JP6696225B2 - 定着装置、画像形成装置及び加熱装置 - Google Patents

定着装置、画像形成装置及び加熱装置 Download PDF

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Description

本発明は、定着装置、画像形成装置及び加熱装置に関する。
特許文献1には、長尺状の基部と、基部の表面側又は内部に、この基部に対して、電気的絶縁状態で形成された、通電発熱する複数の並列配線を有する抵抗発熱配線部及び少なくとも2つの給電用端子部であって、抵抗発熱配線部に電力を供給するために、抵抗発熱配線部を介して一方の端子部及び他方の端子部を電気的に接続する給電用電極部とを備え、抵抗発熱配線部は、抵抗値温度係数が500〜4,400ppm/℃の材料を含み、並列配線は、傾斜した矩形パターンを含むヒータが記載されている。
国際公開2013/073276号
ベルトなどの被加熱部材に押し当てて被加熱部材を加熱する加熱部材を有し、加熱されたベルトと加圧部材との間に設けられたニップ部において記録部材にトナー像を定着する定着装置において、ヒータなどの発熱体とPTC(Positive Temperature Coefficient)素子などの正の温度係数を有する抵抗素子とを加熱部材の一方の側に配置して、発熱体による過熱を抑制することが行われる。この際、発熱体及び正の温度係数を有する抵抗素子を保護する保護層を、発熱体に比べて厚い正の温度係数を有する抵抗素子の表面を覆うように形成すると、発熱体と被加熱部材との距離が大きくなって、発熱体から被加熱部材への熱伝導の効率が低下する。
本発明は、発熱体からの熱伝導の効率を向上させた定着装置などを提供する。
請求項1に記載の発明は、基板と、当該基板の一方の面側に配置され、電流によって発熱する発熱体と、当該基板の他方の面側に配置され、当該基板に設けられた貫通孔を介して導線にて当該発熱体と電気的に直列に接続される正の温度係数の抵抗素子と、当該発熱体を覆って当該発熱体を保護する保護層と、を有する加熱部材と、前記加熱部材の前記一方の面側に接して加熱されるとともに循環するベルト部材と、前記ベルト部材に接してニップ部を形成する加圧部材とを備え、前記基板は、前記一方の面側から見て、前記抵抗素子が配置される部分に凹部を有し、当該凹部内に当該基板の当該一方の面側に飛び出した前記導線を収めることを特徴とする定着装置である。
請求項2に記載の発明は、前記加熱部材の前記基板は、前記ベルト部材が循環する方向において前記一方の面が弧状であることを特徴とする請求項1に記載の定着装置である。
請求項3に記載の発明は、前記発熱体と前記抵抗素子とは、それぞれ複数であって、前記凹部は、前記抵抗素子毎に設けられ、前記保護層は、表面が平滑化されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の定着装置である。
請求項4に記載の発明は、前記発熱体と前記抵抗素子とは、それぞれ複数であって、前記凹部は、前記抵抗素子少なくとも2個以上に対して1個設けられ、前記保護層は、表面が平滑化されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の定着装置である。
請求項5に記載の発明は、前記抵抗素子は、前記発熱体の裏側に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の定着装置である。
請求項6に記載の発明は、記録媒体にトナー像を転写する転写部と、基板と、当該基板の一方の面側に配置され、電流によって発熱する発熱体と、当該基板の他方の面側に配置され、当該基板に設けられた貫通孔を介して導線にて当該発熱体と電気的に直列に接続される正の温度係数の抵抗素子と、当該発熱体を覆って当該発熱体を保護する保護層と、を有する加熱部材と、当該加熱部材の当該一方の面側に接して加熱されるとともに循環するベルト部材と、当該ベルト部材に接してニップ部を形成する加圧部材とを備え、当該ニップ部に挟まれた前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着部とを備え、前記基板は、前記一方の面側から見て、前記抵抗素子が配置される部分に凹部を有し、当該凹部内に当該基板の当該一方の面側に飛び出した前記導線を収めることを特徴とする画像形成装置である。
請求項7に記載の発明は、基板と、前記基板の被加熱部材側に配置され、電流によって発熱して当該被加熱部材を加熱する発熱体と、前記基板の前記被加熱部材側と反対側に配置され、当該基板に設けられた貫通孔を介して導線にて前記発熱体と電気的に直列に接続される正の温度係数の抵抗素子と、前記発熱体を覆って当該発熱体を保護する保護層とを備え、前記基板は、前記被加熱部材側から見て、前記抵抗素子が配置される部分に凹部を有し、当該凹部内に当該基板の当該被加熱部材側に飛び出した前記導線を収めることを特徴とする加熱装置である。
請求項8に記載の発明は、前記発熱体と前記抵抗素子とは、それぞれ複数であって、前記凹部は、前記抵抗素子毎に設けられ、前記保護層は、表面が平滑化されていることを特徴とする請求項7に記載の加熱装置である。
請求項9に記載の発明は、前記発熱体と前記抵抗素子とは、それぞれ複数であって、前記凹部は、前記抵抗素子少なくとも2個以上に対して1個設けられ、前記保護層は、表面が平滑化されていることを特徴とする請求項7に記載の加熱装置である。
請求項10に記載の発明は、前記抵抗素子は、前記基板において前記発熱体の裏側に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の加熱装置である。
請求項1に係る発明によれば、正の温度係数の抵抗素子を基板の他方の面側に配置しない場合に比べ、発熱体からベルト部材への熱伝導の効率が向上する。
請求項2に係る発明によれば、加熱部材の基板の一方の面が弧状でない場合に比べ、加熱部材とベルト部材との間の摺動がより滑らかになる。
請求項3に係る発明によれば、正の温度係数の抵抗素子毎に凹部を有しない場合に比べ、熱容量が小さくなる。
請求項4に係る発明によれば、複数の正の温度係数の抵抗素子を配置する凹部を有しない場合に比べ、基板の製作が容易になる。
請求項5に係る発明によれば、正の温度係数の抵抗素子を発熱体の裏側に設けない場合に比べ、正の温度係数の抵抗素子の反応が早くなる。
請求項6に係る発明によれば、正の温度係数の抵抗素子を基板の他方の面側に配置しない場合に比べ、定着部の処理時間が短縮される。
請求項7に係る発明によれば、正の温度係数の抵抗素子を基板の他方の面側に配置しない場合に比べ、発熱体からの熱伝導の効率が向上する。
請求項8に係る発明によれば、正の温度係数の抵抗素子毎に凹部を有しない場合に比べ、熱容量が小さくなる。
請求項9に係る発明によれば、複数の正の温度係数の抵抗素子を配置する凹部を有しない場合に比べ、基板の製作が容易になる。
請求項10に係る発明によれば、正の温度係数の抵抗素子を発熱体の裏側に設けない場合に比べ、正の温度係数の抵抗素子の反応が早くなる。
画像形成装置の概略断面図である。 画像形成装置における定着ユニットの断面図である。 第1の実施の形態に係るソリッドヒータを説明する図である。(a)は、図2における矢印IIIの方向から見たソリッドヒータの上面図、(b)は、(a)のIIIB−IIIB線でのソリッドヒータの断面図である。 第1の実施の形態に係らないソリッドヒータを説明する図である。(a)は、図2における矢印IIIの方向から見たソリッドヒータの上面図、(b)は、(a)のIVB−IVB線でのソリッドヒータの断面図である。 PTC素子を保持具に搭載する前後の状態を説明する図である。(a1)、(b1)は、搭載する前、(a2)、(b2)は、搭載した後を示す。 第1の実施の形態に係るソリッドヒータを説明する拡大図である。(a)は、ソリッドヒータを基板の表面側から見た図、(b)は、ソリッドヒータを基板の裏面側から見た図、(c)は、(a)、(b)のVIC−VIC線でのソリッドヒータの断面図である。 第2の実施の形態に係るソリッドヒータを説明する図である。(a)は、図2における矢印IIIの方向から見たソリッドヒータの上面図、(b)は、(a)のVIIB−VIIB線でのソリッドヒータの断面図である。 第2の実施の形態に係るソリッドヒータを説明する拡大図である。(a)は、ソリッドヒータを基板の表面側から見た図、(b)は、ソリッドヒータを基板の裏面側から見た図、(c)は、(a)、(b)のVIIIC−VIIIC線でのソリッドヒータの断面図である。 第2の実施の形態に係るソリッドヒータの変形例を説明する図である。(a)は、図2における矢印IIIの方向から見たソリッドヒータの上面図、(b)は、(a)のIXB−IXB線でのソリッドヒータの断面図である。 第3の実施の形態に係るソリッドヒータを説明する拡大図である。(a)は、ソリッドヒータを基板の表面側から見た図、(b)は、ソリッドヒータを基板の裏面側から見た図、(c)は、(a)、(b)のXC−XC線でのソリッドヒータの断面図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
[第1の実施の形態]
<画像形成装置1>
図1は、画像形成装置1の概略断面図である。図示の画像形成装置1は、画像データに基づいて画像を印刷する電子写真式のカラープリンタである。
画像形成装置1は、本体ケース90の内部に、用紙P(記録媒体の一例)が収容された用紙収容部40と、用紙Pに画像を形成する画像形成部10と、用紙収容部40から画像形成部10を通って本体ケース90の用紙排出口96まで用紙Pを搬送する搬送部50とを備えている。また、画像形成装置1は、画像形成装置1全体の動作を制御する制御部31と、例えばパーソナルコンピュータ(PC)3や画像読取装置(スキャナ)4等と通信を行って画像データを受信する通信部32と、通信部32にて受信された画像データに対して画像処理を施す画像処理部33とを備えている。
用紙収容部40は、用紙Pを収容する。
搬送部50は、用紙収容部40から、画像形成部10を通って用紙排出口96まで延びた用紙Pの搬送路51と、用紙Pを搬送路51に沿って搬送する搬送ローラ52とを備えている。搬送部50は、用紙Pを矢印C方向に搬送する。
画像形成部10は、予め定められた間隔で配置された4つの画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kを備えている。なお、以下、画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kをそれぞれ区別しないときは、画像形成ユニット11と表記する。各画像形成ユニット11はそれぞれ、静電潜像を形成してトナー像を保持する感光体ドラム12、感光体ドラム12の表面を予め定めた電位で帯電する帯電器13、帯電器13によって帯電された感光体ドラム12を各色の画像データに基づき露光するLED(Light Emitting Diode)プリントヘッド14、感光体ドラム12の表面に形成された静電潜像を現像する現像器15、転写後の感光体ドラム12の表面を清掃するドラムクリーナ16を備えている。
4つの画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kは、現像器15に収納されるトナーを除いて同様に構成され、イエロー(Y)のトナーを収容した現像器15を備えた画像形成ユニット11Yはイエローのトナー像を形成する。同様に、マゼンタ(M)のトナーを収容した現像器15を備えた画像形成ユニット11Mはマゼンタのトナー像を形成し、シアン(C)のトナーを収容した現像器15を備えた画像形成ユニット11Cはシアンのトナー像を形成し、黒(K)のトナーを収容した現像器15を備えた画像形成ユニット11Kは黒のトナー像を形成する。
また、画像形成部10は、各画像形成ユニット11の感光体ドラム12に形成された各色のトナー像が重畳されるように多重転写される中間転写ベルト20と、各画像形成ユニット11にて形成された各色のトナー像を中間転写ベルト20に順次静電転写(一次転写)する一次転写ロール21とを備えている。さらに、画像形成部10は、中間転写ベルト20の表面に各色のトナー像が重畳して転写された重畳トナー像を用紙Pに一括して静電転写(二次転写)する二次転写部Tの二次転写ロール22と、用紙Pに二次転写された重畳トナー像を定着させる定着ユニット60(定着装置の一例及び定着部の一例)とを備えている。
画像形成装置1は、制御部31による動作の制御の下で、次のプロセスによる画像形成処理を行う。すなわち、PC3やスキャナ4から送出された画像データは、通信部32にて受信され、画像処理部33により予め定めた画像処理が施された後、各色の画像データとなって、対応する色の各画像形成ユニット11に送られる。そして、例えば黒のトナー像を形成する画像形成ユニット11Kでは、感光体ドラム12が矢印A方向に回転しながら帯電器13により予め定めた電位で帯電される。
その後、画像処理部33から送信された黒の画像データに基づきプリントヘッド14が感光体ドラム12を走査露光する。これにより、感光体ドラム12の表面には黒の画像データに対応した静電潜像が形成される。感光体ドラム12上に形成された黒の静電潜像は現像器15により現像され、感光体ドラム12上に黒のトナー像が形成される。同様に、画像形成ユニット11Y、11M、11Cは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各トナー像を形成する。
各画像形成ユニット11の感光体ドラム12に形成された各色のトナー像は、一次転写ロール21により矢印B方向に移動する中間転写ベルト20上に順次静電転写され、中間転写ベルト20上に、各色のトナー像が重畳された重畳トナー像が形成される。
中間転写ベルト20が矢印B方向へ移動することにより、中間転写ベルト20上の重畳トナー像は二次転写部T(転写部の一例)に送られる。重畳トナー像が二次転写部Tに送られると、そのタイミングに合わせて、用紙収容部40の用紙Pが、搬送部50の搬送ローラ52により、搬送路51に沿って矢印C方向に搬送される。そして、中間転写ベルト20上に形成された重畳トナー像は、二次転写部Tにて二次転写ロール22が形成する転写電界により、搬送路51に沿って搬送されてきた用紙P上に一括して静電転写される。
その後、重畳トナー像が静電転写された用紙Pは、搬送路51に沿って定着ユニット60まで搬送される。定着ユニット60に搬送された用紙P上の重畳トナー像は、定着ユニット60によって熱および圧力を受け、用紙P上に定着される。そして、定着された重畳トナー像が形成された用紙Pは、搬送路51に沿って矢印C方向に搬送され、本体ケース90の用紙排出口96から排出され、用紙を載せる用紙積載部95に積載される。
一方、一次転写後に感光体ドラム12に残存しているトナー及び二次転写後に中間転写ベルト20に残存しているトナーは、それぞれドラムクリーナ16、およびベルトクリーナ25によって除去される。
画像形成装置1による、用紙Pに画像を印刷する処理が、印刷の枚数に対応したサイクルだけ繰り返し実行される。
<定着ユニット60>
図2は、画像形成装置1における定着ユニット60の断面図である。
定着ユニット60は、ヒータユニット70と加圧ロール80(加圧部材の一例)とを備えている。ヒータユニット70及び加圧ロール80は、いずれも図2の紙面奥行き方向に軸が延びた円柱状に構成されている。
ヒータユニット70は、循環する(回転する)定着ベルト78(ベルト部材の一例及び被加熱部材の一例)と、定着ベルト78が移動する方向において断面が弧状に湾曲するように形成され、発熱するソリッドヒータ71(加熱部材の一例及び加熱装置の一例)と、定着ベルト78を介して加圧ロール80から押圧される押圧パッド79とを備えている。なお、ソリッドヒータ71は、定着ベルト78が循環する方向において表面が弧状であればよい。
以下では、ソリッドヒータ71は、熱容量を小さくするために、板状の部材であるとして説明する。
定着ベルト78は、無端の円筒形状で、その内周面がソリッドヒータ71の外周面及び押圧パッド79に接して配置されている。定着ベルト78は、ソリッドヒータ71に接することにより加熱される。
定着ベルト78は、原形が円筒形状の無端のベルト部材で構成され、例えば原形(円筒形状)時の直径が30mm、幅方向の長さが300mmに形成されている。後述するように、定着ベルト78は、押圧パッド79に押圧されて変形する。ここで、原形とは、押圧パッド79により押圧されていない状態、すなわち、変形していない状態をいう。
定着ベルト78は、基材層と、基材層の上に被覆された離型層とからなる。基材層は、定着ベルト78全体としての機械的強度を形成する耐熱性のシート状部材で構成される。基材層としては、例えば、ポリイミド樹脂からなる厚さ60μm〜200μmのシートが用いられる。また、定着ベルト78の温度分布をより均一にするためにアルミニウム等からなる熱伝導フィラーをポリイミド樹脂中に含有させてもよい。
離型層は、用紙P上に保持された未定着のトナー像と直接接触するため、離型性の高い材質が使用される。例えばPFA(テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、シリコーン共重合体、又は、これらの複合層等が用いられる。離型層の厚さとしては、薄すぎると、耐摩耗性の面で充分でなく、定着ベルト78の寿命を短くする。その一方で、厚すぎると、定着ベルト78の熱容量が大きくなりすぎ、ウォームアップタイムが長くなる。そこで、離型層の厚さは、耐摩耗性と熱容量とのバランスを考慮し、1μm〜50μmとするのがよい。
なお、基材層と離型層との間に、シリコーンゴム等による弾性層が含まれてもよい。
押圧パッド79は、例えばシリコーンゴムやフッ素ゴムあるいは機械的強度や耐熱性の高い所謂エンジニアリングプラスチックスが用いられる。例えば、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PEEK(Poly Ether Ether Ketone)樹脂、PES(Poly Ether Sulfone)樹脂、PPS(Poly Phenylene Sulfide)樹脂、LCP樹脂(Liquid Crystal Polymer)等の剛体で構成された、断面において定着ベルト78に接する側が略円弧形状のブロック部材であり、定着ベルト78の内側においてフレーム(不図示)に支持されている。そして、加圧ロール80が定着ベルト78を圧接する領域にて、軸方向全域に亘って固定配置されている。そして、押圧パッド79は、定着ベルト78を介して加圧ロール80を予め定められた幅領域に亘って予め定められた荷重(例えば、平均10kgf)で均一に押圧する。
加圧ロール80は、定着ベルト78に対向するように配置され、定着ベルト78に従って図2の矢印D方向に、例えば140mm/sのプロセススピードで回転する。そして、加圧ロール80と押圧パッド79とにより定着ベルト78を挟み込んだ状態でニップ部(定着加圧部)Nを形成する。
加圧ロール80は、例えば、直径18mmの中実のステンレス製あるいはアルミニウム製コア(円柱状芯金)と、コアの外周面に被覆された例えば厚さ5mmのシリコーンスポンジ等の耐熱性弾性体層と、さらに例えば厚さ50μmのカーボン配合のPFA等の耐熱性樹脂被覆または耐熱性ゴム被覆による離型層とが積層されて構成される。そして、押圧バネ(不図示)により、例えば25kgfの荷重で定着ベルト78を介して押圧パッド79を押圧している。
搬送部50(図1参照)によりニップ部Nに搬送されてきた用紙Pは、ニップ部Nにおいて、定着ベルト78により加熱されるとともに、定着ベルト78を介した押圧パッド79と加圧ロール80とにより加圧され、用紙Pに保持された未定着の重畳トナー像が用紙Pに定着される。
ニップ部Nにおいて、加圧ロール80に接する用紙Pは、加圧ロール80の矢印D方向への回転によって矢印C方向に送られ、この用紙Pの移動により、用紙Pに接する定着ベルト78が従動し、定着ベルト78は矢印E方向(進行方向)に回転する。
<ソリッドヒータ71>
定着ベルト78の加熱には、ハロゲンランプや電磁誘導による方法などが用いられてきた。しかし、これらの方法は、定着ベルト78が予め定められた温度に達するまでに要する時間(スタンバイ時間)が長く、消費電力が大きく、構成が複雑であった。
以下に説明するソリッドヒータ71は、構成が簡単である。また、ソリッドヒータ71は、熱容量が小さいため、スタンバイ時間を設けることを要しない。よって、利便性が向上する。すなわち、定着ユニット60にソリッドヒータ71を用いることで、低コスト化及び低消費電力化が図れる。
図3は、第1の実施の形態に係るソリッドヒータ71を説明する図である。図3(a)は、図2における矢印IIIの方向から見たソリッドヒータ71の上面図、図3(b)は、図3(a)のIIIB−IIIB線でのソリッドヒータ71の断面図である。
なお、ソリッドヒータ71は、図2で示したように定着ベルト78が移動する方向(矢印Eの方向)において断面が弧状であるが、図3(b)では、ソリッドヒータ71の一部を示すことから平坦に表記している。なお、断面は、円弧状であってもよい。
ソリッドヒータ71は、複数の抵抗発熱体120(発熱体の一例)と、複数のPTC(Positive Temperature Coefficient)素子130(正の温度係数の抵抗素子の一例)と、これらを接続する配線140と、配線140と接続された端子150と、これらを支持する基板110とを備えている。
図3(a)の上面図に示すように、基板110の一方の面(以下では、表面と表記する。)に、複数の抵抗発熱体120、配線140、端子150を備えている。
一方、図3(b)の断面図に示すように、基板110の他方の面(以下では、裏面と表記する。)に、複数のPTC素子130を備えている。
なお、ソリッドヒータ71は、基板110の表面側において、循環する定着ベルト78と接触する。循環する定着ベルト78は、ソリッドヒータ71における基板110の表面側を摺動する。
基板110は、例えば、ステンレス鋼(SUS)で構成されている。なお、基板110は、ステンレス鋼(SUS)以外の、アルミニウム、銅などの金属材料で構成されてもよい。また、焼成されたセラミック材料で構成されてもよい。さらに、耐熱性のプラスチック材料で構成されてもよい。
抵抗発熱体120は、例えば、Pdの比率が高いAgPdなどで構成されている。電流を流すことにより発熱する。
PTC素子130は、温度の上昇に対して抵抗が増加する抵抗素子である。正の温度係数のサーミスタと表記されることがある。PTC素子130の本体部131は、例えばチタン酸バリウム(BaTiO)に微量の希土類などを添加して構成されている。PTC素子130の本体部131は、キュリー温度(キュリー点)を有し、その温度以上になると、急激に抵抗が増大する。
PTC素子130は、チップ状であって、例えば、縦2mm×横2mm×厚さ0.2mmである。そして、本体部131の両端側(図3(a)では紙面において上下側、図3(b)では紙面において左右側)に、Niめっきを下地にしたAgなどの電極132、133が予め設けられている。電極132、133は、本体部131に対して、断面コ字状に形成されている。そして、温度が上昇しない状態において、PTC素子130は、電極132と電極133との距離によって、抵抗値が設定される。すなわち、PTC素子130は、電極132と電極133との距離が短いほど、温度が上昇しない状態における抵抗が小さい。
なお、電極132、133は、本体部131に対して、断面コ字状に形成されているとしたが、他の形状に形成されていてもよい。例えば、側面と上面のみに形成されていてもよい。後述するように、接続用の配線144、145及び導線(ワイヤ)184、185により、PTC素子130の電極132、133が配線142、143と電気的に接続されればよい。
そして、図3(b)に示すように、PTC素子130は、後述する保持具180に搭載され、絶縁層165を介して、基板110の裏面に取付けられている。
保持具180は、保持具本体部181と、保持具本体部181と一体に設けられた管部182、183と、管部182、183にそれぞれ埋め込まれた導線184、185とを備える。保持具180は、セラミックなどの絶縁性の材料で構成されている。管部182、183は、平板状の保持具本体部181を貫通し、一方の側(図3(b)において上方)に突き出すように設けられている。そして、導線184、185は、管部182、183に収納され(埋め込まれ)、それぞれの両端が管部182、183の両端部から飛び出している。
導線184、185は、Fe−Ni−Co合金などの電気伝導度及び耐熱性が高い金属で構成されている。
なお、保持具180は、保持具本体部181と管部182、183とが別体で構成されていてもよい。
PTC素子130は、保持具180に搭載され、基板110の裏面に設けられた絶縁層165上に取付けられる。このとき、保持具180の管部182、183は、基板110に設けられた貫通孔を介して、基板110の表面側に突き出している。
配線140は、例えばPdの比率が低いAgPdなどで構成されている。配線140は、図3(a)の紙面において上側の配線141と、下側の配線142と、抵抗発熱体120とPTC素子130との間の配線143とを備える。なお、配線140は、図3(b)に示すように、PTC素子130の電極132と導線184とを接続する配線144と、PTC素子130の電極133と導線185とを接続する配線145とをさらに備える。なお、配線144、145を接続電極と表記することがある。
そして、図3(a)、(b)では、配線140については、141(140)、142(140)などと表記する。なお、配線141、142、143、144、145をそれぞれ区別しない場合は、配線140と表記する。
そして、複数の抵抗発熱体120における抵抗発熱体120と複数のPTC素子130におけるPTC素子130とは、電気的に直列に接続されている。すなわち、抵抗発熱体120とPTC素子130とが直列接続された組が、複数設けられている。そして、複数の組が配線141と配線142との間に並列接続されている。
端子150は、保護層170(図3(b)参照。)を設けないで、表面を露出させた配線140(配線141、142)の一部である。端子150は、配線141の端部に設けられた端子151と、配線142に接続される端子152とを備える。図3(a)では、151(150)、152(150)と表記する。
端子150は、電流を供給する導線(ワイヤ)との接続が容易なように、配線141、142が幅広に構成されている。
そして、端子151と端子152との間に電圧を印加して電流を流すことで、電気的に直列接続された抵抗発熱体120とPTC素子130との組毎に電流が流れる。そして、抵抗発熱体120が発熱する。
なお、端子151と端子152との間に印加される電圧は、例えばAC100Vである。
図3(a)の紙面において左右端の抵抗発熱体120の形状は、それ以外の抵抗発熱体120と異なっている。これは、定着ベルト78の用紙Pが通過しない部分は、発熱することを要しないためである。すなわち、抵抗発熱体120の設けられた範囲が、画像形成装置1が扱う用紙Pの最大幅である。なお、左右端の抵抗発熱体120の形状を、それ以外の抵抗発熱体120の形状と同じとしてもよい。
次に、図3(b)の断面図により、ソリッドヒータ71の断面構造をより詳細に説明する。
まず、基板110の表面側を説明する。
基板110の表面には、一様に絶縁層160が設けられている。そして、絶縁層160上に、抵抗発熱体120、配線140(配線141、142、143)が設けられている。なお、図3(b)では、図の外側になるため、配線141を示していない。
絶縁層160は、基板110がステンレス鋼(SUS)などの導電性の金属材料などで構成された場合に、基板110と抵抗発熱体120、配線140(配線141、142、143)とが電気的に短絡することを抑制する。なお、基板110がセラミック材料などの絶縁性の材料で構成された場合には、絶縁層160を設けなくともよい。ここでは、基板110と絶縁層160とをまとめて基板と表記することがある。そして、抵抗発熱体120、PTC素子130は、絶縁層160上に設けられていても基板上に設けられていると表記することがある。
絶縁層160は、基板110がステンレス鋼(SUS)などの耐熱性の金属材料である場合、例えば、ガラス材料で構成される。絶縁層160は、ガラス材料で構成された場合、アンダーグレイズと表記されることがある。
配線141は、複数の抵抗発熱体120の一方の端と接続されている(図3(a)参照)。配線142は、複数のPTC素子130のそれぞれに接続された導線185と接続されている。
配線143は、複数あって、それぞれの一方の端が、抵抗発熱体120の他方の端と接続されている。配線143の他方の端は、PTC素子130に接続された導線184と接続されている。
なお、導線184は、保持具180の管部182から飛び出した部分を折り曲げて、配線143と接続され、導線185は、保持具180の管部183から飛び出した部分を折り曲げて、配線142と接続されている。
このため、導線184、185の折り曲げた部分が、基板110の表面から飛び出している。
そして、抵抗発熱体120及び配線140上に、保護層170が設けられている。
保護層170の表面(基板110から遠い側)は、凹凸が抑制された形状、つまり、なだらか且つ滑らかな(平滑化された)形状になっている。すなわち、保護層170は、導線184、185の折り曲げた部分を埋め込み、飛び出して突起状にならないようにしている。
保護層170は、抵抗発熱体120、配線140(配線141、142、143)などが、定着ベルト78と直接接触することを抑制する。例えば、定着ベルト78とソリッドヒータ71とを円滑に摺動させるために、ソリッドヒータ71と定着ベルト78との間に、シリコーンオイルなどの潤滑材を供給することがある。この場合、保護層170を設けないと、抵抗発熱体120、配線140(配線141、142、143)などにおいて電気的な短絡が生じるおそれがある。
保護層170は、基板110がステンレス鋼(SUS)などの耐熱性の金属材料である場合、例えば、ガラス材料で構成される。保護層170は、ガラス材料で構成された場合、オーバーグレイズと表記されることがある。
そして、第1の実施の形態に係るソリッドヒータ71では、図3(b)に示すように、抵抗発熱体120上の保護層170は、厚さd1である。すなわち、定着ベルト78と抵抗発熱体120との距離は、抵抗発熱体120上の保護層170の厚さd1となる。
すなわち、第1の実施の形態におけるソリッドヒータ71では、図3(b)に示すように、基板110の表面側に飛び出した導線184、185により、保護層170の厚さd1(定着ベルト78と抵抗発熱体120との距離)が設定される。
次に、基板110の裏面側を説明する。
基板110の裏面には、保持具180に搭載されたPTC素子130が配置される部分に、絶縁層165が設けられている。そして、絶縁層165上に保持具180に搭載されたPTC素子130が配置されている。絶縁層165は、保持具180を基板110に固定する。
配線144は、PTC素子130の電極132と導線184とを、PTC素子130の側面及び/又は上面で接続している。同様に、配線145は、PTC素子130の電極133と導線185とを、PTC素子130の側面及び/又は上面で接続している。
絶縁層160、165及び保護層170は、ガラス材料で構成される場合、ガラス粒子を分散させたガラスペーストを塗布し、加熱によりガラスペーストに含まれるガラス粒子を軟化又は溶融させることで、流動(粘性流動)を生じさせて形成される。すなわち、絶縁層160、165及び保護層170は、ガラス粒子が軟化又は溶融して互いに融着し、より緻密な構造となっている。そして、表面は、粘性流動により凹凸が抑制された形状、つまり、なだらか且つ滑らかな(平滑化された)形状になっている。
なお、ガラスペーストについては、後に詳述する。
絶縁層160、165は、例えば、厚さが15μm〜70μmである。これに対して、抵抗発熱体120、配線140の厚さは、10μm〜30μmである。
ここで、PTC素子130の機能を説明する。
PTC素子130は、温度の上昇に対して抵抗が増加する。よって、抵抗発熱体120により、ソリッドヒータ71が予め定められた温度以上に高くなると、PTC素子130の抵抗が増加する。そして、PTC素子130に直列接続された抵抗発熱体120に流れる電流を制限する。これにより、抵抗発熱体120の発熱量が抑制され、温度が下がる。すると、PTC素子130の抵抗が低下し、抵抗発熱体120に流れる電流が増加し、温度が上がる。すなわち、PTC素子130は、ソリッドヒータ71の過熱を抑制する。
定着ユニット60のニップ部Nにおいて、定着ベルト78により用紙Pが加熱されると、定着ベルト78から用紙Pに熱が奪われる。このため、定着ベルト78の温度が低下する。すると、温度が低下した定着ベルト78は、ソリッドヒータ71によって再び予め定められた温度に加熱される。
しかし、最大幅より狭い(小さい)用紙Pが搬送されてきた場合、用紙Pに接触しないことにより、定着ベルト78に用紙Pに熱が奪われない部分が生じる。このような用紙Pが接触しない定着ベルト78の部分は、温度が高い状態のままとなる。そして、定着ベルト78のこの部分は、ソリッドヒータ71により予め定められた温度以上に加熱される(過熱状態に移行する)。このとき、定着ベルト78のみならず、ソリッドヒータ71も過熱状態に移行する。
そこで、第1の実施の形態のソリッドヒータ71では、抵抗発熱体120をソリッドヒータ71の幅方向に複数設けるとともに、それぞれの抵抗発熱体120にPTC素子130を直列接続している。
すると、用紙Pが接触しない定着ベルト78の過熱状態に移行した部分において、PTC素子130の抵抗が上昇し、抵抗発熱体120に流れる電流を制限する。これにより、ソリッドヒータ71及び定着ベルト78が過熱状態に移行することを抑制する。
一方、用紙Pが接触する定着ベルト78の部分では、抵抗発熱体120に流れる電流が制限されないので、加熱が継続される。
よって、PTC素子130は、ソリッドヒータ71の基板110上において、抵抗発熱体120の近傍に設けられることが求められるため、第1の実施の形態に係るソリッドヒータ71では、基板110の表面側に抵抗発熱体120を設け(配置し)、抵抗発熱体120の近傍に当たる基板110の裏面側にPTC素子130を設け(配置し)ている。
図4は、第1の実施の形態に係らないソリッドヒータ71′を説明する図である。図4(a)は、図2における矢印IIIの方向から見たソリッドヒータ71′の上面図、図4(b)は、図4(a)のIVB−IVB線でのソリッドヒータ71′の断面図である。
図4(a)に示すように、ソリッドヒータ71′は、基板110の表面側にPTC素子130を設けている。そして、保護層170は、PTC素子130を埋め込んだ状態で、表面がなだらか且つ滑らかになって(平滑化されて)いる。
よって、この第1の実施の形態に係らないソリッドヒータ71′でも、第1の実施の形態に係るソリッドヒータ71と同様に、定着ベルト78とソリッドヒータ71とが接触する面が凹凸の抑制された、なだらか且つ滑らかな(平滑化された)表面であるので、定着ベルト78とソリッドヒータ71とは円滑に摺動する。
そして、保護層170は、抵抗発熱体120上において厚さd0となっている。すなわち、定着ベルト78と抵抗発熱体120との距離は、保護層170の厚さd0である。なお、厚さd0は、PTC素子130の厚さ(例えば、0.2mm)により決まるため、図3に示した第1の実施の形態に係るソリッドヒータ71の保護層170の厚さd1より厚い(d0>d1)。
したがって、第1の実施の形態に係らないソリッドヒータ71′では、保護層170が厚い(厚さd0)ために、熱容量が大きくなり、加熱に時間を要するとともに、加熱するエネルギが多く必要となる。さらに、抵抗発熱体120と定着ベルト78との距離(厚さd0)が大きくなって、抵抗発熱体120から定着ベルト78への熱伝導の効率が劣る。また、保護層170を構成するガラス材料を多く必要とし、コストがかかってしまう。
そして、第1の実施の形態に係らないソリッドヒータ71′では、PTC素子130を基板110の表面側に配置しているので、PTC素子130は、定着ベルト78との摺動による摩擦の影響や汚染を受けやすい。
さらに、第1の実施の形態に係らないソリッドヒータ71′では、PTC素子130が保護層170で覆われるため、保護層170を形成する過程などにおいて、PTC素子130の特性が劣化するおそれがある。
以上説明したように、第1の実施の形態に係るソリッドヒータ71は、基板110の裏面にPTC素子130を配置し、PTC素子130が定着ベルト78側に突出しないようにしている。そして、抵抗発熱体120上の保護層170の厚さ(厚さd1)、すなわち、抵抗発熱体120から定着ベルト78までの距離を小さくして、抵抗発熱体120から定着ベルト78への熱伝導の効率を向上させている。よって、ソリッドヒータ71が予め定められた温度まで加熱される時間が短縮されるとともに、消費電力が低減する。さらに、画像形成における定着に係る時間が短くなる。
また、第1の実施の形態に係るソリッドヒータ71は、保護層170を構成するガラス材料が少なくて済むため、コストが低くなる。そして、PTC素子130を基板110の裏面に配置することで、定着ベルト78との摺動による摩擦や汚染からPTC素子130を保護している。
さらに、第1の実施の形態に係るソリッドヒータ71は、第1の実施の形態に係らないソリッドヒータ71′と異なり、PTC素子130が保護層170で覆われないため、PTC素子130の特性が劣化することが抑制される。
<PTC素子130の保持具180への搭載方法>
図5は、PTC素子130を保持具180に搭載する前後の状態を説明する図である。図5(a1)、(b1)は、搭載する前、図5(a2)、(b2)は、搭載した後を示す。
保持具180は、前述したように、セラミックなどで構成され、平板状の保持具本体部181と、保持具本体部181に貫通するとともに一方の側に飛び出した管部182、183とを備えている。管部182、183には、導線184、185が収納されて(埋め込まれて)いる。
ここでは、保持具180は、保持具本体部181と管部182、183とが一体で構成されるとともに、管部182、183に導線184、185が収納された状態で焼成されているとする。
図5(b1)に示すように、保持具本体部181の平坦な側(管部182、183が設けられた反対側)に、PTC素子130を固定する固定層190が塗布される。固定層190は、例えばガラス粒子を含むガラスペーストである。ガラスペーストは、例えば、ディスペンサ又はジェットディスペンサで塗布する。
ガラスペースト、ディスペンサ及びジェットディスペンサについては、後述する。
そして、保持具180上の固定層190上にPTC素子130を押しつけることで、保持具180上にPTC素子130を位置決めする。
次に、図5(a2)、(b2)に示すように、保持具180の導線184とPTC素子130の電極132とを接続する配線144と、導線185とPTC素子130の電極133とを接続する配線145とを形成する。配線144、145は、Agの比率が高いAgPdなどの導電性粒子を含む接続配線用ペーストを塗布して形成する。接続配線用ペーストは、例えば、ディスペンサ又はジェットディスペンサで塗布する。
接続配線用ペーストについては、後述する。
そして、PTC素子130が搭載された保持具180を、予め定められた温度の電気炉(オーブン)などで乾燥させる。
次いで、酸素を含む雰囲気において、予め定められた温度の電気炉(オーブン)などで焼成する。これにより、ガラスペーストに含まれるガラス粒子が軟化又は溶融して緻密なガラス層(固定層190)となって、PTC素子130を保持具180に固定する。また、接続配線用ペーストに含まれるAgPdなどの導電性粒子が凝集して配線144、145が形成される。
このようにして、保持具180にPTC素子130が搭載される。
なお、保持具180に搭載されたPTC素子130は、パラキシリレン系などの耐熱性で電気絶縁性の樹脂などを保護層として塗布されてもよい。
ここで、ガラスペースト及び接続配線用ペーストなどについて説明する。
ガラスペーストは、ガラス材料の微粒子(ガラス粒子)と、ガラス粒子を懸濁しておくバインダと、ガラスペーストの粘度を調整する溶剤とを含む。
ガラス粒子は、予め定められた温度に加熱されると軟化又は溶融して、緻密なガラス層を形成する。この際、表面張力(粘性流動)により、表面は、凹凸が抑制された、なだらかで且つ滑らかな(平滑された)形状になる。
バインダは、例えばエチルセルロースである。
接続配線用ペーストや後述する抵抗発熱体用ペースト、配線ペーストは、AgPdなどの導電性粒子を含む導体ペーストである。導体ペーストも、導電性粒子に加えて、バインダ、溶剤を含む。なお、用途によって、導電性粒子の組成が調整されている。
ガラスペースト及び導体ペースト(以下では、ペーストと表記する。)は、スクリーン印刷、ディスペンサ又はジェットディスペンサなどにより塗布される。
スクリーン印刷とは、スクリーンを基板に接触させながら、スクリーンに設けた開口を通して、スキージによりペーストを基板上に押し出して、塗布する方法である。
ディスペンサとは、ノズルからペーストを吐出させて、塗布する方法である。また、ジェットディスペンサとは、圧力をかけてペーストをノズルから吐出させて、塗布する方法である。ディスペンサ及びジェットディスペンサは、ノズルの先端は基板から離れている。そして、ジェットディスペンサでは、ディスペンサに比べて長い距離において、ペーストが径の小さい状態で塗布される。ディスペンサ及びジェットディスペンサは、ノズル又は基板を移動させながら、ペーストを塗布していく。
スクリーン印刷は、平らな基板にペーストを一括して塗布することに適する。しかし、スクリーンとの間に距離がある凹部や小型の部材には塗布しづらい。
一方、ディスペンサ及びジェットディスペンサは、凹部や小型の部材にもペーストを塗布しやすい。
なお、スクリーン印刷の代わりに、ディスペンサ又はジェットディスペンサを用いてもよい。
さらに、刷毛などでペーストを塗布してもよい。
いずれの方法においても、塗布されたペーストは、表面の凹凸が表面張力により緩和されるように、予め定められた時間放置される(レべリング)。
次に、ペーストに含まれる溶剤を蒸発させるために、予め定められた温度に設定された電気炉(オーブン)などで乾燥される(乾燥)。
そして、ペーストに予め定められた温度に設定された電気炉(オーブン)などで焼成される(焼成)。焼成は、空気などの酸素を含む雰囲気(酸素雰囲気)で行われる。この際、ペーストに含まれているエチルセルロースなどのバインダが燃焼し、炭酸ガスとなって除去される。そして、ガラスペーストの場合には、ガラス粒子が軟化又は溶融して、互いに融着し、緻密なガラス層になる。一方、導体ペーストの場合には、導電性粒子が凝集して、導体(配線)となる。
以下では、ペーストを、表面の凹凸が表面張力により緩和されるように、予め定められた時間放置することを「レべリング」、溶剤を蒸発させることを「乾燥」、バインダを燃焼により除去し、ガラスペーストの場合には緻密なガラス層に、導電ペーストの場合には導体(配線)にすることを「焼成」と表記する。
<ソリッドヒータ71の製造方法>
次に、第1の実施の形態に係るソリッドヒータ71の製造方法を説明する。
図6は、第1の実施の形態に係るソリッドヒータ71を説明する拡大図である。図6(a)は、ソリッドヒータ71を基板110の表面側から見た図、図6(b)は、ソリッドヒータ71を基板110の裏面側から見た図、図6(c)は、図6(a)、(b)のVIC−VIC線でのソリッドヒータ71の断面図である。
図6(a)、(b)、(c)では、PTC素子130と抵抗発熱体120との一組を示している。
図6(a)、(b)、(c)により、ソリッドヒータ71の製造方法を説明する。
まず、保持具180の管部182、183が貫通する貫通孔が設けられた基板110を製作する。例えば、ステンレス鋼(SUS)板をソリッドヒータ71の形状に切り抜き、断面が弧状に湾曲するように加工するとともに、貫通孔を設ける。
次に、図6(c)に示すように、基板110の表面に絶縁層160を形成する。絶縁層160は、例えば、絶縁性のガラス層が得られるガラスペーストをスクリーン印刷により、基板110の表面に塗布する。そして、レべリング、乾燥、焼成を経て、緻密なガラス層を形成する。
なお、前述したように、絶縁層160は、抵抗発熱体120、配線140(配線141、142、143)と基板110とが電気的に短絡しないように設けられている。そこで、ピンホールなどの発生を抑制するため、ガラス層を二層に形成してもよい。この場合、上記のガラス層を形成する工程を二回繰り返せばよい。
次に、基板110の絶縁層160上に抵抗発熱体120を形成する。抵抗発熱体120は、例えば、Pdの比率が大きいAgPdを含む抵抗発熱体用ペーストをスクリーン印刷により、基板110の絶縁層160上に塗布する。そして、レべリング、乾燥、焼成を経て、抵抗発熱体120を形成する。
なお、ガラス層である絶縁層160と接着(密着)しやすいように、抵抗発熱体用ペーストは、ガラス粒子を含んでいてもよい。
次に、基板110の絶縁層160上に、配線140(配線141、142、143)を形成する。なお、配線141は、抵抗発熱体120の一方の端と接続される。配線142は、PTC素子130の保持具180の管部183(導線185)が挿入される貫通孔の周りに延びている。そして、配線143は、一端が抵抗発熱体120の他方の端と接続されるとともに、他端がPTC素子130の保持具180の管部182(導線184)が挿入される貫通孔の周りに延びている。
なお、配線142、143は、保持具180の管部182、183が挿入される貫通孔の周りを囲まなくてもよく、貫通孔の近傍まで延びていればよい。
配線140(配線141、142、143)は、例えば、Pdの比率が小さいAgPdを含む配線用ペーストをスクリーン印刷により、基板110の絶縁層160上に塗布する。そして、レべリング、乾燥、焼成を経て、配線140(配線141、142、143)を形成する。
次に、基板110の裏面に、PTC素子130を搭載した保持具180を、絶縁層165を介して取り付ける。PTC素子130を搭載した保持具180の製作方法は、前述した通りである。
まず、基板110の裏面に、絶縁層165を形成する。絶縁層165は、例えば、絶縁性のガラス層が得られるガラスペーストをスクリーン印刷により、基板110の裏面に塗布する。そして、レべリングののち、PTC素子130を搭載した保持具180を塗布されたガラスペースト上に取付ける。このとき、保持具180の管部182、183を、基板110に設けられた貫通孔に挿入し、保持具本体部181を塗布したガラスペーストに押し付けて密着させる。乾燥、焼成を経て、保持具180を基板110の裏面に固定する。
なお、絶縁層160となるガラスペーストと絶縁層165となるガラスペーストとは、焼成する温度などが異なっていてもよい。
次に、基板110の表面側において、保持具180の導線184を折り曲げて、配線143に接続する。同様に、保持具180の導線185を折り曲げて、配線142に接続する。
図示しないが、導線184と配線143との接続、及び、導線185と配線142との接続は、AgPdなどの導電性粒子を含む導体ペーストを用いて行ってもよい。
その後、基板110の表面側において、保護層170を形成する。
保護層170は、例えば、絶縁性のガラス層が得られるガラスペーストをスクリーン印刷により、導線184、185を覆って、表面がなだらか且つ滑らか(平滑化)になる厚さに塗布する。そして、レべリング、乾燥、焼成を経て、保護層170を形成する。
以上説明したようにして、第1の実施の形態に係るソリッドヒータ71が製造される。
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態に係るソリッドヒータ71では、基板110の表面に抵抗発熱体120を、裏面にPTC素子130を設けた。そして、基板110に設けた貫通孔を介して、抵抗発熱体120とPTC素子130とを接続した。そして、基板110の表面側に飛び出したPTC素子130を搭載した保持具180の導線184、185を覆うように、保護層170を設けた。
すなわち、第1の実施の形態に係るソリッドヒータ71では、保護層170の厚さは、基板110の表面側に飛び出した保持具180の導線184、185により設定された。
第2の実施の形態に係るソリッドヒータ71では、基板110に表面側から見て凹となる凹部112を設け、凹部112に保持具180の導線184、185が飛び出すようにした。
ソリッドヒータ71を除く他の構成は、第1の実施の形態と同様であるので、同じ符号を付して説明を省略し、ソリッドヒータ71の異なる部分を説明する。
<ソリッドヒータ71>
図7は、第2の実施の形態に係るソリッドヒータ71を説明する図である。図7(a)は、図2における矢印IIIの方向から見たソリッドヒータ71の上面図、図7(b)は、図7(a)のVIIB−VIIB線でのソリッドヒータ71の断面図である。
なお、ソリッドヒータ71は、図2で示したように定着ベルト78が移動する方向(矢印Eの方向)において断面が弧状であるが、図7(b)では、ソリッドヒータ71の一部を示すことから平坦に表記している。なお、断面は、円弧状であってもよい。
図7(a)、(b)に示すように、PTC素子130は、基板110の表面側から見た場合に凹になる凹部112の裏面に設けられている。なお、凹部112以外を平坦部111と表記する。凹部112は、PTC素子130毎に個別に設けられている。よって、凹部112を個別凹部112と表記する。
基板110の表面側に飛び出した導線184、185は、個別凹部112内に収められている。そして、個別凹部112を含む保護層170の表面は、凹凸が抑制された形状、つまり、なだらか且つ滑らかな(平滑化された)形状になっている。
よって、抵抗発熱体120上の保護層170の厚さ(厚さd2)は、第1の実施の形態に係るソリッドヒータ71の場合の厚さ(厚さd1)より薄い。
保護層170が厚さd2(<d1)と薄いため、熱容量が小さい。このため、ソリッドヒータ71を加熱するエネルギが少なくて済むとともに、加熱に要する時間が短くなる。また、抵抗発熱体120から定着ベルト78への熱伝導の効率が向上する。
<ソリッドヒータ71の製造方法>
次に、第2の実施の形態に係るソリッドヒータ71の製造方法を説明する。
図8は、第2の実施の形態に係るソリッドヒータ71を説明する拡大図である。図8(a)は、ソリッドヒータ71を基板110の表面側から見た図、図8(b)は、ソリッドヒータ71を基板110の裏面側から見た図、図8(c)は、図8(a)、(b)のVIIIC−VIIIC線でのソリッドヒータ71の断面図である。
図8(a)、(b)、(c)では、一組のPTC素子130及び抵抗発熱体120を示している。
図8(a)、(b)、(c)により、第2の実施の形態に係るソリッドヒータ71の製造方法を説明する。第2の実施の形態に係るソリッドヒータ71は、基板110が個別凹部112を備えること、及び、個別凹部112にも絶縁層160、配線142、143が形成されている点を除いて、第1の実施の形態に係るソリッドヒータ71と同様である。よって、異なる部分を説明し、同様の部分の説明を省略する。
まず、個別凹部112、及び、PTC素子130を保持する保持具180の管部182、183が貫通する貫通孔が設けられた基板110を製作する。基板110は、例えば、ステンレス鋼(SUS)である。個別凹部112は、例えば、プレス加工により形成される。
絶縁層160は、平坦部111においては、絶縁性のガラス層となるガラスペーストを用いてスクリーン印刷で形成される。一方、個別凹部112は、基板110の平坦部111の表面から距離があるため、スクリーン印刷のスクリーンが、個別凹部112の底に接触しづらい。このため、スクリーンから押し出されるガラスペーストが個別凹部112の底に付着しづらい。よって、個別凹部112に均一な厚さのガラスペーストが塗布されにくい。
そこで、個別凹部112には、ガラスペーストをディスペンサやジェットディスペンサなどによってガラスペーストを塗布する。
同様に、個別凹部112内に設けられる配線142、143の一部についても、配線用ペーストをディスペンサやジェットディスペンサなどによって塗布する。なお、平坦部111に設けられる配線142、143の部分については、配線用ペーストをスクリーン印刷により塗布する。
なお、顕微鏡などで、平坦部111上に塗布された配線用ペーストを観察しつつ、個別凹部112における配線142、143となる配線用ペーストを塗布することで、平坦部111上に形成される配線142、143と個別凹部112に形成される配線142、143とが接続されて形成される。また、顕微鏡で観察される画像から配線を認識して、自動化してもよい。
そして、個別凹部112内に設けられる保護層170の一部についても、絶縁性のガラス層となるガラスペーストをディスペンサやジェットディスペンサなどによって塗布する。なお、平坦部111に設けられる保護層170の部分については、スクリーン印刷により塗布する。
なお、個別凹部112を含んで、なだらか且つ滑らかな(平滑化された)表面とするため、個別凹部112には、平坦部111より、保護層170となるガラスペーストが厚く塗布される。ただし、個別凹部112としているので、表面をなだらか且つ滑らか(平滑化)にするために用いるガラスペーストの量は、後述する連続凹部113(図9参照)の場合に比べて、少なくてすむ。
このようにして、第2の実施の形態に係るソリッドヒータ71が製造される。
次に、第2の実施の形態に係るソリッドヒータ71の変形例を説明する。
図9は、第2の実施の形態に係るソリッドヒータ71の変形例を説明する図である。図9(a)は、図2における矢印IIIの方向から見たソリッドヒータ71の上面図、図9(b)は、図9(a)のIXB−IXB線でのソリッドヒータ71の断面図である。
なお、ソリッドヒータ71は、図2で示したように定着ベルト78が移動する方向において断面が弧状であるが、図9(b)に示すソリッドヒータ71は、一部であることから平坦に表記している。なお、断面は、円弧状であってもよい。
図9(a)、(b)に示すように、PTC素子130は、基板110の表面側から見た場合に凹になっている凹部113の裏面に設けられている。なお、凹部113以外を平坦部111と表記する。凹部113は、複数のPTC素子130に対して連続するように設けられている。よって、凹部113を連続凹部113と表記する。
基板110の表面側に飛び出した導線184、185は、連続凹部113内に収められている。そして、連続凹部113を含み、保護層170の表面は、凹凸が抑制された形状、つまり、なだらか且つ滑らかな(平滑化された)形状になっている。
連続凹部113は、個別凹部112に比べ形状が大きい。よって、連続凹部113は、個別凹部112に比べて、精度を低くしても形成しうる。すなわち、連続凹部113は、個別凹部112に比べて、基板110の加工がしやすい。
なお、連続凹部113は、すべてのPTC素子130に対して設けなくともよく、複数(2個以上)のPTC素子130に対して設ければよい。
なお、連続凹部113は、保護層170で埋められる。よって、連続凹部113は、個別凹部112に比べて、ガラスペーストを多く要する。
第2の実施の形態に係るソリッドヒータ71の変形例は、第2の実施の形態に係るソリッドヒータ71と同様な製造方法で製造できる。よって、説明を省略する。
[第3の実施の形態]
第2の実施の形態に係るソリッドヒータ71は、基板110の裏面に設けられたPTC素子130が、抵抗発熱体120の裏側からずれた位置に設けられていた。
第3の実施の形態に係るソリッドヒータ71は、基板110の裏面に設けられたPTC素子130が、抵抗発熱体120の裏側に設けられている。
ソリッドヒータ71を除く他の構成は、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同様であるので、同じ符号を付して説明を省略し、ソリッドヒータ71の異なる部分を説明する。
<ソリッドヒータ71>
図10は、第3の実施の形態に係るソリッドヒータ71を説明する拡大図である。図10(a)は、ソリッドヒータ71を基板110の表面側から見た図、図10(b)は、ソリッドヒータ71を基板110の裏面側から見た図、図10(c)は、図10(a)、(b)のXC−XC線でのソリッドヒータ71の断面図である。
図10(a)、(b)、(c)では、一組のPTC素子130及び抵抗発熱体120を示している。
図10(a)、(b)、(c)により、第3の実施の形態に係るソリッドヒータ71を説明する。
ソリッドヒータ71は、第2の実施の形態に係るソリッドヒータ71と同様に、基板110の表面側から見て、凹部112を備えている。なお、凹部112以外を平坦部111と表記する。そして、基板110は、それぞれが導線188、189を埋め込んだ管部材186、187が挿入される貫通孔を備えている。
基板110の表面側の構成は、第2の実施の形態と同様である。
基板110の裏面には、絶縁層165が一様に設けられている。そして、配線146、147が設けられている。そして、これらの配線146、147に接続されたPTC素子130が、抵抗発熱体120の裏側に設けられている。
そして、表面側の配線143と裏面側の配線146とを接続するため、基板110に設けられた貫通孔に管部材186が挿入されている。管部材186に埋め込まれた導線188により、配線143と配線146とが接続されている。同様に、表面側の配線142と裏面側の配線147とを接続するため、基板110に設けられた貫通孔に管部材187が挿入されている。管部材187に埋め込まれた導線189により、配線142と配線147とが接続されている。
管部材186、187は、例えば、第1の実施の形態で説明した保持具180と同様に、絶縁性のセラミックで構成されている。そして、導線188、189は、例えば、第1の実施の形態で説明した導線184、185と同様に、Fe−Ni−Co合金などの電気伝導度及び耐熱性が高い金属で構成されている。
そして、配線146とPTC素子130の電極133とが、配線145により接続されている。同様に、配線147とPTC素子130の電極132とが、配線144により接続されている。
このように、PTC素子130を抵抗発熱体120の裏側に配置することで、裏側に配置しない場合に比べて、抵抗発熱体120の温度上昇に対して早く反応しうる。つまり、PTC素子130は、ソリッドヒータ71の過熱をいち早く検知しうる。そして、PTC素子130の抵抗が増大して電流を抑制することで、ソリッドヒータ71、定着ベルト78などの過熱を抑制する。特に、電流の急増などによる異常加熱などのトラブル発生時において、ソリッドヒータ71における過熱をいち早く検知することで、ソリッドヒータ71が深刻なダメージを受けることが抑制される。
なお、PTC素子130が設けられる抵抗発熱体120の裏側とは、基板110の厚さ方向の熱伝導により、抵抗発熱体120の温度上昇が、PTC素子130で検知できる位置であればよい。例えば、基板110の表面側に設けられた抵抗発熱体120を基板110の裏面側に投影した際に、抵抗発熱体120が存在する範囲である。そして、PTC素子130の一部がこの範囲に含まれていればよい。
第3の実施の形態に係るソリッドヒータ71は、これまで説明した第1の実施の形態及び第2の実施の形態に係るソリッドヒータ71の製造方法を、一部変更して適用することで製造される。すなわち、基板110の裏面の全面に絶縁層165を形成し、絶縁層165上に、配線146、147を、配線141、142、143と同様に、形成すればよい。そして、PTC素子130を、第1の実施の形態で説明した保持具180に搭載する代わりに、基板110の裏面の絶縁層165上に搭載すればよい。
他の部分は、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同様である。
なお、第3の実施の形態に係るソリッドヒータ71の基板110は、第2の実施の形態に係るソリッドヒータ71と同様に、個別凹部112を備えるとした。しかし、基板110は、第2の実施の形態に係るソリッドヒータ71の変形例である連続凹部113を備える基板110としてもよく、第1の実施の形態に係るソリッドヒータ71の凹部を備えない基板110としてもよい。
上記した絶縁層160、165、保護層170、固定層190に用いるガラスペーストは、組成が同じものであってもよく、軟化する温度(ガラス転移温度)が異なるように、組成を変えたものであってもよい。
第1の実施の形態、第2の実施の形態及び第3の実施の形態に係るソリッドヒータ71では、塗布したガラスペーストを、酸素を含む雰囲気中で焼成することで絶縁層160、165、保護層170、固定層190を形成した。
ガラスペーストの代わりに、絶縁性のセラミックの微粒子を含有するペーストを用い、酸素を含む雰囲気で焼成して、絶縁層160、165、保護層170又は/及び固定層190を形成してもよい。酸素を含む雰囲気で焼成することにより、エチルセルロースなどのバインダが燃焼して除去されるとともに、セラミックの微粒子同士が焼結される。
第1の実施の形態、第2の実施の形態及び第3の実施の形態に係るソリッドヒータ71では、抵抗発熱体120の全てにPTC素子130を直列接続した。しかし、一部の抵抗発熱体120のみにPTC素子130を直列接続してもよい。例えば、使用される様々な用紙Pの幅方向のサイズについて、これら全てのサイズの用紙Pが通過する定着ベルト78の幅方向の領域(最小サイズの用紙が通過する幅方向の領域)に属する抵抗発熱体120に対しては、PTC素子130を接続しなくてもよい。
1…画像形成装置、10…画像形成部、11、11K、11C、11M、11Y…画像形成ユニット、40…用紙収容部、50…搬送部、60…定着ユニット、70…ヒータユニット、71…ソリッドヒータ、78…定着ベルト、79…押圧パッド、80…加圧ロール、110…基板、111…平坦部、112…凹部(個別凹部)、113…凹部(連続凹部)、120…抵抗発熱体、130…PTC素子、140、141、142、143、144、145…配線、150、151、152…端子、160、165…絶縁層、170…保護層、180…保持具

Claims (10)

  1. 基板と、当該基板の一方の面側に配置され、電流によって発熱する発熱体と、当該基板の他方の面側に配置され、当該基板に設けられた貫通孔を介して導線にて当該発熱体と電気的に直列に接続される正の温度係数の抵抗素子と、当該発熱体を覆って当該発熱体を保護する保護層と、を有する加熱部材と、
    前記加熱部材の前記一方の面側に接して加熱されるとともに循環するベルト部材と、
    前記ベルト部材に接してニップ部を形成する加圧部材とを備え
    前記基板は、前記一方の面側から見て、前記抵抗素子が配置される部分に凹部を有し、当該凹部内に当該基板の当該一方の面側に飛び出した前記導線を収める
    ことを特徴とする定着装置。
  2. 前記加熱部材の前記基板は、前記ベルト部材が循環する方向において前記一方の面が弧状であることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記発熱体と前記抵抗素子とは、それぞれ複数であって、
    前記凹部は、前記抵抗素子毎に設けられ
    前記保護層は、表面が平滑化されている
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の定着装置。
  4. 前記発熱体と前記抵抗素子とは、それぞれ複数であって、
    前記凹部は、前記抵抗素子少なくとも2個以上に対して1個設けられ
    前記保護層は、表面が平滑化されている
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の定着装置。
  5. 前記抵抗素子は、前記発熱体の裏側に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の定着装置。
  6. 記録媒体にトナー像を転写する転写部と、
    基板と、当該基板の一方の面側に配置され、電流によって発熱する発熱体と、当該基板の他方の面側に配置され、当該基板に設けられた貫通孔を介して導線にて当該発熱体と電気的に直列に接続される正の温度係数の抵抗素子と、当該発熱体を覆って当該発熱体を保護する保護層と、を有する加熱部材と、当該加熱部材の当該一方の面側に接して加熱されるとともに循環するベルト部材と、当該ベルト部材に接してニップ部を形成する加圧部材とを備え、当該ニップ部に挟まれた前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着部とを備え
    前記基板は、前記一方の面側から見て、前記抵抗素子が配置される部分に凹部を有し、当該凹部内に当該基板の当該一方の面側に飛び出した前記導線を収める
    ことを特徴とする画像形成装置。
  7. 基板と、
    前記基板の被加熱部材側に配置され、電流によって発熱して当該被加熱部材を加熱する発熱体と、
    前記基板の前記被加熱部材側と反対側に配置され、当該基板に設けられた貫通孔を介して導線にて前記発熱体と電気的に直列に接続される正の温度係数の抵抗素子と、
    前記発熱体を覆って当該発熱体を保護する保護層とを備え
    前記基板は、前記被加熱部材側から見て、前記抵抗素子が配置される部分に凹部を有し、当該凹部内に当該基板の当該被加熱部材側に飛び出した前記導線を収める
    ことを特徴とする加熱装置。
  8. 前記発熱体と前記抵抗素子とは、それぞれ複数であって、
    前記凹部は、前記抵抗素子毎に設けられ
    前記保護層は、表面が平滑化されている
    ことを特徴とする請求項7に記載の加熱装置。
  9. 前記発熱体と前記抵抗素子とは、それぞれ複数であって、
    前記凹部は、前記抵抗素子少なくとも2個以上に対して1個設けられ
    前記保護層は、表面が平滑化されている
    ことを特徴とする請求項7に記載の加熱装置。
  10. 前記抵抗素子は、前記基板において前記発熱体の裏側に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の加熱装置。
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