JP6703349B2 - プリフォーム、該プリフォームの製造方法、及び上記プリフォームを用いた繊維強化プラスチック。 - Google Patents

プリフォーム、該プリフォームの製造方法、及び上記プリフォームを用いた繊維強化プラスチック。 Download PDF

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Description

本発明は、繊維強化プラスチックの成形品を製造するためのプリフォームに係り、更に詳細には、レジントランスファーモールディング成形(RTM成形)に用いるプリフォーム、該プリフォームの製造方法、及び上記プリフォームを用いた繊維強化プラスチックに関する。
繊維強化プラスチックの成形品(以下、FRPということがある)は、鋼鉄よりも軽く、力学的強度にも優れるものであり、車体等を大幅に軽量化することができ、燃費向上に寄与するため、スチール製部材の代替部材として使用され始めている。
上記FRPは、強化繊維のシートを複数積層し、積層されたシートの強化繊維の間に樹脂を浸透させて固めたものであり、上記繊維とマトリックス樹脂とが相互に影響を及ぼし合うことで優れた力学的特性を発現するものである。
したがって、FRPの力学的の向上には、積層するシートの構造だけでなく、上記強化繊維間にマトリックス樹脂が十分に浸透して強化繊維同士を繋ぐことが必要であり、FRPの製造プロセスでは強化繊維間へのマトリックス樹脂の含浸性の良否が重要となる。
加えて、FRPの生産性を上げコストを削減する上で、マトリックス樹脂の含浸成形プロセスの短時間化が重要である。
特許文献1には、繊維強化基材の層間に熱可塑性樹脂を有する積層体の厚み方向に貫通孔を設け、上記貫通孔の周囲を圧着し繊維強化基材のズレを防止したプリフォームが開示されている。そして、上記プリフォームは、成形品作製の際のマトリックス樹脂の含浸性、取扱い性に優れる旨が記載されている。
特許第4821262号公報
しかしながら、特許文献1に記載のものにあっては、繊維強化基材の層間の熱可塑性樹脂によってプリフォームの形状を保持できる一方で、繊維強化基材の層間及び圧着された貫通孔の周囲に熱可塑性樹脂が存在するため、成形品作製の際、マトリックス樹脂を短時間で充分含浸させることが困難である。また、成形品内部にマトリックス樹脂が含浸していない欠陥部が生じ易い。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、形状の保持性とマトリックス樹脂の含浸性とを両立させたプリフォーム、作製時間を短縮できるプリフォームの製造方法、及び上記プリフォームを用いた繊維強化プラスチックを提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、積層体の一方の面と該積層体の貫通孔とにフィラーを含有する樹脂を付与すると共に、上記樹脂が存在せず、強化繊維シートのみから成る樹脂非含有部を形成することで、積層体の形状保持及び強化繊維シートのズレを防止することと、繊維強化プラスチック作製時にマトリックス樹脂の含浸性を向上とを両立できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のプリフォームは、強化繊維シートを複数積層した積層体が所定の形状を保持したプリフォームである。
そして、上記積層体の形状を保持する樹脂部と、樹脂非含有部とを有する。上記積層体はその積層方向に貫通する貫通孔を複数有し、上記樹脂部は樹脂材料とフィラーとを含み、上記樹脂部が、上記積層体の一方の面と上記貫通孔に配置され、
上記複数の貫通孔に配置された樹脂部同士が上記一方の面に配置された樹脂部を介して連続していることを特徴とする。
また、本発明のプリフォームの製造方法は、 強化繊維シートが複数積層された積層体に所定の形状を保持する樹脂部を形成する射出工程を含む。
そして、上記積層体が強化繊維シートのみが積層され、その積層方向に貫通孔を有するものであり、上記射出工程が、上記積層体に金型を押し当てつつ、フィラーを含む樹脂材料を射出することで、前記積層体の一方の面及び上記貫通孔に上記樹脂部を形成するものであることを特徴とする。
さらに、本発明の繊維強化プラスチックは、強化繊維シートが複数積層されその積層方向に貫通する貫通孔を複数有する積層体と、上記強化繊維シートの繊維間に含浸したマトリックス樹脂と、フィラーと樹脂材料とを含む樹脂部とを有し、
上記樹脂部が、上記積層体の一方の面と上記貫通孔に配置され、
上記複数の貫通孔に配置された樹脂部同士が上記一方の面に配置された樹脂部を介して連続していることを特徴とする。
本発明によれば、積層体の一方の面と貫通孔にフィラーを含む樹脂を付与し、積層体の形状を保持することとしたため、プリフォームの形状保持する樹脂が、繊維強化プラスチック作製時にマトリックス樹脂の含浸性を阻害することを防止したプリフォームを提供することができる。
本発明のプリフォームの一例を示す概略図である。 本発明のプリフォームの一例を示す断面図である。 本発明のプリフォームの他の一例を示す断面図である。 本発明のプリフォームのさらに他の一例を示す断面図である。 本発明のプリフォームを射出成形により作製する状態を説明する図である。
本発明のプリフォームについて詳細に説明する。
本発明のプリフォームは、強化繊維シートを複数積層した積層体とフィラーを含む樹脂材料とを備えるものであり、上記強化繊維シートから成る樹脂非含有部と上記樹脂材料を含む樹脂部とを有する。
図1に本発明のプリフォームの概略図を示す。また、図2に図1中A−A’の断面図を示す。図1中、1はプリフォーム、2は積層体であり、21は貫通孔、3は樹脂部である。
上記プリフォームは、図2に示すように、積層体2の一方の面と、強化繊維シートの積層方向に貫通する貫通孔21とに樹脂部3を有する。
上記樹脂部3は、積層体2に所望の形状を付与すると共に上記強化繊維シートのズレ等を防止してプリフォームの形状を保持するものであり、形状保持部31と孔部32とを有する。
積層体の一方の面の全面に上記樹脂材料を付与し形状保持部31を設けることで、上記積層体に所望の形状を付与することができる。また、上記積層体の貫通孔21にも樹脂を付与し、上記一方の面の形状保持部31と繋がる孔部32を設けることで、強化繊維シートの位置ズレ、剥がれを防止できる。
そして、上記強化繊維シートから成り、上記樹脂材料を含まない樹脂非含有部22を形成することで、成形品作製の際、マトリックス樹脂が上記積層体の他方の面側から上記強化繊維シートの積層方向に浸透し易くなる。
したがって、上記プリフォームは強化繊維シートの繊維同士を接合するマトリックス樹脂の含浸性に優れる。
そして、上記プリフォームから作製した繊維強化プラスチックは、成形品内部にマトリックス樹脂が含浸していない欠陥部が生じ難いため、成形品内部でマトリックス樹脂が不足することによる剥離破損を防止することができ、力学的特性が向上する。
上記形状保持部31の樹脂材料は、プリフォームの形状保持の観点から、上記積層体の2〜3層目まで含浸していることが好ましい。また、上記樹脂非含有部22は、上記樹脂材料の粘度や上記樹脂材料の射出圧力を調節することや、樹脂材料中のフィラーが強化繊維シートの網目を塞ぎ、上記樹脂材料が積層体の内部深くまで含浸しないようにすることで形成できる。
上記積層体2は、その外周部に上記貫通孔21を有するものであることが好ましい。
上記積層体の外周部に貫通孔21を設け、該貫通孔に樹脂材料を付与し上記孔部32を形成することや、上記積層体の端面にも上記樹脂材料を付与することで、強化繊維シートの端部から、繊維のほつれや剥がれが生じ難く取扱い性が向上する。
上記プリフォーム1は、図3に示すように、上記樹脂部が積層体の他方の面にアンカー部33をさらに有するものであることが好ましい。
上記樹脂部3が、上記貫通孔の上記強化繊維シートの面方向の断面積より広く、かつ上記孔部32を介して一方の面の形状保持部31から連続したアンカー部33を有することで強化繊維シートが積層方向に拡がることを防止できる。
上記アンカー部33は、プリフォームを成形する型の形状によって形成できる。
本発明のプリフォームは、積層体の一方の面の全面に形状保持部31を有するため、所望の形状を付与することができる。
そして、上記積層体が屈曲部4と平面部5とを有する形状である場合、図4に示すように、上記屈曲部4には貫通孔21を設けず、上記屈曲部4から繋がる平面部5に貫通孔21を設けることが好ましく、上記屈曲部4を挟む両側の平面部5に貫通孔21を設け、該貫通孔21に上記樹脂材料を付与し孔部32を形成することが好ましい。
上記屈曲部4は、プリフォームにマトリックス樹脂を含浸させて成形品にしたとき、応力が集中し易い箇所である。そして、貫通孔21では強化繊維シートの繊維が連続していないため屈曲部4に貫通孔を設けると、成形品の強度が低下することがある。
したがって、上記屈曲部4を挟む両側の平面部5の貫通孔21に上記樹脂材料を付与し孔部32を形成することで、力学的強度に優れる繊維強化プラスチックの成形品の作製が可能となる。
上記樹脂部3はフィラーを含む。樹脂部3がフィラーを含むことで樹脂部3の強度を向上させることができる。
上記フィラーの形状としては、繊維状、針状、樹枝状、平板状、球状等、どのような形状であってもよいが、繊維状であることが好ましい。
繊維状のフィラーは樹脂非含有部と樹脂部との界面において、強化繊維シートの繊維と絡まり上記界面での樹脂部と強化繊維シートの繊維とのズレを防止する。そして、成形品にしたときには、上記強化繊維シートの繊維間に含浸したマトリックス樹脂と上記樹脂部との界面でアンカー効果が発現して、成形品内部の剥離破損を防止し、力学的強度を向上させることができる。
上記繊維状フィラーとしては、炭素繊維等の強化繊維を好ましく使用できる。
上記樹脂部のフィラーの含有量は10〜40wt%であることが好ましい。10wt%未満では強度を充分向上できない場合があり、40wt%を超えると、樹脂部の形成が困難になることがある。
次に、本発明のプリフォームを構成する材料について説明する。
<強化繊維シート>
上記強化繊維シートとして、織布、不織布のいずれでもよく、織布の織り方としては、平織り、朱子織り、綾織り、ななこ織りの他、長繊維を一定方向に配列させたものであってもよい。
上記強化繊維の種類は、使用する成形品の種類や目的に応じて適宜選択することができ、無機繊維、有機繊維のいずれも使用できる。
上記無機繊維としては、例えば、炭素繊維、活性炭繊維、黒鉛繊維、ガラス繊維、タングステンカーバイド繊維、シリコンカーバイド繊維(炭化ケイ素繊維)、セラミックス繊維、アルミナ繊維、天然繊維、玄武岩などの鉱物繊維、ボロン繊維、窒化ホウ素繊維、炭化ホウ素繊維、及び金属繊維等を挙げることができる。
上記有機繊維としては、例えば、ポリベンザゾール、アラミド、PBO(ポリパラフェニレンベンズオキサゾール)、ポリフェニレンスルフィド、ポリエステル、アクリル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリアリレート等の樹脂材料からなる繊維を挙げることができる。
本発明においては、上記強化繊維として炭素繊維を用いることが好ましい。
炭素繊維は、軽量であり、且つ強度に優れたFRPを得ることができる。
上記炭素繊維としては、一般的にポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、石油・石炭ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、セルロース系炭素繊維、リグニン系炭素繊維、フェノール系炭素繊維、気相成長系炭素繊維などを挙げることができる。
上記強化繊維は1種、又は2種以上を併用することができる。2種類以上の強化繊維を用いる場合は、2種以上の強化繊維で形成された強化繊維シートを用いてもよく、また、1種の強化繊維で形成された強化繊維シートを複数種用いてもよい。
<樹脂材料>
上記樹脂材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれであってもよいが、成形プロセスの短時間化、及び成形品に靱性を付与し、力学的強度を向上できる点で熱可塑性樹脂であることが好ましい。
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂(ポリオキシメチレン樹脂)、ポリカーボネート樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、フッ素系樹脂、熱可塑性ポリベンゾイミダゾール樹脂等を挙げることができ、中でも、ポリアミド樹脂であることが好ましい。
上記ポリアミド樹脂としては、例えば、ポリアミド6樹脂(ナイロン6)、ポリアミド11樹脂(ナイロン11)、ポリアミド12樹脂(ナイロン12)、ポリアミド46樹脂(ナイロン46)、ポリアミド66樹脂(ナイロン66)、ポリアミド610樹脂(ナイロン610)等を挙げることができる。
また、上記ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等を挙げることができる。
上記ポリスチレン樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)等を挙げることができる。
上記ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ボリブチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、液晶ポリエステル等を挙げることができる。
これらは、熱可塑性樹脂は1種又は2種以上を混合して用いることができ、相互に軟化点や融点が異なる熱可塑性樹脂を併用してもよく、また、相互に平均分子量が異なる熱可塑性樹脂を併用してもよい。
<プリフォームの製造方法>
次に、本発明のプリフォームの製造方法について説明する。
本発明のプリフォームは、強化繊維シートをカットする工程、カットした強化繊維シートを積層した積層体に貫通孔を形成する工程、射出成形により樹脂材料を付与し、樹脂部を形成する工程を有する。
そして、上記樹脂部を形成する工程は、図5に示すように、貫通孔を形成した積層体を金型内に入れ、上記積層体の一方の面側から樹脂材料を射出して、上記積層体の一方の面と上記貫通孔とに熱可塑性樹脂を同時に形成するものである。
樹脂部3の形状保持部31と孔部32を同時に形成することで、プリフォームの作製時間を短縮できる。
また、必要に応じて、上記カットされた強化繊維シートに付着したサイジング剤等の樹脂を除去する洗浄工程を設けることができる。
<繊維強化プラスチック>
本発明の繊維強化プラスチックは、強化繊維シートが複数積層され、その積層方向に貫通孔を有する積層体と、上記強化繊維シートの繊維間に含浸したマトリックス樹脂と、フィラーと樹脂材料とを含む樹脂部とを有し、上記樹脂部が上記積層体の一方の面と上記貫通孔とに配置されたものである。
上記繊維強化プラスチックは、上記本発明のプリフォームを用いて作製されたものであり、上記プリフォームの樹脂非含有部に上記マトリックス樹脂を含浸させ成形したものである。
本発明のプリフォームは樹脂非含有部を有するものであり、本発明の繊維強化プラスチックは、上記プリフォームの樹脂非含有部にマトリックス樹脂を含浸させて繊維強化プラスチックの成形品を得るため、上記マトリックス樹脂が上記強化繊維シートの繊維間に充分含浸する。
したがって、マトリックス樹脂の未含浸部が形成されることが防止され、強化繊維シートの繊維同士を強固に接合するため強度に優れる。加えて、上記積層体の一方の面と上記貫通孔とに配置された樹脂部にもフィラーを含有するため、貫通孔による強度低下が防止される。
上記マトリックス樹脂としては、上記プリフォームで用いる熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を使用することができる。
上記繊維強化プラスチックの成形は、上記熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂のモノマーを含浸させ、重合させてマトリックス樹脂を形成することが好ましい。
モノマー含浸することで強化繊維シートの繊維間の全体に含浸させ易く、マトリックス樹脂の未含浸部が形成されることが防止される。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
連続した強化炭素繊維シート(東レ社製:トレカクロス:C06343B)を、縦310mm、横130mmに切り取ってクロスを14枚準備した。
次に、上記クロスを純アセトン中に浸漬し、一晩放置した後、新品の純アセトンでよく洗い、クロスを網に載せて風乾させた。乾燥後、縦300mm、横120mmにトリミングした。
上記クロスを7枚積層し、外周部にポンチを用いて貫通孔を開け、貫通孔を有する積層体を形成した。
汎用射出成形機(東洋機械金属製 Si−180III)に縦310mm、横130mm、厚み2mmの平板部品のキャビティーを持った金型を取り付け、金型温度を90℃に設定した。
上記金型の中に、上記積層体を入れて上記金型温度で乾燥した後、12mmの炭素繊維を40wt%含むナイロン6(ダイセルポリマー製:プラストロン:PA6−CF40−01(L9))を樹脂温度280℃で射出成形し、上記積層体の一方の面と貫通孔とに樹脂部を形成してプリフォームを作製した。
また、プリフォームの射出成形が終了した後、配管を取り換え、金型温度を150℃に上げ、スペーサーを変更することにより、キャビティーの厚みを3mmとして、RTM成形の準備を整えた。
その後、金型を開き、連続した強化繊維シートを7枚追加して金型を閉じ、金型内を真空引きし、しばらく部材を乾燥させた後、触媒および活性剤を含むナイロン6モノマー溶液(ナガセケムテックス製:DENATITE GAP−1R、 DENATITE GAP−1DA)を混合後、金型内に1.0MPaで液送した。液送に要した時間は30秒であった。
液送終了後、2分後に金型から取り出しCFRPの成形品を得た。
[比較例1]
実施例1でトリミングした強化炭素繊維シートと、ナイロン不織布を交互に積層した積層体をハット形状型の上に乗せた。
上記積層体と上記型とをバギングフィルムに入れて真空引きし、温度140℃で10分保持し、上記ナイロン不織布を融かして、強化炭素繊維シート同士を接着してプリフォームを作製した。
上記プリフォームを上記射出成形機の金型に入れ、実施例1と同様にしてCFRPの成形品を得た。なお、液送に要した時間は30秒であった。
[比較例2]
実施例1でトリミングした強化炭素繊維シートの外周部に、幅1cmのナイロン不織布を額縁状に配置して交互に積層する他は比較例1と同様にしてプリフォームを作製した。
また、上記プリフォームを上記射出成形機の金型に入れ、実施例1と同様にしてCFRPの成形品を得た。なお、液送に要した時間は30秒であった。
[比較例3]
貫通孔を形成しない他は実施例1と同様にしてプリフォーム及びCFRPの成形品を形成した。なお、CFRPの成形時の液送に要した時間は30秒であった。
上記実施例1、比較例1〜3のプリフォームの外観および断面を観察し、形状付与性、及び、繊維ズレの有無を確認した。
実施例1及び比較例1は、強化炭素繊維シートの剥がれ、繊維ズレが確認されず、金型の形状が保持されており、取扱いが容易であった。
一方、比較例2、及び比較例3は、積層方向で強化炭素繊維シートが剥がれており、またプリフォームの端部では繊維ズレが確認された。
また、実施例1、比較例1〜3のプリフォームから作製した炭素繊維強化プラスチックの成形品の繊維体積含有率(%)(Fiber volume content:Vf)、曲げ弾性率、及び、トリミングした強化炭素繊維シートから、プリフォームの作製までにかかった賦形時間を測定した。
炭素繊維強化プラスチックの成形品の曲げ弾性率は、成形品を幅15mm長さ100mmに切り出して物性試験片とし、この試験片に対して、スパン距離80mm、試験速度5mm/sにて3点曲げ試験を実施した。評価結果を表1に示す。
Figure 0006703349
上記表1から、本発明のプリフォームは、短時間で賦形することができ、形状保持性がよく取扱い性に優れ、成形品を作製する際、マトリックス樹脂の浸透性が高く、成形品内部にマトリックス樹脂が含浸しない欠陥部が生じ難く、力学的強度に優れる成形品を作製できることがわかる。
比較例1と比較例2は、強化炭素繊維シートとナイロン不織布を交互に積層するのに時間がかかった。ナイロン不織布を全面に配置した比較例1はマトリックス樹脂の含浸性が低く繊維強化プラスチック成型品の曲げ弾性率が低かった。
また、比較例3は形状付与性が低かった。
1 プリフォーム
2 積層体
21 貫通孔
22 樹脂非含有部
3 樹脂部
31 形状保持部
32 孔部
33 アンカー部
4 屈曲部
5 平面部
6 金型

Claims (10)

  1. 強化繊維シートを複数積層した積層体が所定の形状を保持したプリフォームであって、
    上記積層体の形状を保持する樹脂部を有し、
    上記積層体はその積層方向に貫通する貫通孔を複数有し、
    上記樹脂部は樹脂材料とフィラーとを含み、
    上記樹脂部が、上記積層体の一方の面と上記貫通孔に配置され、
    上記複数の貫通孔に配置された樹脂部同士が上記一方の面に配置された樹脂部を介して連続していることを特徴とするプリフォーム。
  2. 上記樹脂部が、上記積層体の一方の面の全面に配置されたものであることを特徴とする請求項1に記載のプリフォーム。
  3. 上記積層体の外周部に上記貫通孔が配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載のプリフォーム。
  4. 上記樹脂部は、積層体の他方の面にアンカー部をさらに有し、
    上記アンカー部は、上記貫通孔の上記強化繊維シートの面方向の断面積より広く、かつ上記貫通孔を介して一方の面の樹脂部から連続したものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載のプリフォーム。
  5. 上記積層体が屈曲部と平面部とを有する形状であり、上記屈曲部に繋がる平面部に上記貫通孔を有するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載のプリフォーム。
  6. 上記樹脂部が、上記フィラーを10〜40wt%含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの項に記載のプリフォーム。
  7. 上記フィラーが上記強化繊維シートの繊維と不連続な強化繊維であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つの項に記載のプリフォーム。
  8. 強化繊維シートが複数積層された積層体に所定の形状を保持する樹脂部を形成する射出工程を含むプリフォームの製造方法であって、
    上記積層体が強化繊維シートのみが積層され、その積層方向に貫通孔を有するものであり、
    上記射出工程が、上記積層体に金型を押し当てつつ、フィラーを含む樹脂材料を射出することで、前記積層体の一方の面及び上記貫通孔に上記樹脂部を形成するものであることを特徴とするプリフォームの製造方法。
  9. 強化繊維シートが複数積層され、その積層方向に貫通する貫通孔を複数有する積層体と、
    上記強化繊維シートの繊維間に含浸したマトリックス樹脂と、
    フィラーと樹脂材料とを含む樹脂部と、を有し、
    上記樹脂部が、上記積層体の一方の面と上記貫通孔に配置され、
    上記複数の貫通孔に配置された樹脂部同士が上記一方の面に配置された樹脂部を介して連続していることを特徴とする繊維強化プラスチック。
  10. 上記樹脂部が、上記積層体の一方の面の全面に配置されたものであることを特徴とする請求項9に記載の繊維強化プラスチック。
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