〈実施形態1〉
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、実施の形態は本発明の一例であり、本発明の構成は以下の例には限られない。
図1は、本実施形態1に係るセキュリティ管理システム100の構成を示す図である。本実施の形態に係るセキュリティ管理システム100は、カメラ(撮影部)11や、検出部13、制御装置44、警報部45、管理サーバ2を有し、これらがインターネットやLAN(Local Area Network)等の通信回線5を介して接続されている。セキュリティ管理システム100は、トイレ施設10に設けられたトイレブース(便房)14を管理対象ブースとし、トイレブース14において利用者が残留物を残して退出した場合や、トイレ設備を破壊した場合、トイレ設備を持ち去った場合など、異常が生じた場合に、この異常が生じたことを示す警告を出力する。また、セキュリティ管理システム100は、トイレブースに備えたカメラ11でブース内を撮影し、異常を生じさせた利用者を撮影画像から特定できるようにしている。更に、セキュリティ管理システム100は、この異常を通知する情報(異常通知情報)を所定の通知先、例えばトイレ施設を管理する管理者の用いる管理者端末3へ通知する。なお、図1では、セキュリティ管理システム100が管理者端末3を含まない例を示したが、セキュリティ管理システム100が、管理者端末3を含んでも良い。
トイレ施設10は、例えば百貨店等の商業施設や駅等における、不特定多数の利用者(公衆)が利用する公衆トイレであり、複数の建物の各々や、建物の複数のフロアの各々に備えられる。本実施形態のトイレ施設10は、複数のトイレブース14を有し、各トイレブース14に検出部13及び警報部45を備えている。検出部13は、対象ブース内の人又は物の状態を検出する。警報部45は、異常が発生したと判定された場合に、当該異常の発生を示す警報を出力する。
図2はトイレ施設10の一例を示す図である。図2に示すように、トイレ施設10は、例えば、女性用トイレ施設101、男性用トイレ施設102及び多目的トイレ施設103に区分されている。また、トイレ施設10は、入り口104を除いて周囲が壁面105で囲まれている。即ち、トイレ施設10を利用する利用者は、出入り口104を介してトイレ施設10に出入りする構成となっている。なお、出入り口104は、一カ所に限らず、複数箇所に備えられても良い。各トイレブース14の制御装置44は、異常を検出した場合、管理サーバ2へ通知する。女性用トイレ施設101には大便器41が設けられたトイレブース141が複数設けられ、男性用トイレ施設102には大便器41が設けられたトイレブース141と小便器49が設けられたトイレブース142がそれぞれ複数設けられている。図2の多目的トイレ施設103は、大便器41の他、オストメイト用設備や乳児用ベッドが備えられた一つのトイレブースである。これに限らず、多目的トイレ施設103は、複数のトイレブースを有しても良い。このように本実施形態のトイレ施設10は、トイレブース14として、大便器41が設けられたトイレブース141と小便器49が設けられたトイレブース142と多目的トイレ施設103とを有している。ここで、トイレブース14とは、扉や壁等で囲まれ、利用時に利用者が一人の状態で用を足すための便器41,49等のトイレ設備1が設けられた空間(室)である。なお、トイレブース14は、一人で利用することに厳密に限定されるものではなく、介助者や乳幼児が利用者と同時
に入室可能なものでも良い。また、トイレブース14は、幼児用トイレや小便器49が備えられた空間のように完全に囲われていない空間であっても良い。
図3は、大便器41を備えたトイレブース141の一例を示す斜視図、図4はトイレブース141を示す正面図である。トイレブース141は、左右一対の側壁14L,14R及び後壁14Bにより三方が囲まれ、正面にトイレブース141の出入り口4を開閉する扉9を有する。これら側壁14L、14R、後壁14B、扉9によって囲繞されたトイレブース141の中に大便器41が設置されている。トイレブース141を囲繞する壁14L,14R,14B及び扉9は、床14Fから天井14Cに達する高さとしても良いが、本実施形態では、図4に示すように左右の側壁14L,14R及び扉9と天井14Cとの間に空間を設けて空気の流通を可能にしている。
ここで、左右とは、トイレブース141の外から出入り口4に正対した場合の左側及び右側をいい、前後とは便器41に着座したときの前方及び後方をいい、上下とは、天井14C側及び便器41の設置面(床)14F側をいう。
左右の側壁14L、14Rは、横断面(水平断面)がJ字形になるように、後端側が直線状で、前端側が左方へ湾曲した形状をなす板材であり(図2、図3参照)、隣接するトイレブース141がある場合、左側壁14Lは、左隣に位置する別のトイレブース141の右側壁14Rを兼ね、右側壁14Rは右隣に位置する別のトイレブース141の左側壁14Lを兼ねる。
右側壁14Rには、その内側上部にガイドレール8の一端が設置されている(図3参照)。この右側壁14Rに一端が保持されたガイドレール8は、出入り口4の上部を通り、他端が左側壁14Lに固設されている。なお、図3には省略したが左隣のトイレブース141の右側壁を兼ねる左側壁14Lのトイレブース内側にもガイドレール8は設置される。このガイドレール8に扉9が垂下された状態で設置され、扉9をガイドレール8に沿って移動させることで出入り口4を開閉する。なお、本実施形態では、扉9が湾曲し、ガイドレール8に沿ってスライドする例を示したが、これに限らず左右側壁及び扉を含む正面を平面とし、トイレブース141の水平断面形状(平面形状)を矩形としても良い。
扉9の左側端部には、錠91が設けられ、トイレブース内の利用者によって施錠及び開錠の操作が可能であり、施錠時に左側壁14Lの受け具(不図示)と係合して開扉を抑止する。錠91は、この左側壁14Lと係合する構成に限らず、扉9を閉止できればよく、右側壁14Rと係合する構成や、その他、ガイドレール8、床14F、天井14Cと係合して施錠する構成であっても良い。なお、扉9を自動で開閉するような場合で、利用者が開扉を指示するまで扉9の開動作が行われない構成であれば錠91を省略しても良い。また、扉9には、錠91が施錠されているか否か、或は扉9が閉じられているか否かを検出する開閉センサ92が備えられている。開閉センサ92の検出結果は、トイレブース141が使用中か否かの判定に用いられるため、本実施形態において、開閉センサ92は、検出部13の一形態である。
図3、図4に示すように、各トイレブース141には、便器41、便座装置42、コントローラ43等のトイレ設備1や、カメラ11、制御装置44、警報部45、ブース内センサ46が備えられている。
カメラ11は、トイレブース141の天井14Cに設けられ、天井側からトイレブース内を俯瞰するように撮影する。なお、これに限らず、カメラ11は、後壁14Bに設けられ、扉9側に撮影レンズを向け、トイレブース141に入室する利用者の正面を撮影するようにしても良い。また、カメラ11は、側壁14Lの出入り口付近に設けられ、撮影レ
ンズを後壁14B側に向け、トイレブース141から退出しようとする利用者の正面を撮影するようにしても良い。また、これら複数の箇所にカメラ11を設けても良い。
便座装置42は、洋式の便器41上に設けられ、利用者が着座する座面を加温する機能や温水を吐出して利用者の肛門や局部を洗浄する洗浄機能を有している。また、便座装置42は、利用者が着座しているか否かを検出する着座センサ421を備え、この着座センサ421の検出結果に基づき、利用者が着座しているときに温水の吐出ボタン(不図示)が押されると温水を吐出し、利用者が着座していないときに温水の吐出ボタン(不図示)が押されても温水を吐出しないように、吐出の可否を制御する。また、着座センサ421の検出結果に基づき、利用者が着座していない場合には座面の温度を低くして省電力モードとする制御等を行う。なお、便器41は、洋式に限らず和式であっても良く、和式の便器41が設けられた場合には便座装置42は省略される。
コントローラ43は、図5に示すように、便座装置42の温度設定や洗浄位置の設定などの操作を行う操作部431を有している。また、コントローラ43は、表示部432や、スピーカ433、洗浄ボタン434を有している。この他、非常ボタンや火災報知ボタン、異常無しボタン等、使用状態を入力するボタン(不図示)を備えてもよい。これらのボタンは、表示部に432に表示させ、タッチセンサや操作部431で選択する所謂ソフトウェアキーであってもよい。なお、コントローラ43を検出部13の一形態とし、洗浄ボタン434や使用状態を入力するボタン等に対する操作を対象ブース内の人(利用者)の状態を検出するために用いてもよい。
表示部432は、便座の設定温度や洗浄用の温水の温度、洗浄位置の他、制御装置44から受信した情報等を表示する。
スピーカ433は、操作部431を操作した際の操作音や、後述の警告に係る音、便器を洗浄する洗浄水が流れる音を模擬する擬音等を出力する。
洗浄ボタン434は、便器41に洗浄水を放出する際に利用者によって操作される操作ボタンである。コントローラ43は、洗浄ボタン434が押されたことを検知すると、便器41のフラッシュ弁(不図示)を開放させて洗浄水を放出させる。
警報部45は、管理サーバ2から通知される警報に基づき、警報として音や光を出力する。警報部45は、例えば左右の側壁14L,14Rの上部であって、警報としての光やメッセージを表示する表示部451や音を出力するスピーカ452がトイレブース141の外側へ向けて設けられている。即ち、側壁14L,14Rの上部と天井14Cとの間の空間を介して警報が当該トイレブース内の利用者だけでなく周囲に報知する構成としており、どのトイレブースから警報が発せられているかが分かるようになっている。
ブース内センサ46は、例えば赤外線や電波、超音波等の送信波を測定位置に送信し、この送信波が物体によって遮られたり反射されたりして変化した場合に、この変化を受信器で捉えることで測定位置に物体が存在するか否かを検出するアクティブ型のセンサである。また、ブース内センサ46は、測定対象とするトイレブース内の領域へレーザ光を照射して光走査し、この光走査した各位置からの反射光を受光するまでの時間に基づいて各位置までの距離を求め、当該距離とレーザ光の照射位置から各位置の三次元座標を求める三次元スキャナであっても良い。ブース内センサ46は、本実施形態において、検出部13の一形態である。本実施形態では、ブース内センサ46として、検出する対象領域の位置を異ならせた複数のセンサ461〜465が設けられている。例えば図4に示すように高さH1以下を検出対象領域とし、床の上等に置かれた物体の有無を検出する下部センサ461や、高さH2以上を検出対象領域とし、上部の棚等に置かれた物体の有無を検出す
るする上部センサ462、高さH1と高さH2の間を検出対象領域とし、便器41や便座装置42、手すり(不図示)等の上に置かれた物体の有無を検出する中間部センサ463を設けている。また、トイレブース141の左上から下方に向けて設けられ、トイレブース141の左側の床の上等に置かれた物体の有無を検出する左側部センサ464や、トイレブース141の右上から下方に向けて設けられ、トイレブース141の右側の床の上等に置かれた物体の有無を検出する右側部センサ465が設けられている。また、ブース内センサ46は、トイレブース141に利用者が入出したか否か、即ち利用者の入退出を検出しても良い。例えば、センサ463及びセンサ461が同時に物体(利用者)の存在を検出した場合、利用者が入室したと判定し、センサ463及びセンサ461の少なくとも一つが物体を検出しなくなったとき、利用者が退出したと判定しても良い。
検出部13は、上述のように、開閉センサ92やブース内コントローラ43、ブース内センサ46を含む、この他、火災報知器やトイレブース外の人感センサを含んでもよい。
制御装置44は、警報部45や、コントローラ43、便座装置42、ブース内センサ46等と電気的に接続し、ブース内センサ46で検出した情報に基づいて、警報部45やコントローラ43を制御する。制御装置44は、例えば図6に示すように、演算処理部440や、補助記憶装置443、通信IF(Interface)444、入出力IF(Interface)445、通信バス446を備えたコンピュータである。
演算処理部440は、使用状態判定部401、異常判定部402、切替部403、出力制御部404を備える。演算処理部440は、Central Processing Unit(CPU)441と、メモリ442とを有し、この主記憶装置442に実行可能に展開されたコンピュータプログラムにしたがって、上記使用状態判定部401、異常判定部402、切替部403、出力制御部404等の各部としての処理を実行する。CPU441は、MPU(Micro Processor Unit)、マイクロプロセッサ、プロセッサとも呼ばれる。CPU441は、単一のプロセッサに限定される訳ではなく、マルチプロセッサ構成であってもよい。また、単一のソケットで接続される単一のCPU441がマルチコア構成を有していても良い。上記各部の少なくとも一部の処理は、CPU441以外のプロセッサ、例えば、Digital Signal Processor(DSP)、Graphics Processing Unit(GPU)、数値演算プロセッサ、ベクトルプロセッサ、画像処理プロセッサ等の専用プロセッサで行われても良い。また、上記各部の少なくとも一部の処理は、集積回路(IC)、その他のデジタル回路であっても良い。また、上記各部の少なくとも一部にアナログ回路が含まれても良い。集積回路は、LSI,Application Specific Integrated Circuit(ASIC),プログラマブルロジックデバイ
ス(PLD)を含む。PLDは、例えば、Field-Programmable Gate Array(FPGA)を含む
。上記各部は、プロセッサと集積回路との組み合わせであっても良い。組み合わせは、例えば、MCU(Micro Controller Unit),SoC(System-on-a-chip),システムLS
I,チップセットなどと呼ばれる。
使用状態判定部401は、検出部13による検出結果を所定のタイミングで取得し、当該検出結果に基づいて、対象ブースが使用中か否かを判定する。例えば、本実施形態では、錠91の施錠や、扉9の開閉操作はトイレブース内で行う構成としているため、錠91が施錠された状態、或は扉9が閉じられた状態を開閉センサ92が検出した場合、トイレブース141内に利用者が入室している状態のため、使用状態判定部401は、トイレブース141が使用状態であると判定する。反対に、錠91が開錠された状態、或は扉9が開かれた状態を開閉センサ92が検出した場合、使用状態判定部401は、トイレブース141が使用状態でないと判定する。これに限らず、使用状態判定部401は、便座装置の着座センサ421が利用者を検出している場合に使用状態と判定し、着座センサ421が利用者を検出していない場合に使用状態でないと判定しても良い。また、トイレブース内に人感センサを設け、使用状態判定部401は、人感センサが利用者を検出している場
合に使用状態と判定し、人感センサが利用者を検出していない場合に使用状態でないと判定しても良い。
異常判定部402は、検出部13による検出結果を所定のタイミングで取得し、当該検出結果が異常の発生条件を満たしているか否かによって、異常の発生を判定する。図10は、異常の発生条件を格納した条件テーブル471の一例を示す図である。なお、図10においては、説明の便宜上、条件が自然言語で示されているが、これに限らず、異常判定部402によって判定可能な情報であればよい。例えば本実施形態では、異常判定部402の機能を提供する演算処理部440によって処理可能な命令やデータとして設定される。
図10の条件1によれば、異常判定部402は、施錠状態で、下部センサ461が利用者を検知し、中間部センサ463が利用者を検出していない場合、利用者が床に倒れている可能性があるため、異常と判定する。図10の条件2によれば、異常判定部402は、施錠状態で、上部センサ462が利用者を検知し、下部センサ461が利用者を検出していない場合、利用者が便器等に乗っている可能性があるため、異常と判定する。図10の条件3によれば、異常判定部402は、着座センサが利用者を検知した状態が所定時間(例えば30分)以上継続した場合、利用者が急病等で動けなくなっている可能性があるため、異常と判定する。条件4によれば、異常判定部402は、着座センサが利用者を検知せず、施錠状態が所定時間(例えば10分)以上継続した場合、利用者が排泄以外のことを行っている可能性があるため、異常と判定する。条件5によれば、異常判定部402は、火災報知器が火や煙を検知した場合、火災の可能性があるため、異常と判定する。
また、異常判定部402は、トイレブース141内の物体の検出結果を前記利用者の入室前と前記利用者の退出後で比較し、前記利用者の入室前と退出後で異なっている場合に、異常と判定する。例えば、図10の条件6〜8によれば、また、異常の種別として、不審物の残留、設備の持ち去り、設備の破壊などを判別しても良い。例えば、利用者の入室前に存在しなかった物体が利用者の退出後に存在した場合に、当該物体を不審物の残留と判定する。また、利用者の入室前に存在していた物体が利用者の退出後に存在しなくなった場合に、設備の持ち去りと判定する。更に、利用者の入室前に存在していた物体が利用者の退出後に部分的に存在しなくなった場合や形状が変化した場合に、設備の破壊と判定する。なお、汚物入れや予備のトイレットペーパのように移動可能な設備は、移動可能な物体として、その位置を登録しておき、利用者の退出後、利用者の入室前の位置に存在しなくても、別の位置に存在していた場合には正常な移動と判定し、設備の持ち去りと判定しなくても良い。そして、当該移動可能な物体の位置をこの異動後の位置に更新する。この場合、物体の検出を利用者の入室前と退出後だけでなく、利用中にも行って、当該物体の移動による位置の変化をリアルタイムに検出し、当該物体の位置を追跡することで当該物体が移動したことを確実に検出できるようにしても良い。また、便器の蓋や便座のように所定範囲の移動(例えば開閉)が可能な設備は、所定範囲で移動可能な物体として、その移動可能な範囲を予め登録しておき、利用者の退出後、利用者の入室前の位置に存在しなくても、移動可能な範囲に存在していた場合には正常な移動と判定して設備の持ち去りや破壊と判定せず、移動可能な範囲を超えて移動(存在)していた場合に設備の破壊と判定しても良い。更に、トイレットペーパ等の消耗品の位置と消費量の閾値を予め登録しておき、利用者の入室前に存在していた消耗品(物体)が利用者の退出後に存在しなくなった場合でも、存在しなくなった消耗品の量が閾値(例えば1〜2個)以下の場合には、設備の持ち去りと判定せず、存在しなくなった消耗品の量が閾値を超えた場合には、設備の持ち去りと判定しても良い。
切替部403は、使用状態判定部401の判定結果に基づいてカメラ11の動作状態(モード)を切り替える。例えば、切替部403は、トイレブース14が使用中であれば、
カメラ11によるトイレブース内の撮影を禁止する禁止モードとし、カメラ11の動作を停止させる。また、切替部403は、トイレブース14が使用中でなければカメラ11によるトイレブース内の撮影を行わせる撮影モードとし、カメラ11を動作させる。この切替部403とカメラ11は、本実施形態における撮影装置を構成している。
出力制御部404は、異常判定部402の判定結果に基づいて、異常が発生したと判定された場合に、当該異常の発生を示す警告をコントローラ43や警報部45といった出力部から出力させる。ここで警告とは、例えば「異常が発生しました。」のようにコントローラ43の表示部432に表示させる又はスピーカ433から音声出力させるメッセージである。また、警報とは、警告を示す光や音を表示部432やスピーカ433から出力するものであっても良い。また、警報として出力するメッセージを異常の種別毎に登録しておき、不審物の残留の場合に「お忘れ物がございます。」、設備の持ち去りの場合に「設備が持ち出されました。持ち出した設備を元に戻して下さい。」のように、発生した異常の種別と対応するメッセージを出力させても良い。
主記憶装置442は、CPU441が読み出したプログラムやデータのキャッシュや、CPUの作業領域として用いられる。主記憶装置442は、具体的には、RAM(Random
Access Memory)やROM(Read Only Memory)等である。
補助記憶装置443は、CPU441により実行されるプログラムや、本実施の形態で用いる設定情報、条件テーブル471などを記憶する。補助記憶装置443は、具体的には、HDDやSSD、フラッシュメモリ等である。
通信IF444は、他のコンピュータ装置との間でデータを送受信する。通信IF444は、具体的には、有線又は無線のネットワークカード等である。入出力IF445は、入出力装置と接続され、コンピュータのユーザから入力を受け付けたり、ユーザへ情報を出力したりする。本実施形態の入出力IF445は、入出力装置としてコントローラ43が接続され、操作部431による入力を受けたり、表示部432への表示出力、スピーカへの音出力を行ったりする。以上のような構成要素が、通信バス446で接続されている。なお、これらの構成要素は複数設けられていても良いし、一部の構成要素を設けないようにしてもよい。例えば、制御装置44は、トイレブース141毎に設けられていても良いが、複数のトイレブース141に対して一つの制御装置44を設けて、複数のトイレブース141の異常を一つの制御装置で検出して管理サーバ2へ送信すると共に、警報を一つの制御装置44で各トイレブース141のコントローラ43や警報部45へ通知する構成としても良い。
また、図3,図4では、大便器41等のトイレ設備1を備えたトイレブース141について示したが、多目的トイレ施設103についても同様に大便器41等のトイレ設備1を備え、ブース内センサ46及び開閉センサ92の検出結果に基づいて異常の発生を判定し、この異常の検出を示す異常検出情報を管理サーバ2へ送信する。
図7は、男性用の小便器49等のトイレ設備1を備えたトイレブース142を示す図である。トイレブース142は、上下方向が天井14C及び床14Fによって仕切られ、水平方向の三方が、左右一対の側壁(仕切板)24L,24R及び小便器49の設置面(壁)105により囲まれている。即ち、トイレブース142は、小便器49の正面に壁が無く、完全に囲繞された空間ではない。しかし利用時には、利用者が小便器49の正面に立ち、当該利用者の背面や側壁24L,24Rによって他者からの視界が遮られた空間となるため、この左右一対の側壁24L,24R及び壁105に囲まれた空間をトイレブース142としている。図7において、左右とは、小便器49の正面に立ち、小便器49に向かって左側及び右側をいい、前後とは便器49の尿を受ける側を前方、壁105への取付
面側を後方といい、上下とは、天井14C側及び便器41の設置面(床)14F側をいう。なお、隣接するトイレブース142がある場合、左側壁24Lは、左隣に位置する別のトイレブース142の右側壁24Rを兼ね、右側壁24Rは右隣に位置する別のトイレブース142の左側壁24Lを兼ねる。なお、左右の側壁24L,24Rは、省略してもよく、この左右の側壁24L,24Rを省略した場合には、例えば小便器49の周囲及び小便器49の正面の所定の範囲をトイレブース142として定める。
トイレブース142には、小便器49、制御装置44、警報部45、ブース内センサ46、人感センサ(入退室検出部)47等のトイレ設備1が備えられている。なお、トイレブース141とほぼ同じ機能を有する要素は、同じ符号を付す等して説明を省略する。壁105は、少なくとも下方が内部に空間を有した二重壁となっており、この空間内に給水管や排水管(不図示)が配設されている。
小便器49は、壁105に取り付けられ、壁105内部の給水管や排水管と接続されている。人感センサ47は、小便器49上方の壁105に埋設され、小便器49の前に立つ利用者から赤外線を受信した場合に利用中であることを検出し、この利用中であることを検出した後、利用者から赤外線を受信しなくなった場合に排便が完了して利用者が退出したことを検出する。人感センサは、利用者がトイレブース142に入室して小便器49に正対したことや、小便器49の前から退いてトイレブース142から退室したことを検出する入退室検出部の一形態である。
トイレブース142において警報部45は、小便器49の上方であって壁105に設けられ、警報としての光やメッセージを表示する表示部451、及び警報としての音を出力するスピーカ453を前方に向けて配置されている。
トイレブース142においてブース内センサ46は、トイレブース141のものと同様にトイレブース内の物体を検出するセンサであって、検出する対象領域の位置を異ならせた複数のセンサ466,467,468が設けられている。例えばセンサ466は、トイレブース142上部の壁105又は天井14Cに、下方へ向けて設けられ、壁105の小便器49より高い位置に形成された棚145の上等に置かれた物体を検出する。また、センサ467は、側壁24Lの上部に、右斜め下へ向けて設けられ、壁105に形成されたフック151に吊り下げられている物体や床の上等に置かれた物体を検出する。センサ468は、側壁24Rの上部に、左斜め下へ向けて設けられ、床の上等に置かれた物体を検出する。
制御装置44は、壁105内に設けられ、警報部45や、ブース内センサ46、入退室検出部(人感センサ)47等、他のトイレ設備1と電気的に接続されている。制御装置44は、例えば、人感センサ47の検出結果に基づき、利用者が小便器49の利用後、退出したことを検出した場合に、小便器49と接続されたフラッシュバルブ(不図示)を開放し、給水管から洗浄水を供給して小便器49内を洗浄する制御を行う。また、制御装置44は、図6に示すように、CPU441や主記憶装置442、補助記憶装置443、通信IF(Interface)444、入出力IF(Interface)445、通信バス446を備え、演算処理部440が、使用状態判定部401、異常判定部402、切替部403、出力制御部404等の各部の機能を提供する。
また、トイレ施設10内には、各トイレブース14のトイレ設備1とは別に、制御装置51、警報部52を備えている。制御装置51は、警報部52と電気的に接続され、通信回線を介し、管理サーバ2からの警報や各トイレブース14の制御装置44からの異常検出情報を受信する。制御装置51のハードウェア構成は各トイレブース14の制御装置44と同様であり、図6に示すように、CPU441や主記憶装置442、補助記憶装置4
43、通信IF(Interface)444、入出力IF(Interface)445、通信バス446を備える。
制御装置51は、各トイレブースの制御装置44から異常検出情報を受信した場合や、管理サーバ2から警報を受信した場合に、警報部52から警報を出力させる。ここで警報とは、利用者に対して異常が発生したことを通知する情報である。
図8は管理サーバ2のハードウェア構成を示す図である。管理サーバ2は、演算処理部20、補助記憶装置23、通信IF(Interface)24、入出力IF(Interface)25、通信バス26を有する所謂コンピュータである。
演算処理部20は、CPU21や主記憶装置22を備えている。主記憶装置22は、CPU21が読み出したプログラムやデータのキャッシュや、CPU21の作業領域として用いられる。主記憶装置22は、具体的には、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等である。
通信IF24は、他のコンピュータ装置との間でデータを送受信する。通信IF24は、具体的には、有線又は無線のネットワークカード等である。入出力IF25は、表示装置やプリンタ等の出力手段や、キーボードやポインティングデバイス等の入力手段、ドライブ装置等の入出力手段が適宜接続される。ドライブ装置は、着脱可能な記憶媒体の読み書き装置であり、例えば、フラッシュメモリカードの入出力装置、USBメモリを接続するUSBのアダプタ等である。また、着脱可能な記憶媒体は、例えば、CD(Compact Disc)、DVD等のディスク媒体であってもよい。ドライブ装置は、着脱可能な記憶媒体からプログラムを読み出し、記憶装置23に格納する。
補助記憶装置23は、CPU21により実行されるプログラムや、本実施の形態で用いる設定情報などを記憶する。補助記憶装置23は、具体的には、HDDやSSD、フラッシュメモリ等である。補助記憶装置23は、ドライブ装置との間で、データを授受する。例えば、補助記憶装置23は、ドライブ装置からインストールされるプログラム等を記憶する。また、補助記憶装置23は、プログラムを読み出し、主記憶装置22に引き渡す。更に補助記憶装置23は、施設情報テーブルを格納する。
CPU21は、主記憶装置22に実行可能に展開されたプログラムを実行し、通知部213、警報指示部214、画像抽出部215の機能を提供する。
警報指示部214は、トイレブース14の出力制御部404から異常検出情報を受信し、当該異常検出情報に応じた警報を警報部52から出力させる。例えば「お忘れ物がございます」のように残留物の存在を通知するメッセージや「設備が持ち出されました。持ち出した設備を元に戻して下さい。」のように、異常の発生を通知するメッセージを表示出力或は音声出力させる。なお、各トイレブースの位置を示す情報(位置情報)を予め施設情報テーブルに記憶しておき、異常検出情報に識別情報が含まれていた場合、この識別情報と対応するトイレブース14の位置情報を施設情報テーブルから、抽出し、「手前から○番目のブースに」といった位置情報をメッセージに付加し、「手前から○番目のブースに、お忘れものがございます」のように出力させても良い。
図9は、施設情報テーブルの一例を示す図である。施設情報テーブルは、各トイレ施設10の識別情報と、各トイレブース14の識別情報と、各トイレブース14のトイレ施設内における位置を示す位置情報とを対応付けて記憶している。
トイレ施設10の識別情報は、管理サーバ2が複数のトイレ施設を管理する場合に各ト
イレ施設を一意に識別するための情報である。トイレブース14の識別情報は、管理サーバ2が管理する複数のトイレブース14のうち、各トイレブースを一意に識別するための情報である。トイレブース14の位置情報は、「手前から○番目のブース」「左奥から○番目のブース」のように、警報を発する際に何処のトイレブース14に異常が生じているのかを説明する情報である。なお、位置情報は、異常が生じたトイレブース14を示すことができれば良く、例えば、「上部の警告灯が光っているブース」「正面のパネルが点滅している小便器」など、警告部の表示形態を示すものであっても良い。
〈セキュリティ管理方法〉
図11は、各トイレブース14の制御装置44が、異常を検出して警報を発する処理を示す図である。制御装置44は、周期的に或は所定のタイミングで図11の処理を繰り返し実行し、先ず検出部13によりトイレブース14内の人又は物の状態を検出した結果を取得する(ステップS10)。
次に制御装置44は、検出部13によりトイレブース14が使用中か否かを判定する(ステップS20)。例えば、錠91が施錠された状態、或は扉9が閉じられた状態を開閉センサ92が検出した場合に使用中と判定する。また、人感センサや着座センサ421、ブース内センサ46が利用者を検出している場合に使用中と判定する。反対に、錠91が開錠された状態、或は扉9が開かれた状態を開閉センサ92が検出した場合に使用中でないと判定する。また、人感センサや着座センサ421、ブース内センサ46が利用者を検出していない場合に使用中でないと判定する。
トイレブース14が使用中と判定された場合(ステップS20,Yes)、制御装置44は、カメラ11を禁止モードとする(ステップS30)。
また、制御装置44は、検出部13による検出結果が条件テーブル471の条件を満たしているか否かによって、異常が生じているか否かを判定する(ステップS40)。例えば、条件テーブル471における条件1〜3のように使用中の異常が生じているか否かを判定する。異常が発生していると判定した場合(ステップS40、Yes)、この異常の発生を示す警報を出力し(ステップS50)、異常が発生していないと判定した場合には(ステ
ップS40、No)、警報の出力をせずにステップS60へ移行する。ここで警報とは、
コントローラ43や警報部45から出力させる警報音やメッセージ、管理サーバ2への通知、制御装置51への通知、管理者端末3への通知等である。
そして、制御装置44は、改めて検出部13による検出結果を取得し(ステップS60)、トイレブース14が使用中か否かを判定する(ステップS70)。即ち、ステップS20で使用中となった後、継続して使用しているか、使用を終えたかを判定する。例えば、ステップS20と同様に、施錠された状態や扉9が閉じられた状態を検出した場合、トイレブース14内で利用者を検出している場合に使用中と判定する。反対に、開錠された状態や扉9が開かれた状態を出した場合、また、利用者を検出していない場合に使用中でないと判定する。なお、使用中の状態から使用中でない状態へ変わったタイミングを直ちに検出する構成としても良い。例えば、錠91が施錠状態から開錠状態に変化した場合や、閉じた状態の扉9が開かれた場合(開き始めた場合)、着座センサ421が所定時間以上、利用者の着座を検出した後、着座が検出されなくなり、洗浄ボタンが押された場合(即ち、排便後、立ち上がり、洗浄ボタンを押した場合)など、利用者が退出するための動作を検出した場合に使用中でないと判定する。制御装置44は、使用中と判定した場合(
ステップS70、Yes)、ステップS60に戻り、使用中でないと判定した場合(ステップS70、No)、カメラ11を撮影モードに切り替え、撮影を行わせる(ステップS80)。なお、使用中の状態から使用中でない状態へ変わったタイミングを直ちに検出して撮
影を行わせることで、トイレブース14から退出する。また、利用者がトイレブース14
を退出した後であっても、カメラ11a〜11cで撮影した画像によって利用者を確認することができる。
また、制御装置44は、検出部13による検出結果が条件テーブル471の条件を満たしているか否かによって、異常が生じているか否かを判定する(ステップS90)。例えば、条件テーブル471における条件5〜8のように使用後の異常が生じているか否かを判定する。異常が発生していると判定した場合(ステップS90、Yes)、異常が発生してから所定時間経過したか否かを判定し(ステップS100)、所定時間経過していなければ(ステップS100,No)、ステップS90へ戻り、所定時間経過していれば(ステップ
S100,Yes)、異常の発生を示す警報を出力(ステップS110)して図11の処理
を終了する。一方、所定時間が経過する前に、異常が解消された場合には(ステップS9
0,No)、ステップS110の出力をせずに図11の処理を終了する。例えば、不審物
の残留を検知した場合であっても、単に利用者の忘れ物であった場合には、直ぐに利用者がとりに戻ることがある。このため、異常の検出後、所定時間待ってから警報を出力することで、単なる忘れ物を不審物の残留として検出することを抑制できる。例えば、異常の検出後、45秒待ってから警報を出力することで、警報の出力回数を10%抑えられることが実験により求められた。なお、警報を出力する際、コントローラ43や警報部45へ出力するタイミングと管理サーバ2へ通知するタイミングとを異ならせても良い。例えば、異常を検出した場合に先ずコントローラ43や警報部45から警報を出力させた後、所定時間経過した時点で異常が解消していなければ管理サーバ2や制御装置51へ警報(異常通知情報)を通知し、解消していれば管理サーバ2への警報の通知を行わないこととしても良い。これにより、単なる忘れ物の場合には、コントローラ43や警報部45からの警報によって利用者が気付いてとりに戻るので、管理サーバ2への通知が抑制される。
そして、異常の発生を示す通知を受けた管理サーバ2は、トイレ施設10と対応付けて定めた通知先の管理者端末3や制御装置51へ警報の種別やカメラ11によって撮影した映像等を送信する。これにより管理者は、トイレ施設で発生した異常を知ることができ、カメラ11の映像から異常を発生させた利用者を特定できる。また、この場合でもトイレブース14の使用中は、カメラ11による撮影を禁止しているので、利用者のプライバシーを確保できる。即ち、使用中の映像ではなく、使用前にトイレブース14へ入る利用者の映像や使用後にトイレブース14から出る利用者の映像から異常を生じさせた利用者を特定できる。また、使用中でなければトイレブース14内の映像を視ることができるので、異常が発生したトイレブース14の状況、例えば、どのような不審物が置かれているのかや、破壊の状況、火災の状況等を映像で確認することができ、関係部署への連絡を直ちに行うことができる。なお、上記の説明では、制御装置44が図11に示すセキュリティ管理方法を実行する例を示したが、これに限らず、管理サーバ2が図6に示す使用状態判定部401や異常判定部402、切替部403、出力制御部404の機能を備えて図11の処理を実行しても良い。また、制御装置44や管理サーバ2から制御装置51へ異常通知情報を通知することで、トイレブース14を退出した利用者に対しても警報部52から警報を出力し、カメラ11a〜11cで撮影を行うことができる。
〈カメラのモードの表示〉
上述のように、制御装置44の制御によりトイレブース14の使用中に禁止モードとすることで利用者のプライバシーを確保した場合でも、カメラ11の外観に変化がなければ、利用者にとっては、実際にカメラ11の動作が停止しているか否かを判断することができない。このため、図12に示すように、カメラ11に動作状態(モード)を表示する表示部111を設け、撮影を行っているか否を明示するようにしても良い。図12(A)は撮影を行っていない状態、即ち禁止モードを示し、図12(B)は撮影を行っている状態、即ち撮影モードを示す。
〈遮蔽機構〉
図12のようにカメラ11に表示部111を設けることで、カメラ11が撮影を行っていない場合には、「撮影を禁止中」と表示されるが、この動作状態の切り替えは、利用者自身で制御できるものではないので、利用者が不安に思う可能性も考えられる。そこで、禁止モード時にカメラ11の撮影レンズを覆い、撮影モード時に退動して撮影を可能とする遮蔽部材を設けても良い。このように禁止モード時には撮影レンズの被写体側に遮蔽部材を位置させて、撮影が不可能な状態にすることで利用者の不安を解消することができる。
なお、遮蔽部材の移動は、制御装置44が、カメラ11のモードに応じてモータ等の駆動手段を制御して行っても良いし、利用者が入退室時に操作する扉9や錠91と連動して行われるものであっても良い。
図13は、扉9の先端に遮蔽部材93を設けた例を示す図である。図13(A)に示すように、カメラ11がトイレブース14の側壁14Lの出入り口付近に設けられ、トイレブース14内を撮影する場合に、図13(B)のように扉9を閉じた際、遮蔽部材93がカメラ11の撮影レンズ112の被写体側に位置するように構成する。これにより、利用者がトイレブース14に入室して扉9を閉じると撮影不可能な状態となるので、利用者の不安を解消することができる。なお、図13では、扉9の先端に遮蔽部材93を設けたが、これに限らず扉9を閉じた際に扉9がカメラ11の被写体側に位置して遮蔽部材として機能する構成であっても良い。
図14は、錠91に遮蔽部材93を設けた例を示す図である。図14(A)では、カメラ11が側壁14Lの錠91近傍に設けられ、トイレブース14内を撮影する。錠91は、操作部911を中心に回動自在であり、図14(B)の扉9を閉めた状態で反時計回りに回転させると、腕部912が扉9の係止部901に受け止められる。このとき腕部912の先端の係止爪913が扉9の係止部901と係合して、扉9が開く方向への移動を阻止する。即ち、利用者がトイレブース14に入室した場合に図14Bのように錠91を施錠状態とし、利用者がトイレブース14から退出する際には、錠91の操作部911を時計方向に回転させて図14(A)のように開錠する。図14(B)のように錠91を施錠状態とすると腕部912に設けた遮蔽部材93がカメラ11の撮影レンズ112の被写体側に位置するように構成する。これにより、利用者がトイレブース14に入室して施錠すると撮影不可能な状態となるので、利用者の不安を解消することができる。特に、扉9や錠91は、利用者が操作しなければ動くことが無く、これらと遮蔽部材93が連動していれば、利用者の意に反して撮影が行われることがないため、利用者の不安を確実に解消できる。
なお、遮蔽部材93は、扉9や錠91に限らず、便器の蓋やトイレブース14の照明のスイッチなど、利用者の利用によって必然的に操作されるものと連動する構成であればよい。
以上のように本実施形態によれば、トイレブース14で異常が生じた場合に、カメラ11による撮影画像から異常の状態や異常を生じさせた利用者を確認でき、トイレブース14内のセキュリティを確保できる。
また、このようにトイレブース14内を撮影するカメラ11を設けた場合でも、トイレブース14の使用中の撮影を禁止したことで、利用者のプライバシーを確保できる。
〈変形例〉
図11の例では、トイレブース14の使用中にカメラ11による撮影を禁止し、トイレ
ブース14の使用中以外はカメラ11による撮影を行うこととしたが、トイレブースが使用中でなく且つ異常が発生したと判定された場合に、カメラ11による撮影を行う構成としても良い。図15は、トイレブースが使用中でなく且つ異常が発生した場合に撮影を行う本変形例のセキュリティ管理方法を示す図である。
制御装置44は、周期的に或は所定のタイミングで図15の処理を繰り返し実行する。なお、通常時、即ち異常が検出されていないときは、カメラ11は禁止モードとしている。図15において、ステップS10〜S20,S40〜S70の処理は、前述の図11の例と同じである。そして、ステップS70で、使用中でないと判定された場合、制御装置44は、異常が生じているか否かを判定する(ステップS90)。異常が発生していると判定した場合(ステップS90、Yes)、異常が発生してから所定時間経過したか否かを判定し(ステップS100)、所定時間経過していなければ(ステップS100,No)、ステップS90へ戻り、所定時間経過していれば(ステップS100,Yes)、カメラ11を撮影モードとし(ステップS105)、異常の発生を示す警報を出力(ステップS110)して図15の処理を終了する。一方、所定時間が経過する前に、異常が解消された場合には(ステップS90,No)、ステップS105の撮影モードへの切り替えやステップS110の出力をせずに図15の処理を終了する。このようにステップS90で異常と判定された場合にのみ撮影モードとし、異常と判定されなければ撮影モードへは切り替えない。なお、異常と判定して撮影モードに切り替えた場合、異常に対する対応を終えた際に禁止モードに切り替える。例えば、警報部からの警報の出力を止める際に、禁止モードとし、カメラの撮影を停止しても良い。また、図11のステップS30と同様に次の利用者が使用を開始した場合に禁止モードに切り替えても良い。
このように、異常が発生しなければトイレブースの使用中でなくても撮影を行わず、利用者のプライバシーを更に尊重する構成としても良い。そして、異常が発生したと判定された場合には撮影モードに切り替えて、セキュリティを確保する。なお、異常が発生した場合でもトイレブースが使用中であれば撮影は行わないので、使用時のプライバシーは確保される。
〈実施形態2〉
前述の実施形態1では、図11,図15に示すように、利用者が退出した或は開錠等の動作を検出し、ステップS70で使用中でないと判定した場合に、撮影を行うようにしている。即ち、ステップS40で異常が発生した場合でも、ステップS70で使用中でないと判定されるまでは撮影が行われない。例えば利用者が急病で動けなくなっている場合や、倒れて意識を失っている場合には撮影が行われない。この場合、ステップS50の警報に応じて、警備員が現場に出向き、トイレブース14内の利用者に声をかけて、応答がなければ扉9を開けて状況を確認し、必要に応じて救急車を手配するといった対応を行う。このように、警備員が現場に出向いて確認するのでは時間がかかるため、急病などの場合には望ましくない。そこで、本実施形態2では、トイレブース14の使用中に異常が発生したと判定した場合、使用状態を判別して、急病などにより通常の使用状態にない場合には、撮影を開始し、担当者が撮影画像を確認して早急に対応をとることができるようにした例を示す。本実施形態2は、実施形態1と比べて、緊急時に撮影を開始する処理が異なり、その他の構成は同じである。このため実施形態1と同一の要素については、再度の説明を省略し、同一の要素を本例の説明に用いる場合には、同符号を付して説明する。
図16は、実施形態2に係るセキュリティ管理方法を示す図である。制御装置44は、周期的に或は所定のタイミングで図16の処理を繰り返し実行する。なお、図16のステップS10〜S50については、図11と同じである。ステップS40で、異常が発生したと判定した場合、ステップS50で警告を出力し、前記異常が通常の使用状態でなく、且つ緊急性を有する事態であるか否かを判定する(ステップS52)。例えば、ステップ
S40において条件テーブル471の所定の条件(図10の例では条件1,2)を満たしたか否かを判定する。このステップS52が肯定判定(ステップS52、Yes)の場合、制御装置44は、ステップS58へ移行し、ステップS52が否定判定(ステップS52、No)の場合、ステップS54へ移行する。
ステップS54において、制御装置44は、前記異常が通常の使用状態でなく、且つ利用者への問い合せが必要な状況であるか否かを判定する(ステップS54)。例えば、ステップS40において条件テーブル471の所定の条件(図10の例では条件3,4)を満たしたか否かを判定する。このステップS54が肯定判定(ステップS54、Yes)の場合、制御装置44は、ステップS58へ移行し、ステップS54が否定判定(ステップS54、No)の場合、ステップS60へ移行する。
ステップS58において、制御装置44は、利用者に対してメッセージを出力し、救護が必要な非常事態か否かの問合せを行う。例えば「利用時間が○○分を超えました。救護が必要な方は、救急ボタンを押して下さい。救護が不要な方は、異常無しボタンを押して下さい。また、排泄以外の目的の方は速やかに退出して下さい。」のように非常事態か否かを選択するように促す。そして、制御装置44は、例えば救急ボタンが押された場合、即ち非常事態が選択された場合、ステップS59へ移行し、異常無しボタンが押された場合やボタンが所定時間内に押されなかった場合、即ち非常事態が選択されなかった場合、ステップS60へ移行する。
ステップS59において、制御装置44は、カメラ11を撮影モードに切り替え、撮影を行わせる。このようにステップS52で緊急と判定された場合やステップS58で異常発生と判定された場合は、通常の使用状態ではない(使用中ではない)ので、撮影を行う。なお、ステップS60以降の処理は、図11と同じである。このステップS59で撮影を開始させる場合、ステップS80で撮影を開始させる場合と比べ、限定的な撮影としてもよい。例えば、カメラ11による撮影画像を画像処理し、管理者端末3へ送信する撮影画像の解像度を低くする。例えば、利用者が動いているのか倒れているのかが分かる程度の解像度とし、細部まで鮮明に映らないようにする。例えば、1つのブース或いは1m2を撮影する画素数を5万〜200万画素、好ましくは10万〜100万画素、更に好ましくは20万〜50万画素とする。なお、ステップS59における限定は、解像度に限らず、モザイク、ノイズの付加、デフォーカス、コントラスト、輝度、トリミング、撮影範囲等であってもよい。例えば、撮影画像にモザイクやノイズを付加する、撮影画像中の物体のエッジをぼかす(デフォーカス処理する)、コントラストを低くする、輝度の範囲を狭めて白くとばす又は黒くつぶす、利用者の一部(顔や上半身等)を認識してトリミングする。また、H1より下の部分やH2より上の部分など、ステップS80における撮影よりも狭い範囲で撮影するように別のカメラを設けておく又はカメラの向きや倍率(画角)を制御してもよい。
図17は、本実施形態2に係るセキュリティ管理システムの警報及び撮影のタイミングを示す図である。
「1.忘れ物検知」では、開錠時に撮影が開始され(ステップS80)、忘れ物が検出された場合「忘れ物はありませんか?」のようにコントローラ43から警報が出力される。悪意のない行為であれば、利用者がここで気づき、所定時間以内に取りに戻るため、管理者端末3への通知を行わない。
「2.残留物検知」では、開錠時に撮影が開始され(ステップS80)、忘れ物が検出されて「忘れ物はありませんか?」のようにコントローラ43から出力された警報を無視して利用者が退出した場合、管理者端末3及び制御装置51への通知を行う。
「3.倒れ込み検知」では、ステップS40で異常の発生を判定し、条件1を満たした場合に撮影が開始され(ステップS59)、管理者端末3へ通知を行う。
「4.体調不良」では、ステップS40で異常の発生を判定し、条件3を満たした場合に問い合わせを行い、異常無しが選択された場合、体調不良等で長時間使用しているが救護までは不要なので、撮影や管理者端末3への通知は行わない。
「5.長時間滞在」では、ステップS40で異常の発生を判定し、条件4を満たした場合に問い合わせを行い、応答がない場合、撮影が開始され(ステップS59)、管理者端末3へ通知を行う。なお、異常無しが選択された場合、撮影や管理者端末3への通知は行わないが、所定時間毎に声かけ(問い合わせ)が行われるので、不要な滞在であれば、退出を促すことができる。
「6.挙動不審」では、ステップS40で異常の発生を判定し、条件4を満たした場合に問い合わせを行い、応答がない場合、撮影が開始され(ステップS59)、管理者端末3へ通知を行う。
このように、本実施形態2では、利用者がトイレブース14内にいるときに異常が発生したと判定した場合、ステップS52〜S59で使用状態を確認し、適切な対応をとることができる。なお、本実施形態2では、火災報知機が火や煙を検知した場合、ステップS70で使用中でないと判定されるまで撮影を行わず、ステップS90で条件5を満たしたとして異常を検出する。これに限らず、条件5を満たした場合、ステップS54で問い合わせが必要と判断して、「火災の場合は火災報知ボタンを押して下さい。火災でない場合は、異常無しボタンを押して下さい。」等のように、火災か否かの選択を促すメッセージを表示させても良い。ここで、制御装置44は、火災報知ボタンが押された場合や何れのボタンも押されなかった場合には異常発生と判定して(ステップS58,Yes)、ステップS59へ移行し、異常無しボタンが押された場合には異常が発生していないと判定し(ステップS58,Yes)ステップS60へ移行する。これによりトイレブース14内で火災が発生した場合、ステップS59へ移行して速やかに撮影を開始し、火災の状況を撮影画像で確認できるようにしている。また、喫煙などによる誤報であった場合には、異常無しボタンが押されるので、使用後、ステップS80で撮影を開始し、撮影画像でトイレブース内の状況を確認すればよく、警備員が無駄に現場に出向く手間を減らすことができる。
〈その他〉
本発明は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記事項を組み合わせて用いても良い。また、上記実施形態では、トイレブース14を対象ブースとした例を示したが、これに限らず、対象ブースは、シャワーブースや更衣室、フィッティングルーム、カプセルホテル等、利用者のプライバシーを確保するため、使用時の撮影が行えない場所であれば良い。