JP6696276B2 - シラン架橋ゴム押出成形物およびその製造方法 - Google Patents

シラン架橋ゴム押出成形物およびその製造方法 Download PDF

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本発明は、シラン架橋ゴム押出成形物およびその製造方法に関する。
従来から、シラン架橋ポリオレフィンやシラン架橋ポリエチレン等を用いて、種々の押出成形物が形成されており、電力ケーブルやキャブタイヤケーブルの絶縁被覆等に使用されている。
従来の技術では、ベース材にシラン液を事前に含浸させたペレットを押出していたが、材料投入口でのブロッキング現象やヤケによる押出し時の外観不良などが発生していた。
そこで、押出機の途中でシラン液や触媒を投入する製造方法が提案されている(特許文献1参照)。これは、シラン液添加後に過剰な熱履歴を与えないことで、上記問題を解決したものである。
特開平11−195335号公報
しかし、従来技術ではシラン架橋触媒も押出機内に投入するため、架橋が過剰に進行しやすく押出成形物の全体的な架橋度が上がりやすい。また、シラン液注入圧の変動などが生じると、架矯度にばらつきが生じてしまう。
一般に架橋度が上がると強度は増加するが、伸びは減少する。そのため、強度と伸びの両特性を満足させるためには、投入するシラン液と触媒の変動量を抑えた厳密な管理が必要となる。
また、シラン液をシリンダ内へ投入する際、液注入プラグ付近などで滞留が発生した場合、その場所で過剰に架橋が進んでしまい滞留樹脂・ゴムなどがヤケ等による外観不良の要因になる。
本発明の一目的は、シラン架橋を利用した押出成形物において、強度と伸びの両特性を満足させるための新規な技術を提供することである。
本発明の一観点によれば、
表面におけるSi濃度の内部におけるSi濃度に対する比率が、2倍以上5倍以下であり、シラン架橋されたゴム組成物により形成されたシラン架橋ゴム押出成形物
が提供される。
本発明の他の観点によれば、
単軸スクリュー押出機において、材料投入口からベースゴムを投入し、前記材料投入口よりもスクリュー下流側に設けられた液投入口から、シラン化合物を含有するシラン液を投入する工程を有し、
せん断速度と、前記ベースゴムと前記シラン液との混練時間との積が100以上350以下となるように、前記液投入口の位置を選択することで、表面におけるSi濃度の内部におけるSi濃度に対する比率が、2倍以上5倍以下であり、シラン架橋されたゴム組成物により形成されたシラン架橋ゴム押出成形物を製造するシラン架橋ゴム押出成形物の製造方法
が提供される。
シラン架橋ゴム押出成形物において、表面におけるSi濃度の内部におけるSi濃度に対する比率が2倍以上5倍以下であることで、引張強度特性および伸び特性の両方を良好としやすい。
図1は、本発明の一実施形態によるシラン架橋ゴム押出成形物を用いて作製されたケーブルの概略断面図である。 図2は、押出装置系を示す概略図である。 図3は、せん断速度と、ベースゴムとシラン液との混練時間の積が100以上350以下の領域を示すグラフである。 図4は、実施形態によるシラン架橋ゴム押出成形物の内部の定義を説明するための概略断面図である。
本発明の一実施形態によるシラン架橋ゴム押出成形物について説明する。
実施形態によるシラン架橋ゴム押出成形物は、表面におけるシリコン(Si)濃度の内部におけるSi濃度に対する比率(以下「Si濃度比」と呼ぶ)が、2倍以上5倍以下であり、シラン架橋されたゴム組成物により形成されている。以下、シラン架橋ゴム押出成形物を、「ゴム成形物」と呼ぶことがある。
ここで、ゴム成形物の「内部」とは、以下のように定義される(図4参照)。ゴム成形物50の断面51の周長をλとする。ゴム成形物50の断面51を、断面51の内側に相似形で縮小した断面52の周長をλ´とする。λ´=0.9λとして、断面51と断面52とが重なる部分を、ゴム成形物50の内部と定義する。なお、図4に示すゴム成形物50の断面形状は例示であり、ゴム成形物50の断面形状は任意の形状であってよい。
Si濃度比が2倍未満であると、つまり、ゴム成形物中でSi濃度が均一となるようにゴム成形物を形成すると、押出機へのゴム材料やシラン液の投入条件が変動した際に、ゴム成形物中の平均的なSi濃度(以下「平均Si濃度と呼ぶ」)の変動で、ゴム成形物の引張強度特性および伸び特性の両方が変動しやすい。
一方、本実施形態のように、Si濃度比を2倍以上5倍以下とすることで、つまり、ゴム成形物中のSi濃度が適度な分布を持つようにゴム成形物を形成することで、押出機へのゴム材料やシラン液の投入条件が変動しても、ゴム成形物の引張強度特性および伸び特性の両方を良好としやすい。
例えば、押出機へのシラン液の投入は一定であるが、ゴム材料の投入は減少するように変動した場合について考える。ゴム成形物中のSi濃度が均一であると、ゴム成形物は、全体でのSi濃度が高くなることで硬くなってしまう。つまり、引張強度特性は満たせても、伸び特性は満たすことが難しくなってしまう。
一方、本実施形態のように、ゴム成形物中のSi濃度に適度に分布を持たせることにより、ゴム成形物の表面で過剰分のSiを吸収し、内部のSi濃度が過剰に高くなることを抑制して、ゴム成形物が硬くなることを抑制できる。つまり、引張強度特性と伸び特性の両方を満たしやすくできる。このように、本実施形態によるゴム組成物は、ゴム材料やシラン液の投入条件の変動を緩和しやすい構成となっている。
なお、Si濃度比が5倍超と高くなりすぎると、つまり、ゴム成形物の内部のSi濃度が十分に高められない状態でゴム成形物を形成すると、ゴム成形物の伸び特性は良好とできるものの、引張強度特性を良好とすることが難しくなる。
以下、シラン架橋されたゴム組成物を、「架橋後のゴム組成物」と呼び、シラン架橋される前のゴム組成物を、「架橋前のゴム組成物」と呼ぶことがある。また、シラン架橋されたゴム組成物とシラン架橋される前のゴム組成物とを区別せずに、「ゴム組成物」と呼ぶことがある。
架橋前のゴム組成物を調整するために、ベースゴムに、シラン化合物を含有するシラン液が添加される。シラン化合物は、シラノール縮合反応を生じさせるシラン架橋基を有し、ベースゴムにグラフト共重合される。シラン化合物としては、例えばアミノシランが用いられる。
ゴム組成物に含有されるベースゴムとしては、シラノール縮合触媒を添加せずともシラン架橋反応を進行させやすいように、例えばハロゲン元素含有ゴムが好ましい。ハロゲン元素含有ゴムとしては、例えば塩素(Cl)含有ゴムが用いられ、塩素含有ゴムとしては、例えばクロロプレンゴムが用いられる。シラノール縮合触媒を添加しないことで、架橋の過剰進行を抑制でき、ヤケ等による外観不良を抑制できる。
ベースゴムに添加されるシラン化合物の添加量は、ゴム成形物の引張強度特性および伸び特性の両方を良好とする観点から、ベースゴム100質量部に対して、1質量部以上5質量部以下であることが好ましく、2質量部以上4質量部以下であることがより好ましい。シラン化合物の添加量がベースゴムに対して5質量部超と過剰であると、ゴム成形物の伸び特性が劣化する。また、シラン化合物の添加量がベースゴムに対して1質量部未満と過少であると、ゴム成形物の十分な引張強度特性が得られない。
なお、シラン化合物の添加量について、好ましくは1質量部以上5質量部以下、より好ましくは2質量部以上4質量部以下とする条件は、架橋後のゴム組成物、つまりゴム成形物における平均Si濃度については、以下のような条件に対応する。
ゴム成形物における平均Si濃度は、例えば、ゴム成形物に含有されるハロゲン元素量(ハロゲン元素の原子数)に対する、ゴム成形物に含有されるSi元素量(Siの原子数)の比率により表される。この比率で示した、ゴム成形物における平均Si濃度を、「Si/ハロゲン」と表すこととする。
まず、Siを含有しないベースゴムを用いたゴム成形物、つまり、シラン化合物添加に起因する以外のSiは含有しないゴム成形物の場合について説明する。このような場合、上述の、シラン化合物添加量が1質量部以上5質量部以下、2質量部以上4質量部以下である条件は、それぞれ、Si/ハロゲンが0.2%以上1.0%以下、0.4%以上0.8%以下である条件に対応する。
次に、Siを含有するベースゴムを用いたゴム成形物、つまり、シラン化合物添加に起因する以外のSiも含有するゴム成形物について拡張して説明する。ベースゴムに含有されるSi(シラン化合物添加に起因する以外のSi)によるSi/ハロゲンをx%と表す。このような場合、上述の、シラン化合物添加量が1質量部以上5質量部以下、2質量部以上4質量部以下である条件は、それぞれ、Si/ハロゲンが(x+0.2)%以上(x+1.0)%以下、(x+0.4)%以上(x+0.8)%以下である条件に対応する。なお、このような表し方は、xにゼロを含めることで、Siを含有しないベースゴムを用いる場合にも適用できる。
一例として、クロロプレンゴム単体のベースゴムに対してアミノシランを添加する場合、クロロプレンゴム100質量部に対してアミノシラン添加量を例えば2質量部以上3質量部以下とすることが好ましい。クロロプレンゴム100質量部に対するアミノシラン添加量が例えば2質量部以上3質量部以下である条件は、ゴム成形物におけるSi/ハロゲン(つまりSi/Cl)が例えば0.4%以上0.6%以下である条件に対応する。
なお、シラン化合物としてアミノシランを添加した場合、架橋後のゴム組成物においては、つまりゴム成形物においては、Si原子がアミノ基を介してベースゴムの分子と結合した構造が含まれている。
なお、ゴム組成物には、必要に応じて、充填剤や滑剤等の添加物が添加されていてもよい。
ゴム成形物の形状は、特に限定されず、例えば、紐状、短冊状、筒状等、任意の形状とすることができる。なお、ゴム成形物は、単体での押出成形物に限らず、被覆材として形成されていてもよい。
例示として、図1に、実施形態によるゴム成形物を用いて作製されたケーブル100の概略断面図を示す。ケーブル100は、導体11の外周に絶縁層12が配置された絶縁電線10を複数本撚り合わせたものの外周に、シース13が配置された構造を有する。例えばシース13として、実施形態によるゴム成形物を用いることができる。
次に、実施形態によるゴム成形物の製造方法について説明する。
上述のようなSi濃度比を作り出すために、押出機として表面用(外層用)のスクリュー押出機と内部用(内層用)のスクリュー押出機の2台のスクリュー押出機を用いる方法も考えられるが、ここでは、混練における重要パラメータであるせん断速度と混練時間とに着目し、これらのパラメータを制御することによって、1台の単軸スクリュー押出機を用いてSi濃度比を作り出す方法について検討する。
ベースゴムにシラン液を混練させる場合、せん断速度が大きく、混練時間が長いほどシラン液が分散し、混練の度合いが進むと考えられる。単軸スクリュー押出機において、フルフライトスクリューで押出しを行う場合、スクリューフライト溝内平均せん断速度(以下「せん断速度」と呼ぶ)は、下記(1)式で計算可能である。
(せん断速度)=(N/60)*π*D/t ・・・(1)
ここで、N:スクリュー回転数(rpm)、D:スクリュー径(mm)、t:フライト溝深さ(mm)
したがって、せん断速度を大きくするにはスクリュー回転数を大きくすればよいが、スクリュー回転数を増加すると、押出機内の滞在時間、つまり、混練時間は減少する。シラン液投入口をスクリュー上流側(材料投入口側)へ移動させることで、混練時間を増加させることができる。
以下、実施例に沿って、さらに説明を進める。
図2は、押出装置系の一例を示す概略図である。押出装置系は、単軸スクリュー押出機200を備える。押出機200は、フルフライトスクリュー20と、材料投入口21と、液投入口22とを備える。
スクリュー20は、例えば、径Dがφ2mmであり、L/Dが18である。材料投入口21から、ベースゴム材料30が、押出機200に投入される。
液投入口22は、材料投入口21よりもスクリュー下流側に、複数設けられている。本例では、スクリュー上流側から順に、5箇所の液投入口22a〜22eが設けられている。液投入口22a〜22eの、材料の進行方向の位置(液添位置)を、それぞれ位置(A)〜位置(E)と表す。
タンク31から供給されたシラン液が、液注入ポンプ32を介し、液投入口22から押出機200に投入されて、ベースゴムにシラン液が添加される。ベースゴムにシラン液が添加されたゴム組成物33が、押出機200から押出される。
上述のような押出装置系を用い、スクリュー回転数と液添位置とをそれぞれ変化させて、せん断速度と混練時間を変更することで、ゴム成形物におけるSi濃度比がどのように変化するかを検討した。
表1に、スクリュー回転数、スクリュー回転数に応じて(1)式により計算されたせん断速度、および、各液添位置に対する混練時間を示す。混練時間は、粒子法シミュレーションによるシミュレーションソフトを用いて、液添位置からスクリュー先端まで到達する時間を計算した。
スクリュー回転数は、2rpm、5rpm、10rpm、15rpm、および20rpmと5段階に変化させた。スクリュー回転数が2rpmから20rpmへと増加するのに伴い、せん断速度は0.95sec−1から9.52sec−1へと増加する。
一方、各液添位置での混練時間は、せん断速度が増加するにつれ減少しており、スクリュー回転数に反比例すると言える。そのため、せん断速度と混練時間の積は、スクリュー回転数によらずほぼ一定の値となり、液添位置によってのみ変化する。液添位置(A)、(B)、(C)、(D)、および(E)におけるせん断速度と混練時間の積は、それぞれ557、352、176、95.2、および52.4であった。このように、各液添位置(A)〜(E)は、せん断速度と混練時間の積を指標として表すことができる。
各液添位置(A)〜(E)に対して、スクリュー回転数を5段階に変化させて押出しを行ってゴム成形物のサンプルを作製し、以下のような評価を行った。
ベースゴムとしてはクロロプレンゴムを用い、シラン化合物としてはアミノシランを用いた。使用したゴム組成物の配合を表2に示す。
(Si濃度比の評価)
紐押出しを実施してサンプルを作製した。表面と内部のSi濃度を測定して、Si濃度比を算出した。表面と内部のSi濃度は、走査型電子顕微鏡を用いたエネルギー分散型X線分析(SEM−EDX)により、表面と厚さ方向断面それぞれの元素分析を行い、各観察面におけるCl元素量に対するSi元素量から求めた。内部のSi濃度は、断面についての元素分析により求めた。
(引張強度特性と伸び特性の評価)
Tダイ(2mm×20mm)を用いて短冊状に押出したサンプルを作製した。JIS K 6251の6.1(ダンベル試験片)に規定するダンベル状3号型によって打抜いたものに対し、テンシロンで引張測定(引張速度500mm/min)を行った。
判定は、引張強度特性については13MPa以上を合格とし、伸び特性については300%以上を合格とした。各液添位置での5つのサンプルについて、サンプルの全てで両特性を満たした場合を(〇)、サンプルの一部で両特性を満たした場合を(△)、サンプルの全てで両特性を満足しなかった場合を(×)と分類した。
得られた結果を表3に示す。
液添位置(C)からシラン液を投入した実施例1では、せん断速度と混練時間の積は176程度であり、各サンプルのSi濃度比は、2.1倍から4.8倍程度となった。また、引張強度、伸びのいずれについても、全てのサンプルで特性を満たすことができた。
液添位置(C)のスクリュー上流側に配置された液添位置(B)からシラン液を投入した実施例2では、せん断速度と混練時間の積が352程度であり、各サンプルのSi濃度比は、1.5倍から2.7倍程度となった。これは、混練が実施例1よりも進んで、表面と内部のSi濃度の差が小さくなったためである。このため、引張強度については、全てのサンプルで特性を満たしたが、伸びについては、減少が見られ、一部のサンプルで特性を満たせなかった。
液添位置(C)のスクリュー下流側に配置された液添位置(D)からシラン液を投入した実施例3では、せん断速度と混練時間の積は95.2程度であり.各サンプルのSi濃度比は、3.7倍から5.2倍程度となった。これは、混練が実施例1よりも進まず、表面と内部のSi濃度の差が小さくならなかったためと考えられる。このため、伸びについては、内部のSi量が減少したため、全てのサンプルで特性を満たしたが、引張強度については、一部のサンプルで特性を満たせなかった。
液添位置(B)よりもさらにスクリュー上流側に配置された液添位置(A)からシラン液を投入した比較例1では、せん断速度と混練時間の積が557と極端に大きく、各サンプルのSi濃度比は、1.1倍から1.6倍程度となった。つまり、比較例1では、ほぼ完全に混練が進み,Si濃度がゴム成形物中で均一になっていた。このため、引張強度については、全てのサンプルで特性を満たしたが、伸びについては、全てのサンプルで特性を満たせなかった。
液添位置(D)よりもさらにスクリュー下流側に配置された液添位置(E)からシラン液を投入した比較例2では、せん断速度と混練時間の積52.4と極端に小さく、各サンプルのSi濃度比は、6.2倍から10.8倍程度となった。つまり、比較例2では、混練がほぼ進まず、ゴム成形物の内部にほとんどSiが混ざっていなかった。このため、伸びについては、全てのサンプルで特性を満たしたが、引張強度については、全てのサンプルで特性を満たせなかった。
以上の結果より、ゴム成形物においてSi濃度比を2倍以上5倍以下とすることで、引張強度特性および伸び特性の両方を良好としやすいことが分かった。
また、このようなSi濃度比は、せん断速度と混練時間の積を適切に設定することによって、つまり、せん断速度と混練時間の積が適切となるように液添位置を選択することによって、1台の単軸スクリュー押出機を用いて作り出すことができることが分かった。せん断速度と混練時間の積は、100以上350以下が好ましく、200程度が最も好ましいことが分かった。
図3に、せん断速度と混練時間の積が100以上350以下の領域を図示する。
実施形態によるゴム成形物の製造方法は、まとめると、以下のような方法といえる。実施形態によるゴム成形物の製造方法は、単軸スクリュー押出機において、材料投入口からベースゴムを投入し、材料投入口よりもスクリュー下流側に設けられた液投入口からシラン液を投入する工程を有し、せん断速度と、ベースゴムとシラン液との混練時間との積が100以上350以下となるように、液投入口の位置を選択することで、Si濃度比が2倍以上5倍以下であるゴム成形物(シラン架橋ゴム押出成形物)を製造する。
なお、ゴム成形物において表面でSi濃度が高く内部でSi濃度が低い構造を、1台の単軸スクリュー押出機により形成することで、2台の押出機を使用した2層押出しを行う場合と比べて、層間(表面と内部)の剥離等が抑制され、密着性向上が期待される。
なお、上述の実施形態によるゴム成形物の製造方法は、より広く、1台の単軸スクリュー押出機を用いて、押出成形物の表面と内部とで、添加する液体に含有される成分の濃度分布を作り出す技術と捉えることもできる。添加する液体として、上述の実施形態ではシラン液を例示したが、その他の応用として、化学反応を起こさせる薬品、表面着色を目的とした着色液等を用いることもできる。
以上、実施形態に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
以下、本発明の好ましい形態について付記する。
(付記1)
表面におけるSi濃度の内部におけるSi濃度に対する比率が、2倍以上5倍以下であり、シラン架橋されたゴム組成物により形成されたシラン架橋ゴム押出成形物。
(付記2)
前記表面における前記Si濃度、および、前記内部における前記Si濃度は、それぞれ、前記表面、および、前記シラン架橋ゴム押出成形物の断面に対する走査型電子顕微鏡を用いたエネルギー分散型X線分析により測定されたSi濃度である付記1に記載のシラン架橋ゴム押出成形物。
(付記3)
前記シラン架橋されたゴム組成物に含有されるベースゴムは、ハロゲン元素含有ゴムである付記1または2に記載のシラン架橋ゴム押出成形物。
(付記4)
前記シラン架橋されたゴム組成物に含有されるハロゲン元素量に対する、前記シラン架橋されたゴム組成物に含有されるSi元素量の比率を「Si/ハロゲン」と表し、前記シラン架橋されたゴム組成物に含有されるベースゴムに含有されるSiによる「Si/ハロゲン」をx%と表したとき、
「Si/ハロゲン」で表した前記シラン架橋されたゴム組成物中の平均的なSi濃度は、(x+0.2)%以上(x+1.0)%以下である付記3に記載のシラン架橋ゴム押出成形物。
(付記5)
前記シラン架橋されたゴム組成物に含有されるベースゴムは、クロロプレンゴムである付記1〜4のいずれか1つに記載のシラン架橋ゴム押出成形物。
(付記6)
前記シラン架橋されたゴム組成物中に、Si原子がアミノ基を介してベースゴムの分子と結合した構造が含まれている付記1〜5のいずれか1つに記載のシラン架橋ゴム押出成形物。
(付記7)
引張速度500mm/minでの引張測定に対し、13MPa以上の引張強度特性を有するとともに、300%以上の伸び特性を有する付記1〜6のいずれか1つに記載のシラン架橋ゴム押出成形物。
(付記8)
絶縁電線と、
前記絶縁電線の外周に配置されたシースと、
を有し、
前記シースは、表面におけるSi濃度の内部におけるSi濃度に対する比率が、2倍以上5倍以下であり、シラン架橋されたゴム組成物により形成されたシラン架橋ゴム押出成形物であるケーブル。
(付記9)
単軸スクリュー押出機において、材料投入口からベースゴムを投入し、前記材料投入口よりもスクリュー下流側に設けられた液投入口から、シラン化合物を含有するシラン液を投入する工程を有し、
せん断速度と、前記ベースゴムと前記シラン液との混練時間との積が100以上350以下となるように、前記液投入口の位置を選択することで、表面におけるSi濃度の内部におけるSi濃度に対する比率が、2倍以上5倍以下であり、シラン架橋されたゴム組成物により形成されたシラン架橋ゴム押出成形物を製造するシラン架橋ゴム押出成形物の製造方法。
(付記10)
前記シラン化合物の添加量は、前記ベースゴム100質量部に対して1質量部以上5質量部以下である付記9に記載のシラン架橋ゴム押出成形物の製造方法。
(付記11)
前記ベースゴムは、ハロゲン元素含有ゴムである付記9または10に記載のシラン架橋ゴム押出成形物の製造方法。
(付記12)
前記ベースゴムは、クロロプレンゴムである付記9〜11のいずれか1つに記載のシラン架橋ゴム押出成形物の製造方法。
(付記13)
前記シラン化合物は、アミノシランである付記9〜12のいずれか1つに記載のシラン架橋ゴム押出成形物の製造方法。
(付記14)
前記シラン架橋ゴム押出成形物は、引張速度500mm/minでの引張測定に対し、13MPa以上の引張強度特性を有するとともに、300%以上の伸び特性を有する付記9〜13のいずれか1つに記載のシラン架橋ゴム押出成形物の製造方法。
20 フルフライトスクリュー
21 材料投入口
22、22a〜22e 液投入口
30 ベースゴム材料
31 (シラン液の)タンク
32 液注入ポンプ
33 ゴム組成物
200 単軸スクリュー押出機

Claims (5)

  1. 表面におけるSi濃度の内部におけるSi濃度に対する比率が、2倍以上5倍以下であり、シラン架橋されたゴム組成物により形成されたシラン架橋ゴム押出成形物。
  2. 前記シラン架橋されたゴム組成物に含有されるベースゴムは、ハロゲン元素含有ゴムである請求項1に記載のシラン架橋ゴム押出成形物。
  3. 前記シラン架橋されたゴム組成物に含有されるベースゴムは、クロロプレンゴムである請求項1または2に記載のシラン架橋ゴム押出成形物。
  4. 前記シラン架橋されたゴム組成物中に、Si原子がアミノ基を介してベースゴムの分子と結合した構造が含まれている請求項1〜3のいずれか1項に記載のシラン架橋ゴム押出成形物。
  5. 単軸スクリュー押出機において、材料投入口からベースゴムを投入し、前記材料投入口よりもスクリュー下流側に設けられた液投入口から、シラン化合物を含有するシラン液を投入する工程を有し、
    せん断速度と、前記ベースゴムと前記シラン液との混練時間との積が100以上350以下となるように、前記液投入口の位置を選択することで、表面におけるSi濃度の内部におけるSi濃度に対する比率が、2倍以上5倍以下であり、シラン架橋されたゴム組成物により形成されたシラン架橋ゴム押出成形物を製造するシラン架橋ゴム押出成形物の製造方法。
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