JP6691330B2 - 多相低分解能検出器信号を用いた位相速度推定装置 - Google Patents

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本発明は、ホールセンサに代表される多相低分解能検出器を備えた、同期電動機(ブラシレズDC電動機、永久磁石形同期電動機、界磁巻線形同期電動機など)に代表される交流電動機の回転子の位相・速度を推定的に検出する位相速度推定装置に関する。
本発明では、回転子の角度、位置、位相を同義で使用する。これらの単位はradである。また、位相の余弦値、正弦値など位相と実質的に等価な量も、簡単に位相と呼称する。位相の推定値、近似値、フィルタ処理値などを位相相当値と総称する。
本発明では、回転子の角速度、速度、周波数を同義で使用する。これらの単位は、rad/sである。回転子の角速度を意識する場合には速度と呼称し、回転子速度を反映した交番信号の周波数を意識する場合には、周波数と呼称する。これらの推定値、近似値、指令値、フィルタ処理値などを速度相当値あるいは周波数相当値と呼称する。本発明では、速度相当値と周波数相当値は同義である。当業者は周知のように、交流電動機に装着された多相低分解能検出器からの信号(以下、多相低分解能検出器信号と略記)の基本波成分周波数は、交流電動機回転子の電気速度(電気角速度)と基本的に同一である。
本発明は、多相低分解能検出器を備えた多相の交流電動機の駆動制御に適用可能であるが、本発明の説明の明白化・具体化を図るべく、特に三相同期電動機を例に取り上げて説明する。また、本発明は、多相低分解能検出器信号としては、二相以上の多相を対象としうるが、説明の明白化を図るべく、基本的には、三相の場合を取り上げて説明する。本発明を三相信号以外の多相低分解能検出器信号に適用する場合の注意事項は、適時、補足する形で説明する。
三相同期電動機をして所定のトルクを正確に発生させるには、回転子の位相を正確に知る必要がある。また、速度制御を行なう場合には、回転子の速度情報も必要である。回転子の位相・速度検出は、回転子にエンコーダ、レゾルバーと言った位相速度検出器の装着により、容易に遂行することができる。しかし、これら位相速度検出器は、熱的・電気的・機械的な頑健性、配線の引き回し、検出器の装着用スペース、コストなどに関し、問題を有している。
これら諸問題を同時に克服しうる位置速度検出器が、ホールセンサに代表される多相低分解能検出器である。三相同期電動機には、一般に、三相巻線に対応した形で多相低分解能検出器が利用される。多相低分解能検出器による信号は、三相の純正弦信号を基準にするならば、三相の純正弦信号に高調波成分を含むものであり、大きくは、三相矩形信号と三相歪み正弦信号とに大別される。三相の内の一相を取り上げて信号波形を見るならば、前者の波形は矩形状(方形状)であり、後者の波形は歪んだ交番信号である。
歪んだ交番信号からの回転子位相の精度のよい割り出しは、必ずしも容易ではなく、元来、矩形状信号を出力する多相低分解能検出器が多用されてきた。図1は、三相矩形信号の1例である。矩形信号の1周期が回転子位相の2π[rad](電気角評価)に相当する。図より明白なように、多相低分解能検出器からのU相信号hu、V相信号hv、W相信号hwは各々2π/3[rad]の位相差を持つ。
特許文献1、特許文献2に示されているように、一般には、多相低分解能検出器からのU相信号hu、V相信号hv、W相信号hwのエッジ検出を通じて、3逓倍のパルス信号e6を生成し(図9参照)、3逓倍パルス信号e6を基本に回転子の位相あるいは速度を算定する。この場合、電気角2π[rad]が6パルスに該当するため、π/3[rad]の精度で回転子位相を検出できる。しかしながら、π/3[rad]の検出精度は、トルク制御、速度制御への本格的応用には全く精度不足であり、十分なトルク制御性能、速度制御性能を得ることはできない。
このため、これらの応用には、3逓倍パルス信号を更に逓倍し、電気角2π[rad]に対応するパルス数を増加している。しかしながら、速度向上とともに、パルス信号の精度良いかつ安定した逓倍化は困難を増す。また、エッジ検出を基本とする方法は、専用のハード的電子回路が必須である。同方法は、ハード的電子回路に起因して、温度変化、湿度変化等の対環境変化に対して脆弱である。また、多相低分解能検出器信号が三相矩形信号でなく三相歪み正弦信号の場合には、上述の三相矩形信号に特化した位相・速度の検出技術は、全く適用できないという問題もあった。
鈴木稔:「三相ブラシレスモータの磁極位置検出方法」、特開平5−76196号(1991−9−12) 宮内礼三・切東章浩:「回転角度検出装置」、特開平10−111304号(1996−10−3)
新中新二:「永久磁石同期モータのベクトル制御技術、上巻(原理から最先端まで)」、電波新聞社(2008−12−15)
本発明は上記背景の下になされたものであり、その目的は、多相矩形信号、多相歪み正弦信号のいずれの多相低分解能検出器信号にも適用できる汎用性を有し、純粋にソフォトフェアのみで実装でき廉価かつ対環境変化に対してロバストな、さらには、低速から高速の広い速度領域で適用できる位相速度推定装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、交流電動機に実装された多相低分解能検出器からのN(N≧2)相信号を入力信号として受け取り、該N相信号を処理して、回転子の位相相当値、回転子の速度相当値の少なくとも1つを実時間生成し外部出力する位相速度推定装置であって、該N相信号を二相信号に変換するN相二相変換手段と、後述の位相速度生成手段が生成した速度相当値、別途用意の速度相当値の少なくとも1つを利用して、変換された該二相信号から該二相信号の基本波成分である基本波二相信号を少なくとも抽出する基本波二相信号抽出手段と、抽出した該基本波二相信号を用いて、回転子の位相相当値、回転子の速度相当値の少なくとも1つを実時間生成する位相速度生成手段とを備えることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1記載の位相速度推定装置であって、該基本波二相信号抽出手段を、正相成分と逆相成分の分離が可能な2入力2出力フィルタを用いて構成したことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1記載の位相速度推定装置であって、該基本波二相信号抽出手段を、通過帯域の中心周波数が可変な2個の1入力1出力バンドパスフィルタを用いて構成したことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1記載の位相速度推定装置であって、該基本波二相信号抽出手段で利用する別途用意の速度相当値を、該N相信号からフィードフォワード的に生成したことを特徴とする。
本発明の効果を説明する。まず請求項1の発明の効果を説明する。図3は、請求項1の発明に基づく代表的な実施形態例である。本図と本図の説明より(後掲)、以下の効果が明白である。
▲1▼ 請求項1の発明による位相速度推定装置は、多相低分解能検出器信号に関し、多相矩形信号、多相歪み正弦信号のいずれかに限定するような制約を一切必要としない。すなわち、請求項1の発明によれば、多相低分解能検出器信号に対して高い汎用性を有するという効果が得られる。
▲2▼ 請求項1の発明による位相速度推定装置は、N相二相変換手段、基本波二相信号抽出手段、位相速度生成手段からなるが、いずれもデジタル式の演算素子で容易に実現される。換言するならば、ソフォトウェアのみで簡単に実装されるという効果が得られる(図3〜図7参照)。
▲3▼ この結果、請求項1の発明による位相速度推定装置は、実装が廉価となり、さらには対環境変化に対して高いロバスト性をもつことができると言う効果が得られる。
▲4▼ 請求項1の発明による位相速度推定装置は逓倍技術を必要としないので、請求項1の発明によれば、低速から高速の広い速度領域で適用できると言う効果が得られる。
つづいて、請求項2の発明の効果を説明する。請求項2の発明によれば、基本波二相信号抽出手段が正相成分と逆相成分の分離機能をもつことになる。この結果、位相・速度推定に特別重要な情報を包含する基本波二相信号をより高い精度で抽出できるようになるという効果が得られる。ひいては、請求項1の発明の効果を高める(特に推定性能を上げる)と言う効果が得られる。
つづいて、請求項3の発明の効果を説明する。請求項3の発明によれば、基本波二相信号抽出手段を、通過帯域の中心周波数が可変な2個の1入力1出力バンドパスフィルタを用いて構成することになる。請求項3の発明に従った図6の実施形態例より明白なように、この構成においては基本波二相信号抽出手段は簡単化される。すなわち、請求項3の発明によれば、基本波二相信号抽出手段を簡単に実現できると言う効果が得られる。ひいては、請求項3の発明によれば、請求項1の発明による効果を簡単に得ることができると言う効果が得られる。
つづいて、請求項4の発明の効果を説明する。請求項4の発明によれば、基本波二相信号抽出手段で利用する速度相当値を、位相速度生成手段を介することなく、該N相信号からフィードフォワード的に生成することになる。この場合、図8より明白なように、速度相当値(ω2n^’)の生成に関するフィドバックループが消滅する。ひいては、速度相当値が安定的に生成されるいう効果が得られる。この結果、基本波二相信号抽出手段、位相速度生成手段の安定的動作が高められるという効果が得られる。ひいては、請求項1の効果を安定的に得ることができるようにと言う効果が得られる。
「多相低分解能検出器信号の1例を示す図」 「三相永久磁石形同期電動機のベクトル制御システムに本発明による位相速度推定器を適用した例を示す図」 「本発明による位相速度推定器の代表的実施形態例を示す図」 「逆D因子の実現例を示す図」 「D因子フィルタを用いた基本波抽出器の代表的実施形態例を示す図」 「通過帯域の中心周波数が可変なバンドパスフィルタを用いた基本波抽出器の代表的実施形態例を示す図」 「本発明による位相速度生成器の代表的実施形態例を示す図」 「本発明による位相速度推定器の代表的実施形態例を示す図」 「三相矩形信号のエッジ検出による3逓倍パルス信号の生成原理を示す図」
以下、図面を用いて、本発明の好適な態様を具体的に説明する。
本発明の位相速度推定装置を三相の永久磁石形同期電動機(交流電動機)に適用した1実施形態例の基本構造を図2に示す。同図では、同期電動機は、回転子位相情報を必要とするベクトル制御で駆動されるものとしている。図1における機器は、具体的には以下の通りである。1は同期電動機(交流電動機)を、2は電流検出器を、3は電力変換器を、4a、4bは夫々3相2相変換器、2相3相変換器を、5a、5bは共にベクトル回転器を、6は電流制御器を、7はトルク指令指令値を電流指令値に変換する指令変換器を、8は速度制御器を、11は電気速度推定値を機械速度推定値に変換する速度係数変換器を、各々意味している。図1の例では、同期電動機を速度制御することを想定しているので、トルク指令値は速度制御器の出力信号として得ている。トルク制御を行なう場合には、トルク指令値を外部から直接与えることになる。上記各種機器の働きは当業者には公知であるので、その説明を省略する。本発明と直接関係する機器は、同期電動機1に実装された多相低分解能検出器9と、本発明による位相速度推定装置を実現した位相速度推定器10である。なお、同図では、簡明のため、複数のスカラ信号を1つのベクトル信号として捉え、複数のスカラ信号線を1本の太い信号線で表現している。多相低分解能検出器の出力信号の数(換言するならば、相数)は、本発明では、2以上を条件としているので、一本のベクトル信号線として表現している。以下の図面においても、同様の描画ルールを適用する。
図3は、図2における位相速度推定器10の内部構成の代表的1例を示したものである。本器10は、請求項1の発明に従った、N相二相変換手段を実現したN相2相変換器10−1、基本波二相信号抽出手段を実現した基本波抽出器10−2、位相速度生成手段を実現した位相速度生成器10−3に加え、基本波二相信号の周波数推定値をフィルタ処理し、基本波抽出器にフィードバックされる速度相当値を生成するためローパスフィルタ10−4から構成されている。
N相2相変換器10−1は、N相信号を二相信号へ変換する役割を担う2行N列(以下、2×Nと略記)の行列SN2Tである。多相低分解能検出器信号をhNとし、N相2相変換器の出力信号である二相信号をvhとするならば(図3参照)、N相2相変換器10−1の働きは次式で記述される。
Figure 0006691330
多相低分解能検出器信号が二相信号の場合は、N相2相変換器10−1は、2×2単位行列となる。多相低分解能検出器信号が三相以上の多相信号の場合は、N相2相変換器10−1は、次式で与えられる。
Figure 0006691330
(2)式におけるAは、任意の定数である。
多相低分解能検出器信号が三相信号の場合は(すなわち、N=3の場合は)、多相低分解能検出器信号hNとN相2相変換器10−1は、各々次式となる。
Figure 0006691330
N相2相変換器の出力信号である二相信号vhの基本波成分の抽出を担う基本波抽出器10−2の実現に関しては、種々存在する。本明細書では、請求項2の発明に従った実現を例示する。請求項2の発明によれば、正相成分と逆相成分の分離が可能な2入力2出力(以下、2入出力と略記)フィルタを用いて、基本波抽出器10−2を構成することになる。正相成分と逆相成分の分離が可能な2入出力フィルタの代表が、2入出力D因子フィルタである。
D因子フィルタは、次の(4)式で定義された2×2のD因子の逆行列をモジュールとした可変特性フィルタである。
Figure 0006691330
ここに,sは微分演算子であり、Iは2x2単位行列であり,Jは次の2x2交代行列である。
Figure 0006691330
信号(ω2n^’)はD因子フィルタの外部から入力される速度相当値である。図4は、(4)式の逆行列たる逆D因子の実現例を示したものである。逆D因子の入力信号と出力信号は、2×1のベクトル信号である。同図の1/sは積分器を意味する。図より明白なように、逆D因子の実現には、速度相当値(ω2n^’)が利用されている。
図5(a)は、逆D因子でモジュール化された3次D因子フィルタを用いた基本波抽出器10−2の実施形態例である。D因子フィルタによれば、二相信号から速度相当値(ω2n^’)に対応した正相成分のみを分離抽出することができる。なお、D因子フィルタの設計法(フィルタ係数の設計)の詳細は、非特許文献1に詳しく説明されているので、これ以上の説明は省略する。
図5(b)は、図5(a)の出力端子直前の逆D因子の詳細を示したものである。逆D因子は、図4に例示したように、積分器1/sを用いて構成される。したがって、基本波二相信号vfを出力する積分器の入力信号は、基本波二相信号vfの微分信号svfとなる。図3の実施形態例では、N相2相変換器の出力信号である二相信号vhを基本波抽出器10−2に入力し、基本波抽出器10−2は基本波二相信号vfとともに同微分信号svfとを出力する実施形態例を示している。一方、図5は、図3の実施形態例に対応した基本波抽出器10−2の実施形態例、特に正相成分と逆相成分の分離が可能なD因子フィルタを用いた詳細な実施形態例を与えている。
図3の実施形態例に対応した基本波抽出器10−2に関し、請求項3の発明を利用するなば、基本波抽出器10−2の新たな実施形態例を得ることができる。次に、これを説明する。通過帯域の中心周波数が可変な2個の1入力1出力バンドパスフィルタFbp(s)を並列配置する場合、これは以下のように記述される。
Figure 0006691330
一般に、バンドパスフィルタは、2次以上の高次であれば、種々設計することができる。ここでは、簡単のため、2次の1入出力バンドパスフィルタ2個を用いて、本発明の要点を説明する。中心周波数が可変な1入出力バンドパスフィルタFbp(s)に関し、2次最小次数のフィルタ伝達関数は、次式で記述される。
Figure 0006691330
(7)式におけるゼロ次係数(ω2n^’)はバンドパスフィルタの中心周波数を指定する役割をもつ。一方、1次係数(Δωb)は、バンドパスフィルタの通過帯域幅を指定する役割をもつ。ゼロ次係数は、回転子の速度相当値であり、速度に応じ変化することになる。
図6は、(7)式を(6)式に適用した場合の実現例である。同図に明示しているように、バンドパスフィルタの中心周波数は、外部から入力される速度相当値に従い可変するようにしている。また、基本波二相信号vfとともに、同微分信号svfも出力する例としている。微分信号svfの生成には、「積分器の入力信号が、積分器の出力信号の微分信号となる」という特性を利用している。
図7は、図3の実施形態例に対応した位相速度生成器10−3の詳細内部を示したものである。この位相速度生成器は、基本波抽出器から基本波二相信号vfと同微分信号svfを得て、位相推定値(θα^)、位相推定値の余弦正弦値、基本波二相信号の周波数推定値(ωα^)を出力している。位相推定値(θα^)は、基本波二相信号vf自体を逆正接処理し、この上で一定の補正信号θ0を加算して、得ている。一般に、多相低分解能検出器の取り付け位置(電気角評価)は、基準たる固定子巻線位置(電気角評価)と必ずしも同一ではなく、位相差θ0を有する。同期電動機のベクトル制御では、U相巻線の位置から評価した回転子の位相が必要である。このため、位相差に合致した補正処理が必要である。
位相推定値の余弦正弦値は、基本波二相信号vfから直接得ている。換言するならば、基本波二相信号vfを正規化することにより、得ている。すなわち、次式の関係に従って得ている。
Figure 0006691330
(8)式が明示しているように、一定の位相差θ0に基づく位相補正は、ベクトル回転器Rを用いて遂行している。なお、ベクトル回転器Rは以下のように定義されている。
Figure 0006691330
同期電動機のベクトル制御に必要とされる回転子位相情報は、単位radの角度と等価な位相ではなく、この余弦正弦値すなわち(8)式の信号である(図2参照)。
基本波二相信号vfの周波数推定値(ωα^)は、基本波二相信号vfと同微分信号svfを用いた次式に従い生成している。
Figure 0006691330
ここにLmtはリミッタを意味する。本リミッタの上下限値には,電動機の駆動範囲から得られる既知の概略値を設定すればよい。
電動機の回転子電気速度の推定値(ω2n^)は、周波数推定値(ωα^)自体、あるいはこのローパスフィルタ処理信号としてよい。図3の実施形態例では、周波数推定値(ωα^)自体を回転子電気速度の推定値(ω2n^)とする例となっている。
図7の実施形態例では、基本波二相信号vfの周波数推定値(ωα^)を、基本波二相信号vfと同微分信号svfを用いた(10)式に従い生成した。これに代わって、基本波二相信号vfの周波数推定値(ωα^)は、位相推定値(θα^)あるいはこれに準じた位相相当値を近似微分処理して得てもよい。
図3の実施形態例では、基本波抽出器10−2に使用する速度相当値(ω2n^‘)として、基本波二相信号vfの周波数推定値(ωα^)をローパスフィルタ10−4で処理した信号とした。換言するならば、周波数推定値(ωα^)のローパスフィルタ処理信号をフィードバックして基本波抽出器に使用した。請求項4の発明に従うならば、基本波抽出器10−2に使用する速度相当値(ω2^‘)を多相低分解能検出器信号からフィードフォワード的に生成して利用するこもできる。図8は、この実施形態例である。基本波抽出器10−2に使用する速度相当値(ω2^‘)は、多相低分解能検出器信号hNを簡易速度推定器10−5に用いてフィードフォワード的に生成され、基本波抽出器へ入力されている。
基本波抽出器10−2に使用する速度相当値(ω2n^‘)は、他の速度相当値を利用してもよい。例えば、図2のような速度制御を遂行すベクトル制御システムにおいては、次式のように、機械速度指令指令値ω2m*をフィードフォワード的に利用してもよい。
Figure 0006691330
なお、上式におけるNpは極対数であり、機械速度指令値を電気速度指令値へ変換するためのものである。
基本波抽出器10−2に使用する速度相当値(ω2n^‘)としては、電気速度指令値と速度推定値との合成信号、電気速度指令値と基本波二相信号の周波数推定値との合成信号のように、異なる信号の合成による信号としてもよい。
図1を用いた実施形態例では、交流電動機として、回転子に永久磁石を有する永久磁石形同期電動機を用いた例を示した。本発明は、これに限定されるものでなく、他の交流電動機にも適用される。他の交流電動機へ本発明を適用した場合の本発明自体の実施形態例は、図1のシステムに適用した場合と実質的な相違はない。このため、これ以上の説明は省略する。
本発明は、ホールサンサに代表される多相低分解能検出器を備えた、同期電動機(ブラシレズDC電動機、永久磁石形同期電動機、界磁巻線形同期電動機など)に代表される交流電動機のベクトル制御システムへの適用に好適である。
1 交流電動機
2 電流検出器
3 電力変換器
4a 3相2相変換器
4b 2相3相変換器
5a ベクトル回転器
5b ベクトル回転器
6 電流制御器
7 指令変換器
8 速度制御器
9 多相低分解能検出器
10 位相速度推定器
10−1 N相2相変換器
10−2 基本波抽出器
10−3 位相速度生成器
10−4 ローパスフィルタ
10−5 簡易速度推定器
11 速度変換係数器

Claims (4)

  1. 交流電動機に実装された多相低分解能検出器からの高調波成分を含むN(N≧2)相信号を入力信号として受け取り、該N相信号を処理して、回転子の位相相当値、回転子の速度相当値の少なくとも1つを実時間生成し外部出力する位相速度推定装置であって、
    該N相信号を、高調波成分を含む二相信号に変換するN相二相変換手段と、
    後述の位相速度生成手段が生成した速度相当値、別途用意の速度相当値の少なくとも1つを利用して、該多相低分解能検出器からの該N相信号より変換された該二相信号から該二相信号の基本波成分である基本波二相信号を少なくとも抽出する基本波二相信号抽出手段と、
    抽出した該基本波二相信号を用いて、回転子の位相相当値、回転子の速度相当値の少なくとも1つを実時間生成する位相速度生成手段と
    を備えることを特徴とする位相速度推定装置。
  2. 該基本波二相信号抽出手段を、正相成分と逆相成分の分離が可能な2入力2出力フィルタを用いて構成したことを特徴とする請求項1記載の位相速度推定装置。
  3. 該基本波二相信号抽出手段を、通過帯域の中心周波数が可変な2個の1入力1出力バンドパスフィルタを用いて構成したことを特徴とする請求項1記載の位相速度推定装置。
  4. 該基本波二相信号抽出手段で利用する別途用意の速度相当値を、該N相信号からフィードフォワード的に生成したことを特徴とする請求項1記載の位相速度推定装置。
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