JP6697647B2 - 拡径用ドリルビット - Google Patents

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Description

本発明は、コンクリート等の躯体に穿孔した下穴に対し、拡径部(アンダーカット部)を形成するための拡径用ドリルビットに関する。
従来、アンカーを打ち込むためのアンカー穴を形成するために、コンクリート躯体に形成した下穴に拡径部を形成する拡径用ドリルビットが知られている(特許文献1参照)。
この拡径用ドリルビットは、下穴の内周面を研削する2つの切刃部と、2つの切刃部を、それぞれ径方向に移動可能に保持する切刃保持部と、切刃保持部を支持するシャンク部と、を備えている。切刃部は、ダイヤモンドの切刃で構成された断面円弧状の切刃本体と、切刃本体の内側に突設したリブ部と、リブ部の先端に設けた抜止め部と、を有している。切刃保持部には、180°点対称位置に2つのスリット部が形成されており、2つの切刃部は、それぞれスリット部にスライド自在に係合している。
拡径用ドリルビットが回転すると、遠心力を受けて2つの切刃部がスリット部に案内されて径方向外側に平行移動する。これにより、2つの切刃部が下穴の内周面を研削し、下穴に円筒状の拡径部が形成される。
国際公開 WO2014/129119A1
ところで、この種の拡径用ドリルビットは、動力源となる電動ドリルに装着して用いられる。また、電動ドリルには、動力源であるモーターの焼付きを防止するために、過負荷時に電源を遮断する過電流遮断器が組み込まれている。
一方、上記従来の拡径用ドリルビットでは、回転を開始すると、ダイヤモンドの切刃ある切刃本体の外周面が、遠心力により下穴の内周面に瞬時に接触する。すなわち、遠心力を受けた切刃本体は、下穴の内周面に全面接触し研削を開始する。このため、切刃本体の接触面積が大きい場合(下穴が大径である場合)には、モーター(電動ドリル)の始動時に、瞬間的に大きな負荷(切削抵抗)が発生し、始動電流と併せて過電流が流れるおそれがある。かかる場合には、過電流遮断器が働いて電源が遮断され、モーターが起動しないといった問題が生ずる。
本発明は、回転開始時に大きな切削抵抗が生ずることのない拡径用ドリルビットを提供することを課題としている。
本発明の拡径用ドリルビットは、コンクリート躯体に穿孔した下穴に挿入され、下穴の一部を研削により拡径するための拡径用ドリルビットであって、回転に伴う遠心力によって径方向外側にスライド移動し、下穴の一部を研削する複数の切刃部と、複数の切刃部を、それぞれ径方向にスライド自在に保持する切刃保持部と、切刃保持部を支持するシャンク部と、を備え、各切刃部は、下穴に対し、軸方向の一部が他の部分に先行して切り込んでゆく形状に形成された切刃本体と、切刃本体を内側から支持すると共に、切刃保持部にスライド自在に係合するリブ状支持部と、を有し、切刃本体は、軸方向において下穴に平行に対峙し、他の部分に先行して切り込んでゆく先端側の第1研削部と、第1研削部の基端側に連なり、軸方向において下穴に傾斜して対峙する第2研削部と、を含むことを特徴とする。
この構成によれば、シャンク部を介して切刃保持部が回転すると、切刃保持部に保持されている複数の切刃部が、それぞれ径方向外側にスライド移動する。すなわち、切刃保持部と共に回転する複数の切刃部は、遠心力を受けて径方向外側に拡開するように移動し、下穴の一部を研削し拡径させる。この場合、各切刃部の切刃本体は、軸方向の一部が他の部分に先行して切り込んでゆく形状に形成されているため、回転開始時において切刃本体が下穴に全面接触することがなく、回転開始時に大きな切削抵抗が生ずることのない。したがって、動力源となるモーターに過電流遮断器が組み込まれていても、これが作動するのを回避することができる。
また、回転を開始すると、先ず先端側の第1研削部の全域が下穴に接触する。一方、第2研削部は、下穴に対し先端側から接触を開始し基端側に向かって徐々に接触面積を増大させてゆく。この場合、下穴に平行な第1研削部が第2研削部に先行して研削が進むため、切刃本体の下穴への接触が安定し拡径部を円滑に形成することができる。
また、切刃本体は、軸方向に直交する横断面が円弧状に形成されていることが好ましい。
この構成によれば、切刃本体の周方向の長さを十分にとることができ、研削を効率良く行うことができる。これにより、拡径部を短時間で形成することができる。
さらに、切刃部は、リブ状支持部に連なると共に、切刃保持部に当接して 切刃本体の径方向外側への移動端位置を規制する抜止め部を、更に有していることが好ましい。
この構成によれば、抜止め部により、各切刃部の径方向外側への移動を規制することができ、研削される拡径部の拡径寸法を適切に調整することができる。
一方、切刃保持部は、先端部に同軸上に位置して尖塔部を有し、尖塔部は、超鋼材料で構成されていることが好ましい。
この構成によれば、尖塔部を下穴の穴底に押し当てて回転させることで、下穴の穴底を基準として所定の深さ位置に拡径部を形成することができる。また、尖塔部が穴底の中心に点接触するため、回転に際し、穴底との摩擦を極力小さくすることができると共に、切刃部の回転ブレを極力抑制することができる。さらに、尖塔部が超鋼材料で構成されているため、尖塔部の摩耗を抑制することができる。したがって、常に、下穴の穴底から所定の位置に拡径部を形成することができる。
また、切刃保持部は、下穴に嵌挿されると共に、非拡開状態の複数の切刃部よりも太径に形成されたフランジ状部を有していることが好ましい。
この構成によれば、切刃保持部の一部として回転するフランジ状部が、下穴に嵌挿される径に形成されているため、これを、回転ブレを防止する部材として機能させることができる。したがって、研削時の切刃保持部や切刃部の回転が安定し、複数の切刃部による下穴の拡径作業を短時間で円滑に行うことができる。
さらに、複数の切刃部は、軸廻りの180°点対称位置に配設した2つの切刃部で構成されていることが好ましい。
この構成によれば、切削性能を損なうことなく、切刃部廻りを単純な構造でコンパクトに構成することができる。
実施形態の拡径用ドリルビットを含む拡径装置の外観図である。 拡径用ドリルビットにおけるビット廻りの半部裁断側面である。 拡径用ドリルビットのビット廻りにおける非拡開状態の側面図(a)、および拡開状態の側面図(b)である。 拡径用ドリルビットにおけるビット廻りの分解斜視図である。 第2実施形態の拡径用ドリルビットにおけるビット廻りの半部裁断側面である。
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係る拡径用ドリルビットについて説明する。この拡径用ドリルビットは、主として後施工アンカーを打ち込むためにコンクリート等の躯体に形成した下穴に対し、その一部を拡径するものであり、打ち込んだ後施工アンカーの引抜き強度を高め得るものである。すなわち、下穴に打ち込んだ後施工アンカーに理論上のクサビ効果を発揮させるために、この拡径用ドリルビットは、下穴の一部に拡径部を形成するものである。
図1は、下穴に拡径部を形成する拡径装置の外観図である。同図に示すように、拡径装置1は、手持ちの電動ドリル2と、電動ドリル2に装着した冷却液アタッチメント3と、冷却液アタッチメント3に装着した拡径用ドリルビット10と、を有している。すなわち、拡径用ドリルビット10は、動力源を構成する電動ドリル2に接続された冷却液アタッチメント3の回転軸3aに、着脱自在に装着して用いられる。
この回転軸3aには、冷却液の流路が形成される一方、冷却液アタッチメント3には、図外の冷却液供給装置が接続されており、冷却液は、この冷却液供給装置から冷却液アタッチメント3を介して拡径用ドリルビット10に供給される。なお、冷却液アタッチメント3には、冷却液の流路を開閉するバルブが組み込まれており(図示省略)、バルブは、拡径用ドリルビット10を下穴Hの穴底Haに突き当てることにより「開」、穴底Haから離すことにより「閉」となる。また、下穴Hは、振動ドリル、ハンマードリル、コアビット等により穿孔される。
拡径用ドリルビット10は、下穴Hに拡径部Hbを形成するビット部11と、基端側で拡径装置1(冷却液アタッチメント3)の回転軸3aに着脱自在に装着され、先端側でビット部11を同軸上に支持するシャンク部12と、を備えている。シャンク部12は、ビット部11を支持するシャンク本体15と、回転軸3aに装着される太径のシャフト部16と、で一体に形成されている。一方、ビット部11は、2つ(一対)の切刃部21と、2つの切刃部21をスライド移動自在に保持する切刃保持部22と、で構成されている。この場合、ビット部11はユニット化されており、シャンク部12(シャンク本体15)の先端部にねじ接合により着脱可能に取り付けられている。
シャフト部16は、その小口に雌ねじで形成された締結部16aを有し、この締結部16aが、雄ねじで形成された冷却液アタッチメント3の回転軸3aに螺合している。また、シャンク本体15の先端部には、ビット部11が螺合する先端雄ねじ部15aが形成され、この先端雄ねじ部15aには、ビット部11の切刃保持部22が螺合している。そして、シャフト部16およびシャンク本体15の軸心部には、冷却液用のシャンク内流路18が形成されている。冷却液アタッチメント3から供給される冷却液は、このシャンク内流路18を通ってビット部11に供給され、研削中の2つの切刃部21を冷却する。
なお、シャンク本体15の先端部(先端雄ねじ部15a)に、シャンク内流路18に連通する冷却液パイプを取り付けるようにしてもよい。この場合、冷却液パイプは、切刃保持部22内において、2つの切刃部21の先端近傍まで延長されることが好ましい。これにより、冷却液パイプから放出され冷却液は、ビット部11の先端側に回り込んだ後、下穴Hの開口部に向かって流れ、研削中の切刃部21が効率良く冷却される。
ところで、上記の拡径装置1は、冷却液を用いる湿式のものであるが、冷却液を用いない乾式のものも用意されている。特に図示しないが、乾式の拡径装置1では、シャンク部12にシャンク内流路18が無く、拡径用ドリルビット10は、電動ドリル2に直接接続される。また、他の乾式の拡径装置1では、冷却液に代えて圧縮エアーや冷却ガスが導入されるようになっている。そして、ユニット化されたビット部11は、これら湿式および乾式の拡径用ドリルビット10(拡径装置1)において、共通部品として用いられる。
次に、図2ないし図4を参照して、ビット部11について詳細に説明する。上述のように、ビット部11は、下穴Hを研削するための2つ(一対)の切刃部21と、2つの切刃部21を、それぞれ径方向にスライド移動自在に保持する切刃保持部22と、を備えている。切刃保持部22はシャンク部12に接続されており、シャンク部12の回転に伴って、切刃保持部22およびこれに保持した2つの切刃部21が回転する。また、切刃保持部22が回転すると、2つの切刃部21が遠心力を受けて径方向に外側に拡開するようにスライド移動(平行移動)する。そして、この2つの切刃部21が拡開することにより、下穴Hが研削されて、輪郭が略円錐台形状の拡径部Hbが形成される。
切刃保持部22は、2つの切刃部21をスライド自在に保持する保持部本体31と、保持部本体31が螺合するシャンク部12側の保持部受け32と、を有している。この場合、保持部本体31に2つの切刃部21を組み込んだ後、保持部本体31を保持部受け32に螺合することにより、ビット部11が組み立てられるようになっている。なお、本実施形態では、保持部本体31と保持部受け32とをねじ接合としているが、これを溶接等により接合してもよい。すなわち、保持部本体31と保持部受け32とは、着脱可能な接合形態であってもよいし、固定的な接合形態(切刃部21を組み込んでから固定)であってもよい。
保持部受け32の外径は、非拡開状態の2つの切刃部21の先端部と同径に形成されている。また、後述する保持部本体31の先端フランジ部42の外径は、同径の保持部受け32および2つの切刃部21より幾分大径に形成されている。なお、保持部受け32は、シャンク部12と一体に形成されていてもよい。
保持部受け32は、シャンク部12に接続される円錐台形状のシャンク接続部34と、シャンク接続部34に連なり、保持部本体31が接続される円筒状の本体接続部35と、で一体に形成されている。シャンク接続部34には、小径の第1雌ねじ部37が形成されている。この第1雌ねじ部37は、シャンク部12の先端雄ねじ部15aに螺合しており、これによりビット部11がシャンク部12に着脱自在に装着されている。また、本体接続部35の内周面には、その先端側から第2雌ねじ部38が形成されている。第2雌ねじ部38には、保持部本体31の基端側が螺合しており、これにより保持部受け32に保持部本体31が着脱可能に組み込まれている。
保持部本体31は、切刃部21がスライド自在に係合する円筒状のガイド保持部41と、ガイド保持部41の先端側に連なるフランジ状の先端フランジ部42(フランジ状部)と、先端フランジ部42の先端側に設けた尖塔部43と、を備えている。この場合、ガイド保持部41と先端フランジ部42とは一体に形成されている。そして、2つの切刃部21は、保持部本体31の外周面に沿うようにして保持されている。
先端フランジ部42は、先端側半部がテーパー形状に形成されており、この部分の軸心部に、尖塔部43が取り付けられている。尖塔部43は、例えば超鋼合金(超鋼材料)で構成されており、先端円錐部43aとこれに連なる円柱部43bとで一体に形成されている。また、先端フランジ部42のテーパー部分の錐角と、先端円錐部43aの錐角とは同一の角度に形成され、先端フランジ部42のテーパー部分の延長上に、先端円錐部43aが位置するようになっている。
先端フランジ部42は、同径の保持部受け32および2つの切刃部21より幾分大径(太径)に形成されている。すなわち、先端フランジ部42は、ビット部11において最も大径に形成されており、その径は、下穴Hの径よりも僅かに小径(0.5mm程度)に形成されている。実施形態の拡径用ドリルビット10は、尖塔部43を下穴Hの穴底Haに突き当てた状態で回転させ、下穴Hの奥部に拡径部Hbを形成する。すなわち、拡径部Hbの形成に際し、先端円錐部43aを穴底Haの中心に突き当てた状態で、拡径用ドリルビット10を回転させるようにしている。
これにより、先端円錐部43a(尖塔部43)が穴底Haの中心に点接触し、回転に際し、穴底Haとの摩擦を極力小さくすることができる。また、尖塔部43が超鋼合金で構成されているため、尖塔部43の摩耗を極力抑えることができる。さらに、尖塔部43と大径の先端フランジ部42とにより、ビット部11(切刃部21)の回転ブレを抑制することができる。したがって、常に下穴Hの穴底Haから所定の位置に拡径部Hbを形成することができる。なお、尖塔部43は、先端フランジ部42に溶着や焼嵌め等で取り付けられているが、回転可能に取り付けられていてもよい。
ガイド保持部41は、円筒状に且つ先端フランジ部42と一体に形成されている。ガイド保持部41は、先端フランジ部42から延びる円筒ガイド部45と、円筒ガイド部45に連なり、円筒ガイド部45と同径に形成された円筒ねじ部46と、円筒ガイド部45および円筒ねじ部46に形成された2つのガイドスリット47とを有している(図4参照)。円筒ねじ部46には、外周面に雄ねじが形成されている。この雄ねじが、保持部受け32の第2雌ねじ部38に螺合しており、これにより、保持部受け32に保持部本体31が着脱可能に装着されている。
各ガイドスリット47は、円筒ねじ部46の端から切り込むようにして、軸方向に円筒ガイド部45まで延びており、そのスリット幅は、後述する切刃部21のリブ状支持部52をスライド自在に係合すべく、リブ状支持部52の板厚に対応している。また、2つのガイドスリット47は、円筒ガイド部45および円筒ねじ部46の周方向において、180°点対称位置に形成されている。したがって、2つの切刃部21は、ガイド保持部41により180°点対称位置に保持されている。この場合、2つの切刃部21は、円筒ねじ部46の端、すなわち小口からスライドさせるようにして、ガイド保持部41に組み込まれる。
上述のように、2つの切刃部21は軸廻りの180°点対称位置に配設されており、その非拡開状態における外径は下穴Hの径より幾分小径に形成されている。これにより、ビット部11を下穴Hに挿入するときに、下穴Hに切刃部21がつかえることがなく、また2つの切刃部21は、バランス良く平行移動するようにして拡開する。
各切刃部21は、断面円弧状の外周部を有する切刃本体51と、切刃本体51を内側から支持する板状のリブ状支持部52と、リブ状支持部52の端に設けた抜止め部53とを有している。この場合、切刃本体51は、その基端部が保持部本体31に接触した状態で、保持部本体31の外周面に沿わせるように配設されている。また、リブ状支持部52は、切刃本体51を支持した状態で、保持部本体31のガイドスリット47にスライド自在に係合している。そして、抜止め部53は、保持部本体31の内側に当接して、切刃本体51の外側移動端位置を規制する。
切刃本体51は、下穴Hに対し、先端側が他の部分に先行して切り込んでゆく形状に形成されている。具体的には、切刃本体51は、軸方向において下穴Hに平行に対峙する先端側の第1研削部55と、第1研削部55の基端側に連なり、軸方向において下穴Hに傾斜して対峙する基端側の第2研削部56と、有している。すなわち、切刃本体51は、円筒の一部を切り取った形状の第1研削部55と、円錐台筒の一部を切り取った形状の第2研削部56と、を軸方向に一体的に連ねて形成されている。これにより、切刃本体51が回転(厳密には、円運動)したときの輪郭形状が、円錐台の下部に一部円柱を加えた形状となる。
そして、第1研削部55および第2研削部56は、いずれも金属製のベースの外周面にダイヤモンドを塗着したダイヤモンドの切刃で構成されている。これにより、切刃部21が遠心力により回動すると、切刃本体51(第1研削部55および第2研削部56)が下穴Hの内周面に接触しこれを研削する。この場合、切刃部21が回転を開始すると、先ず先端側の第1研削部55の全域が下穴Hに接触し、研削を開始する。一方、第2研削部56は、下穴Hに対し第1研削部55と同時に先端側から接触を開始し、基端側に向かって徐々に接触面積を増大させてゆく。そして、研削の最終段階で、第1研削部55および第2研削部56の全域が下穴Hに接触し、これを研削する。
なお、本実施形態では、ベースの外周面全域にダイヤモンドを塗着しているが、周方向の一部に塗着するものであってもよい。また、研削後において、切刃部21の下穴Hからの引き抜きを容易にすべく、切刃本体51の図示上側端部を面取り形状或いはテーパー形状とするものであってもよい。
リブ状支持部52は、好ましくは切刃本体51と同じ丈となるように板状に形成されており、その端面には切刃本体51がその周方向の中間位置で溶着されている。そして、リブ状支持部52は、保持部本体31のガイドスリット47(図4参照)にスライド自在に係合している。すなわち、リブ状支持部52は、保持部本体31の外側に位置する切刃本体51と内側に位置する抜止め部53とを連結すると共に、切刃本体51に作用する切削抵抗を、ガイドスリット47を介して保持部本体31に逃がす機能を有している。
抜止め部53は、リブ状支持部52側が、保持部本体31(ガイド保持部41)の内周面に沿う断面円弧状に形成されている。そして、抜止め部53が、ガイド保持部41の内周面に当接することで、切刃部21の外側移動端位置が規制されている。すなわち、切刃本体51がガイド保持部41の外周面に沿う初期位置が、切刃部21の内側回動端位置(非拡開状態)となり、抜止め部53がガイド保持部41の内周面に当接する位置が、切刃部21の外側回動端位置(拡開状態)となる。なお、抜止め部53により規制される下穴Hへの切込み深さ、すなわち拡径部Hbの拡径(半径)寸法は、先端側で3〜5mm程度とすることが好ましい。
次に、図3を参照して、拡径用ドリルビット10による下穴Hの拡径作業について説明する。この拡径作業は、予め対象となるコンクリート躯体A等に下穴Hが形成されているものとする。なお、この場合のコンクリート躯体Aには、コンクリート製の外壁、内壁、スラブの他、基礎や梁等が含まれる。
拡径作業では、先ず拡径装置1に装着した拡径用ドリルビット10を下穴Hに挿入し、そのビット部11の尖塔部43を下穴Hの穴底Haに突き当てるようにする。ビット部11を穴底Haに突き当てると、冷却液の供給が開始される。冷却液の供給を確認したら、電動ドリル2を駆動して拡径用ドリルビット10を回転させる。拡径用ドリルビット10が回転すると、2つの切刃部21に遠心力が作用し、2つの切刃部21は拡開してゆく。
これにより、回転する切刃本体51の第1研削部55および第2研削部56が、徐々に接触面積を増加させながら下穴Hの内面を研削する。これにより、下穴Hの奥部に、切刃本体51の輪郭に倣った(スカート状に広がった)拡径部Hbが形成される。一方、シャンク内流路18から供給された冷却液は、保持部本体31の内側からガイドスリット47を介して切刃本体51に供給され、切刃本体51を冷却する。なお、実験によれば、ビット部11の回転数は10000rpm以上が好ましく、拡径部Hbは10〜20sec程度で切削される。
このようにして、所定形状の拡径部Hbを形成されると、切刃部21の抜止め部53がガイド保持部41の内周面に当接し、遠心力による切刃部21の移動が規制される。この切刃部21の移動規制により、電動ドリル2の回転負荷が急激に低減され、拡径部Hbを形成が確認される。ここで作業者は、電動ドリル2の駆動を停止し、拡径用ドリルビット10を下穴Hから引き抜くようにする(冷却液の供給停止)。
以上のように、本実施形態の拡径用ドリルビット10によれば、切刃本体51を構成する第1研削部55および第2研削部56が回転(軸廻りの円運動)したときの輪郭形状が、円錐台の下部に一部円柱を加えた形状となる。このため、切刃部21が回転を開始すると、先端側の第1研削部55の全域が下穴Hに接触する一方、第2研削部56は、下穴Hに対し第1研削部55と同時に先端側から接触を開始し、基端側に向かって徐々に接触面積を増大させてゆく。
これにより、電動ドリル2の回転開始時に、ビット部11廻りおいて瞬時に大きな切削抵抗が生ずることのなく、電動ドリル2のモーター制御回路に過電流遮断器が組み込まれていても、これが作動することがない。したがって、電動ドリル2を駆動操作してもモーターが起動しない、という不具合を解消することができる。なお、第1研削部55を、第2研削部56と逆傾斜(逆テーパー)となる形状に形成してもよい。
次に、図5を参照して、第2実施形態に係る拡径用ドリルビット10につき、主に第1実施形態と異なる部分について説明する。
同図に示すように、この拡径用ドリルビット10では、保持部本体31の円筒ガイド部45が先太りのテーパー形状、すなわち円錐台筒の形状に形成されている。また、切刃本体51は、円筒ガイド部45の外周面に沿う形状のダイヤモンドの切刃で構成されている。すなわち、切刃本体51は、円錐台筒の一部を切り取った形状に形成されている。また、抜止め部53も、円筒ガイド部45のテーパー形状に倣って傾斜している。
このように構成された、第2実施形態の拡径用ドリルビット10においても、切刃本体51は、下穴Hに対し先端側から接触を開始し、基端側に向かって徐々に接触面積を増大させてゆく。したがって、電動ドリル2の回転開始時に、ビット部11廻りおいて瞬時に大きな切削抵抗が生ずることのなく、電動ドリル2のモーター制御回路に過電流遮断器が組み込まれていても、これが作動することがない。
なお、本発明の切刃本体51は、下穴Hに対し、軸方向の一部が他の部分に先行して切り込んでゆく形状に形成されていればよく、例えば両実施形態の切刃本体51を軸方向において上下反転した形状であってもよい。さらに、切刃本体51は、回転したときの輪郭形状が、釣鐘形状、軸方向の中間部が太い太鼓形状、軸方向の中間部が細い鼓形状等であってもよい。一方、ガイド保持部41と保持部受け32を一体に形成し、ガイド保持部41に先端フランジ部42を螺合(接合)する構成であってもよい。また、切刃部21は、3つ以上であってもよい。
1:穿孔装置、2:電動ドリル、3:冷却液アタッチメント、10:拡径用ドリルビット、11:ビット部、12:シャンク部、18:シャンク内流路、21:切刃部、22:切刃保持部、31:保持部本体、32:保持部受け、41:ガイド保持部、42:先端フランジ部、43:尖塔部、45:円筒ガイド部、47:ガイドスリット、51:切刃本体、52:リブ状支持部、53:抜止め部、55:第1研削部、56:第2研削部、A:コンクリート躯体、H:下穴、Ha:穴底、Hb:拡径部

Claims (6)

  1. コンクリート躯体に穿孔した下穴に挿入され、前記下穴の一部を研削により拡径するための拡径用ドリルビットであって、
    回転に伴う遠心力によって径方向外側にスライド移動し、前記下穴の一部を研削する複数の切刃部と、前記複数の切刃部を、それぞれ径方向にスライド自在に保持する切刃保持部と、前記切刃保持部を支持するシャンク部と、を備え、
    前記各切刃部は、
    前記下穴に対し、軸方向の一部が他の部分に先行して切り込んでゆく形状に形成された切刃本体と、前記切刃本体を内側から支持すると共に、前記切刃保持部にスライド自在に係合するリブ状支持部と、を有し、
    前記切刃本体は、
    軸方向において前記下穴に平行に対峙し、他の部分に先行して切り込んでゆく先端側の第1研削部と、前記第1研削部の基端側に連なり、軸方向において前記下穴に傾斜して対峙する第2研削部と、を含むことを特徴とする拡径用ドリルビット。
  2. 前記切刃本体は、軸方向に直交する横断面が円弧状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の拡径用ドリルビット。
  3. 前記切刃部は、前記リブ状支持部に連なると共に、前記切刃保持部に当接して 前記切刃本体の径方向外側への移動端位置を規制する抜止め部を、更に有していることを特徴とする請求項1または2に記載の拡径用ドリルビット。
  4. 前記切刃保持部は、先端部に同軸上に位置して尖塔部を有し、
    前記尖塔部は、超鋼材料で構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の拡径用ドリルビット。
  5. 前記切刃保持部は、前記下穴に嵌挿されると共に、非拡開状態の前記複数の切刃部よりも太径に形成されたフランジ状部を有していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の拡径用ドリルビット。
  6. 前記複数の切刃部は、軸廻りの180°点対称位置に配設した2つの切刃部で構成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の拡径用ドリルビット。
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