JP6693263B2 - 耐火物、耐火物の製造方法、ガラス物品の製造装置、及びガラス物品の製造方法 - Google Patents
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Description
上記耐火物において、前記被膜は、前記結晶質二酸化ケイ素を85質量%以上含有することが好ましい。
上記耐火物の製造方法は、結晶質二酸化ケイ素の粒子を含有する分散液を耐火基材上に塗布する塗布工程と、前記塗布工程の後に前記耐火基材上で前記結晶質二酸化ケイ素の粒子を焼結させる焼結工程と、を備える。
上記耐火物の製造方法において、前記焼結工程では、前記結晶質二酸化ケイ素の粒子を1350℃以上の温度で加熱することが好ましい。
上記課題を解決するガラス物品の製造方法は、溶融ガラスの周囲を取り囲む位置に配置された炉壁を用いて前記溶融ガラスからガラス物品を製造するガラス物品の製造方法であって、前記炉壁を構成する構成材は、結晶質二酸化ケイ素の粒子が焼結された構造を有する被膜を備えた耐火物を含み、前記耐火物は、前記被膜が前記炉壁の内面を構成するように配置されている。
図1に示すように、耐火物11は、結晶質二酸化ケイ素の粒子が焼結された構造を有する被膜12を備えている。耐火物11は、溶融ガラスの周囲を取り囲む位置に配置される炉壁を構成する構成材として用いられる。
耐火物11の製造方法は、塗布工程と焼結工程とを備えている。塗布工程では、結晶質二酸化ケイ素の粒子を含む分散液を耐火基材B上に塗布する。
図2に示すように、溶融ガラスMGからガラス物品を製造するガラス物品の製造装置13は、溶融ガラスMGの周囲を取り囲む位置に配置された炉壁14を備えている。本実施形態のガラス物品の製造装置13は、溶融ガラスMGを流動させながら成形する成形部15をさらに備え、炉壁14は、成形部15を取り囲む位置に配置されている。
<試験例>
次に、試験例について説明する。
図3(a)に示すように、スプレーSを用いて結晶質二酸化ケイ素の粒子を含む分散液を耐火基材B上に塗布する塗布工程を行った。これにより、図3(b)に示すように、耐火基材B上に塗膜Cを形成した。耐火基材Bとしては、炭化ケイ素質の耐火基材Bを用いた。塗布工程後、焼結工程前に分散液を乾燥させる乾燥工程を行った。次に、耐火基材B上で結晶質二酸化ケイ素の粒子を焼結させる焼結工程を行った。これにより、図3(c)に示すように、結晶質二酸化ケイ素の粒子が焼結した被膜12を有する耐火物11を得た。焼結工程の雰囲気は、大気圧下及び空気下であり、焼結工程の温度は、1400℃以上、1475℃以下の範囲であり、焼結時間は約12時間である。得られた被膜12は、白色の粒子が焼結された構造を有し、被膜12の厚さは、約200μmである。
試験例2では、炭化ケイ素質の耐火基材の表面を酸化することで、酸化皮膜を形成した耐火物を得た。酸化皮膜を形成する雰囲気は、大気圧下及び空気下であり、加熱温度は、1200℃以上、1350℃以下の範囲であり、加熱時間は約24時間である。
試験例1の耐火物11における被膜12の組成、及び試験例2の耐火物における酸化皮膜の組成を表1に示す。表1中の組成を表す数値の単位は、質量%である。
図3(d)に示すように、有底筒状の耐火容器16内に、ガラスを投入したるつぼを配置し、試験例1の耐火物11を耐火容器16の蓋材として用いた。このとき、耐火物11の被膜12側が蓋材の内面となるように耐火物11を配置した。るつぼに投入したガラス、すなわち溶融ガラスMGは組成として、質量%でSiO2:61.5%、Al2O3:18.0%、B2O3:0.5%、Li2O:0.1%、Na2O:14.5%、K2O:2.0%、MgO:3.0%、SnO2:0.4%を含有する。
試験例1の耐久試験後の耐火物11における被膜12の状態を目視、光学顕微鏡、及び電子顕微鏡を用いて観察した。試験例1の耐火物11では、被膜12の剥離や変質は認められなかった。また、試験例2の耐火物における酸化皮膜の状態についても同様に観察した。試験例2の耐火物では、酸化皮膜が破裂した部分が多数確認された。
試験例1の耐久試験後の耐火物11における被膜12の密着状態をJIS H8504(1999)に規定されるへらしごき試験方法に準拠して評価した。試験例1の耐火物11では、被膜12の剥離が確認されず、被膜12の密着強度も維持されていることが分かった。試験例2の耐火物については、酸化皮膜の外観の観察により既に複数の剥離部分が確認されたため、密着状態の確認を省略した。
(1)耐火物11は、溶融ガラスMGの周囲を取り囲む位置に配置される炉壁14を構成する構成材として用いられる。耐火物11は、結晶質二酸化ケイ素の粒子が焼結された構造を有する被膜12を備えている。このような耐火物11の被膜12は、例えば、炭化ケイ素の酸化により形成される酸化皮膜よりも、溶融ガラスMGから揮発した蒸気に対する耐性が得られ易い。従って、溶融ガラスMGの周囲を取り囲む炉壁14の耐久性が高まることで、好適にガラス物品を製造することができる。例えば、ガラス物品の生産性や品質を高めることができる。
このとき、耐火物の酸化皮膜の粘度は、溶融ガラスMGから揮発した蒸気との反応、及び炉壁の使用時における熱によって低下している。この状態の酸化皮膜は、上記のように発生した炭酸ガスの気泡によって突き破られ、上記の試験例2の耐火物のように、酸化皮膜には破裂した部分が多数形成される。また、酸化皮膜の破裂に伴って酸化皮膜の破片が、炉壁により囲まれる空間(炉壁により囲まれる室内)に飛散し、溶融ガラスに付着することで、得られるガラス物品に欠陥を発生させる場合がある。
上記実施形態を次のように変更してもよい。
・上記耐火物11の被膜12は、炭化ケイ素質の耐火基材B上に設けられているが、例えば、窒化ケイ素質の耐火基材上に設けることもできる。
Claims (10)
- 溶融ガラスの周囲を取り囲む位置に配置される炉壁を構成する構成材として用いられる耐火物であって、
結晶質二酸化ケイ素の粒子が焼結された構造を有する被膜を備え、
前記被膜は、クリストバライトを60〜70質量%、クオーツを20〜30質量%、及びトリジマイトを5〜10質量%含有することを特徴とする耐火物。 - 前記被膜は、炭化ケイ素質の耐火基材上に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の耐火物。
- 前記被膜は、前記結晶質二酸化ケイ素を85質量%以上含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の耐火物。
- 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の耐火物の製造方法であって、
結晶質二酸化ケイ素の粒子を含有する分散液を耐火基材上に塗布する塗布工程と、
前記塗布工程の後に前記耐火基材上で前記結晶質二酸化ケイ素の粒子を焼結させる焼結工程と、を備えることを特徴とする耐火物の製造方法。 - 前記塗布工程後、前記焼結工程前に、前記分散液を乾燥させる乾燥工程をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の耐火物の製造方法。
- 前記焼結工程では、前記結晶質二酸化ケイ素の粒子を1350℃以上の温度で加熱することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の耐火物の製造方法。
- 溶融ガラスの周囲を取り囲む位置に配置された炉壁を備え、前記溶融ガラスからガラス物品を製造するガラス物品の製造装置であって、
前記炉壁を構成する構成材は、結晶質二酸化ケイ素の粒子が焼結された構造を有する被膜を備えた耐火物を含み、
前記耐火物の前記被膜は、クリストバライトを60〜70質量%、クオーツを20〜30質量%、及びトリジマイトを5〜10質量%含有し、
前記耐火物は、前記被膜が前記炉壁の内面を構成するように配置されていることを特徴とするガラス物品の製造装置。 - 溶融ガラスを流動させながら成形する成形部を備え、
前記炉壁は、前記成形部を取り囲む位置に配置されていることを特徴とする請求項7に記載のガラス物品の製造装置。 - 溶融ガラスの周囲を取り囲む位置に配置された炉壁を用いて前記溶融ガラスからガラス物品を製造するガラス物品の製造方法であって、
前記炉壁を構成する構成材は、結晶質二酸化ケイ素の粒子が焼結された構造を有する被膜を備えた耐火物を含み、
前記耐火物の前記被膜は、クリストバライトを60〜70質量%、クオーツを20〜30質量%、及びトリジマイトを5〜10質量%含有し、
前記耐火物は、前記被膜が前記炉壁の内面を構成するように配置されていることを特徴とするガラス物品の製造方法。 - 前記溶融ガラスは、アルカリ金属酸化物を3質量%以上含有することを特徴とする請求項9に記載のガラス物品の製造方法。
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