JP2008110194A - 寝具 - Google Patents

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Abstract

【課題】人の身体に長時間接触する寝具において、寝心地がよく、寝具内の湿度調整や通気に優れることは勿論、寝具周辺の雰囲気を健康増進或いは健康維持に繋がるものにでき、これらの状態を永続的に維持できる優れた寝具(枕、枕カバー、シーツ類、敷物類、ベッドパッド、ベッドマット、マットレス、睡眠中の人の側に配置されるぬいぐるみ、石袋及び置物など)の提供。
【解決手段】使用によって全部或いは一部分が湿度60%RH以上の状態となる寝具であって、その形成材料に、珪質頁岩が用いられてなることを特徴とする寝具。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、枕、枕カバー、シーツ、シーツの上又は下に配置させる敷物或いはベッドパッド等の、使用によって湿度60%RH以上の状態となる部分を少なくとも有する寝具に関する。
人は、寝ている間に一晩でコップ1杯以上の汗を発すると言われている。このため、就寝時に用いる、例えば、枕、枕カバー、シーツ類や布団、シーツの上又は下に敷く敷物或いはベッドパッドやマット類等の寝具に求められる機能としては、汗を吸収及び蒸散できることが要求される。特に、人の身体に直接触れる枕や枕カバーやシーツ類、或いは、人の身体に直接触れることはないものの、汗が浸透し易いベッドパッドやベッドマットや布団やマットレスなど、さらには、枕もとなど、睡眠中の人の極めて身近に配置されるぬいぐるみなど、人の身体に長時間接触すると言える寝具(本明細書では、上記に列挙したようなもののことを人の身体に長時間接触する寝具という)は、使用によって、全部或いは一部分が60%RH以上の高湿度状態となる。このため、上記したような寝具には、特に、高い通気性が求められる。近年における健康志向とも相まって、これらの寝具には、寝心地に直結する形状や弾力性などの物理的な特性についての提案は勿論のこと、その形成材料についても種々の提案がなされている。枕の充填物材料には、従来より、小豆、蕎麦殻、パイプ状のプラスチック製品、低発泡体などが用いられているが、近年、下記に述べるような様々な機能性材料を用いることが提案されている。
例えば、除湿効果や脱臭効果を目的として、寝具の形成材料に木炭の粒や細片を使用することが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。また、汗と体臭を吸着吸収する材料として、多孔質セラミックスを使用することが提案されており、多孔質セラミックスの一つとして珪藻土が挙げられている(特許文献4参照)。さらに、織物による汗の吸収・蒸散具に、特定の形状の珪藻土を使用することが提案されており、これにより、従来の木炭を用いたものと比べて脆くない、強度に優れる汗の吸収・蒸散具が得られるとされている(特許文献5参照)。
実開平6−21470号公報 特開平7−31532号公報 特開平9−121997号公報 特開平10−75864号公報 特開平11−21740号公報
しかしながら、本発明者らの検討によれば、上記した従来の寝具の形成材料は、除湿効果や脱臭効果においても未だ十分なものではなく、より高い機能が得られ、しかも、その機能が永続的に維持される寝具の形成材料の開発が望まれる。また、特に枕やシーツや敷物は、眠る際に頭や身体を乗せるものであるため、人は眠っている間中、必然的に、これらの寝具周辺の雰囲気を長時間(5〜10時間)にわたって呼吸することとなる。一方、近年において、森林浴の効果や、滝壺などの近傍に多く存在するといわれるマイナスイオン効果といったように、大気環境が人の健康維持に多大な効果があることが実証されつつある。これらのことに鑑みて、本発明者らは、寝具の開発は、長時間にわたって呼吸する寝具周辺の雰囲気をも考慮してなされるべきであるとの結論に至った。これに対し、寝具の形成材料に、例えば、安眠効果の高いハーブなどを用いるといったことが行われている。しかし、ハーブなどは、時間の経過とともに効果が希薄になってしまうという問題がある。このため、人の身体に長時間接触する寝具の形成材料に利用でき、かつ、その寝具周辺の雰囲気を健康増進に繋がるものにできるという機能を有し、しかも、その状態を永続的に維持できる寝具の形成材料が提供されれば、人が眠っている長い時間を利用して、健康増進或いは健康維持が自然に図ることができ、非常に有用である。
従って、本発明の目的は、特に、前記した人の身体に長時間接触する寝具において、寝心地がよく、寝具内の湿度調整や通気に優れることは勿論、寝具周辺の雰囲気を健康増進或いは健康維持に繋がるものにでき、しかも、これらの状態を永続的に維持できる優れた寝具を提供することにある。
上記の目的は、下記の本発明によって達成される。即ち、本発明は、使用によって全部或いは一部分が湿度60%RH以上の状態となる寝具であって、その形成材料に、珪質頁岩が用いられてなることを特徴とする寝具である。
上記の本発明の好ましい実施形態としては、下記の(1)〜(9)のものが挙げられる。(1)上記珪質頁岩が、平均細孔半径が2nm〜6nmである多数の孔を有する、最大吸湿率が10%以上で、比表面積が80m2/g以上のものである寝具。(2)上記珪質頁岩が、1,100℃以下の温度で焼成されてなる焼成物である寝具。(3)上記珪質頁岩が、アルカリ化合物を担持した珪質頁岩を含む上記いずれかの寝具。(4)上記珪質頁岩が、強アルカリ化合物の水溶液によって煮沸処理された珪質頁岩を含む上記いずれかの寝具。(5)上記形成材料が、珪質頁岩に加えて酸化チタン又は微量放射線を発生する鉱物を含む上記いずれかの寝具。(6)上記珪質頁岩が粒状であって、粒の粒度が0.5mm〜10mmの範囲である上記いずれかの寝具。(7)上記珪質頁岩が粒状であって、粒の粒度が1.0mm〜2.5mmの範囲である上記いずれかの寝具。(8)通気性材料からなる部材の内部に粒状の珪質頁岩が封入されている部分が少なくとも1箇所設けられてなる構造の上記いずれかの寝具。(9)枕、枕カバー、シーツ類、布団、肩かけ、ネックウォーマー、シーツの上又は下に配置される敷物類、ベッドパッド、ベッドマット、マットレス、睡眠中の人の側に配置されるぬいぐるみ、石袋及び置物のうちのいずれかである上記いずれかの寝具。
本発明によれば、枕や敷物などの、人の身体に長時間接触する寝具において、寝心地がよく、寝具内の湿度調整や通気に優れることは勿論、寝具周辺の雰囲気を健康増進或いは健康維持に繋がるものにでき、しかも、その状態を永続的に維持できるという優れた効果を達成できる寝具が提供される。
本発明者らは、上記した従来技術の課題について検討する過程で、枕や枕カバーやシーツなどの、人の身体に長時間接触する寝具は、全部或いは一部分が、使用によって湿度60%RH以上の高湿度状態となるのに対し、除湿効果や脱臭効果を目的として従来より提案されている木炭や各種セラミックスを使用した寝具によっても、湿度調整や通気においても十分な効果が得られていないという結論に至った。さらに、寝具周辺の雰囲気を健康増進或いは健康維持に好適なものにするといった観点からすると、従来の寝具で、目覚ましい効果が得られ、しかも長期間にわたって効果が期待できるものは皆無であるとの結論に至った。
そこで、本発明者らは、上記のような湿度60%RH以上の高湿度状態において良好な機能が得られる寝具の形成材料として最適なものを見出すべく、鋭意検討を行った。この結果、調湿機能に加えて、寝具周辺の雰囲気を、健康増進或いは健康維持の効果が得られる状態とする目的に対して、珪質頁岩が、寝具の形成材料として最適であることを見出した。珪質頁岩は、多数の細孔を有する無機多孔質材料であるが、吸放湿性に優れることが知られており、建材などへの適用が提案されている。本発明者らの検討によれば、特に、平均細孔半径が2〜6nmである多数の細孔を有する、最大吸湿率が10%以上、比表面積が80m2/g以上の珪質頁岩が、寝具の形成材料として最適である。即ち、珪質頁岩は、上記したような湿度60%RH以上という高湿度状態に十分に対応可能な極めて高い吸湿性を示すと同時に、非常に高い放湿性を示す。このため、寝具に適用した場合に高い除湿効果を示す一方で、日光に干した場合は勿論、昼間、室内に寝具を放置しておく間に迅速に乾燥し、就寝時には、再び高い吸湿効果を発揮し得るものとなる。
そこで、本発明者らは、本発明の寝具を実際に使用した場合に、健康増進効果が認められるか否かについて、健康について何らかの自覚症状のあるモニターによる使用試験を行った結果、後述するように、高い確率で健康増進効果が発現されることを確認した。具体的には、珪質頁岩を内包する寝具を形成し、これを就寝時に継続使用する試験を行ったところ、優れた使い心地と、心地よい眠りが得られるのに加えて、驚くべきことに、喘息や咳き込みなどの気管支系の症状や蓄膿症の症状、花粉症やアトピーなどのアレルギー症状が明らかに改善されたという多数の報告を受けた。そして、報告された効果は、従来の寝具では到底得ることができなかったものであり、本発明の寝具は、睡眠中に健康増進を図ることができる画期的なものであることがわかった。
寝具の形成材料に、珪質頁岩を用いることで、上記した従来にない健康増進の効果が得られる理由は定かではないが、本発明者らは、以下のように考えている。珪質頁岩は、ナノオーダーの細孔を多数もつ、大きな比表面積をもつ吸放湿性に優れた無機多孔質材料である。例えば、珪質頁岩は、平均細孔半径が2〜6nmである多数の孔を有し、最大吸湿率が10%以上、或いは、最大吸湿率が10%以上で、比表面積が80m2/g以上であるという特性を有する。このため、珪質頁岩は、従来用いられていた寝具用材料では得られなかった非常に高い吸放湿性を示し、その吸放湿性は自立的であり、珪質頁岩で形成された寝具周辺の雰囲気は、常に適度な湿度に保たれたものとなることが期待される。このような形成材料を使用した本発明の寝具を用いることで、先ず、第1に安眠が促進されたものと考えられる。従来より、安眠が健康増進に及ぼす効果は非常に大きいことは知られており、本発明の寝具によってもたらされた安眠により多様な健康増進の効果が誘発されたと推論される。なお、本発明の寝具について行った実際の使用試験についての報告の中に、従来より不眠症が改善した、熟睡できた、或いは目覚めの爽快感についてふれた意見があり、このことからも、本発明の寝具を使用することで、安眠促進による健康増進効果の発現が考えられる。しかし、本発明の寝具を使用することによって得られる健康増進効果は、多くの、様々な症状の人に高い確度で認められており、到底、寝具の調湿による安眠促進だけでは説明できないものである。本発明者らは、珪質頁岩を寝具に用いることで、下記に挙げるような様々な作用が発揮され、これによって、睡眠中に高い健康増進効果が得られたものと考えている。
上記したような特性を有する珪質頁岩は、先ず、水蒸気を吸着し易く、湿度が60%RH以上という高湿度であると、上記細孔の空隙内に水蒸気が凝縮することが確認されており、極めて高い吸湿性を示す。さらに、珪質頁岩では、吸放湿性が自立的であることが確認されていることから、その細孔の空隙内の凝縮水が空隙内をダイナミックに出たり入ったりして、クラスターの小さなナノ水の水蒸気が多量に出入りする状態になり、その周辺では適度な湿度が保たれると考えられる。これに対し、低湿度のとき、特に湿度が30%以下では、生物体にある繊毛は寝てしまうことが知られている。そして、繊毛が寝てしまうと、繊毛による異物除去作用が劣ることとなり、喘息や花粉症などのアレルギー症状が出易いと言われている。これに対して本発明の寝具を睡眠中に使用することで、喘息や花粉症などのアレルギー症状が緩和され、或いは治癒したのは、珪質頁岩の作用によって身体の周辺が適宜な湿度に保たれることも一因であると考えている。
また、本発明の寝具は、使用によって湿度が60%RH以上の高湿度になると、その形成材料である珪質頁岩が上記のような状態となるので、揮発性の化学物質(例えば、ホルムアルデヒドやアンモニアなどの有害物質や悪臭など)の吸着・吸収が促進され、カビなどの発生が抑制され、さらには、いわゆるマイナスイオンの発生が増大すると考えられる。特に、アンモニアやホルマリンなどの水溶性のガスは、珪質頁岩の空隙内の凝縮水に溶け込み、大量に吸着されるので、寝具において問題となる体臭の低減効果についても期待できる。また、珪質頁岩の空隙内の凝縮水は、空隙内の電荷の厳しい環境では細菌などの進入も困難であると考えられるので、清浄で細菌などの存在しない水となり、その水が絶えず水蒸気になり空隙から出入りする状態になっていると考えられる。さらに、花粉などに付着しているNOXやSOXなどのガスも吸着される。これらのことなどが、本発明の寝具を睡眠中に使用しただけで花粉症の症状が、低減或いは解消した理由ではないかと考えている。
本発明者らは、上記に挙げたようなことの相乗効果が得られる結果、本発明の寝具によって、従来より使われている形成材料からなる従来の寝具では到底達成することのできなかった顕著な健康増進の効果の発現がもたらされたものと考えている。このように、本発明では、珪質頁岩という、これまでに用いられることがなかった材料で寝具を形成することで、人の身体が長時間接触する寝具の課題であった、人の発汗によってもたらされる湿度60%RH以上という高い湿度環境を巧みに利用し、単に寝具に除湿効果を付与するだけではなく、眠っている間に自然に、高い健康増進効果が発現される有用な寝具の提供を可能としている。
本発明者らの検討によれば、本発明によって得られる上記した高い健康増進効果は、例えば、良好な寝心地や寝具内の通気性の確保を目的として従来より枕の形成材料に用いられている、蕎麦殻や小豆などの材料を使用したものは勿論、近年、提案されている、炭、活性炭、ゼオライトなどの材料を使用した寝具においても得ることはできないものであった。即ち、炭、活性炭、ゼオライトなども、珪質頁岩と同様に無機多孔質材料に分類されるものであるが、これらは、単に湿気を吸放湿するだけの材料であり、これらのものを用いた寝具では、湿度60%RH以上という高い湿度環境で、本発明で使用する珪質頁岩によって得られた、使用試験によって明らかに確認できた健康増進効果などの本発明の顕著な効果の発現はみられなかった。本発明者らは、この理由を下記のように考えている。炭、活性炭、ゼオライトなどの多孔質体の空隙の大きさは2nm未満であり、珪質頁岩と比較して非常に小さい。このため、水蒸気の吸湿量は少なく、空隙が小さ過ぎるため水蒸気の放湿も悪く、ガス吸着した場合には放散できずに飽和に達してしまう。この結果、これらの材料を用いた寝具の場合は、本発明の珪質頁岩を用いた寝具と比べて、除湿や脱臭の効果、さらには、健康増進作用は低く、また、ガス吸着飽和の問題もあり、このことが、本発明のような高い効果が得ることができない理由であると推定している。
以下、本発明を特徴づける珪質頁岩について、さらに詳細に説明する。前記したように、本発明では、通常の使用状態において寝具の全部或いは一部分がなる湿度60%RH以上という高湿度環境において、優れた吸放湿性と、健康増進効果に繋がる現象を生じ得る珪質頁岩を用いることを特徴とする。本発明では、珪質頁岩に分類されるものであれば、いずれのものも使用することができる。また、平均細孔半径が2〜6nmである多数の孔を有し、最大吸湿率が10%以上で、比表面積が80m2/g以上である珪質頁岩を用いれば、本発明の効果を、より安定して得ることができる。本発明者らの検討によれば、上記したような特性を有する天然材料としては、珪質頁岩の他に、アロフェン、イモゴライト、セピオライト、活性白土、大谷石などがあり、これらによっても本発明の効果を得ることができる可能性はある。しかし、岩石状で存在し、そのままの状態で寝具の形成材料として利用できるという点を考慮すると、珪質頁岩とセピオライトがあるが、セピオライトは、日本に産出せず、また、マイクロウイスカー状の繊維に解離する鉱物であるので、寝具の形成材料として最適であるとは言い難い。従って、本発明では、寝具の形成材料として最適な、原石のまま使用することができ、しかも、日本の各地で産出する珪質頁岩を用いることとした。
本発明で使用する珪質頁岩は、上記したように日本の各地で豊富に産出する原料である。特に北海道で産出される珪質頁岩は、稚内層珪藻土と呼ばれており、アンモニア、ホルマリンなどの塩基性ガスに対する吸着性など、高いガス吸着機能が確認されている。珪質頁岩は天然原料であり、バラツキはあるものの、最大吸湿率が10%以上あるものが大半であり、良好なものになると15%以上の性能を有し、最大吸湿率が25〜30%であるものもある。本発明者らの検討によれば、このような珪質頁岩は、寝具の形成材料として好適である。本発明で使用する珪質頁岩は、その最大吸湿率が高ければ高いほど調湿機能に優れるので、本発明の所期の目的を安定して達成できるようにするためには、最大吸湿率が15%以上、さらには、20%以上の珪質頁岩を用いることが好ましい。例えば、本発明に好適に用いることができる稚内層珪藻土は、一般的に、平均細孔半径が2〜10nm(20〜100Å)の細孔が全体の70%以上を占め、極めて微細な細孔を多数有しており、その比表面積は約130m2/g程度の値を示す。本発明者らの検討によれば、このような珪質頁岩を寝具の形成材料として用いることで、寝具内の湿度調整や通気に優れたものにできることは勿論、驚くべきことに、寝具周辺の雰囲気を健康増進或いは健康維持に繋がるものにでき、しかも、その状態を永続的に維持させることができるという効果が得られることを確認した。本発明の寝具によって健康増進或いは健康維持が図れるという効果に関しては、後述する。なお、稚内層珪藻土は、900℃程度の温度で焼成しても、細孔径の値などが変化しないことが確認されている。
ここで、珪藻土とは、海中のプランクトンが泥と一緒に堆積し、岩石化したものであり、日本全土に多種多様な物性のものが存在するが、その大半は、鉱物学上、珪藻泥岩に属するものである。珪藻泥岩に属するものは、比重が0.6と軽く、その細孔径は、本発明で規定する好適な材料よりも大きく、本発明で使用する珪質頁岩とは明確に区別されるものである。例えば、上記した稚内層珪藻土の比表面積は、一般的な珪藻土の4〜8倍の大きさであり、この点からも、珪藻泥岩とは明確に区別できるものである。前記した本発明の効果は、珪質頁岩に分類されるもの、より安定した効果を望む場合には、最大吸湿率が10%以上、さらには20%以上で、比表面積が80m2/g以上で、かつ、平均細孔半径が2〜6nmの範囲であるような珪質頁岩を用いた場合に初めて得られる。換言すれば、同じ珪藻土に分類されるものであっても、珪質頁岩でなければ、本発明の効果を得ることはできない。
本発明の寝具を構成する珪質頁岩は、弱酸性の天然鉱物であり、アンモニアなどのアルカリ性のガスに対して非常に優れた吸着性を示す。しかし、これと比べて、硫化水素やメチルメルカプタンなどの酸性ガスに対しては吸着性が悪いという問題がある。本発明者らは、この問題を解決するために検討を行った。その結果、珪質頁岩に、消石灰を含む、しっくいなどのアルカリ性物質を配合することで、寝具の形成材料の硫化水素やメチルメルカプタンなどの酸性ガスに対する吸着性を向上させることが可能となる。さらに詳細な検討を行った結果、珪質頁岩を下記に挙げるようなアルカリ水溶液に浸漬して処理してアルカリ化合物を担持させることにより、酸性ガスの吸着性能が大幅に改善できることを見出した。この際に使用することのできるアルカリ物質としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、カリウム水ガラス、リチウム水ガラス(ケイ酸リチウム)、消石灰などが挙げられる。特に、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムなどのケイ酸塩を用いて処理することが有効である。
表1に、各種のアルカリ水溶液によって処理した珪質頁岩について行った硫化水素ガスに対する吸着性の試験結果を示した。また、表2に、同様にして行ったメチルメルカプタンガスに対する吸着性の試験結果を示した。試験を通じて、特に、5〜10質量%程度のケイ酸リチウム溶液やケイ酸ナトリウム溶液で処理して、アルカリ化合物が担持されている珪質頁岩を使用することが有効であることを確認した。
Figure 2008110194
Figure 2008110194
上記試験は、具体的には、下記のようにして行った。先ず、各珪質頁岩のアルカリ処理を下記の手順で行った。ハンマークラッシャーで粉砕し、分級した粒径が0.5〜1.5mmの珪質頁岩100gを、常温で、各濃度の各アルカリ水溶液500g中に、浸漬する時間を変えて浸漬させた。その後、30℃の条件下(常温)で7日間乾燥させて、珪質頁岩原石に各アルカリを担持させた。上記で使用した珪質頁岩原石は、稚内層珪藻土であり、その物性は、比表面積が149.0m2/g、平均細孔半径が4.7nm、最大吸湿率は20%であった。
メチルメルカプタンガス及び硫化水素ガスの吸着試験は、上記で使用したと同様の稚内層珪藻土を用い、下記のようにして行った。容積が1,000mlのテドラーバック中に測定対象の珪質頁岩をそれぞれ10g入れた。そして、テドラーバックのそれぞれに、特定濃度のメチルメルカプタンガス又は硫化水素ガスを入れた。この際、メチルメルカプタンのガス濃度は3.5ppm程度、硫化水素のガス濃度は20ppm程度となるようにした。この状態で、初期におけるテドラーバック中のメチルメルカプタン及び硫化水素のガス濃度を測定した。その後、この状態で一定時間保持して吸着試験を行った。硫化水素ガスについては、試験開始から30分間経過時及び1時間経過時にガス濃度を測定した。メチルメルカプタンガスは、試験開始から1時間経過時、4時間経過時及び24時間経過時にガス濃度を測定した。それぞれのガス濃度の測定は、ガス検知管を用いて測定した。
上記のことは、本発明の寝具において、アルカリ水溶液で処理したものや、アルカリ性物質を配合させた形態の珪質頁岩を用いれば、体から発生する体臭などの酸性ガスも有効に除去できるものになるので、特に体臭などの異臭に対する吸着性の高い寝具の提供が可能となることを示している。
また、珪質頁岩は、前記したように、ホルマリンやアンモニアなどの親水性ガスに対する吸着性には優れるものの、トルエンなどの疎水性ガスに対する吸着性には劣るという問題がある。この点については、適宜な濃度の強アルカリ化合物の水溶液によって煮沸処理した珪質頁岩粉末を使用することで、トルエンなどの疎水性ガスに対する吸着性を向上させることができるようになる。このようなものを寝具の形成材料に用いれば、新建材から発生するVOCガス吸着に有効になるので、寝具に新たな機能を付与できる。従って、珪質頁岩を上記したいずれかの方法で処理するなどして使用すれば、各種の機能が付与された用途に応じた最適な寝具を得ることができる。
本発明の寝具に使用する形成材料の好ましいものとしては、上記で説明した珪質頁岩に加えて、酸化チタンを用いることが挙げられる。酸化チタンは、紫外線を受け活性酸素を発生し、その強い酸化分解作用で、汚れ、細菌、悪臭などを二酸化炭素、水に分解し、除菌、抗菌、空気・水の浄化、防汚、脱臭作用など、光触媒としての機能を発揮する。このため、酸化チタンを含有させた形態とすれば、光の照射により、光触媒効果が発揮され、カビや細菌が滅菌されるので、高い衛生状態を維持できる寝具となる。さらに、上記に加えて、酸化チタンのもつ光触媒効果によって吸着したガスなどが内部で分解されるので、放散させることなく、ガス吸着効果の維持が期待できる。特に、寝具を日光に当てると、より吸着ガスの分解が早くできると考えられるので、より確実に、永続的な効果の維持が可能となる。従って、本発明の寝具の形成材料に、珪質頁岩に加えて酸化チタンを含有させた形態とすれば、より確実に永続的な効果が期待できる寝具が得られる。
また、本発明の寝具に使用する形成材料の好ましいものとしては、上記で説明した珪質頁岩に加えて、微量放射線を発生する鉱物を用いることが挙げられる。本発明の寝具に使用する形成材料に、微量放射線を発生する鉱物を含有させると、ホルマリンなどの不快な臭いの消臭に対する効果がみられた。これは、微量放射線を発生する鉱物を用いることで、いわゆるマイナスイオンの発生が促進され、その働きで不快な臭い物質の分解・消臭が促進されたものと考えられる。本発明者らの検討によれば、本発明で使用する珪質頁岩も、いわゆるマイナスイオンを発生し、特に、湿度60%RH以上の状態で、より多くのマイナスイオンを発生する。これは、下記のような理由によると考えられる。先に述べたように、湿度60%RH以上の高湿度下では、本発明で使用する珪質頁岩の空隙部に凝縮水が存在する状態となる。このため、空隙部では、絶えず噴水のように空隙から水蒸気が出たり入ったりして水蒸気の水のクラスターが小さい状態で保たれるので、結果としてマイナスイオンの発生が増大したのではないかと考えている。微量放射線を発生する鉱物を含有した構成とすることで、微生物の発生の抑制が促進されたが、微量放射線を発生する鉱物を含有させることで、クラスターの小さい水蒸気が、放射線エネルギーによって、より多くのマイナスイオンが発生し、大きなマイナスイオン効果が得られたものと考えられる。マイナスイオンの働きで、アンモニアなどの塩基性ガス、硫化水素などの酸性ガス、多様な悪臭ガスが分解・消臭されるので、脱臭効果の増大が期待される。
微量放射線を発生する鉱物としては、ニンギョウ石、センウラン鉱、モナズ石などが挙げられる。マイナスイオンの効果としては、上記の他、例えば、鎮静効果、筋肉疲労の改善、喘息や皮膚炎などのアレルギー症状の軽減、動脈硬化症の改善、免疫力の増大などの健康増進に効果があると言われている。従って、例えば、使用の際に、長時間にわたってその周辺の雰囲気を呼吸することとなる枕などの寝具からマイナスイオンが発生すれば、就寝中に自然に健康増進が図られる。そして、後述する本発明の寝具の使用実験では、喘息、蓄膿症、花粉症やアトピーの諸症状の改善など、健康増進効果が多く報告されたが、このようなマイナスイオン効果も一因となっていると考えられる。
本発明の寝具に使用する珪質頁岩は、珪質頁岩に分類されるものであれば、いずれのものであってもよいが、前記したように、平均細孔半径が2〜6nmの多数の細孔を有する比表面積が80m2/g以上の珪質頁岩である場合に、より安定して本発明の効果が得られる。本発明者らの検討によれば、その細孔が上記範囲であり、かつ、比表面積が上記の値以上と大きい場合には、ガスは勿論、水蒸気が安定して吸収され易く、さらに、吸収された水蒸気が毛細管凝縮することから、充分に大きな吸湿量が得られる。また、これとともに、この細孔(空隙)内の凝縮水に、親水性ガスであるホルマリンやアンモニアなどの有害物質が多量に溶け込むため、その周辺における大気の雰囲気を改善することも可能となる。さらに、先に述べたように、アルカリ化合物が担持された珪質頁岩を使用したり、適宜な濃度の強アルカリ化合物の水溶液によって煮沸処理した珪質頁岩粉末を使用すれば、メチルメルカプタンや硫化水素、さらにはVOCガスなどの疎水性ガスの吸着も可能である。さらに、本発明で使用する珪質頁岩は、寝具を使用しない間に陽に干せば、速やかに放湿して乾燥すると同時に、一度吸着したガスが適度に放散されるため、ガス飽和することがないので、先に述べた本発明の効果を永続的に得ることができる。
これに対して、活性炭のように、平均細孔半径が2nm未満であると、無機多孔質材料に吸着された吸着ガスが放散しにくく、飽和に達してしまうため、永続的な効果が望めないという問題がある。例えば、活性炭のように、細孔半径が1nm(10Å)程度の非常に小さな空隙となると、吸着したガスを放散させるために、100℃以上の大きなエネルギーが必要となるので、再生に問題がある。さらに、このように細孔が小さ過ぎると水蒸気の放散もしにくく、十分な除湿効果という点でも問題があり、日常的に使用する寝具の形成材料としては不適当である。一方、平均細孔半径が6nmを超えると、孔が大き過ぎて、吸収された水蒸気が毛細管凝縮せず、吸湿量が少なく、また、凝縮水が存在しないとガス吸着能力も低いものとなる。
上記したように、本発明の効果を安定して得るためには、寝具の形成材料に、平均細孔半径が2〜6nmであり、比表面積が80m2/g以上である珪質頁岩を使用することが好ましい。これらの珪質頁岩の平均細孔半径及び比表面積は、下記のようにして測定した。
(細孔径分布の測定方法)
本発明では、珪質頁岩の細孔径分布及び比表面積は、液体窒素温度(77K)下において、窒素ガスを吸着させるBET法(気相吸着法)により測定した。具体的には、高速・比表面積・細孔分布測定装置(商品名 NOVA2200e、ユアサアイオニクス製)を用いて測定した。窒素吸着法を適用した当該装置で直接測定されるのは、細孔に吸着される窒素ガスの容量であるが、細孔構造について種々の仮定を設けた上で、この測定値を用いて解析することで細孔径分布を求めている。例えば、本発明では、細孔は全て円筒形であると仮定して求めた。
本発明で使用する珪質頁岩は、先に述べたように高い吸放湿性を示し、例えば、上記のような特性を有するものでは、その最大吸湿率は10%以上の値を示す。本発明者らは、このような最大吸湿率が10%以上である珪質頁岩を寝具の形成材料に用いると、寝具の使用環境である湿度60%RH以上での凝縮水が多くなるので、それに伴う空隙内から発生するナノ水を含む水蒸気の発生量が多くなると考えている。このため、特に、吸湿性を十分確保し、本発明の効果をより高いものにするためには、最大吸湿率が15%以上、さらには20%以上の珪質頁岩を使用することが、望ましい。本発明において、珪質頁岩の最大吸湿率は、下記のような水蒸気吸着試験方法によって測定した。
(水蒸気吸着試験方法)
本発明では、珪質頁岩の水蒸気吸脱着特性は、全自動水蒸気吸着量測定装置(Hydrosorb1000、ユアサアイオニクス製)を用いて測定した。具体的には、真空下、150℃にて絶乾した一定量の測定試料を導入し、測定系内の温度を25℃に保持し、水蒸気圧を変化させて平衡状態に達したときの導入水蒸気の体積変化から測定試料の吸着水量を求める方法(定容法)によって測定した。本発明で言う「最大吸湿率」は、測定対象物を150℃のオーブンに入れ72時間保持した後に測定する対象物の絶乾質量と、その後、25℃、相対湿度95%の恒温恒湿槽に入れて48時間保持した後に再度測定する対象物の質量との質量増加率により得られる値である。
本発明の寝具は、その形成材料に珪質頁岩を用いられていればよく、より安定した効果の発現を望む場合には、平均細孔半径が2〜6nmである多数の細孔を有する、最大吸湿率が10%以上で、比表面積が80m2/g以上の珪質頁岩を用いることが好ましいが、寝具の形状或いは構造については特に限定されない。但し、本発明の効果を得るためには、その形態が、使用によって全部或いは一部分が湿度60%RH以上の状態となる寝具であることを要する。従って、例えば、人の身体に直接触れる、枕、枕カバー、シーツ類や布団、就寝時に使用する肩かけやネックウォーマー、或いは、シーツの上に配置する敷物類など、また、人の身体に直接触れることはないものの汗が浸透し易い、シーツの下に配置する敷物或いはベッドパッドやベッドマット、マットレスなどが該当する。さらに、湿った息を吐いて呼吸し、一晩でコップ1杯以上の汗を発すると言われている睡眠中の多湿な状態の人の側に配置される、安眠を誘うためのぬいぐるみや、珪質頁岩粒を入れた石袋や置物も、枕もとや寝ている身体の周辺に配置するものである限り、本発明の寝具の概念に含まれる。これらの寝具は、人の身体に直接或いは極めて身近な位置に長時間配置されるので、使用によって、その全部或いは一部分が湿度60%RH以上の状態となる。
以下、本発明の寝具の好ましい形態について説明する。本発明の寝具の形成材料に用いる珪質頁岩は、適宜な大きさの珪質頁岩原石の粒をそのまま用いてもよいし、珪質頁岩の粉体にバインダーを混ぜて造粒或いは成形してなる珪質頁岩の粒や成形体を用いてもよい。また、珪質頁岩材料を造粒或いは成形した後に焼成して得られる焼成体を用いてもよい。さらに、例えば、融剤としてガラス粉を用い、珪質頁岩の粉体を焼成したものを用いることもできる。成形体や焼成物の形状としては、粒状であってもよいし、焼成前に、例えば、パイプ状や球状の小さい成形物を作製し、これを焼成することで得られた、従来より枕の充填物などに用いられているような形状のものであってもよい。
本発明の寝具の形成材料に用いる珪質頁岩が粒である場合の粒状物の粒度としては特に限定されず、何れであっても前記した本発明の効果が得られる。しかし、寝具に内包させた場合に、寝心地がよく、空気の流通のよい粒度のものを使用するためには、例えば、0.5〜10mmの範囲、より好ましくは、0.5〜5mm、さらに好ましくは、1.0〜2.5mmの範囲のものを用いるとよい。即ち、0.5mmよりも小さいと緻密になって、通気性が劣る場合がある。一方、10mmよりも大きいと、形状によっては寝心地が悪くなる場合がある。例えば、珪質頁岩原石の粒をそのまま使用する場合には、寝心地を考慮すると、1.0〜2.5mmの範囲の粒状物を使用することが好ましい。しかし、人によって頭や身体に当たる刺激の感覚は異なるため、特に粒度にこだわるものでもない。
本発明の寝具の形成材料に珪質頁岩の焼成体を用いる場合には、珪質頁岩材料を、1,100℃以下、より好ましくは1,000℃以下の温度で焼成したものを使用する。さらに、焼成物においても珪質頁岩の特徴である特定の大きさの細孔(空隙)をより良好な状態で確保するためには、700〜950℃、さらには、900℃以下の温度で焼成したものを使用することが好ましい。珪質頁岩は、950℃の焼成温度までは殆ど空隙の形状は変化しないことが確認されている。珪質頁岩を焼成することで強度を付与できるので、珪質頁岩の焼成物を用いた寝具では、岩石が細かくなることが防止され、寝具の耐久性を向上させることができる。また、焼成することで、天然物である珪質頁岩をより清浄なものにできる。
以下に、本発明の寝具が、枕或いは枕カバー、枕やシーツの上の敷物、さらに、ぬいぐるみや石袋である場合を例にとって説明する。上記で説明した珪質頁岩を用いた図1〜図4に示したような、通気性材料からなる部材の内部に粒状の珪質頁岩が封入されている部分が少なくとも1箇所設けられてなる構造のものが挙げられる。例えば、図1に示したような、枕Bの表面部分A、特に、身体と接触する側の表面部分に、珪質頁岩2を封入してなる通気性を有する材料からなる部分(以下、小部屋)1が複数配置されている構造のものが挙げられる。そして、この小部屋1内には、粒状の珪質頁岩2が、充填され封入された状態になっている。このような構造とすることで、高い効果の発現が期待される本発明の寝具を得ることができる。この場合に、勿論、小部屋1内の充填物の全てを珪質頁岩2としてもよいが、従来より枕の充填物として用いられている、例えば、蕎麦殻、小豆、綿或いは樹脂材料などと、珪質頁岩とを併用してもよい。本発明の寝具は、体内からの水分の発散を利用するものであるので、より高い効果を得るためには、珪質頁岩を充填し、封入してなる部分が、寝具のより表層部分、さらには、少なくとも身体と接触する部分に位置するような構造とすることが好ましい。
本発明の寝具の構造は上記に限定されるものではなく、例えば、枕本体に充填する充填材料として、粒状の珪質頁岩を単独で、或いは、蕎麦殻や小豆などの従来より用いられている枕の充填材料に混合して粒状の珪質頁岩を用いたものであってもよい(不図示)。しかし、枕本体に充填する充填材料として粒状の珪質頁岩を単独で用いた場合には、枕が重くなり過ぎるので、この場合には、蕎麦殻などと混合して用いるか、枕の表層部分にのみ珪質頁岩が配置されるような構造とすることが好ましい。
本発明の寝具は、先述したように、昼間の使用しない間に寝具を陽に干して、乾燥を十分にさせながら使用すると、その高い効果を持続させることができる。このため、本発明の寝具の構造は、乾燥させる際における使い勝手を向上させたものであることが好ましい。例えば、枕カバー或いは枕の上に配置する敷物などの形態とすることが好ましい。図3(a)及び図4に示したように、枕Bの上面に配置され、上面部分の大半を覆うことのできる敷物状の寝具Aとすることが好ましい。そして、該敷物状の寝具Aの構造を、その上面側に、通気性材料からなる部材内部に、粒状の珪質頁岩がそれぞれに封入されている小部屋1が複数設けられた構造とすれば、使い勝手に優れ、しかも高い効果が発現される寝具となる。その他、図2に示したように、枕の上に乗せて使用することができる粒状の珪質頁岩を内包させた通気性材料で形成した小袋3も、本発明でいう寝具に含まれる。さらに、前記したように、図3(c)に示したような、安心して睡眠に導くために枕元などに置く、人や動物や車などを形どったぬいぐるみ4なども本発明でいう寝具に含まれる。また、例えば、図3(d)に示したような、単に粒状の珪質頁岩を通気性を有する袋内に封入した石袋5も、本発明でいう寝具に含まれる。
さらに、ベットマットや敷マットなどの窪みに入れるための粒状の珪質頁岩を内包させた通気性を有する小袋(不図示)や、粒状の珪質頁岩を内包させた通気性を有する袋構造をもつ、肩かけやネックウォーマー(不図示)なども本発明でいう寝具に含まれる。敷き布団或いは掛け布団などの布団の頭側に位置する部分に、珪質頁岩を内包させた部分を設けた形態も有効である。パッチワークの綿などの充填物に代えて、上記珪質頁岩を内包させて敷物形状とすることも有効である。また、枕としては、いわゆる抱き枕(不図示)とした場合にも、本発明の高い効果が得られる。なお、枕は、足を乗せるための枕であってもよい。図3(b)に示したように、身体の大部分を乗せることができる大きさの敷物状の寝具も有用である。この場合は、先に説明した図3(a)に示した寝具と同様に、通気性材料からなる部材内部に、粒状の珪質頁岩がそれぞれに封入されている小部屋1が多数設けられた構造をしている。このような構造とすれば、寝具の上に身体を乗せると、粒状の珪質頁岩が封入されている小部屋1のそれぞれに、身体の一部分が接触することになるので、うっ血を防ぎ易く、床ずれもしにくく、珪質頁岩は硬いため指圧効果もあり、機能性に優れるのみならず、寝心地も良好である。
本発明の寝具に好適に使用できる珪質頁岩の形成方法について説明する。本発明で使用する珪質頁岩は、前記したように、焼成したものでも、焼成していないものでもよく、さらに、粉砕したものでも、造粒したものでも、いずれであってもよい。後述する健康増進効果を考慮すると、特に、1.0〜2.5mm程度の大きさの珪質頁岩粒の原石を用いることが好ましい。しかし、これに限定されず、珪質頁岩粉末を加工して成形体或いは焼成体として使用してもよい。その場合の製造方法としては、例えば、珪質頁岩粉末材料に、バインダーとして可塑性を有する粘土などを配合し、造粒して得られる造粒物とする方法や、該造粒物を焼成して得られる焼成物とすることが挙げられる。上記のようにバインダーを使用することで、造粒時における造粒物の強度が確保され、さらに、焼成した場合には、焼成物の品質を安定したものにできる。例えば、700〜1,100℃で焼成すれば、硬くて高強度の焼成体が得られる。さらに、ガラス粉などの融剤を加配して焼成すれば、より強固なものができる。焼成温度が高過ぎると空隙の形状が溶融により変化するおそれがあるが、珪質頁岩の場合、950℃、特には900℃前後の温度で焼成しても高い吸放湿性が維持される。融剤としては、ガラス粉、アルカリ塩、亜鉛華などが使用できる。特に、限定はしないが、焼成後、焼成体から溶出成分が出ない融剤が好ましい。上記のような方法によって得られる珪質頁岩の粒は、使用によっても、磨耗、割れ、欠けなどを生じることが少なく耐久性に優れ、安定して調湿機能及びガス吸着機能などが発揮される品質の安定したものとなる。
以下、焼成によって本発明で使用する珪質頁岩からなる焼成体を得る場合の製造方法について、工程順に詳説する。
[配合・造粒工程]
先ず、前記珪質頁岩及び可塑剤、必要に応じて融剤及び着色剤などを配合する。特に、融剤は、必ずしも必要ではないが、焼成物の強度が不足するときは、配合するとよい。これらを配合した成形原料に、水を加えて、ボールミルにて湿式粉砕し、均一に配合粉砕を行う。次に、加水粉砕調合された原料を造粒する。造粒方法としては、フィルタープレスにより、押し出し成型原料を作り、押出、可型、造粒工程を経て、造粒物を製造してもよいし、スプレー造粒・乾燥により、造粒物を作り、乾燥固化させて造粒物を得てもよい。珪質頁岩をプレス後、乾燥して造粒物を得ることもできる。本発明においては、このような方法によって得られる造粒物を寝具の形成材料として使用することもできる。しかし、造粒物を下記の方法で焼成することで強固な粒が得られる。さらに、焼成することで、殺菌され、しかも成分が水に溶出しない安定した粒にできる。
[焼成工程]
焼成温度は1,100℃以下、具体的には、700〜1,100℃であることが好ましく、特に700〜950℃の範囲が望ましい。700℃未満では、焼成物の強度が不足するおそれがあるので好ましくない。一方、焼成温度が1,100℃を超えると、珪質頁岩の空隙が、溶融により塞がってしまい、該原料の有する高い吸放湿機能やガス吸着放出機能が損なわれるおそれがあるので好ましくない。焼成温度は、800℃以上、できれば850℃以上とすることが、焼成物の強度の確保、焼成物からの溶出成分の溶出の防止の点で、より好ましい。焼成する場合に使用する融剤としては、例えば、ガラス粉、亜鉛華などを用いることができる。これらの材料は、成形原料の溶融点を降下させて粒子間の結合を強くするので、より強い焼成物を得ることができる。
(実施例1)
木綿で、図1に示した形状及び構造の枕を作成し、小部屋1に、最大吸湿率が10%以上の、粒度が1〜3mmの稚内層珪藻土を自然石のまま充填して枕を得た。睡眠時に上記の枕を2週間使用し続けたところ、熟睡でき、目覚めは非常に爽快であった。日を追うごとに爽快感が増した。使用に際しては、昼間は枕を干した。2週間使用し続けても枕に臭気は殆どなく、2週間の使用中に湿気を感じることもなかった。本実施例で使用した珪質頁岩の特性について、先に述べた方法で測定したところ、最大吸湿率が20%で、比表面積が124m2/g、かつ、平均細孔半径が3.8nmであった。粒状の稚内層珪藻土を充填し内包させる枕の材料には、100%綿製の布袋を使用した。
(比較例1)
稚内層珪藻土を、珪藻土(珪藻泥岩)に変えた以外は実施例1と同様にして枕を作成した。しかし、綿製の布袋の目や縫い目から珪藻土の粉がこぼれ落ち、使用に耐えられる枕を形成することができなかった。
(比較例2)
稚内層珪藻土を、活性炭に変えた以外は実施例1と同様にして枕を作成した。実施例1の場合と同様の方法で、枕を2週間使用し続けて比較した。その結果、少なくとも2週間使用し続けた場合における枕の臭気に違いがあり、実施例1のものと比べて明らかに臭いがしみついた。また、目覚めた時の爽快感が、実施例1の枕を使用している場合に比べて明らかに劣る場合があった。本比較例で使用した活性炭の特性は、吸湿量が550mg/gであり、比表面積が1,000m2/gであり、平均細孔半径が1.21nmであった。
(実施例2)
図3(a)に示した形状の枕の上に配置する敷物(以下、枕用パッドと呼ぶ)と、図3(b)に示した形状のシーツの上に配置する敷物(以下、敷きパッドと呼ぶ)と、石袋を作製した。パッド類はいずれも、全体が通気性に優れる綿布で形成されており、図3に示したように、基布の上に、珪質頁岩原石の1.0〜2.5mmの粒が充填されてなる複数の小部屋が設けられてなる。より具体的には、枕用パッドは、490mm×360mmの基布を用い、その上に、珪質頁岩原石の粒を約140gずつ充填した450mm×40mmの小部屋が、隣接した状態で8列形成されるようにした。珪質頁岩原石の粒が充填されることで、枕用パッドの仕上がり寸法は、若干縮んだ状態になる。また、敷きパッドは、640mm×1,190mmの基布を用い、その上に、珪質頁岩原石の粒を約35gずつ充填した300mm×20mmの小部屋が、隣接した状態で、左右2列に、それぞれ46列形成されるようにした。本実施例で使用した珪質頁岩の特性について、先に述べた方法で測定したところ、最大吸湿率が20%で、比表面積が123m2/g、かつ、平均細孔半径が3.8nmであった。また、綿布で形成した袋に、珪質頁岩原石の1.0〜2.5mmの粒を800g程度を充填して口を閉じて、石袋を作製した。
上記で得た枕用パッド又は敷きパッド、或いはこれらを両方、さらには、石袋を用いて(図4参照)、花粉症やアトピー性皮膚炎や喘息や蓄膿症の症状のある人、或いは、安眠できないとの自覚のある人に実際に使用してもらい、継続的に使用することで症状に改善がみられたか否かの確認実験を行った。得られた結果を表3に示した。表3中の「枕用」とは枕用パッドのことであり、「敷き」とは敷きパッドのことである。なお、評価は体感評価である。
Figure 2008110194
Figure 2008110194
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表3に示したように、10日から1ケ月程度で、程度の差はあるものの、大部分の人で何らかの症状が改善することが認められた。表3に示したように、使用試験に参加した人は、性別や年齢が異なっており、さらに、その症状の程度や、発症しているアレルギーの種類や、個々に有する体質などが異なる。また、使用した寝具に含まれる珪質頁岩の量、寝具の使用状態も異なり、結果にバラツキが生じることは予想される。これに対して、表3に示したように、高い確率で、アレルギー症状などが改善された、或いは、安眠効果が得られたとする報告がされた。そして、この報告の結果は、上記した使用試験をする際の多様なバラツキを勘案したとしても、珪質頁岩を寝具の形成材料に使用することで、有為な健康増進効果が得られたと結論づけるに十分なものである。
本発明の活用例としては、毎日繰り返し使用する各種の寝具が挙げられるが、本実施例で示されたその健康増進効果に鑑みれば、近年、社会問題ともなっている花粉症やアトピーといったアレルギー症状の緩和を実現できる健康器具としての寝具になることが期待される。本発明の寝具は、特に、花粉症、喘息、アトピーといったアレルギー症状に苦しむ人々にとって、副作用が懸念される薬の使用や、アレルギー症状の発症を緩和させることを目的としたマスクや手袋や眼鏡などの、その生活状態を制限する用具などを使用することなく、誰もが必要とする睡眠時間を利用して、アレルギー症状の緩和を実現できる健康器具として非常に有用なものとなることが予想される。
(a)は本発明の寝具の一例の模式的な斜視図であり、(b)は構造を説明するための模式的なX−X’線断面図である。 本発明の寝具の別の一例の模式的な斜視図である。 本発明の寝具の別の一例の模式的な斜視図である。 実施例2の試験に用いた図3の寝具の使用状態を示す概略図である。
符号の説明
1:小部屋
2:珪質頁岩
3:小袋
4:ぬいぐるみ
5:石袋
A:本発明の寝具
B:枕
C:本発明の敷物

Claims (10)

  1. 使用によって全部或いは一部分が湿度60%RH以上の状態となる寝具であって、その形成材料に、珪質頁岩が用いられてなることを特徴とする寝具。
  2. 前記珪質頁岩が、平均細孔半径が2nm〜6nmである多数の孔を有する、最大吸湿率が10%以上で、比表面積が80m2/g以上のものである請求項1に記載の寝具。
  3. 前記珪質頁岩が、1,100℃以下の温度で焼成されてなる焼成物である請求項1又は2に記載の寝具。
  4. 前記珪質頁岩が、アルカリ化合物を担持した珪質頁岩を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の寝具。
  5. 前記珪質頁岩が、強アルカリ化合物の水溶液によって煮沸処理された珪質頁岩を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の寝具。
  6. 前記形成材料が、珪質頁岩に加えて酸化チタン又は微量放射線を発生する鉱物を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の寝具。
  7. 前記珪質頁岩が粒状であって、粒の粒度が0.5mm〜10mmの範囲にある請求項1〜6のいずれか1項に記載の寝具。
  8. 前記珪質頁岩が粒状であって、粒の粒度が1.0mm〜2.5mmの範囲にある請求項1〜6のいずれか1項に記載の寝具。
  9. 通気性材料からなる部材の内部に粒状の珪質頁岩が封入されている部分が少なくとも1箇所設けられてなる構造の請求項1〜8のいずれか1項に記載の寝具。
  10. 枕、枕カバー、シーツ類、布団、肩かけ、ネックウォーマー、シーツの上又は下に配置される敷物類、ベッドパッド、ベッドマット、マットレス、睡眠中の人の側に配置されるぬいぐるみ、石袋及び置物のうちのいずれかである請求項1〜9のいずれか1項に記載の寝具。
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