JP6703202B1 - 拭取装置及び拭取方法 - Google Patents

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Abstract

ベアリング等の管状物の内壁等に存在する汚染物であっても、自動的かつ安定的に除去する拭取り装置及び拭取り方法を提供する。拭取部材を送り出す供給部と、通過孔を有し、拭取部材を管内又は管外移動させる棒状部材と、拭取部材を通過孔の内側から外側又は外側から内側に向かって折り返す折返し部と、拭取部材を当接させて汚染物を除去する洗浄部と、拭取部材を巻き取る回収部と、を備えた拭取装置であって、棒状部材が、通過孔における一方の開口部としての第1の口部と、通過孔における他方の開口部としての第2の口部を有する。

Description

本発明は、拭取装置及び拭取方法に関し、特に、拭取部材によって、環状物の内壁に付着している汚れや異物等(以下、単に汚染物と称する場合がある。)を除去するのに好適な拭取装置及びそれを用いた拭取方法に関する。
従来、工業用製品を構成する金属、ガラス、樹脂等の表面における汚染物を除去するための拭取装置や拭取方法が、各種提案されている。
このような拭取装置として、車両用ウインドガラスの周縁面部に付着した、油脂等の汚染物を拭取るための拭取装置100が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
より具体的には、図11に示すように、フレーム101と、保持部103と、クランプ手段105と、圧接ロール107と、処理液供給手段109と、引き出し装置111と、切断装置113と、を備えている。
そして、フレーム101に支持された保持部103は、拭取り布117を保持する部材である。この保持部103は、拭取り布117が巻かれる回転軸103aと、回転軸103aの回転を停止する停止装置103bと、を備えている。
また、クランプ手段105が、洗浄箇所の後方に設けてあるが、拭取り布117の先端部をクランプするための部材である。
さらに、切断装置113は、引き出し装置111が引き出した拭取り布117を切断し、別途処理するための装置である。
また、他の拭取装置として、エッジガイドを有するスライドコータのスライド面、エッジ部等を清掃するための拭取装置200が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
より具体的には、図12に示すように、枠体201と、ロール体203と、ブレーキ205と、押し付け搬送ロール207と、巻取手段209と、を備えている。
そして、この拭取装置200は、ロボット等の移動装置211に取り付けられるとともに、ブレーキ205によって、ロール体203が停止状態にて、押し付け搬送ロール207によって、拭取部材213が拭取対象物215に押し付けられて、汚染物が付着した拭取対象物215に対する拭取作業が行なわれる。
さらにまた、環状物ではないものの、樹脂成型用の金型に対する金型自動クリーニング装置が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
より具体的には、図13(a)〜(b)に、金型自動クリーニング装置における構成及び動作の概略を示すように、拭取部材331の供給リール333と、拭取部材331の巻取リール335と、拭取部材331の固定機構337、339と、拭取部材331を金型350に押し付ける可動子341と、金型350を軸転可能な金型受け台343と、を備える金型自動クリーニング装置330が開示されている。
そして、かかる金型自動クリーニング装置330によれば、拭取部材331が、可動子341により、金型350の内面に押し付けられ、かつ、金型350が金型受け台343により軸転されて、拭取部材331によって、金型350の内部がクリーニングされる構成である。
一方、環状物であって、精密機械部品としてのベアリングが、種々の分野で使用されている。そして、このような環状物における内外面の汚れの自動除去についても、長年の課題であった。
すなわち、例えば、自動車1台当たり、大まかに言えば、大小100個程度のベアリングが使用されていると言われている。
そして、かかるベアリングを使用する場合、精密機械部品としての正確な動作を保証すべく、ベアリングの内輪の内壁や、ベアリングを取り付けるハウジングの内壁に付着している汚染物を、手作業で除去することが行われている。
逆に言えば、汚染物を噛みこんだまま嵌め合わせをした場合、ベアリングとして、円滑に動作しなかったり、あるいは、激しく摩耗したりする場合がある。
従って、洗浄液によって除去できない汚染物は、基本的に、手作業による拭取り作業が行われていた。
特開平5−277419号公報(特許請求の範囲等) 特開2004−195383号公報(特許請求の範囲等) 特開平7−138034号公報(特許請求の範囲等)
しかしながら、特許文献1〜3に開示された拭取装置は、構造上、いずれも環状物であるベアリング等に適用し、当該環状物における内外面の汚れを自動的に除去することができなかった。
より具体的には、特許文献1に開示された拭取装置の場合、トルクモータを用いていないため、拭取部材を移送するのには、保持部、クランプ手段、圧接ロール、引き出し装置及び切断装置という多数の構成成分を複雑に連動させる必要があった。
従って、このような複雑な構造を有する拭取装置を用いても、ベアリング等の環状物における内外面の汚染物の拭取作業を自動、かつ、安定して行うことができないという問題があった。
また、特許文献2に開示された拭取装置の場合、拭取部材を移送するのに、ロール体、ブレーキ、押し付け搬送ロール、及び巻取手段という多数の構成部品を複雑に連動させる必要があった。
従って、特許文献1と同様に、拭取対象物の拭取作業を、かつ、安定して行うことができないという問題があった。
その上、ロール体と巻取手段が、拭取装置の内部に収容されているため、拭取部材の態様(長さや幅等)に対する制約が過度に大きいという問題も見られた。
また、特許文献3に開示された金型自動クリーニング装置は、長尺状の拭取部材を環状物の内壁に当接させにくく、かつ、長尺状の拭取部材の供給を適切に行いにくいという問題点が見られた。
さらに、このように環状物であるベアリング等の内部清掃に適用できる自動拭取装置が存在しないため、長年にわたって、ベアリングの内輪の内壁や、ベアリングを取り付けるハウジングの内壁に存在する汚染物を、手作業で除去することが行われていた。
従って、作業者によって、汚染物の除去に差異が生じ、その結果として、精密機械部品としてのベアリングの動作が不安定となる場合が見られた。
そこで、本出願は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、拭取部材の供給方法等を所定構成とすることによって、被洗浄物が環状物であっても、その内壁等に付着した汚染物に対して、拭取部材を、自動かつ安定的に当接させて、除去できることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明によれば、非環状物はもちろんのこと、環状物の内壁や外壁に付着した汚れや異物等の汚染物であっても、自動的かつ安定的に除去するのに好適な拭取装置、及びそれを用いた効率的な拭取方法を提供することを目的とする。
本発明(第1実施形態)によれば、拭取部材を送り出す供給部と、通過孔を有し、拭取部材を管内又は管外移動させる棒状部材と、拭取部材を通過孔の内側から外側又は外側から内側に向かって折り返す折返し部と、拭取部材を当接させて汚染物を除去する洗浄部と、拭取部材を巻き取る回収部と、を備えた拭取装置であって、棒状部材が、通過孔における一方の開口部としての第1の口部と、通過孔における他方の開口部としての第2の口部を有していることを特徴とする拭取装置が提供され、上述した問題を解決することができる。
具体的には、棒状部材に設けた通過孔等を利用し、第1の口部及び第2の口部の間で、拭取部材を円滑に移送し、折返し部において、拭取部材を折り返して好適に使用することができる。
従って、非環状部材はもちろんのこと、環状部材であっても、棒状部材の先端を容易に被洗浄物の内側や外側に導いて、自動的に適度に当接することができ、ひいては、内壁や外壁に付着している汚染物を、ばらつきなく、自動的に除去できる。
また、本発明の拭取装置を構成するにあたり、拭取部材が、管状、テープ状又は紐状であることが好ましい。
このように構成することにより、拭取部材の折り返しが容易になるとともに、環状部材の内壁等であっても、より効率的かつ所望場所に対して拭取部材を当接させて、付着している汚染物を除去することができる。
また、本発明の拭取装置を構成するにあたり、拭取部材が、リール状に巻かれており、供給部が、リール状に巻かれた拭取部材を、巻き出すためのトルクモータを備えていることが好ましい。
このように構成することにより、拭取部材であっても、小さくまとめて保持でき、拭取装置を小型化することができる。
また、トルクモータによって、必要に応じた量の拭取部材を安定して供給することができ、ひいては、付着している汚染物を、よりばらつきなく、自動的に除去することができる。
また、本発明の拭取装置を構成するにあたり、回収部が、拭取部材を複数の長尺物に分離させるための切断部を備えていることが好ましい。
このように構成することにより、管状の拭取部材であっても、汚染物の除去後に、複数個に分離して別々に回収することができ、ひいては、拭取装置の小型化に資することができる。
また、本発明の拭取装置を構成するにあたり、折返し部に、先端に向かって径が太くなる拡径部、先端に向かって径が細くなるテーパ部、及び曲面部の少なくとも一つが設けてあることが好ましい。
このように構成することにより、拭取部材であっても、折り返しが容易になって、かつ、環状部材の内部等であっても、より効率的に拭取部材を当接させて、付着している汚染物を除去することができる。
また、本発明の拭取装置を構成するにあたり、拭取部材を、棒状部材に対して、押さえつけるクランプ部を備えることが好ましい。
このように構成することによって、拭き取りの際に、拭取部材がずれたり、緩んでしまったりすることを防ぐことができ、ひいては、付着している汚染物を、よりばらつきなく、自動的かつ安定的に除去することができる。
また、本発明の拭取装置を構成するにあたり、所定箇所を基準にして、洗浄部を、鉛直方向、水平方向、あるいは、所定角度に回転させるためのロボットを備えることが好ましい。
このように構成することによって、三次元方向に任意に移動させることができ、環状部材の内部等であっても、より効率的に拭取部材を当接させて、付着している汚れや異物を除去することができる。
また、本発明の別の態様(第2実施形態)は、拭取部材を送り出す供給部と、通過孔を有し、拭取部材を管内又は管外移動させる棒状部材と、拭取部材を通過孔の内側から外側又は外側から内側に向かって反転させる、折返し部と、拭取部材を当接させて汚染物を除去する洗浄部と、拭取部材を巻き取る回収部と、を備えた拭取装置を用いた拭取方法であって、下記(1)〜(4)の工程を含むことを特徴とする拭取方法である。
(1)拭取部材を、通過孔における一方の開口部としての第1の口部を介して、通過孔の内側又は外側に導く工程
(2)拭取部材を、通過孔における他方の開口部としての第2の口部を介して、通過孔の外側又は内側に導く工程
(3)折返し部において、通過孔の内側から外側又は外側から内側に向かって、拭取部材を折り返す工程
(4)洗浄部によって、拭取部材を、汚染物に接触させて、除去する工程
このように実施することによって、拭取部材を、円滑に移送することができる。そして、折り返した拭取部材によって、環状部材の内部であっても、非環状部材の外部等であっても、より効率的に拭取部材を当接させて、付着している汚れや異物を除去することができる。
図1(a)〜(c)は、折返し部及び洗浄部における拭取部材の状態を説明するために供する図である。
図2は、第1の実施形態の拭取装置を説明するために供する図(正面図)である。
図3は、第1の実施形態の拭取装置を説明するために供する図(側面図)である。
図4(a)〜(c)は、棒状部材の構造例を説明するために供する図である。
図5(a)〜(b)は、棒状部材の第2の口部と、折返し部を説明するために供する図であって、拭取部材の移動性を向上させる構造を説明するために供する図である。
図6(a)〜(b)は、拭取部材の切断部を説明するために供する図である。
図7は、別の拭取装置の構成を説明するために供する図である。
図8は、移動手段としてのロボットを備えた状態を説明するために供する図である。
図9は、薬液等供給手段を備えた拭取装置を説明するために供する図である。
図10は、環状物であるベアリング及びそのハウジングを説明するために供する図である。
図11は、従来の拭取装置を説明するために供する図である(その1)。
図12は、従来の別の拭取装置を説明するために供する図である(その2)。
図13(a)〜(b)は、従来の金型自動クリーニング装置を説明するために供する図である(その3)。
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、図2及び図3等に例示されるように、拭取部材10を送り出す供給部51と、通過孔30aを有し、拭取部材10を管内又は管外移動させる棒状部材30と、拭取部材10を通過孔30aの内側から外側又は外側から内側に向かって反転させる、折返し部30bと、拭取部材10を当接させて、汚染物を除去する洗浄部30xと、拭取部材10を巻き取る回収部53と、を有している拭取装置50である。
そして、拭取部材10を管内又は管外移動させるべく、棒状部材30が、通過孔30aにおける一方の開口部としての第1の口部30aaと、通過孔30aにおける他方の開口部としての第2の口部30abを有していることを特徴とする拭取装置50である。
従って、図1(a)〜(c)に示されるように、拭取部材10において、折り返した部分が、棒状部材30の第2の口部30ab側の外壁の周方向に沿うとともに、一部領域を覆う状態になって、その一部領域を、拭取り作業に利用することができる。
以下、適宜図面を参照して、第1の実施形態の拭取装置50について具体的に説明する。
1.拭取部材
(1)形態
また、図2等に例示される拭取部材10は、供給部によって供給され、第1の口部、通過孔、第2の口部を順に経由し、折返し部によって、通過孔の内側から外側に向かって折り返され、洗浄部に当接された状態で、被洗浄物、ひいては、被洗浄物に付着した汚染物に当接されて、それを吸着した後、回収部に巻き取られる形態であることが好ましい。
一方、拭取部材は、供給部によって供給され、洗浄部に当接された状態で被洗浄物に付着した汚染物に押し当てられ、折返し部によって、通過孔の外側から内側に向かって折り返され、第2の口部、通過孔、第1の口部を順に経由し、回収部に巻き取られる形態としても良い。
従って、いずれにしても、通常、管状、テープ状又は紐状のいずれか一つであって、取り扱い性や製造性を考慮して、長さが1〜100mの範囲内の値である長尺状の拭取部材であることが好ましく、3〜50mの範囲内の長尺状の拭取部材であることがより好ましく、5〜30mの範囲内の長尺状の拭取部材であることがさらに好ましい。
また、図2等に例示される拭取部材10は、拭取対象物の所定箇所に当接させた場合に、汚れや異物等の汚染物を吸着(物理的吸着、化学的吸着、さらには吸収等も含む広い拭取概念である。)し、さらには、それを吸着した状態で、回収部によって、巻き取られる構成の長尺状の部材である。
従って、拭取部材の形状としては、供給部から回収部まで、基本的に繋がった形状であることが好ましい。より具体的には、拭取部材は、テープ状、管状、紐状等の拭取部材を用いることができ、特に、管状であることが好ましい。
この理由は、拭取部材が管状であれば、折り返した場合に、360°全ての方向を拭取部材によって当接できるためである。
従って、どの方向に汚染物があっても、拭取装置の向きを変えることなく、拭き取り作業が可能となる。
また、例えば、管状の拭取部材の場合、所定径(例えば、1〜100mmの内径)を有する中空部を内部に有しており、所定長さ(例えば、5〜100m)、所定厚さ(例えば、0.1〜20mm)とすることが好ましい。
すなわち、図1(a)及び図1(b)から理解されるように、拭取部材10として、管状の拭取部材11を用いた場合、折り返した部分は、棒状部材30の第2の口部30ab側の外壁の周方向に沿った領域全部を覆う状態になる。
従って、この場合は、棒状部材30の第2の口部30ab側の外壁の周方向に沿った領域全部を、拭取り作業に利用することができる。
なお、管状の拭取部材を用いた場合、拭取部材の拭取りに使用した部分を巻き取るために、2つの領域に分断することが好ましい。この点について、後述する切断部の欄で説明する。
また、例えば、テープ状の拭取部材の場合、汚染物の種類に応じ、所定幅(例えば、2〜200mm)、所定長さ(例えば、5〜100m)、所定厚さ(例えば、0.1〜20mm)の長尺状の部材を用いることが好ましい。
すなわち、図1(a)及び図1(c)から理解されるように、拭取部材10として、テープ状の拭取部材12を用いた場合は、折り返した部分が、棒状部材30の第2の口部30ab側の外壁の周方向に沿った一部領域を覆う状態になる。
従って、この場合は、棒状部材30の第2の口部30ab側の外壁の周方向に沿った一部領域を、拭取り作業に利用できる。
なお、テープ状の拭取部材を用いる場合は、管状の拭取部材を用いる際に必要であった分断処理を、事実上不要にすることができる。
その他、テープ状の拭取部材のテープ幅を広めにし、折り返した部分を棒状部材の外壁に沿う広い部分を覆うようにすることで、管状の拭取部材を用いた場合の状態に近づけることが可能である。
さらに、例えば、紐状の拭取部材の場合、比較的小面積に付着した汚染物の拭き取りに適しておいる。
従って、紐状の拭取部材の所定外径を、通常、0.1〜5mmの範囲内の値とすることが好ましく、0.3〜3mmの範囲内の値とすることがより好ましく、0.5〜2mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
一方、紐状の拭取部材の長さを、通常、1〜100mの範囲内の値とすることが好ましく、5〜50mの範囲内の値とすることがより好ましく、10〜30mの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、拭取部材10は、適度に伸縮することが好ましい。
従って、一例であるが、拭取部材は、幅2〜200mm、長さ5〜100m、厚さ0.1〜20mmのテープ状の拭取部材において、それぞれJIS L1913:2010に準拠して測定される伸び率を1〜400%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、拭取部材の伸び率を所定の範囲内とすることで、拭取部材の供給量と回収量に多少のばらつきがあっても、弛まずにテンションをかけた状態を維持できるためである。そして、このような拭取部材であれば、折り返し等において破断することなく、安定的に反転させて移動させることが容易になるためである。
より具体的には、かかる拭取部材の伸び率が1%未満では、拭取部材が破断しやすくなって、折り返しやスムーズな拭き取りが困難となる場合があるためである。
一方、かかる伸び率が400%を超えると、過度に伸びる場合があって、安定的に反転させたり、スムーズに拭取部材を移動させたりすることが困難となる場合があるためである。
従って、所定形態の拭取部材において、JIS L1913:2010に準拠して測定される伸び率を10〜150%の範囲内の値とすることがより好ましく、20〜100%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、所定形態の拭取部材は、JIS L1913:2010に準拠して測定される破断伸びを1〜50kN/mの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、拭取部材の破断伸びを所定の範囲内とすることで、細かいトルク調整ができない自動機等であっても、安定してテンションをかけた状態を維持することが容易になるためである。
従って、かかる破断伸びを2〜30kN/mの範囲内の値とすることがより好ましく、5〜20kN/mの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(2)構成材料
また、拭取部材10の構成材料(繊維材料)は特に制限されるものではないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂(ポリアクリル系樹脂を含む。)、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等を原料とした不織布が好適である。
この理由は、これらの材料であれば、適度な機械的強度(伸び率や破断強度等)を有するとともに、良好な耐熱性や経済性を有するためである。
但し、所定汚染物に対する吸収性あるいは拭取性がより良好なことから、用途によっては、ポリウレタン系スポンジや、マイクロファイバー等からなる拭取部材であっても良い。
また、拭取部材が不織布の場合、その製法の違いに起因して多種類が存在しているが、いずれの不織布も好適に使用することができる。
例えば、樹脂を溶融して紡糸ノズルの周囲から噴射する高温エアにより、繊維を細くしてシート状に集積してなるメルトブローン法、原料樹脂を溶融・紡糸させ得られる連続した長い繊維を直接集積してフリースを形成するスパンボンド法、低融点の熱融着繊維を混合したフリースを熱ロールの間を通して熱圧着する。又は熱風を当て、繊維同士を接着させるサーマルボンド法等のいずれであって良い。
また、フリースにバインダの溶液をスプレーし、乾燥させて嵩高な状態で繊維間を結合するケミカルボンド法、フリースを高速で上下するニードル(針)で繰り返し突き刺し、ニードルに刻まれたバーブという突起により繊維を絡ませるニードルパンチ法、フリースに高圧の水流を柱状に噴射して繊維を絡ませる交絡水流法、短繊維をカードと呼ばれる機械やエアレイと呼ばれる空気流で一定方向又は、ランダムに並べて形成する乾式法等のいずれであっても良い。
2.棒状部材
(1)形状
図2及び図3に示すように、棒状部材30は、被洗浄物に付着した汚染物を除去するために、拭取部材10を、表面に沿って案内する部材である。
従って、棒状部材の形状は、円柱状の棒状部材又は楕円柱状であることが好ましい。
この理由は、円柱状の棒状部材又は楕円柱状の棒状部材の場合、側壁が周方向で曲面であるため、この曲面が被洗浄物に接するので、拭取部材を被洗浄物、ひいては汚染物に接触し易くできるためである。しかも、このような構成であれば、被洗浄物を損傷させる恐れが極めて小さいという利点もある。
また、棒状部材30の通過孔の径方向に沿う断面形状は、拭取部材がガイドされており、その表面を経由するのに好ましい形状であれば良く、典型的には、円形状又は楕円形状であることが好ましい。
また、典型的には、直線状のものであるが、被洗浄物、あるいは被洗浄物に付着した汚染物の種類や、拭取り作業の内容に応じ、任意の形状とすることができる。
さらに、棒状部材の寸法は、拭き取り対象物の寸法や拭取部材の種類等を考慮して決められるが、例えば、直線状とした場合に、長手方向の長さを5〜50cmの範囲内の値とすることが好ましく、8〜30cmの範囲内の値とすることがより好ましく、10〜20cmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
一方、棒状部材の長手方向に対して垂直方向の最大寸法、例えば、円柱の場合、その外径を0.5〜20cmの範囲内の値とすることが好ましく、1〜15cmの範囲内の値とすることがより好ましく、2〜10cmの範囲内の値とすることが好ましい。
また、図1(a)にも示す通り、棒状部材30は、拭取部材10を管内移動させるための通過孔30aを有しており、通過孔30aにおける一方の開口部としての第1の口部30aaと、通過孔30aにおける他方の開口部としての第2の口部30abと、を有している。
また、棒状部材30は、第2の口部30abにおいて、折返し部30bを有しており、棒状部材30の外壁において、洗浄部30xを有している。
また、図2等に示すように、棒状部材30は、後述する筐体50aによって保持されているとともに、筐体50aから第2の口部30ab側に突出していることが好ましい。具体的には、棒状部材30の先端部を所定寸法Lだけ、筐体50aから突き出した構成及び配置とするのが好ましい。
この理由は、第2の口部側の先端部が、所定寸法Lだけ飛び出していることにより、他の部材の干渉を受けにくくなり、環状物の内側に好適に入り込むことができるためである。
従って、かかる所定寸法Lは、実際は、被洗浄物の形状や大きさを考慮して決めるが、通常、1cm〜30cmの範囲内の値とするのが好ましく、3cm〜20cmの範囲内の値とするのがより好ましく、5cm〜10cmの範囲内の値とするのがさらに好ましい。
(2)通過孔
また、図2等に示すように、通過孔30aは、拭取部材10を通過させる孔であり、棒状部材30の両端部に,開口部として、第1の口部30aa及び第2の口部30abを有する、長手方向に延びた貫通孔である。
ここで、棒状部材30を鉛直方向に配置した場合、通常、鉛直方向の上方に位置するのが、第1の口部30aaであり、鉛直方向の下方に位置するのが、第2の口部30abである。
そして、かかる通過孔の寸法は、拭取部材の大きさや材質等を考慮して決められるが、通常、長手方向の長さを10〜50cmの範囲内の値とすることが好ましい。
また、通過孔は、長手方向に垂直な断面の形状が多角形又は、円形であることが好ましい。
そして、棒状部材の肉厚は、棒状部材の機械的強度や拭取部材の折り返し性等を考慮して定めることが好ましいが、通常、0.1〜1cmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、棒状部材において、所定の機械的強度が得られるとともに、棒状部材と、通過孔との延び方向が一致することで、通過孔の内側を、拭取部材が、より円滑に移送され、しかも折り返しされるためである。
従って、棒状部材の肉厚を0.2〜0.9cmの範囲内の値とすることがより好ましく、0.3〜0.8cmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(3)第1の口部
図2等に示すように、第1の口部30aaは、矢印r3で回転させて、供給部51から送り出された拭取部材10を、棒状部材30の通過孔30aに引き込むための開口部、又は、拭取り後に通過孔30aを通ってきた拭取部材10を、通過孔30aの外部に引き出すための開口部である。
従って、第1の口部の開口径は、拭取部材10の大きさや材質、棒状部材の大きさ等によって決められるが、通常、0.3〜15cmの範囲内の値とすることが好ましく、0.6〜13cmの範囲内の値とすることがより好ましい。
なお、第1の口部の開口部の形状が、円形でない場合、すなわち、楕円形、多角形、異形等の場合には、第1の口部の開口径は、円相当径と規定して、上述の範囲内の値とすることが好ましい。
その他、通常、棒状部材30を鉛直方向に配置した場合、上方端部に位置するのが第1の口部30aaであって、下方端部に位置するのが、後述する第2の口部30abとなる。
(4)第2の口部
図2等に示すように、第2の口部30abは、通過孔30aを経由した拭取部材10を、引き出すための開口部、あるいは、拭取後に反転された拭取部材10を、通過孔30aの内側に引き込むための開口部である。
従って、第2の口部の開口径は、拭取部材の大きさや材質、棒状部材の大きさ等によって適宜決められ、第1の口部の開口径と同様であることが好ましいが、通常、0.3〜15cmの範囲内の値とすることが好ましく、0.6〜13cmの範囲内の値とすることがより好ましい。
なお、第2の口部の開口部の形状が、円形でない場合、すなわち、多角形、異形等の場合には、第2の口部の開口径は、第1の口部と同様に、円相当径として、上述の範囲内の値とすることが好ましい。
(5)材料
また、図2等に示される棒状部材30の構成材料としては、耐摩耗性、耐薬品性、非汚染性等を有する材料であれば特に限定されない。
従って、棒状部材の材料としては、例えば、アルミニウム材料、チタン材料、ステンレス材料、セラミック材料、又は樹脂材料(ガラス繊維強化樹脂や炭素繊維強化樹脂を含む。)等を用いることができる。
特に、金属製のパイプが好ましく、ステンレス材料であることがより好ましい。
この理由は、金属製のパイプのように適度に導電性のある材料であれば、拭取部材との擦れによって静電気がたまることがなく、空気中の埃などが付着してしまうリスクが少ないためである。
また、ステンレス材料、例えば、SUS301やSUS403等であれば、機械的強度や耐久性に優れるため、拭取り作業の際に、被洗浄物等と接触したような場合であっても変形しにくいことから、より好ましい材料である。
(6)変形例
図4(a)〜(c)に、棒状部材30のいくつかの変形例を示す。
図4(a)に示す棒状部材30は、先端部30yの径を他の部分の径より大きくしたものである。こうした場合、拭取部材を被洗浄物に当接し易く、かつ、拭取り圧も高めることができる。
また、図4(b)に示す棒状部材30は、先端部30zの径が先端に向かうに従い小さくなるいわゆるテーパ状部分を持つものである。
このテーパ角度は、被洗浄物の形状に応じて変更する。テーパ状の部分を持つ棒状部材の場合、被洗浄物の拭取り面が傾斜面であっても拭き取りを良好に行うことができる。なお、被洗浄物の形状によって、先端部30zの径が先端に向かうに従い大きくなる棒状部材、すなわち、テーパの方向が図4(b)の逆のものでも良い。
また、図4(c)に示す棒状部材30は、直線状ではなく、途中で角度θを持って曲がっているL型形状のものである。L型形状の方が拭取部材の供給がしやすい場合、また、被洗浄物に棒状部材の先端を当てやすい場合などに便利である。なお、角度θは、設計に応じた任意の角度にして良い。
なお、棒状部材の形状は、図4(a)〜(c)に示す各形状を組み合わせた構成であっても良く、その他の形状であっても良い。
3.折返し部
(1)形状
図1(a)等に示されるように、折返し部30bは、第2の口部30abにおいて、通過孔の内側から外側又は外側から内側に向かって、拭取部材を折り返すためのものである。
従って、折返し部30bの形状は、拭取部材10の移送に支障が無いよう、拭取部材10が摺動し易い構造とするのが好ましい。
また、折返し部は、先端に向かって径が太くなる拡径部、先端に向かって径が細くなるテーパ部、及び曲面部の少なくとも一つが設けてあることが好ましい。
この理由は、拭取部材が長尺状であっても、折り返しが容易になって、かつ、環状部材の内部等であっても、より効率的に拭取部材を当接させて、付着している汚れや異物を除去することができるためである。
また、図5(a)〜(b)は、棒状部材の斜視図と、棒状部材の斜視図中のA−A線に沿った断面図である。
例えば、図5(a)に示す折返し部30bは、曲面部を持ったものであり、図5(b)に示す折返し部30bは、先端に回転自在の球状体30sを多数個設けたものである。従って、ボールペンの先端部にボールを設けた形状に類似した構成であって、より円滑に折り返せる構成例である。
(2)材料
また、折返し部の材料としては、例えば、アルミニウム材料、チタン材料、ステンレス材料、セラミック材料、又は樹脂材料(ガラス繊維強化樹脂や炭素繊維強化樹脂を含む。)等を用いることができるが、棒状部材の材質と同じ材料であることがより好ましい。
この理由は、棒状部材と同じ材料とすることで、棒状部材自体を加工して、折返し部材を構成でき、継ぎ目がないことから、拭取部材を円滑に移送できるためである。
4.洗浄部
(1)形状
図2等に示すように、洗浄部30xは、第2の口部30abから連なる棒状部材30の外壁において、拭取部材10の後ろ盾となり、被洗浄物の汚染物に対して、拭取部材10を確実に接触させるためのものである。
従って、洗浄部30xの形状は、棒状部材30の長手方向に延びる円筒形状であることが好ましい。
この理由は、折返し部によって折り返された拭取部材を、すぐに円筒形状の外壁を持つ洗浄部を背にして押し当てることで、例えば、環状物の内側であっても、拭取部材を広く接触させることができ、ムラなく拭取り作業を行うことができるためである。
また、洗浄部は、第2の口部に連なる棒状部材の外壁自体によって構成されていることが、より好ましい。
この理由は、棒状部材の先端部に、新たに部材を取り付ける必要がなくなり、継ぎ目がないことから、拭取部材を円滑に移送できるためである。
(2)材料
また、洗浄部の構成材料は、例えば、アルミニウム材料、チタン材料、ステンレス材料、セラミック材料、又は樹脂材料(ガラス繊維強化樹脂や炭素繊維強化樹脂を含む。)等を用いることができる。
一方で、洗浄部を棒状部材の外壁自体によって構成する場合には、必然的に、棒状部材と同じ材料から構成されることになる。
5.供給部
図2等に示すように、供給部51は、拭取部材10を供給するための部材である。従って、例えば、ボビン51aにリール状に巻かれた構造となっており、それらを巻き出すためのトルクモータ51bを備えていることが好ましい。
この理由は、このような構成であれば、拭取部材が長尺状であっても、小さくまとめて保持でき、拭取装置を小型化することができるためである。
また、トルクモータは、トルク調整手段としてのパワーコントローラ(図示せず)を有することが好ましく、シーケンサ、コンピュター等の制御手段からこれらのモータに有線又は無線で送られる所定の信号によって駆動することが好ましい。
この理由は、拭取部材を無人でかつ安定に長時間、移送できるためである。
なお、このような制御手段は、この拭取装置に内蔵しても良いし、この拭取装置を取り付ける移動手段、例えばロボット側にも設けても良い。
6.クランプ部
図2等に例示したように、クランプ部59は、拭取部材10の所定部分を、拭取り作業がされている間、棒状部材30の外壁との間で挟んで、ずれないように固定するための部材である。
より具体的には、回収部と第2の口部との間であって、拭取部材の拭取り作業で使用される部分より少し上の部分を、拭取り作業の間、棒状部材に押し付けて、ずれが生じないように押さえるための部材である。
このようにクランプ部を設けることにより、拭取部材の折り返した部分が棒状部材の外壁に一層密着し、かつ、拭取部材が弛むことを防止することができる。
このため、拭取部材が被洗浄物に一層接触し易くなり、従って、環状物の内壁に付着している汚れや異物の拭き取りを、より確実に行うことができる。
また、クランプ部は、かかる構成に限られないが、例えば、弾性材で構成したローラと、このローラを棒状部材の外壁に押し当てる動作、及び、外壁から離す動作を司る例えばカム機構やソレノイド等の駆動機構と、により構成することも好ましい。
さらに、クランプ部は、クランプ機能に加えて、回収部の動作を補助する目的で、拭取部材を回収部側に送る機能、例えばニップ駆動ローラの機能を備える構成としても良い。
7.切断部
図2等に例示したように、切断部57は、拭取部材10の拭取り作業で使用した部分を多数に分割する構成部材である。
かかる切断部を備える理由は次の通りである。
例えば、拭取部材として管状の拭取部材を用いた場合、拭取り作業で使用した部分も管状であるため、その部分は棒状部材を包含していて巻取れない。従って、切断部は、この使用済の拭取部材の部分を、順次に、多数に分断するものである。
また、切断部は、図6(a)〜(b)に例示したように、回収部53として、棒状部材30の外壁に備えられたものである。
より具体的には、図6(a)の例では、棒状部材30の外壁の相対する2か所に、例えば、カッター刃やカミソリ刃のような部材を埋め込むことによって、切断部57を構成している。
また、図6(b)の例では、棒状部材30の外壁から少し離れた位置の、棒状部材30を挟んで相対する2か所に、カッター刃のような部材を固定しておくことによって、切断部57を構成している。
図6(a)〜(b)に示したいずれの切断部57も、拭取部材10の拭取り作業で使用した部分が、切断部57付近を通過する際に切断部57の刃に接触して、第1の部分10xと、第2の部分10yとに分断される。
そして、図2等に示されるように、これら第1の部分10x、第2の部分10yは、それぞれの対応する回収部53が、矢印r1,r2方向に回転し、ボビン53aに巻き取られることになる。
8.その他
(1)回収部
図2等に示すように、回収部53は、拭き取り作業で使用した、拭取部材10の所定部分を、時に巻き取る部材である。
かかる回収部53は、例えば、図3に示すように、ボビン53aと、このボビン53aを回転させるモータとして、トルクモータ53bとを含む構成としてある。
すなわち、供給部51と、回収部53とは、例えば、拭取り作業時は、拭取部材10が動かないよう、矢印r1、r2、r3で示される回転動作が停止された状態になる。
そして、拭取部材10の新しい部分を被洗浄物に接触させたい場合は、供給部51と回収部53とが連動して、矢印r1、r2、r3で示されるように、適度に回転して、拭取部材10を移送する。
これら動作は、後述する制御部55による制御により行なう。
なお、図2の例では、拭取部材を切断部57により2分割し巻き取るので、回収部53は、棒状部材の左右それぞれに1台ずつ、合計2台設けてある。
(2)制御部
図2等に示すように、制御部55は、供給部51及び回収部53の動作、拭取り作業動作並びに後述するクランプ部59の動作、を制御するものである。
この制御部は、マイコン、シーケンサ等の任意好適な電子機器及び従来公知の制御技術により構成できるので、ここでの詳細な説明は省略する。
また、制御部55によって、第1の実施形態の拭取装置50は、図7に示すように、例えば、X,Y、Zの各方向及び平面的な回転動作が可能な駆動機構61に、筐体50aを介して、固定されていることが好ましい。
すなわち、拭取装置50を駆動機構61に接続固定して、拭取装置50を、駆動機構61により、X,Y、Zの各方向(三次元方向)及び平面的な回転駆動(回転方向)できる構成とすることが好ましい。
この場合、制御部55は、供給部51や回収部53の制御、クランプ部59の制御に加えて、上記駆動機構61の制御もできる構成とすることが好ましい。
この理由は、図7に示すように、拭取装置50は、棒状部材30の中心軸を回転軸として回転動作すること(右回転・左回転の往復動作も含む)ができるためである。
また、拭取装置50が、X,Y,Zの各軸に沿った動作や、X−Yを合成した旋回動作をすることが可能となり、棒状部材30の先端部に位置する拭取部材10による拭取り作業を種々の方向において自動的に実施することができるためである。
なお、この駆動機構61及び制御部55は、従来公知のモータ、ギヤ等を用いた駆動機構と、マイコンやシーケンサを用いた制御部55によって実現できる。
また、図8に示すように、駆動機構61の代わりに、拭取装置50は、本拭取装置50の動作手段としてのロボット71を備える構成とすることも好ましい。
より具体的には、拭取装置50を、ロボット71の駆動アーム71aに取り付けることが好ましい。
かかるロボット71は、一般に、駆動アーム71aがX,Y,Zの各方向に移動する動作と、所定軸を回転中心軸とする回転動作とを、それぞれ行うことができる。そのため、このロボット71の駆動アーム71aに拭取装置50を接続した場合、拭取装置50は、X,Y,Zの各方向の移動動作、これら各軸の動作を合成した任意の動作、及び、所定軸を回転中心軸とする回転動作を行うことができる。
(3)筐体
図2等に示すように、筐体50aは、棒状部材30と、供給部51と、回収部53を、所定の位置関係で保持するためのものであり、棒状部材30を筐体50aに固定している固定部材50bと、拭取装置50を保護する保護カバー50cを有している。
従って、筐体は、軽量かつ強度の高い素材、例えば、アルミニウム材料、チタン材料、ステンレス材料、セラミック材料、又は樹脂材料(ガラス繊維強化樹脂や炭素繊維強化樹脂を含む。)等からなるフレームで構成するのが好ましい。
(4)保護カバー
また、図2等に示すように、保護カバー50cは、拭取装置50を、使用環境からの異物や、拭取対象物から出る異物から保護するためのものである。
すなわち、拭取装置自体に異物が付着するなどしては、拭取装置の目的を達成できないので、それを防止するための部材である。
従って、この保護カバーの材質は、拭取装置の使用条件等を考慮して決めるのが好ましい。
従って、例えば、透明樹脂、着色樹脂、例えば、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂、さらには、導電材料を含むアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等を用いることができる。
また、保護カバーは、拭取装置の、例えば、図2中に寸法Lで示す棒状部材の先端側の部分を除いて、拭取装置の領域上のほぼ全面を覆うようなフード状のものが良く、筐体に取り付けるものである。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、図2等に例示される、長尺状の拭取部材10を送り出す供給部51と、通過孔30aを有する棒状部材30と、拭取部材10を巻き取る回収部53と、を備えた拭取装置50を用いた拭取方法であって、下記(1)〜(4)の工程を含む拭取方法である。
(1)拭取部材10を、棒状部材の通過孔における一方の開口部としての第1の口部を介して、棒状部材の通過孔内部又は外部に導く工程
(2)拭取部材を、棒状部材の通過孔における他方の開口部としての第2の口部を介して、棒状部材の通過孔外部又は内部に導く工程
(3)折返し部において、棒状部材の通過孔内部から外部、又は、棒状部材の通過孔外部から内部に向かって、拭取部材を折り返す工程
(4)洗浄部によって、拭取部材を、汚染物に接触させて、除去する工程
1.工程(1)
工程(1)は、拭取部材を、通過孔における一方の開口部としての第1の口部を介して、通過孔の内側又は外側に導く工程である。
従って、拭取部材を、棒状部材に沿った方向で移送することが好ましい。
この理由は、このようにすることによって、拭取部材を、第1の口部に対して過度に接触することなく、円滑に導くことができるためである。
2.工程(2)
工程(2)は、拭取部材10を、通過孔における他方の開口部としての第2の口部を介して、通過孔の外側又は内側に導く工程である。
従って、拭取部材10を、棒状部材30の外壁に沿った方向で移送することが好ましい。
この理由は、このようにすることによって、拭取部材10を、第2の口部に対して過度に接触することなく、円滑に導くことができるためである。
3.工程(3)
工程(3)は、図2等に示すように、棒状部材30の先端部を折返部として利用し、拭取部材10の進行方向を反転させ、通過孔の内側から外側、あるいは、通過孔の外側から内側に向かって、それぞれ拭取部材10を折り返す工程である。
従って、工程(3)は、図2等に示すように、棒状部材30の通過孔の内側から外側に折り返し、反転させた場合に、拭取部材10の折り返した部分を第1の口部方向に引っ張る工程でもある。
すなわち、工程(3)として、図1(a)〜(c)中に示すように、拭取部材10を、左右一対の回収部53を矢印r1,r2の方向に回転させると、矢印Sの方向に引っ張られる。
次いで、引っ張られた拭取部材10は、棒状部材30の先端部を折返部として利用し、矢印Uの方向に反転させて、拭取部材10の新たな部分を露出させ、通過孔30aに導き、矢印Qの方向に送って、棒状部材30の外壁側に引き出させる工程である。
一方、図示しないものの、通過孔30aの外側から内側に、棒状部材30の先端部を折返部として利用し、折り返した場合は、拭取り後の汚染物が付着した拭取部材10を、通過孔30aを経由して第1の口部方向に引っ張る工程となる。
すなわち、このように拭取部材10を反転させ、折り返すことによって、棒状部材の通過孔内を拭取部材の供給経路(移送経路)として利用できる。
また、棒状部材の外壁において、洗浄部を有するという、斬新な技術手段を講じて、拭取り作業や拭取部材の供給・巻取を行うので、環状物の内壁に付着している汚れや異物を良好に拭取れ、しかも、拭取部材の供給を円滑に行えるという利点もある。
4.工程(4)
工程(4)は、洗浄部30xによって、拭取部材10を、被洗浄物の内壁や外壁、ひいては、被洗浄物に付着した汚染物に接触させて、それらを除去する工程である。
従って、図2等に示すように、拭取部材10を反転させて、その一部(図1(a)〜(c)に11x、12xで示す領域)を、例えば、図10に示すようなベアリング94の内輪90の内壁90aや、ハウジング92の内壁92a等に、所定圧で接触させることによって、ベアリング94の内壁等に付着した汚染物を、自動的かつ効率的に拭取ることができる。
すなわち、反転した拭取部材10を含む棒状部材30の先端付近を、洗浄部30xとして用い、所定動作にて拭取り作業を行うので、環状物の内部に棒状部材を挿入し易いという利点がある。
しかも、反転した拭取部材10を含む棒状部材30は、被洗浄物であるベアリング等の内壁であっても、適切に接触することができるため、内壁等に付着している汚染物を自動的に、かつ、確実に拭取ることができる。
また、工程(4)において、図2等に示すように、拭取部材10の一部を、拭取部材10の進行方向に対して、片側の垂直方向から、あるいは、両側の垂直方向から、一対のクランプ部59を、棒状部材30に対して、所定距離g1、g2だけ、横方向にスライドさせて、適度な力で押し当てることが好ましい。
すなわち、所定の拭取方法を実施するに当たり、拭取部材10が伸びて弛むのを防止し、かつ、拭取部材10がずれずに、固定するためのクランプ処理を行うことが容易になる。
なお、クランプ部59としては、所定距離(g1、g2)だけ、水平方向(横方向)にスライド可能な、左右一対のニップロール、あるいは、いずれか一方の側に、片側ニップロール等を設けて、それを好適に用いることができる。
5.他の工程
(1)水や薬剤等の供給工程
拭取対象物の中には、拭取作業の前に又は拭取作業中に、水、洗浄剤、潤滑剤、薬剤、汚染物吸収助剤、汚染物溶解剤、帯電防止剤等の少なくとも一つを供給する工程を設けることが好ましい。
従って、図9に示すように、このような水、洗浄剤、帯電防止剤、導電性剤等の薬液等供給手段81を設けることによって、拭取部材の動きに合わせて水や洗浄剤等の薬液を供給し、汚染物の除去性の向上や、所定機能効果を付与することが容易になる。
(2)汚染物の回収工程
また、拭取部材を移送する際や、拭取部材を切断部によって切断した際に、拭取部材の破片が落ちる場合や、拭取り作業で拭取った汚れや異物が拭取部材に付着せずにはがれ落ちるような場合がある。
そこで、図9に示すように、箱型、袋状等の形態の、汚染物の回収部材83を設けて、拭取り作業中に、落下等した汚染物を、受けとって、一か所に回収する工程を設けることが好ましい。
このように構成することによって、汚染物が再付着したり、周囲に落下したりして、除去作業に悪影響を及ぶのを有効に防止できるためである。
従って、このような回収部材は、切断部の下方等で拭取り作業や拭取部材の移送に支障がなく、汚染物発生の可能性がある部分の直下に設けることが好ましい。
以上の説明から明らかなように、本発明の拭取装置及びそれを用いた拭取方法によれば、棒状部材の側壁の一部を洗浄部として利用して、被洗浄物が環状物であっても、その内壁等に付着した汚染物に対して、拭取部材を、自動かつ安定的に当接させて、効率的に除去することができる。
また、棒状部材の内部に設けた通過孔を利用して、拭取部材を所定方向に移送し、それを供給や回収を行うという構成によって、特に環状物の外壁のみならず、内壁に付着している汚染物であっても、自動的に、確実かつ生産性良く、拭取ることができる。
よって、本発明の拭取装置及びそれを用いた拭取方法であれば、例えば、ベアリングの内輪の内壁や、ベアリング用ハウジングの内壁の拭取作業等、種々の環状物の拭取り作業の自動化手段として幅広く使用できる。
従って、例えば、自動車に多数使用されている大小のベアリングの内輪の内壁やベアリングのハウジングの内壁等の内壁に付着した汚染物を確実に取り除き、歩留まりを向上させることが期待できる。
さらにまた、本発明の拭取装置及びそれを用いた拭取方法であれば、例えば、エンジンの組み立て工程において、ピストンリングの内壁等の汚染物を、自動的かつ安定的に取り除くことが期待できる。
なお、自動車産業に限らず、また、ベアリング等の環状物に限らず、本発明の拭取方法及び拭取り装置を、種々の被洗浄物の拭取り作業の自動化手段として用いることも期待される。

Claims (8)

  1. 拭取部材を送り出す供給部と、前記拭取部材を当接させて汚染物を除去する洗浄部と、前記拭取部材を巻き取る回収部と、を備えた拭取装置であって、
    通過孔を有しており、当該通過孔における一方の開口部としての第1の口部と、前記通過孔における他方の開口部としての第2の口部を有する棒状部材と、
    前記拭取部材を前記通過孔の内側から外側又は外側から内側に向かって折り返す折返し部と、をさらに備え、
    前記棒状部材に沿って、前記拭取部材の管内移動又は管外移動させることを特徴とする拭取装置。
  2. 前記拭取部材が、管状、テープ状又は紐状であることを特徴とする請求項1に記載の拭取装置。
  3. 前記拭取部材が、リール状に巻かれており、前記供給部が、リール状に巻かれた前記拭取部材を、巻き出すためのトルクモータを備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の拭取装置。
  4. 前記回収部が、前記拭取部材を複数の長尺物に分離させるための切断部を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の拭取装置。
  5. 前記折返し部が、先端に向かって径が太くなる拡径部、先端に向かって径が細くなるテーパ部、及び曲面部の少なくとも一つを備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の拭取装置。
  6. 前記拭取部材を、前記棒状部材に対して、押さえつけるクランプ部を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の拭取装置。
  7. 所定箇所を基準にして、前記洗浄部を、鉛直方向、水平方向、あるいは、所定角度に回転させるためのロボットを備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の拭取装置。
  8. 拭取部材を送り出す供給部と、通過孔を有し、前記拭取部材を管内又は管外移動させる棒状部材と、前記拭取部材を前記通過孔の内側から外側又は外側から内側に向かって折り返す折返し部と、前記拭取部材を当接させて汚染物を除去する洗浄部と、前記拭取部材を巻き取る回収部と、を備えた拭取装置を用いた拭取方法であって、下記(1)〜(4)の工程を含むことを特徴とする拭取方法。
    (1)前記拭取部材を、前記通過孔における一方の開口部としての前記第1の口部を介して、前記通過孔の内側又は外側に導く工程
    (2)前記拭取部材を、前記通過孔における他方の開口部としての前記第2の口部を介して、前記通過孔の外側又は内側に導く工程
    (3)前記折返し部において、前記通過孔の内側から外側又は外側から内側に向かって、前記拭取部材を折り返す工程
    (4)前記洗浄部によって、前記拭取部材を、汚染物に接触させて、除去する工程
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