JP6794178B2 - タイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、リムに装着されるタイヤにかかり、タイヤ骨格体と外装部材とを有するタイヤに関する。
従来、乗用車等の車両には、ゴムを主な材料とするタイヤが用いられている。これに対して近年では、軽量化、成形の容易さ、リサイクルのしやすさ等の観点から、ゴムに代えて樹脂をタイヤの材料として用いることが検討されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2011−042235号公報
上記のように樹脂はタイヤの材料として有望であるが、タイヤ骨格体以外の部材への樹脂の適用は進んでいない。例えば、タイヤ骨格体とリムの間に設けられてリムとの摩擦からタイヤ骨格体を保護するための外装部材(チェーファーとも称される)は、エアシール性と耐摩耗性(耐リムずれ性)に高い水準が求められるが、樹脂よりもゴムの方がこれらの特性に優れている。このため、タイヤ骨格体の外装部材の材料としては今なおゴムが一般的である。
ゴムの代わりに樹脂を用いてタイヤ骨格体の外装部材を形成することができれば、射出成形による外装部材の形成や、タイヤ骨格体と外装部材の一体成形が可能になり、タイヤの生産性向上の観点から有利である。
本発明は上記事情に鑑み、樹脂材料で形成され、かつエアシール性、耐リムずれ性、高速走行性能および耐久性に優れる外装部材を有するタイヤを提供することを目的とする。
上記課題を解決するための具体的な手段には、以下の態様が含まれる。
<1>樹脂材料で形成される環状のタイヤ骨格体と、前記タイヤ骨格体のリムと接する部分に設けられ、樹脂材料で形成される外装部材と、を含み、前記外装部材の圧縮永久歪が80%以下であり、ピコ摩耗試験において測定される摩耗量が300g以下である、タイヤ。
<2>前記タイヤ骨格体を形成する樹脂材料と、前記外装部材を形成する樹脂材料とが同じ種類の樹脂を含む、<1>に記載のタイヤ。
<3>前記タイヤ骨格体を形成する樹脂材料と、前記外装部材を形成する樹脂材料の少なくとも一方が熱可塑性エラストマーを含む、<1>又は<2>に記載のタイヤ。
<4>前記タイヤ骨格体を形成する樹脂材料と、前記外装部材を形成する樹脂材料の少なくとも一方が熱可塑性ポリアミド系エラストマーを含む、<1>〜<3>のいずれか1項に記載のタイヤ。
<5>前記タイヤ骨格体を形成する樹脂材料と、前記外装部材を形成する樹脂材料とがそれぞれ熱可塑性ポリアミド系エラストマーを含む、<1>〜<4>のいずれか1項に記載のタイヤ。
本発明によれば、樹脂材料で形成され、かつエアシール性、耐リムずれ性、高速走行性能および耐久性に優れる外装部材を有するタイヤが提供される。
本発明の一実施形態に係るタイヤの一部の断面を示す斜視図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
本明細書において「樹脂」とは、熱可塑性樹脂(熱可塑性エラストマーを含む)及び熱硬化性樹脂を含む概念であり、加硫ゴムは含まない。
また、「ゴム」とは、弾性を有する高分子化合物であるが、本明細書では、熱可塑性樹脂エラストマーとは区別される。
また、「熱可塑性エラストマー」には、弾性を有する高分子化合物であって、結晶性で融点の高いハードセグメント若しくは高い凝集力のハードセグメントを構成するポリマーと、非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを構成するポリマーとを有する共重合体からなる熱可塑性樹脂と、熱可塑性樹脂とゴムの混合物である熱可塑性ゴム架橋体(TPV)の両方が含まれる。
また、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
≪タイヤ≫
本発明のタイヤは、樹脂材料で形成される環状のタイヤ骨格体と、前記タイヤ骨格体のリムと接する部分に設けられ、樹脂材料で形成される外装部材と、を含み、前記外装部材の圧縮永久歪が80%以下であり、ピコ摩耗試験において測定される摩耗量が300g以下である。
本発明のタイヤは、外装部材の材料として樹脂材料を用いるため、加硫の必要なゴムを用いる場合に比べて簡便な手法で外装部材を形成することができ、タイヤの生産性に優れている。
また、外装部材のピコ摩耗試験において測定される摩耗量が300g以下であることで、良好な耐摩耗性を有している。さらに、外装部材の圧縮永久歪が80%以下であることで、良好なエアシール性(変形しにくい)を有している。
一般に、樹脂材料の摩耗量が大きいほど圧縮永久歪の値は小さくなる傾向にある。本発明では、両者の値を適切な範囲に規定することで特性のバランスに優れた外装部材を実現している。
外装部材のピコ摩耗試験において測定される摩耗量はエアシール性の観点から、300g以下であり、200g以下であることが好ましく、150g以下であることがより好ましく、60g以下であることがさらに好ましい。
外装部材の圧縮永久歪は高速走行性能および耐久性の観点から80%以下であることが好ましく、68%以下であることがより好ましく、50%以下であることがさらに好ましい。一方、充分な耐リムずれ性とエアシール性を得る観点からは、外装部材の圧縮永久歪は60%以上であることが好ましい。
本発明のタイヤにおいて、タイヤ骨格体と外装部材に含まれる樹脂材料に含まれる樹脂は同じ種類であっても、異なる種類であってもよい。タイヤ骨格体と外装部材との接着性の観点からは、タイヤ骨格体と外装部材に含まれる樹脂材料は同じ種類の樹脂を含むことが好ましい。
本明細書において樹脂が同じ種類であるとは、樹脂の主鎖の骨格(樹脂がハードセグメントとソフトセグメントを有する熱可塑性エラストマーである場合は、ハードセグメントの主鎖を構成する骨格)が共通していること(例えば、エステル系同士、スチレン系同士、ポリアミド系同士等)を意味する。同じ種類の樹脂の組み合わせには、一方が熱可塑性樹脂であって一方が熱可塑性エラストマーである場合、双方が熱可塑性樹脂である場合、及び双方が熱可塑性エラストマーである場合が含まれる。
融着性の観点からは、タイヤ骨格体に含まれる樹脂材料と外装部材に含まれる樹脂材料の少なくとも一方が熱可塑性エラストマーを含むことが好ましく、双方が熱可塑性エラストマーを含むことがより好ましい。耐熱性と転がり抵抗性の観点からは、タイヤ骨格体に含まれる樹脂材料と外装部材に含まれる樹脂材料の少なくとも一方がポリアミド系熱可塑性エラストマー、オレフィン系樹脂及びオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、双方がポリアミド系熱可塑性エラストマー、オレフィン系樹脂及びオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。
<タイヤ骨格体>
タイヤ骨格体は、樹脂材料で形成される。樹脂材料は樹脂を少なくとも含み、樹脂としては熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー及び熱硬化性樹脂が挙げられる。融着性の観点からは、樹脂材料は熱可塑性エラストマーを含むことが好ましく、ポリアミド系熱可塑性エラストマーを含むことがより好ましい。タイヤ骨格体を形成する樹脂材料に含まれる樹脂は、1種のみであっても2種以上であってもよい。
タイヤ骨格体を形成する樹脂材料に含まれる樹脂の含有率は、樹脂材料の総量の50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂としては、ポリアミド系熱可塑性樹脂、ポリエステル系熱可塑性樹脂、オレフィン系熱可塑性樹脂、ポリウレタン系熱可塑性樹脂、塩化ビニル系熱可塑性樹脂、ポリスチレン系熱可塑性樹脂等を例示することができる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、熱可塑性樹脂としては、ポリアミド系熱可塑性樹脂、ポリエステル系熱可塑性樹脂、及びオレフィン系熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1種が好ましく、ポリアミド系熱可塑性樹脂及びオレフィン系熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1種が更に好ましい。
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、JIS K6418に規定されるポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPEE)、熱可塑性ゴム架橋体(TPV)、若しくはその他の熱可塑性エラストマー(TPZ)等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール系熱硬化性樹脂、ユリア系熱硬化性樹脂、メラミン系熱硬化性樹脂、エポキシ系熱硬化性樹脂等が挙げられる。
走行時に必要とされる弾性、製造時の成形性等を考慮すると、タイヤ骨格体を形成する樹脂材料は、熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーからなる群から選択される少なくとも一方を含むことが好ましく、熱可塑性エラストマーを含むことがより好ましい。
タイヤ骨格体を形成する樹脂材料が熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーからなる群から選択される少なくとも一方を含む場合、その合計含有率は、樹脂材料に含まれる樹脂の総量の50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
タイヤ骨格体を形成する樹脂材料が熱可塑性エラストマーを含む場合、その含有率は、樹脂材料に含まれる樹脂の総量の50質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
−ポリアミド系熱可塑性エラストマー−
ポリアミド系熱可塑性エラストマーとは、結晶性で融点の高いハードセグメントを形成するポリマーと非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを形成するポリマーとを有する共重合体からなる熱可塑性の樹脂材料であって、ハードセグメントを形成するポリマーの主鎖にアミド結合(−CONH−)を有するものを意味する。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、少なくともポリアミドが結晶性で融点の高いハードセグメントを形成し、他のポリマー(例えば、ポリエステル、ポリエーテル等)が非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを形成している材料が挙げられる。また、ポリアミド系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメント及びソフトセグメントの他に、ジカルボン酸等の鎖長延長剤を用いて形成されてもよい。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーとしては、具体的には、JIS K6418:2007に規定されるアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)等や、特開2004−346273号公報に記載のポリアミド系エラストマー等を挙げることができる。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーにおいて、ハードセグメントを形成するポリアミドとしては、例えば、下記一般式(1)又は一般式(2)で表されるモノマーによって生成されるポリアミドを挙げることができる。
[一般式(1)中、Rは、炭素数2〜20の炭化水素の分子鎖(例えば炭素数2〜20のアルキレン基)を表す。]
[一般式(2)中、Rは、炭素数3〜20の炭化水素の分子鎖(例えば炭素数3〜20のアルキレン基)を表す。]
一般式(1)中、Rとしては、炭素数3〜18の炭化水素の分子鎖、例えば炭素数3〜18のアルキレン基が好ましく、炭素数4〜15の炭化水素の分子鎖、例えば炭素数4〜15のアルキレン基が更に好ましく、炭素数10〜15の炭化水素の分子鎖、例えば炭素数10〜15のアルキレン基が特に好ましい。
また、一般式(2)中、Rとしては、炭素数3〜18の炭化水素の分子鎖、例えば炭素数3〜18のアルキレン基が好ましく、炭素数4〜15の炭化水素の分子鎖、例えば炭素数4〜15のアルキレン基が更に好ましく、炭素数10〜15の炭化水素の分子鎖、例えば炭素数10〜15のアルキレン基が特に好ましい。
一般式(1)又は一般式(2)で表されるモノマーとしては、ω−アミノカルボン酸又はラクタムが挙げられる。また、ハードセグメントを形成するポリアミドとしては、これらω−アミノカルボン酸又はラクタムの重縮合体、ジアミンとジカルボン酸との共縮重合体等が挙げられる。
ω−アミノカルボン酸としては、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、10−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等の炭素数5〜20の脂肪族ω−アミノカルボン酸等を挙げることができる。また、ラクタムとしては、ラウリルラクタム、ε−カプロラクタム、ウデカンラクタム、ω−エナントラクタム、2−ピロリドン等の炭素数5〜20の脂肪族ラクタム等を挙げることができる。
ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、3−メチルペンタメチレンジアミン、メタキシレンジアミン等の炭素数2〜20の脂肪族ジアミン等のジアミン化合物を挙げることができる。
また、ジカルボン酸は、HOOC−(R−COOH(R:炭素数3〜20の炭化水素の分子鎖、m:0又は1)で表すことができ、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸を挙げることができる。
ハードセグメントを形成するポリアミドとしては、ラウリルラクタム、ε−カプロラクタム、又はウデカンラクタムを開環重縮合したポリアミドを好ましく用いることができる。
また、ソフトセグメントを形成するポリマーとしては、例えば、ポリエステル、ポリエーテル等が挙げられ、具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ABA型トリブロックポリエーテル等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、ポリエーテルの末端にアンモニア等を反応させることによって得られるポリエーテルジアミン等も用いることができる。
ここで、「ABA型トリブロックポリエーテル」とは、下記一般式(3)に示されるポリエーテルを意味する。
[一般式(3)中、x及びzは、1〜20の整数を表す。yは、4〜50の整数を表す。]
一般式(3)において、x及びzは、それぞれ、1〜18の整数が好ましく、1〜16の整数がより好ましく、1〜14の整数が更に好ましく、1〜12の整数が特に好ましい。また、一般式(3)において、yは、5〜45の整数が好ましく、6〜40の整数がより好ましく、7〜35の整数が更に好ましく、8〜30の整数が特に好ましい。
ハードセグメントとソフトセグメントとの組合せとしては、上述で挙げたハードセグメントとソフトセグメントとのそれぞれの組合せを挙げることができる。これらの中でも、ハードセグメントとソフトセグメントとの組合せとしては、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ポリエチレングリコールの組合せ、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ポリプロピレングリコールの組合せ、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ポリテトラメチレンエーテルグリコールの組合せ、又はラウリルラクタムの開環重縮合体/ABA型トリブロックポリエーテルの組合せが好ましく、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ABA型トリブロックポリエーテルの組合せがより好ましい。
ハードセグメントを形成するポリマー(ポリアミド)の数平均分子量は、溶融成形性の観点から、300〜15000が好ましい。また、ソフトセグメントを形成するポリマーの数平均分子量としては、強靱性及び低温柔軟性の観点から、200〜6000が好ましい。さらに、ハードセグメント(x)及びソフトセグメント(y)との質量比(x:y)は、成形性の観点から、50:50〜90:10が好ましく、50:50〜80:20がより好ましい。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントを形成するポリマー及びソフトセグメントを形成するポリマーを公知の方法によって共重合することで合成することができる。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーの市販品としては、例えば、宇部興産(株)の「UBESTA XPA」シリーズ(例えば、XPA9063X1、XPA9055X1、XPA9048X2、XPA9048X1、XPA9040X1、XPA9040X2XPA9044等)、ダイセル・エポニック(株)の「ベスタミド」シリーズ(例えば、E40−S3、E47−S1、E47−S3、E55−S1、E55−S3、EX9200、E50−R2等)等を用いることができる。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーは、弾性率(柔軟性)、強度等の観点からタイヤ骨格体として要求される性能を満たすため、樹脂材料として好適である。また、ポリアミド系熱可塑性エラストマーは、熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーとの接着性も良好であることが多い。したがって、タイヤ骨格体を形成する樹脂材料としてポリアミド系熱可塑性エラストマーを用いると、タイヤ骨格体と金属樹脂複合体に含まれる樹脂層との接着性の観点から、被覆用組成物の材料の選択自由度が高くなる傾向がある。
−ポリスチレン系熱可塑性エラストマー−
ポリスチレン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、少なくともポリスチレンがハードセグメントを形成し、他のポリマー(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリエチレン、水添ポリブタジエン、水添ポリイソプレン等)が非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを形成している材料が挙げられる。ハードセグメントを形成するポリスチレンとしては、例えば、公知のラジカル重合法、イオン性重合法等で得られるものが好ましく用いられ、具体的には、アニオンリビング重合を持つポリスチレンが挙げられる。また、ソフトセグメントを形成するポリマーとしては、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ(2,3−ジメチル−ブタジエン)等が挙げられる。
ハードセグメントとソフトセグメントとの組合せとしては、上述で挙げたハードセグメントとソフトセグメントとのそれぞれの組合せを挙げることができる。これらの中でも、ハードセグメントとソフトセグメントとの組合せとしては、ポリスチレン/ポリブタジエンの組合せ、又はポリスチレン/ポリイソプレンの組合せが好ましい。また、熱可塑性エラストマーの意図しない架橋反応を抑制するため、ソフトセグメントは水素添加されていることが好ましい。
ハードセグメントを形成するポリマー(ポリスチレン)の数平均分子量は、5000〜500000が好ましく、10000〜200000がより好ましい。
また、ソフトセグメントを形成するポリマーの数平均分子量としては、5000〜1000000が好ましく、10000〜800000がより好ましく、30000〜500000が更に好ましい。さらに、ハードセグメント(x)及びソフトセグメント(y)との体積比(x:y)は、成形性の観点から、5:95〜80:20が好ましく、10:90〜70:30がより好ましい。
ポリスチレン系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントを形成するポリマー及びソフトセグメントを形成するポリマーを公知の方法によって共重合することで合成することができる。
ポリスチレン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン系共重合体[SBS(ポリスチレン−ポリ(ブチレン)ブロック−ポリスチレン)、SEBS(ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック−ポリスチレン)]、スチレン−イソプレン共重合体(ポリスチレン−ポリイソプレンブロック−ポリスチレン)、スチレン−プロピレン系共重合体[SEP(ポリスチレン−(エチレン/プロピレン)ブロック)、SEPS(ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン)、SEEPS(ポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン)、SEB(ポリスチレン(エチレン/ブチレン)ブロック)]等が挙げられる。
ポリスチレン系熱可塑性エラストマーの市販品としては、例えば、旭化成(株)製の「タフテック」シリーズ(例えば、H1031、H1041、H1043、H1051、H1052、H1053、H1062、H1082、H1141、H1221、H1272等)、(株)クラレ製の「SEBS」シリーズ(8007、8076等)、「SEPS」シリーズ(2002、2063等)等を用いることができる。
−ポリウレタン系熱可塑性エラストマー−
ポリウレタン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、少なくともポリウレタンが物理的な凝集によって疑似架橋を形成しているハードセグメントを形成し、他のポリマーが非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを形成している材料が挙げられる。
ポリウレタン系熱可塑性エラストマーとしては、具体的には、JIS K6418:2007に規定されるポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)が挙げられる。ポリウレタン系熱可塑性エラストマーは、下記式Aで表される単位構造を含むソフトセグメントと、下記式Bで表される単位構造を含むハードセグメントとを含む共重合体として表すことができる。
[式中、Pは、長鎖脂肪族ポリエーテル又は長鎖脂肪族ポリエステルを表す。Rは、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、又は芳香族炭化水素を表す。P’は、短鎖脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、又は芳香族炭化水素を表す。]
式A中、Pで表される長鎖脂肪族ポリエーテル又は長鎖脂肪族ポリエステルとしては、例えば、分子量500〜5000のものを使用することができる。Pは、Pで表される長鎖脂肪族ポリエーテル及び長鎖脂肪族ポリエステルを含むジオール化合物に由来する。このようなジオール化合物としては、例えば、分子量が前記範囲内にある、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリ(ブチレンアジベート)ジオール、ポリ−ε−カプロラクトンジオール、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)ジオール、ABA型トリブロックポリエーテル等が挙げられる。
これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
式A及び式B中、Rは、Rで表される脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、又は芳香族炭化水素を含むジイソシアネート化合物に由来する。Rで表される脂肪族炭化水素を含む脂肪族ジイソシアネート化合物としては、例えば、1,2−エチレンジイソシアネート、1,3−プロピレンジイソシアネート、1,4−ブタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
また、Rで表される脂環族炭化水素を含むジイソシアネート化合物としては、例えば、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4−シクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。さらに、Rで表される芳香族炭化水素を含む芳香族ジイソシアネート化合物としては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等が挙げられる。
これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
式B中、P’で表される短鎖脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、又は芳香族炭化水素としては、例えば、分子量500未満のものを使用することができる。また、P’は、P’で表される短鎖脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、又は芳香族炭化水素を含むジオール化合物に由来する。P’で表される短鎖脂肪族炭化水素を含む脂肪族ジオール化合物としては、例えば、グリコール及びポリアルキレングリコールが挙げられ、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール等が挙げられる。
また、P’で表される脂環族炭化水素を含む脂環族ジオール化合物としては、例えば、シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,3−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール等が挙げられる。
さらに、P’で表される芳香族炭化水素を含む芳香族ジオール化合物としては、例えば、ヒドロキノン、レゾルシン、クロロヒドロキノン、ブロモヒドロキノン、メチルヒドロキノン、フェニルヒドロキノン、メトキシヒドロキノン、フェノキシヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルサルファイド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、ビスフェノールA、1,1−ジ(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)エタン、1,4−ジヒドロキシナフタリン、2,6−ジヒドロキシナフタリン等が挙げられる。
これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ハードセグメントを形成するポリマー(ポリウレタン)の数平均分子量は、溶融成形性の観点から、300〜1500が好ましい。また、ソフトセグメントを形成するポリマーの数平均分子量としては、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーの柔軟性及び熱安定性の観点から、500〜20000が好ましく、500〜5000が更に好ましく、500〜3000が特に好ましい。また、ハードセグメント(x)及びソフトセグメント(y)との質量比(x:y)は、成形性の観点から、15:85〜90:10が好ましく、30:70〜90:10が更に好ましい。
ポリウレタン系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントを形成するポリマー及びソフトセグメントを形成するポリマーを公知の方法によって共重合することで合成することができる。ポリウレタン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、特開平5−331256号公報に記載の熱可塑性ポリウレタンを用いることができる。
ポリウレタン系熱可塑性エラストマーとしては、具体的には、芳香族ジオールと芳香族ジイソシアネートとからなるハードセグメントと、ポリ炭酸エステルからなるソフトセグメントとの組合せが好ましく、より具体的には、トリレンジイソシアネート(TDI)/ポリエステル系ポリオール共重合体、TDI/ポリエーテル系ポリオール共重合体、TDI/カプロラクトン系ポリオール共重合体、TDI/ポリカーボネート系ポリオール共重合体、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)/ポリエステル系ポリオール共重合体、MDI/ポリエーテル系ポリオール共重合体、MDI/カプロラクトン系ポリオール共重合体、MDI/ポリカーボネート系ポリオール共重合体、及びMDI+ヒドロキノン/ポリヘキサメチレンカーボネート共重合体から選ばれる少なくとも1種が好ましく、TDI/ポリエステル系ポリオール共重合体、TDI/ポリエーテル系ポリオール共重合体、MDI/ポリエステルポリオール共重合体、MDI/ポリエーテル系ポリオール共重合体、及びMDI+ヒドロキノン/ポリヘキサメチレンカーボネート共重合体から選ばれる少なくとも1種が更に好ましい。
また、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーの市販品としては、例えば、BASF社製の「エラストラン」シリーズ(例えば、ET680、ET880、ET690、ET890等)、(株)クラレ社製「クラミロンU」シリーズ(例えば、2000番台、3000番台、8000番台、9000番台等)、日本ミラクトラン(株)製の「ミラクトラン」シリーズ(例えば、XN−2001、XN−2004、P390RSUP、P480RSUI、P26MRNAT、E490、E590、P890等)等を用いることができる。
−オレフィン系熱可塑性エラストマー−
オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、少なくともポリオレフィンが結晶性で融点の高いハードセグメントを形成し、他のポリマー(例えば、ポリオレフィン、他のポリオレフィン、ポリビニル化合物等)が非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを形成している材料が挙げられる。ハードセグメントを形成するポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレン、ポリブテン等が挙げられる。
オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、オレフィン−α−オレフィンランダム共重合体、オレフィンブロック共重合体等が挙げられ、具体的には、プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−4−メチル−1ペンテン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−4−メチル−ペンテン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、1−ブテン−4−メチル−ペンテン、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート共重合体、プロピレン−メタクリル酸共重合体、プロピレン−メタクリル酸メチル共重合体、プロピレン−メタクリル酸エチル共重合体、プロピレン−メタクリル酸ブチル共重合体、プロピレン−メチルアクリレート共重合体、プロピレン−エチルアクリレート共重合体、プロピレン−ブチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、プロピレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
これらの中でも、オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−4−メチル−1ペンテン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−4−メチル−ペンテン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート共重合体、プロピレン−メタクリル酸共重合体、プロピレン−メタクリル酸メチル共重合体、プロピレン−メタクリル酸エチル共重合体、プロピレン−メタクリル酸ブチル共重合体、プロピレン−メチルアクリレート共重合体、プロピレン−エチルアクリレート共重合体、プロピレン−ブチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、及びプロピレン−酢酸ビニル共重合体から選ばれる少なくとも1種が好ましく、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、及びエチレン−ブチルアクリレート共重合体から選ばれる少なくとも1種が更に好ましい。
また、エチレンとプロピレンといったように2種以上のオレフィン樹脂を組み合わせて用いてもよい。また、オレフィン系熱可塑性エラストマー中のオレフィン樹脂含有率は、50質量%以上100質量%以下が好ましい。
オレフィン系熱可塑性エラストマーの数平均分子量は、5000〜10000000であることが好ましい。オレフィン系熱可塑性エラストマーの数平均分子量が5000〜10000000であると、熱可塑性樹脂材料の機械的物性が十分であり、加工性にも優れる。同様の観点から、オレフィン系熱可塑性エラストマーの数平均分子量は、7000〜1000000であることが更に好ましく、10000〜1000000が特に好ましい。これにより、熱可塑性樹脂材料の機械的物性及び加工性を更に向上させることができる。また、ソフトセグメントを形成するポリマーの数平均分子量としては、強靱性及び低温柔軟性の観点から、200〜6000が好ましい。更に、ハードセグメント(x)及びソフトセグメント(y)との質量比(x:y)は、成形性の観点から、50:50〜95:15が好ましく、50:50〜90:10が更に好ましい。
オレフィン系熱可塑性エラストマーは、公知の方法によって共重合することで合成することができる。
また、オレフィン熱可塑性エラストマーとしては、熱可塑性エラストマーを酸変性してなるものを用いてもよい。
「オレフィン熱可塑性エラストマーを酸変性してなるもの」とは、オレフィン熱可塑性エラストマーに、カルボン酸基、硫酸基、燐酸基等の酸性基を有する不飽和化合物を結合させることをいう。
オレフィン熱可塑性エラストマーに、カルボン酸基、硫酸基、燐酸基等の酸性基を有する不飽和化合物を結合させることとしては、例えば、オレフィン系熱可塑性エラストマーに、酸性基を有する不飽和化合物として、不飽和カルボン酸(一般的には、無水マレイン酸)の不飽和結合部位を結合(例えば、グラフト重合)させることが挙げられる。
酸性基を有する不飽和化合物としては、オレフィン熱可塑性エラストマーの劣化抑制の観点からは、弱酸基であるカルボン酸基を有する不飽和化合物が好ましく、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等が挙げられる。
オレフィン系熱可塑性エラストマーの市販品としては、例えば、三井化学(株)製の「タフマー」シリーズ(例えば、A0550S、A1050S、A4050S、A1070S、A4070S、A35070S、A1085S、A4085S、A7090、A70090、MH7007、MH7010、XM−7070、XM−7080、BL4000、BL2481、BL3110、BL3450、P−0275、P−0375、P−0775、P−0180、P−0280、P−0480、P−0680等)、三井・デュポンポリケミカル(株)製の「ニュクレル」シリーズ(例えば、AN4214C、AN4225C、AN42115C、N0903HC、N0908C、AN42012C、N410、N1050H、N1108C、N1110H、N1207C、N1214、AN4221C、N1525、N1560、N0200H、AN4228C、AN4213C、N035C)等、「エルバロイAC」シリーズ(例えば、1125AC、1209AC、1218AC、1609AC、1820AC、1913AC、2112AC、2116AC、2615AC、2715AC、3117AC、3427AC、3717AC等)、住友化学(株)の「アクリフト」シリーズ、「エバテート」シリーズ等、東ソー(株)製の「ウルトラセン」シリーズ等、プライムポリマー製の「プライムTPO」シリーズ(例えば、E−2900H、F−3900H、E−2900、F−3900、J−5900、E−2910、F−3910、J−5910、E−2710、F−3710、J−5910、E−2740、F−3740、R110MP、R110E、T310E、M142E等)等も用いることができる。
−ポリエステル系熱可塑性エラストマー−
ポリエステル系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、少なくともポリエステルが結晶性で融点の高いハードセグメントを形成し、他のポリマー(例えば、ポリエステル又はポリエーテル等)が非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを形成している材料が挙げられる。
ハードセグメントを形成するポリエステルとしては、芳香族ポリエステルを用いることができる。芳香族ポリエステルは、例えば、芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体と脂肪族ジオールとから形成することができる。芳香族ポリエステルは、好ましくは、テレフタル酸及び/又はジメチルテレフタレートと、1,4−ブタンジオールとから誘導されるポリブチレンテレフタレートであり、更に、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸、或いは、これらのエステル形成性誘導体等のジカルボン酸成分と、分子量300以下のジオール、例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメチロール等の脂環式ジオール、キシリレングリコール、ビス(p−ヒドロキシ)ジフェニル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(2−ヒドロキシ)フェニル]スルホン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシ−p−ターフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−p−クオーターフェニル等の芳香族ジオール等から誘導されるポリエステル、或いはこれらのジカルボン酸成分及びジオール成分を2種以上併用した共重合ポリエステルであってもよい。また、3官能以上の多官能カルボン酸成分、多官能オキシ酸成分、多官能ヒドロキシ成分等を5モル%以下の範囲で共重合することも可能である。
ハードセグメントを形成するポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等が挙げられ、ポリブチレンテレフタレートが好ましい。
また、ソフトセグメントを形成するポリマーとしては、例えば、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリエーテル等が挙げられる。
脂肪族ポリエーテルとしては、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとの共重合体等が挙げられる。
脂肪族ポリエステルとしては、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリエナントラクトン、ポリカプリロラクトン、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペート等が挙げられる。
これらの脂肪族ポリエーテル及び脂肪族ポリエステルの中でも、得られるポリエステルブロック共重合体の弾性特性の観点から、ソフトセグメントを形成するポリマーとしては、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペート等が好ましい。
また、ソフトセグメントを形成するポリマーの数平均分子量は、強靱性及び低温柔軟性の観点から、300〜6000が好ましい。さらに、ハードセグメント(x)とソフトセグメント(y)との質量比(x:y)は、成形性の観点から、99:1〜20:80が好ましく、98:2〜30:70が更に好ましい。
上述のハードセグメントとソフトセグメントとの組合せとしては、例えば、上述で挙げたハードセグメントとソフトセグメントとのそれぞれの組合せを挙げることができる。これらの中でも、上述のハードセグメントとソフトセグメントとの組合せとしては、ハードセグメントがポリブチレンテレフタレートであり、ソフトセグメントが脂肪族ポリエーテルである組み合わせが好ましく、ハードセグメントがポリブチレンテレフタレートであり、ソフトセグメントがポリ(エチレンオキシド)グリコールである組み合わせが更に好ましい。
ポリエステル系熱可塑性エラストマーの市販品としては、例えば、東レ・デュポン(株)製の「ハイトレル」シリーズ(例えば、3046、5557、6347、4047、4767等)、東洋紡(株)製の「ペルプレン」シリーズ(例えば、P30B、P40B、P40H、P55B、P70B、P150B、P280B、P450B、P150M、S1001、S2001、S5001、S6001、S9001等)等を用いることができる。
ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントを形成するポリマー及びソフトセグメントを形成するポリマーを公知の方法によって共重合することで合成することができる。
樹脂材料の融点は、通常100℃〜350℃程度であるが、タイヤの耐久性及び生産性の観点から、100℃〜250℃程度が好ましく、120℃〜250℃がより好ましい。
樹脂材料(タイヤ骨格体)自体のJIS K7113:1995に規定される引張弾性率は、50MPa〜1000MPaが好ましく、50MPa〜800MPaが更に好ましく、50MPa〜700MPaが特に好ましい。樹脂材料の引張弾性率が、50MPa〜1000MPaであると、タイヤ骨格の形状を保持しつつ、リム組みを効率的に行なうことができる。
樹脂材料(タイヤ骨格体)自体のJIS K7113(1995)に規定される引張強さは、通常、15MPa〜70MPa程度であり、17MPa〜60MPaが好ましく、20MPa〜55MPaが更に好ましい。
樹脂材料(タイヤ骨格体)自体のJIS K7113(1995)に規定される引張降伏強さは、5MPa以上が好ましく、5MPa〜20MPaが更に好ましく、5MPa〜17MPaが特に好ましい。樹脂材料の引張降伏強さが、5MPa以上であると、走行時等にタイヤにかかる荷重に対する変形に耐えることができる。
樹脂材料(タイヤ骨格体)自体のJIS K7113(1995)に規定される引張降伏伸びは、10%以上が好ましく、10%〜70%が更に好ましく、15%〜60%が特に好ましい。樹脂材料の引張降伏伸びが、10%以上であると、弾性領域が大きく、リム組み性を良好にすることができる。
樹脂材料(タイヤ骨格体)自体のJIS K7113(1995)に規定される引張破断伸びは、50%以上が好ましく、100%以上が更に好ましく、150%以上が特に好ましく、200%以上が最も好ましい。樹脂材料の引張破断伸びが、50%以上であると、リム組み性が良好であり、衝突に対して破壊し難くすることができる。
樹脂材料(タイヤ骨格体)自体のISO 75−2又はASTM D648に規定される荷重たわみ温度(0.45MPa荷重時)は、50℃以上が好ましく、50℃〜150℃が更に好ましく、50℃〜130℃が特に好ましい。樹脂材料の荷重たわみ温度が、50℃以上であると、タイヤの製造において加硫を行う場合であってもタイヤ骨格体の変形を抑制するこができる。
(添加剤)
樹脂材料は、所望に応じて各種添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えば、ゴム(例えば、水添スチレンブタジエンゴム(HSBR)、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、イソプレンゴム、天然ゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、塩素化ポリエチレン、フッ素ゴム等)、各種充填剤(例えば、シリカ、炭酸カルシウム、クレイ)、老化防止剤、オイル、可塑剤、着色剤、耐候剤、補強材等の各種添加剤が挙げられる。
添加剤の樹脂材料中の含有量は特に限定はなく、本発明の効果を損なわない範囲で適宜用いることができる。
<外装部材>
外装部材は、タイヤ骨格体のリムと接する部分に設けられ、樹脂材料で形成される。
タイヤ骨格体において外装部材の設けられる場所は、タイヤ骨格体のリムと接する部分(ビード部)を含むのであれば特に制限されない。例えば、タイヤ骨格体のビード部にのみ設けられても、タイヤ骨格体のビード部からサイド部に延伸するように設けられていてもよい。外装部材は、タイヤの外気と接する部分に設けられていても、外装部材の表面にさらに別の部材(装飾層、保護層等)が設けられていてもよい。
外装部材の形状は、特に制限されない。例えば、タイヤ骨格体のリムと接する部分(ビード部)を少なくとも覆うシート形状であってもよい。充分なエアシール性と耐リムずれ性を得る観点からは、最も薄いところの厚みが1mm以上であることが好ましく、疲労の観点からは、最も厚いところの厚みが10mm以下であることが好ましい。
外装部材を形成する樹脂材料は樹脂を少なくとも含み、樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー及び熱硬化性樹脂が挙げられる。融着性の観点からは、樹脂材料は熱可塑性エラストマーを含むことが好ましく、ポリアミド系熱可塑性エラストマーを含むことがより好ましい。樹脂としては、上述したタイヤ骨格体を形成する樹脂材料に含まれる樹脂として例示したものが挙げられる。外装部材を形成する樹脂材料に含まれる樹脂は、1種のみであっても2種以上であってもよい。
外装部材を形成する樹脂材料は添加剤を含んでもよく、添加剤としてはタイヤ骨格体に含まれる樹脂材料が含んでもよい添加剤として上述したものが挙げられる。
外装部材を形成する樹脂材料に含まれる樹脂の含有率は、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。
外装部材を形成する樹脂材料が熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーからなる群から選択される少なくとも一方を含む場合、その合計含有率は、樹脂材料に含まれる樹脂の総量の50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。
外装部材を形成する樹脂材料が熱可塑性エラストマーを含む場合、その含有率は、樹脂材料に含まれる樹脂の総量の50質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。
外装部材を形成する樹脂材料が熱可塑性エラストマーを含む場合、熱可塑性エラストマーは、熱可塑性ゴム架橋体(TPV)であってもよい。TPVは、JIS K6418:2007に規定されるように、熱可塑性樹脂(樹脂成分)とゴム(ゴム成分)との混合物であり、ゴム成分は、動的加硫によって架橋(動的架橋)されている。ここで「動的架橋」とは、ゴムが高剪断条件下で架橋剤により架橋されることを意味する。動的架橋は、ロールミル、バンバリー(登録商標)ミキサー、連続ミキサー、ニーダー又は混合用押出機(例えば2軸押出機)などの混合装置の中で、ゴムの架橋温度又はそれよりも高い温度でゴムと架橋剤とを混合することによって行われる。このように、ゴムを動的架橋することで、TPVの圧縮永久歪を低くすることができる。なお、動的架橋の詳細説明は後述する。
TPVは、連続相を形成する樹脂成分のマトリックス中に不連続相を形成するゴム成分が島相(ドメイン)として分散した、所謂海島構造を有していることが好ましい。このような分散構造をとることにより、高い硬度を維持しつつ、圧縮永久歪を低くすることができる。
TPVにおいてゴム成分の島相が樹脂成分中に分散していることは、SEM(走査型電子顕微鏡、scanning electron microscope)を用いた写真観察から確認することができる。島相のサイズ(島相の長径)は、0.4μm〜10.0μm程度であることが好ましく、0.5μm〜7μm程度であることが更に好ましく、0.5μm〜5μm程度であることが特に好ましい。これら各相のサイズは、SEMを用いた観察写真を用いて測定することができる。
TPVを調製する方法としては、樹脂成分とゴム成分とを公知の手法を用いて混練する方法が挙げられる。混練に用いることのできる混練機としては、例えば、スクリュー押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、2軸混練押出機等が使用できる。
(その他の添加剤)
TPVには、所望に応じて、各種充填剤(例えば、シリカ、炭酸カルシウム、クレイ、カーボンブラック等)、相溶化剤(例えば、マレイン酸変性ポリオレフィン、ポリオレフィンにアクリル酸又はグリシジルメタクリレートをグラフト重合させたポリマー、ポリオレフィンとポリアミドとのブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体のマレイン酸変性体等)、老化防止剤(例えば、国際公開WO2005/063482号公報に記載の老化防止剤等)、オイル、可塑剤、着色剤、耐候剤、補強材等の各種添加剤を含有させてもよい。添加剤の熱可塑性ゴム架橋体中の含有量は特に限定はなく、本発明の効果を損なわない範囲で適宜用いることができる。
−TPVの物性−
TPV自体の融点(又は軟化点)としては、通常100℃〜350℃、好ましくは100℃〜250℃程度であるが、タイヤの生産性の観点から120℃〜250℃程度が好ましく、120℃〜200℃が更に好ましい。
融点が120℃〜250℃のTPVを用いることで、射出成形が容易となり、また、射出成形により外装部材を形成する際、タイヤ骨格体への溶着が容易である。このため、本発明のタイヤはタイヤ骨格体と外装部材との接着性が高く、耐久性に優れる。尚、射出成形により外層部材を形成する場合、特定TPVの加熱温度は、融点(又は軟化点)よりも10℃〜150℃高い温度が好ましく、10℃〜100℃高い温度が更に好ましい。
TPV自体のJIS K7113:1995に規定される引張弾性率は、0.1MPa〜100MPaが好ましく、0.1MPa〜50MPaがより好ましく、0.1MPa〜10MPaがさらに好ましい。引張弾性率が上記の範囲であると、外装部材として柔らかすぎず、且つ、硬すぎない。
TPV自体のJIS K6253−3:2012(タイプAデュロメーター)に規定される硬度は、特に制限されないが、外装部材の耐久性の観点から、60以上が好ましく、60〜95がより好ましい。特に、硬度が95以下であると屈曲時の耐久性により優れるため、サイド部材として好適に用いることができる。
<補強コード層>
本発明のタイヤは、タイヤ骨格体の外周部に周方向に巻回される補強コードを含む補強コード層を有していてもよい。
補強コード層は、樹脂材料で形成されることが好ましい。補強コード層が樹脂材料で形成されていると、補強コードをクッションゴムで固定する場合と比して、タイヤと補強コード層との硬さの差を小さくできるため、更に補強コードをタイヤ骨格体に密着及び固定することができる。更に、補強コードがスチールコード等の金属からなる部材である場合、タイヤの処分時に補強コードをクッションゴムから分離しようとすると、加硫ゴムは加熱だけでは補強コードと分離させるのが難しい。これに対し、樹脂材料は加熱のみで補強コードと分離することが可能であるため、タイヤのリサイクル性の点で有利である。また、樹脂材料は通常加硫ゴムに比して損失係数(Tanδ)が低い。このため、補強コード層が樹脂材料を多く含んでいると、タイヤの転がり性を向上させることができる。更には、加硫ゴムに比して相対的に弾性率の高い樹脂材料は、面内せん断剛性が大きく、タイヤ走行時の操安性や耐摩耗性にも優れるといった利点がある。
補強コード層に用いることのできる樹脂材料は特に制限されず、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、熱硬化性樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、JIS K6418:2007に規定されるアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPC)、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、熱可塑性ゴム架橋体(TPV)、若しくはその他の熱可塑性エラストマー(TPZ)等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。
走行時に必要とされる弾性と製造時の成形性等を考慮すると、補強コード層を形成する樹脂材料は熱可塑性エラストマーを含むことが好ましい。
尚、補強コード層が補強コード部材の少なくとも一部が埋設されるようにして構成される場合、補強コード層を形成する樹脂材料は主としてタイヤ骨格体のコード埋設部周辺のオレフィン樹脂を含む樹脂材料であることが好ましいが、他の樹脂を更に被覆する態様であってもよい。また、この場合には、タイヤ骨格体を形成するオレフィン樹脂を含む樹脂材料として酸変性オレフィン樹脂を含むことが好ましい。
更に、補強コード層が、樹脂材料を被覆した補強コードによって構成される場合には、オレフィン樹脂を含む樹脂材料に対して熱等による溶着性の高い樹脂材料を選択することが好ましい。このようにオレフィン樹脂を含む樹脂材料と(熱)溶着性の高い樹脂材料としては、例えば、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーやオレフィン樹脂などを用いることができる。この中でも、補強コード層を形成する樹脂材料としては、オレフィン樹脂を含む樹脂材料を含むことが、補強コードの引き抜き性の観点から好ましく、ポリエチレン系樹脂を含むことがより好ましい。
補強コード層を構成する樹脂材料に含まれるポリエチレン系樹脂としては、前述した外装部材を形成する熱可塑性ゴム架橋体の説明において示すポリエチレン系樹脂と同じものを用いることができる。
補強コード層に用いられる樹脂材料の弾性率(JIS K7113:1995に規定される引張弾性率)は、タイヤ骨格体を形成する樹脂材料の弾性率の0.1倍〜10倍の範囲内に設定することが好ましい。樹脂材料の弾性率がタイヤ骨格体を形成する熱可塑性樹脂材料の弾性率の10倍以下の場合は、クラウン部が硬くなり過ぎずリム組み性が容易になる。また、樹脂材料の弾性率がタイヤ骨格体を形成する樹脂材料の弾性率の0.1倍以上の場合には、補強コード層を構成する樹脂が柔らかすぎず、ベルト面内せん断剛性に優れコーナリング力が向上する。
また、補強コード層が樹脂材料で形成される場合、補強コードの引き抜き性(引き抜かれにくさ)を高める観点から、補強コードはその表面の20%以上が樹脂材料に覆われていることが好ましく、50%以上が樹脂材料に覆われていることがより好ましい。また、補強コード層中の樹脂材料の含有率は、補強コードの引き抜き性を高める観点から、補強コードを除いた補強コード層を構成する材料の全質量に対して20質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。
以下、図面に従って本発明のタイヤの一実施形態について説明する。なお、図面に示す各部材の大きさや形状は例示であって、これに限定されない。
図1は、本実施形態のタイヤの一部の断面を示す斜視図である。図1に示すように、本実施形態のタイヤ10は、従来一般のゴム製の空気入りタイヤと略同様の断面形状を呈している。
タイヤ10は、リムに接触する部分に相当するビード部12と、ビード部12からタイヤ径方向外側に延びるサイド部14と、一方のサイド部14のタイヤ径方向外側端と他方のサイド部14のタイヤ径方向外側端とを連結するクラウン部(外周部)16と、からなるタイヤ骨格体17を備えている。タイヤ骨格体17は、樹脂材料を用いて形成されている。
タイヤ10のビード部12には、スチールコードからなる円環状のビードコア18が埋設されている。ビードコア18は、スチールコード以外に、有機繊維コード、樹脂被覆した有機繊維コード、又は硬質樹脂で形成されていてもよい。なお、ビードコア18は、ビード部12の剛性が確保され、リムとの嵌合に問題がないのであれば、省略してもよい。
タイヤ骨格体17は、一方のビード部12と、一方のサイド部14と、半幅のクラウン部16とを一体として射出成形された同一形状の2つのタイヤ骨格体半体(タイヤ骨格片)17Aを、タイヤの赤道面部分で接合することにより形成されている。
ビード部12には、従来の一般的な空気入りタイヤと同様に、スチールコードからなる円環状のビードコア18が埋設されている。また、ビード部12のリムと接触する部分には、外装部材20が設けられている。図1では、外装部材20は、ビード部12からサイド部14に延伸するように設けられているが、外装部材20が設けられる位置はこれに制限されない。
タイヤ骨格体17のクラウン部16には、補強コード部材26を含む補強コード層28が配置されている。補強コード部材層28の上には、ゴムからなるトレッド30が配置されている。
本実施形態に係るタイヤ10は、タイヤ骨格体17が樹脂材料で形成されているので、従来のゴム製のタイヤ骨格体と異なり、加硫を行う必要がなく、製造工程を大幅に簡略化することができ、成形時間の短縮が可能となる。さらに、外装部材20が樹脂材料で形成されているので、ゴム製の外装部材と異なり、加硫を行う必要がなく、製造工程を大幅に簡略化することができ、成形時間の短縮が可能となる。
さらに、タイヤ10は、外装部材20の圧縮永久歪が80%以下であり、ピコ摩耗試験において測定される摩耗量が300g以下であることで、エアシール性、耐リムずれ性、高速走行性能および耐久性に優れている。
タイヤ10では、タイヤ骨格体17は、単一の樹脂材料で形成されているが、このような態様に限定されず、従来の一般的なゴム製の空気入りタイヤと同様に、タイヤ骨格体17の各部位(例えば、サイド部14、クラウン部16、ビード部12等)毎に異なる特徴を有する樹脂材料を用いてもよい。また、タイヤ骨格体17の各部位(例えば、サイド部14、クラウン部16、ビード部12等)に、補強材(高分子材料や金属製の繊維、コード、不織布、織布等)を埋設配置し、該補強材でタイヤ骨格体17を補強してもよい。
タイヤ10では、タイヤ骨格体半体17Aが射出成形により成形されているが、これに限定されず、例えば、真空成形、圧空成形、メルトキャスティング等により成形されていてもよい。また、本実施形態に係るタイヤ10では、タイヤ骨格体17は、2つの部材(タイヤ骨格体半体17A)を接合して形成されているが、これに限定されず、低融点金属を用いた溶融中子方式、割り中子方式、又はブロー成形によってタイヤ骨格体を1つの部材としてもよく、3つ以上の部材を接合して形成されていてもよい。
以下、本発明のタイヤの製造方法の一実施形態について説明する。
(タイヤケース成形工程)
まず、薄い金属の支持リングに支持された一対のタイヤ骨格体半体17Aを互いに向かい合わせる。次いで、タイヤ骨格体半体17Aの突き当て部分の外周面と接するように図を省略する接合金型を設置する。ここで、接合金型はタイヤ骨格体半体17Aの接合部(突き当て部分)周辺を所定の圧力で押圧するように構成されている。次いで、タイヤケース半体の接合部周辺を、タイヤ骨格体を構成する樹脂材料の融点以上で押圧する。タイヤ骨格体半体の接合部が接合金型によって加熱及び加圧されると、接合部が溶融しタイヤ骨格体半体同士が溶着しこれら部材が一体となってタイヤ骨格体17が形成される。尚、本実施形態においては接合金型を用いてタイヤ骨格体半体の接合部を加熱したが、本発明はこれに限定されず、例えば、別に設けた高周波加熱機等によって接合部を加熱したり、予め熱風、赤外線の照射等によって軟化または溶融させ、接合金型によって加圧してタイヤ骨格体半体を接合させてもよい。
(外装部材形成工程)
次に、タイヤ骨格体17のリムと接する場所に、樹脂材料を用いて外装部材20を形成する。外装部材20の形成は、射出成形等により行うことができる。外装部材20はタイヤ骨格体17の成形と同時に形成してもよく、タイヤ骨格体17の成形とは別に形成した後に接着させてもよい。外装部材20の形成は、補強コード層形成工程又はトレッド配置工程の前に行っても、後に行ってもよい。
(補強コード層形成工程)
次に、図を省略するが、補強コード26を巻き付けたリール、コード加熱装置、各種ローラ等を備えたコード供給装置を用い、加熱した補強コード26をクラウン部16の外周面に埋設しながら巻き付けることで、タイヤ骨格体17のクラウン部16の外周側に補強コード層28を形成することができる。
(トレッド配置工程)
次に、タイヤ骨格体17の外周面にトレッド30を配置する。トレッド30の形成方法は特に制限されない。例えば、予め射出成形によって路面との接地面に複数の溝からなるトレッドパターンを有する帯状のトレッド30を形成し、トレッド30の1周分をタイヤ骨格体17に巻き付け、ホットランナー等を用いてトレッド30を加熱することでタイヤ骨格体17の外周面にトレッド30を溶着させることができる。トレッド30は、射出形成後に加硫されていてもよい。
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
以下、本発明について実施例を用いてより具体的に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1〜実施例8、比較例1〜比較例4)
上述の実施形態に示す構造を有する実施例及び比較例のタイヤを表1に示す材料を用いて作製した。各材料の詳細は、次の通りである。
(タイヤ骨格体の材料)
PP…(株)プライムポリマー「プライムTPO」シリーズの「J5710」
TPA…宇部興産(株)「UBESTA XPA」シリーズの「XPA9055X1」
PA…宇部興産(株)の「1013B」、三井化学(株)「タフマー」シリーズの「DF640」、「MH7010」の混合物(質量比:60/20/20)
(外装部材の材料)
TPV1…三井化学(株)「ミラストマー」シリーズの「6030BS」
TPV2…三井化学(株)「ミラストマー」シリーズの「8030BS」
TPV3…日油(株)「ノフアロイ」シリーズの「TZ330−6511」
TPV4…東洋紡(株)「サーリンク」シリーズの「4155B」
TPV5…東洋紡(株)「サーリンク」シリーズの「5030BS」
TPV6…エクソンモービル社製「サントプレン」シリーズの「101−87」
TPU1…BASF社製「エラストロン」シリーズの「ET870」
TPU2…(株)オカダエンジニアリング「ガムセン」シリーズの「AR750」
TPA1…アルケマ社製「ぺバックス」シリーズの「PEBAX3533」
TPA2…アルケマ社製「ぺバックス」シリーズの「PEBAX4033」
TPA3…アルケマ社製「ぺバックス」シリーズの「PEBAX2533」
(圧縮永久歪の測定)
外装部材の作製に用いた樹脂材料で直径13mm、厚さ6mmの試験片を作製した。この試験片を用いて、JIS K6262:2006に準拠し、25%圧縮で70℃にて22時間圧縮し、圧縮永久歪(%)を測定した。結果を表1に示す。
(摩耗量の測定)
ピコ摩耗試験は、ASTM−D−2228に従って、グットリッチ式ピコ摩耗試験機を用いて、室温(25℃)で測定した。結果を表1に示す。
(エアシール性及びリムずれ量の評価)
作製したタイヤを乗用車に装着し、試験路にて実車走行を5万km実施した後、内圧保持状態(エアシール性)とリムずれ量を調べた。双方ともに優れる結果が得られた場合をA、双方ともに問題のなかった場合をB、いずれか一方又は双方に問題のある場合をCとして評価した。結果を表1に示す。
(高速走行性能の評価)
作製したタイヤを用いてドラム試験を実施し、走行可能な速度が時速280km以上であった場合をA、走行可能な速度が時速200km以上280km未満であった場合をB、走行可能な速度が時速200km未満であった場合をCとして評価した。結果を表1に示す。
(耐久性の評価)
作製したタイヤを用いてドラム試験を実施し、時速150kmでの走行可能な時間が5分以上であった場合をA、時速150kmでの走行可能な時間が5分未満(サイドの膨れ、サイドの膨れに起因するエアリーク等が発生)であった場合をBとして評価した。結果を表1に示す。
表1の結果に示すように、外装部材の圧縮永久歪が80%以下であり、ピコ摩耗試験において測定される摩耗量が300g以下である実施例1〜8のタイヤは、耐リムずれ性、エアシール性、高速走行性能、耐久性のいずれの評価項目においても結果が良好であった。
外装部材の摩耗量が300gを超える比較例1のタイヤは、リムずれ性とエアシール性の評価が低く、耐久性の評価も低かった。
外装部材の圧縮永久歪が80%を超える比較例2〜4のタイヤは、リムずれ性とエアシール性の評価は良好であったが、高速走行性能の評価が低かった。
10…タイヤ、12…ビード部、14…サイド部、16…クラウン部(外周部)、17…タイヤ骨格体(タイヤケース)、18…ビードコア、20…外装部材、26…補強コード、28…補強コード層、30…トレッド

Claims (6)

  1. 樹脂材料で形成される環状のタイヤ骨格体と、
    前記タイヤ骨格体のリムと接する部分であるビード部に設けられ、樹脂材料で形成される外装部材と、を含み、
    前記外装部材の圧縮永久歪が80%以下であり、ピコ摩耗試験において測定される摩耗量が300g以下であり、
    前記ビード部には、スチールコードからなる円環状のビードコアが埋設されている、タイヤ。
  2. 前記タイヤ骨格体を形成する樹脂材料と、前記外装部材を形成する樹脂材料とが同じ種類の樹脂を含む、請求項1に記載のタイヤ。
  3. 前記タイヤ骨格体を形成する樹脂材料と、前記外装部材を形成する樹脂材料の少なくとも一方が熱可塑性エラストマーを含む、請求項1又は請求項2に記載のタイヤ。
  4. 前記タイヤ骨格体を形成する樹脂材料と、前記外装部材を形成する樹脂材料の少なくとも一方が熱可塑性ポリアミド系エラストマーを含む、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のタイヤ。
  5. 前記タイヤ骨格体を形成する樹脂材料と、前記外装部材を形成する樹脂材料とがそれぞれ熱可塑性ポリアミド系エラストマーを含む、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のタイヤ。
  6. 前記タイヤ骨格体の外周部に周方向に巻回される補強コードを含む補強コード層を有する、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のタイヤ。
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