JP7302845B2 - 拡径用ドリルビット - Google Patents

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Description

本発明は、主として、コンクリート等の躯体に穿孔した下穴の一部を拡径するための拡径用ドリルビットに関する。
従来、この種の拡径用ドリルビットとして、切刃部を遠心力により径方向外方に移動させて、下穴の一部を拡径するものが知られている(特許文献1参照)。
この拡径用ドリルビットは、下穴の一部を研削する2つの(一対の)切刃部と、2つの切刃部をそれぞれ径方向にスライド移動可能に保持する切刃保持部と、切刃保持部を同軸上において支持するシャンク部と、を備えている。切刃保持部は、2つの切刃部を移動可能に保持する2つの切刃開口部を有している。また、各切刃部は、断面円弧状の外周部を有する切刃本体と、切刃本体を支持すると共に、切刃開口部に対し径方向にスライド自在に係合するリブ部と、リブ部の基端側に設けられ、切刃保持部に対し抜け止めとなる抜止め部と、を有している。
2つの切刃部は、回転に伴う遠心力により、径方向外側に拡開するようにスライド移動する。これにより、下穴の一部が円筒状に拡径される。
特許第6022670号公報
このような、従来の拡径用ドリルビットでは、ストレート形状の下穴の一部に、円筒状の拡径部が形成される。円筒状の拡径部は、これに打ち込んだあと施工アンカーが確実に引っかかって定着されるため、被定着体(例えば、コンクリートの躯体)の引抜き耐力を格段に向上させることができる。
しかし、この引っかかりは、拡径部を形成した後、拡径用ドリルビットを引き抜くときにも生ずる。すなわち、拡径部を研削した切刃部が、回転停止した後も拡開状態を維持していると、引き抜くときに自身で形成した拡径部に引っかかる問題があった。回転停止時の研削反力と遠心力とのバランスにおいて、遠心力が勝っている場合にこの問題が生ずる。かかる場合には、切刃部の内方への移動を促すべく、拡径用ドリルビットをこじりながら回動させて、引き抜きを行う必要があった。
同様に、拡径用ドリルビットを下穴に挿入するときにも、切刃部が径方向外方に移動している場合には、下穴の開口部につかえるため、拡径用ドリルビットをこじりながら回動させて、挿入を行う必要があった。
本発明は、拡径作業の前後において、下穴に円滑に挿入することができると共に、下穴から円滑に引き抜くことができる拡径用ドリルビットを提供することを課題としている。
本発明の拡径用ドリルビットは、躯体に穿孔した下穴に挿入して用いられ、下穴の一部を研削により拡径するための拡径用ドリルビットであって、下穴の一部を研削すると共に、強磁性体で構成された複数の切刃部と、複数の切刃部をそれぞれ径方向にスライド自在に保持すると共に、強磁性体で構成された切刃保持部と、切刃保持部を支持するシャンク部と、切刃保持部に組み込まれたマグネットと、備え、複数の切刃部は、回転に伴う遠心力により径方向外方に向かってスライドし、切刃保持部は、複数の切刃部をスライド自在に保持する円筒状の保持部本体と、保持部本体の先端側に連なる先端保持部と、保持部本体の基端側に連なる基端保持部と、を有し、マグネットは、保持部本体の近傍において、先端保持部および基端保持部の少なくとも一方に組み込まれ、複数の切刃部に対し、保持部本体を介して径方向内方に向かう吸引力を作用させることを特徴とする。
この構成によれば、拡径用ドリルビットを回転させると、遠心力により、複数の切刃部が径方向外方にスライドし、下穴を研削してこれを拡径させる。一方、回転を停止させると、複数の切刃部は、マグネットの吸引力により径方向内方にスライドする。すなわち、切刃保持部に対し複数の切刃部は、回転に伴う遠心力により拡開位置に向かって拡開する一方、回転停止に伴うマグネットの吸引力により、非拡開位置に戻る。これにより、下穴を拡径した直後において、複数の切刃部は非拡開位置に移動しており、下穴から引き抜かれる拡径用ドリルビットは、自身が拡径した下穴の一部につかえることなく、下穴から円滑に引き抜くことができる。また、拡径用ドリルビットを下穴に挿入するときに、複数の切刃部は、マグネットに吸引されて非拡開位置にあるため、拡径用ドリルビットを下穴に円滑に挿入することができる。したがって、拡径作業の前後において、下穴に円滑に挿入することができると共に、下穴から円滑に引き抜くことができる。
また、マグネットから保持部本体に磁気を誘導することができ、マグネットおよび保持部本体により、複数の切刃部に吸引力を作用させることができる。また、マグネットが先端保持部および/または基端保持部に組み込まれているため、マグネットが、複数の切刃部の機能や動作に悪影響を及ぼすことがない。なお、マグネットと切刃保持部とは、マグネットに対し切刃保持部がヨークとして機能するように配置することが好ましい。
この場合、マグネットは、円形厚板状に形成され、同軸上において先端保持部および基端保持部の少なくとも一方に組み込まれていることが好ましい。
この構成によれば、切刃保持部における限られた組込みスペースの中で、最大サイズのマグネットを組み込むことができ、十分な吸引力を得ることができる。これにより、安価なマグネットを用いることができ、コストアップを抑制することができる。
実施形態に係る拡径用ドリルビットを含む拡径装置の外観図である。 第1実施形態に係る拡径用ドリルビットの構造図である。 拡径用ドリルビットのビット部の分解図(a)、およびこれを軸線廻りに90°回転させた分解図(b)である。 ビット部における2つの切刃部の上面図(a)、正面図(b)および側面図(c)である。 ビット部における2つの切刃部の動作を説明する説明図であって、非拡開状態の図(a)、および拡開状態の図(b)である。 第2実施形態に係る拡径用ドリルビットのマグネット廻りの裁断側面図である。 第2実施形態の変形例に係る拡径用ドリルビットのマグネット廻りの上面図(a)、および裁断側面図(b)である。 第3実施形態に係る拡径用ドリルビットのマグネット廻りの上面図(a)、および裁断側面図(b)である。 第4実施形態に係る拡径用ドリルビットのビット部の説明図(a)、第5実施形態に係る拡径用ドリルビットのビット部の説明図(b)、および第6実施形態に係る拡径用ドリルビットのビット部の説明図(c)である。
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係る拡径用ドリルビットについて説明する。この拡径用ドリルビットは、主として、あと施工アンカーを定着させるためにコンクリート等の躯体(被定着体)に形成した下穴に対し、その一部を拡径するものであり、定着したあと施工アンカーの引抜き強度(被定着体の引抜き耐力)を高め得るものである。すなわち、打込みや接着により下穴に定着させたあと施工アンカーに対し、理論上のクサビ効果を発揮させるために、この拡径用ドリルビットは、下穴の一部に拡径部を形成するものである。
図1は、下穴に拡径部を形成する拡径装置の外観図であり、図2は、拡径用ドリルビットの構造図である。図1に示すように、拡径装置1は、手持ちの電動ドリル2と、電動ドリル2に装着した冷却液アタッチメント3と、冷却液アタッチメント3に装着した拡径用ドリルビット10と、を備えている。すなわち、拡径用ドリルビット10は、動力源を構成する電動ドリル2に接続された冷却液アタッチメント3の回転軸3aに、着脱自在に装着して用いられる。
この回転軸3aには、冷却液の流路が形成される一方、冷却液アタッチメント3は、図外の冷却液供給装置が接続されており、冷却液は、この冷却液供給装置から冷却液アタッチメント3を介して拡径用ドリルビット10の先端部に供給される。なお、冷却液アタッチメント3には、冷却液の流路を開閉するバルブが組み込まれており(図示省略)、バルブは、拡径用ドリルビット10を下穴Hの穴底Haに突き当てることにより「開」、穴底Haから離すことにより「閉」となる。また、コンクリート躯体Aに形成された下穴Hは、振動ドリル、ハンマードリル、コアビット等により穿孔される。
図1および図2に示すように、拡径用ドリルビット10は、下穴Hに拡径部Hbを形成するビット部11と、基端側で拡径装置1の回転軸3a(冷却液アタッチメント3)に着脱自在に装着され、先端側でビット部11を同軸上に支持するシャンク部12と、を備えている。この場合、ビット部11は、ユニット化されており、シャンク部12の先端部にネジ接合により着脱可能に取り付けられている。また、シャンク部12は、ビット部11を支持するシャンク本体15と、回転軸3aに装着される太径のシャフト部16と、で一体に形成されている。
シャフト部16は、その小口に雌ネジで構成された締結部16aを有し、この締結部16aが、雄ネジで構成された冷却液アタッチメント3の回転軸3aに螺合している(図1参照)。また、シャンク部12(シャンク本体15)の先端部には、ビット部11が螺合する連結雌ネジ部15aが形成されている(図2参照)。さらに、シャンク本体15およびシャフト部16の軸心部には、冷却液用のシャンク内流路17が形成されている。冷却液アタッチメント3から供給された冷却液は、シャンク内流路17を介してビット部11に供給される。
なお、上記の拡径装置1は、冷却液を用いる湿式のものであり、冷却液を用いない乾式のものも用意されている。特に図示しないが、乾式の拡径装置1は、シャンク部12にシャンク内流路17が無く、拡径用ドリルビット10は、電動ドリル2に直接接続される。また、他の乾式の拡径装置1は、冷却液に代え圧縮エアーや冷却ガスが導入される。そして、ユニット化されたビット部11は、これら湿式および乾式の拡径用ドリルビット10において、共通部品として用いられる。
次に、図2ないし図4を参照して、ビット部11について詳細に説明する。図2および図3に示すように、ビット部11は、下穴Hを研削するための複数(実施形態のものは2つ(一対))の切刃部21と、2つの切刃部21を、それぞれ径方向にスライド自在に保持する切刃保持部22と、2つの切刃部21に吸引力を作用させるマグネット23と、を備えている。詳細は後述するが、2つの切刃部21および切刃保持部22は、マグネット23により吸引可能な、或いはマグネット23の磁力を誘導可能な強磁性体、例えばスチールで形成されている。
この拡径用ドリルビット10では、ビット部11を下穴Hに挿入した状態で回転させ、遠心力により、2つの切刃部21を径方向外方に拡開させ、拡径部Hbを研削する。また、回転停止時には、研削により拡開した2つの切刃部21を、マグネット23により、元の非拡開状態に復帰させる。すなわち、マグネット23は、2つの切刃部21が非拡開位置を維持するように、これに径方向内方への吸引力を作用させる。
切刃保持部22は、同軸上において配設された、先端側の先端保持部31と、先端保持部31から延び2つの切刃部21が保持される筒状保持部32と、筒状保持部32に螺合した基端側の基端保持部33と、を有している。先端保持部31と筒状保持部32とは一体に形成されており、2つの切刃部21をセットした状態で、筒状保持部32の基端部が基端保持部33に螺合している。このため、厳密には、2つの切刃部21が保持される筒状保持部32の基端部を除く部分が、切刃保持部22の保持部本体34を構成しており、2つの切刃部21を挟むようにして、この保持部本体34の先端側に先端保持部31が、基端側に基端保持部33が連なっている。
この場合、先端保持部31の径は、下穴Hの径よりもわずかに小径に形成され、また基端保持部33の径は、先端保持部31の径よりもわずかに小径に形成されている。そして、非拡開位置における2つの切刃部21の外径(輪郭の径)は、基端保持部33の径よりもわずかに小径に形成されている。すなわち、2つの切刃部21が非拡開位置を維持していれば、拡径用ドリルビット10の下穴Hへの挿入は、2つの切刃部21が下穴Hの開口部Hcにつかえることがなく、円滑に行われる(詳細は後述する)。
先端保持部31は、ビット部11において最大径となる太径部36と、太径部36の先端部に装着した尖塔部37とを有している。尖塔部37は、例えば超鋼合金で構成されており、先端円錐部37aとこれに連なる円柱部37bとで一体に形成されている。太径部36は、下穴Hより僅かに小径(0.5~1.0mm程度)に形成されている。詳細は後述するが、太径部36には、基端側(筒状保持部32側)の端面に、マグネット23を組み込むための円形凹部38が形成されている。円形凹部38は、筒状保持部32の内径と同径に形成され、且つ筒状保持部32と同軸上に配設されている。
実施形態の拡径用ドリルビット10では、尖塔部37を下穴Hの穴底Haに突き当てた状態で回転させ、下穴Hの奥部に拡径部Hbを形成する。すなわち、拡径部Hbの形成に際し、先端円錐部37aを穴底Haの中心に突き当てた状態で、拡径用ドリルビット10を回転させるようになっている。
これにより、先端円錐部37a(尖塔部37)が穴底Haの中心に点接触し、回転に際し、穴底Haとの摩擦を極力小さくすることができる。また、尖塔部37は超鋼合金で構成されているため、尖塔部37の摩耗を極力抑えることができる。さらに、尖塔部37と大径部36とにより、ビット部11(切刃部21)の回転ブレを極力抑制することができる。したがって、常に、下穴Hの穴底Haから所定の位置に拡径部Hbを形成することができる。
筒状保持部32は、上記した保持部本体34と、保持部本体34から基端側に延びる円筒ネジ部41と、を有している。保持部本体34と円筒ネジ部41とは、一体の円筒状に形成されており、円筒ネジ部41の外周面には、基端保持部33に螺合する接合雄ネジ部42が形成されている。また、筒状保持部32には、2つの切刃部21が径方向にスライド自在に保持される、2つのスライドスリット43(スライド開口部)が形成されている。2つのスライドスリット43は、筒状保持部32において180°点対称位置に配設され、且つ円筒ネジ部41の端から切り込むようにして形成されている。
これにより、2つのスライドスリット43に保持される2つの切刃部21も、周方向において、180°点対称位置に配設されている。また、各切刃部21は、円筒ネジ部41の基端、すなわち小口からスライドスリット43内をスライドさせるようにして、保持部本体34に装着される。そして、2つの切刃部21は、非拡開位置において、保持部本体34の外周面に沿うように保持されている。
保持部本体34の先端側(先端保持部31側)には、2つの小穴45が形成されている。2つの小穴45は、2つのスライドスリット43から周方向に90°回転した位置に形成されおり、上記のシャンク内流路17から供給された冷却液は、主にこの2つの小穴45からビット部11と下穴Hとの間隙に導かれる。また、円筒ネジ部41の基端内周面には、テーパー状の面取り部46が形成されている。
基端保持部33は、筒状保持部32が接合される接合部51と、シャンク部12に連結される連結部52と、接合部51と連結部52とを結ぶボディ部53と、で一体に形成されている。また、基端保持部33に内部には、シャンク内流路17に連通するビット内流路54が形成されている。そして、ビット内流路54は、筒状保持部32内まで延びている。
接合部51の内周面には、筒状保持部32(円筒ネジ部41)の接合雄ネジ部42に対応する接合雌ネジ部56が形成されている。また、ボディ部53内の接合雌ネジ部側には、テーパー形状の低い山形凸部57が形成されている。接合雄ネジ部42を接合雌ネジ部56に螺合することで、筒状保持部32が基端保持部33に接合される。
この場合、筒状保持部32の基端保持部33への螺合は、筒状保持部32の面取り部46が基端保持部33の山形凸部57に突き当たることで位置規制される。これにより、先端保持部31と2つの切刃部21との間、および2つの切刃部21と基端保持部33との間に、所望のクリアランスが生ずるようになっている。そして、このクリアランスにより、各切刃部21の径方向への移動(スライド)が、円滑に行われる。
連結部52の外周面には、連結雄ネジ部52aが形成されている。連結雄ネジ部52aは、シャンク部12の先端部に形成した連結雌ネジ部15aに対応するものであり、連結雄ネジ部52aを連結雌ネジ部15aに螺合することで、シャンク部12にビット部11が連結されている。また、この連結により、シャンク内流路17にビット内流路54が連通する。したがって、連結雄ネジ部52aおよび連結雌ネジ部15aは、管用テーパーネジとすることが好ましい。なお、図中の符号58は、螺合に際し、基端保持部33を回転させる工具のための工具掛け部である。
図3および図4に示すように、各切刃部21は、切刃保持部22(保持部本体34)の外周面に沿うように設けた切刃本体61と、切刃本体61の内側に突設されたリブ部62と、リブ部62の先端に設けた拡幅形状の抜止め部63(ストッパー)と、を有している。切刃本体61、リブ部62および抜止め部63は、軸方向において同寸法に形成されている。
切刃本体61は、略1/4円弧の断面形状を有しており、その外周部には、ダイヤモンドの研削部61aが形成されている。このため、拡径部Hbは、切刃本体61の外周部により研削される。また、円弧状の切刃本体61における周方向の両端部は、研削初期における研削抵抗を小さくすべく、面取り形状に形成されている。なお、切刃部21に強い遠心力が作用させるべく、切刃本体61の内面に錘等を設けるようにしてもよい。
リブ部62は、上記のスライドスリット43に対し径方向にスライド自在に係合している。すなわち、保持部本体34の外側に切刃本体61が位置すると共に、内側に抜止め部63が位置し、この状態で、リブ部62がスライドスリット43に対しスライド自在に係合している。そして、保持部本体34おいにおけるリブ部62の長さが、切刃部21の径方向への移動ストロークとなり、ひいて拡径部Hbの拡径寸法となっている。
したがって、保持部本体34に保持された切刃部21は、回転により生ずる遠心力により径方向外方に移動ストローク分、拡開可能に構成されている。非拡開位置では、切刃本体61の内周面が保持部本体34の外周面に接触し、抜止め部63が保持部本体34の内周面から内方に離れている。一方、拡開位置では、切刃本体61が保持部本体34の外周面から外方に離れ、抜止め部63が保持部本体34の内周面に突き当たっている。
この場合、2つの切刃部21の非拡開位置から拡開位置への移動は、拡径用ドリルビット10の回転に伴って切刃部21に作用する遠心力により為される一方、拡開位置から非拡開位置への移動は、マグネット23による切刃部21に作用する吸引力により為される。したがって、拡径用ドリルビット10が自由状態にあるときの2つの切刃部21は、マグネット23の磁力(吸引力)により非拡開位置に維持される。
図3に示すように、マグネット23は、先端保持部31の円形凹部38内に取り付けられている。マグネット23は、例えば金属磁石やフェライト磁石により、円形厚板状に形成されている。円形凹部38に対しマグネット23は小径に形成され、同軸上において円形凹部38の底面に接着されている。これにより、マグネット23の外周面と円形凹部38の内周面との間に環状の間隙が生じ、円形凹部38の外側から軸方向に延びる保持部本体34が、いわゆるヨークとして機能している。
したがって、マグネット23の前面には、保持部本体34との間に十分な磁界が生じ、また保持部本体34には、マグネット23の磁力が誘導される。これにより、各切刃部21には、マグネット23および保持部本体34による吸引力が作用する。この吸引力は、回転停止により遠心力がゼロとなった2つの切刃部21を、拡開位置状態から非拡開位置に引き戻し、また非拡開位置において、各切刃部21の切刃本体61が、保持部本体34に吸着(磁着)した状態を維持する。なお、マグネット23は、円形凹部38に嵌合する形態であってもよい。
ここで、図2および図5を参照して、拡径用ドリルビット10により下穴Hに拡径部Hbを形成する拡径作業について説明する。この拡径作業では、予め対象となるコンクリート躯体Aに下穴Hが形成されているものとする。なお、この場合のコンクリート躯体Aには、コンクリート製の外壁、内壁、スラブの他、基礎や梁等が含まれる。
拡径作業では、先ず拡径装置1に装着した拡径用ドリルビット10を下穴Hに挿入し、そのビット部11の尖塔部37を下穴Hの穴底Haに突き当てるようにする。このとき、2つの切刃部21は、マグネット23により非拡開位置を維持しており(図5(a)参照)、拡径用ドリルビット10の下穴Hへの挿入は、切刃部21が開口部Hcにつかえることがなく円滑に行われる。
次に、電動ドリル2を駆動して拡径用ドリルビット10を回転させる。拡径用ドリルビット10が回転すると、円運動する2の切刃部21に遠心力が作用する。この遠心力がマグネット23の磁力(吸引力)を上回ると、2の切刃部21は、径方向外方に拡開してゆく(図5(b)参照)。これにより、回転する(円運動する)切刃本体61の研削部61aが、下穴Hの内面を研削し、下穴Hの奥部に円筒状の拡径部Hbが形成される。
この場合、切刃本体61は円弧状を為すため、拡開が進むに従って、その実研削部位が円弧状の外周面全体から中間部分に移行する(図5(b)参照)。これにより、研削が進むに従って切刃本体61の摩擦抵抗が小さくなるため、研削を円滑に進めることができる。なお、拡径部Hbを形成(研削)している間、冷却液が供給されるが、冷却液は、上記の小穴45から吐出され、切刃部21を冷却する他、拡径部Hbを含んで下穴Hを洗浄する。
回転により、2つの切刃部21が拡開位置に移動すると、電動ドリル2の負荷が小さくなり拡径部Hbが形成されたことが体感される。ここで、電動ドリル2の駆動を停止させて、拡径用ドリルビット10の回転を停止させる。拡径用ドリルビット10を回転停止させると、2の切刃部21に遠心力に代わってマグネット23の吸引力を作用し、2の切刃部21は非拡開位置に戻る。
非拡開位置に戻った2の切刃部21は、その輪郭の径が下穴Hの径より小さくなっている。このため、拡径用ドリルビット10は、その2の切刃部21が拡径部Hbの段部につかえることがなく、円滑に引き抜かれる。なお、拡径部Hbの研削は、時間で管理(10秒程度)するようにしてもよい。
以上のように、第1実施形態によれば、切刃保持部22に対し2つの切刃部21は、回転に伴う遠心力により拡開位置に向かって拡開する一方、回転停止に伴うマグネット23の吸引力により、非拡開位置に戻る。これにより、下穴Hを拡径した直後において、2つの切刃部21は非拡開位置に移動しており、拡径用ドリルビット10を下穴Hから円滑に引き抜くことができる。また、拡径用ドリルビット10を下穴Hに挿入するときも、2つの切刃部21は、マグネット23に吸引されて非拡開位置にあるため、下穴Hに円滑に挿入することができる。
次に、図6を参照して、第2実施形態に係る拡径用ドリルビット10Aにつき、主に第1実施形態と異なる部分について説明する。この実施形態では、切刃保持部22の筒状保持部32と基端保持部33とが一体に形成され、筒状保持部32に先端部に先端保持部31が螺合している。すなわち、筒状保持部32において、先端側に円筒ネジ部41が配設され、基端側に保持部本体34が配設されている。したがって、この場合も、2つの切刃部21を挟むようにして、この保持部本体34の先端側に先端保持部31が、基端側に基端保持部33が連なっている。
円筒ネジ部41の接合雄ネジ部42に対応する接合雌ネジ部56は、先端保持部31の内周面に形成され、マグネット23Aを組み込むための円形凹部38は、基端保持部33に形成されている。そして、この場合も円形凹部38は、筒状保持部32の内径と同径に形成され、且つ筒状保持部32と同軸上に配設されている。
マグネット23Aは、円形厚板のリング状に形成されており、中心部の貫通孔がビット内流路54の一部を構成している。円形凹部38に対しマグネット23Aは小径に形成され、同軸上において円形凹部38の底面に接着されている。これにより、マグネット23Aの外周面と円形凹部38の内周面との間に環状の間隙が生じ、円形凹部38の外側から軸方向に延びる保持部本体34が、いわゆるヨークとして機能している。
したがって、マグネット23Aの前面には、保持部本体34との間に十分な磁界が生じ、また保持部本体34には、マグネット23Aの磁力が誘導される。これにより、各切刃部21には、マグネット23Aおよび保持部本体34による吸引力が作用する。この吸引力は、回転停止により遠心力がゼロとなった2つの切刃部21を、拡開位置状態から非拡開位置に引き戻し、また非拡開位置において、各切刃部21の切刃本体61が、保持部本体34に吸着(磁着)した状態を維持する。なお、マグネット23Aは、円形凹部38に嵌合する形態であってもよい。
図7は、第2実施形態の変形例に係る拡径用ドリルビット10Aを表している。この変形例では、切刃保持部22が第1実施形態と同様に構造を有しているものの、マグネット23Aは、筒状保持部32(円筒ネジ部41)内に組み込まれている。具体的には、マグネット23Aは、保持部本体34に隣接した状態で、円筒ネジ部41の内部に配設されている。また、マグネット23Aの背面側には、強磁性体で構成された裏板65が配設されている。
裏板65は、筒状保持部32の内径と同径に形成され、同軸上において筒状保持部32の内周面に固着されている。裏板65に対しマグネット23Aは小径に形成され、同軸上において裏板65の表面に接着されている。これにより、マグネット23Aの外周面と円筒ネジ部41の内周面との間に環状の間隙が生じ、筒状保持部32(保持部本体34)が、いわゆるヨークとして機能している。
このように、第2実施形態においても、切刃保持部22に対し2つの切刃部21は、回転に伴う遠心力により拡開位置に向かって拡開する一方、回転停止に伴うマグネット23Aの吸引力により、非拡開位置に戻る。これにより、下穴Hを拡径した後、拡径用ドリルビット10Aを下穴Hから円滑に引き抜くことができる。また、拡径用ドリルビット10Aを下穴Hに円滑に挿入することができる。
なお、特に図示しないが、切刃保持部22において、第1実施形態のマグネット23と第2実施形態(変形例を含む)のマグネット23Aとの、2つのマグネット23,23Aを組み込むことも可能である。
次に、図8を参照して、第3実施形態に係る拡径用ドリルビット10Bにつき、主に第1実施形態と異なる部分について説明する。この実施形態では、マグネット23Bが、保持部本体34内において、2つの切刃部21の抜止め部63間にこれを仕切るように配設されている。マグネット23Bは、方形板状に形成され、先端側を先端保持部31に形成したスリット溝31aに挿入した状態で接着されている。
この構成では、2つの切刃部21に、マグネット23Bの吸引力が作用すると共に、マグネット23Bから磁力が誘導された保持部本体34の吸引力が作用する。このため、第3実施形態においても、切刃保持部22に対し2つの切刃部21は、回転に伴う遠心力により拡開位置に向かって拡開する一方、回転停止に伴うマグネット23Bの吸引力により、非拡開位置に戻る。これにより、下穴Hを拡径した後、拡径用ドリルビット10Bを下穴Hから円滑に引き抜くことができる。また、拡径用ドリルビット10Bを下穴Hに円滑に挿入することができる。
次に、図9を参照して、第4実施形態~第6実施形態に係る拡径用ドリルビット10C,10D,10Eにつき、主に第1実施形態と異なる部分について説明する。これらの実施形態では、上記のマグネット23,23A,23Bに代えて、構成部品が磁化(着磁)されている。
図9(a)の第4実施形態では、2つの切刃部21が磁化されマグネットを構成している。一方、切刃保持部22は、強磁性体(スチール)で構成されている。このため、切刃保持部22には2つの切刃部21から吸引力が作用し、2つの切刃部21は、相対的に切刃保持部22に吸引される。
図9(b)の第5実施形態では、切刃保持部22が磁化されマグネットを構成している。一方、2つの切刃部21は、強磁性体(スチール)で構成されている。このため、2つの切刃部21には切刃保持部22から吸引力が作用し、2つの切刃部21は、切刃保持部22に吸引される。
図9(c)の第6実施形態では、2つの切刃部21が磁化されマグネットを構成している。同様に、切刃保持部22も磁化されマグネットを構成している。このため、2つの切刃部21と切刃保持部22とには相互に吸引力が作用し、2つの切刃部21は、切刃保持部22に吸引される。
このように、第4・第5・第6実施形態においても、切刃保持部22に対し2つの切刃部21は、回転に伴う遠心力により拡開位置に向かって拡開する一方、回転停止に伴うマグネットの吸引力により、非拡開位置に戻る。これにより、下穴Hを拡径した後、拡径用ドリルビット10C,10D,10Eを下穴Hから円滑に引き抜くことができる。また、拡径用ドリルビット10C,10D,10Eを下穴Hに円滑に挿入することができる。
1…拡径装置、10,10A,10B,10C,10D,10E…拡径用ドリルビット、11…ビット部、12…シャンク部、15…シャンク本体、21…切刃部、22…切刃保持部、23,23A,23B…マグネット、31…先端保持部、32…筒状保持部、33…基端保持部、34…保持部本体、38…円形凹部、43…スライドスリット、61…切刃本体、62…リブ部、63…抜止め部、A…コンクリート躯体、H…下穴、Ha…穴底、Hb…拡径部、Hc…開口部、

Claims (2)

  1. 躯体に穿孔した下穴に挿入して用いられ、前記下穴の一部を研削により拡径するための拡径用ドリルビットであって、
    前記下穴の一部を研削すると共に、強磁性体で構成された複数の切刃部と、
    前記複数の切刃部をそれぞれ径方向にスライド自在に保持すると共に、強磁性体で構成された切刃保持部と、
    前記切刃保持部を支持するシャンク部と、
    前記切刃保持部に組み込まれたマグネットと、備え、
    前記複数の切刃部は、回転に伴う遠心力により径方向外方に向かってスライドし、
    前記切刃保持部は、前記複数の切刃部をスライド自在に保持する円筒状の保持部本体と、前記保持部本体の先端側に連なる先端保持部と、前記保持部本体の基端側に連なる基端保持部と、を有し、
    前記マグネットは、前記保持部本体の近傍において、前記先端保持部および前記基端保持部の少なくとも一方に組み込まれ、前記複数の切刃部に対し、前記保持部本体を介して径方向内方に向かう吸引力を作用させることを特徴とする拡径用ドリルビット。
  2. 前記マグネットは、円形厚板状に形成され、同軸上において前記先端保持部および前記基端保持部の少なくとも一方に組み込まれていることを特徴とする請求項1に記載の拡径用ドリルビット。
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