JP6693750B2 - 抵抗器用のブラケット、ブラケット付き抵抗器、および、その製造方法 - Google Patents
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Description
このような振動の激しい条件下において使用されるため、振動に対して確実に抵抗器を固定できるブラケットが求められている。
特許文献1には、抵抗体をセラミックケースに設けた凹部内に収納して絶縁材料で封止し、セラミックケースの外周に保護ケースを取り付けた抵抗器が記載されている。保護ケースは少なくともセラミックケースの上面を覆い、一方の側板部に形成された舌片状の弾発爪がセラミックケースの一方の側壁を押圧して他方の側壁を他方の側板部に押し付けて固定する。
しかしながら、このような構造は、保護ケースの製造工程が増えるために望ましくなく、ケースへの装着がより簡単なブラケットが求められている。
また、保護ケースの4本の爪をセラミックケースの底面側に折り曲げることで固定すると、ケースの外寸のばらつきにより、爪の折り曲げによってケースが損傷するおそれがある。
本発明は、簡単な構造で安定した固定が可能な抵抗器用のブラケットを提供することを目的とする。
前記側壁部は、前記傾斜部の先に外側に向けて広がる折り返し部を有することを特徴とする。
前記折り返し部先端の開口幅は、前記ケースの前記ブラケットへの挿入を許容する幅以上である。
前記傾斜部と前記折り返し部との間に形成される屈曲部に、前記ケース上面の縁辺が当接することで、垂直方向の固定が強固となる。
前記屈曲部は、前記側壁部の内面から内側に突出した形状であると良い。
前記側壁部は、前記傾斜部と前記ケースの側面との間に隙間を有するようにすると良い。
前記側壁部は、対向する双方がともに、前記底面部から上方に向けて内側に傾斜する傾斜部を有するようにすると良い。傾斜部を有する対向する両側の側壁部により、クリップ形状となる。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態による、抵抗器を回路基板等に取り付けるための取り付け金具であるブラケットの一構成例を示す斜視図である。図2は、図1に示すブラケットにより固定される抵抗器の一構成例を示す斜視図である。図4、図5(a)は、ブラケットにより抵抗器を固定したブラケット付き抵抗器の一構成例を示す側面図および平面図である。
抵抗器31は、例えば、一面に開口部43を有する箱型のケース33内に抵抗体本体(抵抗素子)32を収納し、ケース33内に絶縁材(図示せず)を充填することで、端子板37の一部を開口部43からケース33の上方に突出させた状態で埋設するようになっている。
金属板としては、例えば、冷間圧延鋼板(SPCC、SPCE等)、ステンレス板などを用いることができる。
すべての側壁部が傾斜部等を有していても良く、一部の側壁部のみが、傾斜部等を有しても良い。
これにより、図1、図4等に示すようなブラケット1を形成することができる。
図4(b)に示すように、側壁部7c、7dにも同様に隙間を設けている。折り返し部7c−3は、傾斜部7c−1の内側への傾斜によって狭くなった開口を広くして、ケース33の挿入を容易にする。先端の開口幅は、例えば、ケースの幅よりも広くすることが好ましい。これにより、傾斜部が存在しても、ケース33のブラケット1への挿入を許容することができる。折り返し部7c−3は、さらに、ケース33をブラケット1内に収容した場合に、上からケースを保持する機能を併せ持つ。他方側の側壁部も同様である。
抵抗素子を内部に収納した端子板37付きのケース33を、図1に示す加工済みのブラケット1の対向する側壁部(向かい合う折り返し部の間)、例えば、図6(a)では側壁部7c、7d間の隙間(ケース収容部15)に向けて、先端に向けて幅を広げた折り返し部7d−3間にケース33を挿入し、上部から側壁部7c、7dの先端部に当接させながら押し付けると、図6(b)に示すようにブラケット1の側壁部7c、7dがバネ性をもって広がり、図6(c)に示すように、ケース33をブラケット1内に収容する。ケース33の側面が屈曲部7d−2を越えると、側壁部7c、7d間の間隔が弾性的に狭くなり、ケース33側面を側壁部7c、7d間が両側から弾性的に挟持する。
従って、ブラケット1のケース33への装着と固定が同一工程にて簡単にできるとともに、装着後にはケース33のブラケット1内での水平方向への移動が制限され、ケース33にブラケット1を強固に安定して固定することができる。従って、組み立ての自動化が容易である。
さらに、抵抗器31をエンジンルーム内などに取り付けた場合における振動等の衝撃によるケース33の脱落を防止することができる。また、ブラケット1の側壁部7c、7dがある程度まで広がるため、ブラケット1をケース33に装着する際にケース33の外寸のばらつきをある程度、許容することができる。
尚、ブラケットの底面部は、ケースの底面に沿う形状を例にして説明したが、ケースの側面に沿う形状でも良く、ケースの形状と端子板の配置に応じて、ブラケットの配置、形状を変更しても良い。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図7は、本発明の第2の実施の形態による抵抗器を回路基板等に取り付けるための取り付け金具であるブラケットの一構成例を示す側面図である。図8は、図7(c)のB−B’線に沿った断面図である。
また、固定後は、図8のように突出部7d−4が縁辺45に当接した状態が保持されるため、ブラケット1内でのケース33の垂直方向への移動を制限する。
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
図9は、本発明の第3の実施の形態による抵抗器を回路基板等に取り付けるための取り付け金具であるブラケットによる抵抗器の固定構造の一構成例を示す側面図である。
図9は、図7(c)と基本的には同様の構成を有している。異なる点は、図9に示す構造では、傾斜部5b−1に続く突出部5b−5を、傾斜部5b−1とは別部材により形成した点である。ここでは、突出部5b−5を側壁部(傾斜部)5b−1の先端部に別部材を固着により形成した例を示す。突出部5b−5の材料も、冷間圧延鋼板(SPCC、SPCE等)、ステンレス板などを用いることができる。この例では、ブラケット1の材料と突出部の材料を同じ材料としても良く、別の材料としても良い。
本実施の形態においても、突出部を形成することにより、垂直方向にも、より一層強固に安定してケースをブラケットに固定することができる。さらに、突出部を別部材により形成することで、突出部を折り曲げて形成するよりも突出部の形状をより自由に設計することができる。
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。
図10(a)は、本発明の第4の実施の形態による抵抗器を回路基板等に取り付けるための取り付け金具であるブラケットによる抵抗器の固定構造の一構成例を示す側面図である。図10(b)は、図10(a)の構造をC方向から見た側面図である。
本実施の形態によるブラケット1は、取り付け部11c、11dを、ケース33の短辺方向に形成している。より詳細には、取り付け部11c、11dを、側壁部5b、5d間に設けている。このように、取り付け部11c、11dの位置を、任意に配置することができる。
尚、図10の構成では、側壁部5b、5d間の隙間に、取り付け部11dを隙間と同じ幅で形成しているため、側壁部と取り付け部とを形成する際に、単に、切り込みを入れるだけで良く、加工時の金属の無駄を極力減らすことができる。
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。
図11(a)、(b)は、本発明の第5の実施の形態による抵抗器を回路基板等に取り付けるための取り付け金具であるブラケットによる抵抗器の固定構造の一構成例を示す側面図である。図11(a)は側面図、図11(b)は平面図である。ケース33の角部を、側壁部5b、7h、7gのように、4隅の角部においてケース33を囲むことで、ケース33を角部において、ケースの水平方向への移動を制限する。これにより、ケースの固定がより強固になる。さらに、図11(a)に示すように、端子板37とブラケット側壁部7e、7fの絶縁のために、例えば2mm以上の間隔を開けている。このような間隔を設ける理由は、抵抗素子の端子は高電流が流れているため、近くに導電物があると電流とびを起こす恐れがあるためである。
本実施の形態によれば、ケース33の角部を側壁部により囲むことでケース33を角部で固定することができるため、水平方向の移動を制限し、より強固な固定を実現することができる。特に、ケースを4隅の角部で固定すれば、より一層強固に固定することができる。
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。
図12は、本発明の第6の実施の形態による抵抗器を回路基板等に取り付けるための取り付け金具であるブラケットによる抵抗器の固定構造の一構成例を示す側面図および平面図であり、図4(b)に対応する図である。
図12に示す構造では、対向する2つの側壁部のうち、一方側の側壁部5bにのみ、傾斜部5b−1、屈曲部5b−2、折り返し部5b−3を形成し、他方側の側壁部5aには傾斜部を設けていない。尚、垂直方向への移動を制限するため、他方側の略垂直に折り曲げた方の側壁部5aには、ケース33の縁辺45の上に位置する突出部5fを設けると良い。このように、本実施の形態によれば、対向する2つの側壁部のうち一方のみに傾斜部を形成するだけで、より簡単な構造で、ケースを固定することができる。
次に、本発明の第7の実施の形態について説明する。
図13(a)は、本発明の第7の実施の形態による抵抗器を回路基板等に取り付けるための取り付け金具であるブラケットによる抵抗器の固定構造の一構成例を示す側面図であり、図4(b)に対応する図である。
図13(a)に示す構造では、ブラケット1の折り返し部の構造を変更している。すなわち、図13(a)に示す構造では、折り返し部5gを、図4(b)よりも、より外側に広がるように形成している。折り返し部5gは外側に広がるほどブラケットの弾力性は強くなるため、図13(a)の構成においては、より強い弾性力で、ケース33を保持することができる。さらに、折り返し部5gにおいて丸みを帯びさせると、底面からの高さがあまり高くならないように高さを抑制することができる。
また、図13(b)においては、折り返し部5hが、複数回折り返したジグザグ形状を有している。そして、折り返し部5hは、全体として、内側に傾斜するが、開口部では外側に傾斜して開口幅を広くしている。図13(b)の構成においては、ブラケット1内に一旦収容したケース33の抜けの防止効果を高めることができるという利点がある。
次に、本発明の第8の実施の形態について説明する。図14は、本発明の実施の形態によるブラケット付き抵抗器の製造工程の一例を示すフローチャート図である。
まず、ステップS1からステップS3の工程により抵抗体本体を製造する。
ステップS1において、ガラス繊維を束ねて長尺の棒状に形成した芯材の外周に抵抗線(NiCr線等)を所定のピッチで巻き付ける。抵抗線を巻き付けた後には、長尺の状態であるため、ステップS2において、個片に切断を行う。ステップS3において、例えば芯材の両端に板状端子37が一体となった金属製のキャップを嵌合(装着)し、抵抗素子(抵抗体本体32)を作製する(図2参照)。
ステップS4において、セラミックス等の絶縁性ケース33の開口部43から、ケース33内部に液状の絶縁材料を充填する(ステップS4)。ステップS3で作製した抵抗素子(抵抗器本体32)を、ケース33の開口部43から板状端子37、37が外部へ突出するようにケース33内に挿入する(ステップS5)。その後、乾燥・焼付けを行なってから(ステップS6)、ケース表面にレーザーによる定格等の表示を行なう(ステップS7)。
ステップS8の工程において、抵抗値検測や外観等の検査を行なう。
ステップS8の検査工程において合格となった部品に対して、図6に示すようにしてブラケット1を装着する(ステップS9)ことで、組み立て工程を終了する。尚、ブラケット1の装着は、ケース33の底面(下面)39とブラケット1の底面部3とが接するようにブラケット1の上部からケース33を押し付けて装着する。
図15に示すように、ステップS11において処理を開始し(Start)、ステップS12において、ブラケットを加工する(図3参照、切断(図3(a)、折り返す(図3(b))ことで折り返し部を形成し、図1、図4等に示す構造を形成する。
図16に示すように、ステップS21において処理を開始し(Start)、ステップS22において、抵抗器31をまだ折り返し部が形成されていないブラケット1に装着する。
次いで、ステップS23において、ブラケットの側壁部をブラケットの縁辺に当接させて内側に押し込むことで、折り返し部を形成し、抵抗器31をブラケット1に固定し、処理を終了する(ステップS24、End)。
以上において、抵抗器として巻線抵抗素子を一例として説明したが、酸化金属皮膜抵抗素子を使用することも可能である。
また、折り返し部を、ケースを挿入する前に形成する側壁部とケースに挿入した後に形成する側壁部とを、1つのブラケットで併用するようにしても良い。例えば、対向する一対の側壁部は前者とし、他方の対向する一対の側壁部を後者のようにしても良い。
3…底面部
5a、5b、7a〜7d…側壁部
5b−1、7a〜7d−1…傾斜部
5b−2、7a〜7d−2…屈曲部
7c−3、7d−3…折り返し部
11a、11b…取り付け部
13a、13b…取り付け孔
15…ケース収容部
31…抵抗器
32…抵抗体本体(抵抗素子)
33…ケース
37…端子板
43…開口部
45…ケース上面の縁辺
Claims (9)
- 抵抗素子をケース内に収納した抵抗器の外周に取り付ける抵抗器用のブラケットであって、
前記ケースの一面に沿う底面部と、前記底面部から立ち上がりケースの側面に沿い、前記ケースを弾性的に保持する側壁部と、を有し、
前記側壁部は、前記底面部から上方に向けて内側に傾斜する傾斜部と、前記傾斜部の先に外側に向けて広がる折り返し部を有し、
前記傾斜部の高さ方向の寸法は前記ケースの対向する側面の高さ方向の寸法よりも大きくなるように形成され、
前記傾斜部と前記折り返し部との間に形成される屈曲部に前記ケース上面の縁辺が当接することを特徴とする抵抗器用のブラケット。 - 前記ブラケットの前記屈曲部は下端に前記ケース上面の縁辺が当接し、前記折り返し部は上から前記ケースを押さえつけることを特徴とする請求項1に記載の抵抗器用のブラケット。
- 前記折り返し部先端の開口幅は、前記ケースの前記ブラケットへの挿入を許容する幅以上である請求項1に記載の抵抗器用のブラケット。
- 前記屈曲部は、前記側壁部の内面から内側に突出した形状である請求項1に記載の抵抗器用のブラケット。
- 前記側壁部は、前記傾斜部と前記ケースの側面との間に隙間を有する請求項1から4までのいずれか1項に記載の抵抗器用のブラケット。
- 前記側壁部は、対向する双方がともに、前記底面部から上方に向けて内側に傾斜する傾斜部を有する請求項1から4までのいずれか1項に記載の抵抗器用のブラケット。
- 抵抗素子をケース内に収納した抵抗器と、前記抵抗器の外周に取り付けられる抵抗器用のブラケットとを有し、
前記ブラケットは、前記ケースの一面に沿う底面部と、前記底面部から立ち上がり前記ケースの側面に沿い、前記ケースを弾性的に保持する側壁部と、により形成され、
前記側壁部は、前記底面部から上方に向けて内側に傾斜する傾斜部と、前記傾斜部の先に外側に向けて広がる折り返し部を有し、
前記傾斜部の高さ方向の寸法は前記ケースの対向する側面の高さ方向の寸法よりも大きくなるように形成され、
前記傾斜部と前記折り返し部との間に形成される屈曲部に前記ケース上面の縁辺が当接することを特徴とする抵抗器。 - 抵抗素子をケース内に収納した抵抗器に、抵抗器用のブラケットを外周から取り付けたブラケット付き抵抗器の製造方法であって、
金属板を加工して、前記ケースの一面に沿う底面部と、前記底面部から立ち上がり前記ケースの側面に沿い、前記ケースを弾性的に保持する側壁部と、を形成する工程であって、前記側壁部に、前記底面部から上方に向けて内側に傾斜し、高さ方向の寸法が前記ケースの対向する側面の高さ方向の寸法よりも大きくなるように形成された傾斜部と、前記傾斜部の先において外側に向けて広がる折り返し部とを形成する工程と、
前記抵抗器を、前記ブラケット内に前記折り返し部の先端から前記底面部が前記ケースの一面に接し前記傾斜部と前記折り返し部との間に形成される屈曲部が前記ケースの上端縁に当接する位置まで前記抵抗器を前記ブラケット内に押し込む工程と、
を有することを特徴とするブラケット付き抵抗器の製造方法。 - 抵抗素子をケース内に収納した抵抗器に、抵抗器用のブラケットを外周から取り付けたブラケット付き抵抗器の製造方法であって、
金属板を加工して、前記ケースの一面に沿う底面部と、前記底面部から立ち上がり前記ケースの側面に沿う側壁部と、を形成する工程と、
前記ブラケット内に前記抵抗器を入れ、前記ケース内の底面に前記底面部を接した状態で、前記ケースの側面に沿うように配置された前記側壁部を外側から押しつけることにより、前記側壁部が前記ケースの上面の縁辺に当接することで折り曲げられる折り返し部を形成して、前記抵抗器と前記ブラケットとを固定する工程と、
を有することを特徴とするブラケット付き抵抗器の製造方法。
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