JP6696189B2 - 残存硫化水素の除去方法 - Google Patents

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Description

本発明は、硫化剤を用いた硫化反応による処理を行う硫化反応容器内に残存した硫化水素を除去する方法に関する。
ニッケル酸化鉱石を原料とするニッケル湿式製錬の分野においては、近年、高温高圧下で酸浸出する高圧酸浸出(HPAL:High Pressure Acid Leach)法による、低ニッケル品位鉱石からの有価金属の回収が実用化されている。そして、HPAL法によってニッケル酸化鉱石より浸出されたニッケル、コバルト等の有価金属の回収については、加圧下で有価金属を含む硫化浴に硫化水素ガス等の硫化剤を添加することにより、硫化物として回収する方法が一般的に行われている。
しかしながら、このような硫化物としての回収方法においては、反応容器の内壁や配管内壁上でも硫化反応が生じ、その内壁に反応生成物が付着してしまうという問題が発生する。その付着物は、硫化反応を続けることにより成長していくため、付着を放っておくと反応容器の容積が次第に減少していく。そうなると、反応容器内での滞留時間が低下して硫化反応効率が悪化したり、配管の閉塞により供給液量が低下したりするため、生産効率が低下してしまう。
これらの問題に関しては、例えば特許文献1に示すように、反応容器の圧力、反応温度、及び種晶の添加を調整することにより、反応容器内壁への付着物の発生とその成長を抑制する方法が知られている。この方法を用いることで、反応容器内への付着物の発生をある程度抑えることができるものの、完全に無くすことはできない。そのため、例えば半年に1回程度の頻度で操業を停止し、反応容器を開放して、反応容器の内壁に付着した付着物を除去する作業が必要となる。
さて、そういった付着物除去作業を行うために、反応容器を開放するにあたっては、その前処理として、反応容器内の残存硫化水素濃度を人体に影響の無いレベルの値にまで低下させる作業(以下、「残存硫化水素除去作業」と称する)が必要になる。ところが、その残存硫化水素除去作業において、効率的に行う方法に関する知見は従来から無く、単にガスを反応容器内へ吹き込んで残存硫化水素と置換する方法が一般的に行われている。
なお、例えばその置換用のガスとして、空気等を用いた場合には、残存した硫化水素が酸化されて微細な硫黄となり、スラリーの濾過性を低下させることがある。そのため、ガス置換のために用いるガスとしては、窒素やアルゴン等の不活性ガスが用いられる。
しかしながら、上述した不活性ガスを用いたガス置換による方法では、反応容器内の残存硫化水素濃度を人体に影響の無いレベルの値にまで下げるためには、2日〜3日程度の時間が必要となり、操業効率が低下するという問題があった。また、過剰に不活性ガスを吹き込む必要があるため、コストが上昇してしまう問題もあった。
このように、操業停止する期間を短縮させながら、反応容器内に残存した硫化水素ガスを効率的に除去する硫化水素除去作業の方法が求められていた。
特開2011−241446号公報
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、反応容器内に残存する硫化水素を、短い作業時間で効率的に除去する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、反応容器内に残存する硫化水素を不活性ガスによって置換して除去するに先立ち、反応容器内に所定量の水を装入して撹拌処理を施し、その後、水を抜いて置換処理を実施することで、置換処理の処理時間を有効に短縮させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に、本発明は以下のものを提供する。
(1)本発明の第1の発明は、溶液に硫化剤を添加して硫化反応を生じさせた反応容器内に残存する硫化水素を除去する残存硫化水素の除去方法であって、前記反応容器から溶液を抜き、溶液を抜いた後の該反応容器に全容積の30体積%以上100体積%以下に相当する量の水を入れて撹拌し、前記水を抜いた後の前記反応容器に不活性ガスを充填する残存硫化水素の除去方法。
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記反応容器に入れた水の撹拌時間を、10分以上とする、残存硫化水素の除去方法である。
(3)本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記溶液は、ニッケル酸化鉱石に硫酸を用いて高温高圧下で酸浸出してニッケル及びコバルトを含む浸出液を得て、該浸出液を中和した後、中和後の浸出液に対して硫化剤による硫化処理を施して生成したニッケル及びコバルトの硫化物を分離した後に得られる溶液である、残存硫化水素の除去方法である。
本発明によれば、反応容器内に残存した硫化水素を短い作業時間を効率的に除去することができる。これにより、操業を停止する時間を短縮させて効率的なプロセス操業を行うことが可能となる。
ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスの流れを示す工程図である。 残存硫化水素の除去方法の流れを説明するための図である。
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。なお、本明細書において、「X〜Y」(X、Yは任意の数値)との表記は、「X以上Y以下」の意味である。
≪1.概要≫
本実施の形態に係る残存硫化水素の除去方法は、溶液に硫化剤を添加して硫化反応を生じさせた反応容器内に残存する硫化水素を除去する方法である。
より具体的には、例えば、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスにおける硫化工程で使用した硫化反応容器、すなわち、ニッケル酸化鉱石に硫酸を用いて高温高圧下で酸浸出してニッケル及びコバルトを含む浸出液を得て、その浸出液を中和した後に、浸出液に対して硫化水素ガス等の硫化剤を添加して硫化処理を施し、生成したニッケル及びコバルトの硫化物を分離した後の硫化反応容器の内部に残存する硫化水素を除去する方法である。
そして、この残存硫化水素の除去方法では、反応容器から溶液を抜き、溶液を抜いた後の反応容器に、その反応容器の全容積の30体積%以上100体積%以下の割合に相当する量の水を入れて撹拌する。次いで、反応容器から水を抜き、水を抜いた後の反応容器に不活性ガスを充填する。つまり、この方法では、不活性ガスを用いて反応容器内を置換する前に、反応容器内に所定の割合で水を張り込んで撹拌することを特徴としている。
このような残存硫化水素の除去方法によれば、不活性ガスで置換する反応容器内の硫化水素の量を最低限にまで低減させることができ、これにより、作業時間を短縮して効率的に且つ効果的な除去作業を行うことができる。また、このことにより、反応容器の開放のために操業を停止させる時間を短くすることができ、プロセス操業の効率性を向上させることができる。
以下、より詳細に、残存硫化水素の除去方法について説明する。
≪2.残存硫化水素の除去方法について≫
残存硫化水素の除去方法は、上述したように、溶液に硫化剤を添加して硫化反応を生じさせた反応容器内に残存する硫化水素を除去する方法であり、例えば、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスにおける硫化処理後の反応容器内での作業を挙げることができる。以下では、その湿式製錬プロセスにおける硫化処理後の反応容器内の残存硫化臭化水素の除去を一例として挙げながら説明する。
<2−1.ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセス>
図1は、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスの流れを示す工程図である。この湿式製錬プロセスは、ニッケル酸化鉱石を高温高圧下で硫酸により酸浸出して浸出液と浸出残渣とを得る浸出工程S11と、浸出液に中和剤を添加して不純物を含む中和澱物と中和後液とを得る中和工程S12と、中和後液に硫化剤を添加して硫化物と硫化後液とを得る硫化工程S13とを有する。また、この湿式製錬プロセスでは、硫化工程S13にて排出された硫化後液を回収して無害化する最終中和工程S14を有する。
本実施の形態に係る残存硫化水素の除去方法は、例えばこの湿式製錬プロセスにおける硫化工程S13での処理後に反応容器内に残存する硫化水素を除去するものである。
(1)浸出工程
浸出工程S11は、例えば高温加圧容器(オートクレーブ)等を用いて、ニッケル酸化鉱石のスラリーに硫酸を添加して、例えば約220℃〜280℃の温度下で、加圧しながら撹拌処理を施し、ニッケル及びコバルトを含有する浸出液と浸出残渣とからなる浸出スラリーを生成させる工程である。
ここで、ニッケル酸化鉱石としては、主としてリモナイト鉱及びサプロライト鉱等のいわゆるラテライト鉱が挙げられる。ラテライト鉱のニッケル含有量は、通常、0.8〜2.5重量%であり、水酸化物又はケイ苦土(ケイ酸マグネシウム)鉱物として含有される。
浸出工程S11では、得られた浸出液と浸出残渣とからなる浸出スラリーを洗浄しながら、ニッケルやコバルト等を含む浸出液と、ヘマタイト(主としてFe2O3)である浸出残渣とに固液分離する。この固液分離処理では、例えば、浸出スラリーを洗浄液と混合した後、凝集剤供給設備等から供給される凝集剤を用いて、シックナー等の固液分離設備により固液分離処理を施す。具体的には、先ず、浸出スラリーが洗浄液により希釈され、次に、スラリー中の浸出残渣がシックナーの沈降物として濃縮される。
浸出スラリーに対する固液分離処理で分離された浸出液は、次工程の中和工程S12に移送され、一方で、浸出残渣はシックナーの底部から回収される。なお、回収された浸出残渣は、浸出残渣洗浄工程へと移送されて、洗浄水による洗浄処理が施される。
(2)中和工程
中和工程S12は、上述した浸出工程S11により得られた浸出液に中和剤を添加してpHを調整し、不純物元素を含む中和澱物と中和後液とを得る工程である。この中和工程S12における中和処理により、ニッケルやコバルト等の有価金属は中和後液に含まれるようになり、鉄、アルミニウム等の不純物の大部分が中和澱物となる。
中和剤としては、従来公知のもの使用することができ、例えば、炭酸カルシウム、消石灰、水酸化ナトリウム等が挙げられる。
中和工程S12における中和処理では、分離された浸出液の酸化を抑制しながら、pHを1〜4の範囲に調整することが好ましく、1.5〜2.5の範囲に調整することがより好ましい。pHが1未満であると、中和が不十分となり中和澱物と中和後液とに分離できない可能性がある。一方で、pHが4を超えると、アルミニウム等の不純物のみならず、ニッケルやコバルト等の有価金属も中和澱物に含まれる可能性がある。
(3)硫化工程
硫化工程S13は、上述した中和工程S12により得られた中和後液に硫化剤を添加してニッケル及びコバルトの硫化物(ニッケル・コバルト混合硫化物)と硫化後液とを得る工程である。この硫化工程S13における硫化処理により、ニッケル、コバルト、亜鉛等は硫化物となり、その他は硫化後液に含まれることになる。
具体的に、硫化工程S13では、得られた中和後液に対して硫化剤を添加し、中和後液に含まれるニッケルやコバルトを硫化物の形態に硫化させる硫化反応を生じさせる。これにより、不純物成分の少ないニッケル及びコバルトの硫化物と、ニッケル濃度を低い水準で安定させた硫化後液(貧液)とを生成させる。
硫化剤としては、例えば、硫化水素ガス、硫化ナトリウム、硫化水素ナトリウム(水硫化ソーダ)等を用いることができるが、その中でも、硫化水素ガスを用いることが、取扱い容易さやコスト等の点で特に好ましい。また、これら硫化剤を複数添加してもよい。
この硫化処理では、ニッケル・コバルト混合硫化物のスラリーをシックナー等の沈降分離装置を用いて沈降分離処理して、ニッケル・コバルト混合硫化物をシックナーの底部から分離回収する。
ここで、本実施の形態に係る残存硫化水素の除去方法は、上述したように、この硫化工程S13における硫化処理後に反応容器内に残存する硫化水素を除去するものである。硫化工程S13での硫化処理において、その硫化剤として硫化水素ガスを使用した場合には、反応後に未反応の硫化水素が残存し、また、硫化剤として硫化ナトリウムや硫化水素ナトリウム等の塩を使用した場合であっても、溶液の状態により硫化水素が発生する。この残存硫化水素の除去方法では、これらの処理反応後に残存した硫化水素を除去する。
(4)最終中和工程
最終中和工程S14では、上述した硫化工程S13にて生成した硫化後液、すなわち、ニッケル・コバルト混合硫化物を分離させた後の、鉄、マグネシウム、マンガン等の不純物元素を含む硫化後液に対して、排出基準を満たす所定のpH範囲に調整する中和処理(無害化処理)を施す。
最終中和工程S14における無害化処理の方法、すなわちpHの調整方法としては、特に限定されないが、例えば炭酸カルシウム(石灰石)スラリーや水酸化カルシウム(消石灰)スラリー等の中和剤を添加することによって所定の範囲に調整する。
<2−2.残存硫化水素の除去>
図2は、本実施の形態に係る残存硫化水素の除去方法の流れを説明するための図である。この残存硫化水素の除去方法では、例えば上述した硫化工程S13での硫化処理後に反応容器内に残存する硫化水素を除去対象とする。
[工程液の抜き出し]
具体的には、先ず、硫化処理後の反応容器内に存在する溶液を抜き出す。ここで、反応容器から抜き出す溶液とは、例えば硫化反応により得られた硫化後液であり、一般的に、その硫化反応により得られたその硫化後液には、硫化水素が溶存している。以下ではこの溶液を「工程液」ともいう。
なお、例えば上述した硫化工程S13では、シックナー等の沈降分離装置によって、ニッケル・コバルト混合硫化物がシックナーの底部から分離回収され、一方で硫化後液は、その装置からオーバーフローにより別途抜き出されるが、ここでの「溶液の抜き出し」は、広義ではこのようなオーバーフローによる抜き出しの意味も含み、またオーバーフローによる抜き出し後に反応容器内に残留した微量の工程液を抜き出す意味も含む。
工程液を反応容器から抜き出す方法としては、特に限定されないが、反応容器からほぼ完全に工程液を抜き出せる方法であることが好ましい。
[水を入れて撹拌]
次に、工程液を抜いた後の反応容器内に対して、水を張り込む。反応容器内に水を張る方法としては、特に限定されないが、大容量の水を短時間で装入する観点からすると、ポンプ等を用いた方法により行うことが好ましい。なお、ポンプとしては、通常のプロセス操業において、処理後の溶液を次工程に送液するために用いるものを使用できる。
そしてこのとき、反応容器内への水の装入量としては、溶液を抜いた反応容器の全容積の30体積%以上100体積%以下の割合に相当する量を装入する。また、好ましくは反応容器の全容積の40体積%以上とし、より好ましくは全容積の50体積%以上とする。水の装入量が、反応容器の全容積の30体積%未満のように少なすぎると、水による硫化水素ガスの吸収と、容器内に付着した溶液(工程溶液)の洗浄が不十分になる。
続いて、反応容器内に張り込んだ水を撹拌する。このように、硫化水素ガスが残存した反応容器内に所定量の水を張り込み、撹拌処理を施すことによって、反応容器に付着している、硫化水素が溶存した工程液を洗浄除去することができる。また、反応容器に残存している硫化水素ガスは水に溶解しやすいことから、水を装入して撹拌処理を施すことで、その気相から硫化水素ガスを効果的に吸収除去することができる。
水の撹拌方法としては、特に限定されず、公知の撹拌機を用いたり、不活性ガスを水の中に吹き込んだりする等の方法により行うことができる。また、撹拌時間としては、残存した硫化水素ガスの吸収と、反応容器内に付着した工程液の洗浄を十分に行うという観点から、10分以上の時間とすることが好ましい、30分以上とすることがより好ましい。なお、当然に撹拌処理の処理時間が長い方が、硫化水素ガスの溶解や工程液の洗浄等の観点からすると好ましいが、長すぎると反応容器の開放時間が長くなり好ましくない。
水の撹拌処理が終了すると、その水を反応容器から抜き出す。なお、抜き出した水には、硫化水素が溶存していることから、除害処理を行う設備等に送液することが好ましい。
[不活性ガスによる置換]
次に、水を抜いた反応容器に対して、不活性ガスを吹き込むことによって充填し、反応容器内に残存する硫化水素ガスを置換する。このような置換処理を施すことによって、反応容器内の残存硫化水素濃度を低減させる。
不活性ガスとしては、特に限定されず、窒素ガスやアルゴン等を使用することができるが、その中でも、安価で大量に生産可能であるという点から、窒素ガスを使用することが好ましい。なお、置換処理のためのガスとしては、空気を用いることも考えられるが、残存する硫化水素ガスが吹き込んだ空気により酸化され、微細な硫黄が生成してしまう可能性がある。
置換処理の方法としては、特に限定されないが、反応容器の内圧が例えば50kPag以上となるように不活性ガスを吹き込み、その後、反応容器からガスを抜き出す。例えばこのような作業を繰り返し行うことによって、反応容器内に残存する硫化水素ガスを不活性ガスに置換することができる。
本実施の形態に係る残存硫化水素の除去方法では、この不活性ガスによる置換処理を、例えば1時間程度の短時間とすることができる。すなわち、残存する硫化水素ガスを、短時間で除去することができる。このことは、不活性ガスによる置換処理の前に、反応容器内に所定量の水を装入して撹拌処理を行っていることにより、残存する硫化水素ガスをその水に吸収させることでき、また、反応容器内に工程液が存在していた場合であってもその水により簡易に洗浄除去することができることから、置換処理を行う前に多くの残存硫化水素を除去することができるためである。
すると、従来の方法に比して、不活性ガスとの置換対象である硫化水素ガスが低減された状態となるため、この置換処理の処理時間を短くすることができる。
[不活性ガスの分離]
置換処理の後、不活性ガスを分離する。置換処理の終了の時点については、例えば、定電位電解式の硫化水素検知器等を用いて反応容器内における硫化水素ガスの濃度を測定し、人体に影響のないレベルにまで低下した時点に基づいて判断する。
以下、本発明の実施例を示してさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスにおける硫化工程として、中和処理後の溶液(中和後液)に、硫化水素ガスと水硫化ソーダとを硫化剤として用いた硫化反応を生じさせた。なお、この硫化反応は、撹拌機を有する4基の硫化反応容器を直列に連結させて用い、連続的に硫化処理を実施する反応系にて行った。
[1]工程液の抜き出し
硫化反応を停止させた後、その反応容器内に残っていた硫化後液(工程液)をその容器から抜き出した。
[2]反応容器への水張り、撹拌、水の抜き出し
次に、反応容器の全容量の50体積%に相当する量の水を、ポンプを用いて反応容器内に供給した。なお、ポンプとしては、生成した工程液を反応容器へ送液する際に用いていたものと同様のものを使用した。
続いて、反応容器内に装入した水を、その反応容器に設置されたパドル型撹拌翼を備えた撹拌機によって1時間に亘って撹拌し、撹拌処理後に水を抜き出した。なお、抜き出した水は、除害設備へと送液した。
[3]窒素ガスによる置換
次に、水を抜き出した後の反応容器内に、窒素ガスを吹き込み、残存する硫化水素ガスの置換作業を行った。具体的には、反応容器の内圧が50kPag以上になるように窒素ガスで加圧し、その後反応容器の外にガスを抜く作業を繰り返し、反応容器内に残存する硫化水素ガスを窒素ガスにより置換した。
一般的な定電位電解式の硫化水素検知器を用いて、反応容器内の硫化水素濃度を測定し、反応容器内の硫化水素濃度が50ppm以下となった時点で、硫化水素の置換が完了したとみなした。なお、反応容器から抜き出した窒素ガスと硫化水素ガスとの混合ガスは、洗浄液として水酸化ナトリウム水溶液を用いたガス洗浄塔にて硫化水素を除去する処理を施し、その後に大気中へ放出した。
以上のような作業を行い、一連の工程を、[1]「工程液の抜き出し」工程、[2]「反応容器への水張り、撹拌、水の抜き出し」工程、[3]「窒素ガスによる置換」工程、にそれぞれに分け、各工程に要する時間を測定した。
その結果、[1]工程が4時間、[2]工程が6時間、[3]工程が24時間であり、反応容器内の残存硫化水素を除去するのに要した時間は、合計34時間であった。
(比較例1)
比較例1では、実施例1と異なり、[2]工程を行わなかった。なお、それ以外は、実施例1と同様の手順により、反応容器内の残存硫化水素の除去を実施した。
実施例1と同様に、各工程で要した時間を測定したところ、[1]工程が4時間、[2]工程が0時間、[3]工程が73時間であり、反応容器内の残存硫化水素を除去するのに要した時間は、合計で77時間であった。
以上の実施例1、比較例1の結果から、窒素ガスによる置換処理に先立ち、反応容器内に水を装入して撹拌する処理を行った実施例1では、従来の方法に基づく比較例1に比べて、窒素ガスによる置換処理に要する時間を大幅に短縮することができることが分かった。そして、反応容器内の残存硫化水素を除去する作業としては、その反応容器内への水の装入やその水の撹拌処理の時間を加味しても、従来の方法で要した時間の半分以下とすることができ、効率的な作業を行うことができることが分かった。

Claims (2)

  1. ニッケル酸化鉱石に硫酸を用いて高温高圧下で酸浸出してニッケル及びコバルトを含む浸出液を得て、該浸出液を中和した後、中和後の浸出液に硫化剤を添加して硫化反応を生じさせた反応容器内に残存する硫化水素を、前記反応容器に不活性ガスを充填して置換除去する残存硫化水素の除去方法であって、
    前記反応容器から、前記硫化反応によって生成した、ニッケル及びコバルトの硫化物を分離した後に得られる溶液である工程液を抜き、該工程液を抜いた後の該反応容器に全容積の30体積%以上100体積%以下に相当する量の水を入れて撹拌することによって、該反応容器に付着している硫化水素が溶存した該工程液を洗浄除去し、
    前記水を抜いた後の前記反応容器に不活性ガスを充填して、前記反応容器内の残存硫化水素を、不活性ガスによって、1〜24時間置換除去する
    残存硫化水素の除去方法。
  2. 前記反応容器に入れた水の撹拌時間を、10分以上とする
    請求項1に記載の残存硫化水素の除去方法。
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