(以下「深刻亀裂」ともいう)及び長さ30mm未満の亀裂(以下「軽微亀裂」ともいう)の数を確認し、以下の基準で評価した。結果を表3に示す。
「A」:3000km完走し、3000km完走後の深刻亀裂の数が0
「B」:3000km完走したが、3000km完走後の深刻亀裂の数が1以上
「C」:3000km未完走
なお、「未完走」とは、タイヤ走行耐久性試験の終了以前に、部材の剥離、エア漏れ、タイヤの膨れ等が発生し走行不能となったものをいう。
(実施例B2〜実施例B5、比較例B1)
タイヤ骨格体を形成する樹脂材料の組成(骨格体用樹脂材料組成)、RFL層の有無、及び樹脂層形成用塗布液の組成(樹脂層形成用塗布液組成)を表3に示すように変更した以外は、実施例B1と同様にして、タイヤの作製及び試験片の作製を行った。また、実施例B1と同様にして、膜厚の測定、軟化点の測定、密着性の評価、耐光性試験、及び光照射後タイヤ走行耐久性試験を行った。測定及び評価の結果を表3に示す。
なお、比較例B1については、タイヤの作製及び試験片の作製においてRFL層及び樹脂層を設ける工程を省略した。また、比較例B1については、膜厚の測定、軟化点の測定、及び密着性の評価を省略し、耐光性試験についてはRFL層及び樹脂層を除去する工程を省略して行った。
なお、実施例B2、実施例B3、及び実施例B4において形成された樹脂層に含まれるウレタン樹脂のゲル分率を前述の方法で測定した。実施例B2ではゲル分率:91%、実施例B3ではゲル分率:91%、実施例B4ではゲル分率:92%であった。
表3中の表記の意味は以下の通りである。
・TPA1:ポリアミド系熱可塑性エラストマー(宇部興産(株)製、品名:XPA9055X1)
・TPA2:ポリアミド系熱可塑性エラストマー(宇部興産(株)製、品名:XPA9048X1)
・PU1:ウレタン樹脂水分散液(不揮発分濃度:32.5〜36.5、大日精化工業(株)製、品名:レザミンD4080)
・架橋剤1:架橋剤(大日精化(株)製、品名:レザミンD−52)
・CBPU:カーボンブラック含有ウレタン樹脂水分散液(不揮発分濃度:22質量%、不揮発分中のカーボンブラック含有量:10質量%、不揮発分中のウレタン樹脂含有量:12質量%、大日精化工業社製、品名:セイカセブンDW−1790ブラック(A))
なお、上記PU1(レザミンD4080)に含まれるウレタン樹脂は、モノマー単位のうちポリオール成分としてエーテルカーボネート系のポリオールを含む。
また、上記CBPU(セイカセブンDW−1790ブラック(A))に含まれるウレタン樹脂は、モノマー単位のうちポリイソシアネート成分としてイソホロンジイソシアネートを含み、ポリオール成分としてポリヘキサメチレングリコール及びポリヘキサメチレンカーボネートジオールを含む。
表3中、「CB含有率(%)」は、樹脂層の全質量に対するカーボンブラックの含有率(質量%)を意味する。
表3中、組成及びRFL層の膜厚における「−」は、その成分又は層を含まないことを意味し、組成における数値は添加量(質量部)を示す。
表3中、樹脂層特性における「−」は、樹脂層を有していないため測定を省略したことを示す。
表3中、密着性、透過率350nm、及び透過率280nmにおける「−」は、RFL層及び樹脂層を有していないため評価を省略したことを示す。
[実施例C]
(実施例C1)
タイヤ骨格体を形成する樹脂材料の組成(骨格体用樹脂材料組成)、RFL層の有無、及び樹脂層形成用塗布液の組成(樹脂層形成用塗布液組成)を表4に示すように変更した以外は、実施例A1と同様に、タイヤの作製、試験片の作製、膜厚の測定、軟化点の測定、破断後の追従性試験、密着性の評価、及びタイヤ走行耐久性試験を行った。測定及び評価の結果を表4に示す。
形成された樹脂層に含まれるウレタン樹脂の分子量を前述の方法で測定したところ96000であった。
また、形成された樹脂層に含まれるウレタン樹脂のゲル分率を前述の方法で測定した結果を表4(表4中の「ゲル分率(質量%)」)に示す。
−樹脂層形成用塗布液のポットライフの測定−
樹脂層形成用塗布液の粘度を、JIS Z8803に準じて、B型粘度計(東機産業製、型番:BL II)を用いて、20℃で1分間回転させた条件で測定した。
上記粘度の測定は、まず、樹脂層形成用塗布液を調製してから30分以内に行い、その後20℃の環境下で樹脂層形成用塗布液を保管し、24時間ごとに粘度の測定を行った。年度が700mPa・sを超えた日数をポットライフとした。結果を表4に示す。
(実施例C2〜実施例C6)
タイヤ骨格体を形成する樹脂材料の組成(骨格体用樹脂材料組成)、RFL層の有無、及び樹脂層形成用塗布液の組成(樹脂層形成用塗布液組成)を表4に示すように変更した以外は、実施例C1と同様にして、タイヤの作製及び試験片の作製を行った。また、実施例C1と同様にして、膜厚の測定、軟化点の測定、破断後の追従性試験、密着性の評価、タイヤ走行耐久性試験、及び樹脂層形成用塗布液のポットライフの測定を行った。測定及び評価の結果を表4に示す。
なお、実施例C6において形成された樹脂層に含まれるウレタン樹脂の分子量を前述の方法で測定したところ、94000であった。
また、実施例C2〜実施例C6についても、形成された樹脂層に含まれるウレタン樹脂のゲル分率を前述の方法で測定した結果を表4(表4中の「ゲル分率(質量%)」)に示す。
表4中の表記の意味は以下の通りである。
・TPA1:ポリアミド系熱可塑性エラストマー(宇部興産(株)製、品名:XPA9055X1)
・TPA2:ポリアミド系熱可塑性エラストマー(宇部興産(株)製、品名:XPA9048X1)
・PU1:ウレタン樹脂水分散液(不揮発分濃度:32.5〜36.5、大日精化工業(株)製、品名:レザミンD4080)
・PU2:ウレタン樹脂水分散液(不揮発分濃度:38質量%、第一工業製薬(株)製、品名:スーパーフレックス460)
・架橋剤1:架橋剤(大日精化(株)製、品名:レザミンD−52)
・架橋剤2:架橋剤(日精紡ケミカル(株)製、品名:カルボジライト(登録商標)V−02−L2)
なお、上記PU1(レザミンD4080)に含まれるウレタン樹脂は、モノマー単位のうちポリオール成分としてエーテルカーボネート系のポリオールを含む。
また、上記PU2(スーパーフレックス460)に含まれるウレタン樹脂は、モノマー単位のうちポリイソシアネート成分として1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートを含み、ポリオール成分としてポリヘキサメチレングリコールを含む。
表4中、組成における「−」は、その成分を含まないことを意味し、組成における数値は添加量(質量部)を示す。
表4中、ポットライフにおける「−」は、7日間以上の間、樹脂層形成用塗布液の粘度上昇が起こらなかったことを示す。
表2〜表4より、実施例では、比較例に比べて、タイヤ骨格体の内周面における亀裂の発生が抑制されていることがわかる。
10 タイヤ、12 ビード部、13 RFL層(接着層)、14 サイド部、15 樹脂層、16 クラウン部(外周部)、17 タイヤケース(タイヤ骨格体)、18 ビードコア、20 リム、21 ビードシート、22 リムフランジ、24 シール層、26 補強コード、26A 金属部材、27 被覆用樹脂材料、28 補強コード層、29 クッションゴム、30 トレッド、96 粗化凹凸

Claims (9)

  1. ポリアミド系熱可塑性樹脂及びポリアミド系熱可塑性エラストマーから選択される少なくとも一種の樹脂を含む環状のタイヤ骨格体と、
    前記タイヤ骨格体における内周面の少なくとも一部に設けられ、ウレタン樹脂を含む樹脂層と、
    前記タイヤ骨格体と前記樹脂層との間に介在し、前記タイヤ骨格体と前記樹脂層との両方に接して設けられた接着層であって、レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックスを含む組成物の硬化物である接着層と、
    を有し、
    前記樹脂層の厚みは、前記タイヤ骨格体の厚みの0.01倍以上0.2倍以下であり、
    前記樹脂層の厚みは、5μm以上200μm以下であるタイヤ。
  2. 前記樹脂層の軟化点は80℃以上である請求項1に記載のタイヤ。
  3. 前記ウレタン樹脂は、三次元網目構造を有する請求項1又は請求項2に記載のタイヤ。
  4. 前記ウレタン樹脂は、モノマー単位として、ポリイソシアネートと、ポリエーテルポリオール及びポリカーボネートポリオールから選択される少なくとも1種と、を含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のタイヤ。
  5. 前記樹脂層はカーボンブラックをさらに含み、前記樹脂層の全質量に対する前記カーボンブラックの含有量が0.1質量%以上20質量%以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のタイヤ。
  6. 前記樹脂層の厚みは、10μm以上150μm以下である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のタイヤ。
  7. 前記樹脂層の厚みは、5μm以上15μm以下である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のタイヤ。
  8. 前記樹脂層の厚みは、前記タイヤ骨格体の厚みの0.01倍以上0.1倍以下である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のタイヤ。
  9. 前記樹脂層の引張弾性率は、前記タイヤ骨格体の引張弾性率の0.02倍以上0.20倍以下である請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のタイヤ。
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