JP6698242B2 - 車両の窓部構造 - Google Patents

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Description

本発明は、可動ガラスユニットを車両ボディの窓枠開口部の被固定面に固定し、あるいは固定ガラスユニットを車両ボディの窓枠開口部の被固定面に固定する構成の車両の窓部構造に関する。
車両の窓部構造に関する技術が特許文献1、2に記載されている。特許文献1に記載の車両の窓部構造は、バス等の車両の側面に形成された窓枠開口部に可動ガラスユニットを固定する構造である。可動ガラスユニット110は、例えば、図13、図14に示すように、一対の可動ガラス112と、前記可動ガラス112を開閉スライド可能に支持する窓枠114とから構成されている。ここで、可動ガラスユニット110の窓枠114の意匠面114eは、図14に示すように、車両の外形意匠Eを構成している。このため、前記窓枠114が固定される車両の窓枠開口部100の被固定部100sは、車両の外形意匠Eの位置から窪んだ位置に設けられている。そして、窓枠114が車両の窓枠開口部100の被固定部100sにビス、あるいは接着等により固定されることで、可動ガラスユニット110は車両の側面に固定される。
特許文献2に記載の車両の窓部構造は、固定ガラスユニットを車両の窓枠開口部に固定する構造である。固定ガラスユニット120は、例えば、図15に示すように、固定ガラス122と、固定ガラス122の裏面に固定された枠状の位置決め材124等から構成されている。そして、固定ガラスユニット120の固定ガラス122が直接的に車両の窓枠開口部100の被固定部100sに接着固定される。ここで、固定ガラス122は、可動ガラスユニット110の窓枠114と比較すると厚み寸法が小さい。このため、固定ガラスユニット120を固定する場合の窓枠開口部100の被固定部100s(図15参照)と、可動ガラスユニット110を固定する場合の窓枠開口部100の被固定部100s(図14参照)とは、異なる位置となる。
特開2013−159221号公報 特開2005−112039号公報
上記したように、可動ガラスユニット110と固定ガラスユニット120とは構成が異なることで、その厚み寸法が大きく異なっている。このため、車両の窓枠開口部100の構成は、可動ガラスユニット110を使用する場合と固定ガラスユニット120を使用する場合とで異なっている。また、車両の窓枠開口部100の支柱100p等を室内側から覆う内装材130の構成も可動ガラスユニット110を使用する場合と固定ガラスユニット120を使用する場合とで異なっている。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、可動ガラスユニットと固定ガラスユニットとを使用する場合に、車両ボディの窓枠開口部の構成、及び車室側の内装材を統一できるようにして、コスト低減を図ることである。
上記した課題は、各請求項の発明によって解決される。請求項1の発明は、可動ガラスと、前記可動ガラスを開閉スライド可能に支持する窓枠とを備える可動ガラスユニット、あるいは、固定ガラスと、前記固定ガラスを支持する嵩上げ材とを備える固定ガラスユニットのいずれかが車両ボディの窓枠開口部に固定される車両の窓部構造であって、前記窓枠開口部の周縁には、前記可動ガラスユニットの窓枠、あるいは、前記固定ガラスユニットの嵩上げ材のいずれかが固定される被固定面が形成されており、前記窓枠開口部の被固定面に対して前記可動ガラスユニットの窓枠、あるいは、前記固定ガラスユニットの嵩上げ材のいずれかが固定されたときに、室内側から前記可動ガラスユニットの窓枠と前記窓枠開口部、あるいは前記固定ガラスユニットの嵩上げ材と前記窓枠開口部のいずれかを覆える共通の内装材を備えており、前記可動ガラスユニットの窓枠には、前記可動ガラスをスライド可能にガイドするガラスランが嵌め込まれており、前記内装材の端縁が前記可動ガラスユニットの窓枠に嵌め込まれたガラスラン、あるいは前記固定ガラスユニットの嵩上げ材で覆われている。
本発明によると、車両ボディの窓枠開口部の周縁には、可動ガラスユニットの窓枠、あるいは、前記固定ガラスユニットの嵩上げ材のいずれかが固定される被固定面が形成されている。また、室内側から前記可動ガラスユニットの窓枠と前記窓枠開口部、あるいは前記固定ガラスユニットの嵩上げ材と前記窓枠開口部のいずれかを覆える内装材を備えている。このように、固定ガラスユニットを使用する場合と可動ガラスユニットを使用する場合とで車両ボディの窓枠開口部の構成を等しくできる。また、室内側から窓枠と窓枠開口部、あるいは嵩上げ材と窓枠開口部のいずれかを覆う内装材の構成も等しくできる。即ち、車両ボディの窓枠開口部の構成、及び車室側の内装材を統一できるようになる。
請求項2の発明によると、固定ガラスユニットの厚み寸法が可動ガラスユニットの窓枠の厚み寸法に等しくなるように、前記固定ガラスユニットの嵩上げ材の厚み寸法を設定可能である。このため、車両ボディの窓枠開口部に対して可動ガラスユニットを固定した場合と、固定ガラスユニットを固定した場合とで、車両の外形意匠がほとんど変化しない。
請求項3の発明によると、固定ガラスユニットの嵩上げ材は、枠状に形成されて、前記固定ガラスの裏側端縁に固定されており、前記嵩上げ材には、前記固定ガラスと反対側の位置に前記窓枠開口部の被固定面に接着される接着面が設けられている。即ち、固定ガラスを直接的に窓枠開口部の被固定面に接着する場合と比較して、固定ガラスユニットの固定面から外側意匠面までの寸法を嵩上げ材により調整し易くなる。
請求項4の発明によると、枠状の嵩上げ材は内周面が室内側意匠面となる。このため、車室内側の内装材で嵩上げ材を覆う必要がなく、前記嵩上げ材を露出できるようになる。即ち、前記内装材により窓枠開口部の被固定面と嵩上げ材との接着部分を覆えれば良いため、固定ガラスユニットの嵩上げ材を可動ガラスユニットの窓枠と同等に扱えるようになる。
請求項5の発明によると、嵩上げ材は、断面略角形に形成されて、室内側意匠面を備える表層部材と、前記表層部材の内側を埋める芯材とから構成されている。このため、室内側意匠面を備える嵩上げ材の表層部材をほぼ一定の厚み寸法で製作できるようになる。このため、例えば、射出成形等により表層部材を製造する際、ヒケが発生し難くなり、室内側意匠面の成形精度が向上する。
請求項6に記載の発明は、可動ガラスと、前記可動ガラスを開閉スライド可能に支持する窓枠とを備える可動ガラスユニット、あるいは、固定ガラスと、前記固定ガラスを支持する嵩上げ材とを備える固定ガラスユニットのいずれかが車両ボディの窓枠開口部に固定される車両の窓部構造であって、前記窓枠開口部の周縁には、前記可動ガラスユニットの窓枠、あるいは、前記固定ガラスユニットの嵩上げ材のいずれかが固定される被固定面が形成されており、前記窓枠開口部の被固定面に対して前記可動ガラスユニットの窓枠、あるいは、前記固定ガラスユニットの嵩上げ材のいずれかが固定されたときに、室内側から前記可動ガラスユニットの窓枠と前記窓枠開口部、あるいは前記固定ガラスユニットの嵩上げ材と前記窓枠開口部のいずれかを覆える内装材を備えており、前記固定ガラスユニットの嵩上げ材は、枠状に形成されて、前記固定ガラスの裏側端縁に固定されており、前記嵩上げ材には、前記固定ガラスと反対側の位置に前記窓枠開口部の被固定面に接着される接着面が設けられており、さらに、枠状の前記嵩上げ材は、内周面が室内側意匠面となっており、前記嵩上げ材の接着面と室内側意匠面との境界位置には、前記室内側意匠面に連続して内フランジ状のヒレ部が全周に亘って形成されており、前記嵩上げ材のヒレ部によって、前記窓枠開口部の端縁を車室側から覆う前記内装材の端部が覆われる構成である。このため、内装材の成形精度がばらついても、ヒレ部の働きにより前記内装材の内側が外部から見えるようなことがなくなる。
請求項7に記載の発明によると、嵩上げ材の芯材は押出し成形法により成形されており、前記嵩上げ材の表層部材は射出成形法により成形されている。
本発明によると、可動ガラスユニットと固定ガラスユニットとを使用する場合でも、車両ボディの窓枠開口部の構成、及び車室側の内装材を統一できるようになる。このため、コスト低減を図れる。
本発明の実施形態1に係る窓部構造(可動ガラスユニット)を備えるバス等の車両の全体側面図である。 本実施形態に係る窓部構造を構成する可動ガラスユニットの室内側から見た全体斜視図である。 前記可動ガラスユニットを車両ボディの窓枠開口部に固定した状態を表わす縦断面図である(図1のIII-III矢視断面図)。 図4のIV矢視部の拡大図である。 前記可動ガラスユニットを車両ボディの窓枠開口部に固定した状態を表わす縦断面図である(図1のV-V矢視断面図)。 前記可動ガラスユニットを車両ボディの窓枠開口部に固定した状態を表わす平断面図である(図1のVI-VI矢視断面図)。 本発明の本実施形態1に係る窓部構造(固定ガラスユニット)を備えるバス等の車両の全体側面図である。 本実施形態に係る窓部構造を構成する固定ガラスユニットを室内側から見た全体斜視図である。 前記固定ガラスユニットを車両ボディの窓枠開口部に固定した状態を表わす縦断面図である(図7のIX- IX 矢視断面図)。 図9のX矢視部の拡大図である。 前記固定ガラスユニットを車両ボディの窓枠開口部に固定した状態を表わす縦断面図である(図7のXI-XI 矢視断面図)。 前記固定ガラスユニットを車両ボディの窓枠開口部に固定した状態を表わす平断面図である(図7のXII-XII 矢視断面図)。 従来の窓部構造を備えるバス等の車両の全体側面図である。 従来の窓部構造で可動ガラスユニットを車両ボディの窓枠開口部に固定した状態を表わす平断面図である。 従来の窓部構造で固定ガラスユニットを車両ボディの窓枠開口部に固定した状態を表わす平断面図である。
[実施形態1]
以下、図1から図12に基づいて本発明の実施形態1に係る車両の窓部構造について説明する。本実施形態に係る窓部構造は、図1に示すように、バス等の車両Bの側面に形成された窓枠開口部10に可動ガラスユニット20を固定する構造、及び、図7に示すように、固定ガラスユニット30を固定する構造である。ここで、図中に示す前後左右及び上下は、本実施形態に係る窓部構造を備える車両の前後左右、及び上下に対応している。
<車両Bの概要について>
窓部構造を説明する前に、先ず、車両Bの概要について簡単に説明する。車両Bの側面には、図1等に示すように、乗降口を開閉する縦長ドア12が設けられており、縦長ドア12の窓部12wと同じ高さ位置に複数の窓枠開口部10が車両前後方向に所定間隔で並んで設けられている。窓枠開口部10は、図1に示すように、可動ガラスユニット20、あるいは、図7に示すように、固定ガラスユニット30が固定される角形の開口部である。なお、所定の窓枠開口部10に可動ガラスユニット20を固定し、別の窓枠開口部10に固定ガラスユニット30を固定することも可能である。
<窓枠開口部10について>
車両ボディの窓枠開口部10は、図1等に示すように、ルーフサイド部10rと、ベルトライン部10bと、ルーフサイド部10rとベルトライン部10b間をつなぐ前後の窓枠支柱部10pとにより、角枠状に形成されている。ルーフサイド部10rは、車両Bの屋根部の車幅方向両側で車両前後方向に延びるように形成されている。ルーフサイド部10rは、図3、図4に示すように、筒状のルーフサイドレール13と、ルーフサイドレール13の外側を覆うルーフパネル14とを備えている。ルーフサイドレール13は、アウタパネル131とインナパネル132とが上下のフランジ部131f,132fで互い接合されることにより、筒状に形成されている。
アウタパネル131とインナパネル132との内部空間は、パネル状のリインフォース133によって左右方向に仕切られている。そして、リインフォース133の上下のフランジ部133fがアウタパネル131とインナパネル132との上下のフランジ部131f,132fに接合されている。このように構成されたルーフサイドレール13の下側のフランジ部131f,132f,133fが可動ガラスユニット20の固定面236、又は固定ガラスユニット30の接着面34x(図9参照)が接着される被固定面Sとして使用される。
ルーフサイドレール13のアウタパネル131には、図4に示すように、下側のフランジ部131fよりも上方の縦壁部分に車両Bの外形意匠を構成するルーフパネル14の下端フランジ部14fが接合されている。ここで、車両ボディの意匠面Eに対するルーフサイド部10rの被固定面Sの窪み寸法は、図3に示すように、可動ガラスユニット20の厚み寸法T1、及び固定ガラスユニット30の厚み寸法T2(T2=T1)に基づいて寸法K(K>T2,T1)に設定されている。
窓枠開口部10を構成するベルトライン部10bは、図1に示すように、窓枠開口部10の下辺位置で車両前後方向に延びる部分である。ベルトライン部10bは、図5に示すように、アウタパネル15とインナパネル16とベルトラインリインフォース17とから構成されている。アウタパネル15は車両Bの外形意匠を構成するパネルで、上端フランジ部15fがベルトラインリインフォース17の縦壁部の上部に接合されている。ベルトラインリインフォース17の上端にはフランジ部17fが形成されており、前記フランジ部17fがインナパネル16の上端に形成されたフランジ16fに合わせられた状態で接合されている。
そして、ベルトラインリインフォース17とインナパネル16のフランジ部16f,17fが可動ガラスユニット20の固定面236、又は固定ガラスユニット30の接着面34xが接着される被固定面Sとなっている。ここで、車両ボディの意匠面Eに対するベルトライン部10bの被固定面Sの窪み寸法は、ルーフサイド部10rの被固定面Sの窪み寸法と同様に寸法Kに設定されている。
窓枠開口部10を構成する窓枠支柱部10pは、図6に示すように、断面台形状に形成された外側支柱パネル18と、同じく断面台形状に形成された内側支柱パネル19から構成されている。そして、外側支柱パネル18の幅方向両側のフランジ部18fが内側支柱パネル19の幅方向両側のフランジ部19fに合わせられて接合されることで、窓枠支柱部10pは筒状に形成される。外側支柱パネル18のフランジ部18fと内側支柱パネル19のフランジ部19fとの接合部分が可動ガラスユニット20の固定面233、又は固定ガラスユニット30の接着面34xが接着される被固定面Sとなっている。ここで、車両ボディの意匠面Eに対する窓枠支柱部10pの被固定面Sの窪み寸法は、ルーフサイド部10rの被固定面Sの窪み寸法と同様に寸法Kに設定されている。即ち、ルーフサイド部10rの被固定面Sと、ベルトライン部10bの被固定面Sと、前後の窓枠支柱部10pの被固定面Sとにより、窓枠開口部10の被固定面Sが枠状に形成されている。
窓枠支柱部10pの前半分は前側の窓枠開口部10の縦辺を構成しており、窓枠支柱部10pの後半分は後側の窓枠開口部10の縦辺を構成している。窓枠支柱部10pの外側支柱パネル18の前後には、所定高さ位置に可動ガラスユニット20の位置決めピン26(図6参照)、又は固定ガラスユニット30の位置決めピン36(図12参照)が通される位置決め孔18hが形成されている。
<可動ガラスユニット20について>
可動ガラスユニット20は、開閉式の窓部を構成するためのユニットであり、図2の室内側斜視図に示すように、一対の可動ガラス22と、前記可動ガラス22を開閉スライド可能に支持する窓枠23とを備えている。窓枠23は、アルミ合金製の角形の枠体であり、窓枠23の略1/2サイズの二枚の可動ガラス22が横スライド可能な状態で嵌め込まれている。窓枠23は、窓枠本体部230と、前記窓枠本体部230の表面側で周方向外側に張り出す角形フランジ部231とから構成されている。そして、窓枠本体部230の表面と角形フランジ部231の表面とが連続した状態に保持されて、可動ガラスユニット20の外側意匠面23e(図4参照)を構成している。
窓枠23の窓枠本体部230には、図3〜図6に示すように、窓枠本体部230の内周側で開放されたガイド溝部233が全周に亘って形成されている。そして、窓枠本体部230のガイド溝部233には、平行な二本のガイド溝を備える枠状のシール材であるガラスラン25が嵌め込まれている。そして、前記ガラスラン25の各々のガイド溝にそれぞれ可動ガラス22が横スライド可能な状態で嵌め込まれている。
窓枠本体部230の裏面には、ゴム系接着剤であるウレタンC(以下、接着剤Cという)が塗布される固定面236が形成されている。そして、窓枠本体部230の固定面236が接着剤Cにより窓枠開口部10の被固定面Sに接着される。このため、図4に示すように、窓枠23における窓枠本体部230の表面、即ち、可動ガラスユニット20の外側意匠面23eから裏側の固定面236までの寸法が、図4に示すように、可動ガラスユニット20の厚み寸法T1となる。
また、窓枠23の角形フランジ部231の裏面には、図2、及び図6に示すように、前後の縦辺部の所定位置に位置決めピン26が角形フランジ部231に対して垂直に突出するように形成されている。角形フランジ部231の位置決めピン26は、図6に示すように、窓枠開口部10を構成する窓枠支柱部10pの位置決め孔18hに通されることで、窓枠開口部10に対して可動ガラスユニット20の窓枠23を位置決めできるように構成されている。また、角形フランジ部231の上辺部分は、図3、図4に示すように、ルーフパネル14の下端フランジ部14fに固定されて車両前後方向に延びる突条部14yに対して上方から掛けられるように構成されている。
<固定ガラスユニット30について>
固定ガラスユニット30は、締め切り式の窓部を構成するためのユニットであり、図8の室内側斜視図に示すように、一枚の固定ガラス32と、前記固定ラス32を車両ボディの窓枠開口部10に固定するための嵩上げ材34とを備えている。固定ガラス32の縦横サイズは、可動ガラスユニット20の窓枠23の縦横サイズと等しい値に設定されている。また、固定ガラス32の厚み寸法は、可動ガラス22の厚み寸法と等しい値に設定されている。固定ガラス32の裏面には、可動ガラスユニット20における窓枠23の窓枠本体部230に相当する位置に枠状の嵩上げ材34が接着等により固定されている。
嵩上げ材34は、難燃性の軟質ポリ塩化ビニル(PVC)により製造された枠状体であり、図9等に示すように、断面略台形状に成形されている。そして、嵩上げ材34において台形の下底に相当する裏面34uが固定ガラス32の裏面に固定されている。また、嵩上げ材34において台形の上底に相当する表面が接着剤Cにより車両ボディの窓枠開口部10の被固定面Sに接着される接着面34xとなっている。ここで、固定ガラスユニット30の場合、固定ガラス32の表面が外形意匠面32eを構成している。このため、固定ガラス32の表面(外形意匠面32e)から嵩上げ材34の接着面34xまでの寸法が、図10に示すように、固定ガラスユニット30の厚み寸法T2となる。ここで、固定ガラスユニット30の厚み寸法T2は、可動ガラスユニット20の厚み寸法T1と等しい値に設定されている。
嵩上げ材34の内周面は、車室の内側から見える室内側意匠面34eとなっている。このため、嵩上げ材34の室内側意匠面34eは、窓枠開口部10の端縁を車室側から覆う内装材11から露出した状態となる。嵩上げ材34の室内側意匠面34eと接着面34xとの境界位置には、図10等に示すように、室内側意匠面34eと連続した状態で内周側に張り出す内フランジ状のヒレ部34hが全周の亘って形成されている。嵩上げ材34のヒレ部34hは、内装材11の端部11zを覆えるように構成されている。
嵩上げ材34は、図10等に示すように、ほぼ一定の厚み寸法で形成された表層部材341と、前記表層部材341の内側を埋める芯材342とから構成されている。前記表層部材341は、接着面34x、ヒレ部34h、室内側意匠面34e、及び裏面34uを備えており、断面略コ字形に形成されている。表層部材341の内壁面には、図10に示すように、ヒレ部34hの近傍に第1突条341xが長手方向に延びるように形成されており、裏面34uの中央近傍に第2突条341yが同じく長手方向に延びるように形成されている。また、芯材342の表面には、表層部材341の第1突条341x、第2突条341yがそれぞれ嵌合可能に構成された第1溝部342x、第2溝部342yが形成されている。
そして、表層部材341の第1突条341x、第2突条341yと芯材342の第1溝部342x、第2溝部342yとがそれぞれ嵌め合わされることで、表層部材341と芯材342とが一体化する。即ち、表層部材341と芯材342とにより嵩上げ材34が構成される。ここで、嵩上げ材34の芯材341は、押出し成形機により製造される。また、表層部材341は、射出成形機により製造される。上記したように、表層部材341は、ほぼ一定の厚み寸法で形成されているため、射出成形機で製造される際にヒケが発生し難くなり、室内側意匠面34e、ヒレ部34h等の成形精度が向上する。
固定ガラス32の端縁32wは、図8、図9等に示すように、嵩上げ材34に対してフランジ状に張り出している。そして、固定ガラス32の前後の縦辺を構成する端縁32wの裏側所定位置に、図8に示すように、位置決めピン36が固定ガラス32に対して垂直に突出するように形成されている。固定ガラス32の位置決めピン36は、図12に示すように、窓枠開口部10を構成する窓枠支柱部10pの位置決め孔18hに挿入されることで、窓枠開口部10に対して固定ガラス32、及び嵩上げ材34を位置決めできるように構成されている。
<可動ガラスユニット20、及び固定ガラスユニット30の固定について>
可動ガラスユニット20を車両ボディの窓枠開口部10に固定する場合には、図3等に示すように、可動ガラスユニット20における窓枠23の裏側の固定面236に接着剤Cを塗布する。次に、図6に示すように、窓枠23の角形フランジ部231の裏側に形成された複数(前後上下)の位置決めピン26を窓枠開口部10の窓枠支柱部10pの位置決め孔18hに挿入する。これにより、可動ガラスユニット20の窓枠23が窓枠開口部10に対して位置決めされるようになる。この状態で、可動ガラスユニット20を窓枠開口部10に対して押付けることで、窓枠23の位置決めピン26が窓枠開口部10の窓枠支柱部10pの位置決め孔18hに限界位置まで挿入される。これにより、窓枠23の裏側の固定面236が接着剤Cにより窓枠開口部10の被固定面Sに接着固定される。さらに、窓枠23の角形フランジ部231の上辺部分が、図3、図4に示すように、ルーフパネル14の突条部14yに対して上方から掛けられて、可動ガラスユニット20の固定が完了する。
固定ガラスユニット30を車両ボディの窓枠開口部10に固定する場合には、図9等に示すように、固定ガラスユニット30を構成する嵩上げ材34の裏側の接着面34xに接着剤Cを塗布する。次に、図12に示すように、固定ガラス32の端縁32wの裏側に形成された複数(前後上下)の位置決めピン36を窓枠開口部10の窓枠支柱部10pの位置決め孔18hに挿入する。これにより、固定ガラス32、及び嵩上げ材34が窓枠開口部10に対して位置決めされるようになる。この状態で、固定ガラスユニット30を窓枠開口部10に対して押付けることで、固定ガラス32の位置決めピン36が窓枠開口部10の窓枠支柱部10pの位置決め孔18hに限界位置まで挿入される。
これにより、嵩上げ材34の裏側の接着面34xが接着剤Cにより窓枠開口部10の被固定面Sに接着固定される。さらに、固定ガラス32の端縁32wの上下端が、図10、図11に示すように、ルーフパネル14の突条部14y、アウタパネル15の突条部15yに面接触して、固定ガラスユニット30の固定が完了する。ここで、嵩上げ材34の裏側の接着面34xが窓枠開口部10の被固定面Sに接着固定された状態で、図10に示すように、内装材11の端縁11zが嵩上げ材34のヒレ部34hに覆われるようになる。
<本実施形態に係る車両の窓部構造の長所について>
本実施形態に係る車両の窓部構造によると、窓枠開口部10の被固定面Sに固定される可動ガラスユニット20の固定面236から可動ガラスユニット20の外側意匠面23eまでの寸法(T1)と、同じく固定ガラスユニット30の接着面34xから外側意匠面32eまでの寸法(T2)とが等しい値に設定されている。このため、固定ガラスユニット30を使用する場合と可動ガラスユニット20を使用する場合とで車両ボディの窓枠開口部10の構成を等しくできる。即ち、車両ボディの窓枠開口部10の構成を統一できるため、車室側の内装材11も統一できる。
また、固定ガラスユニット30の場合、嵩上げ材34の接着面34xを窓枠開口部10の被固定面Sに接着固定するため、固定ガラスユニット30の接着面34xから外側意匠面32eまでの寸法を調整し易くなる。さらに、嵩上げ材34は内周面が室内側意匠面34eとなる。このため、車室内側の内装材11で嵩上げ材34を覆う必要がなく、前記嵩上げ材34を露出できるようになる。即ち、前記内装材11により窓枠開口部10の被固定面Sと嵩上げ材34との接着部分を覆えれば良いため、固定ガラスユニット30の嵩上げ材34を可動ガラスユニット20の窓枠23と同等に扱えるようになる。
また、嵩上げ材34は、表層部材341と芯材342とから構成されて、表層部材がほぼ一定の厚み寸法で製作されている。このため、射出成形等により表層部材を製造する際、ヒケが発生し難くなり、室内側意匠面の成形精度が向上する。また、嵩上げ材34のヒレ部34hによって、窓枠開口部10の端縁を車室側から覆う内装材11の端部11zが覆われる構成である。このため、内装材11の成形精度がばらついても、ヒレ部34hの働きにより内装材11の内側が外部から見えるようなことがなくなる。
<変更例>
ここで、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本実施形態では、固定ガラスユニット30を構成する嵩上げ材34の高さ寸法を一定した場合を例示した。しかし、例えば、可動ガラスユニット20の窓枠23の種類が車種毎に複数種類ある場合には、固定ガラスユニット30の嵩上げ材34を、例えば、連結式にして高さ調整可能にすることもできる。また、本実施形態では、固定ガラスユニット30の嵩上げ材34を表層部材341と、表層部材341の内側を埋める芯材342とから構成する例を示した。しかし、嵩上げ材34を比較的強度の大きな樹脂で中空状に成形することも可能である。
10・・・・窓枠開口部
S・・・・・被固定面
11・・・・内装材
20・・・・可動ガラスユニット
22・・・・可動ガラス
23・・・・窓枠
23e・・・外側意匠面
236・・・固定面
26・・・・位置決めピン
30・・・・固定ガラスユニット
36・・・・位置決めピン
32・・・・固定ガラス
32e・・・外側意匠面
34・・・・嵩上げ材
34h・・・ヒレ部
34e・・・室内側意匠面
34x・・・接着面
341・・・表層部材
342・・・芯材
B・・・・・車両
C・・・・・接着剤
E・・・・・車両ボディの意匠面

Claims (7)

  1. 可動ガラスと、前記可動ガラスを開閉スライド可能に支持する窓枠とを備える可動ガラスユニット、あるいは、固定ガラスと、前記固定ガラスを支持する嵩上げ材とを備える固定ガラスユニットのいずれかが車両ボディの窓枠開口部に固定される車両の窓部構造であって、
    前記窓枠開口部の周縁には、前記可動ガラスユニットの窓枠、あるいは、前記固定ガラスユニットの嵩上げ材のいずれかが固定される被固定面が形成されており、
    前記窓枠開口部の被固定面に対して前記可動ガラスユニットの窓枠、あるいは、前記固定ガラスユニットの嵩上げ材のいずれかが固定されたときに、室内側から前記可動ガラスユニットの窓枠と前記窓枠開口部、あるいは前記固定ガラスユニットの嵩上げ材と前記窓枠開口部のいずれかを覆える共通の内装材を備えており、
    前記可動ガラスユニットの窓枠には、前記可動ガラスをスライド可能にガイドするガラスランが嵌め込まれており、
    前記内装材の端縁が前記可動ガラスユニットの窓枠に嵌め込まれたガラスラン、あるいは前記固定ガラスユニットの嵩上げ材で覆われている車両の窓部構造。
  2. 請求項1に記載された車両の窓部構造であって、
    前記固定ガラスユニットの厚み寸法が前記可動ガラスユニットの窓枠の厚み寸法に等しくなるように、前記固定ガラスユニットの嵩上げ材の厚み寸法を設定可能な車両の窓部構造。
  3. 請求項1又は請求項2のいずれかに記載の車両の窓部構造であって、
    前記固定ガラスユニットの嵩上げ材は、枠状に形成されて、前記固定ガラスの裏側端縁に固定されており、
    前記嵩上げ材には、前記固定ガラスと反対側の位置に前記窓枠開口部の被固定面に接着される接着面が設けられている車両の窓部構造。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の車両の窓部構造であって、
    枠状の前記嵩上げ材は、内周面が室内側意匠面となる車両の窓部構造。
  5. 請求項4に記載の車両の窓部構造であって、
    前記嵩上げ材は、断面略角形に形成されて、前記室内側意匠面を備える表層部材と、前記表層部材の内側を埋める芯材とから構成されている車両の窓部構造。
  6. 可動ガラスと、前記可動ガラスを開閉スライド可能に支持する窓枠とを備える可動ガラスユニット、あるいは、固定ガラスと、前記固定ガラスを支持する嵩上げ材とを備える固定ガラスユニットのいずれかが車両ボディの窓枠開口部に固定される車両の窓部構造であって、
    前記窓枠開口部の周縁には、前記可動ガラスユニットの窓枠、あるいは、前記固定ガラスユニットの嵩上げ材のいずれかが固定される被固定面が形成されており、
    前記窓枠開口部の被固定面に対して前記可動ガラスユニットの窓枠、あるいは、前記固定ガラスユニットの嵩上げ材のいずれかが固定されたときに、室内側から前記可動ガラスユニットの窓枠と前記窓枠開口部、あるいは前記固定ガラスユニットの嵩上げ材と前記窓枠開口部のいずれかを覆える内装材を備えており、
    前記固定ガラスユニットの嵩上げ材は、枠状に形成されて、前記固定ガラスの裏側端縁に固定されており、
    前記嵩上げ材には、前記固定ガラスと反対側の位置に前記窓枠開口部の被固定面に接着される接着面が設けられており、
    さらに、枠状の前記嵩上げ材は、内周面が室内側意匠面となっており、
    前記嵩上げ材の接着面と室内側意匠面との境界位置には、前記室内側意匠面に連続して内フランジ状のヒレ部が全周に亘って形成されており、
    前記嵩上げ材のヒレ部によって、前記窓枠開口部の端縁を車室側から覆う前記内装材の端部が覆われる構成である車両の窓部構造。
  7. 請求項5に記載の車両の窓部構造であって、
    前記嵩上げ材の芯材は押出し成形法により製造されており、前記嵩上げ材の表層部材は射出成形法により製造されている車両の窓部構造。
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