JP6629795B2 - 軌道回路監視装置 - Google Patents

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Description

本発明は、交流軌道回路の異常を監視する軌道回路監視装置に関する。
鉄道交通における軌道回路は、レールを電気回路の一部として用いて列車の在線の有無を検知する装置であり、レールの一端側から軌道信号を送信し、列車の車軸でレール間が短絡されることによる受信信号の有無を、レールの他端に設けた軌道リレーで検出するように構成されている。
自然環境におかれる軌道回路は、レール破断や機器の故障といった様々な異常が発生し得る。軌道回路に異常が発生すると、保守作業員が現場に向かい、異常箇所や異常原因を特定して保守作業を行う必要があるが、速やかな軌道回路の復旧のために、異常の検知や異常箇所を判定する様々な技術が提案・実用化されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−278269号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている技術は、主に、軌道リレーの着電圧(受信電圧)といったレールに送信されている信号を受信する受信機の信号状態に基づいて異常箇所を判定する技術である。そのため、軌道回路の異常箇所の判定を、受信側の信号状態以外を用いて実現可能とする技術が望まれていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、交流軌道回路の異常を検知し、その異常箇所を判定する新たな技術を提供することである。
上記課題を解決するための第1の発明は、
交流軌道回路の異常を監視する軌道回路監視装置であって、
前記交流軌道回路の送信機の送信電圧及び送信電流の送信側計測器によって計測された計測値に基づいて、前記送信電圧に対する前記送信電流の位相差である送信電流位相差を算出する算出手段と、
前記交流軌道回路による在線検知がなされていない場合に、前記交流軌道回路の複数の異常箇所それぞれに応じて定められた前記送信電流位相差に基づく閾値条件を、前記交流軌道回路の異常箇所を判定するための絞り込み条件に少なくとも含めて、異常箇所を判定する異常箇所判定手段と、
を備えた軌道回路監視装置である。
第1の発明によれば、交流軌道回路の送信機の送信電圧に対する送信電流の位相差である送信電流位相差に基づき、交流軌道回路の異常箇所を絞り込んで判定することができる。すなわち、詳細は後述するが、交流軌道回路に異常が発生すると、送信電流位相差が変化するとともに、その異常箇所に応じて送信電流位相差の変化の程度が異なるという知見が得られた。このため、複数の異常箇所それぞれについて、送信電流位相差の変化の程度に応じた閾値条件を定めておくことで、送信電流位相差が複数の閾値条件の何れを満たしたかによって、軌道回路の異常を検知するとともに、その異常箇所を絞り込んで判定するという新たな技術を実現することができる。
第2の発明は、第1の発明の軌道回路監視装置であって、
前記異常箇所判定手段は、
前記交流軌道回路のうち、前記送信機に係る異常、レールに係る異常、及び受信機に係る異常の3つを前記異常箇所として判定可能である、
軌道回路監視装置である。
第2の発明によれば、交流軌道回路の異常箇所が、送信機に係る異常、レールに係る異常、及び受信機に係る異常、の何れであるかを判定できる。
第3の発明は、第1又は第2の発明の軌道回路監視装置であって、
前記異常箇所判定手段は、
前記複数の異常箇所それぞれに応じて定められた前記送信電流及び/又は送信電圧に基づく閾値条件を、前記絞り込み条件に更に含めて、前記判定を行う、
軌道回路監視装置である。
第3の発明によれば、更に、送信電流及び/又は送信電圧に基づいて交流軌道回路の異常箇所を絞り込むことで、その判定の正確性を向上させることができる。すなわち、詳細は後述するが、交流軌道回路に異常が発生すると、送信電流及び送信電圧が変化するとともに、その異常箇所に応じて送信電流及び送信電圧の変化の程度が異なるという知見が得られた。このため、複数の異常箇所それぞれについて、送信電流及び/又は送信電圧の変化の程度に応じた閾値条件を定めておくことで、送信電流及び/又は送信電圧が複数の閾値条件の何れを満たしたかによって、軌道回路の異常を検知するとともに、上述の送信電流位相差に基づく判定と組み合わせることで、その異常箇所を絞り込んで判定することができる。
第4の発明は、第1〜第3の何れかの発明の軌道回路監視装置であって、
前記異常箇所判定手段は、
前記複数の異常箇所それぞれに応じて定められた、前記交流軌道回路の受信側に設置された軌道リレーの受信電圧に基づく閾値条件を、前記絞り込み条件に更に含めて、前記判定を行う、
軌道回路監視装置である。
第4の発明によれば、更に、軌道リレーの受信電圧に基づくことで、交流軌道回路の異常箇所の判定の正確性を向上させることができる。すなわち、詳細は後述するが、交流軌道回路に異常が発生すると、受信電圧が変化するとともに、その異常箇所に応じて受信電圧位相差の変化の程度が異なるという知見が得られた。このため、複数の異常箇所それぞれについて、受信電圧の変化の程度に応じた閾値条件を定めておくことで、受信電圧位相差が複数の閾値条件の何れを満たしたかによって、軌道回路の異常を検知するとともに、上述の送信電流位相差に基づく判定と組み合わせることで、その異常箇所を絞り込んで判定することができる。
第5の発明は、
前記交流軌道回路の区間境界毎に設けられた計測端末と、前記異常箇所判定手段を有する処理装置とが通信接続されて構成された第1〜第4の何れかの発明の軌道回路監視装置であって、
前記計測端末は、
当該計測端末が設けられた区間境界において送信側の交流軌道回路に係る前記送信電流位相差を算出する前記算出手段、
を有する、
軌道回路監視装置である。
第5の発明によれば、1つの区間境界に設けた計測端末によって、当該区間境界の送信側の交流軌道回路に係る送信電流位相差を算出することができる軌道回路監視装置を構成することができる。
軌道回路監視装置の適用例。 軌道回路における異常箇所と計測値との関係の一例。 送信電流位相差に基づく異常箇所の判定の説明。 軌道回路監視装置の機能構成図。 異常箇所判定テーブルの一例。 軌道回路監視処理のフローチャート。
[システム構成]
図1は、本実施形態の軌道回路監視装置100の適用例である。図1に示すように、軌道には、左右のレールRを所定の長さに区切った区間毎に軌道回路1T,2T,3T,・・が設けられている。軌道回路は、左右のレールRが列車の輪軸によって電気的に短絡されることを利用して在線検知を行う装置である。本実施形態では、軌道回路の区間境界において左右の各レールRに軌道絶縁1が設けられた複軌条軌道回路として、軌道回路の境界には軌道絶縁1を挟んで2組のインピーダンスボンド3が設けられていることとする。
軌道回路の一端側(送信側)のレールR間には、インピーダンスボンド3及び減流抵抗5を介して送信機である送信トランス7が接続され、他端側(受信側)のレール間には、インピーダンスボンド3及び位相調整器9を介して受信機である軌道リレー11が接続されている。減流抵抗5は、電流を制限して機器が焼損することを防止するために設けられる。
送信トランス7は、商用電源等の電源21から供給される交流電圧を変圧して軌道信号(列車検知信号)を生成して軌道回路の送信側のレールR間に送信する。つまり、本実施形態の軌道回路は交流軌道回路である。
軌道リレー11は、軌道コイル及び局部コイルの2つのコイルを有し、各コイルに印加される電圧とその位相差によって接点を駆動する2元式軌道リレーである。軌道コイルは、軌道回路の受信側のレールR間に接続されて軌道回路を流れる軌道信号の電圧が印加され、局部コイルには、電源21から供給される交流電圧が印加される。局部コイルに印加される電圧(以下、「局部電圧」)は位相(周期とも言える)が安定していることから、局部電圧の位相が基準とされる。
軌道回路に列車が進入すると、この列車の車軸によってレールR間が短絡されることで、軌道リレー11の軌道コイルに印加される電圧(以下、「受信電圧」。「着電圧」ともいう)が低下するとともに、この受信電圧と局部電圧との位相差が小さくなり、軌道リレー11が扛上状態から落下状態に変化することで、列車の軌道回路への進入が検知される。位相調整器9は、受信電圧の位相を調整して、非在線時における受信電圧と局部電圧との位相差を軌道リレー11が扛上状態を保つのに最適な値とするために設けられる。
軌道回路監視装置100は、複数の計測端末200と、処理装置300とが伝送ライン102によって通信接続されて構成され、軌道回路の異常を監視する。
計測端末200は、軌道回路の区間境界毎に設けられ、当該境界で隣り合う一方の軌道回路に係る計測値として、送信トランス7が生成する軌道信号の電圧(送信電圧)、及び、電流(送信電流)が入力されるとともに、当該境界で隣り合う他方の軌道回路に係る計測値として、軌道リレー11の受信電圧(着電圧)、局部電圧、及び、接点条件が入力される。そして、計測端末200は、送信電圧と送信電流との位相差である送信電流位相差、及び、受信電圧(着電圧)と局部電圧との位相差である受信電圧位相差を算出し、入力された計測値とともに、伝送ライン102を介して処理装置300に出力する。
送信電圧は、送信トランス7の二次側に接続された送信側計測器である電圧検出器(PT:Potential Transformer)13によって計測される。送信電流は、送信トランス7の二次側とレールRとの間に挿入された送信側計測器である電流検出器(CT:Current Transformer)15によって計測される。なお、減流抵抗5の両端電圧を検出することで送信電流を算出することにしても良い。受信電圧(着電圧)は、軌道リレー11の軌道コイルに接続された受信側計測器である電圧検出器(PT)17によって計測される。局部電圧は、軌道リレー11の局部コイルに接続された受信側計測器である電圧検出器(PT)19によって計測される。
処理装置300は、演算制御を行う電子回路を備えて構成される一種のコンピュータであり、各計測端末200から入力される計測値をもとに、軌道回路毎に、軌道回路の異常を検知するとともに、その異常箇所を判定する。
[検知原理]
処理装置300による異常検知、及び、異常箇所の判定の原理を説明する。図2は、軌道回路における異常箇所と計測値との関係をプロットした図である。この図は、ある軌道回路について、電気流路を形成している箇所を物理的に切断することで電気の流れを阻害して人為的に異常を発生させたときの軌道回路に係る計測値をプロットした図であり、横軸を切断箇所、縦軸を計測値(電圧、電流、又は、位相差)としている。切断箇所は、減流抵抗5、レールR、及び、軌道リレー11、の3箇所である。計測値は、送信電圧、送信電流、送信電流位相差、及び、受信電圧、の4種類である。また、比較のため、正常時の計測値を併せて示している。但し、軌道回路に列車は進入していない(非在線)状態とする。
本実施形態では、インピーダンスボンド3の一次側/二次側を境界とした、送信機、レール、及び、受信機の3箇所について、異常の発生有無を判定することとする。図2に示すとおり、軌道回路に異常が発生すると、計測値に何らかの変化が生じる。変化した計測値は、切断箇所に応じて特徴のある値を示すことがわかった。つまり、正常時の計測値に対して、異常時には特異な計測値となることから、何らかの異常の発生を検知することができる。更に、各計測値を絞り込み条件として、軌道回路の異常箇所を高確度に判定することができる。
例えば、送信電流位相差に着目すると、異常が発生すると、その計測値は、正常時に比較して減少する。具体的には、送信電流位相差の計測値は、送信機に異常(切断)が発生すると計測不能(ほぼゼロ)となる。また、レール又は受信機に異常(切断)が発生すると減少するが、その減少の程度は、両者を比較すると、異常箇所がレールである場合は小さく、受信機である場合のほうが大きくなる。
このため、図3に一例を示すように、異常箇所それぞれに該当する計測値に基づく閾値条件である判定範囲を設定し、実際の計測値を判定範囲と比較することで、軌道回路の異常の検知、及び、異常箇所の判定を行うことができる。すなわち、正常であるか否かを判定するための範囲として、正常時の値として取り得る下限値Φ0min〜上限値Φ0maxの範囲を定める。そして、実際の計測値がこの範囲内ならば“正常”、範囲外ならば“異常”と判定する。
また、異常箇所が送信機であると判定するための範囲として、レールの異常時の値として取り得る下限値Φ〜上限値Φの範囲を定める。異常箇所がレールの場合、正常時に対する送信電流位相差の減少の程度は小さいため、判定範囲の上限値Φは正常範囲の下限値Φ0minに一致するとするが、異なることとしても良い。また、異常箇所が受信機であると判定するための範囲として、受信機の異常時の値として取り得る下限値Φ〜上限値Φの範囲を定め、異常箇所が送信機であると判定するための範囲として、送信機の異常時の値として取り得る−∞〜上限値Φの範囲を定める。そして、“異常”と判定した場合に、実際の計測値が何れの範囲内であるかを絞り込み条件として、軌道回路の異常箇所を判定する。但し、本実施形態では、これらの閾値Φは、0<Φ<Φ<Φ≦Φ0min<Φ0max、を満たす値とする。また、閾値Φの具体的な値は、軌道回路毎に、当該軌道回路を構成するレールの長さや設置箇所、環境等を再現した実験や、電気回路モデルを用いたシミュレーション演算等によって、異常発生時の計測値を求めることで定めることができる。
また、図3では、送信電流位相差についての判定の一例を示したが、送信電流、送信電圧、及び、受信電圧の各計測値についても同様に、軌道回路の異常箇所の判定を行うことができる。例えば、送信電流については、正常時と、3箇所の異常箇所それぞれとで、計測値が異なるので、異常箇所毎に、閾値条件である計測値の判定範囲を定めて絞り込み条件として、異常箇所を判定することができる。また、送信電圧については、正常時と比較すると、異常箇所が送信機の場合にのみ、正常時と峻別できる計測値となるため、異常箇所が送信機の場合と、正常時を含むそれ以外の場合とのそれぞれに、閾値条件である計測値の判定範囲を定めて絞り込み条件として、異常箇所が送信機であるかそれ以外であるかを判定することができる。また、受信電圧については、異常時には計測値がほぼゼロになるため、正常時、及び、異常時のそれぞれに計測値判定範囲を定めて、異常が発生したかを判定することができる。
更に、計測項目毎の判定結果の組み合わせによって、総合的に異常箇所を絞り込んで判定することもできる。例えば、図2に示した軌道回路の異常箇所と計測値との関係は晴天時のものであるが、雨天時には、漏れコンダクタスの変化によって、実際には異常が発生していなくとも、送信電流位相差の計測値が正常時に比較して減少する。つまり、送信電流位相差の計測値による判定のみでは、実際に受信機に異常が発生しているのか、雨天によるものなのかを判別できない。このような場合に、他の計測値(具体的には、受信電圧の計測値)による判定結果を組み合わせることで、軌道回路の異常箇所を絞り込んで判定することができる。すなわち、受信電圧は、受信機の異常時にはほぼゼロとなるが、雨天時には殆ど変化しない。このため、送信電流位相差の計測値が異常箇所を“受信機”と判定するための範囲内である場合、受信電圧がほぼゼロならば、異常箇所を“受信機”と判定し、受信電圧が正常時と比較して殆ど変化していない(正常であると判定するための範囲内)ならば、雨天によるものと判定するといったように、異常箇所を絞り込んで判定することができる。
[機能構成]
図4は、軌道回路監視装置100の機能構成図である。図4によれば、軌道回路監視装置100は、交流軌道回路の区間境界毎に設けられた複数の計測端末200と、処理装置300とが通信接続されて構成される。
計測端末200には、当該計測端末200が設けられた軌道回路の区間境界において送信側の軌道回路の送信電圧、及び、送信電流が入力され、受信側の軌道回路の軌道リレー11の受信電圧、局部電圧、及び、接点条件が入力される。計測端末200は、送信電流位相差算出部202と、受信電圧位相差算出部204と、送信制御部206とを有する。
送信電流位相差算出部202は、算出手段に該当し、軌道回路の送信機の送信電圧及び送信電流の送信側計測器によって計測された計測値に基づいて、送信電圧に対する送信電流の位相差である送信電流位相差を算出する。また、当該計測端末が設けられた区間境界において送信側の交流軌道回路に係る送信電流位相差を算出する。
すなわち、送信電流位相差算出部202は、入力される送信電圧に対する送信電流の位相差を、送信側の軌道回路に係る送信電流位相差として算出する。
受信電圧位相差算出部204は、軌道回路の受信側に設置された軌道リレーの受信電圧及び局部電圧の受信側計測器によって計測された計測値に基づいて、局部電圧に対する受信電圧の位相差である受信電圧位相差を算出する。また、当該計測端末が設けられた区間境界において受信側の軌道回路に係る受信電圧位相差を算出する。
すなわち、受信電圧位相差算出部204は、入力される局部電圧に対する受信電圧の位相差を、受信側の軌道回路に係る受信電圧位相差として算出する。
送信制御部206は、送信側の軌道回路に係る計測値として、入力された送信電圧、及び、送信電流と、送信電流位相差算出部202が算出した送信電流位相差との各値と、受信側の軌道回路に係る計測値として、入力された受信電圧、局部電圧、及び、接点条件と、受信電圧位相差算出部204が算出した受信電圧位相差の各値とを、計測日時や軌道回路の識別情報と対応付けて計測データとして、処理装置300に出力する。
処理装置300は、計測データ蓄積部302と、異常検知部304と、異常箇所判定部306と、報知制御部308とを有するとともに、計測値蓄積データ310と、異常箇所判定テーブル312と、判定結果データ318と、を記憶する。
計測データ蓄積部302は、計測端末200から入力される計測データを、計測値蓄積データ310として軌道回路別に蓄積記憶する。
異常検知部304は、計測値蓄積データ310に基づいて、軌道回路別に異常の発生を検知する。すなわち、当該軌道回路による在線検知がなされていない(非在線である)軌道回路それぞれについて、異常箇所判定テーブル312に従って、計測項目毎に、計測値が正常範囲内であるか否かを判定し、全ての計測項目について計測値が正常範囲ならば“正常”と判定し、そうでないならば“異常”と判定する。非在線であることは、当該軌道回路の軌道リレー11の状態を示す接点条件から判断することができる。異常検知部304による検知結果は、軌道回路別に判定結果データ318として蓄積記憶される。
図5は、異常箇所判定テーブル312のデータ構成の一例を示す図である。異常箇所判定テーブル312は、軌道回路毎に用意され、第1条件テーブル314、及び、第2条件テーブル316の2つの判定テーブルを有する。第1条件テーブル314は、計測項目として送信電流位相差についての判定を行うための判定テーブルであり、第2条件テーブル316は、計測項目として送信電流、送信電圧、及び、受信電圧についての判定を行うための判定テーブルである。各判定テーブルは、計測項目毎に、計測値の判定範囲として、正常範囲と、3箇所の異常箇所それぞれについての判定範囲とを対応付けて格納している。判定範囲の上限値及び下限値は、該当する軌道回路に応じて定められる(図2,図3参照)。
異常箇所判定部306は、異常箇所判定手段に該当し、軌道回路による在線検知がなされていない場合に、軌道回路の複数の異常箇所それぞれに応じて定められた送信電流位相差に基づく閾値条件を、軌道回路の異常箇所を判定するための絞り込み条件に少なくとも含めて、異常箇所を判定する。また、軌道回路のうち、送信機に係る異常、レールに係る異常、及び受信機に係る異常の3つを異常箇所として判定可能である。また、複数の異常箇所それぞれに応じて定められた送信電流に基づく閾値条件を、絞り込み条件に更に含めて、判定を行う。また、複数の異常箇所それぞれに応じて定められた受信電圧に基づく閾値条件を、絞り込み条件に更に含めて、判定を行う。
すなわち、異常箇所判定部306は、計測値蓄積データ310に基づいて、異常検知部304によって“異常”と検知された軌道回路についてその異常箇所を判定する。具体的には、異常箇所判定テーブル312に従って、計測項目毎に、計測値が、異常箇所それぞれの判定範囲内であるか否かを判定することで、異常箇所を特定する。本実施形態では、先ず、第1条件テーブル314に従って、送信電流位相差の計測値が判定範囲内となる異常箇所を、候補として判定する第1判定を行う。次いで、第2条件テーブル316に従って、送信電流、送信電圧、及び、受信電圧の各分析項目について、その計測値が、第1判定で判定した異常箇所の候補となる異常箇所の判定範囲内であるかを判定する第2判定を行う。そして、第2判定によって1つ以上の計測項目について判定範囲内と判定した場合に、第1判定によって判定した異常箇所の候補を、異常箇所として確定する。このとき、第2判定において計測値が判定範囲内と判定した計測項目の数を、異常箇所の判定の確度とみなすこともできる。なお、送信電流位相差の計測値が、第1条件テーブル314で定められる何れの異常箇所の判定範囲内にも含まれない場合や、第2条件テーブル316で定められる何れの計測項目についても、第1判定で候補とした異常箇所に対応する判定範囲内と判定されない場合には、異常箇所は“不明”とする。異常箇所判定部306による判定結果は、軌道回路別に判定結果データ318として蓄積記憶される。
報知制御部308は、異常検知部が軌道回路の異常を検知した場合や、異常箇所判定部が軌道回路の異常箇所を判定した場合に、所定の報知処理を行う。例えば、異常検知部304が異常を検知した軌道回路や、異常箇所判定部306が判定した軌道回路の異常箇所を示すメッセージを表示装置322に表示させる、当該メッセージを音声出力装置から音声出力させる、当該軌道回路や異常箇所に対応させたランプを点灯させる、といったことができる。
[処理の流れ]
図6は、軌道回路監視処理の流れを説明するフローチャートである。この処理は、各軌道回路に係る異常検知及び異常箇所の判定を行う処理であり、処理装置300が実行する。但し、各計測端末200から処理装置300へ、随時、計測データが出力されており、処理装置300では、計測データ蓄積部302が、随時、各計測端末200から入力される計測データを計測値蓄積データ310として蓄積・更新している。
軌道回路監視処理では、軌道回路それぞれを対象としたループAの繰り返し処理を行う。すなわち、異常検知部304が、計測項目毎に、対象の軌道回路についての最新の計測値が、異常箇所判定テーブルで定められる正常範囲内か否かを判定し、全ての計測項目の計測値が正常範囲内ならば(ステップS1:YES)、対象の軌道回路は“正常”と判定する(ステップS3)。
一方、1つ以上の計測項目の計測値が正常範囲外ならば(ステップS1:NO)、対象の軌道回路は“異常”と判定する(ステップS5)。続いて、異常箇所判定部306が、第1条件テーブル314に従って、送信電流位相差の計測値が判定範囲内となる異常箇所を、候補として判定する第1判定を行う(ステップS7)。次いで、第2条件テーブル316に従って、送信電流、送信電圧、及び、受信電圧の各分析項目について、その計測値が、第1判定で判定した異常箇所の候補となる異常箇所の判定範囲内であるかを判定する第2判定を行う(ステップS9)。そして、第2判定によって1つ以上の計測項目について判定範囲内と判定した場合に、第1判定によって判定した異常箇所の候補を、異常箇所として特定する(ステップS11)。ループAの処理はこのように行われる。
この結果、1つ以上の軌道回路について、“異常”と判定したならば(ステップS13:YES)、報知制御部308が、“異常”と判定した軌道回路や判定した異常箇所を報知する所定の報知処理を行う(ステップS15)。以上の処理を行うと、ステップS1に戻り、同様の処理を繰り返す。
[作用効果]
本実施形態の軌道回路監視装置100によれば、軌道回路の送信機の送信電圧に対する送信電流の位相差である送信電流位相差に基づき、軌道回路の異常箇所を判定することができる。すなわち、送信電流位相差の計測値が、送信機に係る異常、レールに係る異常、及び、受信機に係る異常の3箇所の異常箇所毎に定められた閾値条件である判定範囲内であるか否かによって、異常箇所を、送信側の信号状態に基づいて判定することができる。更に、送信電流、送信電圧、及び、受信電圧の他の計測項目についても同様に、計測値が異常箇所毎に定められた判定範囲内であるか否かによって異常箇所を判定することができる。これらの判定結果を、送信電流位相差に基づく異常箇所の判定結果と組み合わせることで、異常箇所の判定の正確性(確度ともいえる)を向上させることができる。
なお、本発明の適用可能な実施形態は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
例えば、計測端末200が備える受信電圧位相差算出部204、及び、送信電流位相差算出部202を、処理装置300が備えることとしても良い。
R レール、7 送信トランス、11 軌道リレー
100 軌道回路監視装置
200 計測端末
202 送信電流位相差算出部(算出手段)
204 受信電圧位相差算出部
206 送信制御部
300 処理装置
302 計測データ蓄積部、304 異常検知部
306 異常箇所判定部、308 報知制御部
310 計測値蓄積データ、312 異常箇所判定テーブル
318 判定結果データ

Claims (5)

  1. 交流軌道回路の異常を監視する軌道回路監視装置であって、
    前記交流軌道回路の送信機の送信電圧及び送信電流の送信側計測器によって計測された計測値に基づいて、前記送信電圧に対する前記送信電流の位相差である送信電流位相差を算出する算出手段と、
    前記交流軌道回路による在線検知がなされていない場合に、前記交流軌道回路の複数の異常箇所それぞれに応じて定められた前記送信電流位相差に基づく閾値条件を、前記交流軌道回路の異常箇所を判定するための絞り込み条件に少なくとも含めて、異常箇所を判定する異常箇所判定手段と、
    を備えた軌道回路監視装置。
  2. 前記異常箇所判定手段は、
    前記交流軌道回路のうち、前記送信機に係る異常、レールに係る異常、及び受信機に係る異常の3つを前記異常箇所として判定可能である、
    請求項1に記載の軌道回路監視装置。
  3. 前記異常箇所判定手段は、
    前記複数の異常箇所それぞれに応じて定められた前記送信電流及び/又は送信電圧に基づく閾値条件を、前記絞り込み条件に更に含めて、前記判定を行う、
    請求項1又は2に記載の軌道回路監視装置。
  4. 前記異常箇所判定手段は、
    前記複数の異常箇所それぞれに応じて定められた、前記交流軌道回路の受信側に設置された軌道リレーの受信電圧に基づく閾値条件を、前記絞り込み条件に更に含めて、前記判定を行う、
    請求項1〜3の何れか一項に記載の軌道回路監視装置。
  5. 前記交流軌道回路の区間境界毎に設けられた計測端末と、前記異常箇所判定手段を有する処理装置とが通信接続されて構成された請求項1〜4の何れか一項に記載の軌道回路監視装置であって、
    前記計測端末は、
    当該計測端末が設けられた区間境界において送信側の交流軌道回路に係る前記送信電流位相差を算出する前記算出手段、
    を有する、
    軌道回路監視装置。
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