JP6695294B2 - 撮像レンズおよび撮像装置 - Google Patents

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Description

本発明は、撮像レンズおよび撮像装置に関し、特に、FA(factory automation)用カメラ、MV(Machine Vision)用カメラ、デジタルカメラ、監視用カメラ、および/または、車載用カメラ等に好適な単焦点の撮像レンズ、およびこの撮像レンズを備えた撮像装置に関するものである。
FA(factory automation)用カメラ、MV(Machine Vision)用カメラ、デジタルカメラ、監視用カメラ、および/または、車載用カメラ等に使用可能な単焦点の撮像レンズとして、例えば下記特許文献1に記載のレンズ系が知られている。
特開2006−276609号公報
上記のような撮像レンズでは、全長が短い撮像レンズが望まれているが、特許文献1のレンズ系では、全長が十分に短いとは言えない。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、全長が短い撮像レンズ、および、この撮像レンズを備えた撮像装置を提供することを目的とするものである。
本発明の撮像レンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群とからなり、第1レンズ群は、物体側から順に、正レンズと、物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとからなり、もしくは、物体側から順に、正レンズと、正レンズと負レンズを物体側から順に接合してなり物体側に凸面を向け像側に凹面を向けた接合レンズとからなり、第2レンズ群は、1枚もしくは2枚のレンズと、絞りを有し、第3レンズ群は、物体側から順に、負レンズと、正レンズと、正レンズと負レンズを物体側から順に接合してなり物体側に凸面を向け像側に凸面を向けた接合レンズとからなり、もしくは、物体側から順に、負レンズと、正レンズと、正レンズと、正レンズと負レンズを物体側から順に接合してなり物体側に凸面を向け像側に凸面を向けた接合レンズとからなり、全体として9枚以下のレンズからなり、全系の焦点距離をf、第1レンズ群の焦点距離をfG1としたとき、条件式(1)を満足することを特徴とする。
0.25<f/fG1<1.0 …(1)
なお、条件式(1−1)を満足することが好ましい。
0.25<f/fG1<0.75 …(1−1)
本発明の撮像レンズにおいては、全系の焦点距離をf、第2レンズ群の焦点距離をfG2としたとき、条件式(2)を満足することが好ましく、条件式(2−1)を満足することがより好ましい。
−1<f/fG2<0.4 …(2)
−0.4<f/fG2<0.4 …(2−1)
また、全系の焦点距離をf、第3レンズ群の焦点距離をfG3としたとき、条件式(3)を満足することが好ましく、条件式(3−1)を満足することがより好ましい。
0.4<f/fG3<3 …(3)
0.8<f/fG3<1.8 …(3−1)
また、全系の焦点距離をf、第1レンズ群の最も物体側の正レンズの焦点距離をfL1aとしたとき、条件式(4)を満足することが好ましく、条件式(4−1)を満足することがより好ましい。
0.4<f/fL1a<3 …(4)
0.6<f/fL1a<1.3 …(4−1)
また、第2レンズ群は、屈折力を有するレンズとして、2枚の球面レンズを接合してなる接合レンズ、もしくは、物体側および像側のいずれも曲率半径の絶対値が中心よりも有効径端において小さい両面非球面レンズのみを有し、屈折力を有するレンズの物体側もしくは像側に絞りを有することが好ましい。
また、第3レンズ群は、物体側から順に、負レンズと正レンズを物体側から順に接合してなる第3a接合レンズと、正レンズと負レンズを物体側から順に接合してなる第3b接合レンズとを有することが好ましい。
また、第3レンズ群の物体側の負レンズのd線におけるアッベ数をνL3n1、第3レンズ群の物体側の負レンズの像側に隣接する正レンズのd線におけるアッベ数をνL3p1、第3レンズ群の像側の負レンズのd線におけるアッベ数をνL3n2、第3レンズ群の像側の負レンズの物体側に隣接する正レンズのd線におけるアッベ数をνL3p2としたとき、条件式(5)を満足することが好ましく、下記条件式(5−1)を満足することがより好ましい。
0<(νL3p1−νL3n1)/(νL3p2−νL3n2)<2 …(5)
0<(νL3p1−νL3n1)/(νL3p2−νL3n2)<1 …(5−1)
本発明の撮像装置は、上記記載の本発明の撮像レンズを備えたことを特徴とする。
なお、上記「〜からなる」とは、構成要素として挙げたもの以外に、実質的にパワーを有さないレンズ、パワーを有さないミラーや絞りやマスクやカバーガラスやフィルタなどのレンズ以外の光学要素などを含んでもよいことを意図するものである。
また、上記「レンズ群」とは、必ずしも複数のレンズから構成されるものだけでなく、1枚のレンズのみで構成されるものも含むものとする。また、レンズ群の屈折力の符号、レンズの屈折力の符号、レンズの面形状、およびレンズの面の曲率半径は、非球面が含まれているものは近軸領域で考えることとする。また、曲率半径の符号は、面形状が物体側に凸の場合を正、像側に凸の場合を負としている。また、焦点距離については、無限遠物体合焦時で考えることとする。
本発明によれば、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群とからなり、第1レンズ群は、物体側から順に、正レンズと、物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとからなり、もしくは、物体側から順に、正レンズと、正レンズと負レンズを物体側から順に接合してなり物体側に凸面を向け像側に凹面を向けた接合レンズとからなり、第2レンズ群は、絞りを有し、第3レンズ群は、物体側から順に、負レンズと、正レンズと、正レンズと、負レンズとからなり、もしくは、物体側から順に、負レンズと、正レンズと、正レンズと、正レンズと、負レンズとからなり、全系の焦点距離をf、第1レンズ群の焦点距離をfG1としたとき、条件式(1)を満足するものとしたので、全長が短い撮像レンズ、および、この撮像レンズを備えた撮像装置を提供することができる。
0.25<f/fG1<1.0 …(1)
本発明の一実施形態にかかる撮像レンズ(実施例1と共通)の構成を示す断面図 本発明の実施例2の撮像レンズの構成を示す断面図 本発明の実施例3の撮像レンズの構成を示す断面図 本発明の実施例4の撮像レンズの構成を示す断面図 本発明の実施例1の撮像レンズの各収差図 本発明の実施例2の撮像レンズの各収差図 本発明の実施例3の撮像レンズの各収差図 本発明の実施例4の撮像レンズの各収差図 本発明の一実施形態に係る撮像装置の概略構成図
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態にかかる撮像レンズのレンズ構成を示す断面図である。図1に示す構成例は、後述の実施例1の撮像レンズの構成と共通である。図1は、無限遠物体に合焦した状態を示しており、左側が物体側、右側が像側であり、図示されている開口絞りStは必ずしも大きさおよび/または形状を表すものではなく、光軸Z上の絞りの位置を示すものである。また、軸上光束aおよび最大画角の光束bも合わせて示している。
本実施形態の撮像レンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とからなる。
この撮像レンズを撮像装置に適用する際には、レンズを装着するカメラ側の構成に応じて、光学系と像面Simの間にカバーガラス、プリズム、および/または赤外線カットフィルタやローパスフィルタなどの各種フィルタを配置することが好ましいため、図1では、これらを想定した平行平面板状の光学部材PPをレンズ系と像面Simとの間に配置した例を示している。
第1レンズ群G1は、物体側から順に、正レンズと、物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとからなり、もしくは、物体側から順に、正レンズと、正レンズと負レンズを物体側から順に接合してなり物体側に凸面を向け像側に凹面を向けた接合レンズとからなる。このように、第1レンズ群G1において、物体側から順に、正レンズを配置した後、像側に凹面を向けたレンズ成分を配置するテレフォトタイプの構成とすることによって、主点が前に出て全長を短くするのに有利となる。
第2レンズ群G2は、開口絞りStを有する。
第3レンズ群G3は、物体側から順に、負レンズと、正レンズと、正レンズと、負レンズとからなり、もしくは、物体側から順に、負レンズと、正レンズと、正レンズと、正レンズと、負レンズとからなる。像面Simへの周辺画角の主光線の入射角を小さくするためには強い正の屈折力が必要であり、また球面収差の発生を抑えるためにも、第3レンズ群G3における正レンズの枚数は複数であることが好ましいが、4枚以上になると全長が長くなってしまう。そのため、本実施形態のように正レンズの枚数を2枚もしくは3枚に抑えることによって、全長を短くするのに有利となる。また、離れた位置に負レンズを配置することによって、軸上色収差と倍率色収差のバランスをとることができる。
全系の焦点距離をf、第1レンズ群G1の焦点距離をfG1としたとき、条件式(1)を満足するように構成されている。条件式(1)の下限以下とならないようにすることによって、レンズ全長を短く抑えることができる。条件式(1)の上限以上とならないようにすることによって、十分なバックフォーカスを確保することができる。なお、下記条件式(1−1)を満足するものとすれば、より良好な特性とすることができる。
0.25<f/fG1<1.0 …(1)
0.25<f/fG1<0.75 …(1−1)
本実施形態の撮像レンズにおいては、全系の焦点距離をf、第2レンズ群G2の焦点距離をfG2としたとき、条件式(2)を満足することが好ましい。条件式(2)を満足することによって、開口絞りSt付近の屈折力が弱くなるため、光線の光路を大きく曲げずに収差のみを補正することができる。なお、下記条件式(2−1)を満足するものとすれば、より良好な特性とすることができる。
−1<f/fG2<0.4 …(2)
−0.4<f/fG2<0.4 …(2−1)
また、全系の焦点距離をf、第3レンズ群G3の焦点距離をfG3としたとき、条件式(3)を満足することが好ましい。条件式(3)の下限以下とならないようにすることによって、像面Simへの周辺画角の主光線の入射角を小さくすることができる。条件式(3)の上限以上とならないようにすることによって、周辺光量を確保することができる。なお、下記条件式(3−1)を満足するものとすれば、より良好な特性とすることができる。
0.4<f/fG3<3 …(3)
0.8<f/fG3<1.8 …(3−1)
また、全系の焦点距離をf、第1レンズ群G1の最も物体側の正レンズL1aの焦点距離をfL1aとしたとき、条件式(4)を満足することが好ましい。条件式(4)の下限以下とならないようにすることによって、レンズ全長を短く抑えることができる。条件式(4)の上限以上とならないようにすることによって、バックフォーカスを確保することができる。なお、下記条件式(4−1)を満足するものとすれば、より良好な特性とすることができる。
0.4<f/fL1a<3 …(4)
0.6<f/fL1a<1.3 …(4−1)
また、第2レンズ群G2は、屈折力を有するレンズとして、2枚の球面レンズを接合してなる接合レンズ、もしくは、物体側および像側のいずれも曲率半径の絶対値が中心よりも有効径端において小さい両面非球面レンズのみを有し、屈折力を有するレンズの物体側もしくは像側に開口絞りStを有することが好ましい。このような構成とすることによって、高次の球面収差を補正することができる。
また、第3レンズ群G3は、物体側から順に、負レンズと正レンズを物体側から順に接合してなる第3a接合レンズC3aと、正レンズと負レンズを物体側から順に接合してなる第3b接合レンズC3bとを有することがより好ましい。このように、第3レンズ群G3の物体側の負レンズと、この負レンズの像側に隣接する正レンズを、第3a接合レンズC3aとすることによって、製造時の感度を低減させることができる。同じく、第3レンズ群G3の像側の負レンズと、この負レンズの物体側に隣接する正レンズを、第3b接合レンズC3bとすることによって、製造時の感度を低減させることができる。これらの開口絞りStに近い第3a接合レンズC3aと開口絞りStから遠い第3b接合レンズC3bは、軸上色収差と倍率色収差のバランスをとるために用いられる。
また、第3レンズ群G3の物体側の負レンズのd線におけるアッベ数をνL3n1、第3レンズ群G3の物体側の負レンズの像側に隣接する正レンズのd線におけるアッベ数をνL3p1、第3レンズ群G3の像側の負レンズのd線におけるアッベ数をνL3n2、第3レンズ群G3の像側の負レンズの物体側に隣接する正レンズのd線におけるアッベ数をνL3p2としたとき、条件式(5)を満足することが好ましい。条件式(5)を満足することによって、軸上色収差と倍率色収差のバランスを良好にとることができる。なお、下記条件式(5−1)を満足するものとすれば、より良好な特性とすることができる。
0<(νL3p1−νL3n1)/(νL3p2−νL3n2)<2 …(5)
0<(νL3p1−νL3n1)/(νL3p2−νL3n2)<1 …(5−1)
本撮像レンズが厳しい環境において使用される場合には、保護用の多層膜コートが施されることが好ましい。さらに、保護用コート以外にも、使用時のゴースト光低減等のための反射防止コートを施すようにしてもよい。
また、この撮像レンズを撮像装置に適用する際には、レンズを装着するカメラ側の構成に応じて、レンズ系と像面Simの間にカバーガラス、プリズム、および/または赤外線カットフィルタやローパスフィルタなどの各種フィルタを配置してもよい。なお、これらの各種フィルタをレンズ系と像面Simとの間に配置する代わりに、各レンズの間にこれらの各種フィルタを配置してもよいし、いずれかのレンズのレンズ面に各種フィルタと同様の作用を有するコートを施してもよい。
次に、本発明の撮像レンズの数値実施例について説明する。
まず、実施例1の撮像レンズについて説明する。実施例1の撮像レンズの構成を示す断面図を図1に示す。なお、図1および後述の実施例2〜4に対応した図2〜4においては、無限遠物体に合焦した状態を示しており、左側が物体側、右側が像側であり、図示されている開口絞りStは必ずしも大きさおよび/または形状を表すものではなく、光軸Z上の絞りの位置を示すものである。また、軸上光束aおよび最大画角の光束bも合わせて示している。
実施例1の撮像レンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とからなる。
第1レンズ群G1は、像側に凹面を向けた球面の正メニスカスレンズL1aと、球面の正メニスカスレンズL1bと球面の負メニスカスレンズL1cを物体側から順に接合してなり物体側に凸面を向け像側に凹面を向けた接合レンズとからなる。正メニスカスレンズL1aは、全長を短く抑えるとともに、歪曲収差を補正する作用を担う。正メニスカスレンズL1bと負メニスカスレンズL1cからなる接合レンズも同様に、全長を短く抑えるとともに、歪曲収差を補正する作用を担う。
第2レンズ群G2は、球面の負メニスカスレンズL2aと球面の両凸レンズL2bを物体側から順に接合してなる接合レンズからなる。この接合レンズは、高次の球面収差と軸上色収差を補正する作用を担う。
第3レンズ群G3は、球面の両凹レンズL3aと球面の両凸レンズL3bを物体側から順に接合してなる第3a接合レンズC3aと、球面の両凸レンズL3cと像側に凸面を向けた球面の負メニスカスレンズL3dを物体側から順に接合してなる第3b接合レンズC3bとからなる。第3a接合レンズC3aは、周辺画角の主光線の入射角を小さくしつつ全長を短くするとともに、軸上色収差と倍率色収差のバランスをとる作用を担う。第3b接合レンズC3bは、軸上色収差と倍率色収差のバランスをとる作用を担う。
実施例1の撮像レンズのレンズデータを表1に、諸元に関するデータを表2に示す。以下では、表中の記号の意味について、実施例1のものを例にとり説明するが、実施例2〜4についても基本的に同様である。
表1のレンズデータにおいて、面番号の欄には最も物体側の構成要素の面を1番目として像側に向かうに従い順次増加する面番号を示し、曲率半径の欄には各面の曲率半径を示し、面間隔の欄には各面とその次の面との光軸Z上の間隔を示す。また、nの欄には各光学要素のd線(波長587.6nm(ナノメートル))に対する屈折率を示し、νの欄には各光学要素のd線(波長587.6nm(ナノメートル))に対するアッベ数を示す。ここで、曲率半径の符号は、面形状が物体側に凸の場合を正、像側に凸の場合を負としている。レンズデータには、光学部材PPも含めて示している。
表2の諸元に関するデータに、焦点距離f´、バックフォーカスBf´、FナンバーFNo、および、全画角2ωの値を示す。
実施例1の撮像レンズの各収差図を図5に示す。なお、図5中の左側から順に無限遠物体に合焦した状態での球面収差、非点収差、歪曲収差、および、倍率色収差を示す。球面収差、非点収差、および、歪曲収差を表す各収差図には、d線(波長587.6nm(ナノメートル))を基準波長とした収差を示す。球面収差図にはd線(波長587.6nm(ナノメートル))、C線(波長656.3nm(ナノメートル))、F線(波長486.1nm(ナノメートル))、および、g線(波長435.8nm(ナノメートル))についての収差をそれぞれ実線、長破線、短破線、および、灰色の実線で示す。非点収差図にはサジタル方向およびタンジェンシャル方向の収差をそれぞれ実線および短破線で示す。倍率色収差図にはC線(波長656.3nm(ナノメートル))、F線(波長486.1nm(ナノメートル))、および、g線(波長435.8nm(ナノメートル))についての収差をそれぞれ長破線、短破線、および、灰色の実線で示す。球面収差図のFNo.はFナンバー、その他の収差図のωは半画角を意味する。
上記の実施例1の説明で述べた各データの記号、意味、記載方法は、特に断りがない限り以下の実施例のものについても同様であるので、以下では重複説明を省略する。
次に、実施例2の撮像レンズについて説明する。実施例2の撮像レンズの構成を示す断面図を図2に示す。
実施例2の撮像レンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とからなる。
第1レンズ群G1は、像側に凹面を向けた球面の正メニスカスレンズL1aと、像側に凹面を向けた非球面の負メニスカスレンズL1bとからなる。正メニスカスレンズL1aは、全長を短く抑えるとともに、歪曲収差を補正する作用を担う。負メニスカスレンズL1bも同様に、全長を短く抑えるとともに、歪曲収差を補正する作用を担う。
第2レンズ群G2は、非球面の正メニスカスレンズL2aからなる。正メニスカスレンズL2aは、高次の球面収差を補正する作用を担う。
第3レンズ群G3は、球面の負メニスカスレンズL3aと球面の正メニスカスレンズL3bを物体側から順に接合してなる第3a接合レンズC3aと、球面の両凸レンズL3cと、球面の両凸レンズL3dと像側に凸面を向けた球面の負メニスカスレンズL3eを物体側から順に接合してなる第3b接合レンズC3bとからなる。第3a接合レンズC3aは、周辺画角の主光線の入射角を小さくしつつ全長を短くするとともに、軸上色収差と倍率色収差のバランスをとる作用を担う。両凸レンズL3cは、正の屈折力を第3レンズ群G3内の他の正レンズと分担し、球面収差の発生を抑える作用を担う。第3b接合レンズC3bは、軸上色収差と倍率色収差のバランスをとる作用を担う。
実施例2の撮像レンズのレンズデータを表3に、諸元に関するデータを表4に、非球面係数に関するデータを表5に、各収差図を図6に示す。
表3のレンズデータでは、非球面の面番号に*印を付しており、非球面の曲率半径として近軸の曲率半径の数値を示している。表5の非球面係数に関するデータには、非球面の面番号と、これら非球面に関する非球面係数を示す。表5の非球面係数の数値の「E±n」(n:整数)は「×10±n」を意味する。非球面係数は、下記式で表される非球面式における各係数KA、Am(m=3〜最大30)の値である。非球面係数に関するデータについては、以下の実施例のものについても同様であるので、以下では重複説明を省略する。
Zd=C・h/{1+(1−KA・C・h1/2}+ΣAm・h
ただし、
Zd:非球面深さ(高さhの非球面上の点から、非球面頂点が接する光軸に垂直な平面に下ろした垂線の長さ)
h:高さ(光軸からの距離)
C:近軸曲率半径の逆数
KA、Am:非球面係数
であり、非球面式におけるΣはmに関する総和を意味する。
次に、実施例3の撮像レンズについて説明する。実施例3の撮像レンズの構成を示す断面図を図3に示す。
実施例3の撮像レンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とからなる。
第1レンズ群G1は、像側面に回折光学素子を備え像側に凹面を向けた球面の正メニスカスレンズL1aと、像側に凹面を向けた非球面の負メニスカスレンズL1bとからなる。正メニスカスレンズL1aは、全長を短く抑えるとともに、歪曲収差を補正する作用を担う。また、回折光学素子により軸上色収差を抑える作用を担う。負メニスカスレンズL1bも同様に、全長を短く抑えるとともに、歪曲収差を補正する作用を担う。
第2レンズ群G2は、非球面の負メニスカスレンズL2aからなる。負メニスカスレンズL2aは、高次の球面収差を補正する作用を担う。
第3レンズ群G3は、球面の負メニスカスレンズL3aと球面の正メニスカスレンズL3bを物体側から順に接合してなる第3a接合レンズC3aと、球面の両凸レンズL3cと、球面の両凸レンズL3dと像側に凸面を向けた球面の負メニスカスレンズL3eを物体側から順に接合してなる第3b接合レンズC3bとからなる。第3a接合レンズC3aは、周辺画角の主光線の入射角を小さくしつつ全長を短くするとともに、軸上色収差と倍率色収差のバランスをとる作用を担う。両凸レンズL3cは、正の屈折力を第3レンズ群G3内の他の正レンズと分担し、球面収差の発生を抑える作用を担う。第3b接合レンズC3bは、軸上色収差と倍率色収差のバランスをとる作用を担う。
実施例3の撮像レンズのレンズデータを表6に、諸元に関するデータを表7に、非球面係数に関するデータを表8に、回折光学面係数に関するデータを表9に、各収差図を図7に示す。
表9の回折光学面係数に関するデータには、回折光学面の面番号と、回折光学面に関する回折光学面係数を示す。表9の回折光学面係数の数値の「E±n」(n:整数)は「×10±n」を意味する。レンズに施された回折光学面は、基本形状となる巨視的なレンズ形状と、回折光学面が持つべき光路長の付加量を光軸Zからの高さhの関数で示した光路差関数Φ(h)とにより表される。回折光学面係数は、下記式で表される光路差関数Φ(h)における各係数Pk(k=2,4)の値である。
Φ(h)=λ/(2π)×ΣPk・h
ただし、
Φ(h):光路差関数(回折光学面が持つ光路長の付加量)
λ:波長
Pk:回折光学面係数
h:高さ(光軸からのレンズ面までの距離)
であり、光路差関数Φ(h)におけるΣはkに関する総和を意味する。
次に、実施例4の撮像レンズについて説明する。実施例4の撮像レンズの構成を示す断面図を図4に示す。
実施例4の撮像レンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とからなる。
第1レンズ群G1は、像側に凹面を向けた非球面の正メニスカスレンズL1aと、像側に凹面を向けた非球面の負メニスカスレンズL1bとからなる。正メニスカスレンズL1aは、全長を短く抑えるとともに、歪曲収差を補正する作用を担う。負メニスカスレンズL1bも同様に、全長を短く抑えるとともに、歪曲収差を補正する作用を担う。
第2レンズ群G2は、非球面の正メニスカスレンズL2aからなる。正メニスカスレンズL2aは、高次の球面収差を補正する作用を担う。
第3レンズ群G3は、球面の負メニスカスレンズL3aと球面の正メニスカスレンズL3bを物体側から順に接合してなる第3a接合レンズC3aと、像側に凸面を向けた球面の正メニスカスレンズL3cと、球面の両凸レンズL3dと像側に凸面を向けた球面の負メニスカスレンズL3eを物体側から順に接合してなる第3b接合レンズC3bとからなる。第3a接合レンズC3aは、周辺画角の主光線の入射角を小さくしつつ全長を短くするとともに、軸上色収差と倍率色収差のバランスをとる作用を担う。正メニスカスレンズL3cは、正の屈折力を第3レンズ群G3内の他の正レンズと分担し、球面収差の発生を抑える作用を担う。第3b接合レンズC3bは、軸上色収差と倍率色収差のバランスをとる作用を担う。
実施例4の撮像レンズのレンズデータを表10に、諸元に関するデータを表11に、非球面係数に関するデータを表12に、各収差図を図8に示す。
実施例1〜4の撮像レンズの条件式(1)〜(5)に対応する値を表13に示す。なお、全実施例ともd線を基準波長としており、下記の表13に示す値はこの基準波長におけるものである。
以上のデータから、実施例1〜4の撮像レンズは全て、条件式(1)〜(5)を満たしており、最物体側レンズ面から像面までの光軸上の長さをL、像面における最大像高をIHとしたとき、L/IHが10以下と全長が短い撮像レンズであることが分かる。
次に、本発明の実施形態に係る撮像装置について説明する。図9に、本発明の実施形態の撮像装置の一例として、本発明の実施形態に係る撮像レンズ1を用いた撮像装置10の概略構成図を示す。撮像装置10としては、例えば、FA用カメラ、MV用カメラ、監視カメラ、または、車載カメラ等を挙げることができる。
撮像装置10は、撮像レンズ1、撮像レンズ1の像側に配置されたフィルタ4、撮像素子5、撮像素子5からの出力信号を演算処理する信号処理部6、および撮像レンズ1の合焦を行うためのフォーカス制御部7を備える。図9では撮像レンズ1が有する第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、および、第3レンズ群G3を概念的に図示している。撮像素子5は、撮像レンズ1により形成された被写体の像を撮像して電気信号に変換するものであり、例えばCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等を用いることができる。撮像素子5は、その撮像面が撮像レンズ1の像面に一致するように配置される。本実施形態の撮像装置10は、本発明の実施形態に係る撮像レンズ1を備えたものであるから、全長が短く小型な装置とすることができる。
以上、実施形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施形態および実施例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、各レンズの曲率半径、面間隔、屈折率、アッベ数、および非球面係数等は、上記各数値実施例で示した値に限定されず、他の値をとり得るものである。
また、本発明の実施形態にかかる撮像装置についても、上記例に限定されず、ビデオカメラ、デジタルカメラ、フィルムカメラ、またはシネマ用カメラとする等、種々の態様とすることができる。
1 撮像レンズ
4 フィルタ
5 撮像素子
6 信号処理部
7 フォーカス制御部
10 撮像装置
a 軸上光束
b 最大画角の光束
C3a 第3a接合レンズ
C3b 第3b接合レンズ
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
L1a〜L3e レンズ
PP 光学部材
Sim 像面
St 開口絞り
Z 光軸

Claims (13)

  1. 物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群とからなり、
    前記第1レンズ群は、物体側から順に、正レンズと、物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとからなり、もしくは、物体側から順に、正レンズと、正レンズと負レンズを物体側から順に接合してなり物体側に凸面を向け像側に凹面を向けた接合レンズとからなり、
    前記第2レンズ群は、1枚もしくは2枚のレンズと、絞りを有し、
    前記第3レンズ群は、物体側から順に、負レンズと、正レンズと、正レンズと負レンズを物体側から順に接合してなり物体側に凸面を向け像側に凸面を向けた接合レンズとからなり、もしくは、物体側から順に、負レンズと、正レンズと、正レンズと、正レンズと負レンズを物体側から順に接合してなり物体側に凸面を向け像側に凸面を向けた接合レンズとからなり、
    全体として9枚以下のレンズからなり、
    全系の焦点距離をf、
    前記第1レンズ群の焦点距離をfG1としたとき、
    0.25<f/fG1<1.0 …(1)
    で表される条件式(1)を満足する
    ことを特徴とする撮像レンズ。
  2. 前記第2レンズ群の焦点距離をfG2としたとき、
    −1<f/fG2<0.4 …(2)
    で表される条件式(2)を満足する
    請求項1記載の撮像レンズ。
  3. 前記第3レンズ群の焦点距離をfG3としたとき、
    0.4<f/fG3<3 …(3)
    で表される条件式(3)を満足する
    請求項1または2記載の撮像レンズ。
  4. 前記第1レンズ群の最も物体側の前記正レンズの焦点距離をfL1aとしたとき、
    0.4<f/fL1a<3 …(4)
    で表される条件式(4)を満足する
    請求項1から3のいずれか1項記載の撮像レンズ。
  5. 前記第2レンズ群は、屈折力を有するレンズとして、2枚の球面レンズを接合してなる接合レンズ、もしくは、物体側および像側のいずれも曲率半径の絶対値が中心よりも有効径端において小さい両面非球面レンズのみを有し、
    前記屈折力を有するレンズの物体側もしくは像側に絞りを有する
    請求項1から4のいずれか1項記載の撮像レンズ。
  6. 前記第3レンズ群は、物体側から順に、負レンズと正レンズを物体側から順に接合してなる第3a接合レンズと、正レンズと負レンズを物体側から順に接合してなる第3b接合レンズとを有する
    請求項1から5のいずれか1項記載の撮像レンズ。
  7. 前記第3レンズ群の物体側の負レンズのd線におけるアッベ数をνL3n1、
    前記第3レンズ群の前記物体側の負レンズの像側に隣接する正レンズのd線におけるアッベ数をνL3p1、
    前記第3レンズ群の像側の負レンズのd線におけるアッベ数をνL3n2、
    前記第3レンズ群の前記像側の負レンズの物体側に隣接する正レンズのd線におけるアッベ数をνL3p2としたとき、
    0<(νL3p1−νL3n1)/(νL3p2−νL3n2)<2 …(5)
    で表される条件式(5)を満足する
    請求項1から6のいずれか1項記載の撮像レンズ。
  8. 0.25<f/fG1<0.75 …(1−1)
    で表される条件式(1−1)を満足する
    請求項1記載の撮像レンズ。
  9. −0.4<f/fG2<0.4 …(2−1)
    で表される条件式(2−1)を満足する
    請求項2記載の撮像レンズ。
  10. 0.8<f/fG3<1.8 …(3−1)
    で表される条件式(3−1)を満足する
    請求項3記載の撮像レンズ。
  11. 0.6<f/fL1a<1.3 …(4−1)
    で表される条件式(4−1)を満足する
    請求項4記載の撮像レンズ。
  12. 0<(νL3p1−νL3n1)/(νL3p2−νL3n2)<1 …(5−1)
    で表される条件式(5−1)を満足する
    請求項7記載の撮像レンズ。
  13. 請求項1から12のいずれか1項記載の撮像レンズを備えた撮像装置。
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