JP6686493B2 - ニッケル−マンガン−チタン系複合組成物及びその製造方法、並びにその用途 - Google Patents

ニッケル−マンガン−チタン系複合組成物及びその製造方法、並びにその用途 Download PDF

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Description

本発明は、ニッケル−マンガン−チタン系複合組成物及びその製造方法、並びにその用途に関するものであり、詳しくは、リチウム−ニッケル−マンガン−チタン系複合酸化物の前駆体として適したニッケル−マンガン−チタン系複合組成物、そのニッケル−マンガン−チタン系複合組成物を使用して得られるリチウム−ニッケル−マンガン−チタン系複合酸化物、及び、そのリチウム−ニッケル−マンガン−チタン系複合酸化物を正極として使用するリチウム二次電池に関する。
スピネル型構造のリチウム−ニッケル−マンガン系複合酸化物が5V級リチウム二次電池用正極活物質として注目されている。
しかしながら、リチウム−ニッケル−マンガン系複合酸化物を正極として現行のリチウムイオン二次電池を構成した場合、高電圧での電解液分解や正極の金属成分溶出が問題となっている。
非特許文献1、特許文献1では、高電圧での充放電において、電解液分解や、正極活物質構成元素の電解液への溶出を抑制、電池劣化を防ぐためには、Li[Ni0.5Mn1.5−xTi]OのようにTi導入したリチウム−ニッケル−マンガン−チタン系複合酸化物が有効であることを示している。
また、特許文献2ではLi[Ni0.5Mn1.5−xTi]Oの前駆体であるニッケル−マンガン−チタン系化合物を提案している。
一方、特許文献3では、Ni、MnおよびFeを含有する水溶液とアルカリとを接触させて共沈物スラリーを得たのち、該共沈物スラリーを固液分離して、ウェットケークを作製し、ウェットケークを乾燥するまでの保管時間を48時間以下として複合金属水酸化物を製造することを提案している。
また、非特許文献2では、NiおよびMnを含有する水溶液とアルカリとを接触させて共沈物スラリーを得たのち、該共沈物スラリーを固液分離して、乾燥し複合金属水酸化物を製造することを提案している。
特許第4639634号公報 特開2015−845号公報 特開2011−153067号公報
Kim et al,J.Powersources,262(2014),62−71 F.Zhou et al.,Chem.Mater.2010,22,1015−1021
特許文献2のニッケル−マンガン−チタン系前駆体は、ニッケル−マンガン系複合水酸化物とチタン酸化物との複合体であるが、マンガン酸化物(Mn)が副生する。一方で特許文献3のニッケル−マンガン−鉄系複合水酸化物では、共沈物スラリーを固液分離してウェットケークを長期間保管した場合、マンガン酸化物(Mn)が副生するという問題を指摘している。また、副生物のMnを含む複合水酸化物と、リチウム化合物とを混合して焼成した場合、生成物であるリチウム複合金属酸化物が不均一な組成となり、電池性能が不十分となることまで言及している。
また、非特許文献2のニッケル−マンガン複合水酸化物;NiMn1−x(OH)では、x≦1/3でウェットケークの乾燥時にマンガン酸化物(Mn)が副生することを示している。
このように、比較的マンガン組成の高いニッケル−マンガン複合水酸化物は大気中で不安定であり、共沈物にもかかわらずMn成分が偏析するという課題がある。したがって、チタン酸化物と複合化する場合、水酸化物以外の安定な化合物が望ましいことは言うまでもない。
本発明ではこれらの課題を解決し、ニッケル及びマンガンの複合化合物とチタン酸化物との複合組成物であって、大気中で安定であり、共沈、洗浄、乾燥といった一般的な工程でマンガン成分の偏析を生じないニッケル−マンガン−チタン系複合組成物を与えることができる。また、そのニッケル−マンガン−チタン系複合組成物を使用して得られるリチウム−ニッケル−マンガン−チタン系複合酸化物、及び、そのリチウム−ニッケル−マンガン−チタン系複合酸化物を正極として使用するリチウム二次電池を提供することを目的とする。
本発明者らはリチウム−ニッケル−マンガン−チタン系複合酸化物の前駆体について鋭意検討した。チタン原料については、硫酸チタニルなどの水溶性チタン塩を原料に中和晶析したものが、金属成分の均一性が高いものが得られる。しかしながら、水溶性チタン塩は酸化チタンに比べ価格が著しく高い。したがって、コストが安価である酸化チタンを原料に安定なニッケル、マンガン成分と複合化することで、化学的に安定なニッケル−マンガン−チタン系複合組成物を生成するとの着想に至った。その結果、酸化チタンと複合化するニッケル、マンガン成分として、水酸化物の類縁構造であるオキシ水酸化物であれば、Mn組成が比較的高い化学組成でも大気中で安定であり、長期間保管や乾燥時にマンガン酸化物(Mn)が副生しないことを見出し、さらに、本発明のニッケル−マンガン−チタン系複合組成物を前駆体としたリチウム−ニッケル−マンガン−チタン系複合酸化物を正極として使用するリチウム二次電池が高性能であることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、化学組成式がNi(0.25+α)−xM1Mn(0.75−α)−yM2OOH(但し、M1及びM2はそれぞれMg、Al、Ti、V、Cr、Fe、Co、Cu、Zn及びZrから選ばれる1種を表し、0≦x≦0.1、0≦y≦0.25であり、−0.025≦α≦0.025である)で表され、結晶構造が水酸化カドミウム型構造であるニッケル−マンガン系複合オキシ水酸化物と、酸化チタンを含むことを特徴とするニッケル−マンガン−チタン系複合組成物、その製造方法、並びにその用途である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のニッケル−マンガン−チタン系複合組成物に含まれるニッケル−マンガン系複合オキシ水酸化物は、化学組成式がNi(0.25+α)−xM1Mn(0.75−α)−yM2OOH(但し、M1及びM2はそれぞれMg、Al、Ti、V、Cr、Fe、Co、Cu、Zn及びZrから選ばれる1種を表し、0≦x≦0.1、0≦y≦0.25であり、−0.025≦α≦0.025である)で表される。異種元素置換(M1,M2)により、電池性能、特に充放電サイクルの安定性の向上やMnの溶出抑制効果が期待できる。スピネル型副格子内のNi−Mn規則配列の規則度や5V領域の電池容量を維持するため、Niに対する異種元素置換量は少ない方が好ましい。具体的な化学組成としては、例えば、Ni0.25Mn0.75OOH、Ni0.25Mn0.65Ti0.10OOH、Ni0.20Fe0.05Mn0.75OOH、Ni0.23Mg0.02Mn0.75OOH、Ni0.225Mg0.025Mn0.75OOH、Ni0.225Co0.05Mn0.725OOH(Ni0.225Co0.025Mn0.725Co0.025OOH)、Ni0.23Zn0.02Mn0.75等が挙げられる。
本発明のニッケル−マンガン−チタン系複合組成物に含まれるニッケル−マンガン系複合オキシ水酸化物は、結晶構造が水酸化カドミウム型のオキシ水酸化物である。一方、α型水酸化ニッケル型構造は遷移金属層間が比較的広いため、SOなどの不純物となり得るアニオンを取り込みやすい。水酸化カドミウム型構造であれば、遷移金属層間にはアニオンは取り込まれない。なお、水酸化カドミウム型構造は六方晶系のヨウ化カドミウム型構造のヨウ化物イオンの位置に水酸化物イオンが配置した結晶構造である。水酸化物イオンがほぼ六方最密充填構造に配置し、c軸方向の層の一つおきに八面体六配位の間隙に金属イオンが位置する。
本発明のニッケル−マンガン−チタン系複合組成物に含まれるニッケル−マンガン系複合オキシ水酸化物は、理論平均原子価が3価のため、化学組成式中のNi、Mn、M1及びM2の平均原子価が2.8〜3.1であることが好ましく、2.9〜3.0がさらに好ましい。ここに、平均原子価は、ヨードメトリー法により求める。
本発明のニッケル−マンガン−チタン系複合組成物は、酸化チタンを含むものである。ここに、酸化チタンは、二酸化チタン(TiO)であり、結晶形はアナタース、ルチル型のどちらでも構わない。また、酸化チタンの粒径は微細である方が金属成分の分散性が向上できるため、一次粒径は1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下がさらに好ましく、0.15μm以下が特に好ましい。多くは二次凝集粒子として存在するが、凝集していない方が分散性の点で有利である。二次凝集粒子の平均粒径としては、2μm以下が好ましく、1μm以下がさらに好ましく、0.5μm以下が特に好ましい。また、凝集粒子の存在状態としては、酸化チタン粒子が当該凝集粒子の表面及び内部の両方に分散していること、すなわち凝集粒子内外で高分散することが必要となる。
本発明のニッケル−マンガン−チタン系複合組成物のタップ密度は、電極中の正極活物質の充填性がエネルギー密度に影響するため、1.0g/cm以上であることが好ましい。タップ密度が1.0g/cm以上であれば、本発明のニッケル−マンガン−チタン系複合組成物を原料として得られるリチウム−ニッケル−マンガン−チタン系複合酸化物の充填性が高くなりやすい。
本発明のニッケル−マンガン−チタン系複合組成物の比表面積は、充填性を確保するため、70m/g以下であることが好ましく、50m/g以下であることがさらに好ましい。一般的には、充填性と比表面積とは相関関係があるため、低比表面積の方が高い充填性の粉末が得られやすい。
本発明のニッケル−マンガン−チタン系複合組成物の平均粒子径は、電極を形成しやすい粒子径に適合させるため、5〜20μmが好ましく、5〜10μmがさらに好ましい。なお、平均粒子径とは、一次粒子が凝集した二次粒子の平均粒子径、いわゆる凝集粒子径である。
本発明のニッケル−マンガン−チタン系複合組成物の粒子分布は、単分散、すなわち、モノモーダルな分布を有する粒子径分布である。
本発明のニッケル−マンガン−チタン系複合組成物の化学組成は、(Ni(0.25+α)−xM1Mn(0.75−α)−yM2OOH)−(TiO(但し、A+B=1、M1及びM2はそれぞれMg、Al、Ti、V、Cr、Fe、Co、Cu、Zn及びZrから選ばれる1種を表し、0≦x≦0.1、0≦y≦0.25であり、−0.025≦α≦0.025である)で表される。ここで、Tiの金属モル比を示すBは、電池性能の点で0.1以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.05以下である。なお、化学組成についてはその効果を阻害しない限り、化学組成式に含まれるものとは別に、例えば、Mg、Ca、Na、K等のアルカリ金属、アルカリ土類金属を含有していてもよい。その含有量は、特に限定するものではないが、電池性能がより向上するため、200〜1000ppmが好ましく、300〜600ppmがさらに好ましい。
次に、本発明のニッケル−マンガン−チタン系複合組成物の製造方法について説明する。
本発明のニッケル−マンガン−チタン系複合組成物は、ニッケル及びマンガン、又はニッケル、マンガン、並びにMg、Al、Ti、V、Cr、Fe、Co、Cu、Zn及びZrから選ばれる1種以上を含む金属塩水溶液、酸化チタン、苛性ソーダ水溶液及び酸化剤として有酸素ガス又は過酸化水素水をpH8〜10で混合してニッケル−マンガン−チタン系複合組成物を晶析させることにより製造することができる。
金属塩水溶液は、少なくともニッケル及びマンガンを含み、さらにMg、Al、Ti、V、Cr、Fe、Co、Cu、Zn及びZrから選ばれる1種以上の金属を含むことができる。金属塩水溶液としては、ニッケル及びマンガン、さらに他の所定の金属を含む硫酸塩、塩化物、硝酸塩、酢酸塩などを溶解させた水溶液や、硫酸、塩酸、硝酸、酢酸などの無機酸にニッケル及びマンガン、さらに他の所定の金属を溶解した水溶液等を挙げることができる。好ましい金属塩水溶液として、硫酸ニッケル及び硫酸マンガンを含む水溶液を例示することができる。
また、金属塩水溶液中のニッケル、マンガン、他の所定の金属の割合は、目的とするニッケル−マンガン系複合オキシ水酸化物のニッケル、マンガン、他の所定の金属の割合となるようにすればよい。金属塩水溶液中のニッケル、マンガン、他の所定の金属の割合は、モル比でNi+M1:Mn+M2=0.25+α:0.75−α、Ni:M1=(0.25+α)−x:x、Mn:M2=(0.75−α)−y:y(但し、M1及びM2はそれぞれMg、Al、Ti、V、Cr、Fe、Co、Cu、Zn及びZrから選ばれる1種を表し、0≦x≦0.1、0≦y≦0.25であり、−0.025≦α≦0.025である)を挙げることができる。
金属塩水溶液中のニッケル、マンガンなどの全金属の合計濃度(金属濃度)は任意であるが、金属濃度は生産性に影響を及ぼすため、1.0mol/L以上が好ましく、2.0mol/L以上がさらに好ましい。
酸化チタンは二酸化チタン(TiO)であり、水に分散した懸濁液を用いたり、直接粉末で導入することができる。ニッケル−マンガン−チタン系複合組成物内の酸化チタンの分散性を向上させるためには、まず、懸濁液中の酸化チタンの分散・解こう性を向上させる必要がある。そのためには第一に、酸、アルカリを水に添加することによりpH調整する方法がある。この場合、晶析したニッケル−マンガン−チタン系複合組成物に不純物が残らないような酸、アルカリ剤が望ましく、例として硝酸やアンモニア水を挙げることができる。第二の方法として、界面活性剤を微量添加することにより分散・解こう性を向上させることができる。また、第3の方法として、粉砕機や超音波装置などにより、同じく分散・解こう性を増すことができるが、高額設備を伴う場合が多い。これらの3つの方法の中で、薬剤、設備などの費用と分散・解こう効果とを評価した場合、界面活性剤を添加する方法が費用対効果が高いことが判明した。以上から、酸化チタン懸濁液に界面活性剤を添加することが好ましい。
酸化チタン懸濁液に界面活性剤を添加する場合の界面活性剤としては、分散・解こう効果が高いものを選択するのは言うまでもないが、金属カチオンや硫酸塩など晶析したニッケル−マンガン−チタン系複合組成物に不純物が残らないものが好ましい。この点で界面活性剤種としてポリカルボン酸アンモニウム系が最適である。また、添加する界面活性剤は微量で十分な効果が得られる。界面活性剤/酸化チタン重量比で0.02以下、好ましくは0.01以下、さらに好ましくは0.0075以下を例示することができる。
苛性ソーダ水溶液は、水酸化ナトリウム水溶液であり、例えば、固形状水酸化ナトリウムを水溶させたものや食塩電解から生成した水酸化ナトリウム水溶液を濃度調製したもの等を用いることができる。
酸化剤は、有酸素ガス又は過酸化水素水である。酸化剤が有酸素ガス又は過酸化水素水でない場合(例えば、過硫酸ソーダ、塩素酸ソーダ等)は、目的とするオキシ水酸化物が得られない。有酸素ガスとしては、例えば、空気、酸素等を例示することができるが、経済上、空気が最も好ましい。空気や酸素などのガスはバブラーなどを用いてバブリングさせることで添加する。一方、過酸化水素水は金属塩水溶液や苛性ソーダ水溶液と同様に混合することができる。過酸化水素水の濃度としては、3〜30重量%を例示することができる。
金属塩水溶液、酸化チタン、苛性ソーダ水溶液及び酸化剤として有酸素ガス又は過酸化水素水をpH8.5〜10で混合することにより、本発明のニッケル−マンガン−チタン系複合組成物が晶析する。pH10を超えると、ニッケル、マンガン成分が水酸化カドミウム型構造以外の結晶相となり、微細粒子となりやすい。このような微細粒子は濾過・洗浄効率が低く、これにより著しく製造効率が低くなる。一方、pH8.5未満であると、α型オキシ水酸化物やスピネル型酸化物の混合相となり、ニッケル−マンガン−チタン系複合組成物が晶析しにくくなる。高い製造効率での製造を可能とするため、pH9〜10が好ましい。
金属塩水溶液、酸化チタン、苛性ソーダ水溶液及び酸化剤を混合するときの混合温度は特に限定するものではないが、金属塩水溶液の酸化反応が進みやすくなり、ニッケル−マンガン−チタン系複合組成物がより晶析しやすくなるため、50℃以上が好ましく、60℃以上がさらに好ましく、80℃以上が特に好ましい。
金属塩水溶液、酸化チタン、苛性ソーダ水溶液及び酸化剤の混合によりpHが変動する場合がある。この場合、適宜、苛性ソーダ水溶液以外のアルカリ水溶液を混合水溶液に混合することでpHを制御することができる。苛性ソーダ水溶液以外のアルカリ水溶液の混合は、連続的に行ってもよく、断続的に行ってもよい。苛性ソーダ水溶液以外のアルカリ水溶液としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属の水溶液が例示できる。また、アルカリ水溶液のアルカリ濃度は1mol/L以上を例示することができる。
なお、本発明のニッケル−マンガン−チタン系複合組成物の製造の際には、錯化剤を添加することができる。錯化剤を共存させると、ニッケルイオンの溶解度が増加し、粒子表面が平滑となり球形度が向上する。その結果、タップ密度が向上するといった利点がある。錯化剤としては、アンモニア、アンモニウム塩、アミノ酸が好適であり、アンモニアとしては、例えば、アンモニア水等が例示され、アンモニウム塩としては、例えば、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウム等が例示され、アミノ酸としては、例えば、グリシン等が例示される。該錯化剤は、金属イオンとともにフィードさせるのが好ましい。その濃度は、NH/遷移金属モル比として0.1〜2が好ましく、さらに好ましくは0.5〜1である。
本発明のニッケル−マンガン−チタン系複合組成物の製造は、雰囲気制御は必要なく、通常の大気雰囲気下で行うことが可能である。
ニッケル−マンガン−チタン系複合組成物が得られれば、製造はバッチ式、連続式のどちらでも可能である。バッチ式の場合、混合時間は任意である。例えば、3〜48時間が挙げられ、さらには6〜24時間を挙げることができる。一方、連続式の場合、ニッケル−マンガン−チタン系複合組成物が反応容器内に滞在する平均滞在時間を1〜30時間にするのが好ましく、3〜20時間がより好ましい。
本発明のニッケル−マンガン−チタン系複合組成物の製造方法では、ニッケル−マンガン−チタン系複合組成物が晶析した後に、ろ過、洗浄及び乾燥を行う。
ろ過では、一般的な固液分離操作を行うもので、特に制限はない。
洗浄では、ニッケル−マンガン−チタン系複合組成物に付着、吸着した不純物を除去する。洗浄方法としては、水(例えば、純水、水道水、河川水等)にニッケル−マンガン−チタン系複合組成物を添加し、これを洗浄する方法等が例示できる。
乾燥では、ニッケル−マンガン−チタン系複合組成物の水分を除去する。乾燥方法としては、例えば、ニッケル−マンガン−チタン系複合組成物を110〜150℃で2〜15時間で乾燥すること等が挙げられる。
本発明のニッケル−マンガン−チタン系複合組成物の製造方法では、ろ過、洗浄、乾燥後のニッケル−マンガン−チタン系複合組成物を焼成してもよい。焼成温度は適用する排ガス温度よりも高いことが望ましい。具体的には300℃以上であることが好ましく、450℃以上であることがより好ましく、一方、単斜晶ZrOとMn酸化物に分解するのを防止できるため、900℃以下が好ましい。焼成時間は特に制限はないが、極端に長時間にする必要はなく、例えば、5〜100時間、好ましくは5〜20時間が挙げられる。焼成の雰囲気については特に制限はないが、大気などの酸素雰囲気、窒素などの非酸素雰囲気が例示できるが、簡便であるため大気で行なうことが好ましい。焼成方法は特に制限されず、例えば、マッフル炉、ロータリーキルン、流動焼成炉等を使用した各種の焼成方法を用いることができる。
本発明のニッケル−マンガン−チタン系複合組成物の製造方法では、乾燥又は焼結した後に、粉砕を行ってもよい。
粉砕では、用途に適した平均粒子径の粉末とする。所望の平均粒子径となれば粉砕条件は任意であり、例えば、湿式粉砕、乾式粉砕等の方法で粉砕することが例示できる。
本発明のニッケル−マンガン−チタン系複合組成物は金属元素の分散性が比較的高く、化学的安定性も高いため、リチウム−ニッケル−マンガン−チタン系複合酸化物の製造に使用することができる。
本発明のニッケル−マンガン−チタン系複合組成物を原料として、リチウム−ニッケル−マンガン−チタン系複合酸化物を製造する場合、その製造方法は、ニッケル−マンガン−チタン系複合組成物とリチウム及びリチウム化合物の少なくとも一方とを混合する混合工程と、焼成工程とを有することが好ましい。
混合工程において、リチウム化合物は任意のものを用いることができる。リチウム化合物として、水酸化リチウム、酸化リチウム、炭酸リチウム、ヨウ化リチウム、硝酸リチウム、シュウ酸リチウム及びアルキルリチウムの群から選ばれる1種以上が例示できる。好ましいリチウム化合物として、水酸化リチウム、酸化リチウム及び炭酸リチウムの群から選ばれるいずれか1種以上が例示できる。
焼成工程において、原料を混合後に焼成してリチウム−ニッケル−マンガン−チタン系複合酸化物を製造する。焼成は500〜1000℃のいずれかの温度で、空気中、酸素中など各種の雰囲気で行うことができる。
このように得られたリチウム−ニッケル−マンガン−チタン系複合酸化物については、リチウム二次電池の正極活物質として用いられる。
本発明のリチウム二次電池に用いる負極活物質としては、金属リチウム、リチウムまたはリチウムイオンを吸蔵放出可能な物質を用いることができる。例えば、金属リチウム、リチウム/アルミニウム合金、リチウム/スズ合金、リチウム/鉛合金、電気化学的にリチウムイオンを挿入・脱離することができる炭素材料等が例示され、電気化学的にリチウムイオンを挿入・脱離することができる炭素材料が安全性および電池の特性の面から特に好適である。
本発明のリチウム二次電池で用いる電解質としても特に制限はなく、例えば、カーボネート類、スルホラン類、ラクトン類、エーテル顆等の有機溶媒中にリチウム塩を溶解したものや、リチウムイオン導電性の固体電解質を用いることができる。
本発明のリチウム二次電池で用いるセパレーターとしては、特に制限はないが、例えば、ポリエチレン製、ポリプロピレン製の微細多孔膜等を用いることができる。
以上のようなリチウム二次電池の構成の一例として、導電剤との混合物をペレット状に成型した後、100〜200℃で減圧乾燥して得られる成形物を電池用正極とし、金属リチウム箔からなる負極、およびエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒に六フッ化リン酸リチウムを溶解した電解液を用いたものが挙げられる。
本発明のニッケル−マンガン−チタン系複合組成物は、大気中で安定であり、長期間保管や乾燥時にマンガン酸化物(Mn)が副生しない。このように化学的に安定であり、低コストな酸化チタンを適度に分散した金属元素の分散性が高い前駆体といえる。また、本発明のニッケル−マンガン−チタン系複合組成物を前駆体としたリチウム−ニッケル−マンガン−チタン系複合酸化物を正極として使用するリチウム二次電池は高性能である。
実施例1のニッケル−マンガン−チタン−アルミニウム系複合組成物のSEM像である。 実施例2のニッケル−マンガン−チタン系複合組成物のSEM像である。 実施例3のニッケル−マンガン−チタン系複合組成物のSEM像である。 実施例1のニッケル−マンガン−チタン−アルミニウム系複合組成物のXRDパターンである。 実施例2のニッケル−マンガン−チタン系複合組成物のXRDパターンである。 実施例3のニッケル−マンガン−チタン系複合組成物のXRDパターンである。 実施例1のニッケル−マンガン−チタン系複合組成物の断面のSEM像とNi、Mn、Ti、AlのEDS元素マッピング像である。 実施例2のニッケル−マンガン−チタン系複合組成物の断面のSTEM像とNi、Mn、TiのEDS元素マッピング像である。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、これらに限定されるものではない。
<化学組成の測定>
得られたニッケル−マンガン−チタン系複合組成物の組成分析は誘導結合プラズマ発光分析法(ICP法)により行った。すなわち、得られたニッケル−マンガン−チタン系複合組成物と硫酸とをオートクレーブに入れ加圧酸分解することにより、測定溶液を調製した。一般的な誘導結合プラズマ発光分析装置(商品名:OPTIMA3000DV、PERKIN ELMER製)を用い、得られた測定溶液を測定することで、得られたニッケル−マンガン−チタン系複合組成物の組成を分析した。
<金属原子価の測定>
ニッケル、マンガンなどの金属の平均原子価をヨードメトリーにより測定した。得られたニッケル−マンガン−チタン系複合組成物0.3gとヨウ化カリウム3.0gを7N−塩酸溶液50mlに溶解させた後、1N−NaOH溶液200mlを添加し、中和した。中和した試料液に対して、0.1N−チオ硫酸ナトリウム水溶液を滴下し、滴下量から平均原子価を計算した。なお、指示薬にはでんぷん溶液を用いた。
<粉末X線回折測定>
一般的なX線回折装置(商品名:MXP−3、マックサイエンス社製)を使用し、試料の粉末X線回折測定を行った。線源にはCuKα線(λ=1.5405Å)を用い、測定モードはステップスキャン、スキャン条件は毎秒0.04°、計測時間は3秒、及び、測定範囲は2θとして5°から100°の範囲で測定した。
<結晶相の同定>
上記の条件のXRD測定で得られたXRDパターンにおいて、2θ=19.0±0.5°にシャープなピークを有し、36.9±1.5°、48.0±3.5°、62.0±5.0°、65.0±5.0°にブロードなXRDピークを有することをもって、水酸化カドミウム構造とみなした。最低角以外のピーク形状がブロードであるのは積層欠陥の影響である。また、二酸化チタンについては、XRDパターンにおいて2θ=27.0±2.0°にシャープなメインピークを有する。
<粒度分布、平均粒子径の測定>
得られたニッケル−マンガン−チタン系複合組成物0.5gを0.1Nアンモニア水50mL中に投入し、10秒間超音波照射して分散スラリーとした。当該分散スラリーを粒度分布測定装置(商品名:マイクロトラックHRA、HONEWELL製)に投入し、レーザー回折法で体積分布の測定を行なった。得られた体積分布から粒度分布及び平均粒子径(μm)を求めた。
<タップ密度の測定>
得られたニッケル−マンガン−チタン系複合組成物2gを10mLのガラス製メスシリンダーに充填し、これを200回タッピングした。重量およびタッピング後の体積から、タップ密度(g/cm)を算出した。
<比表面積の測定>
流動式比表面積自動測定装置(商品名:フローソーブ3−2305、Micrometrics社製)を用い、得られたニッケル−マンガン−チタン系複合組成物1.0gを窒素気流中150℃、1時間前処理した後、BET1点法にて吸脱着面積を測定した後、重量で除することで比表面積(m/g)を求めた。
<粒子内の元素分布評価>
得られたニッケル−マンガン−チタン系複合組成物を樹脂包埋した後、イオンミリングにより切断し、粒子断面のSEM観察とEDSによる元素マッピングを行った。SEM観察は、走査電子顕微鏡(商品名:JSM−7600F、日本電子製)、EDSは、EDS検出器(商品名:NSS312E、サーモフィッシャーサイエンティフィック製)を用いた。
また、STEM−EDSマッピングも行った。ニッケル−マンガン−チタン系複合組成物を乳鉢で粉砕した後、アセトン中で超音波分散し、マイクログリッド上で乾燥させたものを測定試料とした。STEMは、透過型電子顕微鏡(商品名:JEM−2100F、日本電子製)、EDSは、EDS検出器(商品名:JED−2300T、日本電子製)を用いた。
<電池性能評価>
リチウム−ニッケル−マンガン−チタン系複合酸化物の正極としての電池特性試験を行った。
リチウム−ニッケル−マンガン−チタン系複合酸化物と導電剤のポリテトラフルオロエチレンとアセチレンブラックとの混合物(商品名:TAB−2)とを重量比で4:1の割合で混合し、1ton/cmの圧力でメッシュ(SUS316製)上にペレット状に成型した後、150℃で減圧乾燥し、電池用正極を作製した。得られた電池用正極と、金属リチウム箔(厚さ0.2mm)からなる負極、およびエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒に六フッ化リン酸リチウムを1mol/dmの濃度で溶解した電解液を用いてリチウム二次電池を構成した。当該リチウム二次電池を用いて定電流で電池電圧が4.9Vから3.0Vの間室温下で30サイクル充放電させた。充放電時の電流密度は0.4mA/cmとした。
実施例1
硫酸ニッケル、硫酸マンガン、硫酸アルミニウムを純水に溶解し、Ni:Mn:Alモル比=0.505:1.474:0.021の金属塩水溶液とした(金属塩水溶液中の全金属の合計濃度は2.0mol/Lであった)。
一方で二酸化チタン(商品名:A120、堺化学工業製)とポリアクリル酸アンモニウム系界面活性剤(サンノプコ、SNディスパーサント5020)とを純水に溶解させることにより酸化チタン懸濁液を調製した。懸濁液中の二酸化チタンの重量分率2.5%、界面活性剤/二酸化チタン重量比率0.6%とした。
また、内容積1Lの反応容器に純水200gを入れた後、これを70℃まで昇温、維持した。
ニッケル、マンガン、アルミニウムを含む当該金属塩水溶液を供給速度1.04g/minで、酸化チタン懸濁液を0.20g/minでそれぞれ反応容器に添加した。また、酸化剤として空気を供給速度1L/minで反応容器中にバブリングした。原料液及び空気供給の際、pHが9.25となるように、20wt%水酸化ナトリウム水溶液(苛性ソーダ水溶液)を断続的に添加することで混合して、ニッケル−マンガン−チタン−アルミニウム系複合組成物が晶析し、スラリーを得た。得られたスラリーをろ過、洗浄した後、洗浄後のウェットケーキを1週間大気中で風乾し、その後115℃で5時間乾燥することでニッケル−マンガン−チタン−アルミニウム系複合組成物を得た。
得られたニッケル−マンガン−チタン−アルミニウム系複合組成物のXRDパターンは2θ=19.0°にシャープなピークを有し、2θ=40°以降にブロードなピークが確認された。また、2θ=25.4°に比較的弱いがルチル型二酸化チタンに帰属可能なシャープなピークが現れた。したがって、その結晶構造は、積層欠陥を有する水酸化カドミウム構造とルチル型酸化チタンとの混合相であった。
当該ニッケル−マンガン−チタン−アルミニウム系複合組成物の測定結果を表1に示す。表1から、タップ密度が比較的高いことが分かる。
Figure 0006686493
硫酸ニッケル、硫酸マンガンを純水に溶解し、Ni:Mnモル比=0.521:1.479の金属塩水溶液とした(金属塩水溶液中の全金属の合計濃度は2.0mol/L)。
また、二酸化チタン(商品名:A120、堺化学工業製)を純水に分散させることにより酸化チタン懸濁液を調製した。懸濁液中の二酸化チタンの重量分率2.5%とした。
次に、内容積1Lの反応容器に純水200gを入れた後、これを70℃まで昇温、維持した。
ニッケル、マンガンを含む当該金属塩水溶液を供給速度1.04g/minで、酸化チタン懸濁液を0.27g/minでそれぞれ反応容器に添加した。また、酸化剤として空気を供給速度1L/minで反応容器中にバブリングした。原料液及び空気供給の際、pHが9.25となるように、20wt%水酸化ナトリウム水溶液(苛性ソーダ水溶液)を断続的に添加することで混合して、ニッケル−マンガン−チタン系複合組成物が晶析し、スラリーを得た。得られたスラリーをろ過、洗浄した後、洗浄後のウェットケーキを1週間大気中で風乾し、その後115℃で5時間乾燥することでニッケル−マンガン−チタン系複合組成物を得た。
得られたニッケル−マンガン系複合オキシ水酸化物のXRDパターンは2θ=19.0°にシャープなピークを有し、2θ=40°以降にブロードなピークが確認された。また、2θ=25.4°に比較的弱いがルチル型二酸化チタンに帰属可能なシャープなピークが現れた。したがって、その結晶構造は、積層欠陥を有する水酸化カドミウム構造とルチル型酸化チタンとの混合相であった。
当該ニッケル−マンガン−チタン系複合組成物の測定結果を表1に示す。表1から、タップ密度が比較的高いことが分かる。
実施例3
原料液の1つに0.25mol/Lのグリシン溶液を追加し、0.35g/minで添加したこと以外は実施例2と同様な方法でスラリーを得た。得られたスラリーをろ過、洗浄した後、乾燥することでニッケル−マンガン−チタン系複合組成物を得た。
得られたニッケル−マンガン系複合オキシ水酸化物のXRDパターンは2θ=19.0°にシャープなピークを有し、2θ=40°以降にブロードなピークが確認された。また、2θ=25.4°に比較的弱いがルチル型二酸化チタンに帰属可能なシャープなピークが現れた。したがって、その結晶構造は、積層欠陥を有する水酸化カドミウム構造とルチル型酸化チタンとの混合相であった。
当該ニッケル−マンガン−チタン系複合組成物の測定結果を表1に示す。表1から、タップ密度が比較的高いことが分かる。
実施例4
実施例1で得られたニッケル−マンガン−チタン−アルミニウム系複合組成物と炭酸リチウムとを混合し、空気流中、900℃で10時間焼成した後、700℃で48時間焼成することにより、リチウム‐ニッケル−マンガン−チタン−アルミニウム系複合酸化物を合成した。化学組成分析の結果から、組成式はLi1.00Ni0.48Mn1.44Ti0.06Al0.02と表すことができた。また、XRDパターンからは、全ての回折ピークは立方晶スピネル構造に帰属可能であり、微小な超格子ピークも確認された。さらに、Rietveld法で構造精密化し、格子定数を求めたところ8.180Å(空間群Fd3−m)となった。
当該リチウム‐ニッケル−マンガン−チタン−アルミニウム系複合酸化物の電池性能評価を行った。測定結果を表2に示す。初期放電容量は129mAh/g、1サイクル目と30サイクル目の放電容量の放電容量比率(30サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)は98.6%であることから、充放電サイクル性能は良好であることが分かった。
Figure 0006686493
実施例5
実施例2で得られたニッケル−マンガン−チタン系複合組成物と炭酸リチウムとを混合し、空気流中、900℃で10時間焼成した後、700℃で48時間焼成することにより、リチウム‐ニッケル−マンガン−チタン系複合酸化物を合成した。化学組成分析の結果から、組成式はLi1.00Ni0.50Mn1.41Ti0.09と表すことができた。また、XRDパターンからは、全ての回折ピークは立方晶スピネル構造に帰属可能であり、微小な超格子ピークも確認された。さらに、Rietveld法で構造精密化し、格子定数を求めたところ8.187Å(空間群Fd3−m)となった。
当該リチウム‐ニッケル−マンガン−チタン系複合酸化物の電池性能評価を行った。測定結果を表2に示す。初期放電容量は128mAh/g、放電容量比率は98.8%であることから、充放電サイクル性能は良好であることが分かった。
比較例
硫酸ニッケル、硫酸マンガンを純水に溶解し、Ni:Mnモル比=0.521:1.479の金属塩水溶液とした(金属塩水溶液中の全金属の合計濃度は2.0mol/L)。
次に、内容積1Lの反応容器に純水200gを入れた後、これを70℃まで昇温、維持した。
ニッケル、マンガンを含む当該金属塩水溶液を供給速度1.04g/minで、反応容器に添加した。また、酸化剤として空気を供給速度1L/minで反応容器中にバブリングした。原料液及び空気供給の際、pHが9.25となるように、20wt%水酸化ナトリウム水溶液(苛性ソーダ水溶液)を断続的に添加することで混合して、ニッケル−マンガン系複合組成物が晶析し、スラリーを得た。得られたスラリーをろ過、洗浄した後、洗浄後のウェットケーキを1週間大気中で風乾し、その後115℃で5時間乾燥することでニッケル−マンガン系複合組成物を得た。
得られたニッケル−マンガン系複合オキシ水酸化物のXRDパターンは2θ=19.0°にシャープなピークを有し、2θ=40°以降にブロードなピークが確認された。したがって、その結晶構造は、積層欠陥を有する水酸化カドミウム構造であった。
当該ニッケル−マンガン系複合組成物と炭酸リチウムと二酸化チタン(商品名:A120、堺化学工業製)とを混合し、空気流中、900℃で10時間焼成した後、700℃で48時間焼成することにより、リチウム‐ニッケル−マンガン−チタン系複合酸化物を合成した。化学組成分析の結果から、組成式はLi1.00Ni0.50Mn1.42Ti0.08と表すことができた。また、XRDパターンからは、全ての回折ピークは立方晶スピネル構造に帰属可能であり、微小な超格子ピークも確認された。さらに、Rietveld法で構造精密化し、格子定数を求めたところ8.176Å(空間群Fd3−m)となった。
当該リチウム‐ニッケル−マンガン−チタン系複合酸化物の電池性能評価を行った。測定結果を表2に示す。初期放電容量は129mAh/g、放電容量比率は95.4%であることから、充放電サイクル性能は実施例4、5に比べて低いことが明らかである。
本発明のニッケル−マンガン−チタン系複合組成物は、リチウム二次電池の正極活物質などに用いられるリチウム−ニッケル−マンガン−チタン系複合酸化物の前駆体として使用することができ、そのリチウム−ニッケル−マンガン−チタン系複合酸化物を電池用正極として使用した高性能なリチウム二次電池を構成することが可能となる。

Claims (11)

  1. 化学組成式がNi(0.25+α)−xM1Mn(0.75−α)−yM2OOH(但し、M1及びM2はそれぞれMg、Al、Ti、V、Cr、Fe、Co、Cu、Zn及びZrから選ばれる1種を表し、0≦x≦0.1、0≦y≦0.25であり、−0.025≦α≦0.025である)で表され、結晶構造が水酸化カドミウム型構造であるニッケル−マンガン系複合オキシ水酸化物と、酸化チタンと、界面活性剤を含むことを特徴とするニッケル−マンガン−チタン系複合組成物。
  2. Ni、Mn、M1及びM2の平均原子価が2.8〜3.1であることを特徴とする請求項1に記載のニッケル−マンガン−チタン系複合組成物。
  3. 平均粒子径が5〜20μmであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のニッケル−マンガン−チタン系複合組成物。
  4. 酸化チタンの一次粒径が1μm未満であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかの項に記載のニッケル−マンガン−チタン系複合組成物。
  5. 界面活性剤がポリカルボン酸アンモニウムであることを特徴とする請求項1に記載のニッケル−マンガン−チタン系複合組成物。
  6. ニッケル及びマンガンを含む金属塩水溶液、酸化チタン、苛性ソーダ水溶液及び酸化剤として有酸素ガス又は過酸化水素水をpH8〜10で混合するものであり、酸化チタンが界面活性剤を含む酸化チタン懸濁液であることを特徴とする請求項1〜請求項のいずれかの項に記載のニッケル−マンガン−チタン系複合組成物の製造方法。
  7. 界面活性剤がポリカルボン酸アンモニウムであることを特徴とする請求項6に記載のニッケル−マンガン−チタン系複合組成物の製造方法。
  8. さらに錯化剤を添加することを特徴とする請求項6又は請求項7に記載のニッケル−マンガン−チタン系複合組成物の製造方法。
  9. 錯化剤がアンモニア、アンモニウム塩及びアミノ酸から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項8に記載のニッケル−マンガン−チタン系複合組成物の製造方法。
  10. 請求項1〜請求項のいずれかの項に記載のニッケル−マンガン−チタン系複合組成物とリチウム化合物を混合し、熱処理することを特徴とするリチウム−ニッケル−マンガン−チタン系複合酸化物の製造方法。
  11. 請求項10に記載のリチウム−ニッケル−マンガン−チタン系複合酸化物の製造方法で得られたリチウム−ニッケル−マンガン−チタン系複合酸化物を正極活物質として用いることを特徴とするリチウム二次電池の製造方法
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