JP6680306B2 - 光脱臭方法および光脱臭装置 - Google Patents
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Description
特許文献1には、波長200〜260nmの紫外線と、波長150〜200nmの紫外線とを放出する紫外線照射光源を用いた脱臭装置が開示されている。この脱臭装置は、波長200〜260nmの紫外線を被処理気体に照射することで、被処理気体中の臭気の原因物質を分解する。また、この脱臭装置では、被処理気体に含有される酸素に波長150〜200nmの紫外線が照射されることで生成されるオゾンを用いて、脱臭効率を高めるようにしている。
しかしながら、オゾンは有害なガスであり、生物に対して悪影響を及ぼすおそれがある。例えば、飼育室に動物が存在する状態で上記のような脱臭装置が用いられた場合、脱臭プロセスの副次物であるオゾンが飼育室内に浮遊し、飼育室内の動物がオゾンの影響を受けてしまう。
そこで、本発明は、処理室内に動物等の生物が存在している場合であっても、当該生物へのオゾンの悪影響を低減しつつ処理室内の臭気を除去することができる光脱臭方法および光脱臭装置を提供することを課題としている。
このように、所定範囲の湿度を有する混合ガスに深紫外光(DUV光)を照射することで、オゾンを分解し、オゾンの分解によりヒドロキシラジカル(OHラジカル)を生成し、OHラジカルを用いた臭気の原因物質の分解(脱臭)を行うことができる。つまり、反応性の高いOHラジカルを生成し、OHラジカルを用いた効率の良い臭気の原因物質の分解を行うことができる。また、DUV光の照射によりオゾンを分解することができるので、処理室内に動物等の生物が存在している場合であっても、オゾンが当該生物へ及ぼす悪影響を低減することが可能となる。
このように、所定範囲の湿度まで加湿した被処理気体を原料としてオゾンを発生させることで、所定範囲の湿度を有する混合ガスを適切に生成することができる。
このように、所定範囲の湿度まで加湿した被処理気体に、酸素を含む原料ガスを原料として発生させたオゾンを導入することで、所定範囲の湿度を有する混合ガスを適切に生成することができる。
このように、被処理気体を原料としてオゾンを発生させて被処理気体とオゾンとの混合ガスを生成し、当該混合ガスを所定範囲の湿度まで加湿することで、所定範囲の湿度を有する混合ガスを適切に生成することができる。
このように、被処理気体に、酸素を含む原料ガスを原料として発生させたオゾンを導入して、被処理気体とオゾンとの混合ガスを生成し、当該混合ガスを所定範囲の湿度まで加湿することで、所定範囲の湿度を有する混合ガスを適切に生成することができる。
これにより、オゾン発生空間において適切にオゾンを発生させることができる。また、真空紫外光(VUV光)を用いてオゾンを発生させる場合、VUV光の照射により1重項酸素原子(O(1D))を生成することができ、O(1D)を用いて臭気の原因物質を効果的に分解することができる。さらに、オゾン発生空間内のガスに水分が含まれる場合、当該水分とVUV光との反応によりOHラジカルを生成することができるので、DUV光の照射工程に先立って、OHラジカルを用いた高効率な臭気原因物質の分解を行うことができる。
さらにまた、上記の光脱臭方法において、前記所定範囲の湿度は、50%以上90%以下であってもよい。この場合、高湿度に伴う結露の発生等に起因する不具合を抑制しつつ、臭気の原因物質の分解を適切に行うことができる。
このように、所定範囲の湿度を有する混合ガスに深紫外光(DUV光)を照射することで、オゾンを分解し、オゾンの分解によりヒドロキシラジカル(OHラジカル)を生成し、OHラジカルを用いた臭気の原因物質の分解(脱臭)を行うことができる。つまり、反応性の高いOHラジカルを生成し、OHラジカルを用いた効率の良い臭気の原因物質の分解を行うことができる。また、DUV光の照射によりオゾンを分解することができるので、処理室内に動物等の生物が存在している場合であっても、オゾンが当該生物へ及ぼす悪影響を低減することが可能となる。
このように、加湿装置によって所定範囲の湿度まで加湿した被処理気体を原料として、オゾン発生器によりオゾンを発生させることで、所定範囲の湿度を有する混合ガスを適切に生成することができる。また、生成された所定範囲の湿度を有する混合ガスを光照射装置の光照射空間に導入することで、当該混合ガスに対して適切にDUV光を照射することができる。
このように、加湿装置によって所定範囲の湿度まで加湿した被処理気体と、オゾン発生器により酸素を含む原料ガスを原料として発生させたオゾンとを光照射空間に導入することで、当該光照射空間において所定範囲の湿度を有する混合ガスを適切に生成することができる。したがって、光照射装置において当該混合ガスに対して適切にDUV光を照射することができる。
このように、オゾン発生器により被処理気体を原料としてオゾンを発生させて被処理気体とオゾンとの混合ガスを生成し、当該混合ガスを加湿装置によって所定範囲の湿度まで加湿することで、所定範囲の湿度を有する混合ガスを適切に生成することができる。また、生成された所定範囲の湿度を有する混合ガスを光照射装置の光照射空間に導入することで、当該混合ガスに対して適切にDUV光を照射することができる。
このように、被処理気体と、オゾン発生器により酸素を含む原料ガスを原料として発生させたオゾンとの混合ガスを加湿装置によって所定範囲の湿度まで加湿することで、所定範囲の湿度を有する混合ガスを適切に生成することができる。また、生成された所定範囲の湿度を有する混合ガスを光照射装置の光照射空間に導入することで、当該混合ガスに対して適切にDUV光を照射することができる。
これにより、オゾン発生器により適切にオゾンを発生させることができる。また、オゾン発生器が真空紫外光(VUV光)を用いてオゾンを発生させるVUV式オゾン発生器である場合、VUV光の照射により1重項酸素原子(O(1D))を生成することができ、O(1D)を用いて臭気の原因物質を効果的に分解することができる。
なお、オゾン発生器が導入されるガス中で放電を発生させる放電式オゾン発生器であっても、上記O(1D)が生成され、当該O(1D)を用いて臭気の原因物質を効果的に分解することができる。しかしながら、放電式オゾン発生器を用いる場合、酸素を含む原料ガス中に窒素(N2)が含まれていると、上記O(1D)以外にNOxも生成されてしまう。また、放電式オゾン発生器の場合、放電発生空間の壁等に埃が付着しやすく、埃除去のため当該空間内の清掃等を比較的頻繁に実施する必要がある。このような理由により、オゾン発生器としては、放電式よりもVUV式を採用することが好ましい。
さらに、オゾン発生空間内のガスに水分が含まれる場合、当該水分とVUV光との反応によりOHラジカルを生成することができるので、光照射装置によるDUV光の照射に先立って、OHラジカルを用いた高効率な臭気原因物質の分解を行うことができる。
これにより、光照射空間内の混合ガスの湿度を所定範囲の湿度に維持することができ、高湿度に伴う結露の発生等に起因する不具合を抑制しつつ、臭気の原因物質の分解を適切に行うことができる。
(第一の実施形態)
図1は、第一の実施形態における光脱臭装置100Aの構成ブロック図、図2は、第一の実施形態における光脱臭方法を説明するためのフロー図である。
図1に示すように、光脱臭装置100Aは、加湿装置10と、オゾン発生器20と、DUV照射装置(光照射装置)30と、を備える。
光脱臭装置100Aは、紫外線照射式の脱臭装置である。光脱臭装置100Aは、臭気の原因物質を有する被処理気体G1を導入し、被処理気体G1に含まれる異臭の原因物質を分解する脱臭処理を行い、脱臭処理された処理済気体G2を排出する。
加湿装置10は、導入されたガスを加湿し、所定範囲の湿度を有するガスを排出する。当該所定範囲の湿度は、例えば50%以上90%以下である。なお、本明細書において「湿度」とは、「相対湿度」を指すものとする。
オゾン発生器20は、不図示のオゾン発生空間を有し、当該オゾン発生空間においてオゾンを発生させる。オゾン発生器20は、VUV(真空紫外光)光源から放出されるVUV光を、酸素(O2)を含むガスに照射してオゾンを発生させるVUV式オゾン発生器、あるいは、酸素(O2)を含むガス中で放電を発生してオゾンを発生させる放電式オゾン発生器とすることができる。
DUV照射装置30は、不図示の光照射空間(DUV照射チャンバ)を有し、当該DUV照射チャンバ内のガスに対して、DUV(深紫外光)光源から放出されるDUV光を照射する。
オゾン発生器20は、加湿装置10のガス排出側に接続され、加湿装置10から導入されるNH3含有加湿ガスGaを原料としてオゾンを発生させ、所定範囲の湿度を有する混合ガス、すなわち、加湿したNH3含有空気とオゾンとが混合された混合加湿ガスGbを生成する。そして、オゾン発生器20は、混合加湿ガスGbを排出する。
DUV照射装置30は、オゾン発生器20のガス排出側に接続され、オゾン発生器20から混合加湿ガスGbが導入される光照射空間を有する。DUV照射装置30は、光照射空間において、混合加湿ガスGbに対してDUV光源によりDUV光を照射し、脱臭処理された処理済気体(脱臭ガス)G2を排出する。
(ステップS1)
ステップS1は、加湿装置10により臭気の原因物質を含む被処理気体(NH3含有ガス)G1を加湿するプロセスである。
このステップS1において、NH3含有ガスは、所定範囲の湿度を有する被処理気体G1であるNH3含有加湿ガスGaとなる。臭気の原因物質がNH3である場合、当該NH3の一部(例えば、10%程度)は、NH3含有加湿ガスGa中の水分に溶けて除去される。
ステップS2は、NH3含有加湿ガスGa中にオゾンを導入するプロセスである。NH3含有加湿ガスGaは、オゾン発生器20内のオゾン発生空間に導入され、このオゾン発生空間において、導入されたNH3含有加湿ガスGaを原料としてオゾンが発生する。その結果、NH3含有加湿ガスGaにオゾンが混合され、混合加湿ガスGbとなる。
VUV光源は、例えば、波長172nmのVUV光を放出するXeエキシマランプとすることができる。VUV光源が発光すると、NH3含有加湿ガスGaに波長172nmの光が照射される。波長175nm以下のVUV光によれば、以下の反応式により、NH3含有加湿ガスGa中の酸素から、反応性の高い励起状態の酸素原子(1重項酸素原子)O(1D)が直接生成される。
O2+hν(<175nm) → O(1D)+O(3P) ………(1)
ここで、hνは光、括弧内の数値は波長、(3P)は基底状態の原子、(1D)は励起状態の原子を示す。
また、上記(1)式により生成された三重項酸素原子(O(3P))の一部は、以下の反応式により、オゾン(O3)となる。
O2+O(3P)+M → O3 ………(2)
ここで、Mは周囲媒体を示す。
<臭気の原因物質の分解反応(1)>
上記(1)式で生成される一重項酸素原子O(1D)の一部は、臭気の原因物質を分解する。ここで、臭気の原因物質が、例えばNH3である場合、NH3は、上記(1)式により生成されたO(1D)と反応することで、例えば以下の(3)式のような反応により分解されると考えられる。
NH3+O(1D)→ NOX+H2O ………(3)
なお、上記(3)式において、各分子の個数を示す係数は省略している。
NH3含有加湿ガスGa中には、上述した加湿プロセスにより水分が含まれる。波長175nm以下のVUV光によれば、以下の反応式により、NH3含有加湿ガスGa中の水分からヒドロキシラジカル(OH)が生成される。
H2O+hν(<175nm)→ OH+H ………(4)
臭気の原因物質が、例えばNH3である場合、NH3は、上記(4)式により生成されるヒドロキシラジカル(OHラジカル)と反応して分解される。すなわち、OHラジカルによりガスの一部が脱臭される。
OHラジカルとの反応によるNH3の分解は、多様な反応過程によりなされる。例えば、下記(5)式に示すような反応により、NH3の分解が発生する。
NH3+OH → NH2+H2O ………(5)
NOX+OH → HNO3 ………(6)
以上のように、ステップS2では、オゾン発生器20は、NH3含有加湿ガスGaを原料としてオゾンを発生させて、NH3含有加湿ガスGaとオゾンとを混合するとともに、臭気原因物質(NH3)の一部を分解する。つまり、ステップS2において、加湿装置20からオゾン発生器20へ導入されたNH3含有加湿ガスGaは、オゾンを含有し、臭気原因物質(NH3)の一部が分解された、一部脱臭混合加湿ガスGbとなる。
ステップS3は、ステップS2において生成された混合加湿ガス(一部脱臭混合加湿ガス)Gbに、オゾンを生成しない波長200〜300nmの深紫外光(DUV光)を照射するプロセスである。具体的には、このステップS3では、オゾン発生器20からDUV照射装置30の光照射空間に混合加湿ガスGbが導入され、当該光照射空間において一部脱臭混合加湿ガスGbにDUV光が照射される。
DUV光源は、例えば、中心波長254nmのDUV光を放出する低圧水銀ランプとすることができる。DUV光源が発光すると、混合加湿ガスGbに波長254nmの光が照射される。
例えば、波長254nmのDUV光が混合加湿ガスGb中のオゾンに照射されると、下記(7)式に示す反応式により、オゾンが分解される。
O3+hν(254nm) → O2+O(1D) ………(7)
O(1D)+H2O → 2OH ………(8)
そして、臭気の原因物質が例えばNH3である場合、NH3は、上記(8)式により生成されるOHラジカルと反応し、例えば上記(5)式に示す反応により分解される。すなわち、ステップS2において脱臭されなかった混合加湿ガスGbは、このステップS3において生成されるOHラジカルにより脱臭される。
また、光脱臭装置100Aは、ステップS2において発生したオゾンを、最終工程において適切に分解することができる。そのため、処理室(飼育室)内にオゾンが排出されることは殆どなく、処理室内が高濃度のオゾンで充満されることがない。したがって、処理室内に動物等の生物が存在している場合であっても、オゾンが当該生物へ及ぼす悪影響を著しく低減することが可能となる。
このように、光脱臭装置100Aは、ステップS3に先立って、ステップS2においてある程度、臭気の原因物質を分解することができる。したがって、光脱臭装置100Aは、高効率で臭気の原因物質を分解(脱臭)することができる。
上述した第一の実施形態では、臭気原因物質(NH3)含有ガスに対して加湿プロセスを行った後、オゾン導入プロセスを行う場合について説明したが、加湿プロセスとオゾン導入プロセスとを行う順番を入れ替えてもよい。
図3は、第一の実施形態の変形例に係る光脱臭装置100Bの構成ブロック図である。この図3に示すように、オゾン発生器20は、被処理気体G1であるNH3含有ガス(空気)を導入し、NH3含有ガスG1を原料としてオゾンを発生させ、被処理気体G1とオゾンとが混合された混合ガスGcを生成し、排出する。加湿装置10は、オゾン発生器20のガス排出側に接続され、オゾン発生器20から導入される混合ガスGcを所定範囲の湿度まで加湿し、混合加湿ガスGbを排出する。
DUV照射装置30は、加湿装置10のガス排出側に接続され、加湿装置10から混合加湿ガスGbが導入される光照射空間を有する。DUV照射装置30は、光照射空間において、混合加湿ガスGbに対してDUV光源によりDUV光を照射し、脱臭処理された処理済気体(脱臭ガス)G2を排出する。
この図4に示すように、まずNH3含有ガスG1をオゾン発生器20のオゾン発生空間に導入し、NH3含有ガスG1にVUV光を照射し、NH3含有ガスG1中の酸素を原料としてオゾンを生成して混合ガスGcを生成する(ステップS11)。
このとき、NH3含有ガスG1は加湿されておらず、NH3含有ガスG1が含有する水分は少ない。そのため、ステップS11では、図2のステップS2において発生した副次的反応(臭気の原因物質の分解反応(2))が発生する確率は低く、オゾンと並行して生成されるOHラジカルの量は少なくなる。一方、ステップS11では、ステップS2において発生した副次的反応のうち、一重項酸素原子O(1D)による臭気の原因物質の分解反応(臭気の原因物質の分解反応(1))は発生する。そのため、ステップS11において、オゾン発生器20へ導入されたNH3含有ガスG1は、オゾンを含有し、臭気原因物質(NH3)の一部が分解された一部脱臭混合ガスGcとなる。
したがって、光脱臭装置100Bは、上述した第一の実施形態と同様に、反応性の高いOHラジカルを効率良く生成し、OHラジカルを用いた高効率な臭気原因物質の分解(脱臭)を行うことができる。また、光脱臭装置100Bは、オゾンを分解してから処理済気体(脱臭ガス)G2として排出するので、処理室内に動物等の生物が存在している場合であっても、オゾンが当該生物へ及ぼす悪影響を著しく低減することが可能となる。
次に、本発明における第二の実施形態について説明する。
この第二の実施形態は、臭気の原因物質を含む被処理気体を加湿した加湿ガスに、当該加湿ガスとは別の原料ガス(酸素含有ガス、例えは大気)から生成したオゾンを導入して混合加湿ガスを得るようにしたものである。
図5は、第二の実施形態に係る光脱臭装置100Cの構成ブロック図である。この図5に示すように、加湿装置10は、被処理気体G1であるNH3含有ガス(空気)を導入し、NH3含有ガスG1を所定範囲の湿度まで加湿し、NH3含有加湿ガスGaを排出する。また、オゾン発生器20は、酸素を含む原料ガスである酸素含有ガスG3を導入し、酸素含有ガスG3を原料としてオゾンGdを発生させ、当該オゾンGdを排出する。
DUV照射装置30は、加湿装置10のガス排出側とオゾン発生器20のガス排出側とにそれぞれ接続され、加湿装置10からのNH3含有加湿ガスGaと、オゾン発生器20からのオゾンGdとが導入される光照射空間を有する。DUV照射装置30は、光照射空間において生成される混合加湿ガスGb(NH3含有加湿ガスGa+オゾンGd)に対してDUV光源によりDUV光を照射し、脱臭処理された処理済気体(脱臭ガス)G2を排出する。
(ステップS21)
ステップS21は、加湿装置10により臭気の原因物質を含む被処理気体(NH3含有ガス)G1を加湿するプロセスである。このステップS21では、図2のステップS1と同様の処理が行われる。
ステップS22は、NH3含有加湿ガスG1をオゾン含有空間に導入するプロセスである。ここで、オゾン含有空間は、NH3含有加湿ガスGaとは異なる原料ガス(ここでは酸素含有ガスG3)を原料としてオゾン発生器20により発生させたオゾンGdが導入された空間であり、例えばDUV照射装置30の光照射空間である。
ステップS22において、オゾン含有空間(光照射空間)に導入されたNH3含有加湿ガスGaは、オゾン含有空間(光照射空間)においてオゾンGdと混合され、混合加湿ガス(Ga+Gd)となる。
ステップS23は、ステップS22において生成された混合加湿ガス(Ga+Gd)に、オゾンを生成しない波長200〜300nmの深紫外光(DUV光)を照射するプロセスである。このステップS23では、図2のステップS3と同様の処理が行われる。
さらに、光脱臭装置100Cは、酸素を含む原料ガス(酸素含有ガスG3)を原料としてオゾンGdを発生させ、発生させたオゾンGdを加湿した被処理気体に導入して混合加湿ガスを得るようにしている。したがって、混合加湿ガスに含まれるオゾン量を容易に調整することが可能となる。
上述した第二の実施形態では、NH3含有加湿ガスとオゾンとを混合して混合加湿ガスを得る場合について説明したが、NH3含有ガスとオゾンとを混合した混合ガスを加湿して混合加湿ガスを得るようにしてもよい。
図8は、第二の実施形態の変形例に係る光脱臭装置100Eの構成ブロック図である。この図8に示すように、オゾン発生器20は、酸素を含む原料ガスである酸素含有ガスG3を導入し、酸素含有ガスG3を原料としてオゾンGdを発生させ、当該オゾンGdを排出する。加湿装置10は、オゾン発生器20のガス排出側に接続され、オゾン発生器20からのオゾンGdと、被処理気体G1であるNH3含有ガス(空気)とが導入される加湿空間を有する。この加湿空間は、酸素含有ガスG3を原料としてオゾン発生器20により発生させたオゾンGdが導入されたオゾン含有空間である。加湿装置10は、加湿空間において生成される混合ガス(G1+Gd)を所定範囲の湿度まで加湿し、混合加湿ガスGbを排出する。
DUV照射装置30は、加湿装置10のガス排出側に接続され、加湿装置10から混合加湿ガスGbが導入される光照射空間を有する。DUV照射装置30は、光照射空間において、混合加湿ガスGbに対してDUV光源によりDUV光を照射し、脱臭処理された処理済気体(脱臭ガス)G2を排出する。
この図9に示すように、まずNH3含有ガスG1は、加湿装置10のオゾン含有空間(加湿空間)に導入され、混合ガス(G1+Gd)となる(ステップS31)。
この混合ガス(G1+Gd)は、加湿装置10により所定範囲の湿度まで加湿され、混合加湿ガスGbとなる(ステップS32)。そして、この混合加湿ガスGbは、DUV照射装置30の光照射空間に導入され、当該光照射空間においてオゾンを生成しないDUV光が照射される(ステップS33)。
さらに、光脱臭装置100Eは、酸素を含む原料ガス(酸素含有ガスG3)を原料としてオゾンGdを発生させ、発生させたオゾンGdと被処理気体とを混合した混合ガスを加湿して混合加湿ガスを得るようにしている。したがって、混合加湿ガスに含まれるオゾン量を容易に調整することが可能となる。
図10は、本発明に係る光脱臭装置100Aの構成例である。この光脱臭装置100Aは、上述した第一の実施形態による光脱臭方法を実現するための装置である。
光脱臭装置100Aは、生物(動物)が存在している処理室内(飼育室内)に設置され、処理室内の空気(被処理気体G1)の異臭の原因物質を分解する。
図10に示すように、光脱臭装置100Aは、筐体50を備える。筐体50は、例えば幅40cm×奥行25cm×高さ50cmの直方体形状とすることができる。筐体50内には、第1の空間51、第2の空間52、第3の空間53および第4の空間54が形成されている。第1の空間51と第2の空間52とは、第1の区画壁55に設けられた開口部55aによって空間的に接続されている。また、第2の空間52と第3の空間53とは、第2の区画壁56に設けられた開口部56aによって空間的に接続されている。さらに、第3の空間53と第4の空間54とは、第3の区画壁57に設けられた開口部57aによって空間的に接続されている。
気体導入室51の内部には、例えばファンを有する送風部60が配置されており、被処理気体G1は、送風部60によって筐体50の外部から気体入室51へ導入される。送風部60から排出される被処理気体G1は、開口部55aを介して第2の空間52へ送風される。
加湿装置10は、例えば、水タンク11に収容された水に、じゃばら形状等のろ紙12の一部が浸漬されてなる構造を有する。送風部60から送風されてくる臭気の原因物質を含む被処理気体G1が、水を吸収したろ紙12に吹き付けられることにより、上記臭気の原因物質を含む被処理気体G1は加湿される。
そこで、光脱臭装置100Aは、加湿室52内の湿度を測定する湿度センサ61を備えていてもよい。この場合、湿度センサ61は、当該センサ61のセンシング部が加湿室52内に露出するように筐体50の一面に設けることができる。湿度センサ61のセンシング結果により、加湿室52内のNH3含有加湿ガスGaの湿度を把握することができるので、例えば不図示の制御装置(制御部)が、湿度センサ61のセンシング結果をもとに加湿装置10の動作や送風部60の動作などを制御することが可能となる。
したがって、上述した不具合が発生するほど高湿度ではなく、臭気の原因物質の分解を効果的に行うための必要最低限の湿度となるように、NH3含有加湿ガスGaの湿度は所定範囲の湿度であることが好ましい。例えば、NH3含有加湿ガスGaの湿度は、50%以上90%以下であることが好ましい。
また、このとき、NH3含有加湿ガスGa中の水分により、OHラジカルが生成され、当該OHラジカルにより、異臭原因物質であるNH3の一部が分解される。さらに、NH3含有加湿ガスGa中の酸素が分解して生成されるO(1D)により、異臭原因物質であるNH3の一部が分解される。つまり、第3の空間53は、NH3含有加湿ガスGaに含まれる異臭の原因物質を光照射処理により分解する脱臭処理室でもある。
そして、第4の空間54内で脱臭とオゾン分解とが行われた処理済気体G2は、排出口59から筐体50外部の処理室内へ排出される。
また、図10においては、第3の空間53と第4の空間54とを第3の区画壁57によって区分しているが、第3の区画壁57は省略することも可能である。
DUV光源31は、例えば低圧水銀ランプであり、連続点灯制御される。これに対してVUV光源21は、例えばXeエキシマランプであり、点滅点灯制御される。そのため、ここではDUV光源31については投入電力で定義し、VUV光源21については平均投入電力で定義している。
これらを考慮すると、DUD光源31の寿命末期においても、オゾンを分解するのに十分なフォトン数を供給できるためには、DUV光は、VUV光に対して、2×7/5≒2.8倍のエネルギーがあればよいことになる。
したがって、筐体50内で生成されたオゾンを問題のない程度まで十分に低減するために、DUV光源31の投入電力は、VUV光源21の平均投入電力の3倍に設定する。
なお、上記のパワー比率は一例であり、各ランプの発光効率に応じて適宜調整される。
図1に示す光脱臭装置100Aにより、図2に示す光脱臭方法に基づき、異臭原因物質を含むガスの加湿後の湿度をパラメータとして、脱臭処理結果を調査した。その結果を図11に示す。
異臭の原因物質は、アンモニア(NH3)とした。また、NH3含有ガスの加湿後の湿度は、a=9%、b=12%、c=42%、d=57%、e=66%とした。図11において、縦軸はアンモニア量(NH3量)、横軸は光脱臭方法における各ステップに相当している。ここで、縦軸のNH3量は、加湿前のNH3含有ガスにおけるNH3量を基準(100%)として正規化したNH3量である。
また、ガス湿度が42%以上(c、d、e)である場合、DUV光照射後の処理済気体のNH3量は、元濃度の半減以下となっている。特に、ガス湿度がd=57%、e=66%である場合、処理済気体のNH3の減少結果は飽和した状態に近くなる。
このように、ガス湿度が50%以上である場合、NH3を飽和状態まで低減できることが確認できた。
Claims (9)
- 臭気の原因物質を含む被処理気体の前記臭気の原因物質を除去する光脱臭方法であって、
前記被処理気体を所定範囲の湿度まで加湿する工程と、
前記所定範囲の湿度まで加湿された前記被処理気体に、真空紫外光を照射して、オゾンを生成し、生成されたオゾンを前記被処理気体に混合することにより、前記所定範囲の湿度を有する混合ガスを生成するとともに、前記混合ガスを一次的に脱臭する工程と、
前記混合ガスに、前記オゾンを生成しない深紫外光を照射して、前記混合ガスを二次的に脱臭する工程と、を含む
ことを特徴とする光脱臭方法。 - 前記所定範囲の湿度を有する混合ガスを生成する工程は、
前記所定範囲の湿度を有する前記被処理気体をオゾン発生空間に導入し、前記オゾン発生空間において前記所定範囲の湿度を有する前記被処理気体を原料として前記オゾンを発生させて、前記所定範囲の湿度を有する前記被処理気体と前記オゾンとを混合する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の光脱臭方法。 - 前記所定範囲の湿度を有する混合ガスを生成する工程は、
酸素を含む原料ガスをオゾン発生空間に導入し、前記オゾン発生空間において前記原料ガスを原料として前記オゾンを発生させ、前記所定範囲の湿度を有する前記被処理気体に前記オゾンを導入して前記所定範囲の湿度を有する前記被処理気体と前記オゾンとを混合する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の光脱臭方法。 - 前記被処理気体の湿度を測定する工程をさらに含み、
前記被処理気体の湿度が前記所定範囲に満たない場合、前記加湿する工程を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の光脱臭方法。 - 前記所定範囲の湿度は、50%以上90%以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の光脱臭方法。
- 臭気の原因物質を含む被処理気体の前記臭気の原因物質を除去する光脱臭装置であって、
真空紫外光を発光する第1の光源と、
深紫外光を発光する第2の光源と、
前記被処理気体を所定範囲の湿度まで加湿する加湿装置と、
前記第1の光源が配置され、前記所定範囲の湿度まで加湿された前記被処理気体に、前記第1の光源により前記真空紫外光を照射して、オゾンを生成し、生成されたオゾンを前記被処理気体に混合することにより、前記所定範囲の湿度を有する混合ガスを生成するとともに、前記混合ガスを一次的に脱臭する第1の光照射空間と、
前記混合ガスに、前記第2の光源により前記オゾンを生成しない前記深紫外光を照射して、前記混合ガスを二次的に脱臭する第2の光照射空間と、を備えることを特徴とする光脱臭装置。 - 前記加湿装置のガス排出側に接続され、前記加湿装置から導入される前記所定範囲の湿度を有する被処理気体を原料として前記オゾンを発生させ、前記所定範囲の湿度を有する混合ガスを生成するオゾン発生器と、
前記オゾン発生器のガス排出側に接続され、前記オゾン発生器から前記所定範囲の湿度を有する混合ガスが導入される前記光照射空間を有する光照射装置と、を備えることを特徴とする請求項6に記載の光脱臭装置。 - 導入される酸素を含む原料ガスを原料として前記オゾンを発生させるオゾン発生器と、
前記加湿装置のガス排出側と前記オゾン発生器のガス排出側とにそれぞれ接続され、前記加湿装置からの前記所定範囲の湿度を有する被処理気体と、前記オゾン発生器からの前記オゾンとが導入されて前記所定範囲の湿度を有する混合ガスが生成される前記光照射空間を有する光照射装置と、を備えることを特徴とする請求項6に記載の光脱臭装置。 - ガスの湿度を測定する湿度センサと、
前記湿度センサによる測定結果に基づいて、前記光照射空間内の混合ガスの湿度が前記所定範囲の湿度となるように制御する制御部と、をさらに備えることを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載の光脱臭装置。
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