JP6680818B2 - 軌道回路状態判定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、交流軌道回路の状態を判定する軌道回路状態判定装置に関する。
鉄道交通における軌道回路は、レールを電気回路の一部として用いて列車の在線の有無を検知する装置であり、レールの一端側から信号を送信し、列車の車軸でレール間が短絡されることによる受信信号の有無を、レールの他端側に設けた軌道リレーで検出するように構成されている。軌道回路は屋外に設置されることから、降雨や積雪等の自然環境の影響を受けて軌道リレーが不正落下するといった異常が発生し得るという問題がある。このため、交流軌道回路の異常状態を検知する様々な技術が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
特開平4−113941号公報 特開平11−278269号公報
従来の軌道回路の状態監視は、送信側或いは受信側の信号(例えば、電圧値や電流値、位相差など)の推移を所定のしきい値と比較することで、軌道回路の正常/異常といった状態を判定するものである。しかしながら、軌道回路毎に、回路長(レールの長さ)や、送受信機とレールとの距離(ケーブル長)、レール及び道床を含む回路の構成要素のパラメータが異なることから、保守担当者(ユーザ)が自身の経験や知見を頼りに1台ずつ適切なしきい値を設定する必要がある。そこで、保守担当者(ユーザ)の知見等に頼らずに、軌道回路の状態判定を機械的に実現するための新たな技術が求められている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、交流軌道回路の状態を判定する新たな技術を提供することである。
上記課題を解決するための第1の発明は、
正常状態か異常状態かを少なくとも含む交流軌道回路の状態を判定する軌道回路状態判定装置であって、
前記交流軌道回路に送信された電圧に対する電流ベクトルの参照ベクトル軌跡を記憶する記憶手段(例えば、図7の記憶部330)と、
前記交流軌道回路の送信機の送信電圧及び送信電流の送信側計測器によって計測された計測値に基づいて、前記送信電圧に対する前記送信電流の電流ベクトルを算出する算出手段(例えば、図7の電流ベクトル算出部312)と、
前記算出手段により算出された電流ベクトルの所定期間の軌跡からベクトル軌跡を算出し、前記参照ベクトル軌跡と比較することで、前記交流軌道回路の状態を判定する判定手段(例えば、図7の状態判定部316)と、
を備えた軌道回路状態判定装置である。
第1の発明によれば、送信電圧に対する電流ベクトル軌跡を参照ベクトル軌跡と比較するといった新たな手法によって、正常状態か異常状態かを少なくとも含む交流軌道回路の状態を判定することができる。
第2の発明は、第1の発明の軌道回路状態判定装置であって、
前記記憶手段は、前記交流軌道回路に係る列車在線時の前記参照ベクトル軌跡である在線時参照ベクトル軌跡を記憶し、
前記判定手段は、前記算出手段により算出された電流ベクトルであって、前記交流軌道回路に係る列車在線時の電流ベクトルからベクトル軌跡を算出し、前記在線時参照ベクトル軌跡と比較する、
軌道回路状態判定装置である。
第2の発明によれば、列車在線時の電流ベクトル軌跡を対象として、軌道回路の状態を判定することができる。
第3の発明は、第1又は第2の発明の軌道回路状態判定装置であって、
前記記憶手段は、前記交流軌道回路に係る列車非在線時の前記参照ベクトル軌跡である非在線時参照ベクトル軌跡を記憶し、
前記判定手段は、前記算出手段により算出された電流ベクトルであって、前記交流軌道回路に係る列車非在線時の電流ベクトルからベクトル軌跡を算出し、前記非在線時参照ベクトル軌跡と比較する、
軌道回路状態判定装置である。
第3の発明によれば、列車非在線時の電流ベクトル軌跡を対象として、軌道回路の状態を判定することができる。
第4の発明は、第2又は第3の発明の軌道回路状態判定装置であって、
前記算出手段により算出された電流ベクトルが所定の急峻変化条件を満たした場合に、満たしたときから、当該急峻変化条件を満たす前の電流ベクトルに戻る迄を列車在線時の電流ベクトルとし、それ以外を列車非在線時の電流ベクトルとして区分する区分手段(例えば、図7の電流ベクトル区分部314)、
を更に備えた軌道回路状態判定装置である。
列車の非在線時は電流ベクトルは殆ど変化しないが、列車が通過すると、電流ベクトルは急峻に変化した後に元の電流ベクトルの付近に復帰する、といった変化をする。このため、第4の発明のように、電流ベクトルの変化から、軌道回路への1回の列車の通過毎に列車在線時と列車非在線時とに区分することができる。
第5の発明は、第1〜第4の何れかの発明の軌道回路状態判定装置であって、
前記記憶手段は、前記参照ベクトル軌跡を、前記交流軌道回路が動作していた季節、時間帯及び気象条件のうちの少なくとも1つの状況を示す付随情報と対応付けて複数記憶し、
前記判定手段は、前記計測が行われたときの前記状況と所定の近似条件を満たす前記参照ベクトル軌跡を比較対象として選択して前記比較を行う、
軌道回路状態判定装置である。
軌道回路は屋外に設置されるため、雨や温度といった外部環境によって送信電流が変化し、その結果、電流ベクトル軌跡に変化が生じる。このため、第5の発明のように、季節や時間帯、気象条件といった送信電圧及び送信電流の計測を行ったときの状況が近似する参照ベクトル軌跡を選択して比較することで、より精度の高い軌道回路の状態判定が可能となる。
第6の発明は、第1〜第5の何れかの発明の軌道回路状態判定装置であって、
前記参照ベクトル軌跡は、前記算出手段により算出された過去の電流ベクトルのベクトル軌跡に基づいて、軌跡位置それぞれに対する発現確率分布として作成されたデータであり、
前記判定手段は、判定対象のベクトル軌跡が辿る前記発現確率分布上の発現確率に基づいて、当該判定対象のベクトル軌跡に関する評価値を算出し、当該評価値に基づいて前記交流軌道回路の状態を判定する、
軌道回路状態判定装置である。
第6の発明によれば、参照ベクトル軌跡は、過去の電流ベクトル軌跡に基づく各軌跡位置の発現確率分布であることから、判定対象の電流ベクトル軌跡に関する評価値として、過去の電流ベクトル軌跡に一致する度合を発現確率として求めることができる。
軌道回路状態判定装置の適用例。 電流ベクトルの説明図。 電流ベクトル軌跡の説明図。 電流ベクトルの区分の説明図。 発現確率分布の作成の説明図。 異常度の算出の説明図。 軌道回路状態判定装置の機能構成図。 電流ベクトル軌跡データの一例。 判定結果データの一例。 参照ベクトル軌跡データの一例。 軌道回路状態判定処理のフローチャート。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態によって本発明が限定されるものではなく、本発明を適用可能な形態が以下の実施形態に限定されるものでもない。また、図面の記載において、同一要素には同一符号を付す。
[システム構成]
図1は、本実施形態の軌道回路状態判定装置100の適用例である。図1に示すように、軌道には、左右のレールRを所定長さに区切った区間毎に軌道回路1T,2T,3T,・・・が設けられている。軌道回路は、左右のレールRが列車の輪軸によって電気的に短絡されることを利用して在線検知を行う装置である。本実施形態では、軌道回路の区間境界において左右の各レールRに軌道絶縁1が設けられた複軌条軌道回路であり、軌道回路の境界には軌道絶縁1を挟んで2組のインピーダンスボンド3が設けられている。
軌道回路の一端側(送信側)のレールR間には、インピーダンスボンド3及び減流抵抗5を介して送信機である送信トランス7が接続され、他端側(受信側)のレール間には、インピーダンスボンド3及び位相調整器9を介して軌道リレー11が接続されている。減流抵抗5は、電流を制限して機器が焼損することを防止するために設けられる。
送信トランス7は、商用電源等の電源21から供給される交流電力を変圧して軌道信号(列車検知信号)を生成して軌道回路の送信側のレールR間に送信する。つまり、本実施形態の軌道回路は交流軌道回路である。
軌道リレー11は、軌道コイル及び局部コイルの2つのコイルを有し、各コイルに印加される電圧とその位相差によって接点を駆動する2元式軌道リレーである。軌道コイルは、軌道回路の受信側のレールR間に接続されて軌道回路を流れる軌道信号の電圧が印加され、局部コイルには、電源21から供給される交流電圧が印加される。局部コイルに印加される電圧(以下、「局部電圧」)は位相(周期ともいえる)が安定していることから、局部電圧の位相が基準とされる。
軌道回路に列車が進入すると、この列車の車軸によってレールR間が短絡されることで、軌道リレー11の軌道コイルに印加される電圧(以下、「受信電圧」。「着電圧」ともいう)が低下するとともに、この受信電圧と局部電圧との位相差が小さくなり、軌道リレー11が扛上状態から落下状態に変化することで、列車の軌道回路への進入が検知される。位相調整器9は、受信電圧の位相を調整して、非在線時における受信電圧と局部電圧との位相差を軌道リレー11が扛上状態を保つのに最適な値とするために設けられる。
軌道回路状態判定装置100は、複数の計測端末200と、処理装置300とが伝送ライン102によって通信接続されて構成され、判定対象の軌道回路1つ1つの状態を個別に判定する。
計測端末200は、軌道回路の区間境界毎に設けられ、当該境界で隣り合う一方の軌道回路に係る計測値として、送信トランス7が生成する軌道信号の電圧(送信電圧)、及び、電流(送信電流)が入力されるとともに、当該境界で隣り合う他方の軌道回路に係る計測値として、軌道リレー11の接点条件が入力される。そして、計測端末200は、送信電圧に対する送信電流の位相差(送信電流位相差)を算出し、入力された計測値とともに、伝送ライン102を介して処理装置300に出力する。
送信電圧は、送信トランス7の二次側に接続された送信側計測器である電圧検出器(PT:Potential Transformer)13によって計測される。送信電流は、送信トランス7の二次側とレールRとの間に挿入された送信側計測器である電流検出器(CT:Current Transformer)15によって計測される。なお、減流抵抗5の両端電圧を検出することで送信電流を算出することにしても良い。
処理装置300は、演算制御を行う電子回路を備えて構成される一種のコンピュータであり、各計測端末200から入力される計測値をもとに、軌道回路毎に、正常状態か異常状態かを少なくとも含む当該軌道回路の状態を判定する。
[判定原理]
処理装置300による軌道回路の状態判定の原理を説明する。処理装置300は、判定対象の軌道回路に係る計測端末200から入力される計測値から、当該軌道回路の電流ベクトルを算出し、この電流ベクトルの軌跡を参照ベクトル軌跡と比較することで、判定対象の軌道回路の状態を判定する。
図2は、電流ベクトルを説明する図である。図2に示すように、電流ベクトルは、電圧ベクトルの向きをX軸正方向としたXY直交座標系において原点Oを始点とするベクトルであり、X軸に対する位相差θを送信電流位相差、大きさを送信電流値としたベクトル(x,y)である。計測端末200から入力される送信電流や送信電流位相差を含む計測値は、計測時刻に対応付けられている。このため、各計測時刻における送信電流及び送信電流位相差から、当該計測時刻における電流ベクトルを算出することができる。そして、連続する計測時刻における電流ベクトル(x,y)の時系列変化を、電流ベクトルの軌跡とする。
電流ベクトルの軌跡の形状は、該当する軌道回路に列車が進入しているか(在線時)否か(非在線時)で異なる。図3は、電流ベクトル軌跡の一例を模式的に示した図である。図3(a)は、列車非在線時の一定時間の間の電流ベクトル軌跡を示し、図3(b)は、該当する軌道回路に列車が進入してから進出するまでの間の1回分の列車在線時の電流ベクトル軌跡を示している。
図3(a)に示すように、列車非在線時は、送信電流及び送信電圧はともにほぼ一定であり、従って、電流ベクトルは殆ど変化せず、電流ベクトル軌跡はほぼ一点に集まる。
一方、列車在線時には、図3(b)に示すように、送信電圧はほぼ一定であるが、走行する列車の車軸によるレールの短絡位置によってインピーダンスが変化することから、送信電流が大きく変化する。つまり、送信電流値や送信電流位相差が大きく変化することから、電流ベクトルは大きく変化し、列車非在線時と比較して広範囲に変化する電流ベクトル軌跡となる。また、電流ベクトルの変化は、列車非在線時と比較して急峻である。具体的な電流ベクトル軌跡としては、該当する軌道回路への1回の列車の通過に対して、三日月形のような1つの閉路を描く形状となる。図3(b)は、該当する軌道回路への列車の進入から進出までの1回の通過による電流ベクトル軌跡を示しており、列車非在線時の電流ベクトルから、列車の進入によって、電流位相差が小さくなるように変化した後、再度、電流位相差が大きくなるように変化して、進入前の電流ベクトル(つまり、列車非在線時の電流ベクトル)の付近に復帰するように変化した場合の電流ベクトル軌跡となっている。なお、電流ベクトル軌跡は軌道回路毎に異なるが、同じ状態の同一の軌道回路であればほぼ同じような形状となる。
このように、電流ベクトル軌跡は列車在線時と列車非在線時とでは大きく異なるので、これを区分して軌道回路の状態判定を行うことにする。図4は、電流ベクトル軌跡の区分を説明する図であり、模式図である。図4では、奥行き方向及び縦方向でなるXY平面をベクトル平面として、右方向を時刻とした、ある軌道回路についての電流ベクトルの時系列変化の概要を3次元的に示している。XY軸は、図3と同じであり、X軸正方向が電圧ベクトルの向きとなる。
軌道回路を列車が断続的に通過することで、列車在線時の期間と、列車非在線時の期間とが繰り返される。このため、列車の在線時期間及び非在線時期間の各期間を一つの判定期間として区分する。判定期間の区分境界は、電流ベクトルが所定の急峻変化条件を満たすかによって判定することができる。急峻変化条件とは、電流ベクトルが急峻に変化したとみなせる条件であり、例えば、所定の単位時間の間に、1)電流ベクトルの大きさが第1変化量以上変化し、且つ、電流ベクトルの向きが第1変化角度以上変化したこと、2)電流ベクトルの大きさが第2変化量以上変化したこと、3)電流ベクトルの向きが第2変化角度以上変化したこと、のOR条件に定めることができる。
つまり、列車非在線時には、電流ベクトルは殆ど変化しないため(図3(a)参照)、急峻変化条件は満たさない。軌道回路に列車が進入すると、単位時間の間に電流ベクトルが大きく変化する状態となることから、急峻変化条件を満たすようになる。列車が軌道回路を走行中は、急峻変化条件を満たす状態が継続される。そして、軌道回路から列車が進出して進入前の電流ベクトルの付近に復帰すると、急峻変化条件を満たさなくなる(図3(b)参照)。従って、急峻変化条件を満たさない状態から満たす状態に変化した時点を軌道回路への列車の進入時点とみなして、当該時点から、電流ベクトルが急峻変化条件を満たす直前の電流ベクトルの付近に復帰した時点までを、列車在線時期間とする。そして、これ以外の期間を、列車非在線時期間とする。なお、直前の電流ベクトルの“付近に復帰”とは、当該直前の電流ベクトルが示す座標値と略同等とみなせる座標値を示す電流ベクトルに至ったことを意味し、略同等とみなせる範囲は適宜設定することができる。要は、直前の電流ベクトルの“付近に復帰”とは、直前の電流ベクトルに“戻る”ということができるため、本実施形態では適宜“戻る”とも言う。
このように、電流ベクトル軌跡を、列車在線時期間及び列車非在線時期間である判定期間に区分し、判定期間毎に、過去の電流ベクトル軌跡に基づく参照ベクトル軌跡と比較することで、該当する軌道回路の状態を判定する。つまり、列車在線時期間の電流ベクトル軌跡については、過去の列車在線時期間における電流ベクトル軌跡に基づく参照ベクトル軌跡と比較し、列車非在線時期間の電流ベクトル軌跡については、過去の列車非在線時期間における電流ベクトル軌跡に基づく参照ベクトル軌跡と比較する。本実施形態では、参照ベクトル軌跡を、軌跡位置それぞれに対する発現確率として表した発現確率分布として用いることで、参照ベクトル軌跡との比較演算を実現する。
図5は、発現確率分布を作成する方法を説明する図である。図5では、左側に、列車非在線時の参照ベクトル軌跡に係る発現確率分布を示し、右側に、列車在線時の参照ベクトル軌跡に係る発現確率分布を示している。参照ベクトル軌跡に係る発現確率分布は、1つの判定期間のベクトル軌跡を1回分のベクトル軌跡として、過去の複数回分の電流ベクトル軌跡に基づいて作成する。図5におけるX,Y軸は、図3や図4のX,Y軸と同じである。
電流ベクトル軌跡は、実際には時系列なデータの集合となるため、離散データである複数の電流ベクトル(値)の集合である。図5では、分かり易く示すためにこれを少ないプロット数で示しているが、実際には図5よりも数多くのプロットで構成される。複数回分の電流ベクトル軌跡それぞれを構成する各電流ベクトルをプロットすることで、軌跡位置として取り得る可能性が高い所には高密度なプロット群となり、軌跡位置として取り得る可能性が低い所にはプロットが無い或いは少数のプロットのみとなる。結果、複数の電流ベクトル軌跡のプロットを重畳することで、ベクトル軌跡として取り得る軌跡位置の頻度分布が得られることとなる。本実施形態では、XY平面を所定サイズに分割した領域毎に、プロットした電流ベクトルの総数に対する、当該領域にプロットした電流ベクトルの数の割合を、当該領域の発現確率pとして定める。
但し、発現確率pの定め方としてプロットの数を基準とせず、次のようにしてもよい。すなわち、1回分の電流ベクトル軌跡に関する各プロットを、XY平面を所定サイズに分割した領域毎に有るか無いかの2値として集約する。当該領域に1以上のプロットがあれば、当該領域のプロット数を1とするのである。これにより、過去の電流ベクトル軌跡を重畳した結果得られる発現確率分布は、各領域について、当該領域を通った電流ベクトル軌跡が幾つあったかの回数に基づくものとなり、各領域の発現確率は、当該領域を電流ベクトル軌跡が通る割合となる。
また、本実施形態では、参照ベクトル軌跡の作成に用いる過去の電流ベクトル軌跡は、判定対象の時点(或いは、判定対象の計測データの計測時点)から遡って直近所定回数分の電流ベクトル軌跡とする。しかし、次のようにしてもよい。すなわち、軌道回路は屋外に設置されるため、降雨や積雪、温度等の自然環境の影響によって、その時々の送信電流位相差が異なり得る。このため、例えば、各判定期間の電流ベクトル軌跡を、季節や時間帯、雨や晴れ等の気象条件、といった計測時の状況で分類し、判定対象とする電流ベクトル軌跡の計測時の状況と合致或いは近似する過去の電流ベクトル軌跡を用いて、参照ベクトル軌跡に係る発現確率分布を作成することにしても良い。
このようにして作成した参照ベクトル軌跡に係る発現確率分布と比較することで、1回分の電流ベクトル軌跡に対する評価値として異常度aを算出する。図6は、異常度aの算出を説明する図である。X,Y軸は、他の図と同様である。図6では、列車在線時の電流ベクトル軌跡の例を示している。1回分の電流ベクトル軌跡に対する異常度aは、次式(1)から算出する。
正常度N=Σp(i)/n
異常度a=1−N ・・(1)
「p(i)」は、電流ベクトル軌跡の軌跡位置1つ1つを表す電流ベクトルiを含む領域における発現確率であり、「n」は、電流ベクトル軌跡の軌跡位置1つ1つを表す電流ベクトルの数である。
つまり、正常度Nは、電流ベクトル軌跡を構成する各電流ベクトルiに相当する発現確率p(i)の平均値であり、参照ベクトル軌跡との合致度合いを表す。また、正常度Nは、発現確率の平均値であるから、0.0≦N≦1.0、の範囲内の値となり、異常度aも、0.0≦a≦1.0、の範囲内の値となる。
そして、算出した異常度aを所定のしきい値と比較することで、該当する軌道回路の状態を判定する。例えば、異常度aがしきい値を超えるならば異常状態と判定し、そうでないならば正常状態と判定する。なお、しきい値を段階的に定めておき、異常のレベルとして段階的に判定することもできる。またその場合、レベルが低い場合には、異常の予兆が生じていると判定することができる。
[機能構成]
図7は、軌道回路状態判定装置100の機能構成図である。軌道回路状態判定装置100は、交流軌道回路の区間境界毎に設けられた複数の計測端末200と、処理装置300とが通信接続されて構成される。
計測端末200は、当該計測端末200が設けられた軌道回路の区間境界において送信側の軌道回路の送信電圧及び送信電流が入力され、受信側の軌道回路の軌道リレー11の接点条件が入力される。計測端末200は、位相差算出部202と、送信制御部204とを有する。
位相差算出部202は、軌道回路の送信機の送信電圧及び送信電流の送信側計測器によって計測された計測値に基づいて、送信電圧に対する送信電流の位相差を算出する。すなわち、位相差算出部202は、入力される送信電圧に対する送信電流の位相差を算出する。
送信制御部204は、送信側の軌道回路に係る計測値として、入力された送信電圧及び送信電流と、位相差算出部202が算出した位相差との各値と、受信側の軌道回路に係る計測値として、入力された接点条件の値とを、計測日時や軌道回路の識別情報と対応付けて計測データとして処理装置300に送信する。
処理装置300は、入力部302と、表示部304と、通信部306と、処理部310と、記憶部330とを備え、一種のコンピュータとして構成することができる。
入力部302は、例えばボタンスイッチやタッチパネル、キーボード等の入力装置で実現され、なされた操作に応じた操作信号を処理部310に出力する。表示部304は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)やタッチパネル等の表示装置で実現され、処理部310からの表示信号に応じた各種表示を行う。通信部306は、例えば有線或いは無線による通信装置で実現され、伝送ラインを介して各計測端末200と通信を行う。
処理部310は、例えばCPU(Central Processing Unit)等の演算装置で実現され、記憶部330に記憶されたプログラムやデータ等に基づいて、処理装置300を構成する各部への指示やデータ転送を行い、処理装置300の全体制御を行う。また、処理部310は、記憶部330に記憶された軌道回路状態判定プログラム332を実行することで、電流ベクトル算出部312、電流ベクトル区分部314、状態判定部316、報知部318、参照ベクトル軌跡作成部320、の各機能ブロックとして機能する。但し、これらの機能ブロックは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等によってそれぞれ独立した演算回路として構成することも可能である。
電流ベクトル算出部312は、計測端末200から入力された計測値をもとに、送信電圧に対する送信電流の電流ベクトルを算出する。すなわち、XY直交座標系において、電圧ベクトルをX軸正方向としたX軸に対する位相差θを送信電流位相差、大きさを送信電流値とした電流ベクトル(x,y)を算出する。計測端末200から入力される送信電流や送信電流位相差を含む各計測値は、計測時刻に対応付けられているため、各計測時刻における送信電流及び送信電流位相差から、当該計測時刻における電流ベクトルを算出することができる(図2参照)。各計測時刻の電流ベクトルを時系列とすることで電流ベクトル軌跡が得られる。
電流ベクトル区分部314は、電流ベクトル算出部312によって算出された電流ベクトルを、列車在線時と列車非在線時とに区分する。すなわち、計測時刻に従った時系列の電流ベクトルに対して、急峻変化条件を満たすようになった時点を該当する軌道回路への列車の進入時点とし、当該時点から、電流ベクトルが急峻変化条件を満たす前の電流ベクトルの付近に復帰した時点までを、1回の列車の通過にかかる列車在線時期間とする、そして、列車在線時期間以外の期間を、列車非在線時期間とする(図3参照)。
状態判定部316は、電流ベクトル区分部314によって区分された列車在線時期間及び列車非在線時期間の各期間を1つの判定期間とし、判定期間毎に、電流ベクトル軌跡から、該当する軌道回路の正常状態及び異常状態を含む状態を判定する。すなわち、判定期間毎に、当該判定期間の電流ベクトル軌跡を参照ベクトル軌跡と比較して異常度aを算出し、これを所定のしきい値と比較することで、該当する軌道回路の状態を判定する。このとき、判定期間が列車在線時期間ならば、列車在線時の参照ベクトル軌跡と比較し、列車非在線時期間ならば、列車非在線時の参照ベクトル軌跡と比較する。本実施形態では、参照ベクトル軌跡は各位置の発現確率pの分布データであるので、電流ベクトル軌跡を構成する各電流ベクトルに該当する位置の発現確率pの平均値を正常度Nとして算出し、更に、「1.0」から正常度Nを引いた値を異常度aとして算出する(図6参照)。
報知部318は、状態判定部316による判定結果に応じた所定の報知を行う。例えば、状態判定部316が異常状態を判定した場合に、該当する軌道回路の異常を示すメッセージを表示部304に表示させる、当該メッセージを音声出力部から音声出力させる、当該軌道回路に対応させたランプを点灯させる、といった報知を採用することができる。更に、状態判定に際して段階的な複数のしきい値が定められている場合には、何れのしきい値を超えたかによって異常のレベルを報知したり、異常の予兆を示すレベルのしきい値条件を満たす場合に異常の予兆が生じたとして報知することにしても良い。
参照ベクトル軌跡作成部320は、電流ベクトル軌跡と比較するための参照ベクトル軌跡を作成する。具体的には、本実施形態では、参照ベクトルを発現確率分布として表すことから、参照ベクトル軌跡作成部320は、参照ベクトルに係る発現確率分布を作成する。過去の電流ベクトル軌跡を、列車在線時と列車非在線時とに分類し、列車在線時の電流ベクトル軌跡を用いて、列車在線時の参照ベクトル軌跡に係る発現確率分布を作成し、列車非在線時の電流ベクトル軌跡を用いて、列車非在線時の参照ベクトル軌跡に係る発現確率分布を作成する(図5参照)。
このとき、計測日時からみて過去直近の所定数の電流ベクトル軌跡を用いて参照ベクトル軌跡に係る発現確率分布を作成することとする。なお、季節や時間帯、気象といった計測を行ったときの状況の組み合わせである分類条件を複数設定し、分類条件毎に、当該分類条件を満たす過去の電流ベクトル軌跡を用いて参照ベクトル軌跡に係る発現確率分布を作成することにしても良い。また、電流ベクトル軌跡は、軌道回路の保守作業の前後で変化し得る。このため、計測日時が、過去直近の保守作業の実施日時以降の電流ベクトル軌跡を用いて、参照ベクトル軌跡に係る発現確率分布を作成することにしても良い。
記憶部330は、ハードディスクやROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の記憶装置で実現され、処理部310が処理装置300を統合的に制御するためのプログラムやデータ等を記憶しているとともに、処理部310の作業領域として用いられ、処理部310が各種プログラムに従って実行した演算結果や、入力部302や通信部306を介した入力データ等が一時的に格納される。本実施形態では、記憶部330には、軌道回路状態判定プログラム332と、軌道回路データ340と、が記憶される。
軌道回路データ340は、軌道回路毎に生成され、当該軌道回路を識別する軌道回路ID342に対応付けて、計測データ344と、電流ベクトル軌跡データ346と、判定結果データ348と、参照ベクトル軌跡データ350と、しきい値データ352と、保守作業履歴データ354と、を格納している。
計測データ344は、該当する計測端末200から入力された計測値のデータであり具体的には、計測時刻に対応付けられた、送信電圧、送信電流、軌道リレー11の接点条件、送信電圧と送信電流との位相差(送信電流位相差)の各計測値のデータである。
電流ベクトル軌跡データ346は、列車在線時期間又は列車非在線時期間である判定期間毎の電流ベクトル軌跡のデータであり、図8に一例を示すように、列車在線時期間における電流ベクトル軌跡に関する列車在線時データ346aと、列車非在線時期間における電流ベクトル軌跡に関する列車非在線時データ346bと、を含む。何れも、当該電流ベクトル軌跡を識別する軌跡No.に対応付けて、計測が行われたときの状況を表す付随情報である計測日、判定期間に相当する計測時間帯、及び、気象と、当該電流ベクトル軌跡と、を格納している。電流ベクトル軌跡は、計測時間帯の各計測時刻における電流ベクトルの時系列データである。
判定結果データ348は、判定期間毎の電流ベクトル軌跡に対する状態判定の結果に関するデータであり、図9に一例を示すように、列車在線時期間における電流ベクトル軌跡に関する列車在線時データ348aと、列車非在線時期間における電流ベクトル軌跡に関する列車非在線時データ348bと、を含む。何れも、該当する電流ベクトル軌跡の軌跡No.に対応付けて、状態判定に用いた参照ベクトル軌跡の参照No.と、異常度と、正常状態や異常状態といった判定結果と、を対応付けて格納している。
参照ベクトル軌跡データ350は、状態判定に用いられる参照ベクトル軌跡のデータであり、図10に一例を示すように、列車在線時の電流ベクトル軌跡に関する列車在線時データ350aと、列車非在線時の電流ベクトル軌跡に関する列車非在線時データ350bと、を含む。何れも、当該参照ベクトル軌跡を識別する参照No.に対応付けて、分類条件と、採用電流ベクトル軌跡リストと、発現確率分布データと、を対応付けて格納している。分類条件は、当該参照ベクトル軌跡の作成に用いる電流ベクトル軌跡の条件であり、春夏秋冬といった季節、昼間や夜間といった時間帯、晴れや雨、雪といった気象条件等の計測を行った状況に関する条件の組み合わせである。採用電流ベクトル軌跡リストは、当該参照ベクトル軌跡の作成に用いた過去の電流ベクトル軌跡の軌跡No.のリストであり、上述の分類条件を満たす過去の電流ベクトル軌跡のうちから選ばれる。発現確率分布データは、当該参照ベクトル軌跡を表すデータであり、XY平面における各位置(本実施形態では各領域)の発現確率p(0.0≦p≦1.0)の分布データである。
しきい値データ352は、当該軌道回路に対する状態判定に用いるしきい値のデータである。
保守作業履歴データ354は、当該軌道回路に対して実施された保守作業の履歴であり、例えば、保守作業の実施日時と、実施した保守作業に関わる軌道回路の軌道回路IDと、実施した保守作業の内容とを対応付けて格納している。
[処理の流れ]
図11は、軌道回路状態判定処理の流れを説明するフローチャートである。この処理は、処理部310が、軌道回路それぞれを対象として並列的に実行する。
先ず、電流ベクトル算出部312が、随時、計測端末200から入力される計測値に基づいて、電流ベクトルを算出する(ステップS1)。次いで、電流ベクトル区分部314が、電流ベクトルの変化が急峻変化条件を満たすかによって、列車在線時と非在線時との区分の境界を判定する。そして、区分の境界を判定したならば(ステップS3:YES)、状態判定部316が、直前の区分から今回の区分までを1つの判定期間とし、判定期間の各電流ベクトルから電流ベクトル軌跡を算出する(ステップS5)。また、判定期間が列車在線時であるか列車非在線時であるかを特定する(ステップS7)。そして、算出した電流ベクトル軌跡を、計測日時や時間帯、気象といった計測が行われたときの状況と対応付けて記憶する(ステップS9)。また、参照ベクトル軌跡作成部320が、計測を行ったときの状況から電流ベクトル軌跡の分類条件を特定し、分類条件を満たす過去の電流ベクトル軌跡を用いて参照ベクトル軌跡を作成する(ステップS11)。
次いで、状態判定部316が、電流ベクトル軌跡を、作成された参照ベクトル軌跡と比較して、異常度aを算出する(ステップS13)。そして、算出した異常度aをしきい値と比較して、軌道回路の状態を判定する(ステップS15)。その後、報知部318が、軌道回路や判定結果の表示出力といった所定の報知を行う(ステップS17)。以上の処理を行うと、ステップS1に戻り、同様の処理を繰り返す。
[作用効果]
このように、本実施形態によれば、送信電圧に対する電流ベクトル軌跡を参照ベクトル軌跡と比較するといった新たな手法によって、正常状態か異常状態かを少なくとも含む交流軌道回路の状態を判定することができる。また、列車在線時と列車非在線時とでは電流ベクトル軌跡の変化の仕方が異なるので、これを区別することで、精度の高い判定が可能となる。また、軌道回路毎に電流ベクトル軌跡が異なるため、当該軌道回路の過去の電流ベクトル軌跡を用いて参照ベクトル軌跡を作成することで、当該軌道回路に固有の特徴を表すデータとすることができる。
更に、軌道回路は屋外に設置されるため、送信電流等の計測値は外部環境の影響を受け易い。このため、計測を行ったときの状況によって過去の電流ベクトル軌跡を分類し、分類毎に参照ベクトル軌跡を作成し、判定対象の電流ベクトル軌跡を、計測を行ったときの状況に応じた分類の参照ベクトル軌跡と比較することで、より精度の高い判定が可能となる。
なお、本発明の適用可能な実施形態は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
(A)しきい値の設定
軌道回路の状態判定のため、電流ベクトル軌跡に基づく異常度aと比較するしきい値を、例えば、過去の異常度aの時系列の推移に基づいて設定することにしても良い。この場合、過去の電流ベクトル軌跡を列車在線時と列車非在線時とに分けてしきい値を設定する。このしきい値の設定は、過去の異常度aの推移を、例えば表示部304に表示する等によってユーザに提示し、入力部302によるユーザの操作指示に従って行うことにしても良い。更に、過去の電流ベクトル軌跡を、季節や時間帯、気象条件といった分類条件で分類し、分類条件毎に、該当する電流ベクトル軌跡についての異常度aの推移からしきい値を設定することにしても良い。
(B)参照ベクトル軌跡
また、判定毎に参照ベクトル軌跡を作成するのではなく、予め、複数の分類条件それぞれに対応する参照ベクトル軌跡を作成しておく。そして、判定対象の電流ベクトル軌跡を、計測を行ったときの状況を満たす分類条件の参照ベクトル軌跡から選択して比較することにしても良い。
100…軌道回路状態判定装置
200…計測端末
202…位相差算出部、204…送信制御部
300…処理装置
310…処理部
312…電流ベクトル算出部、314…電流ベクトル区分部
316…状態判定部、318…報知部
320…参照ベクトル軌跡作成部
330…記憶部
332…軌道回路状態判定プログラム
340…軌道回路データ
342…軌道回路ID、344…計測データ
346…電流ベクトル軌跡データ、348…判定結果データ
350…参照ベクトル軌跡データ、352…しきい値データ
354…保守作業履歴データ

Claims (7)

  1. 正常状態か異常状態かを少なくとも含む交流軌道回路の状態を判定する軌道回路状態判定装置であって、
    前記交流軌道回路に送信された電圧に対する電流ベクトルの参照ベクトル軌跡であって前記交流軌道回路に係る列車在線時の前記参照ベクトル軌跡のデータを記憶する記憶手段と、
    前記交流軌道回路の送信機の送信電圧及び送信電流の送信側計測器によって計測された計測値に基づいて、前記送信電圧に対する前記送信電流の電流ベクトルを算出する算出手段と、
    前記算出手段により算出された電流ベクトルが所定の急峻変化条件を満たしたときから、当該急峻変化条件を満たす前の電流ベクトルに戻る迄を列車在線時の電流ベクトルとして区分する区分手段と、
    前記区分手段により区分された列車在線時の電流ベクトル軌跡からベクトル軌跡を算出し、前記参照ベクトル軌跡と比較することで、前記交流軌道回路の状態を判定する判定手段と、
    を備えた軌道回路状態判定装置。
  2. 正常状態か異常状態かを少なくとも含む交流軌道回路の状態を判定する軌道回路状態判定装置であって、
    前記交流軌道回路に送信された電圧に対する電流ベクトルの参照ベクトル軌跡であって前記交流軌道回路に係る列車非在線時の前記参照ベクトル軌跡のデータを記憶する記憶手段と、
    前記交流軌道回路の送信機の送信電圧及び送信電流の送信側計測器によって計測された計測値に基づいて、前記送信電圧に対する前記送信電流の電流ベクトルを算出する算出手段と、
    前記算出手段により算出された電流ベクトルが所定の急峻変化条件を満たしたときから、当該急峻変化条件を満たす前の電流ベクトルに戻る迄以外の期間の電流ベクトルを、列車非在線時の電流ベクトルとして区分する区分手段と、
    前記区分手段により区分された列車非在線時の電流ベクトル軌跡からベクトル軌跡を算出し、前記参照ベクトル軌跡と比較することで、前記交流軌道回路の状態を判定する判定手段と、
    を備えた軌道回路状態判定装置。
  3. 正常状態か異常状態かを少なくとも含む交流軌道回路の状態を判定する軌道回路状態判定装置であって、
    前記交流軌道回路に送信された電圧に対する電流ベクトルの参照ベクトル軌跡であって、前記交流軌道回路に係る列車在線時の前記参照ベクトル軌跡のデータ、および、前記交流軌道回路に係る列車非在線時の前記参照ベクトル軌跡のデータを記憶する記憶手段と、
    前記交流軌道回路の送信機の送信電圧及び送信電流の送信側計測器によって計測された計測値に基づいて、前記送信電圧に対する前記送信電流の電流ベクトルを算出する算出手段と、
    前記算出手段により算出された電流ベクトルが所定の急峻変化条件を満たしたときから、当該急峻変化条件を満たす前の電流ベクトルに戻る迄を列車在線時の電流ベクトルとし、それ以外を列車非在線時の電流ベクトルとして区分する区分手段と、
    前記区分手段により区分された列車在線時の電流ベクトル軌跡からベクトル軌跡を算出し、列車在線時の前記参照ベクトル軌跡と比較すること前記交流軌道回路の状態を判定することと、前記区分手段により区分された列車非在線時の電流ベクトルの軌跡からベクトル軌跡を算出し、列車非在線時の前記参照ベクトル軌跡と比較することで前記交流軌道回路の状態を判定することと、を行う判定手段と、
    を備えた軌道回路状態判定装置。
  4. 正常状態か異常状態かを少なくとも含む交流軌道回路の状態を判定する軌道回路状態判定装置であって、
    前記交流軌道回路に送信された電圧に対する電流ベクトルの参照ベクトル軌跡のデータを、前記交流軌道回路が動作していた季節、時間帯及び気象条件のうちの少なくとも1つの状況を示す付随情報と対応付けて複数記憶する記憶手段と、
    前記交流軌道回路の送信機の送信電圧及び送信電流の送信側計測器によって計測された計測値に基づいて、前記送信電圧に対する前記送信電流の電流ベクトルを算出する算出手段と、
    前記算出手段により算出された電流ベクトルの所定期間の軌跡からベクトル軌跡を算出し、前記計測が行われたときの前記状況と所定の近似条件を満たす前記参照ベクトル軌跡と比較することで、前記交流軌道回路の状態を判定する判定手段と、
    を備えた軌道回路状態判定装置。
  5. 前記記憶手段は、前記参照ベクトル軌跡を、前記交流軌道回路が動作していた季節、時間帯及び気象条件のうちの少なくとも1つの状況を示す付随情報と対応付けて複数記憶し、
    前記判定手段は、前記計測が行われたときの前記状況と所定の近似条件を満たす前記参照ベクトル軌跡を比較対象として選択して前記比較を行う、
    請求項1〜の何れか一項に記載の軌道回路状態判定装置。
  6. 正常状態か異常状態かを少なくとも含む交流軌道回路の状態を判定する軌道回路状態判定装置であって、
    前記交流軌道回路に送信された電圧に対する電流ベクトルの参照ベクトル軌跡のデータを記憶する記憶手段と、
    前記交流軌道回路の送信機の送信電圧及び送信電流の送信側計測器によって計測された計測値に基づいて、前記送信電圧に対する前記送信電流の電流ベクトルを算出する算出手段と、
    を備え、
    前記参照ベクトル軌跡のデータは、前記算出手段により算出された過去の電流ベクトルのベクトル軌跡に基づいて、軌跡位置それぞれに対する発現確率分布として作成されたデータであり、
    前記算出手段により算出された電流ベクトルの所定期間の軌跡からベクトル軌跡を算出し、当該ベクトル軌跡が辿る前記発現確率分布上の発現確率に基づいて当該ベクトル軌跡に関する評価値を算出し、当該評価値に基づいて前記交流軌道回路の状態を判定する判定手段
    更に備えた軌道回路状態判定装置。
  7. 前記参照ベクトル軌跡のデータは、前記算出手段により算出された過去の電流ベクトルのベクトル軌跡に基づいて、軌跡位置それぞれに対する発現確率分布として作成されたデータであり、
    前記判定手段は、判定対象のベクトル軌跡が辿る前記発現確率分布上の発現確率に基づいて、当該判定対象のベクトル軌跡に関する評価値を算出し、当該評価値に基づいて前記交流軌道回路の状態を判定する、
    請求項1〜5の何れか一項に記載の軌道回路状態判定装置。
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