〔実施形態1〕
本発明の一実施形態について、図1から図8に基づいて説明する。まず、図1に基づいて本実施形態に係る冷蔵庫の機能概要を説明する。図1は、冷蔵庫1の動作例を示す図である。
冷蔵庫1は、通常の冷蔵庫と同様の冷蔵や冷凍などの機能に加えて、自機に接近するユーザを検出する機能と、ユーザの発話音声を認識する機能を有している。また、冷蔵庫1は、庫内に収容している物品と、その収容場所を管理している。さらに、冷蔵庫1のドアの表面には、ドア発光部3Aおよび3Bが設けられている。冷蔵庫1に向かって左側がドア発光部3Aであり、右側がドア発光部3Bである。なお、左右を区別する必要がないときには、これらをドア発光部3と記載する。これらの機能および構成により、冷蔵庫1は、ユーザが冷蔵庫1に近付いたときに、そのユーザの所望する物品の収容場所を、発光により該ユーザに通知することができる。
例えば、図1の例では、同図の(a)に示すように、ユーザは野菜ジュースを飲みたい旨の発話を行いながら冷蔵庫1に近付いている。これに対し、冷蔵庫1は、接近してくるユーザを検出すると共に、上記発話の音声を解析して、該ユーザが庫内の野菜ジュースを取ろうとしていることを特定する。
そして、冷蔵庫1は、ドアの合わせ目に沿って、収容室(庫内)の上端から下端までの区間に帯状に設けられたドア発光部3Aおよび3Bのうち、野菜ジュースの収容場所に近い部分を発光させる。図示の例では、帯状のドア発光部3Aのうち、ドア2Aの下端付近を発光させている。なお、この発光が庫内の物品(この例では野菜ジュース)の収容場所を示していることをユーザが認識しやすいように、収容場所を示す際に予め定められたパターン(例えば所定の周期での点滅)で発光させてもよい。また、庫内の物品の収容場所を示す場合には、ドア発光部3Aおよび3Bの一方(対象の物品が収容されている側の一方であることが好ましい)を発光させ、他の契機に基づく発光はドア発光部3Aおよび3Bの両方で行うようにしてもよい。
次に、冷蔵庫1に近付いたユーザが、冷蔵庫1のドアに手を近付ける(かざす)と、同図の(b)に示すように、冷蔵庫1に向かって左側のドア2Aが左側に、右側のドア2Bが右側に、それぞれ自動で一定量スライドする。なお、左右を区別する必要がないときには、これらをドア2と記載する。
このとき、冷蔵庫1の庫内の光が庫外に漏れるが、庫内の光は、ドア2のスライド開始時が最も明るく、ドア2がスライドするにつれて明るさは低減されて、スライド終了時には、通常の庫内の明るさとなるように制御される。これにより、ドア2を開ける際には、最初にその隙間から強い光が漏れ、ドア2の開口部に光のカーテンが現れたかのような印象をユーザに与えるので、庫内に収容されている物品に対するユーザのワクワク感や期待感を高めることができる。また、冷蔵庫1は、ドア2を左右にスライドさせて開くので、このような光による演出効果を高めることができる。なお、庫内の明るさの制御は、この例に限られず、例えばドア2がスライドして開いた瞬間だけ庫内を明るくし、その後は通常の明るさとしてもよい。
ドア2がスライドした後は、ユーザは、ドア2Aと2Bの合わせ目に設けられた持ち手部(詳細は後述する)に手をかけて手前に引くことにより、ドア2を中央から両側に向けてユーザの手前方向に回動して開く(観音開きする)ことができる。つまり、ドア2は、左右方向にスライドして開く段階と手前方向に回動して開く段階との2段階で開く。図1の(c)の例では、ユーザは、野菜ジュースが収容されている側のドア2Aを回動させて開いている。詳細は後述するが、冷蔵庫1の庫内の光は、ドア2の回動角度に応じた明るさに制御される。
この後、所望の物品(この例では野菜ジュース)を取り出したユーザは、同図の(d)に示すように、開いたドア2Aを手動で回動させて閉める。この後、ドア2Aと2Bは左右方向に自動でスライドし、同図の(e)に示すように、ドア2は完全に閉まった状態(閉状態)となる。
〔持ち手について〕
冷蔵庫1のドア2は、平坦な表面形状であり、従来の一般的な冷蔵庫のような取っ手は設けられていない。その代わりに、ドア2Aと2Bの合わせ目(スライドによって露出する側面部)に持ち手部が設けられており、この持ち手部に手をかけてドア2を開くことができるようになっている。これについて、図2に基づいて説明する。図2は、ドア2をスライドさせた状態の冷蔵庫1の斜視図である。
図示のように、ドア2Aの側面(ドア2Bと接する面)には、持ち手部4Aが設けられている。持ち手部4Aは、ドア2Aの側面にユーザの指がかかるように、該側面をくぼませることによって形成されている。つまり、持ち手部4AはドアAの側面に設けられたくぼみ(凹部)である。なお、図示の例では、持ち手部4Aは、ドア2Aの下半分に設けられているが、当然ながらドア2Aの側面の全面にわたって設けられてもよく、手をかけられるのであればドア2Aの下側に設けられてもよい。つまり、持ち手部4Aは、ドア2Aのスライドによって露出する外周部の一部に設けられていればよい。また、ドア2Bの側面(ドア2Aと接する面)にも、持ち手部4Aと対向する位置に、持ち手部4Aと同様の形状の持ち手部4Bが設けられている。冷蔵庫1では、これらの持ち手部4A、4Bが取っ手の役割を果たしている。なお、持ち手部4Aと4Bを区別する必要がないときには、持ち手部4と記載する。
〔ドアの回動角度と庫内の明るさ制御について〕
次に、ドア2の回動角度と庫内の明るさ制御について、図3に基づいて説明する。図3は、ドア2の回動角度と庫内の明るさ制御の一例を示す図である。図示の例では、ドア2Aの左方向へのスライドが終了した後、ユーザが手動でドア2Aを開く前の庫内の明るさを基準(+0)として、ドア2Aの回動時の庫内の明るさを表している。
図示の例では、ドア2Aの回動範囲(例えばドア2Aの冷蔵庫1の本体への接続部を中心とした135°の範囲)を3等分して、庫内を各範囲に応じた明るさとしている。つまり、回動角度が0°から45°未満の範囲では明るさを増加させず(+0)、45°以上90°未満の範囲では所定の割合で明るさを増加させる(+10)。また、90°以上135°未満の範囲では、所定の割合でさらに明るさを増加させ(+20)、135°まで開くと所定の割合でさらに明るさを増加させる(+30)。このように、ドア2の回動角度が大きくなるにつれて、徐々に庫内を明るくする制御を行うことにより、ユーザの目を徐々に庫内の明るさに慣らし、最終的には庫内の確認に十分な明るさで照明することができる。また、冷蔵庫1の周囲が十分に明るいときには、ドア2を広く開くことにより、庫内を明るくすることができるから、このような場合にはドア2の回動角度が大きくなるにつれて、徐々に庫内を暗くする制御を行ってもよい。
ドア2Aを閉じるときは、上記とは逆にドア2Aの回動角度が狭くなるにつれて明るさを減少させる。なお、上記ではドア2Aについて説明したが、ドア2Bを開閉する際にも同様の明るさ制御を行ってもよい。また、ドア2Aおよび2Bの双方が開かれたときには、大きい方の回動角度に応じた明るさとしてもよい。また、明るさの増減のさせ方はこの例に限られず、連続的に明るさを増減させてもよい。
〔ドア発光部の構成〕
次に、ドア発光部3の構成を図4および図5に基づいて説明する。図4は、ドア発光部3の光源の配置例を示す図であり、図5は、ドア発光部3の内部構造を示す図である。図4のドア発光部3の光源は、4本のテープLED30である。テープLED30は、LED発光素子を線状に並べてテープ状とした光源である。図示の例では、ドア発光部3Aおよび3Bのそれぞれが、冷蔵庫1の上端付近から下端付近まで延在し、ドア2Aと2Bの接合部付近に平行に配置された2本のテープLED30を光源としている。
これらのテープLED30は、図5の上側に示すように、ドア2の内部に設けられている。図5の上側には、ドア2Bの水平方向の断面(上方から見た断面)を図示している。また、ドア2Bの内部における、テープLED30からドア2Bの表面を覆う表面材34までの区間には、テープLED30の発する光のテクスチャを調整するために、3枚の板体が配置されている。具体的には、テープLED30に近い側から順に、乳白アクリル板31、凹凸パターンアクリル板32、および縦縞パターンアクリル板33が配置されている。
乳白アクリル板31は乳白色のアクリル板であり、テープLED30からの光を淡く散乱させる。また、凹凸パターンアクリル板32は、表面に多数の凹凸が形成されたアクリル板であり、乳白アクリル板31を通って入射した光をさらに散乱させる。乳白アクリル板31によって光が散乱するので、乳白アクリル板31からの光の出射先である凹凸パターンアクリル板32および縦縞パターンアクリル板33は、乳白アクリル板31よりも面積が広くなっている。そして、縦縞パターンアクリル板33は、波板状の表面形状を有したアクリル板である。縦縞パターンアクリル板33を通った光は、縦縞模様となる。
そして、表面材34は、透明な板であるが、その裏面にグラデーション処理が施されている。表面材34は、アクリル板であってもよいし、ガラス板(図示のドア2Bは表面が曲面であるためカーブガラス)であってもよく、他の素材であってもよい。なお、表面材34は、光による演出の効果を高めるために、透明感や清潔感のある氷の結晶をイメージさせるような外観のものを用いることが好ましい。当然ながら、各部材の透明度や凹凸幅、光の散乱パターン、発光面積、発光色、ならびに光量、およびこれら要素の組み合わせは、目的とする演出に応じて適宜変えてもよい。
グラデーション処理により、同図の下側に示すように、表面材34の透明度(光透過度)は、冷蔵庫1の幅方向に沿って段階的に変化している。具体的には、図示の例では、ドア2Bの左端で透明度が最も高く(95%の光が透過する白色)なっており、右に進むにつれて透明度は下がり、ドア2Bの幅方向の中央部付近で完全に不透明(光を透過しない白色)となっている。
これらの構成により、テープLED30の発する光は、テープLED30を構成する各発光素子の存在が認識できない程度にぼやけ、縦縞模様となり、ドア2Bの外側に向かうほど強度が弱くなる。これにより、テープLED30の出射する光を、白や青系の光とすることにより、水の流れ(例えば滝)や雨滴、ダイヤモンドダストのような、きらめき感や清涼感、清潔感を感じさせるテクスチャの光を表面材34から出射させることができる。
〔ドアの開閉機構の構成〕
次に、ドア2の開閉機構の構成を図6に基づいて説明する。図6は、ドア2の開閉機構の一例を示す図である。図示の開閉機構5は、同図の(a)に示すように、スライド部材50、第1リンク部材51、第2リンク部材52、第3リンク部材53、第4リンク部材54、第5リンク部材55、第6リンク部材56、マグネット支持部57、およびマグネット58を含む。なお、ドア2Bの下部にも上記開閉機構5と同様の開閉機構(図示せず)が設けられており、ドア2Bはこれら2つの開閉機構にて挟み込まれるように保持されている。また、ここではドア2Bの開閉機構5を説明するが、ドア2Aもドア2Bと同様の開閉機構(開閉機構5と対称な形状の開閉機構)を備えている。
スライド部材50は、上記各リンク部材で構成されるリンク機構に動力を与えるものである。図示のスライド部材50は、冷蔵庫1の本体に固定された部材であり、その上面に設けられたガイド溝501に沿って左右方向に移動するスライダ500を備えている。また、同図の(b)に示すように、スライダ500には第1リンク部材51と係合する開口502が設けられている。なお、「係合」は、部材と部材が回動可能に接続された接続態様を示している。
第1リンク部材51は、スライダ500の動きを、ドア2側とマグネット支持部57側とに伝達するものである。図示の第1リンク部材51は、軸510で冷蔵庫1の本体に固定され、軸510の位置で折れ曲がった形状の剛体である。より詳細には、第1リンク部材51は、スライド部材50との接続側の端部から軸510までの部分と、軸510から第3リンク部材53までの部分は何れも直線状であり、これらの直線状の部分が軸510の位置において、約135°の角度で接合している。
第1リンク部材51の一端は、スライダ500の開口502中を移動可能なように、該開口502と係合している。また、第1リンク部材51の他端は、第3リンク部材53と係合している。さらに、第1リンク部材51は、軸510よりも上側(スライド部材50との接続側)の位置にて、第4リンク部材54と係合している。そして、第1リンク部材51の中央部には、第1リンク部材51の反時計回り方向の回動範囲を規制する突出部511が設けられている。
第2リンク部材52は、第1リンク部材51と共に、第3リンク部材53を介してドア2Bを支持するものである。図示の第2リンク部材52は、一端が軸520で冷蔵庫1の本体に固定され、他端が第3リンク部材53と係合している直線状の剛体である。
第3リンク部材53は、ドア2Bを支持するものであり、またドア2Bを回動させるものである。図示の第3リンク部材53は、一端が軸530でドア2Bに係合され、他端が第1リンク部材51と係合している。この軸530が、ドア2Bの回転軸となる。また、第3リンク部材53の中央部の第1リンク部材51寄りの位置には、第2リンク部材52が係合している。第3リンク部材53は、この第2リンク部材52の係合位置で折れ曲がった形状の剛体である。第3リンク部材53は、スライド開閉時には、第2リンク部材52の係合位置から軸530までの部分がドア2Bの表面と概ね並行となるように、ドア2Bの上部に設けられた、第3リンク部材53の収容スペースに配置されている。
第4リンク部材54は、第1リンク部材51の動きをマグネット支持部57側に伝達するものである。図示の第4リンク部材54は、一端が第1リンク部材51に係合され、他端が第5リンク部材に係合された直線状の剛体である。
第5リンク部材55は、第4リンク部材54の動きをマグネット支持部57に伝達するものである。図示の第5リンク部材55は、軸550で冷蔵庫1の本体に固定され、軸550の位置で折れ曲がった形状の剛体である。そして、第5リンク部材55の一端は第4リンク部材54に係合し、他端はマグネット支持部57に係合している。
第6リンク部材56は、第5リンク部材55と共にマグネット支持部57を支持するものであり、第5リンク部材55と共にマグネット支持部57を左右方向(閉まった状態のドア2Bの面に平行な方向)に移動させる。図示の第6リンク部材56は、一端が冷蔵庫1の本体に係合され、他端がマグネット支持部57に係合された直線状の剛体である。
マグネット支持部57は、マグネット58を支持するものである。上述のように、マグネット支持部57は、第5リンク部材55および第6リンク部材56にて支持されている。そして、マグネット支持部57は、これらのリンク部材によって、マグネット58の支持面を冷蔵庫1の正面方向に向けた状態で左右方向に移動する。
マグネット58は、ドア2Bを閉じた状態に保持するためのものであり、ドア2Bの裏面の金属部分に磁力により付着する。マグネット58の磁力は、ユーザの力で引き離せる程度のものである。また、上述のように、マグネット58はマグネット支持部57に支持されている。このため、マグネット支持部57の左右方向の移動により、マグネット58も左右方向に移動する。また、マグネット58は、磁力によりドア2Bの裏面に付着しているので、ユーザによりドア2Bが開かれるまでの期間は、ドア2Bの裏面に付着した状態でドア2Bと共に移動する。
続いて、開閉機構5の動きを説明する。図6の(a)に示すように、ドア2Bが閉まっている状態では、スライダ500はガイド溝501の右端に位置している。なお、図示のドア2Bは、軸530側の端部において、厚さが薄くなっている。これにより、冷蔵庫1を側方から見たユーザに対し、ドア2Bの厚さが非常に薄いような印象を与えることができる。
ここでユーザによるドア2の開放操作(冷蔵庫1に手をかざす操作)が行われると、同図の(b)に示すように、スライダ500はガイド溝501に沿って左方向に移動する。これに伴い、開口502に係合している第1リンク部材51は、軸510を中心として反時計回りに回動する。この回動は、突出部511が所定の位置(図示の例では突出部511の端部が冷蔵庫1の本体とドア2Bとの境界線上に達した位置)に到達(当接)するまで行われる。
また、第1リンク部材51が反時計回りに回動すると、軸510より下側(ドア2B側)で第1リンク部材51に係合している第3リンク部材53は右向きに動く。また、第3リンク部材53の移動により、該第3リンク部材53と係合している第2リンク部材52も軸520を中心に反時計回りで回動する。
一方、軸510より上側(スライド部材50側)で第1リンク部材51に係合する第4リンク部材54は、第1リンク部材51が反時計回りに回動することによって左向きに動く。そして、第4リンク部材54の移動により、該第4リンク部材54と係合している第5リンク部材55が軸550を中心に反時計回りで回動する。これにより、マグネット支持部57は右向きに動き、マグネット支持部57と係合している第6リンク部材56も軸560を中心に反時計回りで回動する。
以上説明した各部材の動きにより、ドア2Bは、ドア2Bを回動させる軸530と共に、軸510を支点として右方向(正確には右斜め前方)にスライドする。そして、ドア2Bのスライドによって生じた、ドア2Aと2B間の隙間にユーザが手を入れて手前方向に引き出すことにより、同図の(c)に示すように、マグネット58がドア2Bから外れ、ドア2Bは軸530を中心に反時計回りで回動し、開いた状態となる。このように、ドア2Bが開くときには、軸510を支点としたスライドが行われた後、軸530を支点とした回動が行われる。つまり、開閉機構5は、ドア2をスライドさせるための軸と、ドアを回動して開くための軸との2軸を有する2軸ヒンジであると言える。
ドア2Bを閉じる際は、上記と逆の動きとなる。すなわち、同図の(c)の状態から、ユーザがドア2Bを回動させて閉じると、同図の(b)の状態となる。そして、冷蔵庫1は、ドア2Bが回動により閉じられた(マグネット58とドア2Bとが接した)ことを検出すると、スライダ500を右方向に移動させる。これにより、各リンク部材が上記とは逆方向に動いて、ドア2Bは、閉まる方向にスライドし、同図の(a)に示すように、スライダ500がガイド溝501の右端の位置となったときに、完全に閉まった状態となる。
〔冷蔵庫の内部構成〕
次に、冷蔵庫1の内部構成を図7に基づいて説明する。図7は、冷蔵庫1の内部構成の一例を示すブロック図である。図示のように冷蔵庫1は、冷蔵庫1の各部を統括して制御する制御部10、および冷蔵庫1にて使用する各種データを記憶する記憶部11を備えている。また、冷蔵庫1は、上述のドア発光部3を備えていると共に、冷蔵庫の庫内を照明する光源である庫内発光部13、スライダ500を移動させることによりドア2をスライドさせるドア駆動部14を備えている。庫内発光部13は、明るさ(発光強度)を増減させることができるものであり、例えばLED発光素子であってもよい。さらに、冷蔵庫1は、ドア回動角センサ15、接近検出センサ16、音声入力部17、庫内センサ18、および操作検出センサ19を備えている。
ドア回動角センサ15は、ドア2の回動角度を検出するためのものである。ドア回動角センサ15としては、例えばロータリーエンコーダを適用してもよい。また、接近検出センサ16は、冷蔵庫1に対するユーザの接近を検出するためのものである。接近検出センサ16としては、例えばドップラーセンサを適用してもよい。そして、音声入力部17は、ユーザの音声入力を受け付けるものである。音声入力部17としては、例えばマイクを適用してもよい。
庫内センサ18は、冷蔵庫1の庫内に収容された物品を検出するためのものである。庫内センサ18としては、例えばカメラを適用してもよい。なお、庫内が複数の段や区画に分かれている場合、各段、各区画にそれぞれ庫内センサ18を設けてもよい。また、このような場合であっても、例えば庫内で庫内センサ18を移動させるための機構を設ける等して、1つの庫内センサ18で複数の段または区画に収容された物品を検出してもよい。
操作検出センサ19は、ドア2を開くための所定のユーザ操作を検出するためのものである。本実施形態では、ドア2に手をかざす操作が上記所定のユーザ操作であるから、操作検出センサ19は、この操作を検出する。操作検出センサ19としては、例えば静電センサを適用してもよい。なお、上記所定のユーザ操作は、手をかざす操作に限られず、操作検出センサ19も所定のユーザ操作の内容に応じたものとすればよい。例えば、ドア2にタッチする操作を上記所定のユーザ操作としてもよく、この場合、操作検出センサ19はドア2への接触を検出するセンサとすればよい。また、例えば、音声入力によってドア2を開く構成としてもよく、この場合、音声入力部17が上記音声入力を検出するから、操作検出センサ19は省略してもよい。
また、制御部10には、庫内発光制御部100、対象物品特定部101、収容場所特定部102、ドア発光制御部103、およびドア制御部104が含まれている。
庫内発光制御部100は、庫内発光部13の発光を制御する。より詳細には、庫内発光制御部100は、ドア2のスライドが開始する前(具体的にはユーザの接近を検出したとき)に庫内発光部13を発光状態に切り替えて、ドア2のスライド開始時には庫内発光部13を発光状態とする。また、庫内発光制御部100は、ドアのスライド開始時にはスライド終了時よりも庫内発光部13の明るさを明るくし、スライド終了までの期間に庫内発光部13の明るさを段階的にまたは連続的に低減させる。さらに、庫内発光制御部100は、ドアの回動角度に応じて庫内発光部13の明るさを変化させる。
対象物品特定部101は、冷蔵庫1の庫内に収容された物品のうち、ユーザが庫外に取り出そうとする対象物品を特定する。具体的には、対象物品特定部101は、ユーザが発し、音声入力部17にて検出した音声を解析する。そして、該音声に含まれる単語(図1の(a)の例では「野菜ジュース」)を、対象物品として特定する。
収容場所特定部102は、冷蔵庫1の庫内に収容された物品の収容場所を管理しており、対象物品特定部101が特定した対象物品が、庫内の何れの場所に収容されているかを特定する。具体的には、収容場所特定部102は、冷蔵庫1のドア2が開閉されたとき等に、庫内センサ18にて庫内の物品とその収容場所を検出し、これらを対応付けて記憶しておく。そして、対象物品特定部101が対象物品を特定したときに、該対象物品が記憶されていれば、収容場所特定部102は、該対象物品に対応付けられている収容場所を、対象物品の収容場所として特定する。なお、収容場所は厳密なものである必要はなく、例えば、ドア2A側か2B側か、および、上から何段目か(庫内が複数の段に区切られている場合)を示す情報を記憶しておいてもよい。また、「野菜室」や「冷凍室」等のように、庫内の区画を示す情報を記憶しておいてもよい。
ドア発光制御部103は、ドア発光部3の発光を制御する。上述のように、本実施形態では、ドア発光部3の光源として4本のテープLED30を用いることを想定している。このため、ドア発光制御部103は、テープLED30の点灯・消灯のみならず、テープLED30の何れの部分を発光させるかについても制御することができる。また、テープLED30が、明るさ(照明強度)や発光色を変えることができるものである場合、ドア発光制御部103は、テープLED30の明るさや発光色についても制御する。
そして、ドア発光制御部103は、ドア発光部3を発光させることにより、対象物品特定部101が特定した対象物品の収容場所をユーザに通知する。なお、上述のように、対象物品の収容場所は収容場所特定部102が特定する。具体的には、ドア発光制御部103は、ドア発光部3のうち、上記収容場所に近い部分を発光させる。例えば、収容場所がドア2A側の上から2段目の棚であれば、ドア2A側に取り付けられた2本のテープLED30について、上記棚と同じ高さに延在する部分を発光させる。
なお、収容場所の通知は、ユーザが対象物品を探す一助になればよく、必ずしも厳密な場所を通知する必要はない。例えば、ドア2A側に対象物品が収容されている場合には、ドア発光部3Aを発光させ、ドア2B側に対象物品が収容されている場合には、ドア発光部3Bを発光させ、高さ方向の位置については通知しないようにしてもよい。また、例えば野菜室は緑、冷凍室は白、等のように、発光色によって収容場所を通知してもよい。無論、より正確に収容場所を通知する構成としてもよい。例えば、ドア2の全面にドア発光部3を設け、収容場所をピンポイントで通知してもよい。
ドア制御部104は、ドア駆動部14を介してドア2のスライドによる開閉を制御する。具体的には、ドア制御部104は、操作検出センサ19の出力値から、ドア2を開くための所定のユーザ操作が行われたと判定したときに、ドア2をスライドさせて開く。また、ドア回動角センサ15の出力値から、回動して開かれたドア2が回動して閉じられたと判定したときに、ドア2をスライドさせて閉じる。なお、ドア2が閉じられたことの検出方法は、ドア回動角センサ15の出力値から判定する上記方法に限られない。
〔処理の流れ〕
次に、冷蔵庫1が実行する処理の流れを図8に基づいて説明する。図8は、冷蔵庫1がドア2の開閉時に実行する処理の一例を示すフローチャートである。庫内発光制御部100は、接近検出センサ16の出力値に基づいてユーザの冷蔵庫1への接近を監視しており(S1)、ユーザが接近していると判定した場合(S1でYES)に、庫内発光部13を発光状態に切り替える(S2)。このとき、庫内発光制御部100は、庫内発光部13の明るさが、基準の明るさ(スライド終了時の明るさ)よりも明るくなるように制御する。また、庫内発光制御部100が、ユーザが接近していると判定した場合、対象物品特定部101は、庫内に収容された物品のうち、該ユーザが庫外に取り出そうとする対象物品を特定可能であるか特定不能であるかを判定する(S3)。
ここで、特定不能であると判定した場合(S3でNO)、S6の処理に進む。一方、特定可能であると判定した場合(S3でYES)、対象物品特定部101は対象物品を特定し、収容場所特定部102はその収容場所を特定する(S4)。また、ドア発光制御部103は、上記対象物品の収容場所を、ドア発光部3の発光によって上記ユーザに通知する(S5)。なお、対象物品が庫内に収容されていない場合には、S5の処理は行わずにS6の処理に進む。
S6では、ドア制御部104は、ドア2を開くユーザ操作(本例ではドア2に手をかがす操作)が行われたか否かを判定する。そして、ドア2を開くユーザ操作が行われたと判定した場合(S6でYES)、ドア制御部104は、ドア2のスライドを開始する(S7)。なお、所定時間以内にドアを開く操作が検出されなかった場合には、庫内発光部13の発光を終了して、S1の処理に戻ってもよい。
ドア2のスライドが開始されると、庫内発光制御部100は、庫内発光部13の明るさを段階的にまたは連続的に低減し(S8)、ドアのスライドが終了するS9の時点で、庫内発光部13の明るさが基準の明るさとなるように制御する。S7からS9までの時間は例えば1秒としてもよい。ドア2のスライドが終了すると、ユーザはドア2を手動で回動させて開くので、庫内発光制御部100は、ドア2の回動角度に応じた明るさとなるように庫内発光部13を制御する(S10)。
そして、ドア制御部104は、ドア2を閉じるユーザ操作が行われたか否かを判定する(S11)。ここで、ドア2を閉じるユーザ操作が行われたと判定した場合(S10でYES)、ドア制御部104は、ドア2の閉じる方向へのスライドを開始する(S12)。なお、ドア2のスライドが終了した後、ドア2が回動されることなく所定時間が経過した場合、ユーザには冷蔵庫1を開ける意図がない(意図がなくなった)と考えられるため、このような場合にも、S12の処理に遷移してもよい。また、所定の音声入力(ドア2を閉める旨、あるいはドア2の開放をキャンセルする旨の発話)や所定の操作を契機としてS12の処理に遷移してもよい。そして、ドアのスライドが終了する(S13)と、庫内発光制御部100は、庫内発光部13の発光を終了して非発光状態とし(S14)、これにより処理は終了する。S12からS13までの時間は、ユーザがドア2に手や指を挟むことがないように、S7からS9までの時間(スライドによりドア2を開く時間)よりも長くすることが好ましく、例えば3秒としてもよい。
〔実施形態2〕
上記実施形態では、ドア発光部3の発光により対象物品の収容場所をユーザに通知する例を示したが、ドア発光部3の用途はこれに限られない。本実施形態では、ドア発光部3により持ち手部4の位置をユーザに通知する例を図9に基づいて説明する。図9は、ドア発光部3により持ち手の位置をユーザに通知する冷蔵庫1の動作例を示す図である。なお、図9の(a)(c)(e)は冷蔵庫1を上方から見た様子を示し、(b)(d)(f)は冷蔵庫1を正面から見た様子を示している。また、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。実施形態3以下についても同様である。
本実施形態の冷蔵庫1も上記実施形態の冷蔵庫1と同様に、ユーザの接近を検出する(同図の(a))。なお、同図では、破線でユーザを検出可能な範囲を示している。ここで、本実施形態の冷蔵庫1(より詳細にはドア発光制御部103)は、同図の(b)に示すように、冷蔵庫1の高さ方向に帯状に設けられたドア発光部3のうち、持ち手部4(図示せず)の周辺の部分を発光させる。
次に、同図の(c)に示すように、ユーザが冷蔵庫1に手をかざすと、上記実施形態と同様にドア2がスライドして開き、このスライドによって生じた開口から庫内の光が庫外に漏れる。このとき、同図の(d)に示すように、ドア発光制御部103は、ドア発光部3の持ち手部4(図示せず)の周辺の部分を発光させているので、ユーザに持ち手部4の位置を容易に認識させることができる。
なお、持ち手部4の位置を通知する用途のみに使用するのであれば、ドア発光部3は持ち手部4の周辺のみに設けてもよい。また、ドア発光制御部103は、ドア発光部3の持ち手部4の周辺の部分の発光パターンを、同図の(b)の状態から変化させてもよい。これにより、当該発光にユーザの注意を引くことができるので、より確実に持ち手部4の位置をユーザに認識させることができる。例えば、同図の(b)の状態では点灯させていたドア発光部3を、同図の(d)の状態ではゆっくり点滅させてもよい。
この後は、上記実施形態と同様であり、同図の(e)(f)に示すように、ユーザがドア2を手動で回動させて開き、庫内発光制御部100は、ドア2の回動角度に応じた明るさとなるように庫内発光部13を制御する。
本実施形態の構成は、上記実施形態の構成と組み合わせてもよい。例えば、図8のS3でNOと判定された場合、すなわち対象物品が特定できなかった場合に、ドア発光制御部103は、ドア発光部3により持ち手の位置をユーザに通知してもよい。また、この場合、対象物品の収容位置を示しているか、持ち手の位置を示しているかをユーザが認識できるように、ドア発光部3の発光のパターンを互いに異なるものとしてもよい。また、ドア発光部3の発光色を変化させることができる場合には、発光色を互いに異なるものとしてもよい。この他にも、例えば対象物品の収容位置を示すドア発光部と、持ち手の位置を示すドア発光部とを個別に設ける、音声による案内を併用する等の方法で通知内容をユーザが認識できるようにしてもよい。
〔実施形態3〕
上記実施形態では、ドア発光部3の発光により対象物品の収容場所や持ち手の位置をユーザに通知する例を示したが、ドア発光部3の用途はこれに限られない。本実施形態では、ドア発光部3により冷蔵庫1と他の機器との連係が行われていることをユーザに通知する例を図10に基づいて説明する。図10は、ドア発光部3により冷蔵庫1と他の機器との連係が行われていることをユーザに通知する冷蔵庫1の動作例を示す図である。なお、図10の(a)は冷蔵庫1を上方から見た様子を示し、(b)は冷蔵庫1を正面から見た様子を示している。
本実施形態の冷蔵庫1は、他の機器との通信機能を備えており、当該他の機器と連携して動作する。そして、該動作が行われていることを、ドア発光部3を発光させることによってユーザに通知する。図10の例では、スマートフォン8と冷蔵庫1とを連携させた例を示している。具体的には、スマートフォン8から冷蔵庫1に対象物品を通知して、該通知を受け付けた冷蔵庫1が、該対象物品が庫内に収容されているか否かをユーザに通知する例を説明する。なお、冷蔵庫1と連携する機器は特に限定されず、また、連係動作の内容も特に限定されない。
同図の(a)に示すようにスマートフォン8から通知を受信すると、冷蔵庫1のドア発光制御部103は、同図の(b)に示すようにドア発光部3を所定のパターンで点灯させる。これにより、スマートフォン8のユーザに、冷蔵庫1との連携が成立していることを認識させることができる。このとき、スマートフォン8に対する操作を行うことにより、ドア発光部3の点灯パターンを制御できるようにしてもよい。また連携するスマートフォン8が複数存在するときには、連携が成立しているスマートフォン8に応じて発光の色を変えるようにしてもよい。この場合、各スマートフォン8毎に、発光色を予め定めておいてもよく、これにより、発光色によって何れのスマートフォン8と連携が成立しているかをユーザに認識させることができる。点灯のパターンは特に限定されないが、ドア発光部3を対象物品の収容場所などの通知にも利用している場合には、それらの通知とは異なるパターンとすることが好ましい。例えば、冷蔵庫1の中央部付近を起点として、そこから上方および下方のそれぞれにじんわりと発光範囲を広げてゆき、所定の位置まで広がった時点で発光を終了させてもよい。この場合、光の色を白や青系の色とすることにより、水がしみ出るようなイメージをユーザに与えることができる。
この後、冷蔵庫1は、スマートフォン8から通知された対象物品が収容されているか否かを判定し、判定結果をユーザに通知する。この通知は、例えば上記対象物品が収容されている位置に対応するドア発光部3を所定のパターンで点灯させることによって行ってもよい。例えば、スマートフォン8から通知された対象物品がスポーツドリンクであり、冷蔵庫1のドア2Aを開けて一番下の段にスポーツドリンクが収容されていた場合には、ドア発光部3Aのうち、ドア2Aの下部に対応する部分を点滅させてもよい。また、例えば冷蔵庫1が音声出力機能を備えている場合には、音声により通知してもよい。
なお、ドア発光部3の用途は、以上説明した各例に限られず、例えば庫内の温度(あるいは温度帯)、物品の詰め込み具合等をドア発光部3の発光によってユーザに通知してもよい。これにより、ユーザは、ドア2を開ける前に、庫内の温度が高いことを認識することができるので、庫内の温度が下がるまでドア2を開けるのを見合わせる等の対応を取ることができる。また、庫内における温度が高くなっていない(設定温度に冷えている)場所をユーザに速やかに認識させることができるので、そのような場所を優先的に使用させることもできる。つまり、冷蔵庫1の使い方が、消費電力が少なくなるような使い方となるようにユーザを誘導することができる。
なお、場所の通知は、上記実施形態と同様に、ドア発光部3の何れの部分を発光させるかによって行うことができる。また、庫内の各場所の温度は、温度センサで検出すればよく、物品の詰め込み具合はカメラや光センサや重量センサ等で検出すればよい。ドア発光部3の発光は、通知の対象に応じた態様とすればよい。例えば、庫内の温度が設定温度よりも所定値以上高くなっている場所がある場合、その場所に対応する位置のドア発光部3を赤などの暖色系の発光色で発光させてもよい。また、物品の詰め込み具合の通知は、物品の密度が高い場所を通知してもよいし、低い場所を通知してもよい。
また、冷蔵庫1にユーザを識別する機能を持たせて、該機能により特定したユーザに応じたパターンでドア発光部3を発光させてもよい。これにより、冷蔵庫1がユーザを認識していることを該ユーザに伝えることができる。なお、ユーザの識別は、例えば、ユーザの画像を撮影し、該撮影した画像を解析することによって行うことができる。
〔実施形態4〕
本実施形態では、ドア2の開閉機構の他の例を図11に基づいて説明する。図11は、ドア2の開閉機構の他の例を示す図である。同図の(a)に示すように、本実施形態の開閉機構6は、スライド部材60、ドア支持部材61、ダンパー62、およびダンパー位置変更部材63を含む。図示していないが、本実施形態のドア駆動部14は、スライド部材60をスライドさせると共に、ダンパー位置変更部材63によりダンパー62の位置を変更する。なお、ドア2Bの下部にも上記開閉機構6と同様の開閉機構(図示せず)が設けられており、ドア2Bはこれら2つの開閉機構にて挟み込まれるように保持されている。また、ここではドア2Bの開閉機構6を説明するが、ドア2Aもドア2Bと同様の開閉機構(開閉機構6と対称な形状の開閉機構)を備えている。
スライド部材60は、ドア2Bをスライドさせるための部材である。スライド部材60には、ドア支持部材61と係合する開口600が設けられている。開口600は、ドア2Bのスライド方向(同図の右斜め下方向)に沿って設けられている。
ドア支持部材61は、ドア2Bを冷蔵庫1の本体上で支持するための部材である。ドア支持部材61の一端部は、ドア2Bに接続されており、他端には開口600に挿通される軸610が設けられている。この軸610は、ドア2Bを回動させる回転軸となる。
ダンパー62は、ドア2Bを閉じた状態に保持するためのものである。ダンパー62のドア2Bとの接触面にはマグネットが配置されており、このマグネットの磁力により、ダンパー62はドア2Bの裏面に付着する。
ダンパー位置変更部材63は、ダンパー62の位置(冷蔵庫の奥行き方向の位置、図11の上下方向の位置)を変更するためのものである。具体的には、図11の(a)に示すように、ドア2Bが閉じているときには、ダンパー位置変更部材63は、ダンパー62を冷蔵庫1の本体内部に収容された位置とする。そして、同図の(b)に示すように、ドア2Bをスライドさせるときには、ダンパー62を冷蔵庫1の本体外部側に押し出す。また、同図の(c)に示すように、ドア2Bが回動により開かれたときには、ダンパー位置変更部材63は、ダンパー62を再び冷蔵庫1の本体内部に収容する。
続いて、開閉機構6の動きを説明する。図11の(a)に示すように、ドア2Bが閉まっている状態では、ドア支持部材61の軸610は、スライド部材60の開口600の冷蔵庫1の内部側の端部に位置している。また、ダンパー62は冷蔵庫1の本体内部に収容されている。
ここでユーザによるドア2の開放操作(冷蔵庫1に手をかざす操作)が行われると、同図の(b)に示すように、ドア支持部材61の軸610は、スライド部材60の開口600に沿ってスライドし、冷蔵庫1の外部側の端部まで移動する。また、ダンパー62は、ダンパー位置変更部材63によって冷蔵庫1の外部側に押し出される。これらの動きにより、ドア2Bは軸610と共に、開口600の延在方向(同図の右斜め下方向)に平行移動する。
この後は、上記実施形態の冷蔵庫と同様に、ドア2Bのスライドによって生じた、ドア2Aと2B間の隙間にユーザが手を入れて手前方向に引き出すことにより、同図の(c)に示すように、ドア2Bは軸610を中心に反時計回りで回動し、開いた状態となる。また、ダンパー62は、ドア2Bから外れ、ダンパー位置変更部材63によって冷蔵庫1の本体内部側に収容される。
ドア2Bを閉じる際は、上記と概ね逆の動きとなる。すなわち、同図の(c)の状態から、ユーザがドア2Bを回動させて閉じると、同図の(b)の状態となる。なお、ダンパー62は、冷蔵庫1の本体内部側に収容された状態で、回動するドア2Bを受け止めてもよい。ただし、ドア2Bと冷蔵庫1の本体との接触の衝撃を和らげるため、ダンパー位置変更部材63は、例えばドア2Bが閉まる方向に回動を始めたことを契機として、ダンパー62を冷蔵庫1の本体外部側に突出させてもよい。
そして、冷蔵庫1は、ドア2Bが回動により閉じられた(ダンパー62とドア2Bとが接した)ことを検出すると、ドア支持部材61を冷蔵庫1の内部側に向けてスライドさせる。また、ダンパー62が、本体外部側に突出していれば、これを本体内部側に収容する。これにより、ドア2Bは、閉まる方向にスライドし、同図の(a)に示すように、ドア支持部材61の軸610が、開口600の端部(冷蔵庫1の本体内部側の端部)に達したときに、完全に閉まった状態となる。
〔実施形態5〕
本実施形態では、ドア2の開閉機構のさらに他の例を図12に基づいて説明する。図12は、ドア2の開閉機構のさらに他の例を示す図である。同図の(a)に示すように、本実施形態の開閉機構7は、スライド部材70、ドア支持部材71、ダンパー72、およびダンパー位置変更部材73を含む。図示していないが、本実施形態のドア駆動部14は、スライド部材70をスライドさせると共に、ダンパー位置変更部材73によりダンパー72の位置を変更する。なお、ドア2Bの下部にも上記開閉機構7と同様の開閉機構(図示せず)が設けられており、ドア2Bはこれら2つの開閉機構にて挟み込まれるように保持されている。また、ここではドア2Bの開閉機構7を説明するが、ドア2Aもドア2Bと同様の開閉機構(開閉機構7と対称な形状の開閉機構)を備えている。
スライド部材70は、ドア2Bをスライドさせるための部材である。スライド部材70には、ドア支持部材71と係合する開口700が設けられている。開口700は、ドア2Bのスライド方向(ドア2Bと冷蔵庫1の本体との接触面に沿った方向)に沿って設けられている。
ドア支持部材71は、ドア2Bを冷蔵庫1の本体上で支持するための部材である。図示のドア支持部材71はL字型の剛体であり、その一端部は、ドア2Bに接続された軸710となっており、他端部は、開口700に係合して該開口700に沿ってスライドする係合部711となっている。軸710は、ドア2Bを回動させる回転軸となる。
ダンパー72は、ドア2Bを閉じた状態に保持するためのものである。ダンパー72のドア2Bとの接触面にはマグネットが配置されており、このマグネットの磁力により、ダンパー72はドア2Bの裏面に付着する。
ダンパー位置変更部材73は、ダンパー72の位置(冷蔵庫の奥行き方向の位置、図12の上下方向の位置)を変更するためのものである。具体的には、図12の(a)(b)に示すように、ドア2Bが閉じているときおよびスライドしているときには、ダンパー位置変更部材73は、ダンパー72を冷蔵庫1の本体内部に収容された位置とする。そして、同図の(c)に示すように、ドア2Bの所定位置までのスライドが終了したときには、ダンパー72を冷蔵庫1の本体外部側に押し出す。
続いて、開閉機構7の動きを説明する。図12の(a)に示すように、ドア2Bが閉まっている状態では、ドア支持部材71の係合部711は、スライド部材70の開口700の左端部に位置している。また、ダンパー72は冷蔵庫1の本体内部に収容されている。
ここでユーザによるドア2の開放操作(冷蔵庫1に手をかざす操作)が行われると、同図の(b)に示すように、ドア支持部材71の係合部711は、スライド部材70の開口700の右端部まで移動する。この動きにより、ドア2Bは、軸710と共に、開口700の延在方向(同図の右方向)に平行移動する。
この後、同図の(c)に示すように、ダンパー位置変更部材73は、ダンパー72を冷蔵庫1の本体外部側に押し出す。この押し出しにより、ダンパー72はドア2Bから外れ、ドア2Bは、軸710を中心に反時計回りで回動し、開いた状態となる。
ドア2Bを閉じる際は、上記と概ね逆の動きとなる。すなわち、同図の(c)の状態から、ユーザがドア2Bを回動させて閉じると、冷蔵庫1は、ドア2Bが回動により閉じられた(ダンパー72とドア2Bとが接した)ことを検出して、ダンパー位置変更部材73によりダンパー72を本体内部側に収容する。これにより、同図の(b)の状態となる。
そして、ダンパー72を本体内部側に収容した後、冷蔵庫1は、ドア支持部材71を左向きにスライドさせる。これにより、ドア2Bは、閉まる方向にスライドし、同図の(a)に示すように、ドア支持部材71の係合部711が、開口700の左端部に達したときに、完全に閉まった状態となる。
〔変形例〕
上記各実施形態では、観音開きするドア2を例に説明を行ったが、本発明は片開きのドアにも適用可能である。つまり、片開きのドアが所定位置まで自動でスライドして、該スライドにより庫内の一部が庫外から視認できる状態となった後、上記所定位置で回転軸を中心に回動させて開くことができるようになっている冷蔵庫も本発明の範疇に含まれる。
〔ソフトウェアによる実現例〕
冷蔵庫1の制御ブロック(特に制御部10)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、冷蔵庫1は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る冷蔵庫(1)は、回動して開くドア(2)を備えた冷蔵庫であって、上記ドアは、閉状態の位置から、庫内の一部が庫外から視認できる所定位置までスライドし、当該所定位置にて回動して開く構成である。
上記の構成によれば、ドアが所定位置までスライドして、該スライドにより庫内の一部が庫外から視認できる状態となる。そしてこの後、ドアは上記所定位置で回動して開く。すなわち、上記の構成によれば、ドアの初動はスライドであり、初動時にドアが回動して広く開口することがない。よって、ドアの初動時に庫内に収容されている物品が落下することを防ぐことができる。
なお、ドアのスライドは自動で行ってもよい。この場合、スライド時にはユーザはドアに触れている必要がないため、仮にスライドによって生じた開口から庫内に収容されている物品が落下したとしても、ユーザはその物品との接触を回避しやすい。
本発明の態様2に係る冷蔵庫は、上記態様1において、上記ドアに対してユーザの手が接近したことを検出したときに、上記ドアを上記ユーザに対して横方向にスライドさせて上記所定位置まで移動させるドア制御部(104)を備えている構成としてもよい。
上記の構成によれば、ドアに対してユーザの手が接近したことを検出したときに、ドアをユーザに対して横方向にスライドさせて所定の位置まで移動させる。よって、ユーザはドアに触れることなくドアをスライドさせることができる。また、ドアのスライド方向がユーザに対して横方向であるから、ドアに近付けた手がスライドするドアに接触することもない。
本発明の態様3に係る冷蔵庫は、上記態様2において、上記ドア制御部は、回動して開いた上記ドアが回動して閉められたことを検出したときに、上記ドアをスライドさせて上記閉状態の位置に戻す構成としてもよい。
上記の構成によれば、回動して開いたドアが回動して閉められたことを検出したときに、ドアをスライドさせて閉状態の位置に戻す。よって、ユーザは、ドアを回動させて開いた後、ドアを回動させて閉めさえすれば、後は自動でドアをスライドさせて、庫内を閉じられた状態に戻すことができる。つまり、冷蔵庫を閉めるときのユーザの動作を、従来の一般的な冷蔵庫と同様に、ドアを回動させて閉めるというワンステップにすることができるので、従来の一般的な冷蔵庫を使い慣れたユーザにも使いやすい冷蔵庫とすることができる。
本発明の態様4に係る冷蔵庫は、上記態様1から3の何れか1項において、上記ドアの上記所定位置へのスライドが開始する前に、庫内を照明する庫内発光部(13)を発光状態に切り替えて、上記ドアのスライド開始時には上記庫内発光部を発光状態とする庫内発光制御部(100)を備えている構成としてもよい。
上記の構成によれば、ドアのスライドが開始する前に、庫内を照明する庫内発光部を発光状態に切り替えて、スライド開始時には庫内発光部を発光状態とする。よって、ドアがスライド開始した瞬間から、庫内の光を庫外に漏れ出させることができる。そして、これにより、庫内に収容されている物品に対するユーザの期待感を高めることができる。特に、上記冷蔵庫は、初動時にドアがスライドして開くので、スライドによって生じた開口をユーザが視認しやすく、該開口から効果的な光の演出を行うことができる。
本発明の態様5に係る冷蔵庫は、上記態様4において、上記庫内発光制御部は、上記ドアのスライド開始時にはスライド終了時よりも上記庫内発光部の明るさを明るくし、スライド終了までの期間に上記庫内発光部の明るさを段階的にまたは連続的に低減させる構成としてもよい。
上記の構成によれば、ドアのスライド開始時にはスライド終了時よりも庫内発光部の明るさを明るくし、スライド終了までの期間に庫内発光部の明るさを段階的にまたは連続的に低減させる。よって、ドアがスライド開始した瞬間に庫外に漏れ出す光がユーザに与える印象を強くすることができると共に、スライド終了時にはユーザが庫内を確認しやすい程度の明るさとすることができる。
本発明の態様6に係る冷蔵庫は、上記態様4または5において、上記庫内発光制御部は、上記ドアの回動角度に応じて上記庫内発光部の明るさを変化させる構成としてもよい。
上記の構成によれば、ドアの回動角度に応じて庫内発光部の明るさを変化させるので、ドアの開き具合に応じた適切な明るさで庫内を照明することが可能になる。また、ユーザは、ドアの開き具合を変えることで、容易に庫内の明るさを変えることができる。
本発明の態様7に係る冷蔵庫は、上記態様1から6の何れか1項において、上記ドアの、上記所定位置へのスライドによって露出する外周部の一部に、該ドアをユーザが回動させる際の持ち手部(4)が設けられている構成としてもよい。
上記の構成によれば、ドアの、スライドによって露出する外周部の一部に、該ドアをユーザが回動させる際の持ち手部が設けられているので、ユーザはドアのスライド後に、この持ち手部に手をかけてドアを開くことができる。また、持ち手部は、ドアの、スライドによって露出する部位に設けられており、スライド前には露出していないから、冷蔵庫の外観をシンプルですっきりとしたものとすることができる。
本発明の態様8に係る冷蔵庫は、上記態様7において、上記ドアの少なくとも上記持ち手部の周辺にはドア発光部(3)が設けられており、上記ドアの上記所定位置へのスライド時に、上記持ち手部の周辺の上記ドア発光部を発光させるドア発光制御部(103)を備えている構成としてもよい。
上記の構成によれば、ドアの所定位置へのスライド時に、持ち手部の周辺のドア発光部を発光させるので、ドアが閉まっているときには外部に露出していないがゆえに、ユーザが存在を認識しにくい持ち手部の位置を、ユーザに容易に認識させることができる。なお、上記スライド時とは、スライドの開始直前からスライドの終了直後までの任意のタイミング(任意の期間)である。
本発明の態様9に係る冷蔵庫は、上記態様1から8の何れか1項において、上記ドアにはドア発光部(3)が設けられており、庫内に収容された物品のうち、ユーザが庫外に取り出そうとする対象物品を特定する対象物品特定部(101)と、上記対象物品特定部が特定した上記対象物品の収容場所を、上記ドア発光部の発光によって上記ユーザに通知するドア発光制御部(103)を備えている構成としてもよい。
上記の構成によれば、庫内に収容された物品のうち、ユーザが庫外に取り出そうとする対象物品を特定し、該対象物品の収容場所をドア発光部の発光によってユーザに通知する。よって、対象物品をユーザに容易に発見させることができる。また、対象物品をユーザが見つけるまでの時間を短縮できるので、ドアが開放されている時間も短縮することができ、これにより消費電力を低減することもできる。
本発明の各態様に係る冷蔵庫の構成要素の一部は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記冷蔵庫が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させるプログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。