JP6692747B2 - 微生物宿主生物における目的タンパク質の生産方法 - Google Patents

微生物宿主生物における目的タンパク質の生産方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6692747B2
JP6692747B2 JP2016541201A JP2016541201A JP6692747B2 JP 6692747 B2 JP6692747 B2 JP 6692747B2 JP 2016541201 A JP2016541201 A JP 2016541201A JP 2016541201 A JP2016541201 A JP 2016541201A JP 6692747 B2 JP6692747 B2 JP 6692747B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gene
host organism
frr
vector
protein
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2016541201A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017500042A (ja
Inventor
イェネヴァイン,シュテファン
ファビアン フェレ,マックス
ファビアン フェレ,マックス
レイエルト,ヤン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
BASF SE
Original Assignee
BASF SE
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by BASF SE filed Critical BASF SE
Publication of JP2017500042A publication Critical patent/JP2017500042A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6692747B2 publication Critical patent/JP6692747B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/64General methods for preparing the vector, for introducing it into the cell or for selecting the vector-containing host
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P21/00Preparation of peptides or proteins
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/195Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from bacteria
    • C07K14/24Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from bacteria from Enterobacteriaceae (F), e.g. Citrobacter, Serratia, Proteus, Providencia, Morganella, Yersinia
    • C07K14/245Escherichia (G)
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/70Vectors or expression systems specially adapted for E. coli
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/67General methods for enhancing the expression
    • C12N15/68Stabilisation of the vector

Description

本発明は、ベクターDNAの存在及び維持のために抗生物質選択圧を必要としない、微生物宿主生物における目的タンパク質の新規な組換え生産方法に関する。本発明はまた、染色体frr遺伝子が不活性化され、機能的frr遺伝子を含むベクターを含む、形質転換された宿主細胞も包含する。
特に高コピー数でのベクターの安定的な維持は、ベクターから発現されるDNA及びタンパク質の調製にとって重要である。クローニングされた遺伝子を含み、細菌等の宿主に導入されたプラスミド等のクローニングベクターは、細菌の培養中に容易に失われる。これは、細胞分裂の際の、ベクターの娘細胞への制御されていない分配による。また、ベクターは細菌宿主にとって、代謝負荷である。プラスミドを失った細菌は、プラスミドを有する細菌と比較して、一般に良好に生育し、より多くなる。
プラスミドを有さない分離個体の蓄積は、それらが宿主娘細胞への秩序だった分配のためのいかなる遺伝子システムも有さないため、クローニング及び発現目的のために用いられる基本的なレプリコンプラスミドの問題の一例である。これは、大規模培養時の宿主細菌における発現プラスミドの維持における主要な産業的問題の一例である。分離個体のクローニングプラスミドの不安定性を克服するために、幾つかのアプローチが試されてきた。
ベクターに挿入された幾つかの抗生物質耐性遺伝子の使用、及び対応する抗生物質の増殖培地への添加が、プラスミド維持のための最もありふれた選択圧の一例である。抗生物質の経済的コストに加えて、抗生物質自身、及び産業廃棄物における抗生物質遺伝子の両方に由来する潜在的な環境への害は明白である。希釈及び/又は酵素消化の結果として、長期培養の間にプラスミド選択のために用いられる抗生物質の濃度がしばしば減少するため、プラスミドを有さない分離個体の出現は完全には防げない。
US 2004/0234984は、抗生物質耐性の欠失及び/又は宿主細胞におけるベクターの安定化の実施方法に関する。本発明に従って、ベクターを有する宿主細胞を全体的に選択する、新規なベクターが生産される。この特徴は、必須遺伝子の染色体コピーを欠失させ、それをプラスミド中に置換することによって得られる。結果として、プラスミド保有細胞のみが増殖し得、これにより宿主は全体的にプラスミド依存性になる。好ましくは、infA遺伝子等の小さな遺伝子が用いられる。infA遺伝子は、小さな、細胞内の、細胞生存に必須の因子である翻訳開始因子1(IF1)をコードしている。本プラスミドは、いかなる抗生物質遺伝子も含んでおらず、したがって抗生物質選択は必要でなく、これにより培養中にかなりの利点がもたらされ、顕著な環境的への懸念が排除される。本方法は宿主の排除が企図されない、温室及び自然に植えられるトランスジェニック植物のための植物細菌中のベクターを用いる安定化に対して、特に有利である。
Janosi et al.(Proc. Natl. Acad. Sci. USA Vol. 91, pp4249-4253, May 1994)には、大腸菌におけるfrr遺伝子の産物であるリボソーム遊離因子が、細菌の増殖に不可欠であることが記載されている。
Weixlbaumer et al.(Nature Structural and Molecular Biology, Vol. 14, Number 8, pages 733-737, August 2007)には、リボソームに結合するリボソームリサイクリング因子の結晶構造が記載されている。
US 2004/0234984
Janosi et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA Vol. 91, pp4249-4253, May 1994 Weixlbaumer et al., Nature Structural and Molecular Biology, Vol. 14, Number 8, pages 733-737, August 2007
本発明の課題は、ベクターDNAの存在及び維持のために抗生物質選択圧を必要としない、微生物宿主生物における目的タンパク質の組換え生産方法を提供することである。本発明のさらなる課題は、ベクターを失った宿主生物の増殖を直ちに停止させることを目的として、宿主生物の増殖を、宿主生物におけるベクターの存在と、非常に感受性の高い方法で結び付けることである。
発明の詳細な説明
本発明の一実施形態は、微生物宿主生物における目的タンパク質の生産方法であって、
a)目的タンパク質の遺伝子及び機能的frr遺伝子を含み、抗生物質耐性遺伝子を含まないベクターを構築するステップ、
b)a)で得られたベクターを、不活性化染色体frr遺伝子を有する宿主生物に形質転換するステップ、
c)b)で得られた形質転換された宿主生物を、宿主生物における目的遺伝子の発現を可能にする条件で培養するステップ、及び
d)目的タンパク質を単離するステップ
を含む方法である。
本発明は、微生物におけるタンパク質の組換え生産に関する。
開示された発明について、目的タンパク質(PoI)は、10〜約1000、例えば20〜700、及び特に50〜500のアミノ酸がペプチド結合を介して連結されているアミノ酸鎖である。ペプチドは、任意のα−アミノ酸、特にタンパク質構成アミノ酸で構成され得る。
これらのPoIは、酵素又は非酵素タンパク質であり得る。酵素の例は、リパーゼ、デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、プロテアーゼである。非酵素タンパク質の例は、抗菌活性、ある表面への特異的な結合、結晶化プロセス及び粒子形成における核形成特性、結晶構造の制御、金属又は金属イオンの結合、界面活性剤特性、乳化特性、泡安定化特性、細胞吸着への影響を有するタンパク質である。
目的タンパク質(PoI)の遺伝子は、PoIをコードするポリヌクレオチド配列である。かかるポリヌクレオチド配列は、ゲノムから公知の方法によって単離され得るか、又はDNA合成法によって合成され得る。用語「PoI遺伝子」は、広義には、PoIをコードする部分に加えて、その元々の遺伝的背景においてPoIの発現に関与するプロモーター等の制御部分も包含することを意味するものと理解される。
本発明に好適な微生物宿主系は、原則として、本発明に係る核酸を発現することができる任意の生物である。宿主生物は、例えば、細菌を意味する。
原核発現生物の非限定例は、大腸菌、枯草菌、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、及びコリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)等である。
本発明は、制御核酸配列による遺伝的制御下に目的タンパク質をコードする核酸配列を含む発現構築物、及び少なくとも一つの前記発現構築物を含むベクターに関する。本発明に係るこのような構築物は、好ましくは特定のコード配列の5'上流にプロモーター、3'下流にターミネーター配列、及び任意に、さらなる共通制御エレメントを含み、これらはいずれもコード配列に機能可能に連結される。
「機能可能に連結」は、プロモーター、コード配列、ターミネーター、及び任意にさらなる制御エレメントの、各制御エレメントが、コード配列の発現の際に意図される機能を発揮し得る様な、連続的配置(sequential arrangement)を意味する。機能可能に連結可能な配列の例は、ターゲティング配列、またエンハンサー、及びポリアデニル化シグナル等である。さらなる制御エレメントは、選択可能マーカー、増幅シグナル、及び複製起点等である。好適な制御配列は、例えばGoeddel, Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, California(1990)に記載されている。
天然の制御配列が、人工的な制御配列に加えて、実際の構造遺伝子の上流に依然として存在し得る。この天然の制御は、遺伝子改変によって任意にスイッチオフされ得、それによって遺伝子の発現が増加又は低減され得る。しかしながら、遺伝子構築物は、より単純な構造を有し得、すなわち、構造遺伝子の上流にいかなる付加制御シグナルも挿入されず、その制御を行う天然のプロモーターが除去されていない。あるいは、天然の制御配列は、制御がもはや起こらず、遺伝子発現が増加又は低減されるように変異している。遺伝子構築物は、核酸配列の一以上のコピーを含み得る。
使用可能なプロモーターの例は、グラム陰性菌において有利に用いられるcos、tac、trp、tet、trp-tet、lpp、lac、lpp-lac、laclq、T7、T5、T3、gal、trc、ara、SP6、lambda-PR又はlambda-PLプロモーター、及びグラム陽性菌プロモーターのamy及びSPO.sub.2.である。特に好ましいのは、例えば光、及び特に温度誘導性プロモーター等の誘導性プロモーター、例えばP.sub.rP.sub.lを用いることである。原則として、制御配列を有する任意の天然のプロモーターが用いられ得る。さらに、合成プロモーターも有利に用いられ得る。
前記制御配列は、核酸配列及びタンパク質が、特異的な方法で発現されることを可能にすることを意図する。宿主生物に応じて、これは遺伝子が誘導後にのみ発現又は過剰発現されるか、例えば直ちに発現及び/又は過剰発現されることを意味する。
本明細書において好ましいのは、正の影響を与え、それによって発現を増加又は低減し得る制御配列又は因子である。したがって、プロモーター及び/又は「エンハンサー」等の強力な転写シグナルを用いることによって、転写レベルで制御エレメントを有利に増強することが可能である。しかしながら、加えて、例えばmRNAの安定性を改善することによって、翻訳を増強することも可能である。
発現カセットは、好適なプロモーターを、好適なコードヌクレオチド配列及び終結又はポリアデニル化シグナルに融合することによって調製される。この目的のために、例えば、T. Maniatis, E. F. Fritsch and J. Sambrook, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989)、及びT. J. Silhavy, M. L. Berman and L. W. Enquist, Experiments with Gene Fusions, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y. (1984)、及びAusubel, F. M. et al., Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Assoc. and Wiley Interscience (1987)に記載される様な周知の組換え及びクローニング技術が用いられる。
組換え核酸構築物又は遺伝子構築物を好適な宿主生物で発現させるために、該構築物を、宿主において遺伝子が最適に発現されることを可能とする宿主特異的なベクターに挿入することが有利であり得る。ベクターは当業者には周知であり、例えば「Cloning Vectors」(Pouwels P. H. et al., eds., Elsevier, Amsterdam-New York-Oxford, 1985)に見出される。ベクターは、プラスミドに加えて、当業者に知られる他の任意のベクター、例えばファージ、トランスポゾン、ISエレメント、コスミド、及び直鎖又は環状DNA等も含むと理解される。
言及され得る好適な発現ベクターの例は、一般的な融合発現ベクター、例えば、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパク質、及びプロテインAがそれぞれ組換え標的タンパク質に融合されている、pGEX (Pharmacia Biotech Inc; Smith, D. B. and Johnson, K. S. (1988) Gene 67:31-40)、pMAL (New England Biolabs, Beverly, Mass.)、及びpRIT 5 (Pharmacia, Piscataway, N.J.)、並びに非融合タンパク質発現ベクター、例えばpTrc (Amann et al., (1988) Gene 69:301-315)、及びpET 11d (Studier et al. Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, Calif. (1990) 60-89)である。
リボソームリサイクリング因子(frr)は、細菌細胞及び真核生物の細胞小器官、特にミトコンドリア及び葉緑体においてみられるタンパク質である。frrは、タンパク質合成の完了後にリボソームを再利用する機能を有する。最近の証拠は、frrがリボソームをサブユニットに分割し、それによって結合したmRNAを遊離させることによってリボソームの再利用を達成し得ることを示唆している。細菌(特に大腸菌)では、リボソームリサイクリング因子をコードするfrr遺伝子の欠失は、有害である。
機能的frr遺伝子は、生物におけるfrr遺伝子の不活性又は不存在の機能を補完し得る遺伝子を意味する。これは、微生物宿主生物の相同(homologous)frr遺伝子又は異種(heterologous)frr遺伝子又は変異frr遺伝子であり得る。
不活性又は不活性化遺伝子、特に不活性化frr遺伝子は、機能的な遺伝子産物、特にリボソームリサイクリング因子に発現されない遺伝子、特にfrr遺伝子を意味する。frr遺伝子の不活性化は、様々な方法で、すなわち染色体のfrr遺伝子を完全に又は部分的に欠失させることによって、又は該遺伝子の読み枠を破壊するための追加のヌクレオチド又はポリヌクレオチドのfrr遺伝子への挿入によって行われ得る。遺伝子を不活性化するための別の可能性は、読み枠に停止コドンを導入すること、又はプロモーター領域などの遺伝子の制御エレメントを欠失させることである。ノックアウト又は挿入変異誘発によって遺伝子を不活性化するための、当業者に知られる周知の手順が存在する。
大腸菌のfrr遺伝子は、185aaタンパク質をコードしている。そのポリヌクレオチド配列は、NCBI (Protein) GI: 16128165に見出され得る。
機能的なfrr遺伝子を有する微生物宿主生物の形質転換のために用いられるベクターは、抗生物質耐性が、該ベクターを有する宿主生物の選択に必要ではないため、抗生物質耐性遺伝子を有さない。
形質転換は、ベクター又はヘルパープラスミド等のDNAの微生物宿主生物への導入を意味する。形質転換は、カルシウムリン酸沈殿又はエレクトロポレーション等の周知の技術によって実施され得る。
微生物大腸菌における組換え工学(recombineering)は、Zhang et al. (Nature Genetics, 20, 123-128, 1998)に記載されている様に実施され得る。
組換え微生物は、周知の方法に従って培養及び発酵され得る。例えば、細菌はTB又はLB培地において、20℃〜40℃及び6〜9のpHで増殖され得る。好適な培養条件は、例えばT. Maniatis, E. F. Fritsch and J. Sambrook, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989)に、詳細に記載されている。
目的タンパク質(PoI)が培養培地に分泌されない限り、その後細胞は破壊され、産物は、周知のタンパク質単離法によって可溶化液から回収される。細胞は、任意に高周波数の超音波によって、高圧によって、例えばフレンチプレッシャーセルにおいて、浸透圧溶解(osmolysis)によって、界面活性剤、溶解酵素又は有機溶媒の作用によって、ホモジナイザーによって、又は記載された複数の方法を組み合わせることによって破壊され得る。
PoIは、周知のクロマトグラフィー法、例えば分子篩クロマトグラフィー(ゲル濾過)、例えばQセファロースクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、及び疎水性クロマトグラフィーを用いて、及び他の一般的な方法、例えば限外濾過、結晶化、塩析、透析、及びネイティブゲル電気泳動によって精製されうる。好適な方法は、例えばCooper, F. G., Biochemische Arbeitsmethoden [原題: The Tools of Biochemistry], Verlag Walter de Gruyter, Berlin, New York or in Scopes, R., Protein Purification, Springer Verlag, New York, Heidelberg, Berlinに記載されている。
さらに、組換えPoIは、特定のヌクレオチド配列によってcDNAを伸長し、それによって、例えば単純な精製のために用いられる改変ポリペプチド又は融合タンパク質をコードする、ベクター系又はオリゴヌクレオチドを用いることによって単離され得る。この種類の好適な改変の例は、アンカーとして作用する「タグ」、例えばヘキサヒスチジンアンカーとして知られる改変、又は(例えば、Harlow, E. and Lane, D., 1988, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor (N.Y.) Pressに記載される)抗体によって抗原として認識され得るエピトープである。これらのアンカーは、タンパク質を固体支持体、例えばクロマトグラフィーカラムに導入され得るポリマー基質等に固定するために用いられ得るか、又はマイクロタイタープレート若しくは他の支持体において用いられ得る。
同時に、これらのアンカーは、タンパク質を認識するためにも用いられ得る。さらに、これらのタンパク質は、蛍光色素、基質との反応時に検出可能な反応産物を形成する酵素マーカー、又は放射活性マーカー等の一般的なマーカーを、単独で又は前記アンカーと組み合わせて、タンパク質を誘導体化するために用いることによって認識され得る。
本発明の他の実施形態は、微生物宿主生物における目的タンパク質の生産方法であって、
a)目的タンパク質の遺伝子及び機能的frr遺伝子を含み、抗生物質耐性遺伝子を含まないベクターを構築するステップ、
b)a)で得られたベクターを、不活性化染色体frr遺伝子を有し、かつ、機能的frr遺伝子及びマーカー遺伝子を含むヘルパープラスミドを有する宿主生物に形質転換するステップ、
c)a)で得られたベクターによる形質転換の後に、ヘルパープラスミドの不存在について、宿主生物を選択する工程、
d)c)で得られた形質転換された宿主生物を、宿主生物における目的遺伝子の発現を可能にする条件で培養するステップ、及び
d)任意に目的タンパク質を単離するステップ
を含む方法である。
この実施形態の有利な点は、不活性化染色体frr遺伝子を有する宿主生物が、ヘルパープラスミドによる補完によって、生存可能であることである。
目的遺伝子及び機能的frr遺伝子を有する新たなベクターがこの宿主を形質転換するために用いられた場合、形質転換直後、宿主は二つの異なるベクター、すなわち(i)ヘルパープラスミド、及び(ii)目的遺伝子を有するベクターを有しており、両方のベクターが不活性化染色体frr遺伝子を補完することができる。ヘルパープラスミドは、機能的frr遺伝子に加えて、マーカーの有無についての選抜を可能とするマーカー遺伝子をも含んでいるため、このマーカーについて選択、又はこのマーカーに対してカウンターセレクション(counterselect)することができる。したがって、ベクターのみを有し、a)ヘルパープラスミドをもはや含まない形質転換された宿主生物を選択することが可能である。
本発明の他の実施形態は、frrの染色体遺伝子が不活性化されており、目的遺伝子と共に少なくとも一コピーの機能的frr遺伝子を含むベクターを含み、かつ抗生物質耐性のいかなる遺伝子も含まないことを特徴とする、形質転換された微生物宿主細胞である。
本発明のさらなる実施形態は、特許請求の範囲に開示される。本発明の様々な実施形態を以下に示す。
1.微生物宿主生物における目的タンパク質の生産方法であって、
a)目的タンパク質の遺伝子及び機能的frr遺伝子を含み、抗生物質耐性遺伝子を含まないベクターを構築するステップ、
b)a)で得られたベクターを、不活性化染色体frr遺伝子を有する宿主生物に形質転換するステップ、
c)b)で得られた形質転換された宿主生物を、宿主生物における目的遺伝子の発現を可能にする条件で培養するステップ、及び
d)目的タンパク質を単離するステップ
を含む方法。
2.不活性化染色体frr遺伝子を有する宿主生物が、機能的frr遺伝子及びマーカー遺伝子を含むヘルパープラスミドを有し、かつa)で得られたベクターによる形質転換の後に、宿主生物がヘルパープラスミドの不存在について選択される、上記1に記載の方法。
3.ベクター中のfrr遺伝子が、宿主生物に相同である、上記1に記載の方法。
4.宿主生物が大腸菌である、上記1に記載の方法。
5.宿主生物の染色体frr遺伝子不活性化が、遺伝子欠失によって行われる、上記1に記載の方法。
6.frrの染色体遺伝子が不活性化されており、目的遺伝子と共に少なくとも一コピーの機能的frr遺伝子を含むベクターを含み、かつ抗生物質耐性のいかなる遺伝子も含まないことを特徴とする、形質転換された微生物宿主細胞。

Claims (4)

  1. 微生物宿主生物における目的タンパク質の生産方法であって、
    a)目的タンパク質の遺伝子及び機能的frr遺伝子を含み、抗生物質耐性遺伝子を含まないベクターを構築するステップ、
    b)a)で得られたベクターを、不活性化染色体frr遺伝子を有する宿主生物に形質転換するステップ、
    c)b)で得られた形質転換された宿主生物を、宿主生物における目的タンパク質の遺伝子の発現を可能にする条件で培養するステップ、及び
    d)目的タンパク質を単離するステップ
    を含み、不活性化染色体frr遺伝子を有する前記宿主生物が、機能的frr遺伝子及びマーカー遺伝子を含むヘルパープラスミドを有し、かつa)で得られたベクターによる形質転換の後に、宿主生物がヘルパープラスミドの不存在について選択され、
    前記宿主生物が、原核生物である、前記方法。
  2. 前記ベクター中のfrr遺伝子が、前記宿主生物のfrr遺伝子と同一である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記宿主生物が大腸菌である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記宿主生物の染色体frr遺伝子不活性化が、遺伝子欠失によって行われる、請求項1に記載の方法。
JP2016541201A 2013-12-20 2014-12-12 微生物宿主生物における目的タンパク質の生産方法 Expired - Fee Related JP6692747B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP13198797 2013-12-20
EP13198797.6 2013-12-20
PCT/EP2014/077604 WO2015091280A1 (en) 2013-12-20 2014-12-12 A process for production of a protein of interest in a microbial host organism

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019162831A Division JP2020018304A (ja) 2013-12-20 2019-09-06 微生物宿主生物における目的タンパク質の生産方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017500042A JP2017500042A (ja) 2017-01-05
JP6692747B2 true JP6692747B2 (ja) 2020-05-13

Family

ID=49885024

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016541201A Expired - Fee Related JP6692747B2 (ja) 2013-12-20 2014-12-12 微生物宿主生物における目的タンパク質の生産方法
JP2019162831A Pending JP2020018304A (ja) 2013-12-20 2019-09-06 微生物宿主生物における目的タンパク質の生産方法

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019162831A Pending JP2020018304A (ja) 2013-12-20 2019-09-06 微生物宿主生物における目的タンパク質の生産方法

Country Status (8)

Country Link
US (1) US20170022531A1 (ja)
EP (1) EP3083965B1 (ja)
JP (2) JP6692747B2 (ja)
CN (1) CN105849267A (ja)
CA (1) CA2933975C (ja)
DK (1) DK3083965T3 (ja)
HU (1) HUE045556T2 (ja)
WO (1) WO2015091280A1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021193932A (ja) 2020-06-12 2021-12-27 ナガセケムテックス株式会社 目的タンパク質の製造方法
MX2023001016A (es) 2020-07-24 2023-03-01 Basf Se Eliminacion simple de alanina racemasa y transcomplementacion.

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11196877A (ja) * 1998-01-12 1999-07-27 Akira Kaji リボソームリサイクリング因子(rrf)の阻害を検出する方法、同因子を阻害する物質のスクリーニング方法、該方法によってスクリーニングされた抗菌物質、並びにそれらの方法に有用なプラスミド及びそのプラスミドで形質転換された宿主細胞
SE0102204D0 (sv) * 2001-06-21 2001-06-21 Leif Isaksson New method
DE10360483B4 (de) * 2003-12-22 2007-11-15 Scil Proteins Gmbh Expressionsvektor und dessen Verwendung
JP2006067883A (ja) * 2004-09-01 2006-03-16 Kao Corp 組換えバチルス属細菌
JP4839169B2 (ja) * 2006-09-22 2011-12-21 花王株式会社 組換え微生物
DE102007021001A1 (de) * 2007-05-04 2008-11-06 Ab Enzymes Gmbh Expressionssystem zur antibiotikafreien Produktion von Polypeptiden
JP2009207417A (ja) * 2008-03-04 2009-09-17 Tottori Univ 線虫における簡便な多重遺伝子同時機能抑制法
CN103596970A (zh) * 2011-03-11 2014-02-19 帝斯曼知识产权资产管理有限公司 载体-宿主系统
IL237508B2 (en) * 2012-09-06 2023-04-01 Eveliqure Biotechnologies Gmbh A new live attenuated shigella vaccine

Also Published As

Publication number Publication date
EP3083965B1 (en) 2019-07-10
WO2015091280A1 (en) 2015-06-25
US20170022531A1 (en) 2017-01-26
EP3083965A1 (en) 2016-10-26
CA2933975A1 (en) 2015-06-25
DK3083965T3 (da) 2019-10-14
HUE045556T2 (hu) 2020-01-28
CN105849267A (zh) 2016-08-10
JP2020018304A (ja) 2020-02-06
JP2017500042A (ja) 2017-01-05
CA2933975C (en) 2022-06-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Allers Overexpression and purification of halophilic proteins in Haloferax volcanii
US8759028B2 (en) Expression cassette, recombinant host cell and process for producing a target protein
WO2017176347A9 (en) Pathway integration and expression in host cells
King et al. Membrane protein expression in Lactococcus lactis
US10647976B2 (en) Expression of polypeptides involved in lysine decarboxylation, and methods and applications thereof
JP2020018304A (ja) 微生物宿主生物における目的タンパク質の生産方法
CN117866859A (zh) 葡萄球菌属细菌的营养缺陷型菌株
WO2021123402A1 (en) Continuous bioproduction by decoupling growth and production
JP7312741B2 (ja) 望ましい遺伝子発現を促進するためのプラスミドアディクションシステム
EP4230723A1 (en) Polypeptide with aspartate kinase activity and use thereof in production of amino acid
US10995316B2 (en) Proline auxotrophs
US11365401B2 (en) Oligosaccharyltransferase polypeptide
Irla et al. Corrigendum: genome-based genetic tool development for Bacillus methanolicus: theta-and rolling circle-replicating plasmids for inducible gene expression and application to methanol-based cadaverine production
ES2370947A1 (es) Sistema de autolisis celular para el procesado de la biomasa bacteriana en la produccion de polihidroxialcanoatos en pseudomonas putida kt2440.
US20230058740A1 (en) Robust Protein Expression Enabled by Dynamic Control over Host Proteases
WO2023245191A2 (en) Inducible cell lysis system
EP4328308A1 (en) Modified trna-synthetase for the incorporation of non-canonical amino acids
US20200331973A1 (en) Nucleic acid encoding crm197 and process for improved expression thereof
Guo Optimization of 18-Strain Synthetic Microbial Consortia that Enable Rapid Assembly of Pure Cell-Free Systems
WO2019038789A1 (en) RECOMBINANT VECTOR COMPRISING FUSION DNA FOR CELL SURFACE DISPLAY AND USES THEREOF
JP4563789B2 (ja) D−アミノアシラーゼ遺伝子
Lee et al. Secretory production of therapeutic proteins in Escherichia coli
US20220290203A1 (en) Method for producing useful substance
Mohammadzade et al. Cloning of Pituitary Gland Hormone in pET32a Expression Vector
JP2020000072A (ja) グルタチオンの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171211

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180828

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20181122

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20190508

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190906

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20190918

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191112

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200210

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200317

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200415

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6692747

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees