JP6681331B2 - 注射針組立体、薬剤注射装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ロック機構を有する薬剤排出部に接続されて固定される注射針組立体に関し、また、ロック機構を有する薬剤注射装置に関する。
薬剤注射装置には、注射用の薬剤を収容するシリンジなどの薬剤容器と、注射針を有する注射針組立体が別体で形成されていて、注射を行うときに、シリンジなどの薬剤容器の筒先のルアー部に注射針組立体を装着して用いられるものがある。
シリンジの薬剤排出部(ルアー部)への注射針組立体の装着は、一般にテーパ嵌合で行われる。具体的には、薬剤排出部を先端に向かうにつれて外径が連続的に小さくなる雄型のテーパ形状(円錐台状)に形成する。一方、注射針組立体には、筒孔を有する嵌入部を設け、この嵌入部を、薬剤排出部に対応する大きさで、筒孔の開口端側から連続的に内径が小さくなる雌型のテーパ形状(円錐台状の孔)に形成する。雄型のテーパ形状及び雌型のテーパ形状は同じテーパ率で形成する。そして、注射針組立体の嵌入部に薬剤排出部を挿入し、押し込むことで、互いのテーパ部分の面同士が擦れ合ってしっかりと嵌り合い、液密に固定される。
このように、テーパ嵌合で固定される薬剤注射装置において、さらに、ロック機構(ルアーロックアダプタ)を有する構成が種々提案されている(特許文献1参照)。特許文献1では、シリンジ(外筒)の先端に設けられた薬剤排出部(ルアー)に雌ネジを有するロック機構が取り付けられており、このロック機構の雌ネジにキャップに設けられた雄ネジを螺合することで、シリンジとキャップとを固定する構成が開示されている。
このロック機構の技術は、シリンジにキャップや注射針組立体が装着された薬剤注射装置に限らず、シリンジに医療用チューブ等の被接続部材を接続して用いる医療器具など、輸液を行うための医療器具の接続部分に用いられている。
特開2009−240684号公報
ところで、テーパ嵌合で固定される薬剤注射装置等の医療器具では、使用者が強い力で薬剤排出部を嵌入部に押し込んだ場合にロック機構が破壊され、ロック機構自体が薬剤排出部から外れてしまうという問題があった。ロック機構が薬剤排出部から外れた場合、薬剤排出部に注射針組立体などの医療器具を確実に取り付けることができない。
そこで、本発明は、ロック機構を破壊することなく、確実に薬剤排出部に取り付けることができる注射針組立体、及び、その注射組立体を備える薬剤注射装置を提供
することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の注射針組立体は、外径が先端に向かうにつれて小さくなる雄型のテーパ形状で形成された筒状の薬剤排出部と薬剤排出部の近傍に固定された第1螺子部を有するロック機構とを備える薬剤容器に接続される注射針組立体であって、皮膚に穿刺される針先を有する針管と、針管を保持する保持部と、薬剤排出部が挿入される雌型のテーパ形状で形成され、外周面に第1螺子部に螺合する第2螺子部を有する嵌入部と、薬剤排出部が嵌入部に挿入され第1螺子部と第2螺子部が螺合したときに、ロック機構に当接することで薬剤排出部の嵌入部への押し込みを制限する制限部とを有する。
本発明の薬剤注射装置は、外径が先端に向かうにつれて小さくなる雄型のテーパ形状で形成された筒状の薬剤排出部、及び、薬剤排出部の近傍に固定された第1螺子部を有するロック機構を備えるシリンジと、シリンジに接続される注射針組立体であって、針管と、針管を保持する保持部と、薬剤排出部が挿入される雌型のテーパ形状で形成され、外周面に第1螺子部に螺合する第2螺子部を有する嵌入部と、薬剤排出部が嵌入部に挿入され第1螺子部と第2螺子部が螺合したときに、ロック機構に当接することで薬剤排出部の嵌入部への押し込みを制限する制限部とを有する注射針組立体とを有する。
本発明によれば、ロック機構を破壊することなく、注射針組立体などの医療器具に薬剤排出部を確実に取り付けることができる。
本発明の第1の実施形態に係る薬剤注射装置の分解側面図である。 本発明の第1の実施形態に係る薬剤注射装置の要部を拡大して示した断面図である。 第1部材の嵌入部の部分の拡大断面図である。 注射針組立体にシリンジの薬剤排出部を嵌め込んで薬剤注射装置を組み立てる様子(その1)を示した図である。 注射針組立体にシリンジの薬剤排出部を嵌め込んで薬剤注射装置を組み立てる様子(その2)を示した図である。 比較例に係る薬剤注射装置の概略断面図である。 比較例の薬剤注射装置において、薬剤排出部を嵌入部に押し込む力と、薬剤排出部の嵌入部への挿入距離について測定した結果を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る薬剤注射装置の断面構成図である。 本発明の第2の実施形態に係る薬剤注射装置を組み立てたときの概略断面構成図である。
以下、本発明の実施形態に係る注射針組立体及び薬剤注射装置の一例を、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではない。本明細書における説明は、以下の順序で行う。
1.第1の実施形態
1−1.注射針組立体及び薬剤注射装置の構成
1−2.薬剤注射装置の組み立て方法
2.第2の実施形態
《1.第1の実施形態》
〈1−1.注射針組立体及び薬剤注射装置の構成〉
[薬剤注射装置]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る薬剤注射装置の分解側面図であり、図2は、図1に示した薬剤注射装置の要部を拡大して示した断面図である。薬剤注射装置1は、針先を皮膚の表面に穿刺し、薬剤の注射に用いられるものである。本実施形態では、一例として、皮膚上層部に薬剤を注射する皮内注射用の薬剤注射装置1を示している。
ここで、皮膚は、表皮と、真皮と、皮下組織の3部分から構成される。表皮は、皮膚表面から50〜200μm程度の層であり、真皮は、表皮から続く1.5〜3.5mm程度の層である。インフルエンザワクチンは、一般的に皮下投与もしくは筋肉内投与であるため、皮膚の下層部もしくはそれよりも深い部分に投与されている。
一方、免疫担当細胞が多く存在する皮膚上層部を標的部位として、インフルエンザワクチンを投与することにより、ワクチンの投与量を減少させることが検討されている。なお、皮膚上層部とは、皮膚のうちの表皮と真皮を指す。本実施形態の薬剤注射装置1は、このような皮膚上層部を標的部位とした皮内注射用の薬剤注射装置1である。
本実施形態の薬剤注射装置1は、図1に示すように、注射針組立体2と、注射針組立体2が着脱可能に装着されるシリンジ3とを有している。シリンジ3には、図示を省略するが、薬剤を押し出すための押し子が挿入されている。また、シリンジ3の注射針組立体2に接続される側の端部には、ロック機構5が設けられている。
[シリンジ]
シリンジ3は、シリンジ本体4と、このシリンジ本体4に連続する薬剤排出部6を備えている。シリンジ本体4は、円筒部材で構成されており、図2に示すように、筒内部が薬剤を収容する薬剤収容部7になっている。薬剤排出部6は、シリンジ本体4の軸方向の一端に設けられており、薬剤収容部7に繋がる筒状の部材で構成されている。
薬剤排出部6は、外径がシリンジ本体4よりも小さく、先端に向かうにつれて小さくなる雄型のテーパ形状で形成されている。ここで、テーパ率は、例えば100mm当たりの直径がAmm細くなるとき、A/100のように分数、又は、A%のように百分率で表される。本実施形態では、薬剤排出部6を構成する雄型のテーパ形状は、N/100で構成され、具体的には、ISO594−1やISO594−2に準拠して、ルアーテーパとも呼ばれるN=6で形成されている。
また、図2に示すように、薬剤排出部6の筒孔9の先端側には、筒孔9の径が拡径された拡張部8が設けられている。この拡張部8の深さ、すなわち、薬剤排出部6の先端6aから拡張部8の軸方向の端面8aまでの長さは、0.1mm〜0.5mm程度に形成されている。薬剤のデッドボリュームを最小限に抑える為、薬剤排出部6の筒孔9の径は、小さく構成されているため、シリンジ3と注射針組立体2とを組み立てた場合、後述する針管12の後端12bと薬剤排出部6の筒孔9との距離が狭まる。そうすると、針管12の後端12bが薬剤排出部6の筒孔9に傷を付けるおそれがある。本実施形態では、拡張部8を形成することで、シリンジ3と注射針組立体2とを接続して薬剤注射装置1を組み立てたときに、後述する針管12の後端12bが薬剤排出部6の筒孔9内周面に衝突して筒孔9に傷が発生してしまうのを防ぐことができる。
薬剤排出部6の先端6aには、その軸心方向に直交する平坦面が形成され、その平坦面の外形、つまり、薬剤排出部6の先端外縁は円形に形成されている。薬剤排出部6の先端の平坦面と、薬剤排出部6の側面(テーパ形状の側面)とが薬剤排出部6の先端外縁で繋がっている。この薬剤排出部6の先端の平坦面は、注射針組立体2に取り付けたときに、注射針組立体2の弾性部材16の端面に液密に当接する。また、薬剤排出部6のシリンジ本体4側の端部(以下、後端)の外周面には、後述するロック機構5の嵌合爪11aが嵌入される凹部6bが設けられている。
シリンジ本体4及び薬剤排出部6は一例として、合成樹脂(プラスチック)で形成されている。この合成樹脂の材質としては、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、シクロオレフィンポリマー等が挙げられる。
[ロック機構]
ロック機構5は、薬剤排出部6の外周面を覆うように設けられており、後述する注射針組立体2に固定されるロック本体部10と、ロック本体部10を薬剤排出部6に取り付けるためのロック機構固定部11とを備える。
ロック本体部10は、薬剤排出部6を同軸で取り囲む筒状の部材で構成されており、ロック本体部10は、内周が円形であり、外周は使用者が手で回しやすいようにするため、一例として六角形状で形成されている。ロック本体部10の内周面には、第1螺子部である雌ネジ部23が形成されている。この雌ネジ部23は、後述する注射針組立体2の嵌入部18に形成される雄ネジ部(第2螺子部)21と螺合可能に形成されている。本実施形態では、雌ネジ部23は、二重螺旋状の螺子溝で形成されている。
ロック機構固定部11は、ロック本体部10のシリンジ本体4側の端部において、ロック本体部10と一体に設けられている。ロック機構固定部11は、ロック本体部10の内径を縮径するように設けられた中空円盤状の部材で構成され、ロック機構固定部11の薬剤排出部6に対向する内周面には、薬剤排出部6に嵌合する嵌合爪11aがもうけられている。ロック機構固定部11の内径は、薬剤排出部6の外径よりもやや大きく構成されている。嵌合爪11aは、ロック機構固定部11の薬剤排出部6に対向する内周面から径方向に突出するように設けられ、複数の嵌合爪11aがロック機構固定部11の内周面に等間隔で設けられている。
このような構成のロック機構5は、シリンジ3とは別部材で構成されており、薬剤排出部6の後端の外周面に設けられた凹部6bに嵌合爪11aが嵌入することで、薬剤排出部6に対するロック機構5の軸方向の動きと回転方向の動きの両方が制限されている。ロック機構5は、シリンジ本体4及び薬剤排出部6と同様の材料を用いて形成することができる。
[注射針組立体]
注射針組立体2は、針管12と、針管12を保持する針ハブ13とで構成されている。また、注射針組立体2にシリンジ3を接続する前は、注射針組立体2は図4に示すように、キャップ50に着脱可能に取り付けられている。
針管12は、ISOの医療用針管の基準(ISO9626:1991/Amd.1:2001(E))で26〜33ゲージのサイズ(外径0.2〜0.45mm)のものを使用し、好ましくは30〜33ゲージのものを使用する。また、外径0.12〜0.45mm、内径0.07〜0.4mmのものが好ましい。
針管12の先端には、刃面を有する針先12aが設けられている。以下、針先12aとは反対側である針管12の他端を「後端12b」という。刃面における針管12の軸方向の長さ(以下、「ベベル長」という)は、後述する皮膚上層部の最薄の厚さである1.4mm(成人)以下であればよく、また、33ゲージの針管に短ベベルを形成したときのベベル長である約0.5mm以上であればよい。つまり、ベベル長は、0.5〜1.4mmの範囲に設定されるのが好ましい。
さらに、ベベル長は、皮膚上層部の最薄の厚さが0.9mm(小児)以下、すなわち、ベベル長Bが0.5〜0.9mmの範囲であればなおよい。なお、短ベベルとは、注射用針に一般的に用いられる、針の長手方向に対して18〜25°をなす刃面を指す。
針管12の材料としては、例えば、ステンレス鋼を挙げることができるが、これに限定されるものではなく、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金その他の金属を用いることができる。また、針管12は、ストレート針だけでなく、少なくとも一部がテーパ状となっているテーパ針を用いることができる。テーパ針としては、針先端部に比べて基端部が大きい径を有しており、その中間部分をテーパ構造とすればよい。また、針管12の断面形状は、円形だけでなく、三角形等の多角形であってもよい。
針ハブ13は、シリンジ3の薬剤排出部6が嵌入される嵌入部18が設けられた第1部材14と、針管12を保持する第2部材15(本発明の保持部)と、薬剤注射装置1の組み立て時に薬剤排出部6と第2部材15との間に挟まれる弾性部材16とから構成されている。本実施形態では、針ハブ13を構成する第1部材14と第2部材15とは、別部材で形成されているが、一体に形成することもできる。
[第1部材]
第1部材14は、全体に略円筒形状に形成されている。第1部材14では、薬剤排出部6が嵌入される側から順に、薬剤排出部6が嵌入部18に挿入されたときにロック機構5に当接し、雌ネジ部23と雄ネジ部21との螺合による嵌合爪11aにかかる力を制限す
る制限部17、薬剤排出部6が嵌入される嵌入部18、弾性部材16が挿入される中間部19、及び、第2部材15が挿入される挿入部20が形成されている。
嵌入部18の筒孔18bは、シリンジ3の薬剤排出部6に対応した大きさに設定されており、その一端側の開口端が薬剤排出部6に嵌入される嵌入口18aになっている。また、嵌入部18は、嵌入口18a端部から挿入部20側に至るにつれて連続的に径が小さくなっている。
図3は、第1部材14の嵌入部18部分の拡大断面図である。図3を用いて、嵌入部18及び制限部17の構成についてさらに詳述する。嵌入部18は、その筒孔18bの内壁に、薬剤排出部6に嵌合する嵌合壁18cを有している。図3に示すように、嵌入部18は、嵌入口18a側の筒孔18bの内壁にガイド壁18dを有していることが好ましい。嵌合壁18cは、筒孔18bの内径が嵌入口18a側から挿入部20側に向かうにつれて連続的に小さくなる雌型のテーパ形状に形成されている。このテーパ形状は、M>NとしてM>100のテーパ率で形成されている。Mは正数である。この例では、前述した薬剤排出部6の外径のテーパ率がN/100(本実施形態ではN=6)であることに対応させて、Mが6よりも大きな値になっている。
嵌合壁18cは、筒孔18bの内径がシリンジ3の薬剤排出部6に嵌合可能になるように形成されている。薬剤排出部6の先端の直径をK、嵌合壁18cの嵌入口18a側の直径(最大径)をDmax、嵌合壁18cの挿入部20側の直径(最小径)をDminとしたときに、Dmax>K>Dminの関係になるように嵌合壁18c部分の筒孔18bを形成する。筒孔18bの直径がKになる位置よりも若干、挿入部20側の位置に嵌合した薬剤排出部6の先端が位置するようになる。嵌合壁18cの嵌合長さ(嵌合壁18cの嵌入口18a側端から接続完了時に薬剤排出部6の先端が停止する位置までの距離)は、1.8〜4.8mm、好ましくは2.3〜2.8mmである。
ガイド壁18dは、嵌入口18a側の筒孔18bの内径を拡張して形成されている。このガイド壁18dは、筒孔18b全体をM/100のテーパ率の嵌合壁18cで形成した場合よりも、嵌入口18a側の筒孔18bの内径を短く形成されることが好ましい。ガイド壁18dは、筒孔18bの内径が嵌入口18a側から挿入部20側に向かうにつれて小さくなるテーパ形状で形成することが好ましい。このときのテーパ率をM2とするとM2≦Nが好ましい。
ガイド壁18dの軸線方向の長さは、嵌合壁18cの軸線方向の長さをLとしたときに一例として、0.5L〜2L程度の長さで形成する。
また、薬剤排出部6の先端に傷がつくことによる薬液漏れを防ぐため、ガイド壁18dと嵌合壁18cとが段差状に繋がらないようにすることが好ましい。すなわち、図3に示すように、ガイド壁18dの挿入部20側端部と嵌合壁18cの嵌入口18a側端部を結ぶ接続壁18eが、テーパ形状あるいは曲面で形成されており、断面において接続壁18eの薬剤排出部6の軸方向に対する角度dが、鈍角(90°<d<180°)に形成されていることが好ましく、120°≦d≦180°に形成されていることがより好ましい。
嵌入部18の外周面には、ロック機構5の雌ネジ部23が螺合される第2螺子部(以下、雄ネジ部21)が形成されている。本実施形態では、雄ネジ部21は、二重螺旋状の螺子山で形成されている。なお、雄ネジ部21は一重螺旋状の螺子であってもよい。
制限部17は、嵌入部18の嵌入口18a端部に設けられ、嵌入部18の筒孔18bに連続する筒孔を有する円筒部材で構成されている。制限部17の外周面と嵌入部18の外周面は連続する面で構成されており、その外径は嵌入部18の嵌入口18a側の外径と略同じに形成されている。また、制限部17の内周面と嵌入部18の内周面は段差を形成し、その内径は、嵌入部18の嵌入口18aにおける内径よりもやや大きく形成されている。
そして、制限部17の軸方向の長さは、薬剤注射装置1の組み立て時において、ロック機構5のロック機構固定部11に当接するように設定されている。制限部17は、シリンジ3の薬剤排出部6を注射針組立体2の嵌入部18に押し込み、注射針組立体2を薬剤排出部6に対して相対的に回転させることにより、雄ネジ部21と雌ネジ部23を螺合させて組み立てる際に、ロック機構5の嵌合爪11aにかかる力を相殺するために設けられた部位である。この制限部17の機能については後で詳述する。
次に、図2に戻って挿入部20の構成について説明する。挿入部20の筒孔22は、第2部材15のベース部33に対応した大きさに設定されている。挿入部20には、後述する第2部材15の接続片24に接続される固定片34が設けられている。この固定片34は、挿入部20の先端に連続して半径外方向に突出するリング状のフランジとして形成されている。固定片34には、第2部材15に設けた接続片24の平面24bが当接し、固着される。固定片34と接続片24の固着方法としては、例えば、接着剤、超音波溶着、レーザ溶着、固定ネジ等を挙げることができる。
中間部19は、挿入部20と嵌入部18との間に設けられ、挿入部20の筒孔22よりも径の小さい筒孔26で構成されている。挿入部20を構成する筒孔22と中間部19を構成する筒孔26との境界にある段差面は、弾性部材16が係合する係合部26aとなる。この係合部26aには、弾性部材16の後述するフランジ部42が係合さる。
[第2部材]
第2部材15には、皮膚と対向及び/又は接触する皮膚接触部30が設けられている。皮膚接触部30は、第2部材15に針管12を取り付けた際に、針管12の周囲を覆うように配置される。この皮膚接触部30は、略円柱状のベース部33と、調整部31と、安定部36と、ガイド部32とを有する。
ベース部33は、軸方向に垂直な端面33a,33bを有している。調整部31は、ベース部33の軸方向の一端側の端面33aの中央部に設けられており、ベース部33の軸方向に突出する円柱状の凸部からなっている。この調整部31の軸心は、ベース部33の軸心と一致している。
ベース部33及び調整部31の軸心には、針管12が貫通する貫通孔25が設けられている。そして、ベース部33には、貫通孔25に接着剤(図示を省略する)を注入するための注入穴35が設けられている。この注入穴35は、ベース部33の外周面に開口されており、図2では示されていないが貫通孔25と略直交するようにして貫通孔25に連通している。すなわち、注入穴35から貫通孔25へ注入される接着剤によって、針管12がベース部33に固着される。
針管12の後端12bは、ベース部33の軸方向の他端である端面33bから突出している。ベース部33は、端面33b側から第1部材14内に挿入され、針管12の後端12b側が弾性部材16の後述する挿通孔43挿通される。そして、ベース部33の端面33bが弾性部材16の後述する端面41aに当接される。
また、ベース部33の外周面には、接続片24が設けられている。この接続片24は、ベース部33の半径方向の外側に向けて突出するリング状のフランジとして形成されており、ベース部33の軸方向に対向する平面24a,24bを有している。接続片24の平面24bには、第1部材14が接続される。また、接続片24の先端部は、ガイド部32になっている。このガイド部32については、後で詳しく説明する。
調整部31の端面は、針管12の針先12a側が突出する針突出面31aになっている。針突出面31aは、針管12の軸方向に直交する平面として形成されている。この針突出面31aは、針管12を皮膚上層部に穿刺するときに、皮膚の表面に接触して針管12を穿刺する深さを規定する。つまり、針管12が皮膚上層部に穿刺される深さは、針突出面31aから突出する針管12の長さ(以下、「突出長L」という。)によって決定される。
皮膚上層部の厚みは、皮膚の表面から真皮層までの深さに相当し、概ね、0.5〜3.0mmの範囲内にある。そのため、針管12の突出長Lは、0.5〜3.0mmの範囲に設定することができる。
ところで、ワクチンは一般的に上腕部に投与されるが、皮膚上層部への投与を考えた場合は皮膚が厚い肩周辺部、特に三角筋部がふさわしいと考えられる。そこで、小児19人と大人31人について、三角筋の皮膚上層部の厚みを測定した。この測定は、超音波測定装置(NP60R−UBM 小動物用高解像度用エコー、ネッパジーン(株))を用いて、超音波反射率の高い皮膚上層部を造影することで行った。なお、測定値が対数正規分布となっていたため、幾何平均によってMEAN±2SDの範囲を求めた。
その結果、小児の三角筋における皮膚上層部の厚みは、0.9〜1.6mmであった。また、成人の三角筋における皮膚上層部の厚みは、遠位部で1.4〜2.6mm、中央部で1.4〜2.5mm、近位部で1.5〜2.5mmであった。以上のことから、三角筋における皮膚上層部の厚みは、小児の場合で0.9mm以上、成人の場合で1.4mm以上であることが確認された。したがって、三角筋の皮膚上層部における注射において、針管12の突出長Lは、0.9〜1.4mmの範囲に設定することが好ましい。
突出長Lをこのように設定することで、針先12aの刃面を皮膚上層部に確実に位置させることが可能となる。その結果、刃面に開口する針孔(薬液排出口)は、刃面内のいかなる位置にあっても、皮膚上層部に位置することが可能である。なお、薬液排出口が皮膚上層部に位置しても、針先12aが皮膚上層部に深く刺されば、針先12a端部の側面と切開された皮膚との間から薬液が皮下に流れてしまうため、刃面が確実に皮膚上層部にあることが重要である。
なお、皮膚上層部への投与に用いる場合には、26ゲージよりも太い針管では、ベベル長を1.0mm以下にすることは難しい。したがって、針管12の突出長Lを好ましい範囲に設定するには、26ゲージよりも細い針管を使用することが好ましい。
針突出面31aは、周縁から針管12の周面までの距離Sが1.4mm以下となるように形成し、好ましくは0.3〜1.4mmの範囲で形成する。この針突出面31aの周縁から針管12の周面までの距離Sは、皮膚上層部へ薬剤を投与することで形成される水疱に圧力が加わることを考慮して設定している。つまり、針突出面31aは、皮膚上層部に形成される水疱よりも十分に小さく、水疱の形成を妨げない大きさに設定している。その結果、針突出面31aが針管12の周囲の皮膚を押圧して、投与された薬剤が漏れるということを防止することができる。
安定部36は、ベース部33に設けた接続片24の平面24aから突出する筒状に形成されている。安定部36の筒孔には、針管12及び調整部31が配置されている。つまり、安定部36は、針管12が貫通する調整部31の周囲を覆う筒状に形成されており、針管12の針先12aから半径方向に離間して設けられている。
図2に示すように、安定部36の端面36aは、調整部31の針突出面31aよりも針管12の後端12b側に位置している。針管12の針先12aを生体に穿刺すると、まず、針突出面31aが皮膚の表面に接触し、その後、安定部36の端面36aに接触する。このとき、安定部36の端面36aが皮膚に接触することで薬剤注射装置1が安定し、針管12を皮膚に対して略垂直な姿勢に保つことができる。
なお、安定部36の端面36aは、針突出面31aと同一平面上に位置させたり、また、針突出面31aよりも針管12の針先12a側に位置させたりしても、針管12を皮膚に対して略垂直な姿勢に保つことができる。なお、安定部36を皮膚に押し付けた際の皮膚の盛り上がりを考慮すると、安定部36の端面36aと針突出面31aにおける軸方向の距離は、1.3mm以下に設定することが好ましい。
また、安定部36の内径は、皮膚に形成される水疱の直径と同等であるか、それよりも大きい値に設定されている。具体的には、安定部36の内壁面から針突出面31aの周縁までの距離Tが4mm〜15mmの範囲となるように設定されている。これにより、安定部36の内壁面から水疱に圧力が印加されことによって水疱形成が阻害されることを防止することができる。
安定部36の内壁面から調整部31の外周面までの最短距離Tは、4mm以上であれば、特に上限はない。しかしながら、距離Tを大きくすると、安定部36の外径が大きくなるため、小児のように細い腕に針管12を穿刺する場合に、安定部36の端面36a全体を皮膚に接触させることが難しくなる。そのため、距離Tは、小児の腕の細さを考慮して15mmを最大と規定することが好ましい。
また、針突出面31aの周縁から針管12の周面までの距離Sが0.3mm以上であれば、調整部31が皮膚に進入することはない。したがって、安定部36の内壁面から針突出面31aの周縁までの距離T(4mm以上)及び針突出面31aの直径(約0.3mm)を考慮すると、安定部36の内径は9mm以上に設定することができる。
なお、安定部36の形状は、円筒状に限定されるものではなく、例えば、中心に筒孔を有する四角柱や六角柱等の角筒状に形成してもよい。
また、安定部36には、キャップ50が着脱可能に嵌合される(図4参照)。このキャップ50は、針管12の針先12aを覆う。これにより、針ハブ13をシリンジ3に装着する場合に、針先12aが使用者の指先等に触れないようにすることができる。また、使用済みの薬剤注射装置1或いは注射針組立体2を常に安全な状態に保つことができ、使用者は、安心して使用済みの薬剤注射装置1或いは注射針組立体2の廃棄処理等を行うことができる。
ガイド部32は、接続片24における安定部36よりも第2部材15における半径方向の外側に位置する先端側の部分である。このガイド部32は、皮膚と接触する接触面32aを有している。接触面32aは、接続片24における平面24aの一部であり、安定部36の端面36aと略平行をなす平面である。ガイド部32の接触面32aが皮膚に接触するまで安定部36を押し付けることにより、安定部36及び針管12が皮膚を押圧する力を常に所定値以上に確保することができる。これにより、針管12の針突出面31aから突出している部分(突出長Lに相当)が確実に皮膚内に穿刺される。
ガイド部32の接触面32aから安定部36の端面36aまでの距離(以下、「ガイド部高さ」という。)Yは、針管12及び安定部36が適正な押圧力で皮膚を押圧し穿刺することができるようにその長さが設定されている。なお、針管12及び安定部36の適正な押圧力は、例えば、3〜20Nである。その結果、使用者に対して針管12及び安定部36による皮膚への押圧力をガイド部32が案内し、針管12の針先12a(刃面)を皮膚上層部に確実に位置させることができると共に、使用者に安心感を与えることができる。
ガイド部32の高さYは、安定部36の内径と、ガイド部32の先端面から安定部36の外周面までの長さ(以下、「ガイド部長さ」という。)Xに基づいて適宜決定される。例えば、安定部36の内径Dが12mmであり、ガイド部長さXが3.0mmのとき、ガイド部高さYは、2.3〜6.6mmの範囲に設定される。
[弾性部材]
次に、弾性部材16について説明する。弾性部材16は、第1部材14の中間部19となる筒孔26内部に配置され、第2部材15とシリンジ3との間に介在される。この弾性部材16は、変形部40と、本体部41と、この本体部41の軸方向の一端に設けられたフランジ部42とを有しており、これらは一体に形成されている。
本体部41は、略円筒状に形成されており、変形部40が形成される側とは反対側の端面41aは、第2部材15のベース部33の端面33bに当接する。また、本体部41の外径は、第1部材14に設けられた嵌入部18の挿入部20側の内径よりもやや大きく形成されている。これにより、弾性部材16は、その弾性によって中間部19に液密に保持される。
フランジ部42は、本体部41の端面41a側の外周面に設けられ、本体部41の外周面から半径外方向に突出するリング状に形成されている。本体部41が保持される中間部19の内径よりも大きく、挿入部20の内径よりも小さく形成されている。そのため、フランジ部42の一方の平面は、第1部材14の中間部19と挿入部20との間の段差面で構成された係合部26aと当接し、他方の平面は、第2部材15のベース部33の端面33bと当接する。弾性部材16は、第1部材14の係合部26aと第2部材15のベース部33によってフランジ部42が挟持されることにより、針ハブ13に固定されている。
変形部40は、本体部41の、ベース部33に当接する端面41a側とは反対側に設けられた円筒部材で構成され、その外径は、本体部41の外径と同じかそれよりも少し小さく形成されている。変形部40の側面は本体部41の側面に連続して形成され、また、変形部40の内壁面は、本体部41の内壁面に連続して形成されている。そして、変形部40の本体部41側とは反対側の端面40aは、薬剤排出部6の先端6aに当接する当接面となる。変形部40は薬剤注射装置1の組み立て時に、薬剤排出部6の先端6aに押し込まれて本体部41側に潰れる。
本実施形態の薬剤注射装置1は、使用時に、使用者が薬剤排出部6を嵌入部18に嵌入し、嵌合させることでシリンジ3と注射針組立体2とを接続して薬剤注射装置1を組み立てる。そして、薬剤排出部6の嵌入部18への挿入する深さや、強さは、使用者によって異なる。これに対し、変形部40は、薬剤排出部6の嵌入部18への挿入深さの違いによる薬剤排出部6と嵌入部18との密着度合いの違いを、その変形によって吸収して耐圧を保つ効果を有する。さらに、変形部40は、薬剤排出部6の嵌入部18への嵌合時に変形することにより、薬剤排出部6の先端6aと針管12の後端12bとの間にできるデッドボリュームを8μL以下に低減させる効果を有する。
そして、本実施形態では、弾性部材16には、本体部41及び変形部40の軸方向においてベース部33の端面33bから突出した針管12の後端12b側が挿通される挿通孔43が設けられている。挿通孔43の内壁面には、端面側離間部46と、当接面側離間部48と、密着部47とが構成されている。
端面側離間部46は、本体部41側の挿通孔43の内壁面で構成されており、本体部41の端面41aにおける挿通孔43の開口を形成している。この端面側離間部46は、針管12の外周面から離間しており、端面41aに向かうにつれて挿通孔43の径が連続的に大きくなるようなテーパ状に形成されている。これにより、ベース部33の端面33bから突出した針管12の後端12b側を挿通孔43に容易に挿通することができる。なお、挿通孔43における端面側離間部46の形状は、針管12が挿通孔43に挿通し易い形状であれば、テーパ状に限定されるものではない。
当接面側離間部48は、変形部40側の挿通孔43の内壁面で構成されており、変形部40側の端面40aにおける挿通孔43の開口を形成する。この当接面側離間部48は、針管12の外周面から離間している。また、当接面側離間部48を構成する内壁面は、変形部40の軸方向にほぼ平行に形成されている。弾性部材16に当接面側離間部48を設けることにより、変形部40が弾性変形した場合に、変形部40が針管12の後端12bを覆い、針孔を塞ぐことを防止することができる。
挿通孔43における当接面側離間部48を構成する内壁面は、変形部40の軸方向にほぼ平行に形成したが、密着部47から変形部40の端面に向かうにつれて挿通孔43の径が連続的に大きくなるようなテーパ状に形成してもよい。すなわち、挿通孔43における当接面側離間部48の形状は、変形部40が弾性変形したときに、その変形部40が針管12の針孔を塞ぎにくい形状であればよい。
密着部47は、端面側離間部46と当接面側離間部48との間に形成されており、本体部41と変形部40との境界付近に設けられている。密着部47は、針管12の外周面に液密に密着する。これにより、シリンジ3内の薬剤は、針管12と弾性部材16との間から針ハブ13の第2部材15側へ浸透しないようにすることができる。
密着部47から当接面側離間部48側への針管12の突出長は、薬剤排出部6の先端6aに弾性部材16の変形部40が押し潰された際に、針管12の後端12bが薬剤排出部6の筒孔9に露出する長さに設定されている。このような弾性部材16が設けられることにより、シリンジ3と注射針組立体2とを接続したときに、薬剤排出部6の先端6aが弾性部材16の変形部40を押し潰すことで薬剤排出部6の先端6aと変形部40の端面41aが液密に接触する。そして、押し潰された変形部40の端面41aから薬剤排出部6側に針管12が露出することで、薬剤排出部6の筒孔9と針管12が連通する。
弾性部材16の材質としては、天然ゴム、シリコーンゴムのような各種ゴム材料や、ポリウレタン系、スチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、或いはそれらの混合物等の弾性材料が挙げられる。
以上の構成の注射針組立体2は、以下のようにして製造する。まず、第2部材15のベース部33の貫通孔25に針管12をさし込む。針管12の針先12aを、皮膚に穿止する規定の長さだけ調整部31から突出させた状態でベース部33に形成された注入穴35から接着剤を流し込み、第2部材15と針管12とを接着固定する。次に、第1部材14の中間部19に、弾性部材16を挿入する。続いて、第2部材15のガイド部32に接着剤を塗布してから、第2部材15のベース部33を第1部材14の挿入部20に挿入し、第1部材14の固定片34と第2部材15のガイド部32とを接着固定する。以上により、注射針組立体2が完成する。
〈1−2.薬剤注射装置の組み立て方法〉
次に、注射針組立体2を薬剤排出部6に接続して薬剤注射装置1を組み立てる方法を説明する。図4及び図5に、注射針組立体2にシリンジ3の薬剤排出部6を嵌め込んで薬剤注射装置1を組み立てる様子を示す。
図4に示すように、注射針組立体2がキャップ50内に収容された状態で、注射針組立体の嵌入部18にシリンジ3の薬剤排出部6を挿入する。薬剤排出部6の先端を嵌入部18の嵌入口18aから筒孔18bに挿入していく。このとき、ガイド壁18dの内径が薬剤排出部6の先端6aの外径よりも大きく形成されているため、薬剤排出部6の先端6aを嵌入口18aに挿入しやすくなる。
薬剤排出部6を更に筒孔18bに挿入していく。このとき、薬剤排出部6が傾いて薬剤排出部6の先端6aが接続壁18eに当たったとしても、接続壁18eがテーパ状に斜めに形成されているため、薬剤排出部6は筒孔18bの内壁に沿って滑らかに摺動移動する。このため、薬剤排出部6の先端6aに傷が付くことを防ぐことができる。
ロック機構5の雌ネジ部23が嵌入部18の雄ネジ部21に当たる位置まで薬剤排出部6を筒孔18bに挿入したら、雄ネジ部21と雌ネジ部23とが螺合するように、注射針組立体2とロック機構5とを相対的に回動させる。このとき、ロック機構5はシリンジ3に固定されているため、使用者はシリンジ3を回転させることによって、雄ネジ部21と雌ネジ部23とを螺合することができる。そして、このロック機構5の締め込みにより、薬剤排出部6が嵌入部18の筒孔18bに深く挿入されていく。
このように、薬剤排出部6を嵌入部18に挿入することで、薬剤排出部6が嵌入部18の嵌合壁18cに当たる。嵌合壁18cのテーパ率は、薬剤排出部6のテーパ率よりも大きく設定されているため、薬剤排出部6の先端外縁のみが嵌合壁18cに当たる。
図5に示すように、ロック機構5を更に締め込んでいくと、薬剤排出部6の先端外縁が嵌合壁18cに押し付けられつつ薬剤排出部6が更に弾性部材16側に移動し、深く挿入される。そして、第1部材14の制限部17の端面がロック機構5のロック機構固定部11に当接した時点で薬剤排出部6の弾性部材16側への移動は停止する。すなわち、制限部17がロック機構固定部11の底面に当接することによって薬剤排出部6はそれ以上弾性部材16側に押し込まれない。ここで、薬剤排出部6の弾性部材16側への移動の停止は、必ずしも制限部17がロック機構固定部11の底部に当接することによる必要はない。制限部17がロック機構固定部11の底部に当接する前であっても、薬剤排出部6の先端が嵌合壁18cおよび弾性部材16により十分な密着が確保されていればよい。
ところで、第1部材14は合成樹脂によって形成されている。このため、その材料特性により、制限部17の端面がロック機構固定部11の底面に当接するまで薬剤排出部6が嵌入部18に挿入されたとき、嵌合壁18cが窪むように変形する。これにより、薬剤排出部6の先端外縁が嵌合壁18cに食い込む。これにより、薬剤排出部6の先端外縁と嵌合壁18cとが密着し、薬剤排出部6と嵌合壁18cとが液密に固定される。
また、制限部17の端面がロック機構固定部11の底面に当接するまで薬剤排出部6が嵌入部18に挿入されたとき、弾性部材16の変形部40は薬剤排出部6に押し潰されると共に、薬剤排出部6の先端に設けられた拡張部8に入り込む。これにより、拡張部8の軸方向の端面8a及び薬剤排出部6の先端6aと弾性部材16の変形部40端面とが液密に接触する。このとき、押し潰された変形部40の先端から薬剤排出部6側に針管12が露出することで、薬剤排出部6の筒孔9と針管12が連通する。
そして、制限部17の端面がロック機構固定部11の底面に当接するまで薬剤排出部6が嵌入部18に挿入され、ロック機構5によって薬剤排出部6に注射針組立体2がロックされることによって、薬剤注射装置1の組み立てが完了する。なお、薬剤排出部6の嵌入部18への挿入深さは、使用者によって多少異なるが、ロック機構5の雌ネジ部23と嵌入部18の雄ネジ部21とが螺合する程度であれば、薬剤排出部6の先端6aは弾性部材16の変形部40に液密に接する。すなわち、制限部17がロック機構固定部11に当接する位置までの薬剤排出部6の嵌入部18への挿入距離は最大の挿入距離であり、制限部17がロック機構固定部11に当接しない位置でロックされてもよい。また、図5に示すように、制限部17がロック機構固定部11に接するまで薬剤排出部6が嵌入部18に挿入された場合には、弾性部材16の本体部41も多少変形する。
本実施形態では、薬剤排出部6の先端外縁は小さな円形状を成しており、薬剤排出部6の嵌入部18への嵌入時には、この小さい先端外縁が嵌合壁18cに押し付けられる。さらに、薬剤排出部6の雄型のテーパ形状のテーパ率が、嵌入部18の雌型のテーパ形状のテーパ率よりも小さく形成されている。この結果、薬剤排出部6が嵌合壁18cに対して押し付けられる圧力は、薬剤排出部6の先端外縁が接触する嵌合壁18cの狭い領域に全て集中する。すなわち、嵌合壁18cと、薬剤排出部6の側面との間に多少隙間ができるため、薬剤排出部6の先端外縁に力が集中する。
このため、注射針組立体2と薬剤排出部6とを押し付ける力が弱い力であっても、嵌合壁18cを容易に変形させて、薬剤排出部6の先端外縁を嵌合壁18cに容易に食い込ませることができる。これにより、注射針組立体2と薬剤排出部6とがしっかりと液密に嵌合し、液漏れを確実に防止することができる。
注射針組立体2と薬剤排出部6とが同率のテーパ形状である薬剤注射装置1では、組み立てる際に、注射針組立体2の嵌合壁18cと薬剤排出部6の側面とが擦れ合うように圧力を加える必要があり、摩擦抵抗が大きくなる。このため、注射針組立体2とシリンジ3とを組み立てる場合に比較的大きな力が必要であった。これに対し、本実施形態では、薬剤排出部6の雄型のテーパ形状のテーパ率が、嵌入部18の雌型のテーパ形状のテーパ率よりも小さく形成することにより、弱い力であっても、注射針組立体2と薬剤排出部6とを確実に嵌合させることができる。
第1部材14の材質はポリプロピレンのように比較的柔らかい材質に限らず、ポリカーボネートやシクロオレフィンポリマーのように比較的硬いものであっても薬剤排出部6の先端外縁を嵌合壁18cに十分に食い込ませることができるため、使用することができる。
嵌合壁18cのテーパ率のMの値は、Nよりも大きな値で適宜定めればよいが、Mの値がNとほとんど変わらないと、薬剤排出部6の先端外縁の嵌合壁18cへの食い込み量が小さくなるため、M≧1.5N(N=6の場合、M≧9)であることが好ましく、M≧2N(N=6の場合、M≧12)であるとより好ましい。Mの値がNよりも大きすぎると筒孔の径が大きくなってしまう。そのため、嵌入部18の壁厚や外径などの関係から現実的な範囲を考慮して、M≦10N(N=6の場合、M≦30)であることが好ましく、M≦5N(N=6の場合、M≦30)であるとより好ましく、M≦3N(N=6、M≦18)であることが更に好ましい。一例として範囲で表すと、Mの値は、M=1.5N〜10Nの範囲(N=6の場合、M=9〜60)であることが好ましく、M=2N〜5Nの範囲(N=6の場合、M=12〜30)であることがより好ましく、M=2N〜3N(N=6の場合、M=12〜18)の範囲であることがより一層好ましい。
そして、本実施形態では、薬剤注射装置1の組み立て時において、第1部材14に設けられた制限部17がロック機構固定部11の底面に当接するように設計されている。これにより、使用者が強い押し込み力で薬剤排出部6を嵌入部18に嵌入した場合において、ロック機構5が薬剤排出部6から外れてしまうことを防ぐことができる。以下に、ロック機構5が薬剤排出部6から外れる原理と、本実施形態における制限部17の機能について説明する。
図6は、比較例に係る薬剤注射装置100の概略断面図である。図6に示す比較例の薬剤注射装置100は、制限部が形成されていない点でのみ、本実施形態の薬剤注射装置1と異なる。したがって、図6において、図2に対応する部分には同一符号を付し重複説明を省略する。比較例に係る薬剤注射装置100は、使用者が強い押し込み力で薬剤排出部6を嵌入部18に押し込んだ際にロック機構5が薬剤排出部6から外れるおそれのある薬剤注射装置100の断面図である。
比較例に係る薬剤注射装置100は、制限部が形成されていないため、薬剤排出部6を注射針組立体2の嵌入部18に嵌入させて組み立てた場合、嵌入口18a端部とロック機構固定部11の底面との間に隙間が形成される。このような状態の薬剤注射装置100では、使用者が強くかつ早くシリンジと注射針組立体2とを組み立てた場合に、ロック機構5を薬剤排出部6に係合固定しているロック機構5の嵌合爪11aに応力が集中して破損し、ロック機構5が薬剤排出部6から外れてしまう場合があることがわかった。そこで、発明者らは、以下の実験を行いロック機構5の嵌合爪11aが破損する原因について解析を行った。
図7は、比較例の薬剤注射装置100において、薬剤排出部6を嵌入部18に押し込み、注射針組立体2を薬剤排出部6に対して相対的に回転させることにより、雄ネジ部21と雌ネジ部23を螺合させて発生する押し込み力と、薬剤排出部6の嵌入部18への挿入距離について測定した結果を示す図である。図7の横軸は、挿入距離であり、縦軸は、押し込み力である。比較例の薬剤注射装置100における測定結果を実線で示し、比較例の薬剤注射装置100から弾性部材16を抜いたもので同様の測定を行った場合の測定結果を破線で示している。また、それらの差(差スペクトル)を表す結果である。
また、図7では、比較例の薬剤注射装置100においてロック機構5を図6の矢印Zで示す方向(すなわち、注射針組立体2側)に引き抜いたときに、嵌合爪11aが破損してロック機構5が薬剤排出部6から外れるときの引き抜き力を示している。なお、嵌合爪11aが破損するのは、ロック機構5の嵌合爪11aによる薬剤排出部6への嵌合力を引き抜き力が超えたときである。
図7では、ロック機構5を薬剤排出部6の軸方向に平行に引き抜いたときの引き抜き力Aと、薬剤排出部6の軸方向に対して3°傾かせて引き抜いたときの引き抜き力を示している。ロック機構5を薬剤排出部6の軸方向に平行に引き抜いたときに嵌合爪11aが破損する限界の引き抜き力Bは113.9Nであり、薬剤排出部6の軸方向から3°ずらしてロック機構5を斜めに引き抜いたときに嵌合爪11aが破損する限界の引き抜き力は110.8Nであった。この引き抜き力A及びBの結果から、ロック機構5に斜めに力が加わることによって、薬剤排出部6の軸方向に平行な方向に引き抜く場合に比較して、嵌合爪11aが破損する限界の引き抜き力がさらに小さくなる(すなわち、小さい力で壊れ易い)ことがわかる。
一方、弾性部材16を含めた薬剤注射装置100における挿入距離と押し込み力との関係は、弾性部材16を除いた薬剤注射装置100における挿入距離と押し込み力との関係とほぼ同じ傾向を示している。そして、比較例の薬剤注射装置100における測定結果と、比較例の薬剤注射装置100から弾性部材16を抜いたものにおける測定結果との差がほぼ一定であることから、弾性部材16の反発力が、ロック機構5が薬剤排出部6から外れる原因ではないことが分かった。
図7で示されているように、薬剤排出部6の嵌入部18への挿入距離が大きくなると、薬剤排出部6の嵌入部18に対する押し込み力が急激に大きくなる。そして、図7より、この押し込み力が、ロック機構5の嵌合爪11aが破損する限界の引き抜き強度以上に増大することが、ロック機構5の嵌合爪11aの破損の原因であることが分かる。したがって、ロック機構5の嵌合爪11aの破損を防ぐためには、薬剤排出部6を嵌入部18に挿入したときに、ロック機構5の嵌合爪11aの部分に嵌合爪11aが破損する限界の引き抜き力よりも大きな力が掛からないようにすることが必要であることがわかった。
本実施形態の薬剤注射装置1では、制限部17を設けることにより、薬剤排出部6が嵌入部18にある程度挿入されたところで制限部17がロック機構固定部11の底面に当接する。そうすると、ロック機構固定部11の底面と制限部17との当接面においては、制限部17からロック機構固定部11の底面側に向かう力が発生し、ロック機構5が注射針組立体2側に押し込まれる力が、その当接面(底面)にて相殺される。これにより、使用者が、一般的に想定されている以上に強く、かつ、早く、シリンジ3と注射針組立体2とを接続した場合にも、ロック機構5が注射針組立体2側に押し込まれる力が制限部17によって制限されるため、ロック機構5の嵌合爪11aが破損することを防ぐことができる。これにより、使用者がシリンジ3と注射針組立体2を接続する際に、薬剤排出部6がロック機構5から抜けてしまうのを防ぐことができ、確実にシリンジ3と注射針組立体2とを接続することができる。
ところで、比較例に係る薬剤注射装置100は、本実施形態と同様、薬剤排出部6のテーパ率よりも嵌入部18のテーパ率が大きい構成である。このように、薬剤排出部6のテーパ率よりも嵌入部18のテーパ率が大きい場合には、薬剤排出部6のテーパ率と嵌入部18のテーパ率が等しい場合に比較して、薬剤排出部6の挿入距離に対する押し込み力の増大の仕方が急激である傾向がある。すなわち、本実施形態のように、薬剤排出部6のテーパ率よりも嵌入部18のテーパ率が大きい薬剤注射装置1は、薬剤排出部6のテーパ率と嵌入部18のテーパ率が等しい薬剤注射装置に比較して、急激に大きな力がロック機構5の嵌合爪11aにかかり、ロック機構5の嵌合爪11aが破損する確率が高い。
したがって、本実施形態の薬剤注射装置1のように、薬剤排出部6のテーパ率よりも嵌合壁18cのテーパ率が大きい場合において、制限部17を設けてロック機構5の嵌合爪11aにかかる押し込み力を制限する構成は、特に効果的である。
また、制限部17の軸方向の長さは、ロック機構5の嵌合爪11aの部分に、図7で示した引き抜き力よりも大きな押し込み力がかからない程度に設定されるのが好ましい。すなわち、ロック機構5の嵌合爪11aが破損する限界の引き抜き力よりも押し込み力が小さくなるように、薬剤排出部6の嵌入部18への挿入距離を決定し、薬剤排出部6の嵌入部18への挿入距離がその決定された値を超えないように(すなわち、それ以上挿入されないように)制限部17の軸方向の長さを調整する。また、制限部17は、その軸方向の長さが短すぎると比較例と同様の問題が起こるが、長すぎても、薬剤排出部6の嵌入部18への挿入距離が短くなり、薬剤排出部6と嵌入部18との嵌合が弱くなり薬剤投与時に耐圧を維持できなくなるという問題が起こる。したがって、薬剤排出部6の嵌入部18への理想的な挿入距離を維持できるように制限部17の軸方向の長さを調整する。このような制限部17により、薬剤排出部6の嵌入部18への挿入距離が制限されると共に、ロック機構5にかかる押し込み力も制限され、ロック機構5の嵌合爪11aが破損することを防ぐことができる。
本実施形態の制限部17は円筒状の部材で構成されているが、例えば、嵌入口18a端面に設けた複数の突出部を制限部としてもよい。この場合には、例えば、嵌入口18a端面から、嵌入部18の軸方向と平行な方向に立設する突出部を嵌入口18a端面に等間隔で設ける。このような構成においても、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態では、制限部17を嵌入口18a端面に設け、シリンジ3と注射針組立体2を接続したときに制限部17をロック機構固定部11の底面に当接させることで、ロック機構5の嵌合爪11aが破損するのを防ぐ構成であった。しかしながら、制限部17の構成はこれに限られるものではなく、シリンジ3と注射針組立体2を接続するときに、ロック機構5の嵌合爪11aにかかる押し込み力を相殺できる構成であればよい。以下に、本実施形態と、制限部の構成を異ならせた薬剤注射装置の構成について説明する。
《2.第2の実施形態》
図8は、本発明の第2の実施形態に係る薬剤注射装置60の概略断面構成図である。本実施形態の薬剤注射装置60は、第1の実施形態に係る薬剤注射装置1と、制限部61の構成が異なる例である。図8において、図2に対応する部分には同一符号を付し、重複説明を省略する。
本実施形態の制限部61は、第1部材14の嵌入部18の外周面であって、雄ネジ部21が形成された領域よりも遠位である挿入部20側に設けられ、嵌入部18の半径外方向に突出するリング状のフランジで構成されている。制限部61の外径は、ロック機構5の外径と略同じかそれよりも大きく形成されている。そして、制限部61は、シリンジ3と注射針組立体2とを接続して組み立てたときに、ロック本体部10の端面が制限部61のロック機構5側の面に当接する位置に設けられている。この制限部61の位置については、第1の実施形態と同様、薬剤排出部6の嵌入部18への挿入距離が理想的な挿入距離を維持でき、かつ、ロック機構5の嵌合爪11aの部分に、図7で示した引き抜き力よりも大きな押し込み力がかからない程度に設定されるのが好ましい。
図9は、本実施形態の薬剤注射装置60を組み立てたときの概略断面構成図である。本実施形態においても、シリンジ3と注射針組立体2とを接続したときに、薬剤排出部6が嵌入部18にある程度挿入されたところで制限部61がロック本体部10の端面に当接する。そうすると、ロック本体部10の底面と制限部61との当接面においては、制限部61からロック本体部10側に向かう力が発生し、ロック機構5が注射針組立体2側に押し込まれる力が、その当接面(底面)において相殺される。これにより、使用者が強く、かつ、早く、シリンジ3と注射針組立体2とを接続した場合にも、ロック機構5が注射針組立体2側に押し込まれる力が制限部61によって制限されるため、ロック機構5の嵌合爪11aが破損することを防ぐことができる。これにより、使用者がシリンジ3と注射針組立体2とを接続する際に、薬剤排出部6がロック機構5から抜けてしまうのを防ぐことができ、確実にシリンジ3と注射針組立体2とを接続することができる。その他、本実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
以上、本発明の薬剤注射装置及び注射針組立体の実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
例えば、第1及び第2の実施形態では、薬剤排出部6のテーパ率をN=6としたが、適宜変更してもよい。さらに、第1及び第2の実施形態では薬剤排出部6のテーパ率と嵌入部18のテーパ率を異ならせた構成としたが、同じとした場合にも、本発明の効果を得ることができる。
また、第1及び第2の実施形態では、シリンジ3と注射針組立体2とで構成される薬剤注射装置を例に説明したが、ロック機構5を有する薬剤排出部6に、輸液チューブ等の被接続部を接続するような医療器具に本発明を適用することができる。この場合には、被接続部に、接続部に設けられたロック機構5に当接する制限部17,61を設けることで、本発明と同様の効果を得ることができる。
1,60…薬剤注射装置、2…注射針組立体、3…シリンジ、4…シリンジ本体、5…ロック機構、6…薬剤排出部、7…薬剤収容部、8…拡張部、10…ロック本体部、11…ロック機構固定部、11a…嵌合爪、12…針管、13…針ハブ、14…第1部材、15…第2部材、16…弾性部材、17,61…制限部、18…嵌入部、18c…嵌合壁、18d…ガイド壁、18e…接続壁、19…中間部、20…挿入部、21…雄ネジ部、23…雌ネジ部、24…接続片、26…筒孔、30…皮膚接触部、31…調整部、32…ガイド部、33…ベース部、34…固定片、35…注入穴、36…安定部、40…変形部、41…本体部、42…フランジ部、43…挿通孔、46…端面側離間部、47…密着部、48…接面側離間部、50…キャップ

Claims (7)

  1. 外径が先端に向かうにつれて小さくなる雄型のテーパ形状で形成された筒状の薬剤排出部と前記薬剤排出部の近傍に回転を制限されて配置された第1螺子部を有するロック機構とを備える薬剤容器に接続される注射針組立体であって、
    皮膚に穿刺される針先を有する針管と、
    前記針管を保持する保持部と、
    前記薬剤排出部が挿入される雌型のテーパ形状で形成され、外周面に前記第1螺子部に螺合する第2螺子部を有する嵌入部と、
    前記薬剤排出部が前記嵌入部に挿入されて、前記第1螺子部と前記第2螺子部が螺合したときに、前記ロック機構に当接することで前記薬剤排出部の前記嵌入部への押し込みを制限する制限部と、
    前記薬剤排出部と前記保持部との間に挟まれ、前記制限部が前記ロック機構に当接した際に、前記薬剤排出部の先端と当接する変形部が押し潰され、押し潰された前記変形部の端面から前記薬剤排出部側に前記針管が露出することで、前記薬剤排出部の筒孔と前記針管を連通させる弾性部材と
    を有する注射針組立体。
  2. 前記制限部は前記嵌入部の嵌入口端部に設けられている
    請求項1に記載の注射針組立体。
  3. 前記制限部は前記嵌入部の外周面に設けられている
    請求項1に記載の注射針組立体。
  4. 前記薬剤排出部の前記雄型のテーパ形状がN/100のテーパ率であるときに、前記嵌入部の前記雌型のテーパ形状がM>Nとして、M/100のテーパ率で形成されている
    請求項1〜3のいずれかに記載の注射針組立体。
  5. 外径が先端に向かうにつれて小さくなる雄型のテーパ形状で形成された筒状の薬剤排出部、及び、前記薬剤排出部の近傍に回転を制限されて配置された第1螺子部を有するロック機構を備えるシリンジと、
    前記シリンジに接続される注射針組立体であって、針管と、前記針管を保持する保持部と、前記薬剤排出部が挿入される雌型のテーパ形状で形成され、外周面に前記第1螺子部に螺合する第2螺子部を有する嵌入部と、前記薬剤排出部が前記嵌入部に挿入されて、前記第1螺子部と前記第2螺子部が螺合したときに、前記ロック機構に当接することで前記薬剤排出部の前記嵌入部への押し込みを制限する制限部と、前記薬剤排出部と前記保持部との間に挟まれ、前記制限部が前記ロック機構に当接した際に、前記薬剤排出部の先端と当接する変形部が押し潰され、押し潰された前記変形部の端面から前記薬剤排出部側に前記針管が露出することで、前記薬剤排出部の筒孔と前記針管を連通させる弾性部材とを有する注射針組立体と
    を有する薬剤注射装置。
  6. 前記ロック機構は、内周面に第1螺子部を有する筒状のロック機構本体と、前記薬剤排出部に嵌合する嵌合爪とを備え、
    前記制限部は前記嵌入部の嵌入口端部に設けられており、
    前記第1螺子部と前記第2螺子部とが螺合したときに、前記制限部は前記嵌合爪の近傍に当接する
    請求項5に記載の薬剤注射装置。
  7. 前記ロック機構は、内周面に第1螺子部を有する筒状のロック機構本体と、前記薬剤排出部に嵌合する嵌合爪とを備え、
    前記制限部は前記嵌入部の外周面に設けられており、
    前記第1螺子部と前記第2螺子部とが螺合したときに、前記制限部は前記ロック機構本体の端部に当接する
    請求項5に記載の薬剤注射装置。
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