JP6694496B1 - セメント系固化体の構築方法及び補強用繊維シート - Google Patents

セメント系固化体の構築方法及び補強用繊維シート Download PDF

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【課題】表層のひび割れの発生を抑えるための補強用繊維を効率的に配置することができるセメント系固化体の構築方法を提供する。【解決手段】合成短繊維を使用したセメント系固化体の構築方法である。そして、セメント系固化体の表面となる位置までコンクリートを打ち込む工程(ステップS1)と、硬化前のコンクリートの表面に対して、合成短繊維が散在するように配置する工程(ステップS3)と、合成短繊維が配置された表面を押さえつける工程(ステップS4)とを備えている。ここで、合成短繊維は、表面の面内において複数の向きに向けられていることが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、補強用繊維を使用したセメント系固化体の構築方法、セメント系固化体の補強構造及び補強用繊維シートに関するものである。
コンクリートやモルタルなどのセメント系混合材料に、有機繊維や金属繊維を混入することで、コンクリート等の靭性や引張強度などの性能を高めた繊維補強コンクリートが知られている(特許文献1など参照)。
特許文献1に開示されたような繊維補強コンクリートは、細骨材とセメントなどを混合した粉体混合物に、粗骨材と水とを加えてミキサで練り混ぜた後に、アジテータ車のアジテータドラム内に補強用繊維を添加することで製造される。
そして、このようにして製造された繊維補強コンクリートが、型枠の内側に打ち込まれることでコンクリート構造物が構築される。このため、コンクリート構造物の内部には、断面全体に補強用繊維が分散して配置されることになる。
一方において、コンクリート構造物、特にスラブの表層には、急激な乾燥などが原因で亀甲状のひび割れが発生することが知られている(図2(a)参照)。このようなひび割れが入らないようにするには、スラブ表層の水平方向の引張強度を高めることが有効であり、ひび割れ防止鉄筋や金網が表層に沿って配置されることがある。
特開2016−179917号公報
しかしながら、特許文献1に開示されたような繊維補強コンクリートを使用することで、コンクリート構造物の表層に発生するひび割れを抑えようとすると、コンクリート構造物全体に補強用繊維を配置することになるため、深部に配置される補強用繊維は、過剰配置となるおそれがある。
また実際の施工においては、アジテータ車に補強用繊維を投入してコンクリートと混合することになるが、そこから型枠内に打ち込まれたコンクリートの中の補強用繊維は、水平方向だけでなく鉛直方向も含めた3次元の全方位に向くことになる。ところが、表層のひび割れ防止に効果的な補強用繊維は、表層に水平方向又はそれに近い向きで配置されたものだけになるため、所望する性能を得るためには過剰に補強用繊維を投入することになる。
そこで、本発明は、表層のひび割れの発生を抑えるための補強用繊維を効率的に配置することができるセメント系固化体の構築方法、セメント系固化体の補強構造及び補強用繊維シートを提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明のセメント系固化体の構築方法は、補強用繊維を使用したセメント系固化体の構築方法であって、前記セメント系固化体の表面となる位置までセメント系混合材料を打ち込む工程と、硬化前の前記セメント系混合材料の前記表面に対して、前記補強用繊維が散在するように配置する工程と、前記補強用繊維が配置された前記表面を押さえつける工程とを備えたことを特徴とする。
ここで、前記補強用繊維は、前記表面の面内において複数の向きに向けられていることが好ましい。また、前記補強用繊維は、前記表面から20mm以浅に配置されるように押さえつけられるようにすることができる。
また、前記補強用繊維は、前記表面に50g/m2- 400g/m2が散在される構成とすることができる。さらに、前記補強用繊維の配置は、前記補強用繊維が埋め込まれたシート状材料を敷設することで行うこともできる。
また、セメント系固化体の補強構造の発明は、補強用繊維を含有するセメント系固化体の補強構造であって、前記セメント系固化体の表面から20mm以浅に前記補強用繊維が配置されていることを特徴とする。
さらに、補強用繊維シートの発明は、面内において複数の向きに向けられて散在配置された補強用繊維と、複数の前記補強用繊維をシート状に連結する水分又はアルカリ成分によって溶解する材料とを備えたことを特徴とする。
このように構成された本発明のセメント系固化体の構築方法は、セメント系混合材料を表面となる高さまで打ち込んだ後に、その表面に対して、補強用繊維が散在するように配置し、続いて表面を押さえつける。
表面に散在された補強用繊維は、表面に略平行な状態で置かれることになり、そのまま押さえつけられるので、配置された大半の補強用繊維が、表層の引張強度を高めるように機能する。このように、表層のひび割れ発生を抑えるために効果的な向きの補強用繊維を、効率的に配置することができる。
また、補強用繊維が表面の面内において複数の向きに向けられていれば、面内の様々な方向の引張強度を高めることができるようになるので、スラブなどの表層に発生しやすい亀甲状のひび割れなどを効果的に抑えることができる。
さらに、補強用繊維の配置を、補強用繊維が埋め込まれたシート状材料を敷設することで行うようにすることで、表面全域に均等に補強用繊維を散在させる作業を、迅速に行うことができるようになる。
そして、セメント系固化体の補強構造の発明では、セメント系固化体の表面から20mm以浅に補強用繊維が配置されているだけなので、少ない量の補強用繊維で表層のひび割れの発生を効果的に抑えることができる。
また、補強用繊維シートの発明は、複数の補強用繊維を水分又はアルカリ成分によって溶解する材料によってシート状に連結しているため、補強用繊維を容易に分散して配置できるうえに、配置後はセメント系混合材料に含まれる水分又はアルカリ成分によって連結に使用された材料は溶解するので、構築されるセメント系固化体の性能に影響を与えることがない。
本発明の実施の形態のセメント系固化体の構築方法の工程を説明するフローチャートである。 (a)は通常のスラブの表面に発生する亀甲状のひび割れを模式的に示した説明図、(b)は本実施の形態のセメント系固化体の構築方法において合成短繊維を散在させた状態を説明する平面図である。 本実施の形態のセメント系固化体の補強構造を模式的に示した断面図である。 本実施の形態のセメント系固化体の構築方法において表面を押さえつける工程を説明する斜視図である。 表面を押さえつけることによって合成短繊維が配置される位置を確認するために行った実験結果を示した図である。 本実施の形態のセメント系固化体の補強構造のひび割れ防止効果を確認するために行った実験結果を示した図であって、(a)はひび割れ面積で比較した図、(b)はひび割れ抑制率で比較した図である。 実施例1の補強用繊維シートの構成を模式的に示した説明図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態のセメント系固化体の構築方法の工程を説明するフローチャートである。まず、セメント系固化体の構築方法において使用される材料及び構築される構造物について説明する。
セメント系固化体は、水硬性材料であるセメントが水との化学反応で硬化することによって形成される構造物で、コンクリート構造物、モルタル構造物などが該当する。すなわち、セメント系固化体は、セメント系混合材料を所望する形状に固化させた物体を指す。
セメント系混合材料には、コンクリートやモルタルなどが該当する。コンクリートは、主に細骨材と粗骨材とセメントと水とを混合して製造され、モルタルは、細骨材とセメントと水とを混合して製造される。
セメント系混合材料に使用される「セメント」には、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメントなどが使用できる。
セメント系混合材料に使用される骨材は、粒度の大きさにより「細骨材」と「粗骨材」とに分けられる。一般的には、粒度5mmを境として「細骨材」と「粗骨材」とに分けられる。骨材には、砕砂、砂利、川砂、海砂、珪砂、石灰石の砕砂、再生骨材の砂、鉄鉱石の粉砕物、スラグの粉砕物などが使用できる。
そして、このようなセメント系混合材料によって構築されるセメント系固化体には、補強用繊維が使用される。補強用繊維には、有機繊維、無機繊維などがある。ここで、無機繊維としては、鋼繊維、高張力鋼繊維、ステンレス繊維、炭素繊維、鉱物繊維などが使用できる。
一方、有機繊維には、ポリプロピレン(PP)繊維、ポリエチレン繊維、ナイロン繊維、ポリビニルアルコール(PVA)繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ポリエチレンテレフタラート(PET)繊維、ポリ塩化ビニル繊維などが使用できる。
補強用繊維においては、繊維素材を切断するなどして数mmから30mm程度の長さに成形されたものを、短繊維と呼ぶ。以下では、補強用繊維として、ポリプロピレン(PP)繊維を18mm - 30mm程度の長さに成形した合成短繊維2を使用する場合を例に説明する。
ところで、土間などを構築するためにコンクリートを打ち込んでスラブMを形成すると、その表面M1に、図2(a)に示すような亀甲状のひび割れSが発生することがある。このスラブMの表層のひび割れSは、コンクリートの水平方向の引張強度が不足することによって生じるものと考えられるので、ひび割れSを跨ぐように補強用繊維が配置されていれば、ひび割れSの発生を抑えることができると言える。
一方、ひび割れSは、面内(2次元)において、360度のあらゆる方向に向いて発生する可能性がある。このため、これらのひび割れSの発生を抑えるためには、可能な限り多くの面内方向に向けて補強用繊維を配置するのが好ましいと言える。
図2(b)は、本実施の形態のセメント系固化体の構築方法において、合成短繊維2,・・・を散在させた状態を説明する平面図である。すなわち、合成短繊維2は、セメント系混合材料として打ち込まれたコンクリート1の上面となる表面11の面内において、複数の向きに向けられて配置される。
また、図3は、本実施の形態のセメント系固化体の補強構造となるコンクリート構造物10を模式的に示した断面図である。合成短繊維2,・・・は、平面的に様々な方向を向いているので、模式的に示した断面図においても、投影される長さを変えて図示した。
この断面図を見ると分かるように、合成短繊維2,・・・は、仮想線(2点鎖線)で示した表層の配置境界21より浅い位置に配置される。すなわち、合成短繊維2が配置される範囲を表面11からの深さDで示すために、配置境界21として図示した。この深さDは、後述するように20mm程度になる。
次に、本実施の形態のセメント系固化体の構築方法の工程について、図1を参照しながら説明する。
まず、ステップS1では、スラブなどのコンクリート構造物10を構築するために設けられた型枠の内部に、コンクリート1を打ち込む。このコンクリート1の打ち込み工程は、コンクリート構造物10の設計厚さに到達するまで続けられる。
所定の厚さになるまで打ち込まれたコンクリート1の表面11に対しては、トンボやスクリード等を使って粗均しを行い、レベル(高さ)の調整を行う(ステップS2)。ここまでは、通常のコンクリートの打設時に行われる作業である。
続いてステップS3では、コンクリート1の表面11に対して、合成短繊維2,・・・を散布する。合成短繊維2,・・・の散布は、単位面積に対して予め決められた量をばら撒くことによって行われる。例えば、50g/m2 - 400g/m2 程度の散布を行う。ここで、コンクリートであれば、50g/m2 - 200g/m2 程度の散布を行うことができ、モルタルであれば、400g/m2 程度まで散布を行うことができる。
このようにして散布された合成短繊維2,・・・は、図2(b)に示したように、コンクリート1の表面11に散在した状態の配置となる。このとき、合成短繊維2,・・・の向きは、面内で多くの方向に向いているのが好ましく、散布密度も均等に近い方が好ましい。
このように合成短繊維2,・・・が散在配置された表面11を、図4に示すように、タンパ3や鏝などで押さえつける(ステップS4)。タンパ3は、長方形の押え板31によって下面が形成されており、作業員が人力で上下させることで、押さえ工程が実施される。図4では、押さえ作業を行う前のコンクリート1の上面の状態を表面11Aで図示し、押さえ作業後のコンクリート1の上面の状態を表面11Bで図示した。
この押え工程によって、表面11に浮いた状態にあった合成短繊維2,・・・が沈み込み、図3に示したような配置状態になる。ここで、押さえ込みによって、多少、下方に向けて傾く合成短繊維2も現れるが、延伸方向の主成分が水平方向であれば、水平方向の引張強度を効率的に高めることに寄与できる。
ステップS5からは、通常のコンクリートの打設時に行われる作業となるが、金鏝などで表面仕上げ工程を行い、所定の強度が発現する日数が経過するまで養生を行う(ステップS6)。
次に、上述したような工程によって構築された本実施の形態のセメント系固化体の補強構造の効果を確認するために行った実験結果について、図5及び図6を参照しながら説明する。
実験に使用した合成短繊維2は、直径0.7mm、長さ30mmのポリプロピレン(PP)繊維である。合成短繊維2の周面には、エンボス加工が施されていて、コンクリートへの接着性が高められている。
まず、図5には、コンクリート1の表面11にばら撒かれた合成短繊維2が、押さえ工程(ステップS4)によって、表面11からどのくらいの深さDまで入り込むかを確認した実験結果を示した。
実験は、2つの供試体A,Bを使って行った。図5のグラフは、横軸を表面からの距離とし、縦軸は各深度(距離)に配置されていた合成短繊維2の本数を示している。この実験結果を見ると分かるように、表面11からの距離が15mmの深度では、少ないながらも合成短繊維2が存在したが、25mmの深度まで到達した合成短繊維2は存在しなかった。このため、図3に示す配置境界21となる深さDは、20mm程度となる。
続いて、合成短繊維2の混入方法と混入量の違いによるひび割れ防止効果の差異を確認する実験を行った。図6には、実験結果の比較のために、ケース0として、合成短繊維2を含有していないコンクリートの供試体「繊維なし」による実験結果を示した。また、供試体は、いずれも1辺914mmの正方形平面で、厚さ50mmのスラブである。
ケース1は、通常の繊維補強コンクリートと同様に、コンクリートを練り混ぜている過程で合成短繊維2を混入して撹拌したコンクリートによる供試体「0.4vol%」である。この供試体には、コンクリート1m3当り0.4%の容積に相当する合成短繊維2が全体に均等に分散している。
一方、ケース2からケース4は、それぞれ表面11に50g/m2(ケース2)、100g/m2(ケース3)、150g/m2(ケース4)の量の合成短繊維2,・・・を散布して押さえつけ工程を施した供試体である。因みに、この添加量を厚さ300mmのスラブの全断面に分散させた場合の含有量の表記は、コンクリート1m3当り0.018vol% - 0.073vol% となり、ケース1よりはるかに少ない。
図6(a)は、ひび割れ面積を縦軸にして、各ケースを比較した結果を示している。ここで、「ひび割れ面積」とは、各ひび割れの幅(0.1mm以上)に長さを乗じたものを積算した値である。この実験結果を見ると明らかなように、合成短繊維2を含有させることによって、ひび割れの発生が大幅に抑えられることが分かる。
さらに、合成短繊維2は、表層付近に配置されているだけでひび割れ防止効果が高く、50g/m2以上の散布を行うことで、ほとんど又はまったくひび割れが発生しないという結果が得られた。上述したように、このケース2からケース4に使用された合成短繊維2の添加量は、ケース1の添加量の1桁程度少ない量であり、大幅な材料の削減が可能になると言える。
一方、図6(b)は、ひび割れ抑制率を縦軸にして、各ケースを比較した結果を示している。ここでは、ケース0のひび割れ面積を基準にして割合の算定をしているため、ケース0のひび割れ抑制率は、0%となる。この図6(b)は、図6(a)の見方を変えただけの結果であるため、上述した結果と同様の知見が得られる。
次に、本実施の形態のセメント系固化体の構築方法、セメント系固化体の補強構造及び補強用繊維シートの作用について説明する。
このように構成された本実施の形態のセメント系固化体の構築方法は、コンクリート1を表面11となる高さまで打ち込んだ後に、その表面11に対して、合成短繊維2,・・・が散在するように配置し、続いて表面11を押さえつける。
表面11に散在された合成短繊維2は、表面11に略平行な状態で置かれることになり、そのまま押さえつけられるので、配置された大半の合成短繊維2が、表層の水平方向の引張強度を高めるように機能する。このように、表層のひび割れ発生を抑えるために効果的な向きの合成短繊維2を、効率的に配置することができる。
特に、アジテータ車などで補強用繊維とコンクリートとを混合する繊維補強コンクリートを使って、表層に同じ量の合成短繊維2を配置しようとすれば、表層のみに配置する場合と比べて10倍以上の添加量が必要となる。これに対して、本実施の形態の表面11に合成短繊維2を散在配置して押さえつける方法とすることで、少ない量の合成短繊維2によって効果的に表層のひび割れの発生を抑えることができる。要するに、表面11からの押さえつけによって配置される合成短繊維2は、大部分が表層である20mm以浅に配置されることになるので、効率的である。なお、20mmより深い位置まで押し込まれた合成短繊維2は、通常の繊維補強コンクリートと同様の機能を発揮することになる。
さらに、アジテータ車で混合・撹拌を行った場合、使用後にアジテータ車のアジテータドラムにへばりついた合成短繊維2を、多大な労力をかけて洗浄する必要があったが、アジテータドラムへの合成短繊維2の投入を行わない本実施の形態の方法であれば、この洗浄作業の労力を省くことができる。
また、合成短繊維2が表面11の面内において複数の向きに向けられていれば、様々な水平方向の引張強度を高めることができるようになるので、スラブなどの表層に発生しやすい亀甲状のひび割れなどを効果的に抑えることができる。
以下、前記実施の形態で説明したセメント系固化体の構築方法とは別の形態の実施例1について、図7を参照しながら説明する。なお、前記実施の形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は同一符号を用いて説明する。
本実施例1では、補強用繊維が埋め込まれたシート状材料である補強用繊維シート4を使用する場合について説明する。この補強用繊維シート4は、面内において複数の向きに向けられて散在配置された補強用繊維である合成短繊維42,・・・と、複数の合成短繊維42,・・・をシート状に連結する水分又はアルカリ成分によって溶解する材料である基材41とによって主に構成される。
合成短繊維42は、上記実施の形態で説明した合成短繊維2と同様の構成となるため、詳細な説明は省略する。
一方、基材41は、合成短繊維42,42同士を繋ぎ合わせる接着力を有するとともに、水分又はアルカリ成分と接触すると溶解する材料(カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化グアガム、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなど)によって構成される。例えば、トレーなどの底に水溶性材料である水溶性糊を流し込み、その上から様々な方向を向くように合成短繊維42,・・・を散布して、水溶性糊を硬化させることで、シート状に形成することができる。また、水溶性材料又はアルカリ分解性材料を素材とする複数枚に重ねるシートの間に、散在配置される合成短繊維42,・・・を挟みこむことによっても製造することができる。
また、補強用繊維シート4は、長尺状に製作して巻き取ることで、搬送しやすい荷姿にすることができる。そして、コンクリート1を打ち込んで(ステップS1)、粗均し工程(ステップS2)を行った後に、ロール状の補強用繊維シート4を引き出して敷設することで、表面11に対して容易に合成短繊維42,・・・を散在配置することができる。
そして、この補強用繊維シート4の基材41は、押さえ工程(ステップS4)や養生工程(ステップS6)において、コンクリート1に含まれる水分に溶解して形が消滅することになる。
このように構成された実施例1のセメント系固化体の構築方法では、合成短繊維42の配置を、合成短繊維42が埋め込まれたシート状材料である補強用繊維シート4を敷設することで行うため、表面11の全域に均等に合成短繊維42を散在させる作業を、迅速に行うことができる。
また、補強用繊維シート4は、複数の合成短繊維42,・・・を水分又はアルカリ成分によって溶解する材料によってシート状に連結しているだけなので、合成短繊維42を容易に分散して配置できるうえに、配置後はコンクリート1に含まれる水分又はアルカリ成分によって溶解して、構築されるコンクリート構造物10の性能に影響を与えることがない。
なお、実施例1のこの他の構成及び作用効果については、前記実施の形態と略同様であるため説明を省略する。
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態及び実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
例えば、前記実施の形態及び実施例1では、セメント系固化体としてスラブを例に説明したが、これに限定されるものではなく、床、天井、壁などの構造物の表層のひび割れの発生を抑えるためにも、本発明を適用することができる。
また、前記実施例1では、補強用繊維シート4をコンクリート1の表面11に敷設する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、繊維補強コンクリートを製造する際にも、混合中のコンクリートの中に長方形などに切断した補強用繊維シート4を投入することで、容易に合成短繊維42を分散させることができるようになる。
10 :コンクリート構造物(セメント系固化体)
1 :コンクリート(セメント系混合材料)
11 :表面
2 :合成短繊維(補強用繊維)
4 :補強用繊維シート
41 :基材(水又はアルカリ成分によって溶解する材料)
42 :合成短繊維(補強用繊維)

Claims (5)

  1. 補強用繊維を使用したセメント系固化体の構築方法であって、
    前記セメント系固化体の表面となる位置までセメント系混合材料を打ち込む工程と、
    硬化前の前記セメント系混合材料の前記表面に対して、前記補強用繊維が散在するように配置する工程と、
    前記補強用繊維が配置された前記表面を押さえつける工程とを備え
    前記補強用繊維の配置は、散在配置された補強用繊維である短繊維と、複数の前記短繊維をシート状に連結する水分又はアルカリ成分によって溶解する材料とによって形成された補強用繊維シートを敷設することで行われ、前記溶解する材料が溶解することによって前記短繊維が前記セメント系固化体の内部に分散して配置されることを特徴とするセメント系固化体の構築方法。
  2. 前記補強用繊維は、前記表面の面内において複数の向きに向けられていることを特徴とする請求項1に記載のセメント系固化体の構築方法。
  3. 前記補強用繊維は、前記表面から20mm以浅に配置されるように押さえつけられることを特徴とする請求項1又は2に記載のセメント系固化体の構築方法。
  4. 前記補強用繊維は、前記表面に50g/m2- 400g/m2が散在されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のセメント系固化体の構築方法。
  5. セメント系固化体の表面から20mm以浅に補強用繊維を配置するための補強用繊維シートであって、
    面内において複数の向きに向けられて散在配置された補強用繊維である短繊維と、
    複数の前記繊維をシート状に連結する水分又はアルカリ成分によって溶解する材料とを備え
    前記溶解する材料が溶解することによって前記短繊維が前記セメント系固化体の内部に分散して配置されるものであることを特徴とする補強用繊維シート。
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