高速鉄道等の距離の長いトンネル等に設置される換気所には、図1に示すように地上1からトンネル2に向けて垂直に掘削された立坑を用いた給気路3と排気路4を設置することがある。給気路3には地上1に給気口3aを備え、該給気口3aからトンネル2内に給気路3を通して空気を取り入れ、排気路4には地上1に排気口4aを備え、トンネル2内の空気(排気)を排気路4を通して排気口4aから外部に排気している。
給気路3及び排気路4には、微気圧波軽減対策や消音対策等の特殊機能を有する設備を付加した流路を備えることがあり、該流路の断面形状はその求められる機能上1辺が数m四方の正方形等の矩形に特定されることがある。
一般に高速鉄道のトンネル2をはじめ道路トンネルなどは、一般の居住環境から離れた山間部や海底といったところばかりではなく、都心などの一般の住居地域、商業地域の大深度地下に掘削、建設される場合がある。従って、このような地域の地下に建設される長大なトンネルにおいては、一定間隔毎に必要となる給気口3aや排気口4aを当該住居地域の地上部に新たに設置せざるを得ない場合がある。
この場合、排気口4aが前記居住環境の真っ只中になってしまう場合には、トンネル2からの排気については、排気流による排気所近隣の住民や通行人、民家7などへの風害や、排気口4aから発生する騒音を規制値内に抑える必要がある。このような地域では、路線沿線によっては、排気口4aを高層化、即ち高層の排気塔としてその建設が認められる場合もある。しかしながら、都市化が既に進んだ地域では、そのような排気口4aを高層化した排気塔として建設することが困難である場合が殆どである。
図2は、図1の高速鉄道の列車5の進行方向から見た排気路4のより詳細な断面図である。排気路4は、トンネル2内の空気をトンネル2の両側面に設けた開口2a、2aから吸気し、換気装置11内に導く。換気装置11内にはトンネル2内の空気を下方から吸入して、上方に排気する換気ファン(図示せず)が配置されており、該換気ファンは定常的に運転されている。換気装置11の換気ファンから吐出された空気は微気圧対策工(以下適宜「矩形断面流路」ということもある)12に導かれる。ここで微気圧対策工12とは前述の如く高速鉄道トンネル等に特化して設置されることがある設備である。換気装置11の換気ファンによる定常的気流を対象とするものではなく、列車5が高速でトンネル2内に進入した時に発生する非定常的な圧力波を緩衝する設備である。従って、換気装置11の換気ファンによる定常的気流は、微気圧対策工12をそのまま通り抜ける。
微気圧対策工12はその求められる機能を満足するためにその内部を通す換気量に係らず断面形状と寸法が特定されている場合がある。よって、微気圧対策工12を通り排気路4内上方に排出される空気の定常流の流速は、20m/s〜30m/sにもなる場合がある。即ち、台風並みの流速(風速)である。この高流速のままの空気流を外部に放出することは、近隣住民への風害や騒音発生による騒音害の虞がある。しかも微気圧対策工12は断面が正方形等の矩形断面形状に特定された流路であるので、排気口4aに至るまで気流もその断面が正方形に拘束された流れになっている。
従って、微気圧対策工12から上方に排出された空気の流速を、風害の起こらない程度までの流速に減速する必要がある。なお、風速3.5〜5.9m/sは樹木の葉を動かす程度、風速6.0〜9.9m/sは樹木の小枝を動かす程度といわれている。また、排気口4aには換気流を大気に開放される部分に地上部からのゴミ類や小動物等の物体が排気路4に侵入することがある。これの物体の侵入を防止するために物体侵入防止網が設置されることがあり、この物体侵入防止網を通過する風速が速ければ風切り音の発生要因となる。この風切り音の発生を抑制するためにも風速は設置場所個々の事情や規制値にもよるが約7m/s程度以下に略均一的に抑制する必要が生じる。よって、これらを目安として流速を減速させる。更に、流速の減速だけではなく、排気口4aに至る以前に内部の流路の擦過音や装置等から発生する風切り音を消音する必要もある。即ち、気流の流速を減速させる減速機能と流路の擦過音、気流による風切り騒音を消音させる減速・消音機能を有する整流装置14を微気圧対策工12の出口に設置する必要がある。
ところが、上記減速・消音機能を有する整流装置14の設置範囲は限られているので、要求される性能を満たす整流装置14を用意することは簡単ではない。具体的には高さ方向(深さ方向)Hが数十メートル、幅Wが数十メートルの非常に限られた空間である。入口:高さ:幅の比は、1:2〜3:2〜3であり、これらの限定時要件をクリアする必要がある。
空気流等の流体の流速を減速、及び発生する騒音を消音する公知技術としては、特許文献1に開示されたものがある。この技術は、大量の気体を短時間に大気中に放出する際に、気体通路に設けられた渦流発生格子により気体の渦を発生させ、渦音と内部騒音をその後の吸音性隔壁が複数並行に設けられた通路で吸音するという装置の技術である。しかしながら、この特許文献1に開示された技術は、吸音効果を大きくするための対策として、長手方向に吸音室を接続することで調整することになっており、高さ方向に余裕がない本願発明に係る整流装置には適合しない。特許文献1に開示された技術(大気放出型消音器)では、入口:高さ:幅の寸法比は、1:11.0:6.7であり、入口に対して、高さ、幅とも大きくとる必要がある。
また、特許文献2には、騒音の生じない多重円錐台ディフューザに関する技術が開示されている。この技術は、壁面と流体の剥離が生じないように管路の円形断面を広げていくには、通常拡大角を7度以下としなければならず、管路断面積を拡げ流体の流速を所定の速度に減速するためには、拡管の長さを長くとる必要があったが、特許文献2に係る技術は多重円錐台ディフューザを用いて急拡大することで長さを短くするとともに、気流剥離を生じることなく、円錐断面管路を広げる技術である。
しかしながら、特許文献2に開示されている技術では、多重円錐台ディフューザ(複数の円錐台形状案内板を同軸心上に多重に配置した構成)に導く導入管路(流路)の形状が、円筒形状であることが前提であり、断面が正方形である導入管路から多重円錐台ディフューザの円形状の入口に導くに当たっての接続形状、構造、配置などについて言及されていない。この点については、以下の両極端な二つのケースで問題を指摘する。
図3は、断面正方形の導入管路に、特許文献2に開示されている多重円錐台ディフューザを配置させる場合を示す図で、図3(a)は斜視図、図3(b)は平面図である。ここでは、多重円錐台ディフューザ102の入口102aの面積よりも導入管路100の出口の正方形の面積が小さい場合を示している。多重円錐台ディフューザ102と導入管路100の主な外郭線は太線A乃至Cで示している。導入管路100からの気流(空気流)は矢印104に示すように、多重円錐台ディフューザ102に向かって流れるものとする。この場合、導入管路100の外郭線Cと多重円錐台ディフューザ102の入口の外郭線Bを隙間無く滑らかに接続したとしても、多重円錐台ディフューザ102の入口断面の斜線で示したZ部分には気流があたらず、この部分は使用されない部分となる。従って、多重円錐台ディフューザ102の出口に向かって断面が拡大するのに従い、使用されない死容積部分が増加する。即ち、限られたスペースでの設置が必要であるにも拘わらず、無駄なスペースが生じてしまうという問題がある。
図4は、図3と同じく断面正方形の導入管路100に、特許文献2に開示されている多重円錐台ディフューザを配置させた場合を示す図で、図4(a)は斜視図、図4(b)は平面図である。ここでは、多重円錐台ディフューザ102の入口102aの面積よりも導入管路100の正方形の出口面積が大きい場合を示している。この場合は、導入管路100の出口が多重円錐台ディフューザ102の入口102aからはみ出る斜線で示したY部分の気流の処理をどのようにするかが問題となる。断面正方形の導入管路100の出口外郭線Cと多重円錐台ディフューザ102の入口102aの外郭線Bを隙間なく滑らかに接続したとすると、多重円錐台ディフューザ102の入口102aの面積が導入管路100の出口面積より小さいので、気流の流れが絞られ、面積比により単純に考えれば気流の流速が30%近く大きく、即ち30m/sの流速が40m/sになってしまい、装置の規模や対策ハードルが非常に大きくなってしまうという問題がある。
また、特許文献2に開示されている多重円錐台ディフューザは、入口の流れが偏流している場合に、その結果に懸念がある。図5は、特許文献2に開示されている多重円錐台ディフューザ102の入口に、偏流として中心部の流速が大きい流れの気流が断面積の小さいダクト106から進入した場合の出口の気流の流れの状況を示す図である。多重円錐台ディフューザ102の出口には断面積の大きいダクト108が接続されている。破線110、112はダクト106、108内の気流の内壁面における速度に対する相対速度の分布を示している。多重円錐台ディフューザ102において、外壁に並行に設置され円錐台形状の複数の拡大案内板102bはその上流端が流路の中心部のものほど下流側が後退した位置に設けられるので、その流路の長さは中心付近ほど短くなっている。入口に中心部ほど流速の大きい気流がダクト106から流入すると、多重円錐台ディフューザ102の出口の気流の流れは中心部付近の流速が強められる。このように多重円錐台ディフューザ102の入口に進入する気流(空気流)の流路断面での速度分布が破線110に示すように中心部が速く均一でない場合は、破線112に示すように中心部の流速がより速くなり不均一を強めてしまう虞がある。なお、多重円錐台ディフューザ102において、102cは拡大案内板102bと拡大案内板102bの間の間隔を保持する保持板である。また、αは拡大案内板102bの拡大角を示し、ここではα>7°としている。
また、上記多重円錐台ディフューザ102を減速・消音装置(整流装置)として採用し、断面積が大きい側を天空に向け、断面積の小さい側を下方に向けて設置すると、整流装置の出口部構造が漏斗状になるので、雨天時には中心部に雨水が集中してしまうことになる。その対策として天空方向に雨除けの遮蔽物を置くと、それが新たな騒音や風害を引き起こしかねず、またそのような構造物を設置できないところもある。近年、温暖化によるゲリラ豪雨が都市部等、居住地域で頻発する状況にあるので、雨水が集中し、トンネル設備の立坑に侵入するという事態を回避しなければならない。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。図6は本発明に係る整流装置の概略構成例を示す縦断面図である。図示するように、本整流装置は、水平断面形状が正方形等の矩形断面形状である矩形断面流路12(図2参照)の上端から排気路(排気管)17を通って排気される空気流8の流速を減速する減速器20を設け、更に該減速器20の出口の上方(下流側)に消音器30を設けた構成である。図6において、斜線を付した部分は立坑躯体部分16を示している。
減速器20は外観形状が円錐台形状(図では円錐台形状を逆さまにした逆円錐台形状であるが、本明細書では「円錐台形状」という)であり、円錐台形状で筒状の外壁21の内部に同軸状に複数の案内板22が配置されている。図7は減速器20の外壁21と複数枚(図では4枚)の案内板22を示す図で、各案内板22は図7に示すように、入口20aから所定の下流位置まで(図6の一点鎖線Xで示す位置まで)が円筒状の同径案内部22aとなっており、各同径案内部22aの上端から出口20bまでが円錐台形状の拡大案内部22bとなっている。ここでは案内板22の拡大案内部22bの部分を断面で示している。上記のように減速器20は、円錐台形状の外壁21の内部に円筒状の同径案内部22aと円錐台形状の拡大案内部22bとからなる案内板22を同軸状に複数(多重)配置した構成であり、これにより、外壁21と案内板22の間、及び案内板22と案内板22の間の空間が入口20aに進入する空気流8が通る流路(本明細書では場合によって「風路」いうこともある)24となっている。
空気流8は矩形断面流路12の排気路(場合によっては「排気管」ということもある)17を通って進入する。案内板22と案内板22の間の流路24は、入口20aから所定の下流位置、即ち図6の一点鎖線Xで示す位置までは、同軸上に多重に配置された円筒状の同径案内部22aとなっているので、各流路24の流路面積は入口20aから一点鎖線Xで示す位置まで一定である。また、各同径案内部22aの上端(下流端)から出口20bまでは円錐台形状の拡大案内部22bとなっているので、該拡大案内部22bと拡大案内部22bの間に形成される各流路24の流路面積は同径案内部22aの上端(下流端)から出口20bまで連続的に拡大している。なお、空気流8は微気圧対策工12の断面矩形状(ここでは正方形状)の排気路17を通って進入する。
なお、ここでは各案内板22が円筒状の同径案内部22aと円錐台形状の拡大案内部22bと一体的に構成されている例を示すが、同径案内部22aと拡大案内部22bを別体とし、同径案内部22aの下流端と拡大案内部22bの上流端とを接続或いは接近又は接触させて、配置する構成としてもよい。なお、25は減速器20の出口20bの中心部に配置された円錐状(図では円錐状を逆さまにした逆円錐状であるが、本明細書では「円錐状」という)の遮蔽器である。
上記減速器20の形状寸法は、図6に示すように、減速器20の入口20aの代表寸法をDとすると、減速器20の出口20bの代表寸法は2〜3D、高さ寸法は0.7〜1.5Dである。ここで入口20aの代表寸法とは、トンネル2の立坑に備えられた排気路17の断面正方形の1辺や対角線の寸法でもよく、減速器20の入口20aの直径寸法でもよい。減速器20を上記のように構成することにより、図6に示すように、正方形等の矩形断面流路12の排気路(排気管)17を通って進入する空気流8の速度分布が破線18aに示すように中心部分の流速が速く外周側になるに従って遅い不均一であっても後に詳述するように、各流路24を通って整流され、出口20bから排出される空気流8の流速分布は破線18bに示すように略均一となる。
図8は微気圧対策工12の排気路である排気管17と、上記減速器20の入口20a、出口20bの関係を示す図で、図8(a)は平面図、図8(b)は縦断面図(図8(a)のL−L’縦断面図)である。図示するように、微気圧対策工12の排気路17は断面正方形状で、減速器20の入口20aは円形形状である。排気路17の内壁間の寸法は、減速器20の入口20aの円形部分の外郭寸法より大きく、減速器20の入口20aの外周が排気路17の内壁に略内接するようになっている。
上記のように微気圧対策工12の流路断面を正方形等の矩形断面とすることにより、排気路17の面積が円形である減速器20の入口20aの面積より大きいので、排気路17をそのまま減速器20の入口20aに接続すると、空気流8に大きな偏流が生じたり、流速が上昇することになったりするので好ましくない。図8(b)に示すように、立坑(立坑躯体部分16で囲まれた空間)の壁面との間に流路が形成されるように減速器20を立坑内に収容し、更に減速器20の外周には外部案内板26が設けられている。
このように減速器20を立坑内に収容配置することにより、微気圧対策工12の排気路17からの空気流8は、矢印27−2で示すように減速器20内に進入する空気流と、矢印27−1に示すように減速器20の外周の外部案内板26によって整流される空気流とに分かれる。これにより減速器20の外周面と立坑壁面(立坑躯体16の内壁面)の間の空間が空気流8(図6参照)の一部が通る流路となる。そして最終的にはこの減速器20の外周面と立坑壁面の間の流路を通った空気流と減速器20内に進入した空気流とは合流し、消音器30を通って外部に排出される。
図9(a)は図8(b)のA−A矢視方向(入口20a方向)から減速器20を見た図、図9(b)は図8(b)のB−B矢視方向(出口20b方向)から減速器20を見た図を示す。図示するように、案内板22の同径案内部22aと拡大案内部22bの間の間隔を保持して所定幅寸法の空気流が通る流路24の幅を確保保持するために保持板23を設け、減速器20の外周面に外部案内板26を設け、減速器20の外周面と立坑躯体部分16の内壁面との間に減速器20内にその入口20aから進入できなかった空気流8の一部(矢印27−1参照)を通すため流路を確保している。これにより案内板22と保持板23で区画された各流路24の入口20a側端面(入口区画)と出口20b側端面(出口区画)は、それぞれ入口20a面から出口20bまで連続した流路24となる。なお、案内板22の同径案内部22aと拡大案内部22bは隙間なく接続されていることが好ましいが、製造上完全な接続が困難な場合には、実質的に連続的な流路24が形成されていれば良い。
上記構成とすることで、減速器20の外周面と立坑の内壁面(立坑躯体部分16の内壁面)との間にも流路が設けられるように、減速器20を立坑内に収容し、減速器20の外周には更に外部案内板26を設けることにより、矩形断面流路である微気圧対策工12の排気路(排気管)17から送られてくる空気流8は減速器20の内部に進入する空気流と、減速器20の外周面と立坑躯体部分16の内壁面の間を通り抜け、最終的に減速器20内に進入した空気流と合流して消音器30を経て外部に排出される。このように、正方形等の矩形断面の流路である微気圧対策工12の排気路17の内壁面と減速器20の入口部の外周面の間から空気流8(図6参照)の一部を減速器20の外周に流し、減速器20の外周部に設けた外部案内板26によって整流された後、減速器20の内部の流路24を通る空気流と合流させる。これにより、減速器20の入口20aの面積よりも矩形断面である微気圧対策工12の排気路17の出口断面が大きくとも減速器20の入口20aをはみ出た部分を通る空気流の対処が可能となる。
また、減速器20の同心円状に配置された各案内板22の上流側が同径案内部22aとなっており、該同径案内部22aの下流側に各案内板22の円錐台形状の拡大案内部22bが同軸上に接続配置された構成である。そして各案内板22の円錐台形状の拡大案内部22bは円錐台の中心軸に近いものほど(より内側に位置するものほど)上流側端部(図7の一点鎖線Xで示す位置)が下流側に後退した位置(図7の上方側の位置)にあり、各案内板22の同径案内部22aの下流端は拡大案内部22bの上流側端に実質的に連続している。これにより、図6の破線18aで示すように、正方形等の矩形断面流路12の排気路17から減速器20の入口20aの中心部により近い部分に位置する流速が速く、中心部からより外周側に位置する部分程流速の遅い空気流8が進入した場合、外周側の流速の遅い空気流の方が、中心部に近い空気流より入口20aに近い位置で流路面積が下流側に向かって拡大する拡大案内部22bと拡大案内部22bの間の流路24に流入し、中心部に近い空気流ほど入口20aから離れた位置で流路24に流入し、更に遮蔽器25の影響を受けながらより遅いタイミングで流路24に流入する。
上記のように流路24は、同径案内部22aと拡大案内部22bとからなる案内板22と案内板22とで囲まれた空間として構成され、該流路24は同心円状に複数個(図では5個)配置されている。各流路24は入口20aから同径案内部22aの下流端(一点鎖線X)までは、流路断面積が同一であり、該下流端から出口20b(下流端)までは、該流路断面積は連続して拡大する。これにより、後に詳述するように、減速器20の内部で空気流8の速度分布は均一化され、減速器20の出口20bからは図6の破線18bに示すように流速分布の均一化された空気流8が流出する。更に出口20bの中央部に円錐形状の遮蔽器25をその頂部を上流側に向けて配置したので、中央部から流速の速い空気流が突出するのを防止できる。
ここで、減速器20の内部で空気流8の速度分布が均一化される理由を、図17に基いて説明する。各流路24は上記のように、入口20aから同径案内部22aの下流端までは、流路断面積が同一であり、該下流端から出口20bまでは流路断面が連続して拡大する構成である。図17は減速器20の外壁21内に配置された5個の流路241、242、243、244、245と、入口20aの各流路241、242、243、244、245に流入する空気の流速をVIN1、VIN2、VIN3、VIN4、VIN5と、出口20bの各流路241、242、243、244、245から流出する空気流の流速VOUT1、VOUT2、VOUT3、VOUT4、VOUT5とを示す模式図である。ここで流路241、242、243、244、245の入口面積をそれぞれAIN1、AIN2、AIN3、AIN4、AIN5、出口面積をそれぞれAOUT1、AOUT2、AOUT3、AOUT4、AOUT5とする。
上記構成の減速器20において、入口20aの各流路241、242、243、244、245に流入する空気流の流速がVIN1>VIN2>VIN3>VIN4>VIN5であっても、減速器20の内部で均一化され、出口20bの各流路241、242、243、244、245から流出する空気流速VOUT1≒VOUT2≒VOUT3≒VOUT4≒VOUT5となるようにするためには、各流路241、242、243、244、245に流入する空気の流速をVIN1、VIN2、VIN3、VIN4、VIN5を把握し、各流路241、242、243、244、245の入口面積AIN1、AIN2、AIN3、AIN4、AIN5と出口面積AOUT1、AOUT2、AOUT3、AOUT4、AOUT5とを下式を満たすように設定する。
VOUT1/VIN1=AIN1/AOUT1
VOUT2/VIN2=AIN2/AOUT2
VOUT3/VIN3=AIN3/AOUT3
VOUT4/VIN4=AIN4/AOUT4
VOUT5/VIN5=AIN5/AOUT5
上記のように、減速器20の出口20bでの各流路24から流出する空気流速VOUTが略同一流速となるように、各流路24の入口20aでの流速VINを予め把握し、各流路24の入口面積AINと出口面積AOUTの比を上記式が成立するように設定することにより、減速器20の各流路24から流出する空気流速VOUTは略均一となる。
上記のように、減速器20により、矩形断面流路12の排気路17からの空気流8を流路24を通して減速し、偏流のない状態の空気流に整流できる。しかしながら、ここで減速器20の入口20aや各流路24の曲がり部において風切音、及び流路24内を通過する時に該流路24の壁面との摩擦で発生する擦過音が、区画された各流路24毎に発生するので、これを消音する必要がある。これを消音するのに、消音器30として既存の消音器を用いても良いが、設置スペースが小さく、且つ大きな圧力損失を生じないように流路の有効断面積をできるだけ大きく確保できる構造が好ましい。
図10は、本発明に係る整流装置の構成を示す縦断面図である。図10に示すように本整流装置は、上記構成の減速器20の上部に消音器30を配置し接続した構成である。図10において、斜線を付した部分は、立坑躯体部分16を示す。消音器30の基本的な外観形状は円錐台形状であり、円錐台形状の外壁31の内部に略円錐台形状の消音材を備えた拡大案内板32を同軸上に複数(図では5個)配置した構成である。そして各拡大案内板32の上流端(下端)は減速器20の各案内板22の拡大案内部22bの下流端(上端)に接続されているか或いは接近又は接触している。減速器20の各流路24は、消音器30の拡大案内板32と拡大案内板32の間の流路34及び拡大案内板32と外壁31の間の流路34に連続している。減速器20の出口から出た空気流は、消音器30の入口から進入し、該消音器30の連続的に流路断面積が拡大する上記流路34を通ってその流速が更に減速され、消音器30の出口から外部に排出される。
上記のように消音器30の拡大案内板32間の流路34及び外壁31と拡大案内板32の間の流路34は入口から出口に向かって連続的にその流路断面積が拡大し、空気流の速度は減速するが、減速器20ですでに必要な流速への減速は達成されているので、消音器30の円錐台形状の拡大案内板32の拡大角αは減速器20の案内板22の拡大案内部22bの拡大角α(図6参照)に比べて小さい。また、消音器30の各拡大案内板32は円錐台形状の外壁31に並行に配置され、その上流端(入口)及び下流端(出口)は、外壁31及び多重の拡大案内板32の中心軸に垂直な断面に揃っている。
図11(a)は図10のA−Aの矢視図(入口平面図)であり、図11(b)は図10のB−Bの矢視図(出口平面図)である。図示するように消音器30の入口面には、略同心円状に配置された拡大案内板32の上流側端面と、中心から略放射状に配置された保持板35の上流側端面が配置され、拡大案内板32と保持板35で囲まれた流路の上流側端面(入口区画)34が配置されている。また、消音器30の出口面には、略同心円状に配置された拡大案内板32の下流側端面と、中心から略放射状に配置された保持板35の下流側端面が配置され、拡大案内板32と保持板35で囲まれた流路の下流側端面(出口区画)36が配置されている。消音器30の流路(区画)配置は基本的には入口面及び出口面においてともに上下左右に対称、もしくは回転対称であり、各流路(区画)は入口面から出口面まで連続している。しかし、消音器30の流路(区画)は減速器20の流路(区画)に比べて少なく、減速器20の出口での流路(区画)の幾つかは、消音器30の入口では1つの区画に統合されており、それにより消音器30の保持板35の数を減らしている。
なお、減速器20の各案内板22と消音器30の各拡大案内板32とは間隙なく接続されていることが好ましいが、製造上間隙のない完全な接続が困難な場合には、実質的に減速器20の各案内板22と消音器30の各拡大案内板32とが連続していればよい。さらに消音器30の入口部と出口部の中央部には、減速器20の出口部中央と同じく、中央部を案内板により影響を受けずに素通りする空気流を防止するため、円錐台形状の遮蔽器33が設けられている。
拡大案内板32には、消音材が備えられており、これにより減速器20で発生する風切り音や擦過音が消音される。消音材にはグラスウールや発泡ウレタン等の毛細管や連続気泡の構造を持つ素材が用いられ、これらの素材に音が入力すると、音波はその細孔中でその周壁との摩擦や粘性抵抗及び材料繊維の振動等によって、音波のエネルギーの一部が熱エネルギーに変換されることによって消音される。消音材の表面をパンチングメタル板等の多孔板で覆い、該多孔板で消音材を支持している。
消音材としては、グラスウール以外に、ロックウール、セラミック吸音板、コンクリート系吸音板、アルミニウム吸音板、発泡ウレタン吸音板等が考えられる。このときセラミック吸音板、コンクリート系吸音板、アルミニウム吸音板、発泡ウレタン吸音板は保形性を有するため、多孔板は必ずしも必要ではない。多孔板はパンチングメタル、エキスパンドメタル、アルミ繊維板、樹脂製多孔板、金網等の網状板、格子状の枠体等が考えられる。
また、上記構成の整流装置では、消音器30の出口を天空に向けて開放しているので、雨水が浸入する。この雨水の浸入に対する対策が必要となる。図12は消音器30の保持板35を透視した1枚の拡大案内板32を示す斜視図である。拡大案内板32は基板321を備え、該基板321の内側表面に消音材322を設け、外側表面に消音材323を設け、更に消音材322の内側表面に多孔板324を設けると共に消音材323の外側表面に多孔板325を設けている。また、拡大案内板32の下端は受水槽326が設けられ、消音材322の内側表面に設けられた多孔板324の下端が受水槽326の集水口326aに臨んでいる。また、受水槽326には、排水配管41が接続されている。
拡大案内板32の基板321は保持板35と接合されており、排水配管41は保持板35内又は保持板35に沿って設けられている。図13に示すように、排水配管41はそのまま、或いは他の拡大案内板32に同じように設けられた気流整流構造形状を兼ねた受水槽326と接続されて、消音器30の外部に設けられている排水設備43に接続されている。なお、排水配管41は消音器30の中央部に設けた遮蔽器33にも接続し得る。
トンネル2を排気する立坑に減速器20とその上方に消音器30を配置し、排気の空気流8を減速器20の下方から消音器30を通して上方に流通させる整流装置において、雨が降ると、図12に示すように雨滴Wdは拡大案内板32の内面に落下する。拡大案内板32は下方から上方に向けて拡径した円錐台形状であるから、落下した雨滴Wdは雨水流Wrとなって拡大案内板32の多孔板324を流下し、拡大案内板32の下部に設けた受水槽326内に流入し溜められる。受水槽326内の雨水は排水配管41を通して直接あるいは、他の拡大案内板32の受水槽326の雨水Wrを集水しながら、消音器30の排水設備(図示せず)に集められる。雨水の回収排出は、消音器30の中心部に設けた遮蔽器33内に溜まる雨水にも対応できるので、立坑内に雨水が集中して進入することはない。
整流装置に上記のように雨水の回収機構を設けることにより、整流装置の消音器30に円錐台形状の拡大案内板32を多重に設けた構成を採用することが可能となる。
整流装置の消音器30に外部から飛来する物体には、タオルなどの洗濯物、ボール等の遊具、落ち葉や木の枝、紙やビニールの袋等種々雑多な物体、或いは、小鳥や蛇等の小動物等の各種物体の侵入がある。そこで、図14に示すように、消音器30の出口にそのような物体が侵入してきても消音器30や減速器20の排気流路の内部に侵入しないように対策として出口を防鳥金網等の物体の進入を防止する物体侵入防止網42で覆うことが求められる。よって、物体侵入防止網42の設置が必須の条件となる。これにより排気流が物体侵入防止網42に衝突することで発生する風切り音の対策が別途必要となるが、この対策としては消音器30の出口における気流を略均一且つ減速する機能そのものに委ねられることになる。即ち、減速器20、消音器30を一体とした排気流を略均一且つ減速する整流・減速機能が物体侵入防止網42からの騒音を規制値内に低減するための対策そのものとなる。
なお、図14に示す如く減速器20と消音器30の間に空間を設けられるようにすることで物体侵入防止網44を消音器30の上流側(減速器20の出口)に設け、物体侵入防止網44から発生する風切り音も流路の擦過音、その他の風切り音と同時に消音器30で消音・低減させることが可能となる。この場合、求められる気流を略均一的に整流し減速する整流・減速機能についても機能の精度上の条件が緩和される作用効果がある。なお、図14において、46は作業員、48は作業スペース、50は出入口をそれぞれ示す。
なお、図14にメンテナンス時に消音器30と減速器20の間に飛来物回収作業を行うことができる作業スペース(離間空間)48を確保する例を示したが、消音器30の重量が大きい等の理由で、消音器30を上昇させて減速器20との間に作業スペース(離間空間)48を形成することが困難な場合など、場合によっては常時消音器30と減速器20の間に予め常設の作業スペース(離間空間)を設けるようにしてもよい。
また、上記実施形態例では、減速器20、消音器30とも、外壁や案内板に円筒形、円錐台形の曲面を有するものを示したが、保持板と保持板の間の外壁や案内板についてはこのような曲面板に限定されるものではなく、平板によって外壁や拡大案内板を略円筒形、円錐台形とする、即ち多角形状筒、多角形状錐台形とする場合もある。
図10に示すように、減速器20の上部に消音器30を接続した構成で、外部から飛来する洗濯物等の種々雑多な物、鳥や蛇等の小動物等々の物体が整流装置内へ侵入する。これを防止するため、消音器30の出口を物体侵入防止網44で覆うと、この物体侵入防止網からの騒音を規制値に低減させる対策が必要となる。この対策の一つとして、図14に示す整流装置では、物体侵入防止網44を消音器30の上流側(ここでは減速器20の出口)に設け、該物体侵入防止網44から発生する風切り音や流路の擦過音を、その他の風切り音と同時に消音器30で消音・低減させるというものである。そして減速器20と消音器30の間に作業スペース(離間空間)48を設け、物体侵入防止網44で捕獲された種々雑多物や小動物等の各種物体を回収することができるようにしている。
上記構成の整流装置は、整流装置を設置する高さスペースが制限されているという条件で、この制限された高さスペースに整流装置を設置するというものである。しかしながら整流装置を設置するために、厳しい高さ制限がない場合、或いは高さ制限が緩い場合もある。図15は厳しい高さ制限がない場合、或いは高さ制限が緩い場合の整流装置の構成例を示す図で、同図(a)は縦断面図、同図(b)は平面図である。図示するように、整流装置は、立坑躯体部分16で囲まれて平面視矩形状の立坑空間内に減速器55を配置すると共に、その上方に所定の空隙(離間空間)70を設けて、消音器60を配置した構成である。また、消音器60の下方と上方には、気流微調整空間73と気流減速空間76を設けている。また、空隙70内には減速器55を覆うように、物体侵入防止網44を設け、図示は省略するが、図14に示すと同様、空隙70の外壁に作業員が出入する扉を設け、メンテナンス時に作業員が空隙70に入り、物体侵入防止網44で捕獲された各種捕獲物を除去できるようにしている。
減速器55は、外壁56内に同心円状に拡大案内板57を設けている点は、図6の減速器20と略同一であるが、外壁56及び各拡大案内板57の上端部は内部上方に向かって順次長く形成されている(各拡大案内板57の上端を結ぶ線が内側に向かって上昇する傾斜線となっている)点で、図6の減速器20とはその構成が異なる(図6の減速器20では各拡大案内板22の上端は同一水平レベルとなっている)。また、減速器55の外壁56の上方には減速器55から排出された気流を消音器60に導く内壁面が上方に向かって外側に傾斜する円錐台筒状の案内部材71が設けられている。また、減速器55の中央部上方には、最も内側の拡大案内板57の内面との間に所定の空隙を設けて平行する外周面を有し、且つこの該外周面を上方に向かって連続して延長する形状の円錐筒状の案内部材72が設けられている。なお、消音器60は、案内部材72の上部外周側に配置されている。
気流微調整空間73内の高さ方向所定の位置には、消音器支持部材74が配置され、立坑躯体部分16で囲まれ立坑空間内の所定位置に消音器60が支持されている。消音器60は図15(b)に示すように、立坑躯体部分16で囲まれた平面視矩形状の立坑空間内に配置されている。また、消音器60は平面視矩形状で上下方向に伸びる枠体61を備えている。この枠体61内には上記逆円錐筒状の案内部材72の上方外周部に相当する部分に平面視格子状で上下方向に平行に配置された複数枚の案内板62を備えている。該案内板62には、図10に示す消音器30の拡大案内板32と同様、グラスウール、ロックウール、セラミック吸音板、コンクリート系吸音板、アルミニウム吸音板、発泡ウレタン吸音板等の消音材が備えられている。
また、消音器60の下方に位置する気流微調整空間73内には、消音器60に流入する気流の流れを微調整する複数の気流調整部材75を配置する。また、消音器60の上方に位置する気流減速空間76内には、必要に応じて消音器60から排出される気流を整流するための整流板77を配置する。
上記図15に示す整流装置において、排気流路17を通って流入する空気流8は図6に示し減速器20と同様、減速器55の外壁56と拡大案内板57の間の空隙、拡大案内板57と拡大案内板57の間の空隙、及び拡大案内板57と案内部材72の間の空隙を通って減速されながら流れ、案内部材71と案内部材72とで形成される空隙を通って、気流微調整空間73内に流入する。ここで気流調整部材75により気流の流れが気流調整部材75により微調整され,消音器60内に流れ込む。
消音器60は、立坑躯体部分16の壁面に取り付けられた平断面矩形状の枠体61内に、図10の消音器30の拡大案内板30が具備するのと同様な消音材を具備する案内板62で周囲が囲まれ、下端に空気流の流入口、上端に空気流の流出口が形成された複数の消音筒体64が配置された構成である。そして、減速器55で発生した風切り音や擦過音を有する空気流は、案内板62で囲まれた消音筒体64内の流路を通過する間に消音又は減音され、この消音又は減音された空気流は気流減速空間76内に流入し、その流速が減速され、大気中に放出される。このとき気流減速空間76内には必要に応じて整流板77が配置されている場合、該気流は整流板77により更に整流され、大気中に放出されることになる。
なお、上記消音器60の消音筒体64としては、汎用製品としてのユニット型の消音器を多数組み合わせて使用することもできる。図16は消音器60に使用するユニット型の消音器の外観構成例を示す図で、図16(a)は外観図、図16(b)は一部切欠き外観図である。ユニット型の消音器80は、横断面矩形状の筒状外板81、横断面矩形状の筒状内板82を具備し、該筒状外板81と筒状内板82との間の空間に吸音材83を充填した構成である。そして両端面はそれぞれ空気流が流入する空気流入口85、空気流出口(図示せず)を設けた構成である。
ユニット型の消音器80には、例えば標準タイプ、耐候タイプ、耐火タイプがある。標準タイプは、筒状外板81に亜鉛メッキ鋼鈑、筒状内板82にアルミ多孔板、吸音材83にグラスウールを使用している。耐候タイプは、筒状外板81に亜鉛メッキ鋼鈑、筒状内板82にアルミ繊維板、吸音材83にグラスウールを使用している。耐火タイプは、筒状内板82が無い構成であり、亜鉛メッキ鋼鈑からなる筒状外板81の内側に吸音材83として所定厚さのセメント系多孔質吸音材層を形成した構成である。
ユニット型の消音器80を上記標準タイプ、耐候タイプ及び耐火タイプの何れにするかは、例えば、図15(a)の消音器60が設置される場所の環境条件によって適切なものを選択する。設置方法は、上下方向に伸びる枠体61内にユニット型の消音器80をその空気流入口85を下方、空気流出口を上方にして枠体61に複数個配置して設置する。このように消音器60に、汎用製品としてのユニット型の消音器80を多数組み合わせて使用することにより、安定した消音特性を有する消音器60を安価に構築することができる。
なお、図15(a)に示す整流装置において、90は減速器55の下方に設けた雨水排水ピットを示す。ここで雨水は、消音器60の案内板62に囲まれた多数の消音筒体64の流路を通って落水する。ここで消音器60内流路は垂直方向に設置され、その空気流入口及び出口は垂直方向下上に位置するように配置されているため、雨水は案内部材71の内面に落水することになる。そして該案内部材71の下端から、減速器55の外周側、即ち外壁56の外周側に流れ落ちることになる。これによりこの雨水が減速器55の内部を伝わり排気路(排気管)17に浸入することが避けられ、この整流装置においては、特別な雨水集水対策を省略することが可能となる。
また、上記消音器60に汎用製品としてのユニット型の消音器80を多数組み合わせて使用する場合も、各消音器80の空気流入口85、空気流出口は下上方向に配置されるから、雨水は消音器80の内部の流路を通って垂直方向に落水するので、この場合も特別な雨水集水対策を省略することが可能となり、優れた消音性能で、且つ安定した消音性能を発揮できる消音器60を備えた整流装置となる。
上記消音器60の構成は、図10に示す整流装置の消音器30のように、拡大案内板32を備える構成でないから、流入した気流の流速の減速と消音を得るためには、上下方向の寸法が大きくなり、上下方向の収納スペースが当然大きくなるが、消音器60の案内板62が平板状であることから、円錐台形状の拡大案内板を用いる消音器に比べて消音器60の構成及び製造が簡単且つ容易となり、消音器60を既存の消音技術で構成することが容易となる。また、本整流装置では、消音器60の上下部に気流減速空間76及び気流微調整空間73を設け、更に消音器60と減速器55の間に気流が通る案内部材71と案内部材72とで形成される空隙を設けているので、排気流路17を通って流入する空気流8は無理なく減速・整流させて消音器60に導入し、消音されて大気中に放出されることが可能となる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお、直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造であっても、本願発明の作用効果を奏する以上、本願発明の技術範囲である。