以下、図面を参照しながら、本発明の搬送装置、その搬送装置を備えた現像装置、並びにその現像装置を備えた画像形成装置に係る好適な実施の形態について説明する。以下の説明において、異なる図面においても同じ符号を付した構成は同様のものであるとして、その説明を省略する場合がある。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について、図1A〜図5を参照しながら説明する。図1Aは本発明の第1の実施形態に係る搬送装置を備えた現像装置の一構成例を示す斜視図で、図1Bは図1Aの現像装置を紙面右側から見た側面図である。また、図2A、図2Bはそれぞれ、図1Bの現像装置におけるA−A断面図、B−B断面図であり、図3A、図3Bはそれぞれ、図2A、図2Bの現像装置における紙面右端部分の拡大図である。また、図4は、図3Aの現像装置におけるC−C断面図であり、図5は、図4の現像装置におけるD−D断面図である。
図1A〜図5で例示する現像装置1は、第1搬送路10a及び第2搬送路10bを平行に配設し、第1搬送路10aと第2搬送路10bの両端部分に設けた連通口(スリット)10aa,10abを介して現像剤(図示せず)を循環させる装置である。現像剤としては、トナー及びキャリアを混合した二成分現像剤が貯留されるものとする。キャリアは、鉄粉やフェライトのような磁性材料である。
第1搬送路10aと第2搬送路10bとの間は、連通口10aa,10abを除いて隔壁10dで仕切られている。図2Aでは、隔壁10dの他に隔壁10daも図示しているが、隔壁10daは隔壁10dに連なり形状が異なる隔壁である。
第1搬送路10a及び第2搬送路10b等を形成するための現像装置1の筐体は、現像容器と呼ばれ、図中、符号10で示している。なお、図1Aでは後述の第1搬送部材11及び第2搬送部材12との混同を避けるために符号10a,10b等の一部の符号を付していない。現像容器10の詳細については後述する。
現像装置1は、現像容器10内に、図1A等で図示したように現像ローラ(マグネットローラ)15を備える。現像ローラ15は、第2搬送部材12の鉛直方向の上方に配設される。現像ローラ15は、現像剤担持体として機能し、画像形成装置において感光体ドラム(図示せず)と対向する位置に配置される。現像ローラ15は、現像容器10内の現像剤を表面に担持して、担持した現像剤に含まれるトナーをその感光体ドラムの表面に供給する。これにより、感光体ドラムの表面に形成された静電潜像が現像(顕像化)される。
なお、図1A〜図5での図示は省略するが、現像ローラ15の表面に対して所定の間隙を有してドクターブレードが現像容器10に固定される。ドクターブレードは、現像ローラ15の軸部15bの方向に延びる板状の部材である。ドクターブレードによって、現像ローラ15に担持される現像剤の量が所定量に規制される。
なお、実際の現像容器10には、現像容器10の鉛直方向の上方において、後述する第1搬送部材11や第2搬送部材12、及び現像ローラ15を覆うカバー部材が設けられているが、図1Aにおいてはこのカバー部材の一部を省略している。また、現像装置1にはトナー濃度検知センサも含まれるが、図1A等においてはこれらも省略している。
また、現像装置1から現像ローラ15、ドクターブレード(及びトナー濃度検知センサ)を除いたものは、現像剤を搬送する搬送装置と呼ばれることがあり、この搬送装置が本発明に係る搬送装置に該当する。つまり、本発明に係る現像装置は、本発明に係る搬送装置と現像剤担持体とを備えた装置であり、後述する第2搬送部材12によりその現像剤担持体側に現像剤を供給する。
現像容器10には、第2搬送路10bにおける現像剤の搬送方向の上流側に、第2搬送路10bに接続された第3搬送路10cが配設されている。第3搬送路10cは、図示したように、第2搬送路10bの右端に接続された突出部材10eの内部空間として形成されている。突出部材10eは、その軸方向位置が第1搬送路10aの紙面右端と比べて突出するように設けられている。そして、突出部材10eには、現像剤を下方向に排出するための排出口10tが設けられている。この排出口10t又はそれを含む第3搬送路10cは、トリクルポートとも呼ばれる。排出口10tはトリクル排出口である。
また、現像容器10の上側であって第2搬送路10b側の下流部分には、現像容器10内に現像剤を補給するための補給口10fが設けられている。なお、補給口10fは、現像容器10の上側であって第1搬送路10a側の上流部分に設けておいてもよい。この補給口10fには、図示しないが、トナーボトルから延びるトナー供給パイプが連結され、ここから未使用のトナー及び未使用のキャリアが補給される。
現像装置1は、現像剤を補給口10fから補給した後循環させ、排出口10tから現像剤を排出するようになっている。
このような現像剤の循環及び排出のために、現像装置1は、現像容器10の内部に、第1搬送部材11、第2搬送部材12、及び第3搬送部材13を備える。
なお、第3搬送部材13を収納した突出部材10eは、現像容器10の一部を構成しているが、本実施形態では、第1搬送部材11と第2搬送部材12を収納した現像容器10の部分とは別体に作製されている。そして、突出部材10eは第1搬送部材11と第2搬送部材12を収納した現像容器10の部分に対して位置決め固定されている。
第1搬送部材11は、第1搬送路10aにおいて現像剤を撹拌しながら搬送する搬送スクリューとして構成されている。この搬送スクリューは、軸部11bの周囲に螺旋状に羽根部11aが形成されたオーガースクリューである。羽根部11aは、搬送翼又はスクリュー羽根とも呼べる。羽根部11a及び軸部11bは樹脂により一体成型されているか、若しくは軸部11bの一部又は全部に金属が用いられる。
第1搬送路10aに設けられた第1搬送部材11は、補給口10fから連通口10aaを介して補給された現像剤を、連通口10abを介して第2搬送路10b側に供給する。ここで、第1搬送路10aを搬送された現像剤は、第1搬送路10aの搬送方向の下流端で、当該下流端に滞留する現像剤や現像容器10の壁(内側壁)に衝突する。従って、現像剤は、第1搬送路10aの搬送方向の下流端で滞留し、連通口10abから第2搬送路10bに押し出される。
第1搬送部材11には、現像剤の搬送方向の下流端(図2A,図3Aの紙面右端部)において、羽根部11aとは逆巻きの羽根部11cが設けられている。羽根部11cは、図3A等で示したように、羽根部11aと比べてそのピッチが短く、且つ現像剤を押す面(羽根の表面の一方)と軸部11bとがなす角度がより直角に近くなっている。このような逆巻きの羽根部11cを設けることで、現像剤の搬送の勢いを低減させることができる。逆巻の羽根部11cのピッチや角度や軸方向長さは、現像剤の量や搬送部材の回転数を変えて現像剤の搬送が所望の勢いになるように決めればよい。
第2搬送部材12は、第2搬送路10bにおいて現像剤を撹拌しながら第1搬送部材11とは逆向きに搬送する搬送スクリューとして構成される。この搬送スクリューも第1搬送部材11と同様に、軸部12bの周囲に螺旋状に羽根部12aが形成されたオーガースクリューである。羽根部12a及び軸部12bは樹脂により一体成型されているか、若しくは軸部12bの一部又は全部に金属が用いられる。
第2搬送路10bに設けられた第2搬送部材12は、現像剤担持体である現像ローラ15に現像剤を供給する。ここで、第2搬送路10bを搬送された現像剤は、第2搬送路10bの搬送方向の下流端で、補給口10fから補給された現像剤や当該下流端に滞留する現像剤や現像容器10の壁(内側壁)に衝突する。従って、現像剤は、第2搬送路10bの搬送方向の下流端で滞留され、連通口10aaから第1搬送路10aに押し出される。
ここで例示する第2搬送部材12には、現像剤の搬送方向の下流端(図2Aの紙面左端部)において、羽根部12aとは逆巻きの羽根部12cが設けられている。羽根部12cと羽根部12aとの違いは、羽根部11cと羽根部11aとの違いと同様である。このような逆巻きの羽根部12cを設けることで、現像剤の搬送の勢いを低減させることができる。そのピッチや角度や軸方向長さは、現像剤の量や搬送部材の回転数を変えて現像剤の搬送が所望の勢いになるように適宜設定することができる。本実施形態では羽根部11aと羽根部12aは直径が約16mmに形成されている。
第1搬送部材11及び第2搬送部材12を構成する搬送スクリューは、現像剤を搬送するとともに撹拌を行うため、撹拌・搬送スクリューとも呼べる。現像容器10内では、第1搬送部材11及び第2搬送部材12は、それぞれ軸部11b,12bを中心に回転可能に設けられ、図1Aや図2Aに図示したように、各々の回転軸が平行になるように配置されている。そして、第1搬送部材11及び第2搬送部材12では、軸部11bと軸部12bとを互いに逆方向に回転させることで、上述したような現像剤の循環が可能となる。循環の様子は、図2A等において破線の矢印で示している。また、互いの搬送スクリューの羽根の方向を逆巻きになるように形成した場合には、双方とも同じ方向に回転させることになる。
第3搬送部材13は、第3搬送路10cにおいて第2搬送部材12とは逆向きに現像剤を搬送するように形成された搬送スクリューとして構成されている。この搬送スクリューは、その軸部13bの周囲に螺旋状のねじ切り部13aとして形成されている。
第3搬送部材13は、第1搬送部材11や第2搬送部材12と比較し、撹拌の必要がなく、現像剤を搬送できればよいため、例えば単にネジ状になっているだけでもよい。無論、ねじ切り部13aは、第1搬送部材等と同様に羽根部であってもよい。ねじ切り部13a及び軸部13bは樹脂により一体成型されているか、若しくは軸部13bの一部又は全部に金属が用いられる。
第3搬送部材13の搬送スクリューは、第2搬送部材12の搬送スクリューと同軸に形成されている。つまり、軸部12bと軸部13bとは連なっている。第2搬送部材12と第3搬送部材13の搬送スクリューは、個別に形成した後に組み立ててもよいが、一体的に形成しておくことが好ましい。
そして、第3搬送部材13は、第2搬送路10bから第3搬送路10cに溢れた現像剤を、第3搬送路10cに設けられた排出口10tまで搬送する。具体的には、ねじ切り部13aは、羽根部12aと逆巻きに形成されており、軸部12b,13bを回転させることで、羽根部12aとは逆方向に現像剤を搬送することが可能となっている。
ここで、ねじ切り部13aの最大外径は、羽根部12a(及び後述の羽根部12d)の最大外径に比べて小さく形成されている。この理由は、単に第1搬送路10aや第2搬送路10bでの現像剤の搬送量に比べて、第3搬送路10cでの搬送量(つまり、排出量)が少ないためである。
同様の理由から、第3搬送路10cは、第2搬送路10bより小径になるように形成された略円筒形状の搬送路であることが好ましい。第3搬送路10cの内径を第2搬送路10bの内径より小さくしておき、且つ第2搬送路10bと同軸にしておくことで、例えば現像装置1が傾いた場合に、第2搬送路10bから第3搬送路10cに大量の現像剤が溢れて、現像剤が第3搬送路10cから必要以上に排出されるといった事態を未然に防ぐことができる。
このように、第3搬送路10cでは、第3搬送部材13によって現像剤が排出口10tまで搬送され、排出口10tから下方に落下して排出される。排出の様子は、図3A,図3Bにおいて2点鎖線の矢印で示している。第3搬送路10cは第2搬送路10bにおける現像剤の搬送方向の上流側に設けてあるため、排出口10tからの排出量は第1搬送路10aや第2搬送路10bを搬送される現像剤の勢いによる影響を受けることが少なくなり、現像剤の排出量を制御し易くなる。
なお、図示しないが排出口10tにはこの排出された現像剤を回収するための容器、或いはその容器に接続されたパイプが取り付けられている。また、現像装置1を設置した際に排出口10tが鉛直方向に下向きになるように開けられている例を挙げているが、斜め下向きや横向きなどであってもよい。
(第2搬送路と第3搬送路の接続部分近傍の構成)
第2搬送部材12には、羽根部12d、および羽根部12aが同じ巻き方向で異なるピッチで形成される。羽根部12dは、羽根部12aと比べて現像剤を押す面と軸部12bとがなす角度がより直角に近い。これにより、羽根部12dの外周の外側へ向けて現像剤を押し出す作用が低下し、現像剤の搬送力が弱くなって、現像剤が滞留してその上面が盛り上がり易くなる。また、第2搬送部材12の羽根部12dは、羽根部12aと比べてそのピッチが約5mmと短い。ピッチが短い方が現像剤の滞留量を増やすことができる。
また羽根部12dの直径は第3搬送路10c側の一部を除き、第2搬送部の羽根部12aの直径より短い約15mmに形成されている。一方、第3搬送路10c側の約1巻き部分の羽根部12dの直径は約16.5mmと大きく形成されている。これにより、第1搬送路10aから現像剤が羽根部12dに入り易くするとともに、現像剤の流動性が良好な場合に、第3搬送路10c側に排出される現像剤が過剰にならないようにしている。
そして、本実施形態を特徴付ける構成として、第1搬送路10aと第2搬送路10bの連通口10abの第3搬送路10c側に、第1搬送路10aと前記第2搬送路10bとの隔壁となるブロック部材17が設けられている。図6Aはブロック部材の一例を示す図である。ブロック部材17は、隔壁10dや隔壁10daと同様に第1搬送路10aと第2搬送路10bとの間を仕切るためのもので、隔壁を構成する基部17cと該基部17cから突出した突出部分17dとを有している。そして、突出部分17dの上部の第2搬送路10b側には、現像剤を第3搬送路10c内へ誘導するための切欠部Pが設けられている。
より詳しくは、ブロック部材17は、軸方向長さLの基部17cに対して、基部17cの高さh1以上の上部の第3搬送路10c側では軸方向長さL1の短い突出部分17dを有しており、さらに、突出部分の第2搬送路10b側の高さh2を超える個所には切欠部Pが形成されている。このため、突出部材の高さh2以上の部分は軸方向長さがL2となっている。
図5には、通常時の現像剤面D1を実線で、また現像剤面が上昇した際の現像剤面D2を破線で示している。通常時においては、第1搬送路10aから第2搬送路10bへの流れは、ブロック部材17の基部17cと突出部分17dとによって阻止されるが、第1搬送路10aの搬送方向の下流端で滞留した現像剤の現像剤面が上昇し、切欠部Pより現像剤面が高くなった場合は、この切欠部Pを超えて現像剤が第1搬送路10aから第2搬送路10bへ押し出される。そして、切欠部Pを超えて第2搬送路10bに流れ込んだ現像剤は、第3搬送路10cに近い箇所で第2搬送路10bに流れ込みかつ現像剤面が高いために、第3搬送路10cへ誘導されて排出口10tから排出されやすくなっている。なお、通常時の現像剤面D1は、第1搬送部材11の軸部11bの中心から最上部付近にあるため、切欠部Pを設ける高さh2は、少なくとも第1搬送部材11の軸部11bの最上部よりも高い位置になるようにしている。
また、ブロック部材17の突出部分17dの軸方向長さL1は長いほど、第1搬送路10aから第2搬送路10bへの流れを阻止することができる。このため、例えば、現像剤の搬送速度、すなわち第1搬送部材11と第2搬送部材12の回転数が異なる中速機と高速機とでは、高速機ほど突出部分17dの軸方向長さL1を長く形成し、第3搬送路10cの近くにおいて現像剤が第1搬送路10aから第2搬送路10bへ流れ込みにくくしている。
なお、ブロック部材17の切欠部Pとして、突出部分17dの高さh2以上の全部を切欠くようにしてもよいが、現像剤の流動性が高い場合に、第2搬送路10bから第3搬送路10c側への現像剤の過剰排出が発生するおそれがある。このため、ブロック部材17の突出部分17dの軸方向長さL2は、第2搬送部材12の羽根部12dの直径が大きく形成された部分の軸方向長さの約60%以上、すなわち1ピッチ分(約5mm)の60%以上である3mm以上となるように形成するのが望ましく、これにより、現像剤の流動性が高い場合であっても、第2搬送路10bから第3搬送路10c側への現像剤の過剰な排出を防ぐことができる。
また、ブロック部材17は、図4で示すように、第1搬送路10a側の面17aが円弧状に形成されている。これにより、ブロック部材17は、第1搬送部材11の羽根部11cとほぼ一定の間隙を介して対向する。一方、ブロック部材17の第2搬送路10b側の上部の面17bは、第2搬送路10bの第3搬送路10c側の所定領域で、連通口10ab側の上部に空隙部Kが形成されるように、第2搬送部材12から離れる形状のほぼ直線状の面を有する。図4では、空隙部Kは、円筒形状の内壁の一部が切り欠かれた部分として示される。
空隙部Kを設けることで、第2搬送路10b内の循環合流部付近において、第2搬送部材12の羽根部12dとブロック部材17との間の隙間(開口)を拡げることができる。空隙部Kによる開口が存在するため、例えば搬送部材を減速運転したとき等において、現像剤の流動性が悪化しても、第2搬送路10b内の循環合流部付近で現像剤を過度に滞留させることなく、第3搬送路10c側へと現像剤を円滑に排出させることができる。したがって、ブロック部材17の第2搬送路10bの面の形状を変えることによって、第3搬送路10c側へ排出させる現像剤の量を調節することができる。
以上から、ブロック部材17の基部17cの突出部分17dの軸方向長さL1、突出部分先端の軸方向長さL2、基部17cの高さh1、切欠部Pを設ける高さh2、第2搬送路10b側の面の形状を調整することによって、第1搬送路10aから第2搬送路10bへ押し出される現像剤量と第2搬送路10bから第3搬送路10cへ排出される現像剤量を調整することができる。
図6Bは、ブロック部材の他の例を示す図である。図6Bに示すブロック部材17は、突出部分17dの先端部分の第3搬送路10c側の上部側から第2搬送路10b側に向けて傾斜する傾斜面17fが設けられており、傾斜面17fの上側が切欠部Pとなっている。ブロック部材17の傾斜面17f以外の構成は、図6Aに示すブロック部材17と同じであり、切欠部Pの作用も同じであるため、その説明を省略する。
また、本実施形態では、第2搬送路10bと第3搬送路10cとの接続部分には、段差部材16が設けられる。上記のように、第3搬送路10cは、第2搬送路10bと同軸でかつ第2搬送路10bより小径になるように形成された円筒形状の搬送路である。ここで、第2搬送路10bと第3搬送路10cとの接続部分の第2搬送路10bの位置に段差部材16が設けられる。図7は、段差部材の一例を示す図である。段差部材16は、第3搬送路10cの内壁面に一致する位置よりも第2搬送部材12の軸部12bの方向に突出して設けられ、周方向に延びる円環板状の形状を有している。円環板状部分の内径φは第3搬送路10cの内径よりも小さく形成されており、これにより、第2搬送部材12の軸方向に段差が形成される。段差は、第2搬送路10bの内壁面の全周にわたって設けられる。
このように第2搬送路10bでは、現像剤の搬送方向の上流端に段差部材16部材が設けられているため、第2搬送路10bの現像剤の液面が段差を越えて第3搬送路10cに溢れると、溢れた分の現像剤が第3搬送部材13によって搬送され、排出口10tに向かう。段差部材16による段差が設けられているため、例えば現像装置1が傾いたとしても、第3搬送路10c側に多くの現像剤が溢れることはなく、現像剤が無駄に排出されることを防止することができる。そして、段差部材16の円環板状部分の内径φを変えることによって、第2搬送路10bから段差を超えて第3搬送路10cに排出される現像剤の量を調整することができる。すなわち、円環板状部分の内径φを小さくすることによって、現像剤が段差を超えにくくし、現像剤の過剰排出を防ぐことができる。
本実施形態では、ブロック部材17と段差部材16とを搬送装置に対して着脱自在に設けている。図8は、図1Aの現像装置の紙面右側部分の分解透視斜視図である。突出部材10eの第1搬送路10a及び第2搬送路10b側の端面に、突起10gを設けておくとともに、段差部材16の突起10gに対応する位置に取付孔16aを設けておく。さらに、ブロック部材17にも突起10gに対応する位置に取付孔17eを設けておく、そして、突出部材の突起10gに対して、まず段差部材16に設けた取付孔16aに挿通嵌合し、さらに、ブロック部材17に設けた取付孔17eに嵌合させることによって、ブロック部材17と段差部材16とを突出部材10eに取り付ける。この状態で、突出部材10eを搬送路本体部材に対して位置決め固定する。
なお、本実施形態では、ブロック部材17を突出部材10eに対して着脱自在に設けるようにしているが、ブロック部材17を固着する箇所は突出部材10eに限られない。例えば、ブロック部材17の基部17cの下面に突起または取付孔を設けておくとともに、第1搬送部材11および第2搬送部材12を収納した現像容器10の下部底壁に取付孔または突起を設けておき、ブロック部材17の突起または取付孔と現像容器10の下部底壁の取付孔または突起を嵌合させることにより、ブロック部材17を搬送装置に対して着脱自在に設けてもよい。
このように構成された搬送装置では、通常の状態では現像剤の液面は、第1および第2搬送部材11,12の各軸部11b,12bの最上部付近以上の高さに保たれて搬送される。また、第2搬送路10bの第3搬送路10c側端部では、羽根部12dによって現像剤の滞留が助長され、現像剤の液面が上昇する。これにより、図4で示すブロック部材17と第2搬送部材12の羽根部12dとの空間である空隙部Kに現像剤が充満し、第2搬送路10bから第3搬送路10cへの現像剤の通過が可能となる。そして、第2搬送路10bの現像剤の液面が段差部材16による段差を越えて第3搬送路10cに溢れると、溢れた分の現像剤が第3搬送部材13によって搬送される。これにより、第2搬送路10b内の現像剤を第3搬送路10cを介して排出口10tから排出させることができる。
また、現像剤の流動性が悪化し現像剤面が上昇した場合でも、切欠部Pを超える現像剤は、速やかに第3搬送路10cに排出されるため、切欠部Pの高さ以上に現像剤が滞留することがなく、現像容器10内の現像剤量を一定内に安定させることができる。このため、新たな現像剤が供給された場合も古い現像剤と充分撹拌され、印字品質を良好に保つことができる。
次に、トリクル現像方式について、現像剤の補給及び排出の観点から簡単に説明する。トナーボトル内のトナーにキャリアを一定の比率で混合させておき、トナーが補給されると同時に新しいキャリア(未使用のキャリア)が現像装置1内へと補給され、一方、劣化したキャリアが現像装置1から排出される。但し、劣化したキャリアのみならず、劣化したキャリアとトナーが混合された現像剤も排出される。現像剤の排出については上述したが、これは、劣化したキャリア又は劣化したキャリアとトナーが混合された現像剤が排出されることを意味する。
このようにして、劣化したキャリアが未使用のキャリアと入れ替えられる。無論、必ずしも劣化したキャリアのみが未使用のキャリアと入れ替えられるとは限らないが、基本的にはこのような入れ替えがなされるように、現像装置1は構成されている。
具体的には、現像装置1では、用紙などの記録媒体に画像が形成されることでトナーが消費されると、消費された量に相当するトナーが補給される。このため、例えば現像容器10の底部には、上述したようにトナー濃度検知センサ(図示せず)が設けられ、このトナー濃度検知センサの検知結果に基づいて、現像容器10内のトナー濃度(T/D:Tはトナーであり、Dは現像剤である)が検出される。そして、検出されたトナー濃度に応じて、トナーの補給が制御される。
なお、一般的には、トナー濃度検知センサとして、透過型の光学センサ、反射型の光学センサ、又は透磁率センサが用いられる。例えば、透磁率センサを用いることが好ましい。透磁率は、現像剤中の磁性材料の割合である。このため、現像剤中の磁性材料と非磁性材料との混合比すなわち磁性材料の相対濃度が変化すると、透磁率センサの出力が変化する。従って、現像剤の透磁率を検出することによって、現像剤中の磁性材料であるキャリアの濃度が測定される。若しくは、現像剤中の非磁性材料であるトナーの濃度が測定される。
このような現像装置1では、上述したように、トナーボトルから未使用のトナーを補給する場合に、未使用のキャリアも補給される。また、現像容器10に貯留された一部の現像剤が排出口10tから排出される。このようにして、劣化したキャリアが未使用のキャリアと入れ替えられる。
本発明に係る現像装置の構成は例示するものに限らず、例えば像担持体としての感光体ドラムを備えたプロセスカートリッジなどであってもよい。
(第2の実施形態)
なお、第1の実施形態では、ブロック部材17を第3搬送路10cを収納した突出部材10eに対して着脱自在に設けるようにしている。しかし、ブロック部材17は、必ずしも突出部材10eに対して着脱自在に設ける必要はなく、第2の実施形態では、図示しないが、ブロック部材17を突出部材10eと一体に形成している。この場合、段差部材16も突出部材10eと一体に形成すると好適である。また、ブロック部材17は、突出部材10eではなく、第1搬送部材11と第2搬送部材12を収納した現像容器10の部分に一体に形成してもよい。
(第3の実施形態)
図9は、本発明に係る画像形成装置の構成例を示す図である。この画像形成装置は、上記第1、第2の実施形態の現像装置を搭載可能であり、上記実施形態の現像装置と、その現像装置により供給された現像剤により記録媒体に画像形成する画像形成部とを備える。画像形成部の具体的構成を以下に説明する。
本例の画像形成装置は、スキャナ、プリンタ、コピーなどの複数の機能を備えた複合機として構成されている。本発明に係る画像形成装置は、ここで例示する構成に限ったものではなく、例えば単色印刷の画像形成装置であってもよいし、単機能プリンタ装置であってもよい。
画像形成装置100は、外部から伝送され、若しくはスキャナ(画像読取装置)で読み取った画像データに基づき、記録紙に電子写真方式で画像を形成するもので、装置本体101と、自動原稿処理装置102とにより構成されている。
装置本体101は、露光ユニット81、現像器82、感光体ドラム83、クリーナユニット84、帯電器85、中間転写ベルトユニット86、定着ユニット87、給紙カセット91a、排紙トレイ94等を有する。ここで、現像器82が本発明に係る現像装置の一例に該当する。その他、装置本体101は、画像形成装置100の全体を制御する制御部(図示せず)を有する。
装置本体101の上部には、透明ガラスからなる原稿載置台96が設けられ、その上側には原稿載置台96に原稿を自動搬送する自動原稿処理装置102が取り付けられる。自動原稿処理装置102は矢印M方向に回動自在に構成され、原稿載置台96の上を開放することにより原稿を手置きで置くことができるようになっている。
装置本体101は、筐体内に収容される画像読取装置95を有している。画像読取装置95は、光源及び第1ミラーを保持する光源ユニット95aと、第2及び第3ミラーを保持するミラーユニット95bと、レンズ及びCCD95cとから構成された縮小光学系の画像読取装置である。また、装置本体101には、図示しない操作パネルが設けられ、ユーザによる操作入力が可能となっている。また、装置本体101には、外部接続された装置から画像データを入力する手段、或いは可搬型の記録媒体から画像データを読み取る手段(いずれも図示せず)を備えている。
画像形成装置100において扱われる画像データは、例えばブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色のカラー画像に応じたものである。従って、現像器82、感光体ドラム(像担持体)83、クリーナユニット84、帯電器85は、各色に応じた4種類の潜像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられ、これらにより4つの画像ステーションが構成されている。各色の現像器82には各色のトナーボトル90と図示しない経路で接続され、各色のトナーが供給されるようになっている。
露光ユニット81には、レーザ出射部及び反射ミラー等を備えたレーザスキャニングユニット(LSU)として構成される。露光ユニット81は、レーザビームを走査するポリゴンミラーと、ポリゴンミラーによって反射されたレーザ光を感光体ドラム83に導くためのレンズやミラー等の光学要素が配置されている。また、露光ユニット81としては、この他にも発光素子をアレイ状に並べた書込みヘッドを用いる手法も採用できる。
露光ユニット81は、帯電された感光体ドラム83を入力された画像データに応じて露光することにより、その表面に、画像データに応じた静電潜像を形成する機能を有する。現像器82は、それぞれの感光体ドラム83上に形成された静電潜像を4色(Y,M,C,K)のトナーにより顕像化するものである。また、クリーナユニット84は、現像・画像転写後における感光体ドラム83上の表面に残留したトナーを、除去・回収する。帯電器85は、感光体ドラム83の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であり、図5に示すようなチャージャ型の他、接触型のローラ型やブラシ型の帯電器が用いられることもある。
感光体ドラム83の上方に配置されている中間転写ベルトユニット86は、中間転写ベルト86a、中間転写ベルト駆動ローラ86b、中間転写ベルト従動ローラ86c、中間転写ローラ86d、及び中間転写ベルトクリーニングユニット86eを備えている。中間転写ローラ86dは、Y,M,C,Kの各色に対応して4本設けられている。中間転写ベルト駆動ローラ86b、中間転写ベルト従動ローラ86c、及び中間転写ローラ86dは、中間転写ベルト86aを張架して回転駆動させる。また、各中間転写ローラ86dは、感光体ドラム83のトナー像を中間転写ベルト86a上に転写するための転写バイアスを与える。
中間転写ベルト86aは、各感光体ドラム83に接触するように設けられている。そして、感光体ドラム83に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト86aに順次的に重ねて転写することによって、中間転写ベルト86a上にカラーのトナー像(多色トナー像)を形成する。中間転写ベルト86aは、例えば厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されている。
感光体ドラム83から中間転写ベルト86aへのトナー像の転写は、中間転写ベルト86aの裏側に接触している中間転写ローラ86dによって行われる。中間転写ローラ86dには、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。中間転写ローラ86dは、直径8〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面が導電性の弾性材(例えばEPDM,発泡ウレタン等)により覆われているローラである。この導電性の弾性材により、中間転写ベルト86aに対して均一に高電圧を印加することができる。本構成例では転写電極としてローラ形状を使用しているが、それ以外にブラシなども用いることが可能である。
上述のように各感光体ドラム83上で各色相に応じて顕像化された静電像は、中間転写ベルト86aで積層される。このように積層された静電像は、中間転写ベルト86aの回転によって、後述の用紙と中間転写ベルト86aの接触位置に配置される二次転写機構部である転写ローラ88によって記録紙に転写される。二次転写機構部としては、転写ローラに限らず、コロナチャージャや転写ベルトを用いることも可能である。
このとき、中間転写ベルト86aと転写ローラ88は所定ニップで圧接されると共に、転写ローラ88にはトナーを用紙に転写させるための電圧が印加される(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)。さらに、転写ローラ88は、上記ニップを定常的に得るために、転写ローラ88若しくは中間転写ベルト駆動ローラ86bのいずれか一方を硬質材料(金属等)とし、他方を弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラ、又は発泡性樹脂ローラ等々)としている。
また、上述のように、感光体ドラム83に接触することにより中間転写ベルト86aに付着したトナー、若しくは転写ローラ88によって記録紙に転写が行われず中間転写ベルト86a上に残存したトナーは、次工程でトナーの混色を発生させる原因となるために、中間転写ベルトクリーニングユニット86eによって除去・回収されるように設定されている。中間転写ベルトクリーニングユニット86eには、中間転写ベルト86aに接触する例えばクリーニング部材としてクリーニングブレードが備えられており、クリーニングブレードが接触する中間転写ベルト86aは、裏側から中間転写ベルト従動ローラ86cで支持されている。
給紙カセット91aは、画像形成に使用する記録紙(シート)を蓄積しておくためのトレイであり、装置本体101の露光ユニット81の下側に設けられている。また、手差し給紙カセット91bにも画像形成に使用する記録紙を置くことができる。装置本体101の上方に設けられている排紙トレイ94は、画像形成済みの記録紙をフェイスダウンで集積するためのトレイである。
また、装置本体101には、給紙カセット91a及び手差し給紙カセット91bの記録紙を転写ローラ88や定着ユニット87を経由させて排紙トレイ94に送るための、略垂直形状の用紙搬送路S1が設けられている。給紙カセット91a又は手差し給紙カセット91bから排紙トレイ94までの用紙搬送路S1の近傍には、ピックアップローラ92a,92b、複数の搬送ローラ93a〜93d、レジストローラ89、転写ローラ88、定着ユニット87等が配されている。
搬送ローラ93a〜93dは、記録紙の搬送を促進及び補助するための小型のローラであり、用紙搬送路S1に沿って複数設けられている。また、ピックアップローラ92aは、給紙カセット91aの端部近傍に備えられ、給紙カセット91aから記録紙を1枚ずつピックアップして用紙搬送路S1に供給する。同様に、ピックアップローラ92bは、手差し給紙カセット91bの端部近傍に備えられ、手差し給紙カセット91bから記録紙を1枚ずつピックアップして用紙搬送路S1に供給する。
また、レジストローラ89は、用紙搬送路S1を搬送されている記録紙を一旦保持するものである。そして、感光体ドラム83上のトナー像の先端と記録紙の先端を合わせるタイミングで記録紙を転写ローラ88に搬送する機能を有している。
定着ユニット87は、ヒートローラ87a及び加圧ローラ87bを備えている。ヒートローラ87a及び加圧ローラ87bは、記録紙を挟んで回転するようになっている。またヒートローラ87aは、図示しない温度検出器からの信号に基づいて所定の定着温度となるように制御されており、加圧ローラ87bと共にトナーを記録紙に熱圧着することにより、記録紙に転写された多色トナー像をその記録紙に熱定着させる機能を有している。また、ヒートローラ87aを外部から加熱するための外部加熱ベルト87cが設けられている。
次に、記録紙の搬送経路をより具体的に説明する。上述のように、画像形成装置100には、予め記録紙を収納する給紙カセット91a、及び手差し給紙カセット91bが設けられている。これら給紙カセット91a,91bから記録紙を給紙するために、各々ピックアップローラ92a,92bが配置され、記録紙を1枚ずつ用紙搬送路S1に導くようになっている。
各給紙カセット91a,91bから搬送される記録紙は、用紙搬送路S1の搬送ローラ93aによってレジストローラ89まで搬送され、記録紙の先端と中間転写ベルト86a上の画像情報の先端を整合するタイミングで転写ローラ88に搬送され、記録紙上に画像情報が書き込まれる。その後、記録紙は定着ユニット87を通過することによって記録紙上の未定着トナーが熱で溶融・固着され、その後に配された搬送ローラ93bを経て排紙トレイ94上に排出される。
上記の搬送経路は、記録紙に対する片面印字要求のときのものであるが、これに対して両面印字要求のときは、上述のように片面印字が終了し定着ユニット87を通過した記録紙の後端が最終の搬送ローラ93bで把持されたときに、搬送ローラ93bが逆回転することによって記録紙を搬送ローラ93c,93dが配された用紙搬送路S2に導く。そして、用紙搬送路S2は用紙搬送路S1に合流して、記録紙はレジストローラ89から転写ローラ88に搬送される。このとき、用紙搬送路S2からS1に合流する段階で記録紙の表裏が反転されているため、転写ローラ88では記録紙の裏面に印刷が行わる。そして裏面に印刷された記録紙は定着ユニット87で定着され、排紙トレイ94に排出される。