JP6695923B2 - 機能性枕 - Google Patents
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Description
〔1〕 機能性枕であって、
表面と、裏面と、一又は複数の区画とを備えてなり、
前記表面と、前記裏面と、前記一又は複数の区画との少なくとも一つが、活火山の火山灰を備えた物理的化学的素材によって構築されてなり、
前記火山灰が、活火山から噴出されたものであり、噴出された時から100年以内ものであることを特徴とする、機能性枕。
〔2〕 前記一又は複数の区画が、前記機能性枕を正面にして、
一又は複数の小区画を備えた左側区画と、
一又は複数の小区画を備えた中央区画と、
一又は複数の小区画を備えた右側区画とを備えてなるものである、〔1〕に記載の機能性枕。
〔3〕 前記一又は複数の区画が、高さ方向に、一又は複数積層されてなる、〔1〕又は〔2〕に記載の機能性枕。
〔4〕 前記表面と、前記裏面と、前記一又は複数の区画との少なくとも一つが、消臭剤、防ウィルス剤、防菌材、防黴剤又は消毒剤として、Cu、Ag、Zn、Ti、Au、Pt、Mn、Fe及びZr並びにこれら金属のイオンからなる群から選択される一種又は二種以上の混合物を備えた物理的化学的素材によって構築されてなる、〔1〕〜〔3〕の何れか一項に記載の機能性枕。
〔5〕 前記表面と、前記裏面と、前記一又は複数の区画との少なくとも一つが、蓄熱材及び/又は放熱材として、活火山の火山灰及び/又は流動パラフィンを備えた物理的化学的素材によって構築されてなる、〔1〕〜〔4〕の何れか一項に記載の機能性枕。
〔6〕 前記物理的化学的素材が、化学繊維、発泡体、又は構造体である、〔1〕〜〔5〕の何れか一項に記載の機能性枕。
〔7〕 前記化学繊維が、フィラメント、ステーブル、紡糸、織物、編み物、又は不織布である、〔6〕に記載の機能性枕。
〔8〕 前記発泡体が、ポリウレタン系発泡体、ポリエチレン系発泡体、ポリスチレン系発泡体、ポリプロピレン系発泡体、ゴム系発泡体、シリコンフォーム、メラミンスポンジ、アクリルフォーム、EVA、又はトランスクールである、〔6〕に記載の機能性枕。
〔9〕 前記構造体が、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂とを備えてなるものである、〔6〕に記載の機能性枕。
〔10〕 前記一又は複数の区画又は前記一又は複数の小区画が充填材により充填されてなり、
前記充填材が、〔1〕、〔4〕〜〔9〕の何れか一項に記載の物理的化学的素材により構築されてなる、〔1〕〜〔9〕の何れか一項に記載の機能性枕。
(火山灰)
「火山灰」とは、火山の噴出物(火山砕屑物)の一つであり、主としてマグマが発泡してできる細かい破片のことであり、平均粒径が10mm未満(通常、2〜3mm程度)のものであって、火山ガラス、鉱物結晶などから構成されているものである。マグマが発泡してできる細かい破片には、火山灰以外に、平均粒径の小さい順から、火山塵、(火山灰)、火山砂、火山砂利、火山礫、溶岩が例示されるが、これらの構成は火山灰と同じものである。本発明にあっては、火山灰には、火山塵等をも包含するものであり、かつ、これらを所望の平均粒径とした粉砕(破砕)物も包含するものである。火山灰が堆積したものとして、シラス(火山灰)が存在するが、シラスは一般に、古い(少なくとも3万年前)時代に、火山から噴出され、体積した火山灰である。
「活火山」とは、「概ね、過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」と定義されている(2003年、火山噴火予知連絡会)。活火山には、従来定義されていた「休火山」(文献及び書物による検証可能な歴史時代に噴火記録が記されているが、現在、休止している火山をいう。)をも包含するものである。「活火山」は、2017年6月時点で、気象庁報告によれば、111山が存在する。本発明にあっては、内外国の活火山から噴出した火山灰を使用することができる。活火山は、例えば、日本火山帯を包含する環太平洋火山帯、インドネシア火山帯、地中海火山帯等に属するものが含まれる。日本国内においては、現在、近年、マグマの性質、地球物理学的研究の結果から、東日本火山帯と西日本火山帯の2区分となっている。
〔機能性枕〕
本発明の一の態様によれば、枕、特に、機能性枕を提案することができ、この枕は、表面と、裏面と、一又は複数の区画とを備えてなり、
前記表面と、前記裏面と、前記一又は複数の区画との少なくとも一つが、活火山の火山灰を備えた物理的化学的素材によって構築されてなり、
前記火山灰が、活火山から噴出されたものであり、噴出された時から100年以内ものであることを特徴とするものである。
前記表面と、前記裏面と、前記一又は複数の区画との少なくとも一つが、活火山の火山灰、消臭剤、形成材等を備えてなる物理的化学的素材によって構築されることにより、遠赤外線効果(発熱性及び保温性)、イオン発生効果、保湿性、防臭性、消臭性、防菌性、安眠性、姿勢保持性等の効果を高い次元において達成することが可能となる。
本発明の一の態様は、表面と、裏面と、一又は複数の区画とを備えてなり、特に、前記複数の区画で構成されてなるものが好ましい。特に、前記一又は複数の区画が、前記機能性枕を正面にして、一又は複数の小区画を備えた左側区画と、一又は複数の小区画を備えた中央区画と、一又は複数の小区画を備えた右側区画とを備えてなるものが好ましくは提案される。前記一又は複数の区画(小区画を包含)は、多角形、円形、楕円形等の特定の形状であってよく、好ましくは、四角形(正方形、菱形、長方形等)、三角形、五角形、六角形で形成されてよい。
本発明の一の態様は、図1及び図2を用いて説明することができる。図1に示す通り、機能性枕Aは、複数の区画(a,b,c,d,e,f,g)により構成されてなる。機能性枕Aは、布製袋の表面布1と裏面布2とによって構成される。これによって、先ず、中空の区画を形成し、その後、糸等によって縫製し、或いは接着剤、熱溶融性繊維等を用いて密閉し、複数の区画(a,b,c,d,e,f,g)として構成される。
本発明による機能性枕は、前記一又は複数の区画が、高さ方向に、一又は複数積層されてなる形態のものが好ましくは提案される。このような好ましい態様は、図4及び図5によって概説することができる。図4に示した通り、機能性枕は、略長方形形状の区画X〔一又は複数の小区画を備えた左側区画Xn〕と、複数のYnの区画部Y〔一又は複数の小区画を備えた中央区画Yn〕と、略長方形形状の区画Z〔一又は複数の小区画を備えた右側区画Zn〕として構成することが可能である。図5は、機能性枕の横方向の断面図である。図5に示す通り、機能性枕は、上層、中層、下層として構成することができる。このように、高さ方向に、機能性区画を積層させたものとして構成されてもよい。積層数は、複数であってよく、好ましくは2層以上10層以下であり、より好ましくは5層以下であり、最も好ましくは3層以下である。
(機能性材料:物理的化学的素材)
機能性枕を構成する区画及び充填材は、多種多様な機能性を付与するために、機能性材料(物理的化学的素材)を使用する。
機能性材料(物理的化学的素材)としては、遠赤外線効果(発熱性及び保温性)、イオン発生効果、保湿性、防臭性、消臭性、防菌性、安眠性、姿勢保持性等を付与する様々な物理的化学的素材が用いられ、本発明にあっては、好ましくは、活火山の火山灰又は消臭剤を用いることができる。
本発明にあっては、活火山の火山灰を用いることができる。活火山の火山灰には、活火山の噴出から100年以上経過したものは使用しない。従って、本発明にあっては、活火山の火山灰には、シラスは含まれないものであり、火山灰であっても区別して使用する。但し、活火山の火山灰を生シラスと呼ぶ場合があり、この生シラスは別称として使用することがある。
枕は睡眠という日常において使用するものであり、本発明による機能性枕は、好ましくは、臭い、ウィルス、細菌、黴等の人体に悪影響を及ぼすものの発生要因を排除させるものとして構成されてなるものが好ましい。一方、機能性枕は、人体が日常的に使用するものであることから、可能であれば、人体に悪影響を与えるものの使用は排除すべきである。従って、本発明にあっては、人体に悪影響及び副作用を起こさない、消臭剤、抗ウィルス剤、抗菌剤、殺菌剤、消毒剤等を用いることが可能である。
機能性(物理的化学的)素材は、活火山の火山灰、消臭剤等、流動パラフィン等を包含し、化学物質等とで構成されてよく、例えば、化学繊維として構成されてよい。従って、本発明による機能性枕は、この化学繊維を用いた織物又は布等によって、中空の一又は複数の表面又は裏面と、一又は複数の充填材として構成されてよい。化学繊維とする場合、火山灰又は消臭剤等の含有量は、化学繊維全質量に対して、0質量%超過70質量%以下であり、下限値が好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは20質量%以上であり、上限値が好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下である。
機能性素材(物理的化学的材料)は、活火山の火山灰、消臭剤等、流動パラフィン等を包含し、化学物質等とで構成されてよく、例えば、充填材(発泡体)として構成されてよい。これは、本発明による機能性枕の充填材として使用されてなり、機能性充填材、形成材、姿勢安定材等として機能させることが可能である。
「ウレタン系発泡体」は、ポリオールとイソシアネートを主成分として、発泡剤、整泡剤、触媒、着色剤などを混合し樹脂化させながら発泡させた発泡体である。ウレタンフォームは、エーテル系ウレタンフォームと、エステル系ウレタンフォームとに分類される。成分の配合を変えることにより、高弾性、低反発、吸音特化、導電性等の機能性を持たせることができる。
「ポリエチレン系発泡体」は、吸水性が低く、可撓性と、圧縮強度に優れるものである。「ポリエチレン系発泡体」は、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、リニアポリエチレン等のポリエチレンを主原料とし、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−プロピレン共重合体を使用する。発泡剤は、分解型有機系ではアゾジカルボンアミド及びN,N−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等、揮発性ではブタン及びペンタン等の炭化水素類またはハロゲン化炭化水素類、不活性ガスでは二酸化炭素及び窒素などが使われる。架橋発泡法における架橋剤には、ジクミルパーオキサイドなど有機過酸化物系が使用される。
「ポリスチレン系発泡体」は、「発泡スチロール」とも呼ばれるものである。一般に、汎用ポリスチレンを主原料とし、発泡剤にはPSの軟化点よりも沸点が低い炭化水素類(プロパン・ブタン・ペンタン・ヘキサン・ヘプタン・シクロヘキサン等)を単体または混合して用いる。これに火山灰を混合し、気泡を形成する。
「ポリプロピレン系発泡体」は、ポリプロピレン(PP)を原料として用いたものであり、比較的耐熱性が高いものである。「ポリプロピレン系発泡体」は、ポリプロピレン(PP)に、架橋剤、火山灰を混合し、加圧発泡法によって製造される。
「ゴム系発泡体」は、合成ゴム又は特殊ゴムに、有機系発泡剤などの諸原料を混合し、熱分解させて製造されるものであり、軽量で強靱な材質を有する。「ゴム系発泡体」は、ゴム(合成)に、架橋剤、発泡剤、火山灰を混合して、加熱、気泡を形成させて製造することができる。「ゴム系発泡体」には、CR系ゴムスポンジ、NR系ゴムスポンジ、NBR系ゴムスポンジ、EPDM系ゴムスポンジ、エプトシーラー、ルシーラ、オプシーラー、ゴムチップスポンジ等が例示される。
その他の発泡体として、シリコンフォーム、メラミンスポンジ、アクリルフォーム、EVA、トランスクール等が挙げられ、上記した製造方法によって製造される。
物理的化学的素材は、上記火山灰を包含し、化学物質等とで構成されてよく、例えば、構造体として構成されてよい。構造体は区画用材(表面又は裏面用材)或いは充填材として使用することができ、特に、柔軟剤、軟硬質材、姿勢安定形成材、枕形状安定材等として使用することも可能である。
機能性充填材として、先にも述べたが、樹脂製の中空粒状充填材が好ましくは用いられる。この中空粒状充填材は、その粒状の殻壁が、肉厚0.1〜0.5mm程度の薄肉のものが好ましい。この中空粒状充填材は、樹脂中に分散させる機能性材料(潜熱蓄熱材、放熱材)が、樹脂を介して熱を穏やかに伝えやすく、使用者の頭部に心地よい温感及び冷感を与えることができるので好ましい。この機能性充填材の好ましい態様について以下に概説する。
活火山の火山灰粉末は、体温で35〜37℃程度に加熱された状態で、遠赤外線をできるだけ効率よく発生させることができるものであることが好ましい。
(潜熱)蓄熱材は、枕を冷却するために使用できる周知の素材であればよく、特に種類を限定したものでなくてもよいが、万一にも皮膚に触れた場合の安全性を考慮すると、融点22〜37℃のパラフィン系潜熱蓄熱材を内包するマイクロカプセル粉末を分散状態で保持させた粒状充填材が好ましものとして例示される。
0程度の鎖状アルカンを主成分とし、ナフテン基原油を原料とするものであれば、前記同程度の炭素数のシクロアルカンを主成分としてもよい。
潜熱蓄熱材の合成樹脂への配合量は、5〜30質量%であることが好ましい。上記所定量未満の少量では、中空粒体の集合物が充分に蓄熱性を発揮できず、充分な冷感を得ることが困難になり、上記所定量を超える多量を配合してもそれ以上の冷感作用の改善は認められず、添加効率が低下して実用性が低下するからである。このような傾向から、より好ましいマイクロカプセル粉末の添加量は、10〜25質量%であり、通常、15〜20質量%を目安に添加して好ましい結果を得ている。
本発明にあっては、充填材として、上記した本発明を構成する者以外に、穀物種子の外皮(例えば、そば殻)、プラスチック形成体又は繊維、パンヤ、ビーズ、ウレタンフォーム、動物の毛、植物繊維、シラス等を用いることが可能である。
(火山灰/シラス)
実施例
活火山の火山灰として、日本国鹿児島県の活火山である桜島から噴出して約3か月以内のものを採取した微細粒子のものを使用した。
比較例
シラスは、日本国鹿児島県の大地を形成するシラス台地(約3万年前の火山灰:C14年代測定法により年代を測定済み)から採取した微細粒子のものを用いた。
実施例及び比較例ともに、微細粒子の平均粒径等の物性は略同じものであった。
Ag金属と、ゼオライトとの混合物を粉砕し、攪拌混合することで得た、平均粒子径がナノメートオーダーとなるAgゼオライト混合物粒子を調製した。
融点が22℃〜37℃である流動パラフィンを使用した。
(1)繊維布地(区画又は充填材用)
N,N−ジメチルホルムアミド溶媒に、ポリマー原料として、ウレタン結合(−O・CO・NH−)を有する芳香族イソシアネート化合物と、実施例による活火山の火山灰微細粒子又は比較例によるシラス微細粒子をそれぞれ30質量%添加した原料組成物を、湿式紡糸し、編み上げて、目付が約500g/m2であり、厚さが約1mmのウレタン化学素材(繊維布地)を調製し、それぞれ、実施例1及び比較例1とした。
ポリエチレンと、実施例による活火山の火山灰微細粒子又は比較例によるシラス微細粒子を、それぞれ4質量%添加した原料組成物を、形成機器に導入処理して、中空形状に成型した、ポリオレフィン化学素材(構造体:中空ビーズ)を調製し、実施例2及び比較例2とした。中空ビーズは、縦×横×厚さが約2cm×約2cm×約1.3cmであり、中空構造であり、ビーズ膜厚は約0.5mm程度のものであった。
ポリエチレンと、実施例によるAgゼオライト混合物粒子を、4質量%添加した原料組成物を、形成機器に導入処理して、中空形状に成型した、ポリオレフィン化学素材(構造体:中空ビーズ)を調製し、実施例3とした。機能性材料を一切包含せずに、ポリエチレンのみで形成した中空ビーズを比較例3とした。中空ビーズは、縦×横×厚さが約2cm×約2cm×約1.3cmであり、中空構造であり、ビーズ膜厚は約0.5mm程度のものであった。
ポリエチレンに、融点が22℃〜37℃である流動パラフィン約30質量%を混合分散させた原料組成物を、形成機器に導入処理して、中空形状に成型した、ポリオレフィン化学素材(構造体:中空粒状充填材)を調製し、実施例4とした。中空粒状充填材は、縦×横×厚さが約2cm×約2cm×約1.3cmであり、中空構造であり、膜厚は約0.5mm程度のものであった。
〔評価試験〕
〔評価方法1〕
45度パラレル再放射法〔遠赤外線協会(一社) 認定規則に準じた〕を用いて、実施例1及び比較例2について評価した。
45度パラレル再放射法は、図1に概説した装置を用いて行った。この測定装置は測定台1上に配置された試料3を載置する試料台4、測定台枠2に設置された該試料3を加熱するヒーター5、該試料から放射される遠赤外線量を測定するサーモグラフィカメラ6およびモニター装置7から構成されてなる。試料3は測定試料(実施例1)と対照試料(比較例2)とからなり、サーモビュアにより両試料の表面温度を、15、30、60、120、T∞(s/秒)毎に、5回(n=5)測定し、温度差(ΔT)を求めた。試験は、左右入れ替えて2回行った。測定結果は、下記〔表2〕の通りであった。
ΔT=0.6℃(n=5)であった〔信頼限界99%(Pr:0.01)で有意差が認められた〕。
よって、実施例1は、比較例1と比べて遠赤外線量が高いことが理解された。即ち、実施例1の布地は、比較例1の布地と比べて、広い波長領域の遠赤外線に対して吸収・再放射特性(遠赤外線効果)を高めて、保温性を極めて高い次元において向上(達成)させたことが理解された。
〔評価方法2〕
図2に概説した表面温度測定装置を用いて、実施例2及び比較例2について熱特性評価を行った。この測定装置は試料台上に配置された、試料(実施例2及び比較例2)の中空ビーズを各々、縦5個、横6個合計30個並べて配置した。下記〔評価条件2〕により、レフランプを照射した時の試料表面温度をサーモカメラにて経時的に測定した。測定は、試料(実施例2と比較例2)との位置(左右)を入れ替えて、2回行って、その測定データは平均値として結果とした。
使用ランプ:岩崎電機(株)製 アイランプ<スポット>PRS100V500W
照射 距離:50cm
照 射 面:表面側
照射 時間:15分間
試験室温度:20±2℃
サーモカメラ:フリアーシステムズジャパン(株)製 FLIR T430sc(放射率0.94)
経時変化による表面温度の結果は以下の〔表3〕、〔表4〕及び〔図3〕に記載した通りであった。なお、〔表3〕及び〔表4〕は、〔図2〕の測定装置におけるサーモ画像中(例えば、〔図3〕)の平均温度である。平均温度は、試料台の温度を包含することを考慮し算出したものである。
〔表3〕、〔表4〕及び〔図3〕に記載した通り、実施例2は比較例2と比べて、経時的変化による熱吸収性(熱特性)が極めた高いことが理解された。
〔評価方法3〕
実施例1及び比較例1の布地から同一基準の試験片を作成し、各資料を乾燥機で乾燥状態にした後に、それぞれの質量を測定した。40℃×90%RHの下で吸湿させた後、1〜4時間経過後の各資料の質量を測定した。その後、20℃×65%RHの下で放湿させた後、1〜4時間経過後の各資料の質量を測定した。
評価結果は、下記〔表5〕及び〔表6〕(グラフ)の通りであった。〔表5〕及び〔表6〕に記載された結果の通り、実施例1は比較例1と比べて保湿性が極めて高いことが理解された。
繊維評価技術協議会(一社)におけるSEKマーク繊維製品認証基準(消臭性試験)における官能評価試験に準じて行った。
〔評価方法4〕
1)汗臭として、アンモニア、酢酸、イソ吉草酸の混合物を用意した。
2)加齢臭として、アンモニア、酢酸、イソ吉草酸、ノネナールの混合物を用意した。
実施例1〜3、比較例1及び比較例2の各々約10gに対して、総質量1.0g程度の試料を調製し、臭気強度3.5相当の濃度となるように、上記1)及び2)の臭気成分とともに、500mlの三角フラスコに入れて密閉した。密閉後2時間経過した後に、三角フラスコ内の雰囲気臭を基準臭気(臭気強度2.0相当)と比較して、パネラー(出願人の従業員18歳から65歳までの男女5名ずつ合計10名)によって評価した。評価は、下記〔評価基準4〕によって行った。
2時間後の臭気について基準臭気との比較において以下の基準に該当する人数によって評価した。その結果は下記〔表7〕に記載した通りであった。
評価◎:2時間後の臭気が無かった。
評価○:2時間後の臭気が基準臭気と同程度であった。
評価△:2時間後の臭気が基準臭気超えたものであった。
実施例1〜3は、10名全員が臭気がなかったと判断した。一方、比較例1及び比較例2は、基準臭気と同程度であり、或いは、基準臭気を超える臭気が残存したと判断した。
よって、実施例は、比較例と比べて、防臭性及び消臭性が高いことが理解された。
(枕の調製)
実施例A
図4に示す、左側区画(X)と右側区画(Z)それぞれ一つずつを高さ方向に二層にし、かつ、3つの小区画を備えた中央区画(Yn)を高さ方向に二層にして機能性枕を調製した。全区画(3つの小区画を包含)を構成する表面及び裏面を実施例1による化学繊維(活火山の火山灰含有)で構成した。左側区画(X)の上層(表面側)、3つの小区画を備えた中央区画(Yn)の上層に、及び右側区画(Z)の上層(表面側)のそれぞれにはダウン(羽毛)を充填し、左側区画(X)の下層(裏面側)には実施例2の中空ビーズ(活火山の火山灰含有)を充填し、3つの小区画を備えた中央区画(Yn)の下層(裏面側)には実施例3の中空ビーズ(Agゼオライト混合物粒子含有)を充填し、右側区画(Z)の下層(裏面側)には実施例4の機能性充填材(流動パレフィン含有)を充填した。
上記実施例Aにおいて、実施例1を比較例1とし、実施例2を比較例2とし、実施例3及び実施例4を比較例3とした以外は実施例Aと同様にして枕を調製した。
上記実施例Aの機能性枕と比較例Aの枕について、被験者として出願人(会社)に所属する60歳代の男性に、所定の条件で枕を使用してもらった。
(評価内容)
1)保温性(蓄熱性)評価5
室温を約15℃とした室内において寝具をひき、実施例Aの機能性枕と比較例Aの枕を使用してもらい、以下の基準で評価した。
被検者が以下の基準によって評価した。その結果は下記〔表8〕に記載した通りであった。
評価◎:枕使用後約15分程度で安眠可能な保温(蓄熱)状態であると判断した。
評価○:枕使用後約1時間程度で安眠可能な保温(蓄熱)状態であると判断した。
評価△:枕使用後約3時間程度で安眠可能な保温(蓄熱)状態であると判断した。
評価×:枕使用後安眠可能な保温(蓄熱)状態であると判断することはできなかった。
実施例Aの機能性枕は、優れた保温・蓄熱特性を有しており、他方、比較例Aの枕は従来の枕と同様に、通常の保温特性を示したに過ぎなかった。
よって、実施例Aは、比較例Aと比べて、保温性及び蓄熱性に優れたものであることが理解された。
室温を約28℃とした室内において寝具をひき、実施例Aの機能性枕と比較例Aの枕を使用してもらい、以下の基準で評価した。
被検者が以下の基準によって評価した。その結果は下記〔表9〕に記載した通りであった。
評価◎:枕使用後約15分程度で安眠可能な冷感状態であると判断した。
評価○:枕使用後約1時間程度で安眠可能な冷感状態であると判断した。
評価△:枕使用後約3時間程度で安眠可能な冷感状態であると判断した。
評価×:枕使用後安眠可能な冷感状態であると判断することはできなかった。
実施例Aの機能性枕は、優れた放熱特性を有しており、他方、比較例Aの枕は従来の枕と同様に、通常の放熱特性を示したに過ぎなかった。
よって、実施例Aは、比較例Aと比べて、放熱性に優れたものであることが理解された。
(評価調製)
上記実施例Aの機能性枕と比較例Aの枕について、被験者として出願人(会社)に所属する60歳代の男性に、室温(約26℃)において、それぞれ2週間、枕を使用してもらった。
(評価内容)
上記評価4と同様に、繊維評価技術協議会(一社)におけるSEKマーク繊維製品認証基準(消臭性試験)における官能評価試験に準じて行った。
1)汗臭として、アンモニア、酢酸、イソ吉草酸の混合物を用意した。
2)加齢臭として、アンモニア、酢酸、イソ吉草酸、ノネナールの混合物を用意した。
実施例1〜3、比較例1及び比較例2の各々約10gに対して、総質量1.0g程度の試料を調製し、臭気強度3.5相当の濃度となるように、上記1)及び2)の臭気成分とともに、500mlの三角フラスコに入れて密閉した。密閉後2時間経過した後に、三角フラスコ内の雰囲気臭を基準臭気(臭気強度2.0相当)と比較して、パネラー(出願人の従業員18歳から65歳までの男女5名ずつ合計10名)によって評価した。評価は、下記〈評価基準7〉によって行った。
2時間後の臭気について基準臭気との比較において以下の基準に該当する人数によって評価した。その結果は下記〔表10〕に記載した通りであった。
評価◎:2時間後の臭気が無かった。
評価○:2時間後の臭気が基準臭気と同程度であった。
評価△:2時間後の臭気が基準臭気超えたものであった。
実施例Aは、10名全員が臭気がなかったと判断した。一方、比較例Aは、基準臭気と同程度であり、或いは、基準臭気を超える臭気が残存したと判断した。
よって、実施例Aは、比較例Aと比べて、防臭性及び消臭性が高いことが理解された。
2 裏面布
3 横幕状仕切り布
4 天幕状仕切り布
5 繊維系多孔質材
6a,6b 粒状充填材
7、8、9、10 生地
11 パイピング
12 チャック
A 寝具用枕
B 使用者
B1 後頭部
B2 首筋部
B3 頬
a,b,c,d,e,f,g 閉鎖空間区
X 左側区画
Yn 中央区画
X 右側区画
Claims (8)
- 機能性枕であって、
表面と、裏面と、一又は複数の区画とを備えてなり、
前記表面と、前記裏面と、前記一又は複数の区画との少なくとも一つが、活火山の火山灰を備えた素材によって構築されてなり、
前記火山灰が、活火山から噴出されたものであり、噴出された時から100年以内ものであることを特徴とする、機能性枕。 - 前記一又は複数の区画が、前記機能性枕を正面にして、
一又は複数の小区画を備えた左側区画と、
一又は複数の小区画を備えた中央区画と、
一又は複数の小区画を備えた右側区画とを備えてなるものである、請求項1に記載の機能性枕。 - 前記一又は複数の区画が、高さ方向に、一又は複数積層されてなる、請求項1又は2に記載の機能性枕。
- 前記表面と、前記裏面と、前記一又は複数の区画との少なくとも一つが、消臭剤、防ウィルス剤、防菌材、防黴剤又は消毒剤として、Cu、Ag、Zn、Ti、Au、Pt、Mn、Fe及びZr並びにこれら金属のイオンからなる群から選択される一種又は二種以上の混合物を備えた素材によって構築されてなる、請求項1〜3の何れか一項に記載の機能性枕。
- 前記表面と、前記裏面と、前記一又は複数の区画との少なくとも一つが、蓄熱材及び/又は放熱材として、活火山の火山灰及び/又は流動パラフィンを備えた素材によって構築されてなる、請求項1〜4の何れか一項に記載の機能性枕。
- 前記素材が、化学繊維又は構造体である、請求項1〜5の何れか一項に記載の機能性枕。
- 前記化学繊維が、フィラメント又はステープルの形態であり、或は、
前記化学繊維が、紡糸、織物、編み物、又は不織布を構成するものである、請求項6に記載の機能性枕。 - 前記構造体が、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂を備えてなるものである、請求項6に記載の機能性枕。
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