[第1実施例]
図1は、この発明の一実施例である画像形成装置10の全体を背面から見た概略構成図である。
図1を参照して、第1実施例の画像形成装置10は、カラープリンタであって、電子写真方式によって用紙(記録媒体)に多色または単色の画像を形成する。ただし、画像形成装置10は、モノクロプリンタであってもよい。また、画像形成装置10は、プリンタに限定される必要はなく、コピー機またはファクシミリ或いはこれらの機能を備えた複合機であってもよい。
先ず、画像形成装置10の基本構成について概略的に説明する。図1に示すように、画像形成装置10は、感光体ドラム12、現像装置14、帯電器16、クリーニングユニット18、露光装置20、中間転写ベルトユニット22、2次転写ローラ24および定着ユニット26等のコンポーネントを備え、給紙トレイ28から搬送される用紙上に画像を形成し、画像形成済みの用紙を排出トレイ30に排出する。用紙上に画像を形成するための画像データとしては、外部コンピュータから入力される画像データが利用される。ただし、画像形成装置10がスキャナ機能を備える場合には、外部から入力される画像データのみならず、スキャナによって原稿から読み取った画像データを利用することもできる。
上述の各コンポーネントは、画像形成装置10の筐体10a内に収容される。また、画像形成装置10の筐体10a内には、図示しないCPUおよびメモリ等を含む制御部が設けられる。制御部は、画像形成装置10の各部位に制御信号を送信し、画像形成装置10に種々の動作を実行させる。
ここで、画像形成装置10において扱われる画像データは、ブラック(BK)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびイエロー(Y)の4色のカラー画像に応じたものである。このため、感光体ドラム12、現像装置14、帯電器16およびクリーニングユニット18のそれぞれは、各色に応じた4種類の潜像を形成するように4個ずつ設けられ、これらによって4つの画像ステーションが構成される。4つの画像ステーションは、中間転写ベルト36の表面の走行方向(周回移動方向)に沿って1列に並んで配置され、中間転写ベルト36の走行方向における下流側から、つまり2次転写ローラ24に近い側から、ブラック用、マゼンタ用、シアン用およびイエロー用の順に配置される。ただし、各色の配置順は、適宜変更可能である。
各画像ステーションにおいて、感光体ドラム12の回転方向回り(図1では反時計回り)に、帯電器16、現像装置14およびクリーニングユニット18がこの順序で配置される。現像装置14は、現像ローラ156(図2参照)の回転軸が感光体ドラム12の回転軸と平行に並ぶように配置される。また、帯電器16は、自身の回転軸が感光体ドラム12の回転軸と平行に並ぶように配置される。さらに、クリーニングユニット18は、クリーニングブレード(図示せず)の長手方向が感光体ドラム12の回転軸方向と一致するように配置される。ただし、図1においては、感光体ドラム12の回転軸方向は、画像形成装置10を背面から見た場合の奥行き方向(前後方向)である。
感光体ドラム12は、導電性を有する基体の表面に感光層(光導電層)が形成された像担持体であって、図示しない駆動部によって軸線回りに回転可能に支持される。基体は、円筒状、円柱状、薄膜シート状などの種々の形状を採ることができる。感光層は、光を照射されることで導電性を示す材料によって形成される。第1実施例の感光体ドラム12としては、アルミニウムで形成された円筒状の基体と、この基体の外周面上に形成される、アモルファスシリコン(a−Si)、セレン(Se)、または有機光半導体(OPC)からなる感光層とを含むものが用いられる。
現像装置14は、感光体ドラム12の表面に形成された静電潜像をトナーによって顕像化する(トナー像を形成する)ものである。この現像装置14には、トナー供給パイプ34を介して、トナーカートリッジ32が接続される。トナーカートリッジ32は、未使用のトナーおよびキャリアを貯蔵する容器であって、現像装置14の上方に設けられて、現像装置14にトナーを供給(補給)すると共にキャリアを補給する。トナー供給パイプ34は、トナーカートリッジ32と現像装置14に形成されるトナー補給口144a(図2参照)とを連結(接続)する。なお、現像装置14の詳細については後述する。
帯電器16は、感光体ドラム12の表面を所定の極性および電位に帯電させる装置である。帯電器16としては、ブラシ型帯電装置、ローラ型帯電装置、コロナ放電装置、イオン発生装置などを用いることができる。
クリーニングユニット18は、感光体ドラム12から中間転写ベルト36にトナー像が転写された後に、感光体ドラム12の表面に残存するトナーを除去すると共に回収し、感光体ドラム12の表面を清浄化する。したがって、たとえば、クリーニングユニット18は、トナーを掻き取るための板状部材であるクリーニングブレードと、掻き取ったトナーを回収するための回収容器とを備える。
露光装置20は、現像装置14の下方に設けられる。露光装置20は、レーザ出射部および反射ミラー等を備えたレーザスキャニングユニット(LSU)として構成され、帯電された感光体ドラム12の表面を露光することによって、画像データに応じた静電潜像を感光体ドラム12の表面に形成する。
中間転写ベルトユニット22は、中間転写ベルト36、駆動ローラ38、従動ローラ40および4つの中間転写ローラ(1次転写ローラ)42等を備え、感光体ドラム12の上方に配置される。
中間転写ベルト36は、可撓性を有する無端状のベルトであって、カーボンブラック等の導電性材料を適宜配合した合成樹脂またはゴム等によって形成される。中間転写ベルト36は、駆動ローラ38および従動ローラ40等の複数のローラによって張架され、その表面(外周面)が感光体ドラム12の表面に当接するように配置される。そして、中間転写ベルト36は、駆動ローラ38の回転駆動に伴い、所定方向(図1では時計回り)に回転(周回移動)する。
駆動ローラ38は、図示しない駆動部によってその軸線回りに回転可能に設けられる。従動ローラ40は、中間転写ベルト36の周回移動に伴って回転すると共に、中間転写ベルト36に一定の張力を与えて中間転写ベルト36の弛みを防止する。
中間転写ローラ42は、中間転写ベルト36を挟んで各感光体ドラム12と対向する位置のそれぞれに配置され、中間転写ベルト36の内周面と圧接されて中間転写ベルト36の周回移動に伴い回転する。図示は省略するが、この中間転写ローラ42には、転写バイアスを印加する転写電源が接続される。画像形成時には、感光体ドラム12の表面に形成されたトナー像を構成するトナーの帯電極性とは逆極性の電圧が中間転写ローラ42に印加される。これによって、感光体ドラム12と中間転写ベルト36との間に転写電界が形成され、この転写電界の作用によって、感光体ドラム12に形成されたトナー像が中間転写ベルト36の外周面に転写される。たとえば、カラー画像を形成する場合には、各感光体ドラム12に形成された各色のトナー像が中間転写ベルト36に順次重ねて転写(1次転写)されて、中間転写ベルト36の外周面に多色のトナー像が形成される。
また、中間転写ベルト36を挟んで駆動ローラ38と対向する位置には、2次転写ローラ24が配置される。2次転写ローラ24には、図示しない転写電源が接続され、画像形成時には、この転写電源によって2次転写ローラ24に電圧(2次転写電圧)が印加される。そして、電圧が印加された2次転写ローラ24によって形成される転写電界の作用により、中間転写ベルト36と2次転写ローラ24との間の転写ニップ域を用紙が通過する間に、中間転写ベルト36の外周面に形成されたトナー像が用紙に転写(2次転写)される。その後、中間転写ベルト36の表面に残存したトナーは、図示しない転写ベルトクリーニングユニットによって除去および回収される。
定着ユニット26は、ヒートローラおよび加圧ローラ等を備え、2次転写ローラ24の上方に配置される。ヒートローラは、所定の定着温度となるように設定されており、ヒートローラと加圧ローラとの間の定着ニップ域を用紙が通過することによって、用紙に転写されたトナー像が溶融、混合および圧接されて、用紙に対してトナー像が熱定着される。
また、画像形成装置10の筐体10a内には、給紙トレイ28に載置された用紙を2次転写ローラ24および定着ユニット26を経由させて排出トレイ30に送るための用紙搬送路が形成される。この用紙搬送路には、搬送ローラ44,46,48およびレジストローラ50等の用紙搬送手段が適宜配置される。
画像形成時には、給紙トレイ28に載置された用紙が図示しないピックアップローラによって1枚ずつ用紙搬送路に導かれ、搬送ローラ44によってレジストローラ50まで搬送される。そして、レジストローラ50によって、用紙の先端と中間転写ベルト36上のトナー像の先端とが整合するタイミングで2次転写ローラ24に用紙が搬送され、用紙上にトナー像が転写される。その後、定着ユニット26を通過することによって用紙上の未定着トナーが熱で溶融して固着され、搬送ローラ46,48を経て排出トレイ30上に用紙が排出される。
このような画像形成装置10では、後述するように、現像装置14が備える現像ハウジング140に、黒、シアン、マゼンタまたはイエローのトナーおよびキャリアから成る現像剤(二成分現像剤)が貯留される。ただし、キャリアは、鉄粉やフェライトのような磁性材料である。以下、同様である。
たとえば、現像装置14は、トリクル現像方式の現像装置である。トリクル現像方式とは、簡単に説明すると、トナーカートリッジ32内のトナーに新しいキャリアを一定の比率で混合しておき、トナーの供給(補給)と同時に新しいキャリアを現像装置14内に供給(補給)すると共に、過剰となった現像剤を現像装置14内から排出することによって、現像装置14内の劣化したキャリアを新しいキャリアに順次入れ替える技術を言う。
なお、この明細書においては、単に「現像剤が排出される」などというが、これは、劣化したキャリア、または劣化したキャリアとトナーとが混合された現像剤が排出されることを意味する。また、必ずしも劣化したキャリアが未使用のキャリアと入れ替えられるとは限らないが、基本的には、劣化したキャリアが未使用のキャリアと入れ替えられるように、現像装置14は構成される。
現像装置14では、用紙に画像が形成されることによってトナーが消費されると、消費量に相当するトナーが補給される。このため、たとえば、現像ハウジング140の底部には、トナー濃度検知センサ(図示せず)が設けられ、このトナー濃度検知センサの検知結果に基づいて、現像ハウジング140内のトナー濃度(T/D:Tはトナーであり、Dは現像剤である)が検出される。そして、検出されたトナー濃度に応じて、トナーの補給が制御される。
トナー濃度検知センサとしては、透過型の光学センサ、反射型の光学センサ、または透磁率センサ等が用いられる。この中でも、透磁率センサを用いることが好ましい。透磁率は、現像剤中の磁性材料の割合によって変化する。すなわち、現像剤中の磁性材料と非磁性材料との混合比すなわち磁性材料の相対濃度が変化すると、透磁率センサの出力が変化する。したがって、現像剤の透磁率を検出することによって、現像剤中の磁性材料であるキャリアの濃度が測定される。または、現像剤中の非磁性材料であるトナーの濃度が測定される。
図2は図1に示す現像装置14の具体的な外観構成を斜め上方から見た斜視図である。また、図3は図2に示す現像装置14を左側面から見た側面図である。さらに、図4は図3のIV-IV断面図である。
ただし、図2に示す現像装置14の右側が図1に示した画像形成装置10の正面(前面)側に配置され、図2に示す現像装置14の左側が図1に示した画像形成装置10の背面側に配置される。
図2に示すように、現像装置14は、現像ハウジング140、境界壁142、ハウジングカバー144、第1搬送部材150、第2搬送部材152、第3搬送部材154および現像ローラ(マグネットローラ)156を含む。
ただし、ハウジングカバー144は、現像ハウジング140の鉛直方向の上方で、第1搬送部材150、第2搬送部材152および現像ローラ156を覆う部材であり、図2においては、ハウジングカバー144の一部を省略してある。
また、現像装置14には、ドクターブレードおよび上述したトナー濃度検知センサも含まれるが、図2においては、ハウジングカバー144の一部とともに、ドクターブレードおよびトナー濃度検知センサも省略してある。
現像ハウジング140は、上述したように、トナーとキャリアを混合した現像剤(二成分現像剤)を貯留する。また、この現像ハウジング140の内部に、上記の第1搬送部材150、第2搬送部材152、現像ローラ156および第3搬送部材154が設けられる。
ただし、トナーおよびキャリアのそれぞれ、およびそれらを混合した現像剤については図示を省略してある。
また、現像装置14から現像ローラ156およびドクターブレードを除いたものは、現像剤を搬送する搬送装置と呼ばれることがある。
さらに、現像ハウジング140内には、第2搬送部材152の鉛直方向の上方に現像ローラ156が配置される。現像ローラ156は、現像剤担持体として機能し、感光体ドラム12と対向する位置に配置される(図1参照)。現像ローラ156は、現像ハウジング140内の現像剤を表面に担持して、担持した現像剤に含まれるトナーを感光体ドラム12の表面に供給する。したがって、上述したように、感光体ドラム12の表面に形成された静電潜像が現像(顕像化)される。
なお、図示は省略するが、現像ローラ156の表面に対して所定の間隙を有してドクターブレードが現像ハウジング140に固定される。ただし、ドクターブレードは、現像ローラ156の軸線方向に延びる板状の部材である。このドクターブレードによって、現像ローラ156に担持される現像剤の量が所定量に規制される。
また、図2に示すように、現像装置14には、ハウジングカバー144の一方端部であって、第1搬送部材150の上方に、トナーカートリッジ32からトナーおよびキャリアを補給するためのトナー補給口144aが形成される。上述したように、このトナー補給口144aに、トナーカートリッジ32から延びるトナー供給パイプ34が連結される。
ただし、ハウジングカバー144の一方端部は、第1搬送部材150によって現像剤が搬送される搬送方向の上流側の端部である。
また、現像ハウジング140内では、第1搬送部材150および第2搬送部材152は、回転可能であり、図2〜図4からも分かるように、各々の回転軸が並行になるように配置される。また、第3搬送部材154は、第2搬送部材152と同軸で一体的に形成される。
図2および図4に示すように、第1搬送部材150は、回転軸(スクリュー軸150a)に現像剤を撹拌しながら搬送するための羽根(スクリュー羽根150b)が形成されたオーガスクリューである。この第1搬送部材150は、現像剤を撹拌しながら画像形成装置10の背面側から画像形成装置10の前面側に向かって搬送する。ただし、この第1搬送部材150では、現像剤の搬送方向の下流側の端部(図2および図4では右端部)において、スクリュー羽根150bが逆巻きにされる。
第2搬送部材152もまた、スクリュー軸152aに現像剤を撹拌しながら搬送するためのスクリュー羽根152bが形成されたオーガスクリューである。この第2搬送部材152は、現像剤を撹拌しながら画像形成装置10の前面側から画像形成装置10の背面側に向かって搬送する。つまり、第2搬送部材152は、第1搬送部材150とは逆向きに現像剤を搬送する。ただし、第2搬送部材152では、現像剤の搬送方向の上流側の端部(図2および図4のでは右端部)において、スクリュー羽根152bのピッチが短くされる。また、第2搬送部材152では、現像剤の搬送方向の下流側の端部(図2および図4の左端部)において、スクリュー羽根152bが逆巻きにされるとともに、スクリュー羽根152bのピッチが短くされる。
また、第3搬送部材154が第2搬送部材152と一体的に設けられる。第3搬送部材154は、第2搬送部材152と同軸であり、第3搬送路140c内に設けられる。第2搬送路140bおよび第3搬送路140cは円筒状または略円筒状に形成される(第1搬送路140aも同様)。第3搬送路140cは、第2搬送路140bと同軸であり、円筒の径が第2搬送路140bよりも小さく形成される。したがって、第2搬送路140bと第3搬送路140cの接続部(連結部)140dには、段差が形成される。このように第2搬送路140bと第3搬送路140cを形成するので、たとえば、現像装置14が傾いた場合に、第2搬送路140bから第3搬送路140cに大量の現像剤が溢れてしまうことが防止される。したがって、現像剤が第3搬送路140cから必要以上に排出されることはない。
また、第3搬送部材154は、第2搬送部材152と同軸の回転軸(スクリュー軸152a)を有するとともに、第2搬送部材152のスクリュー羽根152bとは逆巻きにされたスクリュー羽根154bを有する。この第3搬送部材154は、現像剤を画像形成装置10の背面側から画像形成装置10の前面側に向かって搬送する。ただし、スクリュー羽根154bの外径は、スクリュー羽根152bよりも小さくされる。
さらに、現像ハウジング140内には、第1搬送部材150と第2搬送部材152の間に、この第1搬送部材150および第2搬送部材152の回転軸方向に延びて、この現像ハウジング140を仕切る仕切り板すなわち境界壁142が設けられる。したがって、現像ハウジング140内には、第1搬送部材150によって現像剤が搬送される第1搬送路140aが形成されるとともに、第2搬送部材152によって現像剤が搬送される第2搬送路140bが形成される。第1搬送路140aおよび第2搬送路140bは、水平方向またはほぼ水平方向に並行に配置され、現像装置14が画像形成装置10に装着された場合に、それぞれ、画像形成装置10の前後方向に延びる。また、現像ハウジング140内には、第3搬送部材154によって現像剤を排出するための第3搬送路140cが形成される。この第3搬送路140cは、第2搬送路140bに接続(連結)される。
また、境界壁142の両端部には、スリット142aおよび142bが設けられる。これらのスリット(第2連通部)142aおよびスリット(第1連通部)142bによって、第1搬送路140aと第2搬送路140bが連通される。この境界壁142の詳細については後で詳細に説明する。
図5は、図4の断面図に現像剤の搬送方向を示した図解図である。この第1実施例では、第1搬送部材150のスクリュー軸150aと、第2搬送部材152のスクリュー軸152a(154a)とは、逆向きに回転される。したがって、上述したように、第1搬送路140aを画像形成装置10の背面側に向けて(スリット142a側からスリット142b側に向けて)現像剤が搬送され、第2搬送路140bを画像形成装置10の前面側に向けて(スリット142b側からスリット142a側に向けて)現像剤が搬送される。
また、第1搬送路140aを搬送された現像剤は、第1搬送部材150によって第1搬送路140aを搬送される現像剤の搬送方向(以下、「第1搬送路140aの搬送方向」という)の下流側の端部で、当該下流側の端部に滞留する現像剤や現像ハウジング140の壁(内側壁)に衝突する。したがって、現像剤は、第1搬送路140aの搬送方向(第1搬送方向)の下流側の端部でせき止められ(滞留され)、スリット142bから第2搬送路140bに押し出される(移動される)。
さらに、第2搬送路140bを搬送された現像剤は、第2搬送部材152によって第2搬送路140bを搬送される現像剤の搬送方向(以下、「第2搬送路140bの搬送方向」という)の下流側の端部で当該下流側の端部に滞留する現像剤や現像ハウジング140の壁(内側壁)に衝突する。したがって、現像剤は、第2搬送路140bの搬送方向(第2搬送方向)の下流側の端部でせき止められ(滞留され)、スリット142aから第1搬送路140aに押し出される(移動される)。
このように、現像ハウジング140内では、スリット142aおよびスリット142bによって第1搬送路140aおよび第2搬送路140bが連通されるため、第1搬送部材150および第2搬送部材152が回転されることによって、現像剤が循環される。図5においては、矢印A、B、CおよびDで示すように、現像剤は現像ハウジング140内を循環される。
また、上述したように、第3搬送路140cは、第2搬送路140bと同軸であり、当該第2搬送路140bよりも、搬送路を形成する円筒の径(大きさ)が小さい。このため、鉛直方向において、第3搬送路140cの底は第2搬送路140bの底よりも上方に位置する。つまり、第2搬送路140bと第3搬送路140cの接続部140dには段差が設けられる。
したがって、第2搬送路140bでは、第2搬送路140bの搬送方向の上流側の端部と接続部140dとの段差を越えて、第2搬送路140bから第3搬送路140cに溢れると、第3搬送路140cに溢れた現像剤は、第3搬送部材154によって第2搬送路140bの搬送方向とは逆向きに搬送される。また、図示は省略するが、第3搬送路140cにおける、第3搬送部材154によって第3搬送路140cを搬送される現像剤の搬送方向の下流側には、トナー排出口が設けられる。第2搬送路140bから第3搬送路140cに溢れた現像剤は、トナー排出口から排出される。たとえば、第2搬送路140bにおける現像剤の液面が接続部140dの段差を越えると、段差を超えた分の現像剤が図5の矢印Eで示す方向にトナー排出口まで搬送される。
このように、第1実施例の現像装置14では、第2搬送路140bの搬送方向の上流側の端部において、第3搬送路140c側に溢れた現像剤が排出されるように構成される。さらに言うと、現像ハウジング140内に貯留される現像剤の量およびトナー濃度が一定に保たれるように、第2搬送路140bおよび第3搬送路140cの大きさなどが決定され、現像剤の排出量が調整される。
このような現像装置14では、現像剤の使用期間が長くなると、現像ハウジング140内のトナー濃度が変動したり、現像剤自体が劣化したりして、現像剤の流動性が悪化する。
また、高速(たとえば画像形成の速度が50〜75枚/分)で画像形成を行う画像形成装置10(高速機)の現像装置14では、現像ハウジング140内において、現像剤が高速で循環される。このため、現像剤と現像ハウジング140、第1搬送部材150および第2搬送部材152との摩擦によって現像剤が高温になり、現像剤の粘度が高くなる。現像剤の粘度が高くなると、現像剤の流動性が悪化する。
さらに、画像形成装置10の使用環境(設置場所)が高温多湿である場合にも、同様に、現像剤が高温になり、現像剤の粘度が高くなって流動性が悪化する。
上記のように、現像剤の流動性が悪化すると、現像ハウジング140内で現像剤が循環し難くなる。このため、第1搬送路140aの搬送方向の下流端および第2搬送路140bの搬送方向の下流端に現像剤が過剰に滞留してしまう。この場合、現像ハウジング140内においてパッキングが発生したり、トナーと現像剤の混合性能が低下したりすることがある。このため、現像ハウジング140内の現像剤が増加し、トナー飛散が発生するという問題が生じる可能性がある。
このような問題を解決するために、第1実施例の現像装置14では、現像剤の流動性が悪化した場合であっても、現像ハウジング140内の現像剤の量が必要以上に増加するのを防止するようにしてある。
簡単に説明すると、第1実施例の現像装置14では、現像ハウジング140内の現像剤の量(液面)が所定の高さを超えた場合に、第1搬送路140aの搬送方向の下流端において、第1搬送路140aから第2搬送路140bに現像剤を移動させるための連通路(短絡路)1430が設けられる。
ただし、所定の高さは、現像ハウジング140の底(底面)からの高さであり、実験等によって決定される。
図6は、現像ハウジング140内の境界壁142を正面から見た図解図である。図7は、現像ハウジング140内の境界壁142を現像装置14の左側面側から見た場合の図解図である。図8は第1実施例の現像装置14を斜め上方から見た斜視図である。図9は図3におけるIX-IX断面図の一部を拡大した図である。
なお、図8においては、左斜め上方が、図2に示した現像装置14の右側に相当する。また、図8(図10〜図12も同様)では、境界壁142の構造を分かり易く示すために、正面から見た場合の境界壁142の湾曲形状を省略し、境界壁142を平板状に示してある。
図6に示すように、第1実施例の境界壁142は、長手方向において、4つの部分で構成される。具体的には、境界壁142は、第1壁部(第1境界壁に相当)1420、第2壁部(第2境界壁に相当)1422、第3壁部1424および第4壁部1426によって構成される。
図9から良く分かるように、第1壁部1420および第2壁部1422は、上下(垂直)方向において、現像ハウジング140の底面からハウジングカバー144に当たる位置まで延びている。したがって、第1壁部1420および第2壁部1422は、第2壁部1422に形成される貫通孔1428の部分を除いて、第1搬送路140aと第2搬送路140bとを仕切っている。貫通孔1428は、第2壁部1422の右側の端部の一部に長方形状に形成される。また、図6からも分かるように、この貫通孔1428は、第4壁部1426の上端よりも上方に形成される。
なお、第1実施例では、貫通孔1428の形状は、正面から見た場合に横長の長方形である。ただし、貫通孔1428の形状は、長方形に限定される必要は無い。たとえば、正面から見た場合に円形または半円形であっても良い。
また、図6および図9から分かるように、第2壁部1422は、境界壁142の右端部に位置する。つまり、第2壁部1422は、第1搬送路140aの搬送方向において下流端(スリット142bよりも下流側)に設けられる。したがって、図8からも分かるように、第1搬送路140aの搬送方向に搬送される現像剤は、第1搬送路140aの搬送方向の下流端側から第2搬送路140bの搬送方向の上流端側に移動され難い。このため、現像剤は、第1搬送路140aの搬送方向における下流端で滞留される。したがって、現像剤が第2搬送路140bの搬送方向の上流端に現像剤が必要以上に流れ込むことが防止される。このため、現像剤が第3搬送路140cから必要以上に排出されることもない。
図6、図8および図9に示すように、第3壁部1424および第4壁部1426は、上下方向における高さが、第1壁部1420および第2壁部1422よりも低く設定される。第3壁部1424は、第1壁部1420よりも第1搬送路140aの搬送方向の上流側に配置され、第4壁部1426は、第1壁部1420よりも第1搬送路140aの搬送方向の下流側に配置される。上述したように、第3壁部1424には、その上方にスリット142aが形成され、第4壁部1426には、その上方にスリット142bが形成される。したがって、第3壁部1424および第4壁部1426が配置される位置において、第1搬送路140aと第2搬送路140bとが連通される。
ただし、上述したように、第1搬送路140aおよび第2搬送路140bは、円筒状または略円筒状に形成される。したがって、図7に示すように、境界壁142の第1搬送路140a側の面は、第1搬送部材150のスクリュー羽根150bに沿って湾曲する。同様に、境界壁142の第2搬送路140b側の面は、第2搬送部材152のスクリュー羽根152bに沿って湾曲する。また、図7から良く分かるように、第1実施例では、第1搬送部材150のスクリュー軸150aの回転軸線の高さと、第2搬送部材152のスクリュー軸152aの回転軸線の高さとが異なる。また、第1搬送路140aと第2搬送路140bとは、その底面の高さが異なる。この第1実施例では、第1搬送路140aの底面が、第2搬送路140bの底面よりも高い位置になるように設けられる。
図8および図9に示すように、第2壁部1422(境界壁142の右端)は、現像ハウジング140の内側面に当接するため、現像ハウジング140に境界壁142が設けられた状態においては、貫通孔1428によって、第1搬送路140aと第2搬送路140bとを連通する連通路(第3連通路)1430が形成される。
また、図7〜図9に示すように、貫通孔1428の下側の端部(上下方向における底辺(底面))は、第1搬送部材150および第2搬送部材152の回転軸線よりも上側に設けられる。さらに、貫通孔1428における第1搬送路140aの搬送方向の上流側の端部(左右方向の開放していない側の辺)は、第1搬送部材150のスクリュー羽根150bが逆巻きにされる位置よりも第1搬送路140aの搬送方向の下流側に設けられる。
このように構成するのは、現像ハウジング140内(第1搬送路140a内)における現像剤の液面の高さが現像ハウジング140の底(底面)から所定の高さよりも高くなった場合に限り、連通路1430を介して現像剤を第2搬送路140b側に排出する(移動させる)ためである。したがって、貫通孔1428が設けられたとしても、現像剤が第1搬送路140aの搬送方向の下流端部から第2搬送路140bの搬送方向の上流端部に過剰に移動されることはない。
なお、貫通孔1428を形成することに代えて、スリット142bを現像ハウジング140の内側面まで延ばすことも考えられる。しかし、この場合には、上述したように、第1搬送路140aの搬送方向の下流端から第2搬送路140bの搬送方向の上流端に押し出される現像剤が多過ぎるし、第1搬送路140aを搬送される現像剤は、搬送される勢いがほとんど低減されずに、スリット142bから第2搬送路140bと第3搬送路140cの接続部140dにまで移動されてしまう。この場合、現像剤は、そのままの勢いで第2搬送路140bと接続部140dとの段差を飛び越えて第3搬送路140cに溢れてしまう。これでは、現像剤が過剰に排出されてしまう。したがって、第1実施例では、上記のような構成を採用することにより、必要な場合にだけ、連通路1430を介して現像剤を第1搬送路140aから第2搬送路140bに排出できるようにしてある。
この第1実施例によれば、現像剤が過剰に排出されることを防止するとともに、現像ハウジング140内の現像剤が多くなり、現像剤の液面が所定の高さよりも高くなったときに、現像剤が連通路1430を通って第1搬送路140aから第2搬送路140bに排出される。つまり、現像ハウジング140内の現像剤の量を安定させることができる。
また、第1実施例によれば、現像ハウジング140内の現像剤の量を安定させることができるので、トナー飛散を防止することができる。
なお、第1実施例では、第2壁部1422の一部に貫通孔1428を形成することにより、連通路1430を設けるようにしたが、これに限定される必要は無い。たとえば、第2壁部1422の右上の角部を取り除く(切り欠く)ことにより、連通路1430を設けるようにしてもよい。かかる場合にも、切り欠いた部分の下端は、スリット142bの底よりも高い位置に形成される。
このようにすれば、連通路1430の大きさを第1実施例で示した場合よりも大きくすることができるので、粘度が高くなった場合の現像剤が連通路1430で詰まってしまうなどの不都合を出来る限り防止することができる。
また、この第1実施例では、境界壁142が、第1壁部1420、第2壁部1422、第3壁部1424および第4壁部1426から構成されるようにしたが、これらの一部または全部が独立した部品であってもあってもよい。
[第2実施例]
第2実施例の画像形成装置10は、現像装置14の構成を一部変更した以外は、第1実施例と同じであるため、重複した説明は省略する。
図10は第2実施例における現像装置14を斜め上方から見た斜視図である。図10に示すように、第2実施例では、連通路1430は、第1搬送路140a側から第2搬送路140b側に向かうにつれて拡大する。この第2実施例では、連通路1430を構成する貫通孔1428の下側の底面1426aが、第1搬送路140a側から第2搬送路140b側に向かって下方に傾斜する傾斜面である。つまり、第2実施例の連通路1430は、現像剤が第1搬送路140a側から第2搬送路140b側へ移動され(押し出され)易く、逆方向に移動され難く形成される。
なお、連通路1430を構成する貫通孔1428の面のうち、底面1426a以外の他の面も第1搬送路140a側から第2搬送路140b側に向かうにつれて貫通孔1428(連通路1430)の大きさが大きくなるように傾斜するようにしても良い。また、たとえば、貫通孔1428の形状が、境界壁142を正面から見た場合に、円形または半円形である場合には、貫通孔1428の径が、第1搬送路140a側から第2搬送路140b側に向かうにつれて大きくされる。
この第2実施例によれば、現像剤が押し出される方向に向かって連通路1430が拡大するので、現像剤が連通路1430に詰まり難くすることができる。したがって、連通路1430を設けたことにより得られる効果が失われてしまうのを出来る限り防止することができる。
[第3実施例]
第3実施例の画像形成装置10は、現像装置14の構成を一部変更した以外は、第1実施例と同じであるため、重複した説明は省略する。
簡単に説明すると、第3実施例では、現像装置14に、連通路1430を通るように配置されるほぐし部材が設けられる。以下に、ほぐし部材の具体例を説明する。
図11は第3実施例における現像装置14の一例を示す斜視図である。第1実施例および第2実施例では省略したが、図11に示すように、第2搬送路140bの搬送方向の上流端には、可撓性シート160が設けられる。たとえば、可撓性シート160は、第2搬送路140bの搬送方向の上流端の内側壁に接着される。また、たとえば、可撓性シート160は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリカーボネートなどの合成樹脂で形成される。
可撓性シート160には、第2搬送部材152のスクリュー軸152aが通る貫通孔160aが形成される。この貫通孔160aは、径の大きさの異なる半円を上半分と下半分とで合わせた形状である。ただし、貫通孔160aは、2つの半円が、それぞれを円とした場合の中心を重ね、直線部分を合わせるように結合された形状である。
また、上半分の半円の径は、第2搬送部材152のスクリュー軸152aに対して隙間が無いように、このスクリュー軸152aの径と同じまたはほぼ同じ大きさに設定される。つまり、接続部140dの上半分は、可撓性シート160によって覆われる(塞がれる)。
一方、下半分の半円の径は、第2搬送部材152のスクリュー軸152aに対して隙間ができるように、第3搬送路140cの径よりも大きく設定される。したがって、接続部140dの下半部は、可撓性シート160によって覆われない(塞がれない)。
このように形成された貫通孔160aを有する可撓性シート160を設けるため、段差を乗り越えて第3搬送路140cに溢れる現像剤だけが排出される。したがって、段差を乗り越えずに接続部140dの上半分から第3搬送路140cに溢れようとする現像剤については、排出されないようにしてある。つまり、開発者等が意図しない現像剤の排出を防止して、キャリアの入れ替えが適切に行われるようにしてある。
また、この可撓性シート160には、連通路1430を通って、第1搬送路140a側に突出する突出片(ほぐし部材)160bが設けられる。この突出片160bは、先端部が第1搬送部材150に当接(接触)する。したがって、突出片160bは、第1搬送部材150が回転するときの振動によって振動する。これによって、連通路1430に付着ないし詰まった現像剤がほぐされ、除去される。したがって、突出片160bは除去部材と呼ぶこともできる。
なお、突出片160bは、可撓性シート160と一体成形されても良いし、可撓性シート160に接着されても良い。
また、突出片160bは、可撓性シート160と一体的に設けられ、その先端部が第1搬送部材150に接触するようにしてあるが、これに限定される必要はない。たとえば、第1搬送路140aの搬送方向の下流端の内側壁に一方端を接着し、貫通孔1428を通して、他方端(先端部)を第2搬送部材152に接触させるようにしてもよい。
図12は第3実施例の現像装置14の他の例を示す斜視図である。図12に示す構成では、第1搬送部材150のスクリュー軸150aおよび第2搬送部材152のスクリュー軸152aに架け渡される針金部材(ほぐし部材)162が設けられる。
この針金部材162は、一本の針金によって構成され、第1取付部162aと、第2取付部162bと、第1取付部162aおよび第2取付部162bを連結する連結部162cを有する。
第1取付部162aおよび第2取付部162bは、針金の端部がそれぞれ螺旋状や渦巻状に巻かれてリング状に形成される。たとえば、第1取付部162aは、第1搬送部材150のスクリュー軸150aに巻き付けられ、第2取付部162bは、第2搬送部材152のスクリュー軸152aに巻き付けられる。ただし、第1取付部162aおよび第2取付部162bは、それぞれ、第1搬送部材150および第2搬送部材152の回転負荷を増大させないように、リングの径がスクリュー軸150aおよび152aの径よりも少し大きくなるように、スクリュー軸150aおよび152aに巻き付けられる。つまり、第1取付部162aは第1搬送部材150に接触し、第2取付部162bは第2搬送部材152に接触する。また、連結部162cは、連通路1430を通るように配置される。
したがって、たとえば、棒状の針金が連結部162cに通され、この針金の一方端が一方のスクリュー軸150a(または152a)に巻き付けられた後に、この針金の他方端が他方のスクリュー軸152a(または150a)に巻き付けられる。すると、針金部材162が形成されるとともに、針金部材162がスクリュー軸150aおよびスクリュー軸152aに架け渡される。
ただし、第1取付部162aの内径は、第1搬送部材150のスクリュー軸150aの外径よりも大きく、第2取付部162bの内径は、第2搬送部材152のスクリュー軸152aよりも大きくなるように設定される。つまり、第1取付部162aと、第1搬送部材150のスクリュー軸150aとの間には隙間がある。また、第2取付部162bと、第2搬送部材152のスクリュー軸152aとの間には隙間がある。したがって、第1取付部162aおよび第2取付部162bは、第1搬送部材150および第2搬送部材152が回転するときの振動によって振動する。したがって、連結部162cも振動する。つまり、針金部材162の全体が振動する。これによって、連通路1430に付着ないし詰まった現像剤がほぐされ、除去される。したがって、針金部材162は除去部材と呼ぶこともできる。
この第3実施例によれば、連通路1430に付着または詰まった現像剤をほぐすほぐし部材(160b、162)を設けるので、連通路1430に現像剤が詰まり難くすることができるとともに、現像剤が詰まったとしても除去することができる。したがって、連通路1430を設けたことにより得られる効果が失われてしまうのを出来る限り防止することができる。
なお、第3実施例で示した変形は、第2実施例の画像形成装置10にも適用することができる。
また、上述の実施例では、第1搬送路140aと第2搬送路140bとが、その底面の高さが異なる構成を例に挙げて説明したが、これに限定される必要は無い。たとえば、第1搬送路140aの底面と第2搬送路140bの底面とが同じ高さであっても良い。
さらに、上述の実施例で挙げた具体的な形状等は一例であり、実際の製品に応じて適宜変更することが可能である。