JP6674260B2 - 凝集剤の注入率決定方法および凝集剤の注入率決定装置 - Google Patents

凝集剤の注入率決定方法および凝集剤の注入率決定装置 Download PDF

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Description

本発明は、懸濁物質を含む原液の凝集方法に関し、特に、懸濁物質を含む原液に注入される凝集剤の適正な注入率を決定する方法に関する。また、本発明は、当該凝集剤の注入率決定方法を使用する凝集剤の注入率決定装置に関する。本明細書において、原液とは、処理される液体をいう。
廃棄物量を削減し、環境負荷を低減することが求められる中、排水処理施設や浄水処理施設などから排出される懸濁物質を含む原液(例えば、排水や汚泥など)を減容化するための脱水処理は極めて重要である。そのため、より効率的で低ランニングコストの脱水技術の開発が望まれている。
懸濁物質を含む原液の脱水処理は、凝集剤を用いて懸濁物質を凝集させることによりフロックを形成させる凝集工程と、脱水機によりフロックを脱水する脱水工程とから構成される。この脱水処理におけるランニングコストの大半は、凝集剤のコストである。
また、排水処理施設における排水を浄化するための凝集処理(凝集沈殿、凝集加圧浮上、凝集砂ろ過、凝集膜ろ過など)や、浄水処理施設における原水を浄化するための凝集処理(凝集沈殿、凝集砂ろ過、凝集膜ろ過など)においても、ランニングコストの大半は、凝集剤のコストである。したがって、凝集剤の注入率を適正に制御し、凝集剤の使用量を削減することが望まれている。
凝集剤の注入率を適正に制御する方法に関連する技術として、下記のような先行技術が知られている。
特許文献1には、汚泥流路を流通する汚泥の濃度を検出する汚泥濃度計と、この汚泥濃度計で検出された汚泥の濃度に応じて、汚泥貯留槽内の汚泥を汚泥脱水機へ送る汚泥注入ポンプ、および凝集剤貯留槽内の凝集剤を汚泥脱水機へ送る凝集剤注入ポンプの少なくとも一方を作動させることにより、汚泥脱水機へ注入される汚泥の濃度を制御し得る濃度制御装置とを備えた排水処理装置が開示されている。
特許文献2には、測定槽に供給された脱水分離液中に存在するフロックの量を測定する計測部と、この計測部によるフロックの量の測定データに基づきフロックの量が最小になる凝集剤注入量を決定する制御手段とを備えた凝集剤注入量決定装置が開示されている。
特許文献3には、反応槽内または流路中の水または汚泥に凝集剤を注入して上記反応槽内または流路中にて上記水または汚泥に含まれる懸濁物質をフロック化させる凝集手段と、前記反応槽の内部、または前記凝集手段の下流側の流路中に設けた凝集センサを用いて、前記水または汚泥中のフロック間の空隙における濁度を測定する測定手段と、この測定手段で測定された濁度の経時的変化に基づき、前記凝集剤の注入量を制御する制御手段とを有する処理システムが開示されている。前記凝集センサは、水または汚泥中にレーザ光を放射し、水または汚泥中に含まれる粒子によって生じる上記レーザ光の散乱光を検出するプローブを備えている。
特許文献4には、凝集混和槽の原液中に凝集剤を添加して懸濁物質のフロックを形成させ、その原液を脱水機に供給する汚泥処理装置が開示されている。この特許文献4には、脱水機に原液を供給する原液供給管中のフロックの大きさを撮影し、輝度信号を電気信号に変換し、電気信号からフロックの大きさを2値化させると共に、フロックの2値画像からのフロック1個当たりの平均面積を計算し、その平均解析面積とあらかじめ設定したフロックの基準面積を比較して適正値を計算し、フロックの形成状況に基づき比例設定値の凝集剤注入率を制御する凝集剤注入制御方法が開示されている。
しかしながら、一般的な凝集工程では、撹拌装置に設けられた撹拌翼の回転速度は、10〜300min−1であり、比較的緩やかな条件で凝集剤が原液内に分散される。この場合、広い範囲の凝集剤注入率で、比較的良好なフロックが形成される。そのため、特許文献1〜4に開示される技術を用いても、高い精度で凝集剤の適正な注入率を決定することが難しかった。
特許文献5には、第1の高分子凝集剤の溶液を汚泥に注入するとともに、撹拌装置の回転速度を1000min−1以上に設定した高速撹拌により、汚泥と第1の高分子凝集剤の溶液とを混合して混合汚泥を調製する第1撹拌工程と、第2の高分子凝集剤の溶液を混合汚泥に注入するとともに、撹拌装置の回転速度を10〜500min−1に設定した撹拌により、混合汚泥と第2の高分子凝集剤の溶液を混合して凝集フロックを形成させる第2撹拌工程とを有する汚泥の凝集方法が開示されている。
しかしながら、一般的に、撹拌装置の回転速度を1000min−1以上に設定した高速撹拌により、原液と凝集剤の溶液とを混合するとフロックは破壊される。したがって、特許文献5に記載されるように、高速撹拌工程の後に、比較的緩やかな回転速度で原液と凝集剤の溶液とを混合させ、大きなフロックを形成させる緩速撹拌工程が必要となる。この場合、広い範囲の凝集剤注入率で、比較的良好なフロックが形成される。そのため、特許文献5に開示される技術を用いても、高い精度で凝集剤の適正な注入率を決定することが難しかった。
特開2004−167401号公報 特開平11−347599号公報 特開2003−154206号公報 特開2005−7338号公報 国際公開第2012/108312号
本発明は、上述した従来の問題点に鑑みてなされたもので、懸濁物質を含む原液中の当該懸濁物質を効率的に凝集させると共に、高い精度で凝集剤の適正注入率を自動で決定することのできる凝集剤の注入率決定方法を提供することを目的とする。また、本発明は、このような凝集剤の注入率決定方法を実施することができる凝集剤の注入率決定装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するための本発明の一態様は、撹拌槽と、駆動源により回転される回転軸と、前記回転軸に連結され、前記撹拌槽内に配置された撹拌翼と、前記撹拌槽に連結された原液供給配管とを備えた撹拌装置を用いて、懸濁物質を含む原液を凝集させる凝集剤の注入率決定方法において、前記原液を前記原液供給配管から前記撹拌槽に供給する供給工程と、前記撹拌槽又は前記原液供給配管に凝集剤を供給し、前記原液に凝集剤を注入する注入工程と、前記撹拌翼を回転させて前記凝集剤が注入された原液を撹拌する撹拌工程と、前記撹拌された原液に光を照射して光学的測定値を得る光学的測定工程と、前記光学的測定値を数値解析して、数値解析値を得る数値解析工程と、前記数値解析値に基づいて、前記凝集剤の適正な注入率を決定する注入率決定工程と、を含み、前記撹拌翼と前記撹拌槽内の回転軸とからなる回転体が回転することによって形成される回転領域の体積をVa[L]とし、前記撹拌槽を通過する前記原液の流量をFb[L/秒]とすると、体積Vaの流量Fbに対する比の値は1.1〜10.2の範囲にあり、前記回転領域の体積Vaは、0.1L〜2.0Lの範囲にあり、前記撹拌翼の回転速度を400min −1 以上に設定することを特徴とする凝集剤の注入率決定方法である。
発明の好ましい態様は、前記注入率決定工程は、前記数値解析値に基づいて、前記凝集剤の注入率が適正であるか否かを決定し、前記凝集剤の適正な注入率が決定されるまで、前記供給工程、前記注入工程、前記撹拌工程、前記光学的測定工程、および前記数値解析工程を、前記注入率を変えながら繰り返す工程であることを特徴とする。
本発明の一参考例は、前記注入率の変更は、前記撹拌装置に流入する前記原液の流量および前記原液に注入される前記凝集剤の流量のうちのいずれか一方または両方を変えることであることを特徴とする。
本発明の一参考例は、前記光学的測定工程は、前記撹拌された原液に光を照射して透過光強度を測定する工程であることを特徴とする。
本発明の一参考例は、前記光学的測定工程は、前記撹拌された原液に光を照射して散乱光強度を測定する工程であることを特徴とする。
本発明の一参考例は、前記光学的測定工程は、前記撹拌された原液に光を照射して透過光強度および散乱光強度の両方を測定する工程であることを特徴とする。
本発明の一参考例は、前記光学的測定値の分散が、前記数値解析値として用いられることを特徴とする。
本発明の一参考例は、前記光学的測定値のピーク面積が、前記数値解析値として用いられることを特徴とする。
本発明の一参考例は、前記光学的測定値の標準偏差が、前記数値解析値として用いられることを特徴とする。
本発明の一参考例は、前記数値解析値は、前記懸濁物質のフロックの粒径であることを特徴とする。
本発明の一参考例は、前記注入率決定工程は、前記供給工程、前記注入工程、前記撹拌工程、前記光学的測定工程、および前記数値解析工程を、前記注入率を変えながら、複数回繰り返すことにより複数の数値解析値を取得し、前記複数の数値解析値に基づいて、前記凝集剤の適正な注入率を決定する工程であることを特徴とする。
本発明の一参考例は、前記複数の数値解析値のうち最大値または最小値が得られた注入率を、前記適正な注入率として決定することを特徴とする。
本発明の一参考例は、前記複数の数値解析値のうち最大値が得られた注入率と2番目に大きな値が得られた注入率との平均値、または前記複数の数値解析値のうち最小値が得られた注入率と2番目に小さな値が得られた注入率との平均値を、前記適正な注入率として決定することを特徴とする。
本発明の一参考例は、前記注入率決定工程で決定された適正な注入率に、補正係数を乗算して補正注入率を決定する補正注入率決定工程をさらに備えたことを特徴とする。
本発明の一参考例は、前記撹拌された原液を希釈液で希釈する希釈工程をさらに含み、前記希釈工程は、前記撹拌工程と前記光学的測定工程の間で実施されることを特徴とする。
本発明の他の態様は、撹拌槽と、駆動源により回転される回転軸と、前記回転軸に連結され、前記撹拌槽内に配置された撹拌翼と、前記撹拌槽に連結された原液供給配管とを備え、凝集剤が注入された懸濁物質を含む原液を撹拌する撹拌装置と、前記原液を前記撹拌槽に供給する供給装置と、前記撹拌槽又は前記原液供給配管に凝集剤を供給し、原液に凝集剤を注入する注入装置と、前記撹拌された原液に光を照射して光学的測定値を得る光学的測定装置と、前記光学的測定値を数値解析して、数値解析値を得る数値解析装置と、前記数値解析値に基づいて、前記凝集剤の適正な注入率を決定する制御装置と、を備え、前記撹拌翼と前記撹拌槽内の回転軸とからなる回転体が回転することによって形成される回転領域の体積をVa[L]とし、前記撹拌槽を通過する前記原液の流量をFb[L/秒]とすると、体積Vaの流量Fbに対する比の値は1.1〜10.2の範囲にあり、前記回転領域の体積Vaは、0.1L〜2.0Lの範囲にあり、前記撹拌翼の回転速度を400min −1 以上に設定することを特徴とする凝集剤の注入率決定装置である。
発明の好ましい態様は、前記光学的測定装置の原液入口が前記撹拌装置の原液出口よりも高い位置にあることを特徴とする。
本発明の一参考例は、前記光学的測定装置の原液出口が前記光学的測定装置の原液入口よりも高い位置にあることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記制御装置は、前記数値解析値に基づいて、前記凝集剤の注入率が適正であるか否かを決定し、前記凝集剤の適正な注入率が決定されるまで、前記凝集剤注入装置および前記供給装置のうちのいずれか一方または両方と、前記撹拌装置、前記光学的測定装置、および前記数値解析装置を操作して、前記撹拌槽への原液の供給、前記原液への凝集剤の注入、前記原液の撹拌、前記光学的測定値の取得、および前記数値解析値の取得を、前記注入率を変えながら繰り返すことを特徴とする。
本発明の一参考例は、前記光学的測定装置は、前記撹拌された原液に光を照射して透過光強度を測定することを特徴とする。
本発明の一参考例は、前記光学的測定装置は、前記撹拌された原液に光を照射して散乱光強度を測定することを特徴とする。
本発明の一参考例は、前記光学的測定装置が、透過光強度を測定する測定装置と、散乱光強度を測定する測定装置の両方であることを特徴とする。
本発明の一参考例は、前記数値解析装置は、前記光学的測定値の分散を前記数値解析値として取得することを特徴とする。
本発明の一参考例は、前記数値解析装置は、前記光学的測定値のピーク面積を前記数値解析値として取得することを特徴とする。
本発明の一参考例は、前記数値解析装置は、前記光学的測定値の標準偏差を前記数値解析値として取得することを特徴とする。
本発明の一参考例は、前記数値解析装置は、前記懸濁物質のフロックの粒径を前記数値解析値として取得することを特徴とする。
本発明の一参考例は、前記制御装置は、前記凝集剤注入装置および前記供給装置のうちのいずれか一方または両方と、前記撹拌装置、前記光学的測定装置、および前記数値解析装置を操作して、前記撹拌槽への原液の供給、前記原液への凝集剤の注入、前記原液の撹拌、前記光学的測定値の取得、および前記数値解析値の取得を、前記注入率を変えながら、複数回繰り返すことにより複数の数値解析値を取得し、前記複数の数値解析値に基づいて、前記凝集剤の適正な注入率を決定することを特徴とする。
本発明の一参考例は、前記制御装置は、前記複数の数値解析値のうち最大値または最小値が得られた注入率を、前記適正な注入率として決定することを特徴とする。
本発明の一参考例は、前記制御装置は、前記複数の数値解析値のうち最大値が得られた注入率と2番目に大きな値が得られた注入率との平均値、または前記複数の数値解析値のうち最小値が得られた注入率と2番目に小さな値が得られた注入率との平均値を、前記適正な注入率として決定することを特徴とする。
本発明の一参考例は、前記制御装置は、前記決定された適正な注入率に、補正係数を乗算して補正注入率を決定することを特徴とする。
本発明の一参考例は、前記数値解析装置は、前記制御装置内に組み込まれていることを特徴とする。
本発明の一参考例は、前記撹拌された原液に希釈液を供給する希釈液供給装置をさらに備えたことを特徴とする。
本発明によれば、下記のような効果がある。
(1)本発明によれば、制御装置が、フロックが適切に成長していることを、光学的測定値を数値解析することで得られた数値解析値から判断する。これにより、凝集剤の適正な注入率を高い精度で決定することができる。その結果、凝集剤の使用量を削減することができる。また、運転員の経験や勘がなくとも、凝集剤の注入率を適正に制御することができる。さらに、懸濁物質を含む原液の性状(例えば、原液内における懸濁物質の濃度など)が変化しても、凝集剤の注入率を適正に制御することができる。特に、本発明では、凝集剤が注入された懸濁物質を含む原液を撹拌する撹拌翼の回転速度が400min−1以上に設定される。この撹拌により、原液内に凝集剤が瞬時に分散させられ、凝集剤は原液と効率良く均一に混合される。その結果、原液に含まれる懸濁物質が効率良く凝集させられる。このような撹拌を行う場合、凝集剤が注入された原液に高ストレスが負荷されるので、凝集剤が適正な注入率で注入されていないと、フロックが成長する前に破壊されてしまう。本発明によれば、フロックを適切に成長させることができる凝集剤の適正な注入率を決定することができる。
(2)本発明によれば、回転体の回転領域の体積Vaの、原液の流量Fb[L/秒]に対する比の値は1.1〜10.2の範囲にある。原液流量Fbが変更されても、体積Vaの流量Fbに対する比の値が1.1〜10.2の範囲にあるように撹拌装置を設計する、または複数の撹拌装置を接続することで、最適な混合条件が達成できる。あるいは、回転領域の体積Vaが固定である場合には、原液流量Fbを変更することにより、最適な混合条件が達成できる。
(3)本発明によれば、体積Vaの原液流量Fbに対する比の値は1.1〜10.2の範囲にあり、体積Vaは0.1L〜2.0Lの範囲にある。このような条件で撹拌装置を設計すれば、最適な大きさの撹拌装置を製作できるため、不必要に大きな撹拌装置を製作する必要がなくなり、装置の製作コスト、装置の設置スペース、撹拌に必要な電気代を削減できる。
一実施形態に係る撹拌装置を示す模式図である。 図2(a)は、撹拌翼と、撹拌槽内の回転軸とから構成される回転体を示す模式図であり、図2(b)は、図2(a)に示す回転体が回転することによって形成される回転領域を示す模式図である。 透過光強度を測定する光学的測定装置の概略図である。 図4(a)は、凝集剤の注入率が適正ではないために、フロックが形成されていない場合の透過光強度の測定例であり、図4(b)は、凝集剤の注入率が適正であるために、フロックが形成されている場合の透過光強度の測定例である。 散乱光強度を測定する光学的測定装置の概略図である。 図6(a)は、凝集剤の注入率が適正ではないために、フロックが形成されていない場合の散乱光強度の測定例であり、図6(b)は、凝集剤の注入率が適正であるために、フロックが形成されている場合の散乱光強度の測定例である。 適正な注入率を決定するための一連の工程のフロー図である。 数値解析値と所定の目標値との間の差の絶対値を求め、この差の絶対値と許容値とを比較することで凝集剤の適正な注入率を決定するための工程を表したフロー図である。 複数の注入率を設定し、これら注入率それぞれで複数の数値解析値を取得し、取得した複数の数値解析値を比較することで凝集剤の適正な注入率を決定するための工程を表したフロー図である。 本発明の凝集剤の注入率決定装置の一実施形態を示す概略図である。 本発明の凝集剤の注入率決定装置の別の実施形態を示す概略図である。 本発明の凝集剤の注入率決定装置のさらに別の実施形態を示す概略図である。 本発明の凝集剤の注入率決定装置が組み込まれた凝集装置の実施形態を示す概略図である。 本発明の凝集剤の注入率決定装置が組み込まれた凝集装置の別の実施形態を示す概略図である。 本発明の凝集剤の注入率決定装置が組み込まれた凝集装置のさらに別の実施形態を示す概略図である。 本発明の凝集剤の注入率決定装置が組み込まれた凝集装置のさらに別の実施形態を示す概略図である。 本発明の凝集剤の注入率決定装置が組み込まれた凝集装置のさらに別の実施形態を示す概略図である。 本発明の凝集剤の注入率決定装置が組み込まれた凝集装置のさらに別の実施形態を示す概略図である。 本発明の凝集剤の注入率決定装置が組み込まれた凝集装置のさらに別の実施形態を示す概略図である。 本発明の凝集剤の注入率決定装置が組み込まれた凝集装置のさらに別の実施形態を示す概略図である。 本発明の凝集剤の注入率決定装置が組み込まれた凝集装置のさらに別の実施形態を示す概略図である。 本発明の凝集剤の注入率決定装置が組み込まれた凝集装置のさらに別の実施形態を示す概略図である。 本発明の凝集剤の注入率決定装置が組み込まれた凝集装置のさらに別の実施形態を示す概略図である。 本発明の凝集剤の注入率決定装置のさらに別の実施形態を示す概略図である。 第7の実験の結果をプロットしたグラフである。
以下、本発明の実施形態が説明される。
本発明の一実施形態に係る凝集剤の注入率決定方法は、懸濁物質を含む原液を凝集させる凝集剤の注入率を決定する方法であり、撹拌槽と、駆動源により回転される回転軸と、回転軸に連結され、撹拌槽内に配置された撹拌翼と、撹拌槽に連結された原液供給配管とを備えた撹拌装置を用いる。この撹拌装置については後述する。さらに、本実施形態の凝集剤の注入率決定方法は、原液を原液供給配管から撹拌槽に供給する供給工程と、撹拌槽又は原液供給配管に凝集剤を供給し、原液に凝集剤を注入する注入工程と、撹拌翼を回転させて凝集剤が注入された原液を撹拌する撹拌工程と、撹拌された原液に光を照射して光学的測定値を得る光学的測定工程と、光学的測定値を数値解析して、数値解析値を得る数値解析工程と、数値解析値に基づいて、凝集剤の適正な注入率を決定する注入率決定工程と、を含んでいる。
本明細書において、原液とは、処理される液体をいう。懸濁物質を含む原液の例には、排水処理施設や浄水処理施設などから排出される汚泥、排水処理施設における排水、浄水処理施設における原水などが含まれる。汚泥は、有機性汚泥、無機性汚泥のいずれでもよい。
有機性汚泥としては、例えば下水処理、し尿処理、各種産業の排水処理において発生する有機性汚泥などを挙げることができる。より具体的には、最初沈殿池汚泥、余剰汚泥、嫌気性消化汚泥、好気性消化汚泥、し尿汚泥、浄化槽汚泥、消化脱離液、凝集沈殿汚泥などを挙げることができる。有機性汚泥は無機物を含んでもよい。
無機性汚泥としては、例えば浄水処理、建設工事の排水処理、各種産業の排水処理において発生する無機性汚泥などを挙げることができる。ここで、浄水処理で発生する汚泥とは、浄水処理施設における沈殿池、排泥池、濃縮槽などから排出される汚泥などである。無機性汚泥は有機物を含んでもよい。
排水処理施設における排水としては、下水、食品産業、飲料水産業、化学産業、機械産業など各種産業の排水などが挙げられる。浄水処理施設における原水としては、河川水、湖沼の水、地下水などが挙げられる。
さらに、懸濁物質を含む原液は、排水処理や浄水処理などの処理の過程で調製される水であってもよい。例えば、排水処理での原液の例としては、pHを調整した排水、無機凝集剤を注入した排水、有機凝結剤を注入した排水、金属キレート剤を注入した排水などが挙げられる。また、例えば、浄水処理での原液の例としては、pHを調整した原水、無機凝集剤を注入した原水などが挙げられる。
凝集剤には、無機凝集剤、有機凝結剤、高分子凝集剤のいずれも用いることができる。無機凝集剤の例としては、塩化第二鉄、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硫酸鉄、ポリ硫酸鉄などが挙げられる。
有機凝結剤の例としては、ポリアミン系有機凝結剤(ジアルキルアミンとエピクロルヒドリンの重縮合物など)、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド系有機凝結剤(ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドなど)、ジシアンジアミド系有機凝結剤(ポリジシアンジアミド樹脂の四級アンモニウム塩など)などが挙げられる。
高分子凝集剤には、アニオン性高分子凝集剤、ノニオン性高分子凝集剤、カチオン性高分子凝集剤および両性高分子凝集剤のいずれも用いることができる。有機性汚泥を処理する場合には、カチオン性高分子凝集剤又は両性高分子凝集剤を用いるのが特に好ましい。
アニオン性高分子凝集剤としては、例えばポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸ナトリウムとアクリルアミドとの共重合物、ポリメタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウムとアクリルアミドの共重合物などを挙げることができる。
ノニオン性高分子凝集剤としては、例えばポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイドなどを挙げることができる。
カチオン性高分子凝集剤としては、例えばアクリレート系高分子凝集剤(「DAA系高分子凝集剤」とも称する)、メタクリレート系高分子凝集剤(「DAM系高分子凝集剤」とも称する)、アミド基、ニトリル基、アミン塩酸塩、ホルムアミド基などを含むポリビニルアミジン(「アミジン系高分子凝集剤」とも称する)、ポリアクリルアミドのマンニッヒ変性物などが挙げられる。DAA系高分子凝集剤には、ジメチルアミノエチルアクリレートの四級化物の重合物、ジメチルアミノエチルアクリレートの四級化物とアクリルアミドとの共重合物などがある。DAM系高分子凝集剤には、ジメチルアミノエチルメタクリレートの四級化物の重合物、ジメチルアミノエチルメタクリレートの四級化物とアクリルアミドとの共重合物などがある。
両性高分子凝集剤としては、例えばジメチルアミノエチルアクリレートの四級化物とアクリルアミドとアクリル酸との共重合物、ジメチルアミノエチルメタクリレートの四級化物とアクリルアミドとアクリル酸との共重合物などを挙げることができる。
但し、以上は例示であり、本発明は、これらに限定されるものではない。
供給工程では、懸濁物質を含む原液が原液供給配管から撹拌槽に供給され、注入工程では、懸濁物質を含む原液に、上記したような凝集剤を注入する。
撹拌工程では、撹拌装置により、凝集剤と共に、懸濁物質を含む原液を撹拌する。図1は、一実施形態に係る撹拌装置1を示す模式図である。図1に示されるように、撹拌装置1は、懸濁物質を含む原液が供給される撹拌槽2と、懸濁物質を含む原液を撹拌する撹拌翼8と、撹拌翼8が連結される回転軸17と、回転軸17を撹拌翼8と一体に回転させる駆動源9(例えば、モータ)とを備える。撹拌翼8は、放射状に延びる4枚の羽根16を有している。ただし、羽根16の枚数は、本実施形態に限定されず、羽根16の枚数は4枚よりも少なくても、または多くてもよい。また、本実施形態の羽根16の形状は矩形状であるが、台形、半円状など他の形状であってもよい。撹拌装置1の撹拌槽2には、該撹拌槽2に原液を供給するための原液供給配管18が接続される。さらに、撹拌装置1の撹拌槽2から排出される原液が流れる排出配管28が撹拌槽2に接続されている。排出配管28から排出された原液は、後述する光学的測定装置に流入する。
図2(a)は、撹拌翼8と、撹拌槽2内の回転軸17とから構成される回転体15を示す模式図である。回転体15は、撹拌翼8と、撹拌槽2内に位置する回転軸17の一部とから構成される。図2(b)は、図2(a)に示す回転体15が回転することによって形成される回転領域15Aを示す模式図である。
回転する回転体15から形成される回転領域15Aの体積Va[L]は、原液の種類、原液の性状、凝集剤の物性、凝集剤の溶解濃度などに合わせて決定することが好ましい。とりわけ、回転領域15Aの体積をVa[L]とし、撹拌槽2を通過する原液の流量をFb[L/秒]とすると、体積Vaの流量Fbに対する比の値Rは、1.1〜10.2の範囲にあることが重要である。体積Vaの流量Fbに対する比の値Rは次の式(1)で表される。
R=Va/Fb ・・・(1)
体積Vaの流量Fbに対する比の値Rは、好ましくは1.1〜10.2であり、より好ましくは2.0〜7.0である。さらに好ましくは、体積Vaの流量Fbに対する比の値Rは、3.0〜8.0である。
回転領域15Aの体積Vaは、0.1L〜2.0Lの範囲にあることが好ましく、より好ましくは、体積Vaが0.15L〜2.0Lの範囲にある。さらに好ましくは、体積Vaが0.2L〜1.0Lの範囲にある。回転領域15Aの体積Vaは、複数の撹拌装置1を直列または並列に接続させることによっても変更可能である。
図2(a)に示す回転体15自体の体積Vc[L]が、回転領域15Aの体積Va[L]の0.5倍以下であることが好ましい。より好ましくは、回転体15の体積Vcが回転領域15Aの体積Vaの0.3倍以下である。さらにより好ましくは、回転体15の体積Vcが回転領域15Aの体積Vaの0.2倍以下である。
回転領域15Aの体積Vaは、撹拌槽2の体積Vd(図1参照)の0.4倍以上であることが好ましく、より好ましくは0.5倍以上である。
原液供給配管18から撹拌装置1に供給された原液は、駆動源9によって回転される撹拌翼8によって凝集剤と撹拌される。凝集剤は、図1に示されるように原液供給配管18に供給されてもよいし、撹拌槽2に供給されてもよい。本実施形態の撹拌装置1では、撹拌翼8の回転速度が400min−1以上に設定される。この撹拌により、原液内に凝集剤が瞬時に分散させられ、凝集剤は原液と効率良く均一に混合される。凝集剤に無機凝集剤または有機凝結剤を使用する場合には、懸濁物質の表面電荷を中和することにより、微細フロックを形成することが撹拌工程の主な目的である。凝集剤に高分子凝集剤を使用する場合には、懸濁物質の表面電荷を中和し、さらに高分子凝集剤の吸着作用、架橋作用により、より大きなフロックを形成することが撹拌工程の主な目的である。
従来の凝集方法では、撹拌装置の撹拌翼の回転速度が10〜300min−1程度に設定された撹拌によって、凝集剤を原液に分散させる。このため、凝集剤を原液に均一に分散させることが難しい。これに対して、本実施形態では、撹拌装置1の撹拌翼8の回転速度が400min−1以上に設定された撹拌により、凝集剤を原液に均一に分散させることができる。その結果、より正確に凝集剤の適正注入率を決定することができる。
また、従来の凝集方法では、撹拌装置の撹拌翼の回転速度が10〜300min−1程度に設定されているため、緩やかな条件で凝集剤を汚泥に分散させている。この従来の凝集方法によれば、フロック形成に必要とされる時間が長く、容量の大きな凝集槽を必要とする。また、従来の凝集方法では、広い範囲の凝集剤注入率で比較的良好な凝集反応が起きてしまう。これに対して、本実施形態では、撹拌翼8の回転速度が400min−1以上に設定された撹拌により、厳しい条件で凝集剤を汚泥に分散させるため、注入率が適正であるときにのみ良好な凝集反応が起こる。したがって、凝集反応の結果から、より高い精度で適正な注入率を決定できる。また、本実施形態では、瞬時に凝集剤を原液に分散させ、短時間でフロックを形成することができるため、より迅速に凝集剤の適正注入率を決定することができる。
撹拌装置として、ラインミキサーを用いてもよい。ラインミキサーとは、配管に組み込まれたミキサーである。ラインミキサーの利点はミキサーが密封されているため、ラインミキサーの上流にある原液用ポンプ、および凝集剤用ポンプの2台のポンプがあれば、ラインミキサーの下流に液を送ることができる点である。一方、図1に示されるように、撹拌槽2内に撹拌翼8が設置された撹拌装置1の場合、撹拌槽2の上部が開放されているので、撹拌装置1の下流に原液を送るためには、撹拌装置1の上流にある原液用ポンプ、および凝集剤用ポンプの他に、もう1台ポンプ或いはポンプ相当の機器が必要である。そのため、通常は、ポンプを設置せず、高低差で下流に液を送るのが一般的である。
撹拌工程では、撹拌翼8を400min−1以上の回転速度で回転させることにより、凝集剤が注入された、懸濁物質を含む原液を撹拌することが重要である。好ましくは、撹拌翼8の回転速度は400min−1以上である。より好ましくは、撹拌翼8の回転速度は600min−1以上である。好ましくは、撹拌翼8の羽根16の外縁部16A(図2参照)の周速は、1〜5m/秒である。
撹拌翼8の回転速度は、懸濁物質を含む原液の種類(例えば、排水や汚泥など)、原液の性状(例えば、SS(Suspended Solids)濃度、粘度など)、および凝集剤の種類(例えば、無機凝集剤、有機凝結剤、高分子凝集剤など)などに基づいて、400min−1以上で調整するのが好ましい。撹拌工程におけるフロックの形成は、撹拌槽2内で行ってもよいし、排出配管28内で行ってもよい。懸濁物質を含む原液に注入工程で注入される凝集剤は、撹拌槽2内に注入されてもよいし、撹拌槽2に接続された原液供給配管18内に注入されてもよい。
光学的測定工程は、撹拌工程で形成したフロックを含む原液に光を照射し、光学的測定値を得るために行われる。取得されるべき光学的測定値の種類としては、透過光強度、透過率、散乱光強度、回折光の強度、回折・散乱光強度、吸光度、反射光の強度などが挙げられる。複数の種類の光学的測定値を同時に測定してもよい。例えば、透過光強度を測定すると共に、散乱光強度を測定してもよい。この場合は、透過光強度を測定する光学的測定装置と、散乱光強度を測定する光学的測定装置との両方が設けられる。
光学的測定方法では、一般に、光を放射する光源と、当該光源から放射された光を受光する光検出器とを備えた光学的測定装置が用いられる。光学的測定方法で使用される光源としては、各種ランプ(水銀ランプ、キセノンランプ、クリプトンランプ、メタルハライドランプ、ハロゲンランプなど)、各種レーザ(固体レーザ、半導体レーザ、液体レーザ、気体レーザなど)、各種LEDなどを用いることができる。光検出器としては、CCD、フォトダイオード、フォトトランジスタ、光電子増倍管、光導電素子、赤外線センサ、CMOSなどを用いることができる。いずれにしても、光学的測定装置として、市販されている光学的測定装置を用いることができる。
図3は、透過光強度を測定する光学的測定装置の概略図である。図3に示されるように、フロックを含む原液が流れる排出配管28に、光が透過できる一対の透明窓40,40を設ける。そして、透明窓40,40のうちの一方を通じて排出配管28内に光を放射できる位置に光源41を配置し、他方の透明窓40を通じて排出配管28から出てくる光を受光できる位置に光検出器42を配置する。フロックを含む原液を透過した光は、光検出器42によって検出される。この透過光強度を所定の時間の間測定し、測定された透過光強度を光学的測定値とする。透過光強度の測定は、1回、または凝集剤の注入率を変えながら複数回実行され、これにより、少なくとも1つの光学的測定値が得られる。なお、光検出器42で検出された透過光強度は、データロガー50に蓄積された後に、後述する数値解析装置5に送られる。数値解析装置5で得られた数値解析値は、制御装置6に送られて、制御装置6は、数値解析値に基づいて、凝集剤の適正な注入率を決定する。データロガー50、数値解析装置5、および制御装置6は、それぞれ別個に設けられていてもよい。あるいは、データロガー50および数値解析装置5は、1台のコンピューター、または1台のプログラマブルロジックコントローラ(例えば、シーケンサー)として構成される制御装置6に組み込まれていてもよい。
懸濁物質を含む原液(例えば、汚泥)の透過光強度を測定した測定例について図4(a)および図4(b)を用いて説明する。図4(a)は、凝集剤の注入率が適正ではないために、フロックが形成されていない場合の透過光強度の測定例を示し、図4(b)は、凝集剤の注入率が適正であるために、フロックが形成されている場合の透過光強度の測定例を示す。図4(a)および図4(b)において、横軸は測定時間を表し、縦軸は透過光強度を表す。
図4(a)に示すように、フロックが形成されていないと、光源41から放射された光は、懸濁物質に遮られて光検出器42までほとんど到達しない。その結果、測定される透過光強度は、測定時間の経過と共に低い値で推移する。一方で、フロックが形成されていると、懸濁物質はフロックとしてまとまっている。したがって、図4(b)に示されるように、光源41から放射された光がフロックに遮られて光検出器42まで到達しない時間と、フロックの隙間から光検出器42まで到達する時間とが存在する。結果として、透過光強度のピークが複数個計測される。この複数個のピークは、後述する数値解析工程で利用される。
図5は、散乱光強度を測定する光学的測定装置の概略図である。図5に示されるように、フロックを含む原液が流れる排出配管28の内部に、照射器43Aと、照射器43Aから放射された光が懸濁物質に衝突することで生じる散乱光を受光する受光器44Aとが微小隙間Sだけ離間して配置される。例えば、照射器43Aと受光器44Aとは、照射器43Aの中心軸と受光器44Aの中心軸とが90°の角度で交差するように配置されている。照射器43Aは、レーザなどの光源43Bからの光を排出配管28内まで導く光ファイバであり、受光器44Aは、散乱光をフォトトランジスタなどの光検出器44Bに導く光ファイバである。懸濁物質やフロックに衝突して散乱した光は、受光器44Aを通じて光検出器44Bにより検出される。光検出器44Bは、この散乱光強度を測定し、測定された散乱光強度を光学的測定値とする。散乱光強度の測定は、1回、または凝集剤の注入率を変えながら複数回実行され、これにより、少なくとも1つの光学的測定値が得られる。なお、光検出器44Bで検出された散乱光強度は、データロガー50に蓄積された後に、後述する数値解析装置5に送られる。数値解析装置5で得られた数値解析値は、制御装置6に送られて、制御装置6は、数値解析値に基づいて、凝集剤の適正な注入率を決定する。データロガー50、数値解析装置5、および制御装置6は、それぞれ別個に設けられていてもよい。あるいは、データロガー50および数値解析装置5は、1台のコンピューター、または1台のプログラマブルロジックコントローラ(例えば、シーケンサー)として構成される制御装置6に組み込まれていてもよい。
懸濁物質を含む原液の散乱光強度を測定した測定例について図6(a)および図6(b)を用いて説明する。図6(a)は、凝集剤の注入率が適正ではないために、フロックが形成されていない場合の散乱光強度の測定例を示し、上段のグラフは測定された散乱光強度を、下段のグラフは散乱光の平均強度を示す。図6(b)は、凝集剤の注入率が適正であるために、フロックが形成されている場合の散乱光強度の測定例であり、上段のグラフは測定された散乱光強度を、下段のグラフは散乱光の平均強度を示す。図6(a)および図6(b)において、横軸は測定時間を表し、縦軸は散乱光強度または散乱光の平均強度を表す。ここで、平均強度とは、所定の時間の平均強度のことである。
フロックが形成されていないと、微小隙間Sに多くの懸濁物質が入り込み、当該懸濁物質から反射する光が多くなる。したがって、光検出器44Bで測定される散乱光の強度は、図6(a)に示すように高くなる。一方で、フロックが形成されていると、懸濁物質はフロックとしてまとまっている。この場合、微小隙間Sに入り込む懸濁物質の量は少なくなり、当該懸濁物質から反射する光が少なくなる。したがって、光検出器44Bで測定される散乱光の強度は、図6(b)に示されるように低くなる。この散乱光強度は、後述する数値解析工程で利用される。散乱光の平均強度を、数値解析工程で利用してもよい。
なお、散乱光強度を光学的測定値として使用する場合は、例えば、懸濁物質からの散乱光の強度(または散乱光の平均強度)が小さくなることでフロックの形成が判断される。したがって、汚泥のような懸濁物質の濃度が高く、かつ懸濁物質が比較的大きい原液であって、形成されるフロックも大きい原液には、散乱光強度測定は適していない。一方で、散乱光強度測定は、微細な懸濁物質が含まれる原液であって、形成されるフロックも微細な原液の測定に適している。このような原液は、例えば浄水処理の原水である。
数値解析工程では、光学的測定工程で得られた光学的測定値を数値解析することにより、数値解析値を取得する。数値解析値の例としては、光学的測定値の平均値、分散、標準偏差、ピーク面積、ピーク高さなどが挙げられる。光学的測定値の分散とは、光学的測定値を統計学的に解析した値であり、所定の測定時間の間に得られた光学的測定値の分布の散らばりの程度を示す量である。標準偏差は、分散の平方根の正の値である。ピーク面積は、縦軸が光学的測定値を表し、横軸が測定時間を表すグラフ上に、所定の測定時間の間に得られた光学的測定値をプロットして描かれた曲線と、基準線(例えばベースライン)とで囲まれた領域の面積である。ピーク面積は、例えば、図4(b)でハッチングを付けられた領域の面積に相当する。ピーク高さは、縦軸が光学的測定値を表し、横軸が測定時間を表すグラフ上に、所定の測定時間の間に得られた光学的測定値をプロットして描かれた曲線のピークの横軸からの高さである。
ある閾値以上の光学的測定値の個数、あるいは、ある閾値以下の光学的測定値の個数を、数値解析値としてもよい。数値解析工程で、光学的測定値から、SS濃度、濁度、色度、フロック粒径などを算出し、これらを数値解析値としてもよい。ここで、フロック粒径とは、フロックが球形である場合には、フロックの直径を意味する。フロックが球形でない場合には、フロック粒径は、ストークス径、または各種測定方法によって測定された粒径を意味する。フロック粒径は、フロックの平均粒径であってもよい。平均粒径としては、算術平均径、最多径、中央径などが例示される。また、平均粒径は、個数基準であってもよいし、質量基準であってもよいし、体積基準であってもよい。
光学的測定値からSS濃度、濁度を算出する方法として、透過光測定方法、散乱光測定方法、透過光・散乱光比較方法、積分球測定方法などの公知の方法を用いることができる。光学的測定値から色度を算出する方法として、透過光測定方法などの公知の方法を用いることができる。光学的測定値からフロック粒径を算出する方法として、レーザ回折・散乱法、カメラで撮影した画像を画像解析する方法などの公知の方法を用いることができる。フロック粒径は平均フロック粒径でもよいし、フロック粒径の粒径分布でもよい。光学的測定を行うと共に、得られた光学的測定値からSS濃度、濁度、色度、フロック粒径などを算出できる市販の測定装置を用いることができる。
注入率決定工程は、原液の供給工程、凝集剤の注入工程、撹拌工程、光学的測定工程、数値解析工程を少なくとも1回行うことによって得られた、少なくとも1つの数値解析値から、凝集剤の適正な注入率を決定する工程である。すなわち、これまで説明してきた本実施形態では、懸濁物質を含む原液を撹拌槽に供給し、当該原液に凝集剤を注入し、懸濁物質のフロック形成させるために当該原液を撹拌し、撹拌された原液に対して光学的測定を実施し、得られた光学的測定値を数値解析して数値解析値を取得する。得られた数値解析値に基づき、凝集剤の注入率が適正か否かが判断され、注入率が適正でなければ、凝集剤の注入率を変更して、再度撹拌工程、光学的測定工程、数値解析工程を繰り返し、適正な注入率を決定する。なお、凝集剤の注入率によっては、懸濁物質のフロックが形成されない場合がある。
懸濁物質を含む原液に注入される凝集剤の注入率は、原液の流量を一定に制御した状態で、原液に注入される凝集剤の流量を変更することで変更することができる。あるいは、凝集剤の流量を一定に制御した状態で、原液の流量を変更することにより、凝集剤の注入率を変更してもよい。あるいは、凝集剤の注入率を変更するために、原液の流量と凝集剤の流量の両方が変更されてもよい。
適正な注入率を決定するための工程を表したフロー図が図7に示される。図7に示されるように、本実施形態では、まず、凝集剤の注入率aが設定される(ステップ1)。この注入率aで凝集剤を、供給工程で供給される懸濁物質を含む原液に注入し、フロックを形成させるために、凝集剤と共に原液を撹拌する(ステップ2)。撹拌された原液に対して光学的測定が実施される(ステップ3)。光学的測定により得られた光学的測定値に対して数値解析が実施され、これにより数値解析値Xが得られる(ステップ4)。この数値解析値Xに基づき、凝集剤の注入率が適正か否かが判断される(ステップ5)。
凝集剤の注入率が適正でない場合は、凝集剤の注入率aを変更する(ステップ6)。ステップ6では、高い注入率から徐々に注入率を減少させることにより適正注入率を決定する場合には、所定の変更幅bが注入率aから減算される。低い注入率aから徐々に注入率を増加させて適正注入率を決定する場合には、所定の変更幅bが注入率aに加算される。この変更後の注入率aで、ステップ2、ステップ3、ステップ4、およびステップ5を繰り替えして新たな数値解析値Xを取得し、この新たな数値解析値Xに基づいて、凝集剤の注入率が適正であるか否かが判断される。凝集剤の注入率が適正である場合は、凝集剤の注入率の決定工程が終了する。
ステップ5で凝集剤の注入率が適正か否かを決定する方法としては、数値解析値と所定の目標値との間の差の絶対値を求め、この差の絶対値が予め定められた許容値よりも小さい場合は、凝集剤の注入率が適正であると決定する方法が挙げられる。数値解析値と目標値との差の絶対値が許容値よりも大きいか等しければ、凝集剤の注入率を変更して、原液の供給工程、凝集剤の注入工程、撹拌工程、光学的測定工程、数値解析工程を再度実施する。そして、得られる数値解析値と目標値との差の絶対値が許容値よりも小さくなるまで、原液の供給工程、凝集剤の注入工程、撹拌工程、光学的測定工程、数値解析工程を、凝集剤の注入率を変えて繰り返す。
上記した数値解析値と所定の目標値との間の差の絶対値を求め、この差の絶対値と許容値とを比較することで凝集剤の適正な注入率を決定するための工程を表したフロー図が図8に示される。図8に示されるように、注入率aが設定され(ステップ1)、この注入率aで凝集剤を、供給工程で供給される懸濁物質を含む原液に注入し、フロックを形成させるために、凝集剤と共に原液を撹拌する(ステップ2)。撹拌された原液に対して光学的測定が実施される(ステップ3)。光学的測定により得られた光学的測定値に対して数値解析が実施され、数値解析値Xが得られる(ステップ4)。数値解析により得られた数値解析値Xに基づき、凝集剤の注入率が適正か否かが判断される(ステップ5)。このステップ5では、所定の目標値Xtと数値解析値Xとの差の絶対値が計算され、この差の絶対値が予め設定された許容値mと比較される。
所定の目標値Xtと数値解析値Xとの差の絶対値が許容値mよりも大きいか等しい場合は、凝集剤の注入率が適正ではないと判断され、凝集剤の注入率aが変更される(ステップ6)。ステップ6では、高い注入率から徐々に注入率を減少させることにより適正注入率を決定する場合には、所定の変更幅bが注入率aから減算される。低い注入率aから徐々に注入率を増加させて適正注入率を決定する場合には、所定の変更幅bが注入率aに加算される。この変更後の注入率aでステップ2、ステップ3、ステップ4、およびステップ5を繰り替えして新たな数値解析値Xを取得し、この新たな数値解析値Xに基づいて、凝集剤の注入率が適正であるか否かが再度判断される。所定の目標値Xtと数値解析値Xとの差の絶対値が許容値mよりも小さい場合、すなわち、凝集剤の注入率が適正である場合は、凝集剤の注入率の決定工程が終了する。
適正な凝集剤注入率を決定するための他の方法として、以下に説明する方法が挙げられる。この方法では、予め複数の注入率が設定される。予め設定された複数の注入率それぞれで、供給工程で供給される懸濁物質を含む原液に凝集剤を注入し、フロックを形成させるために、凝集剤と共に原液を撹拌する。そして、複数の注入率それぞれにおいて撹拌された原液がそれぞれ光学的測定を実施され、複数の注入率それぞれにおける複数の数値解析値が取得される。得られた複数の数値解析値が比較され、例えば、最大値または最小値が得られた注入率が適正な注入率として決定される。この一連の工程のフロー図が図9に示される。図9は、複数の注入率を設定し、これら注入率それぞれで複数の数値解析値を取得し、取得した複数の数値解析値を比較することで凝集剤の適正な注入率を決定するための工程を表したフロー図である。
図9に示されるように、この方法では、複数の(n個の)注入率ai=a1,a2,・・・anが設定される(ステップ1)。iが1に設定され、最初の注入率ai(=a1)が選択される(ステップ2)。注入率a1で凝集剤を、供給工程で供給される懸濁物質を含む原液に注入し、フロックを形成させるために、凝集剤と共に原液を撹拌する(ステップ3)。撹拌された原液に対して光学的測定が実施される(ステップ4)。光学的測定により得られた光学的測定値に対して数値解析が実施され、これにより数値解析値Xi(=X1)が得られる(ステップ5)。その後、i=nであるか否かが判断される(ステップ6)。i=nでない場合は、iに1を加算する(ステップ7)。例えば、iが1である場合は、iは2に変更され、注入率aiとしてa2が選択される。
変更された注入率aiで、再度、ステップ3、ステップ4およびステップ5を繰り返して、数値解析値Xiを取得する。例えば、ai=a2である場合は、数値解析値X2が得られ、ai=a3である場合は、数値解析値X3が得られる。数値解析値Xiを取得するために、ステップ3、ステップ4、およびステップ5を、i=nになるまで繰り返す。したがって、数値解析値X1,X2,・・・Xnが得られる。得られた数値解析値X1,X2,・・・Xnに基づいて、凝集剤の適正な注入率が決定される(ステップ8)。例えば、数値解析値X1,X2,・・・Xnの最大値または最小値が得られた注入率が、適正な注入率として決定される。
最も大きな数値解析値が得られた注入率と2番目に大きな数値解析値が得られた注入率の平均値を適正注入率としてもよい。あるいは、最も小さな数値解析値が得られた注入率と2番目に小さい数値解析値が得られた注入率の平均値を適正注入率としてもよい。
また、得られた数値解析値X1,X2,・・・Xnに基づいて、適正な凝集剤の注入率を決定するさらに別の方法として、以下に記述する方法を採用してもよい。縦軸が数値解析値を表し、横軸が凝集剤の注入率を表すグラフ上に、注入率a1,a2,・・・anにおける数値解析値X1,X2,・・・Xnをそれぞれプロットする。注入率a1,a2,・・・anと、数値解析値X1,X2,・・・Xnとの関係を示す近似式を算出し、得られた近似式に基づいて、凝集剤の適正な注入率を決定することができる。例えば、数値解析値のピーク値が得られる注入率を近似式から計算し、得られた注入率を凝集剤の適正な注入率とすることができる。
さらに、上述した凝集剤の注入率決定方法は、必要に応じて、撹拌工程で撹拌された原液を希釈液で希釈する希釈工程を含んでもよい。希釈工程は、撹拌工程と光学的測定工程の間で実施される。例えば、図7に示したフロー図では、希釈工程は、ステップ2とステップ3の間で実施され、図8に示したフロー図では、ステップ2とステップ3の間で実施される。希釈工程は、図9に示したフロー図では、ステップ3とステップ4の間で実施される。
希釈工程の目的は、撹拌された原液を希釈液で希釈することによって、懸濁物質の濃度あるいはフロックの濃度を低減させることである。懸濁物質の濃度が高い原液では、フロックが形成されたときの光学的測定値とフロックが形成されないときの光学的測定値に差が生じず、その結果、凝集剤の注入率の決定が困難な場合がある。例えば、光学的測定工程で、懸濁物質の濃度が高い原液の透過光強度を測定する場合、凝集剤の注入率が適正でフロックが形成されても、フロック間の隙間がほとんど存在せず、図4(a)に示したように、透過光強度がほぼ一定になってしまう場合がある。これに対して、撹拌された原液を希釈液で希釈する場合、フロック間の隙間を増大させることができるため、フロックの隙間から光が透過し、図4(b)に示されるように、透過光強度のピークが複数個計測される。この結果、フロックが形成されたときの透過光強度とフロックが形成されないときの透過光強度に差が生じ、適正な注入率を決定できる。希釈液としては、純水、水道水、工業用水、地下水、各種排水処理の処理水、海水などを用いることができる。
得られた適正な注入率に補正係数を乗算して、補正注入率を決定してもよい。補正注入率が決定される場合は、この補正注入率が懸濁物質を含む原液に注入される凝集剤の注入率として用いられる。補正注入率を決定する工程は、注入率決定工程で適正な注入率が決定された後に行われる。例えば、凝集剤のランニングコストを抑えたい場合は、注入率決定工程で得られた適正な注入率に0.9の補正係数を乗算してもよい。凝集工程の後で行われる脱水工程での脱水効率を上げたい場合には、注入率決定工程で得られた適正な注入率に1.1の補正係数を乗算してもよい。
本実施形態によれば、後述する制御装置が、フロックが適切に成長していることを、光学的測定値を数値解析することで得られた数値解析値から判断する。これにより、凝集剤の適正な注入率を高い精度で決定することができる。その結果、凝集剤の使用量を削減することができる。また、運転員の経験や勘がなくとも、凝集剤の注入率を適正に制御することができる。さらに、懸濁物質を含む原液の性状(例えば、原液内における懸濁物質の濃度など)が変化しても、凝集剤の注入率を適正に制御することができる。特に、本実施形態では、凝集剤が注入された懸濁物質を含む原液を撹拌する撹拌翼8の回転速度が400min−1以上に設定される。この撹拌により、原液内に凝集剤が瞬時に分散させられ、凝集剤は原液と効率良く均一に混合される。その結果、原液に含まれる懸濁物質が効率良く凝集させられる。このような撹拌を行う場合、凝集剤が注入された原液に高ストレスが負荷されるので、凝集剤が適正な注入率で注入されていないと、フロックが成長する前に破壊されてしまう。本実施形態によれば、フロックを適切に成長させることができる凝集剤の適正な注入率を決定することができる。
また、従来の凝集方法では、撹拌装置の撹拌翼の回転速度が10〜300min−1程度に設定された撹拌によって、凝集剤を原液に分散させるので、凝集剤を原液に均一に分散させることが難しい。これに対して、上述の実施形態では、撹拌翼8の回転速度が400min−1以上に設定された撹拌により、凝集剤を原液に均一に分散させることができる。そのため、より正確に凝集剤の適正注入率を決定することができる。さらに、上述の実施形態では、瞬時に凝集剤を原液に分散させ、短時間でフロックを形成することができるため、より迅速に凝集剤の適正注入率を決定することができる。
さらに、本実施形態によれば、回転体15の回転領域15Aの体積Va[L]の、原液の流量Fb[L/秒]に対する比の値は1.1〜10.2の範囲にある。原液流量Fbが変更されても、体積Vaの流量Fbに対する比の値が1.1〜10.2の範囲にあるように撹拌装置1を設計する、または複数の撹拌装置1を接続することで、最適な混合条件が達成できる。あるいは、回転領域15Aの体積Vaが固定である場合には、原液流量Fbを変更することにより、最適な混合条件が達成できる。
さらに、本実施形態によれば、体積Vaの原液流量Fbに対する比の値は1.1〜10.2の範囲にあり、体積Vaは0.1L〜2.0Lの範囲にある。このような条件で撹拌装置1を設計すれば、最適な大きさの撹拌装置1を製作できるため、不必要に大きな撹拌装置1を製作する必要がなくなり、装置の製作コスト、装置の設置スペース、撹拌に必要な電気代を削減できる。
次に、上記した凝集剤の注入率決定方法を実施するための凝集剤の注入率決定装置について説明する。
図10は、本発明の凝集剤の注入率決定装置の一実施形態を示す概略図である。図10に示した凝集剤の注入率決定装置は、原液貯槽10、撹拌装置1、光学的測定装置3がこの順に直列に接続された構成を有している。原液貯槽10には、懸濁物質を含む原液が貯留される。図10に示される撹拌装置1は、図1、図2(a)、および図2(b)を参照して説明された撹拌装置1と同様の構成を有する。撹拌装置1は、懸濁物質を含む原液が供給される撹拌槽2と、懸濁物質を含む原液を撹拌する撹拌翼8と、撹拌翼8が連結される回転軸17と、回転軸17を撹拌翼8と一体に回転させる駆動源9(例えば、モータ)とを備える。撹拌装置1の撹拌槽2には、該撹拌槽2に原液を供給するための原液供給配管18が接続され、原液供給配管18には、原液貯槽10に貯留された原液を所定の流量で撹拌槽2に供給する供給装置7が配置される。供給装置7は、例えば、ポンプ、またはバルブ、またはポンプとバルブの組み合わせである。
さらに、撹拌装置1の撹拌槽2から排出される原液が流れる排出配管28が撹拌槽2に接続されており、排出配管28には、光学的測定装置3が配置されている。光学的測定装置3は、例えば、上述した透過光強度を測定する測定装置、または散乱光強度を測定する測定装置である。透過光強度を測定する光学的測定装置と、散乱光強度を測定する光学的測定装置とを直列に並べて配置してもよい。光学的測定装置3は、透過率、回折光の強度、回折・散乱光強度、吸光度、反射光の強度などを測定することができる測定装置であってもよい。
凝集剤を貯留する凝集剤貯槽11が設けられ、凝集剤貯槽11から延びる凝集剤供給配管26が撹拌槽2に接続される。凝集剤供給配管26には、凝集剤注入装置4が配置される。凝集剤注入装置4は、懸濁物質を含む原液に凝集剤を所定の注入率で注入する装置である。凝集剤注入装置4は、例えば、ポンプ、またはバルブ、またはポンプとバルブの組み合わせである。
この凝集剤の注入率決定装置において、懸濁物質を含む原液は、供給装置7により原液貯槽10から撹拌槽2に供給される。回転体15の回転領域15Aの体積Va(図2(b)参照)の、原液の流量Fb[L/秒]に対する比の値は1.1〜10.2の範囲にある。凝集剤は、凝集剤注入装置4により撹拌槽2に供給される。撹拌槽2では、撹拌翼8が400min−1以上の回転速度で回転させられ、原液と凝集剤とを混合する。これにより、懸濁物質のフロックが形成される。なお、凝集剤の注入率によっては、懸濁物質のフロックが形成されない場合がある。すなわち、撹拌装置1では、懸濁物質のフロックを形成させるために撹拌翼8が400min−1以上の回転速度で回転させられるが、凝集剤の注入率次第で、懸濁物質のフロックが形成されない場合がある。
光学的測定装置3には、数値解析装置5が電気的に接続され、数値解析装置5には、制御装置6が電気的に接続されている。数値解析装置5は、制御装置6内に組み込まれていてもよい。また、制御装置6は、凝集剤注入装置4に電気的に接続されている。
このような構成で、光学的測定装置3から得られた光学的測定値は、上述したように、数値解析装置5に送られる。数値解析装置5は、光学的測定値を数値解析し、数値解析値を取得する。得られた数値解析値は、制御装置6に送られる。制御装置6は、上述したような方法で、数値解析値に基づいて凝集剤の適正な注入率を決定する。
図11は、本発明の凝集剤の注入率決定装置の別の実施形態を示す概略図である。図11に示す凝集剤の注入率決定装置では、凝集剤を供給する凝集剤供給配管26は、原液供給配管18に接続され、撹拌槽2には接続されない。それ以外の構成は、図10に示した実施形態と同様であるため、対応する構成要素には同じ符号を付すことで、その詳細な説明は省略する。この実施形態では、凝集剤は、撹拌槽2よりも上流側に配置される原液供給配管18内に注入される。このように、懸濁物質を含む原液に注入される凝集剤は、図10に示すように、撹拌槽2に注入されてもよいし、図11に示すように、撹拌槽2よりも上流側に配置される原液供給配管18に注入されてもよい。
図12は、本発明の凝集剤の注入率決定装置のさらに別の実施形態を示す概略図である。図12に示す凝集剤の注入率決定装置では、撹拌装置1としてラインミキサーが採用されている。それ以外の構成は、図11に示した実施形態と同様であるため、対応する構成要素には同じ符号を付すことで、その詳細な説明は省略する。ラインミキサー1は、配管に組み込まれたミキサーである。ラインミキサー1の利点は、ラインミキサー1が密封されているため、当該ラインミキサー1の上流側に配置される供給装置7と、凝集剤注入装置4の2台のポンプがあれば、ラインミキサー1の下流側に原液を送ることができる点である。
図13は、本発明の凝集剤の注入率決定装置が組み込まれた凝集装置の実施形態を示す概略図である。図13に示す凝集装置では、これまで説明してきた撹拌装置1とは別の凝集槽撹拌装置12が設けられる。凝集槽撹拌装置12は、従来から用いられてきた撹拌装置であり、凝集槽撹拌装置12の撹拌翼の回転速度は、10〜300min−1程度に設定される。原液貯槽10から延びる原液供給配管(原液供給元管)18は、撹拌装置1へ接続される第1の原液供給配管19と、凝集槽撹拌装置12へ接続される第2の原液供給配管25とに分岐する。撹拌装置1、供給装置7、光学的測定装置3、凝集剤注入装置4、凝集剤供給配管26は、図10に示される実施形態と同じであるため、対応する構成要素には同じ符号を付すことで、その詳細な説明は省略する。以下、供給装置7を第1の供給装置7と称し、凝集剤注入装置4を第1の凝集剤注入装置と称し、凝集剤供給配管26を第1の凝集剤供給配管と称する。
凝集槽撹拌装置12は、懸濁物質を含む原液が供給される凝集撹拌槽37と、懸濁物質を含む原液を撹拌する凝集槽撹拌翼38と、凝集槽撹拌翼38を回転させる凝集槽駆動源39(例えば、モーター)とを備える。凝集槽撹拌装置12の凝集撹拌槽37には、第2の原液供給配管25が接続され、第2の原液供給配管25には、懸濁物質を含む原液を所定の流量で凝集撹拌槽37に供給する第2の供給装置35が配置される。第2の供給装置35は、例えば、ポンプ、またはバルブ、またはポンプとバルブの組み合わせである。
なお、図13に示した実施形態では、第1の原液供給配管19は、原液貯槽10と第2の供給装置35との間から分岐しているが、第2の供給装置35と凝集撹拌槽37との間から分岐してもよい。あるいは、第1の原液供給配管19は、原液貯槽10に直接接続されてもよい。この場合、原液供給配管(原液供給元管)18は省略される。
凝集剤を貯留する凝集剤貯槽11から延びる第2の凝集剤供給配管36が凝集撹拌槽37に接続される。第2の凝集剤供給配管36には、第2の凝集剤注入装置45が配置される。第2の凝集剤注入装置45は、懸濁物質を含む原液に凝集剤を所定の注入率で注入する装置である。凝集剤注入装置45は、例えば、ポンプ、またはバルブ、またはポンプとバルブの組み合わせである。凝集剤貯槽11は、第1の凝集剤供給配管26を介して撹拌槽2にも接続されている。なお、図13に示した実施形態では、第1の凝集剤供給配管26は、凝集剤貯槽11に直接接続されているが、凝集剤貯槽11と第2の凝集剤注入装置45との間から分岐してもよい。あるいは、第1の凝集剤供給配管26は、第2の凝集剤注入装置45と凝集撹拌槽37との間から分岐してもよい。
凝集撹拌槽37から排出される原液が流れる第2の排出配管46が、凝集撹拌槽37に接続されており、第2の排出配管46の下流側には、脱水機14が接続されている。脱水機14は、フロックが形成された原液を脱水し、ろ液とケーキとに分離する。ケーキは、脱水機14から回収される。
撹拌装置1の下流側に配置される光学的測定装置3には、数値解析装置5が電気的に接続され、数値解析装置5には、制御装置6が電気的に接続されている。数値解析装置5は、制御装置6内に組み込まれていてもよい。また、制御装置6は、第1の凝集剤注入装置4および第2の凝集剤注入装置45に電気的に接続されている。
このような構成の凝集装置では、まず、第1の供給装置7を作動させて、懸濁物質を含む原液を撹拌装置1に供給する。回転体15の回転領域15Aの体積Va(図2(b)参照)の、原液の流量Fb[L/秒]に対する比の値は1.1〜10.2の範囲にある。撹拌装置1で、撹拌された原液は、光学的測定装置3に送られる。光学的測定装置3は、撹拌された原液の光学的測定を実施し、光学的測定値を取得する。光学的測定装置3から得られた光学的測定値は、上述したように、数値解析装置5に送られる。数値解析装置5は、光学的測定値を数値解析し、数値解析値を取得する。得られた数値解析値は、制御装置6に送られる。制御装置6は、上述したような方法で、数値解析値に基づいて凝集剤の適正な注入率を決定する。
決定された注入率は、第2の凝集剤注入装置45に送られる。そして、第1の供給装置7を停止させ、第2の供給装置35を動作させる。これにより、原液貯槽10に貯留する原液は、凝集槽撹拌装置12に供給される。凝集槽撹拌装置12に注入される凝集剤の注入率は、先に決定された注入率である。このように、凝集剤は、適正な注入率で原液に注入され、原液中にフロックが形成される。フロックを含む原液は、脱水機14に送られ、脱水機14により脱水される。
図14は、本発明の凝集剤の注入率決定装置が組み込まれた凝集装置の別の実施形態を示す概略図である。図14に示す凝集装置では、脱水機14の代わりに、沈殿槽20が設けられる。それ以外の構成は、図13に示した実施形態と同様であるため、対応する構成要素には同じ符号を付すことで、その詳細な説明は省略する。沈殿槽20に供給される原液内のフロックは、自重により沈殿槽20の底に向かって沈降し、これにより、フロックを含む原液は、フロックが高濃度で存在する濃縮原液(例えば、濃縮汚泥)と、フロックが存在しない処理済液とに分離される。このように沈殿槽20を設けることで、フロックと処理済液とを分離することができる。
図15は、本発明の凝集剤の注入率決定装置が組み込まれた凝集装置のさらに別の実施形態を示す概略図である。図15に示される凝集装置では、凝集槽撹拌装置12と直列に、凝集槽撹拌装置12とは別の凝集槽撹拌装置21が凝集槽撹拌装置12に接続されている。以下、凝集槽撹拌装置12を第1の凝集槽撹拌装置12と称し、凝集槽撹拌装置21を第2の凝集槽撹拌装置21と称する。第2の凝集槽撹拌装置21は、従来から用いられてきた撹拌装置であり、凝集槽撹拌装置21の撹拌翼の回転速度は、10〜300min−1程度の回転速度に設定される。特に説明しない他の構成は、図14に示した実施形態と同様であるため、対応する構成要素には同じ符号を付すことで、その詳細な説明は省略する。
図15に示される実施形態の第2の凝集槽撹拌装置21は、第1の凝集槽撹拌装置12でフロックが形成された原液が供給される第2の凝集撹拌槽47と、この原液を撹拌する第2の凝集槽撹拌翼48と、第2の凝集槽撹拌翼48を回転させる第2の凝集槽駆動源49(例えば、モーター)とを備える。第2の凝集撹拌槽47は、第1の凝集撹拌槽37に隣接しており、第2の凝集撹拌槽47は、第1の凝集撹拌槽37と直接に接続されている。第2の凝集撹拌槽47には、撹拌槽2および第1の凝集撹拌槽37に供給される第1の凝集剤とは異なる第2の凝集剤が供給される。第2の凝集剤は、第2の凝集剤貯槽23に貯留されている。第2の凝集剤貯槽23から第2の凝集撹拌槽47に第2の凝集剤を供給するための第3の凝集剤供給配管52が、第2の凝集剤貯槽23から第2の凝集撹拌槽47に延びている。第3の凝集剤供給配管52には、第3の凝集剤注入装置53が配置され、第3の凝集剤注入装置53により、第2の凝集剤が所定の注入率で第2の凝集撹拌槽47に注入される。第3の凝集剤注入装置53は、例えば、ポンプ、またはバルブ、またはポンプとバルブの組み合わせである。
第1の凝集剤として、例えば、無機凝集剤が用いられる。第2の凝集剤として、例えば、高分子凝集剤が用いられる。無機凝集剤を用いた場合、懸濁物質の表面電荷が中和され、これにより、微細なフロックが形成される。高分子凝集剤を用いた場合、懸濁物質の表面電荷が中和されると共に、さらに高分子凝集剤の吸着作用、架橋作用により、より大きなフロックが形成される。したがって、これら2つの異なる凝集剤を用いることにより、ろ過性のよい、強固なフロックを形成することができる。
図16は、本発明の凝集剤の注入率決定装置が組み込まれた凝集装置のさらに別の実施形態を示す概略図である。特に説明しない他の構成は、図15に示した実施形態と同様であるため、対応する構成要素には同じ符号を付すことで、その詳細な説明は省略する。図16に示される凝集装置では、第1の凝集槽撹拌装置12と直列に第2の凝集槽撹拌装置21が接続される。第1の凝集槽撹拌装置12と第2の凝集槽撹拌装置21とは、接続配管55により接続され、撹拌装置1に延びる第3の原液供給配管57が接続配管55から分岐される。第2の凝集剤は、第2の凝集剤貯槽23から撹拌装置1に供給される。したがって、光学的測定装置3で測定される原液は、第1の凝集剤および第2の凝集剤が注入されて、撹拌された原液である。第2の凝集剤の適正な注入率は、制御装置6により決定される。
第1の凝集槽撹拌装置12と第2の凝集槽撹拌装置21とは、接続配管55で接続されている。接続配管55からは、撹拌装置1に延びる第3の原液供給配管57が分岐されている。接続配管55の、第3の原液供給配管57が分岐された位置の下流側には、第3の供給装置56が配置されている。第3の供給装置56は、例えば、ポンプ、またはバルブ、またはポンプとバルブの組み合わせである。なお、図16に示した実施形態では、第3の供給配管57は、第1の凝集撹拌槽37と第3の供給装置56との間から分岐しているが、第3の供給装置56と第2の凝集撹拌槽47との間から分岐してもよい。あるいは、第3の供給配管57は、第1の凝集撹拌槽37に直接接続されてもよい。
第2の凝集剤が貯留される第2の凝集剤貯槽23からは、第4の凝集剤供給配管58が延びており、第4の凝集剤供給配管58は、撹拌装置1に接続されている。第4の凝集剤供給配管58には、第1の凝集剤注入装置4が配置されている。また、第2の凝集剤貯槽23から第2の凝集撹拌槽47に第2の凝集剤を供給するための第3の凝集剤供給配管52が、第2の凝集剤貯槽23から第2の凝集撹拌槽47に延びている。第3の凝集剤供給配管52には、第3の凝集剤注入装置53が配置され、第3の凝集剤注入装置53により、第2の凝集剤が所定の注入率で第2の凝集撹拌槽47に注入される。なお、図16に示した実施形態では、第4の凝集剤供給配管58は、第2の凝集剤貯槽23に直接接続されているが、第2の凝集剤貯槽23と第3の凝集剤注入装置53との間から分岐してもよい。あるいは、第4の凝集剤供給配管58は、第3の凝集剤注入装置53と第2の凝集撹拌槽47との間から分岐してもよい。
撹拌装置1の下流側に配置される光学的測定装置3には、数値解析装置5が電気的に接続され、数値解析装置5には、制御装置6が電気的に接続されている。数値解析装置5は、制御装置6内に組み込まれていてもよい。また、制御装置6は、第1の凝集剤注入装置4および第3の凝集剤注入装置53に電気的に接続されている。
このような構成の凝集装置では、まず、第2の供給装置35と第1の供給装置7を作動させて、懸濁物質を含む原液を第1の凝集槽撹拌装置12と撹拌装置1とに供給する。第1の凝集槽撹拌装置12でフロックを形成するために撹拌された原液は、撹拌装置1に供給され、撹拌装置1で第2の凝集剤と混合される。回転体15の回転領域15Aの体積Va(図2(b)参照)の、原液の流量Fb[L/秒]に対する比の値は1.1〜10.2の範囲にある。撹拌装置1で撹拌された原液は、光学的測定装置3に送られる。光学的測定装置3は、撹拌された原液の光学的測定を実施し、光学的測定値を取得する。光学的測定装置3から得られた光学的測定値は、上述したように、数値解析装置5に送られる。数値解析装置5は、光学的測定値を数値解析し、数値解析値を取得する。得られた数値解析値は、制御装置6に送られる。制御装置6は、上述したような方法で、数値解析値に基づいて第2の凝集剤の適正な注入率を決定する。
決定された第2の凝集剤の注入率は、第3の凝集剤注入装置53に送られる。そして、第1の供給装置7を停止させ、第3の供給装置56を動作させる。すなわち、動作する供給装置は、第2の供給装置35と第3の供給装置56になる。これにより、原液貯槽10に貯留する原液は、第1の凝集槽撹拌装置12と第2の凝集槽撹拌装置21とに供給される。第2の凝集剤貯槽23から第2の凝集槽撹拌装置21に注入される第2の凝集剤の注入率は、先に決定された注入率である。これにより、懸濁物質を含む原液に注入される第2の凝集剤の注入率は、自動で制御される。適正な注入率で第2の凝集剤が注入されたことにより適切なフロックが形成される。フロックを含む原液は、沈殿槽20に送られて、処理済液と濃縮原液に分離される。
なお、第3の供給装置56を省略することができる。この場合、第1の凝集槽撹拌装置12と第2の凝集槽撹拌装置21との間に高低差が設けられる。この高低差に起因する位置ヘッド差を利用して、第1の凝集槽撹拌装置12から第2の凝集槽撹拌装置21に原液が供給される(自然流下方式)。
図17は、本発明の凝集剤の注入率決定装置が組み込まれた凝集装置のさらに別の実施形態を示す概略図である。図17に示される凝集装置は、図15に示される凝集装置と、図16に示される凝集装置の構成を組み合わせた実施形態である。すなわち、図17に示される凝集装置は、第1の凝集剤の適正な注入率と、第2の凝集剤の適正な注入率とをそれぞれ決定することができる。特に説明しない他の構成は、図15および図16に示した実施形態と同様であるため、対応する構成要素には同じ符号を付すことで、その詳細な説明は省略する。
第1の凝集剤の適正な注入率を決定するために、凝集装置は、これまで説明してきたように、撹拌装置1を備える。また、第2の凝集剤の適正な注入率を決定するために、凝集装置は、撹拌装置60を備える。以下、撹拌装置1を第1の撹拌装置1と称し、撹拌装置60を第2の撹拌装置60と称する。第2の撹拌装置60は、図1、図2(a)、および図2(b)を参照して説明された撹拌装置1と同様の構成を有する。すなわち、第2の撹拌装置60は、懸濁物質を含む原液が供給される第2の撹拌槽61と、懸濁物質を含む原液を撹拌する第2の撹拌翼62と、第2の撹拌翼62が連結される第2の回転軸64と、第2の回転軸64を第2の撹拌翼62と一体に回転させる第2の駆動源63(例えば、モータ)とを備える。第2の撹拌翼62と、第2の撹拌槽61内の回転軸64とから構成される回転体から形成される回転領域の体積Vaの、原液の流量Fbに対する比の値Rは、1.1〜10.2の範囲にある。
第1の凝集剤の適正な注入率を決定するために、凝集装置は、これまで説明してきたように、第1の撹拌装置1と、第1の光学的測定装置3と、第1の数値解析装置5と、第1の制御装置6とを備える。第1の撹拌装置1の第1の撹拌槽2に原液を供給するための第1の原液供給配管19が、原液供給配管(原液供給元管)18から分岐されて延びており、第1の原液供給配管19に第1の供給装置7が配置される。第1の供給装置7によって、懸濁物質を含む原液が第1の撹拌槽2に供給される。
撹拌槽2から排出される原液が流れる第1の排出配管28が、撹拌槽2に接続されており、第1の排出配管28には、第1の光学的測定装置3が配置されている。第1の光学的測定装置3は、例えば、上述した透過光強度を測定する測定装置、または散乱光強度を測定する測定装置である。透過光強度を測定する光学的測定装置と、散乱光強度を測定する光学的測定装置とを直列に並べて配置してもよい。光学的測定装置3は、透過率、回折光の強度、回折・散乱光強度、吸光度、反射光の強度などを測定することができる測定装置であってもよい。
第1の凝集剤を貯留する第1の凝集剤貯槽11が設けられ、第1の凝集剤貯槽11から延びる第1の凝集剤供給配管26が第1の撹拌槽2に接続される。第1の凝集剤供給配管26には、第1の凝集剤注入装置4が配置される。第1の凝集剤注入装置4は、懸濁物質を含む原液に第1の凝集剤を所定の注入率で注入する装置である。第1の凝集剤注入装置4は、例えば、ポンプ、またはバルブ、またはポンプとバルブの組み合わせである。
第1の凝集剤貯槽11から延びる第2の凝集剤供給配管36が第1の凝集槽撹拌装置12の第1の凝集撹拌槽37に接続される。第2の凝集剤供給配管36には、第2の凝集剤注入装置45が配置される。第2の凝集剤注入装置45は、懸濁物質を含む原液に第1の凝集剤を所定の注入率で注入する装置である。第2の凝集剤注入装置45は、例えば、ポンプ、またはバルブ、またはポンプとバルブの組み合わせである。なお、図17に示した実施形態では、第1の凝集剤供給配管26は、第1の凝集剤貯槽11に直接接続されているが、第1の凝集剤貯槽11と第2の凝集剤注入装置45との間から分岐してもよい。あるいは、第1の凝集剤供給配管26は、第2の凝集剤注入装置45と第1の凝集撹拌槽37との間から分岐してもよい。
第1の光学的測定装置3には、第1の数値解析装置5が電気的に接続され、第1の数値解析装置5には、第1の制御装置6が電気的に接続されている。第1の数値解析装置5は、第1の制御装置6内に組み込まれていてもよい。また、第1の制御装置6は、第1の凝集剤注入装置4および第2の凝集剤注入装置45に電気的に接続されている。
図17に示される凝集装置では、第1の凝集槽撹拌装置12と直列に第2の凝集槽撹拌装置21が接続される。第1の凝集槽撹拌装置12と第2の凝集槽撹拌装置21とは、接続配管55により接続され、第2の撹拌装置60に延びる第3の原液供給配管57が接続配管55から分岐される。第2の撹拌装置60は、懸濁物質を含む原液が供給される第2の撹拌槽61と、懸濁物質を含む原液を撹拌する第2の撹拌翼62と、撹拌翼62が連結される第2の回転軸64と、第2の回転軸64を第2の撹拌翼62と一体に回転させる駆動源63(例えば、モーター)とを備える。第2の撹拌装置60の第2の撹拌槽61には、第3の原液供給配管57が接続され、第3の原液供給配管57には、懸濁物質を含む原液を所定の流量で第2の撹拌槽61に供給する第4の供給装置65が配置される。第4の供給装置65は、例えば、ポンプ、またはバルブ、またはポンプとバルブの組み合わせである。なお、図17に示した実施形態では、第3の原液供給配管57は、第1の凝集撹拌槽37と第3の供給装置56との間から分岐しているが、第3の供給装置56と第2の凝集撹拌槽47との間から分岐してもよい。あるいは、第3の供給配管57は、第1の凝集撹拌槽37に直接接続されてもよい。
第2の凝集撹拌槽47には、第1の撹拌槽2および第1の凝集撹拌槽37に供給される第1の凝集剤とは異なる第2の凝集剤が供給される。第2の凝集剤は、第2の凝集剤貯槽23に貯留されている。第2の凝集剤貯槽23から第2の凝集撹拌槽47に第2の凝集剤を供給するための第3の凝集剤供給配管52が、第2の凝集剤貯槽23から第3の撹拌槽47に延びている。第3の凝集剤供給配管52には、第3の凝集剤注入装置53が配置され、第3の凝集剤注入装置53により、第2の凝集剤が所定の注入率で第2の凝集撹拌槽47に注入される。第3の凝集剤注入装置53は、例えば、ポンプ、またはバルブ、またはポンプとバルブの組み合わせである。
第2の凝集剤貯槽23からは、第4の凝集剤供給配管58が第2の撹拌装置60の第2の撹拌槽61に延びている。第4の凝集剤供給配管58には、第4の凝集剤注入装置66が配置されている。第4の凝集剤注入装置66により、第2の凝集剤が所定の注入率で第2の撹拌槽61に注入される。第4の凝集剤注入装置66は、例えば、ポンプ、またはバルブ、またはポンプとバルブの組み合わせである。なお、図17に示した実施形態では、第4の凝集剤供給配管58は、第2の凝集剤貯槽23に直接接続されているが、第2の凝集剤貯槽23と第3の凝集剤注入装置53との間から分岐してもよい。あるいは、第4の凝集剤供給配管58は、第3の凝集剤注入装置53と第2の凝集撹拌槽47との間から分岐してもよい。
第2の撹拌槽61から排出される原液が流れる第3の排出配管69が、第2の撹拌槽61に接続されており、第3の排出配管69には、第2の光学的測定装置68が配置されている。第2の撹拌装置60の下流側に配置される第2の光学的測定装置68は、第1の光学的測定装置3と同様の構成を有しており、例えば、上述した透過光強度を測定する測定装置、または散乱光強度を測定する測定装置を用いることができる。
第2の光学的測定装置68には、第2の数値解析装置70が電気的に接続され、第2の数値解析装置70には、第2の制御装置71が電気的に接続されている。第2の数値解析装置70は、第2の制御装置71内に組み込まれていてもよい。また、第2の制御装置71は、第3の凝集剤注入装置53および第4の凝集剤注入装置66に電気的に接続されている。
このような構成の凝集装置では、まず、第1の供給装置7を動作させ、原液貯槽10内の懸濁物質を含む原液を第1の撹拌装置1に供給する。回転体15の回転領域15Aの体積Va(図2(b)参照)の、原液の流量Fb[L/秒]に対する比の値は1.1〜10.2の範囲にある。第1の凝集剤は、第1の凝集剤注入装置4により第1の撹拌装置1の第1の撹拌槽2に供給される。第1の撹拌槽2では、第1の撹拌翼8が400min−1以上である回転速度で回転され、原液と凝集剤とを混合する。
第1の撹拌装置1で撹拌された原液は、第1の光学的測定装置3に送られる。第1の光学的測定装置3は、撹拌された原液の光学的測定を実施し、光学的測定値を取得する。第1の光学的測定装置3から得られた光学的測定値は、上述したように、第1の数値解析装置5に送られる。第1の数値解析装置5は、光学的測定値を数値解析し、数値解析値を取得する。得られた数値解析値は、第1の制御装置6に送られる。第1の制御装置6は、上述したような方法で、数値解析値に基づいて第1の凝集剤の適正な注入率を決定する。
決定された第1の凝集剤の注入率は、第1の制御装置6から第2の凝集剤注入装置45に送られる。そして、第1の供給装置7を停止させ、第2の供給装置35および第4の供給装置65を動作させる。原液貯槽10内の原液は、第1の凝集槽撹拌装置12に送られる。第1の凝集槽撹拌装置12には、第1の凝集剤が上記決定された注入率で注入され、この凝集剤が原液と混合されることにより、フロックが一次形成させられる。
第1の凝集剤を用いて一次形成させられたフロックを含む原液は、第4の供給装置65により第2の撹拌装置60に供給される。第1の撹拌装置1と同様に、回転体の回転領域の体積Vaの、原液の流量Fbに対する比の値は1.1〜10.2の範囲にある。第2の凝集剤が第4の凝集剤注入装置66により第2の撹拌装置60の第2の撹拌槽61に供給される。第2の撹拌槽61では、第2の撹拌翼62が400min−1以上の回転速度で回転され、原液と第2の凝集剤とを混合する。
第2の撹拌装置60で撹拌された原液は、第2の光学的測定装置68に送られる。第2の光学的測定装置68は、第2の撹拌装置60で撹拌された原液の光学的測定を実施し、光学的測定値を取得する。第2の光学的測定装置68から得られた光学的測定値は、上述したように、第2の数値解析装置70に送られる。第2の数値解析装置70は、光学的測定値を数値解析し、数値解析値を取得する。得られた数値解析値は、第2の制御装置71に送られる。第2の制御装置71は、上述したような方法で、数値解析値に基づいて第2の凝集剤の適正な注入率を決定する。
決定された第2の凝集剤の注入率は、第2の制御装置71から第3の凝集剤注入装置53に送られる。そして、第4の供給装置65を停止させ、第3の供給装置56を動作させる。すなわち、動作する供給装置は、第2の供給装置35と、第3の供給装置56になる。これにより、原液貯槽10に貯留する原液は、第1の凝集槽撹拌装置12と第2の凝集槽撹拌装置21とに供給される。
第1の凝集槽撹拌装置12に注入される第1の凝集剤の注入率は、先に決定された注入率である。同様に、第2の凝集槽撹拌装置21に注入される第2の凝集剤の注入率は、先に決定された注入率である。これにより、懸濁物質を含む原液に注入される第1の凝集剤と第2の凝集剤の注入率は、自動で制御される。適正な凝集剤注入率で第1の凝集剤と第2の凝集剤とが注入されることにより、適切なフロックが原液中に形成される。フロックを含んだ原液は、沈殿槽20に送られて、処理済液と濃縮原液に分離される。
なお、図17に示した実施形態でも、第3の供給装置56を省略することができる。この場合、第1の凝集槽撹拌装置12と第2の凝集槽撹拌装置21との間に高低差が設けられる。この高低差に起因する位置ヘッド差を利用して、第1の凝集槽撹拌装置12から第2の凝集槽撹拌装置21に原液が供給される(自然流下方式)。
図18は、本発明の凝集剤の注入率決定装置が組み込まれた凝集装置のさらに別の実施形態を示す概略図である。図18に示される凝集装置は、原液貯槽10、撹拌装置1、光学的測定装置3、凝集槽撹拌装置12、および脱水機14がこの順に接続された構成を有している。原液貯槽10には、懸濁物質を含む原液が貯留される。図18に示される撹拌装置1は、図1、図2(a)、および図2(b)に示される撹拌装置1と同様の構成を有する。撹拌装置1の撹拌槽2には、原液貯槽10から延びる原液供給配管18が接続され、原液供給配管18には、原液貯槽10に貯留された原液を所定の流量で撹拌槽2に供給する供給装置7が配置される。
凝集剤を貯留する凝集剤貯槽11が設けられ、凝集剤貯槽11から延びる第1の凝集剤供給配管26が原液供給配管18に接続される。第1の凝集剤供給配管26には、凝集剤注入装置4が配置される。凝集剤注入装置4は、懸濁物質を含む原液に凝集剤を所定の注入率で注入する装置である。
凝集剤貯槽11から延びる第2の凝集剤供給配管36が凝集槽撹拌槽37に接続される。第2の凝集剤供給配管36には、第2の凝集剤注入装置45が配置される。第2の凝集剤注入装置45は、懸濁物質を含む原液に凝集剤を所定の注入率で注入する装置である。なお、図18に示した実施形態では、第2の凝集剤供給配管36は、凝集剤貯槽11に直接接続されているが、凝集剤貯槽11と第1の凝集剤注入装置4との間から分岐してもよい。あるいは、第2の凝集剤供給配管36は、第1の凝集剤注入装置4と原液供給配管18との間から分岐してもよい。
撹拌装置1と凝集槽撹拌装置12とは、接続配管55により直列に接続され、この接続配管55に光学的測定装置3が配置される。したがって、光学的測定装置3で測定される原液は、撹拌装置1により撹拌された原液である。撹拌装置1で撹拌された原液は、凝集槽撹拌装置12に供給される。凝集槽撹拌装置12の凝集撹拌槽37に供給された原液は、当該凝集撹拌槽37で凝集剤貯槽11から供給される凝集剤と混合される。
凝集撹拌槽37から排出される原液が流れる第2の排出配管46が、凝集撹拌槽37に接続されており、第2の排出配管46の下流側には、脱水機14が接続されている。脱水機14は、フロックが形成された原液を脱水し、ろ液とケーキとに分離する。ケーキは、脱水機14から回収される。
光学的測定装置3には、数値解析装置5が電気的に接続され、数値解析装置5には、制御装置6が電気的に接続されている。数値解析装置5は、制御装置6内に組み込まれていてもよい。また、制御装置6は、第1の凝集剤注入装置4および第2の凝集剤注入装置45に電気的に接続されている。
このような構成で、光学的測定装置3から得られた光学的測定値は、上述したように、数値解析装置5に送られる。数値解析装置5は、光学的測定値を数値解析し、数値解析値を取得する。得られた数値解析値は、制御装置6に送られる。制御装置6は、上述したような方法で、数値解析値に基づいて凝集剤の適正な注入率を決定する。制御装置6により決定された注入率は、第1の凝集剤注入装置4と第2の凝集剤注入装置45に送られる。第1の凝集剤注入装置4と第2の凝集剤注入装置45は、決定された注入率で凝集剤を懸濁物質を含む原液に注入する。これにより、懸濁物質を含む原液に注入される凝集剤の注入率は、自動で制御される。なお、制御装置6により決定された注入率を、第1の凝集剤注入装置4で注入される凝集剤の注入率としてもよいし、第2の凝集剤注入装置45で注入される凝集剤の注入率としてもよい。また、制御装置6により決定された注入率を、第1の凝集剤注入装置で注入される凝集剤の注入率と第2の凝集剤注入装置45で注入される凝集剤の注入率との合計注入率としてもよい。
図19は、本発明の凝集剤の注入率決定装置が組み込まれた凝集装置のさらに別の実施形態を示す概略図である。図19に示す凝集装置では、脱水機14の代わりに、沈殿槽20が設けられる。それ以外の構成は、図18に示した実施形態と同様であるため、対応する構成要素には同じ符号を付すことで、その詳細な説明は省略する。沈殿槽20に供給される原液内のフロックは、自重により沈殿槽20の底に向かって沈降し、これにより、フロックを含む原液は、フロックが高濃度で存在する濃縮原液(例えば、濃縮汚泥)と、フロックが存在しない処理済液とに分離される。このように沈殿槽20を設けることで、フロックと処理済液とを分離することができる。
図20は、本発明の凝集剤の注入率決定装置が組み込まれた凝集装置のさらに別の実施形態を示す概略図である。図20に示される凝集装置では、接続配管55から第5の原液供給配管80が分岐され、第5の原液供給配管80に光学的測定装置3と、光学的測定装置3に原液を供給するための第5の供給装置81が配置される。第5の供給装置81は、例えば、ポンプ、またはバルブ、またはポンプとバルブの組み合わせである。それ以外の構成は、図18に示した実施形態と同様であるため、対応する構成要素には同じ符号を付すことで、その詳細な説明は省略する。
この実施形態では、まず、第1の供給装置7と第5の供給装置81とを動作させ、撹拌装置1で凝集剤と混合された原液を光学的測定装置3に供給する。回転体15の回転領域15Aの体積Va(図2(b)参照)の、原液の流量Fb[L/秒]に対する比の値は1.1〜10.2の範囲にある。光学的測定装置3から得られた光学的測定値は、上述したように、数値解析装置5に送られる。数値解析装置5は、光学的測定値を数値解析し、数値解析値を取得する。得られた数値解析値は、制御装置6に送られる。制御装置6は、上述したような方法で、数値解析値に基づいて凝集剤の適正な注入率を決定する。制御装置6により決定された注入率は、第1の凝集剤注入装置4と第2の凝集剤注入装置45に送られる。第1の凝集剤注入装置4と第2の凝集剤注入装置45は、決定された注入率で凝集剤を懸濁物質を含む原液に注入する。これにより、懸濁物質を含む原液に注入される凝集剤の注入率は、自動で制御される。
本実施形態では、第5の供給装置81により、撹拌装置2で凝集剤と撹拌された原液が昇圧されて、光学的測定装置3に供給される。したがって、光学的測定装置3の原液入口3Aを、撹拌装置2の原液出口2Aよりも高い位置に配置することができる。光学的測定装置3の原液出口3Bを、光学的測定装置3の原液入口3Aよりも高い位置に配置してもよい。
次いで、第5の供給装置81を停止させ、撹拌装置1を通った原液を凝集槽撹拌装置12に供給する。凝集槽撹拌装置12から排出される原液は、第2の排出配管46を通って脱水機14に供給され、脱水機14で、ろ液とケーキとに分離される。
図21は、本発明の凝集剤の注入率決定装置が組み込まれた凝集装置のさらに別の実施形態を示す概略図である。図21に示される凝集装置では、第1の凝集剤注入装置4から原液に供給される凝集剤が、原液供給配管18に供給される代わりに、撹拌装置1の撹拌槽2に供給される。それ以外の構成は、図20に示した実施形態と同様であるため、対応する構成要素には同じ符号を付すことで、その詳細な説明は省略する。
図22は、本発明の凝集剤の注入率決定装置が組み込まれた凝集装置のさらに別の実施形態を示す概略図である。図22に示される凝集装置では、第2の凝集剤注入装置45から原液に供給される凝集剤が、凝集槽撹拌装置12の凝集撹拌槽37に供給される代わりに、凝集槽撹拌装置12の上流側に配置される接続配管55に供給される。それ以外の構成は、図20に示した実施形態と同様であるため、対応する構成要素には同じ符号を付すことで、その詳細な説明は省略する。
図23は、本発明の凝集剤の注入率決定装置が組み込まれた凝集装置のさらに別の実施形態を示す概略図である。図23に示される凝集装置では、凝集槽撹拌装置12が省略され、撹拌装置1から延びる接続配管55は、脱水機14に直接接続されている。また、第2の凝集剤注入装置45から原液に供給される凝集剤は、接続配管55に供給される。この実施形態の脱水機14は、フロックを形成するための凝集槽機能を有する脱水機である。凝集槽機能を有する脱水機14としては、遠心脱水機が挙げられる。
図24は、本発明の凝集剤の注入率決定装置のさらに別の実施形態を示す概略図である。図24に示す凝集剤の注入率決定装置は、希釈液を貯留する希釈液貯槽85と、希釈液貯槽85に貯留された希釈液を撹拌装置1で撹拌された原液に所定の流量で供給する希釈液供給装置86と、を備える。希釈液貯槽85からは希釈液供給配管87が延びており、この希釈液供給配管87は、撹拌装置1と光学測定装置3の間の排出配管28に接続される。希釈液供給装置86は、希釈液供給配管87に配置される。それ以外の構成は、図10に示した実施形態と同様であるため、対応する構成要素には同じ符号を付すことで、その詳細な説明は省略する。
希釈液供給装置86は、撹拌装置1で撹拌された原液が光学測定装置3に供給される前に、該原液に希釈液を所定の流量で供給する装置である。希釈液供給装置86は、例えば、ポンプ、またはバルブ、またはポンプとバルブの組み合わせである。この凝集装置において、撹拌装置1で撹拌された原液に、希釈液貯槽85から希釈液供給装置86によって希釈液が供給される。希釈液によって希釈された原液は、光学的測定装置3に供給され、光学的測定装置3で光学的測定が実施される。
撹拌された原液を希釈液で希釈することによって、懸濁物質の濃度あるいはフロックの濃度を低減させることができる。懸濁物質の濃度が高い原液では、フロックが形成されたときの光学的測定値とフロックが形成されないときの光学的測定値に差が生じず、その結果、凝集剤の注入率の決定が困難な場合がある。例えば、光学的測定装置3で、懸濁物質の濃度が高い原液の透過光強度を測定する場合、凝集剤の注入率が適正でフロックが形成されても、フロック間の隙間がほとんど存在せず、図4(a)に示したように、透過光強度がほぼ一定になってしまう場合がある。これに対して、撹拌装置1で撹拌された原液を希釈液で希釈する場合、フロック間の隙間を増大させることができるため、フロックの隙間から光が透過し、図4(b)に示されるように、透過光強度のピークが複数個計測される。この結果、フロックが形成されたときの透過光強度とフロックが形成されないときの透過光強度に差が生じ、適正な注入率を決定できる。希釈液としては、純水、水道水、工業用水、地下水、各種排水処理の処理水、海水などを用いることができる。
図10乃至図23を参照して説明された実施形態の凝集剤の注入率決定装置に、図24に示される希釈液貯槽85と、希釈液供給装置86とを配置してもよい。この場合、希釈液貯槽85から延び、かつ希釈液供給装置86が配置される希釈液供給配管87は、撹拌装置1と光学的測定装置3の間の排出配管28、および/または撹拌装置60と光学的測定装置68の間の排出配管69に接続される。
図10から図24を用いて、凝集剤の注入率決定装置の実施形態を説明してきた。これらの実施形態において、撹拌槽2,61に供給される懸濁物質を含む原液に注入される凝集剤の注入率を変更するには、以下の方法が挙げられる。
供給装置7,65により供給される原液の流量を一定に制御した状態で、凝集剤注入装置4,66から原液に注入される凝集剤の流量を変更することで、撹拌槽2,61に供給される懸濁物質を含む原液に注入される凝集剤の注入率を変更することができる。あるいは、凝集剤注入装置4,66から注入される凝集剤の流量を一定に制御した状態で、供給装置7,65により供給される原液の流量を変更することにより、撹拌槽2,61に供給される懸濁物質を含む原液に注入される凝集剤の注入率を変更してもよい。あるいは、撹拌槽2,61に供給される懸濁物質を含む原液に注入される凝集剤の注入率を変更するために、供給装置7,65により供給される原液の流量と、凝集剤注入装置4,66から原液に注入される凝集剤の流量との両方を変更してもよい。
以下、本発明を下記実験結果に基づいてさらに詳述する。
まず、第1の実験について説明する。第1の実験の手順は以下の通りである。まず、懸濁物質を含む原液(汚泥)を撹拌槽に供給する(供給工程)。凝集剤を原液供給配管から撹拌槽に供給し、原液に凝集剤を注入する(注入工程)。注入工程で、凝集剤を撹拌槽に供給してもよい。凝集剤が注入された原液を撹拌することにより、原液と凝集剤とを混合する(撹拌工程)。撹拌された原液の透過光強度を測定し、光学的測定値を得る(光学的測定工程)。得られた透過光強度の数値解析値として、透過光強度の平均値、分散、標準偏差、ピーク面積を算出する(数値解析工程)。凝集剤の異なる注入率で供給工程、注入工程、撹拌工程、光学的測定工程、および数値解析工程を繰り返し、得られた複数の数値解析値を指標に、本発明による適正な凝集剤の注入率を決定する(注入率決定工程)。
第1の実験で用いた、懸濁物質を含む原液は、汚泥Aである。汚泥Aは、下水処理場の混合生汚泥(初沈汚泥と余剰汚泥との混合物)である。汚泥AのTS(Total Solids)は、30.3g/Lであった。TSとは、蒸発残留物のことであり、汚泥Aを105〜110℃で蒸発乾固したときに残留する物質の濃度である。測定方法は下水試験方法に準拠した。
第1の実験で用いた凝集剤は、カチオン性高分子凝集剤a(DAA系高分子凝集剤)である。凝集剤の溶液は、凝集剤を水に溶解して得た水溶液であり、凝集剤濃度とは、水溶液中の凝集剤の濃度の意味である。
第1の実験では、汚泥Aの流量Fbを0.015L/秒〜0.240L/秒の間で変化させることにより、回転領域の体積Vaの汚泥流量Fbに対する比Rを変化させた。すなわち、複数の異なる比Rで、汚泥Aにカチオン性高分子凝集剤aの溶液を注入して、複数の異なる比Rにおける凝集剤注入率をそれぞれ決定した。カチオン性高分子凝集剤aが注入された汚泥Aは、撹拌翼の回転速度が600min−1に設定された撹拌装置を用いて混合された。このときの、回転領域の体積Vaの汚泥流量Fbに対する比Rは、0.8〜13.5である。次いで、撹拌された汚泥Aの透過光強度を一定時間測定した。次に、得られた透過光強度のデータの平均値、分散、標準偏差、ピーク面積を算出した。これらの操作を複数の凝集剤注入率で行った。これらの数値解析値が最大値となるカチオン性高分子凝集剤aの注入率を本発明による適正な凝集剤注入率とした。
一方、凝集剤の適正な注入率の決定のために、ビーカテストを実施した。250mLの汚泥Aをビーカに採取し、所定量のカチオン性高分子凝集剤aの溶液を注入した(ステップ1)。次いで、カチオン性高分子凝集剤aが注入された汚泥Aを、撹拌翼の回転速度が100min−1に設定された撹拌装置を用いて撹拌した(ステップ2)。次いで、フロックの大きさ、および上澄み液の清澄性を目視で判定し、その結果を記録した。カチオン性高分子凝集剤aの注入率を変えて、ステップ1〜ステップ3を繰り返し、フロックの大きさと上澄み液の清澄性とを指標にして、カチオン性高分子凝集剤aの適正な注入率を決定した。実験結果を表1に示す。
Figure 0006674260
表1から分かるように、回転領域の体積Vaの汚泥流量Fbに対する比Rが、1.1〜10.2の範囲にある場合に、本発明によって決定されたカチオン性高分子凝集剤aの適正な注入率が、ビーカテストによって決定されたカチオン性高分子凝集剤aの適正な注入率と一致した。したがって、回転領域の体積Vaの汚泥流量Fbに対する比Rが、1.1〜10.2の範囲にある場合に、カチオン性高分子凝集剤aの適正な注入率を決定することができる。
次に、第2の実験について説明する。第2の実験の手順は以下の通りである。まず、懸濁物質を含む原液(汚泥)を撹拌槽に供給する(供給工程)。凝集剤を原液供給配管から撹拌槽に供給し、原液に凝集剤を注入する(注入工程)。注入工程で、凝集剤を撹拌槽に供給してもよい。凝集剤が注入された原液を撹拌することにより、原液と凝集剤とを混合する(撹拌工程)。撹拌された原液の透過光率を測定し、光学的測定値を得る(光学的測定工程)。得られた透過光率の数値解析値として、得られた透過光率のデータのうち、所定の閾値より大きいデータ数を算出した(数値解析工程)。凝集剤の異なる注入率で供給工程、注入工程、撹拌工程、光学的測定工程、および数値解析工程を繰り返し、得られた複数の数値解析値を指標に、本発明による凝集剤の適正な注入率を決定する(注入率決定工程)。
第2の実験で用いた、懸濁物質を含む原液は、汚泥Bである。汚泥Bは、し尿処理場の汚泥(生し尿と浄化槽汚泥との混合物)である。汚泥BのTS(Total Solids)は、9.2g/Lであった。TSとは、蒸発残留物のことであり、汚泥Aを105〜110℃で蒸発乾固したときに残留する物質の濃度である。測定方法は下水試験方法に準拠した。
第2の実験で用いた凝集剤は、カチオン性高分子凝集剤b(DAA系高分子凝集剤)である。凝集剤の溶液は、凝集剤を水に溶解して得た水溶液であり、凝集剤濃度とは、水溶液中の凝集剤の濃度の意味である。
第2の実験では、汚泥Bの流量Fbを0.015L/秒〜0.270L/秒の間で変化させることにより、回転領域の体積Vaの汚泥流量Fbに対する比Rを変化させた。すなわち、複数の異なる比Rで、汚泥Bにカチオン性高分子凝集剤bの溶液を注入して、複数の異なる比Rにおける凝集剤注入率をそれぞれ決定した。カチオン性高分子凝集剤bが注入された汚泥Bは、撹拌翼の回転速度が600min−1に設定された撹拌装置を用いて混合された。このときの、回転領域の体積Vaの汚泥流量Fbに対する比Rは、0.8〜13.7である。次いで、撹拌された汚泥Bの透過光率を一定時間測定した。次に、得られた透過光率のデータのうち、透過光率が4%より大きいデータ数を算出した。これらの操作を複数の凝集剤注入率で行った。これらの数値解析値が最大値となるカチオン性高分子凝集剤aの注入率を本発明による適正な凝集剤注入率とした。
一方、凝集剤の適正な注入率の決定のために、ビーカテストを実施した。250mLの汚泥Bをビーカに採取し、所定量のカチオン性高分子凝集剤bの溶液を注入した(ステップ1)。カチオン性高分子凝集剤bが注入された汚泥Bを、撹拌翼の回転速度が100min−1に設定された撹拌装置を用いて撹拌した(ステップ2)。フロックの大きさ、および上澄み液の清澄性を目視で判定し、その結果を記録した(ステップ3)。カチオン性高分子凝集剤bの注入率を変えて、ステップ1〜ステップ3を繰り返し、フロックの大きさと上澄み液の清澄性を指標にして、適正なカチオン性高分子凝集剤bの注入率を決定した。実験結果を表2に示す。
Figure 0006674260
表2から分かるように、回転領域の体積Vaの汚泥流量Fbに対する比Rが、1.1〜10.3の範囲にある場合に、本発明によって決定されたカチオン性高分子凝集剤bの注入率が、ビーカテストによって決定されたカチオン性高分子凝集剤bの適正な注入率と一致した。したがって、回転領域の体積Vaの汚泥流量Fbに対する比Rが、1.1〜10.2の範囲にある場合に、カチオン性高分子凝集剤bの適正な注入率を決定することができる。
次に、第3の実験について説明する。第3の実験の手順は以下の通りである。まず、懸濁物質を含む原液(汚泥)を撹拌槽に供給する(供給工程)。凝集剤を原液供給配管から撹拌槽に供給し、原液に凝集剤を注入する(注入工程)。注入工程で、凝集剤を撹拌槽に供給してもよい。凝集剤が注入された原液を撹拌することにより、原液と凝集剤とを混合する(撹拌工程)。撹拌された原液の透過光強度を測定し、光学的測定値を得る(光学的測定工程)。得られた透過光強度の数値解析値として、透過光強度の平均値、分散、標準偏差、ピーク面積を算出する(数値解析工程)。凝集剤の異なる注入率で供給工程、注入工程、撹拌工程、光学的測定工程、および数値解析工程を繰り返し、得られた複数の数値解析値を指標に、本発明による凝集剤の適正な注入率を決定する(注入率決定工程)。
第3の実験で用いた、懸濁物質を含む原液は、汚泥Cである。汚泥Cは、下水処理場の混合生汚泥(初沈汚泥と余剰汚泥との混合物)である。汚泥CのTS(Total Solids)は、26.6g/Lであった。TSとは、蒸発残留物のことであり、汚泥Cを105〜110℃で蒸発乾固したときに残留する物質の濃度である。測定方法は下水試験方法に準拠した。
第3の実験で用いた凝集剤は、カチオン性高分子凝集剤c(DAA系高分子凝集剤)である。凝集剤の溶液は、凝集剤を水に溶解して得た水溶液であり、凝集剤濃度とは、水溶液中の凝集剤の濃度の意味である。
第3の実験では、汚泥C(汚泥流量Fb:0.030L/秒)にカチオン性高分子凝集剤cの溶液を注入した。カチオン性高分子凝集剤cが注入された汚泥Cを、撹拌翼の回転速度が300min−1、400min−1、および500min−1に設定された撹拌装置を用いて混合した。このときの、回転領域の体積Vaの汚泥流量Fbに対する比Rは、6.8である。次いで、撹拌された汚泥Cの透過光強度を一定時間測定した。次いで、得られた透過光強度のデータの平均値、分散、標準偏差、ピーク面積を算出した。これらの操作を複数の凝集剤注入率で行った。これらの数値解析値が最大値となる凝集剤注入率を本発明による適正注入率とした。
一方、凝集剤の適正な注入率の決定のために、ビーカテストを実施した。250mLの汚泥Cをビーカに採取し、所定量のカチオン性高分子凝集剤cの溶液を注入した(ステップ1)。次いで、カチオン性高分子凝集剤cが注入された汚泥Cを、撹拌翼の回転速度が100min−1に設定された撹拌装置を用いて撹拌した(ステップ2)。次いで、フロックの大きさ、および上澄み液の清澄性を目視で判定し、その結果を記録した(ステップ3)。カチオン性高分子凝集剤cの注入率を変えて、ステップ1〜ステップ3を繰り返し、フロックの大きさと上澄み液の清澄性を指標にして、適正なカチオン性高分子凝集剤cの注入率を決定した。実験結果を表3に示す。
Figure 0006674260
表3から明らかなように、本発明によれば、撹拌翼の回転速度が300min−1であっても、汚泥Cを脱水可能に凝集することができるカチオン性高分子凝集剤cの注入率、すなわち、カチオン性高分子凝集剤cの適正な注入率を決定することができる。さらに、撹拌翼の回転速度が400min−1以上のときに、本発明によって決定されたカチオン性高分子凝集剤cの注入率が、ビーカテストによって決定されたカチオン性高分子凝集剤cのより適正な注入率と一致した。したがって、撹拌翼の回転速度が400min−1以上のときに、カチオン性高分子凝集剤cのより適正な注入率を正確に決定することができる。
次に、第4の実験について説明する。第4の実験の手順は以下の通りである。まず、懸濁物質を含む原液(汚泥)を撹拌槽に供給する(供給工程)。凝集剤を原液供給配管から撹拌槽に供給し、原液に凝集剤を注入する(注入工程)。注入工程で、凝集剤を撹拌槽に供給してもよい。凝集剤が注入された原液を撹拌することにより、原液と凝集剤とを混合する(撹拌工程)。撹拌された原液の透過光率を測定し、光学的測定値を得る(光学的測定工程)。得られた透過光率の数値解析値として、得られた透過光率のデータのうち、所定の閾値より大きいデータ数を算出する(数値解析工程)。凝集剤の異なる注入率で供給工程、注入工程、撹拌工程、光学的測定工程、および数値解析工程を繰り返し、得られた複数の数値解析値を指標に、本発明による凝集剤の適正な注入率を決定する(注入率決定工程)。
第4の実験で用いた、懸濁物質を含む原液は、汚泥Dである。汚泥Dは、し尿処理場の汚泥(生し尿と浄化槽汚泥との混合物)である。汚泥DのTS(Total Solids)は、9.6g/Lであった。TSとは、蒸発残留物のことであり、汚泥Dを105〜110℃で蒸発乾固したときに残留する物質の濃度である。測定方法は下水試験方法に準拠した。
第4の実験で用いた凝集剤は、カチオン性高分子凝集剤d(DAA系高分子凝集剤)である。凝集剤の溶液は、凝集剤を水に溶解して得た水溶液であり、凝集剤濃度とは、水溶液中の凝集剤の濃度の意味である。
第4の実験では、汚泥D(汚泥流量Fb:0.045L/秒)にカチオン性高分子凝集剤dの溶液を注入した。カチオン性高分子凝集剤dが注入された汚泥Dを、撹拌翼の回転速度が200min−1、400min−1、600min−1、および800min−1に設定された撹拌機を用いて混合した。このときの、回転領域の体積Vaの汚泥流量Fbに対する比Rは、4.6である。次いで、撹拌された汚泥Dの透過光率を一定時間測定した。次に、得られた透過光率のデータのうち、透過率が2%より大きいデータ数を算出した。これらの操作を複数の凝集剤注入率で行った。これらの数値解析値が最大値となる凝集剤注入率を本発明による適正注入率とした。
一方、凝集剤の適正な注入率の決定のために、ビーカテストを実施した。250mLの汚泥Dをビーカに採取し、所定量のカチオン性高分子凝集剤dの溶液を注入した(ステップ1)。次いで、カチオン性高分子凝集剤bが注入された汚泥Dを、撹拌翼の回転速度が100min−1に設定された撹拌装置を用いて撹拌した(ステップ2)。次いで、フロックの大きさ、および上澄み液の清澄性を目視で判定し、その結果を記録した(ステップ3)。カチオン性高分子凝集剤dの注入率を変えて、ステップ1〜ステップ3を繰り返し、フロックの大きさと上澄み液の清澄性を指標にして、適正なカチオン性高分子凝集剤dの注入率を決定した。実験結果を表4に示す。
Figure 0006674260
表4から明らかなように、本発明によれば、撹拌翼の回転速度が200min−1であっても、汚泥Dを脱水可能に凝集することができるカチオン性高分子凝集剤dの注入率、すなわち、カチオン性高分子凝集剤dの適正な注入率を決定することができる。さらに、撹拌翼の回転速度が400min−1以上のときに、本発明によって決定されたカチオン性高分子凝集剤dの注入率が、ビーカテストによって決定されたカチオン性高分子凝集剤cのより適正な注入率と一致した。したがって、撹拌翼の回転速度が400min−1以上のときに、カチオン性高分子凝集剤dのより適正な注入率を正確に決定することができる。
次に、第5の実験について説明する。第5の実験の手順は以下の通りである。まず、懸濁物質を含む原液(汚泥)を撹拌槽に供給する(供給工程)。凝集剤を原液供給配管から撹拌槽に供給し、原液に凝集剤を注入する(注入工程)。注入工程で、凝集剤を撹拌槽に供給してもよい。凝集剤が注入された原液を撹拌することにより、原液と凝集剤とを混合する(撹拌工程)。撹拌された原液の透過光強度を測定し、光学的測定値を得る(光学的測定工程)。得られた透過光強度の数値解析値として、透過光強度の平均値、分散、標準偏差、ピーク面積を算出する(数値解析工程)。凝集剤の異なる注入率で供給工程、注入工程、撹拌工程、光学的測定工程、および数値解析工程を繰り返し、得られた複数の数値解析値と適正な注入率との関係を検討する(注入率決定工程)。適正な注入率の決定には、凝集剤で凝集させた懸濁物質を含む原液を、脱水機で脱水し、得られた脱水ケーキの含水率を指標として用いた。
第5の実験で用いた、懸濁物質を含む原液は、汚泥Eである。汚泥Eは、下水処理場の嫌気性消化汚泥である。汚泥EのTS(Total Solids)は、13.2g/Lであった。TSとは、蒸発残留物のことであり、汚泥Eを105〜110℃で蒸発乾固したときに残留する物質の濃度である。測定方法は下水試験方法に準拠した。
第5の実験で用いた凝集剤は、カチオン性高分子凝集剤e(DAA系高分子凝集剤)である。凝集剤の溶液は、凝集剤を水に溶解して得た水溶液であり、凝集剤濃度とは、水溶液中の凝集剤の濃度の意味である。
第5の実験では、汚泥E(汚泥流量Fb:0.28L/秒)にカチオン性高分子凝集剤eの溶液を注入した。カチオン性高分子凝集剤eが注入された汚泥Eを、撹拌翼の回転速度が1000min−1に設定された撹拌装置(撹拌部容積0.8L)を用いて混合した。このときの、回転領域の体積Vaの汚泥流量Fbに対する比Rは、1.7である。次いで、撹拌された汚泥Eの透過光強度を一定時間測定した。次に、得られた透過光強度のデータの平均値、分散、標準偏差、ピーク面積を算出した。これらの操作を凝集剤の複数の注入率で行った。
一方、凝集剤の適正な注入率の決定のために、汚泥E(汚泥流量Fb:0.28L/秒)にカチオン性高分子凝集剤eの溶液を注入した。カチオン性高分子凝集剤eが注入された汚泥Eを、撹拌翼の回転速度が33min−1に設定された撹拌装置(撹拌槽容積300L)を用いて混合し、フロックを形成させた。最後に、スクリュープレス脱水機により、フロックを含む汚泥Eを脱水し、得られた脱水ケーキの含水率(%)を測定した。これらの操作を複数の注入率で行った。第5の実験の結果を表5に示す。
Figure 0006674260
透過光強度の平均値、分散、標準偏差、ピーク面積のいずれも、凝集剤の注入率が1.1%(対TS)で最大値を取ることが分かる。一方、スクリュープレス脱水機の結果から、適正な注入率は、1.1%(対TS)であることが分かる。これらの結果から、透過光強度の平均値、分散、標準偏差、ピーク面積の最大値に基づいて、最もケーキ含水率を低減できる凝集剤の注入率を決定できることが分かった。より詳しくは、透過光強度の平均値、分散、標準偏差、ピーク面積の値が最大となる凝集剤注入率に基づいて、ケーキ含水率を低減できる凝集剤の注入率を決定できることが分かった。
次に、第6の実験について説明する。第2の実験の手順は以下の通りである。まず、懸濁物質を含む原液(汚泥)を撹拌槽に供給する(供給工程)。凝集剤を原液供給配管から撹拌槽に供給し、原液に凝集剤を注入する(注入工程)。注入工程で、凝集剤を撹拌槽に供給してもよい。凝集剤が注入された原液を撹拌することにより、原液と凝集剤とを混合する(撹拌工程)。撹拌された原液の透過光強度を測定し、光学的測定値を得る(光学的測定工程)。得られた透過光強度の数値解析値として、透過光強度の平均値、分散、標準偏差、ピーク面積を算出する(数値解析工程)。凝集剤の異なる注入率で供給工程、注入工程、撹拌工程、光学的測定工程、および数値解析工程を繰り返し、得られた複数の数値解析値と適正な注入率との関係を検討する(注入率決定工程)。適正な注入率の決定には、凝集剤で凝集させた懸濁物質を含む原液を、脱水機で脱水し、得られた脱水ケーキの含水率を指標として用いた。
第6の実験で用いた懸濁物質を含む原液は、汚泥Fであり、第5の実験で用いた汚泥Eとは異なる。汚泥Fは、下水処理場の混合生汚泥(初沈汚泥と余剰汚泥の混合物)である。汚泥FのTSは、14.2g/Lである。測定方法は下水試験方法に準拠した。
第6の実験で用いた凝集剤は、カチオン性高分子凝集剤f(DAA系高分子凝集剤)である。凝集剤の溶液は、凝集剤を水に溶解して得た水溶液であり、凝集剤濃度とは、水溶液中の凝集剤の濃度の意味である。
第6の実験では、汚泥F(汚泥流量Fb:0.42L/秒)にカチオン性高分子凝集剤fの溶液を注入した。カチオン性高分子凝集剤fが注入された汚泥Fを、撹拌翼の回転速度が500min−1に設定された撹拌装置(撹拌部容積0.8L)を用いて混合した。このときの、回転領域の体積Vaの汚泥流量Fbに対する比Rは、1.1である。次いで、撹拌された汚泥Fの透過光強度を一定時間測定した。次に、得られた透過光強度のデータの平均値、分散、標準偏差、ピーク面積を算出した。これらの操作を凝集剤の複数の注入率で行った。
一方、凝集剤の適正な注入率の決定のために、汚泥F(汚泥流量Fb:0.42L/秒)にカチオン性高分子凝集剤fの溶液を注入した。カチオン性高分子凝集剤fが注入された汚泥Fを、撹拌翼の回転速度が33min−1に設定された撹拌装置(撹拌槽容積300L)を用いて混合し、フロックを形成させた。最後に、スクリュープレス脱水機により、フロックを含む汚泥Fを脱水し、得られた脱水ケーキの含水率(%)を測定した。上記操作を凝集剤の複数の注入率で行った。第6の実験の結果を表6に示す。
Figure 0006674260
透過光強度の平均値、分散、標準偏差、ピーク面積のいずれも、凝集剤の注入率が0.70%(対TS)で最大値を取ることが分かる。一方、スクリュープレス脱水機の結果から、凝集剤注入率が0.70%(対TS)以下では、注入率が約0.1%増加するごとに、ケーキ含水率が大幅に低減することが分かる。これとは対照的に、凝集剤の注入率が0.70%(対TS)以上では、注入率が約0.1%増加しても、ケーキ含水率は低減するものの、ほとんど変わらないことが分かる。これらの結果から、透過光強度の平均値、分散、標準偏差、ピーク面積に基づいて、最も効率的な脱水が可能な凝集剤注入率を決定できることが分かった。より詳しくは、透過光強度の平均値、分散、標準偏差、ピーク面積の最大値に基づいて、最も効率的な脱水が可能な凝集剤の注入率を決定できることが分かった。
次に、第7の実験について説明する。第7の実験の手順は以下の通りである。まず、懸濁物質を含む原液(浄水処理の原水)を撹拌槽に供給する(供給工程)。凝集剤を原液供給配管から撹拌槽に供給し、原液に凝集剤を注入する(注入工程)。注入工程で、凝集剤を撹拌槽に供給してもよい。凝集剤が注入された原液を撹拌することにより、原液と凝集剤とを混合する(撹拌工程)。撹拌された原液のレーザ回折・散乱光を測定し、光学的測定値を得る(光学的測定工程)。得られたレーザ回折・散乱光のデータを数値解析して、フロックの平均フロック粒径を算出する(数値解析工程)。凝集剤の異なる注入率で供給工程、注入工程、撹拌工程、光学的測定工程、および数値解析工程を繰り返し、得られた複数の数値解析値と適正な注入率との関係を検討する(注入率決定工程)。適正な注入率の決定には、凝集剤で凝集させた懸濁物質を含む原液を、凝集沈殿処理し、得られた処理水の水質を指標として用いた。
第7の実験で用いた、懸濁物質を含む原液は、浄水処理の原水Gである。原水Gの濁度と色度は、それぞれ、50度と80度である。測定方法は上水試験方法に準拠した。
第7の実験で用いた凝集剤は、ポリ塩化アルミニウムであり、凝集剤の溶液として、10wt%(酸化アルミニウム換算)のポリ塩化アルミニウム水溶液を使用した。凝集剤濃度とは、水溶液中の凝集剤の濃度の意味である。
第7の実験では、浄水処理の原水G(原水流量Fb:0.28L/秒)にポリ塩化アルミニウムの水溶液を注入した。ポリ塩化アルミニウムの水溶液が注入された原水Gを、撹拌翼の回転速度が500min−1に設定された撹拌装置(撹拌部容積0.8L)を用いて混合した。このときの、回転領域の体積Vaの汚泥流量Fbに対する比Rは、1.1である。次いで、撹拌された原水Gのレーザ回折・散乱光を一定時間測定した。次に、得られたレーザ回折・散乱光のデータから平均フロック粒径を算出した。これらの操作を凝集剤の複数の注入率で行った。
一方、凝集剤の適正な注入率の決定のために、ジャーテストを行った。ジャーテストでは、500mLの原水Gにポリ塩化アルミニウムの水溶液を注入し、撹拌する際の回転速度を130min−1に設定して、原水Gとポリ塩化アルミニウムの水溶液とを3分間混合した。さらに、撹拌する際の回転速度を30min−1に設定して、原水Gとポリ塩化アルミニウムの水溶液とを10分間混合し、フロックを形成させた。最後に、5分間静置し、処理水として上澄み液を採取し、濁度と色度とを測定した。上記操作を凝集剤の複数の注入率で行った。
第7の実験の結果を表7と図25に示す。図25は、第7の実験の結果をプロットしたグラフである。図25において、横軸は、凝集剤の注入率を表し、縦軸は、平均フロック粒径を表す。また、図25には、実験結果から求めた近似曲線(3次曲線)を示した。
Figure 0006674260
図25の近似曲線から、平均フロック粒径は、凝集剤の注入率が50〜60mg/L(10wt%水溶液換算)で最大値を取ることが分かる。一方、ジャーテストの結果から、適正な注入率は、60mg/L(10wt%水溶液換算)であることが分かる。これらの結果から、平均フロック粒径に基づいて、最も良好な処理水を得られる凝集剤の注入率を決定できることが分かった。より詳しくは、平均フロック粒径が最大となる凝集剤の注入率に基づいて、最も良好な処理水質を得られる注入率を決定できることが分かった。
次に、第8の実験について説明する。第8の実験の手順は以下の通りである。まず、懸濁物質を含む原液(汚泥)を撹拌槽に供給する(供給工程)。凝集剤を原液供給配管から撹拌槽に供給し、原液に凝集剤を注入する(注入工程)。注入工程で、凝集剤を撹拌槽に供給してもよい。凝集剤が注入された原液を撹拌することにより、原液と凝集剤とを混合する(撹拌工程)。撹拌された汚泥を希釈液で希釈する(希釈工程)。希釈された原液の透過光強度を測定し、光学的測定値を得る(光学的測定工程)。得られた透過光強度の数値解析値として、透過光強度の分散、標準偏差、ピーク面積を算出した(数値解析工程)。凝集剤の異なる注入率で供給工程、注入工程、撹拌工程、希釈工程、光学的測定工程、および数値解析工程を繰り返し、得られた複数の数値解析値と適正な注入率との関係を検討する(注入率決定工程)。適正な注入率の決定には、凝集剤で凝集させた懸濁物質を含む原液を、脱水機で脱水し、得られた脱水ケーキの含水率を指標として用いた。
第8の実験で用いた、懸濁物質を含む原液は、汚泥Hである。汚泥Hは、下水処理場の混合生汚泥(初沈汚泥と余剰汚泥の混合物)である。汚泥HのTSは、25.4.g/Lであった。測定方法は下水試験方法に準拠した。
第8の実験で用いた凝集剤は、カチオン性高分子凝集剤h(DAA系高分子凝集剤)である。凝集剤の溶液は、凝集剤を水に溶解して得た水溶液であり、凝集剤濃度とは、水溶液中の凝集剤の濃度の意味である。
第8の実験では、汚泥H(汚泥流量Fb:0.3L/秒)にカチオン性高分子凝集剤hの溶液を注入した。カチオン性高分子凝集剤hが注入された汚泥Hを、撹拌翼の回転速度が600min−1に設定された撹拌装置(撹拌部容積0.5L)を用いて混合した。このときの、回転領域の体積Vaの汚泥流量Fbに対する比Rは、6.8である。次に、撹拌された汚泥Hを希釈液(希釈液流量:0.04L/秒)で希釈した。希釈液には、下水処理水の砂ろ過水を使用した。次に、希釈された汚泥Hの透過光強度を一定時間測定した。次に、得られた透過光強度のデータの分散、標準偏差、ピーク面積を算出した。これらの操作を凝集剤の複数の注入率で行った。
一方、凝集剤の適正な注入率の決定のために、250mLの汚泥Hにカチオン性高分子凝集剤hの溶液を注入した。カチオン性高分子凝集剤hが注入された汚泥Hを、撹拌翼の回転速度が33min−1に設定された撹拌装置(撹拌槽容積300L)を用いて混合し、フロックを形成させた。最後に、ベルトプレス脱水機により、フロックを含む汚泥Hを脱水し、得られた脱水ケーキの含水率(%)を測定した。これらの操作を凝集剤の複数の注入率で行った。第8の実験の結果を表8に示す。
Figure 0006674260
透過光強度の分散、標準偏差、ピーク面積のいずれも、凝集剤の注入率が0.58%(対TS)で最大値を取ることが分かる。一方、ベルトプレス脱水機の結果から、凝集剤注入率が0.58%(対TS)以下では、注入率が増加するとケーキ含水率が大幅に低減することが分かる。これとは対照的に、凝集剤注入率が0.58%(対TS)以上では、注入率が増加してもケーキ含水率がほとんど変わらないことが分かる。これらの結果から、透過光強度の分散、標準偏差、ピーク面積の最大値に基づいて、最も効率的な脱水が可能な凝集剤注入率を決定できることが分かった。より詳しくは、透過光強度の分散、標準偏差、ピーク面積の値が最大となる凝集剤注入率に基づいて、最も効率的な脱水が可能な凝集剤の注入率を決定できることが分かった。
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。
1 第1の撹拌装置
2 第1の撹拌槽
3 第1の光学的測定装置
4 第1の凝集剤注入装置
5 第1の数値解析装置
6 第1の制御装置
7 第1の供給装置
8 第1の撹拌翼
9 第1の駆動源
10 原液貯槽
11 第1の凝集剤貯槽
12 第1の凝集槽撹拌装置
14 脱水機
15 回転体
17 回転軸
18 原液供給配管(原液供給元管)
19 第1の原液供給配管
20 沈殿槽
21 第2の凝集槽撹拌装置
23 第2の凝集剤貯槽
25 第2の原液供給配管
26 第1の凝集剤供給配管
28 第1の排出配管
35 第2の供給装置
36 第2の凝集剤供給配管
37 第1の凝集撹拌槽
38 第1の凝集槽撹拌翼
39 第1の凝集槽駆動源
40 透明窓
41 光源
42 光検出器
43 光源
44 光検出器
45 第2の凝集剤注入装置
46 第2の排出配管
47 第2の凝集撹拌槽
48 第2の凝集槽撹拌翼
49 第2の凝集槽駆動源
50 データロガー
52 第3の凝集剤供給配管
53 第3の凝集剤注入装置
55 接続配管
56 第3の供給装置
57 第3の原液供給配管
58 第4の凝集剤供給配管
60 第2の撹拌装置
61 第2の撹拌槽
62 第2の撹拌翼
63 第2の駆動源
64 第2の回転軸
65 第4の供給装置
66 第4の凝集剤注入装置
68 第2の光学的測定装置
69 第3の排出配管
70 第2の数値解析装置
71 第2の制御装置
80 第5の供給配管
81 第5の供給装置
85 希釈液貯槽
86 希釈液供給装置
87 希釈液供給配管

Claims (5)

  1. 撹拌槽と、駆動源により回転される回転軸と、前記回転軸に連結され、前記撹拌槽内に配置された撹拌翼と、前記撹拌槽に連結された原液供給配管とを備えた撹拌装置を用いて、懸濁物質を含む原液を凝集させる凝集剤の注入率決定方法において、
    前記原液を前記原液供給配管から前記撹拌槽に供給する供給工程と、
    前記撹拌槽又は前記原液供給配管に凝集剤を供給し、前記原液に凝集剤を注入する注入工程と、
    前記撹拌翼を回転させて前記凝集剤が注入された原液を撹拌する撹拌工程と、
    前記撹拌された原液に光を照射して光学的測定値を得る光学的測定工程と、
    前記光学的測定値を数値解析して、数値解析値を得る数値解析工程と、
    前記数値解析値に基づいて、前記凝集剤の適正な注入率を決定する注入率決定工程と、を含み、
    前記撹拌翼と前記撹拌槽内の回転軸とからなる回転体が回転することによって形成される回転領域の体積をVa[L]とし、前記撹拌槽を通過する前記原液の流量をFb[L/秒]とすると、体積Vaの流量Fbに対する比の値は1.1〜10.2の範囲にあり、
    前記回転領域の体積Vaは、0.1L〜2.0Lの範囲にあり、
    前記撹拌翼の回転速度を400min −1 以上に設定することを特徴とする凝集剤の注入率決定方法。
  2. 前記注入率決定工程は、
    前記数値解析値に基づいて、前記凝集剤の注入率が適正であるか否かを決定し、
    前記凝集剤の適正な注入率が決定されるまで、前記供給工程、前記注入工程、前記撹拌工程、前記光学的測定工程、および前記数値解析工程を、前記注入率を変えながら繰り返す工程であることを特徴とする請求項1に記載の凝集剤の注入率決定方法。
  3. 撹拌槽と、駆動源により回転される回転軸と、前記回転軸に連結され、前記撹拌槽内に配置された撹拌翼と、前記撹拌槽に連結された原液供給配管とを備え、凝集剤が注入された懸濁物質を含む原液を撹拌する撹拌装置と、
    前記原液を前記撹拌槽に供給する供給装置と、
    前記撹拌槽又は前記原液供給配管に凝集剤を供給し、原液に凝集剤を注入する注入装置と、
    前記撹拌された原液に光を照射して光学的測定値を得る光学的測定装置と、
    前記光学的測定値を数値解析して、数値解析値を得る数値解析装置と、
    前記数値解析値に基づいて、前記凝集剤の適正な注入率を決定する制御装置と、を備え、
    前記撹拌翼と前記撹拌槽内の回転軸とからなる回転体が回転することによって形成される回転領域の体積をVa[L]とし、前記撹拌槽を通過する前記原液の流量をFb[L/秒]とすると、体積Vaの流量Fbに対する比の値は1.1〜10.2の範囲にあり、
    前記回転領域の体積Vaは、0.1L〜2.0Lの範囲にあり、
    前記撹拌翼の回転速度を400min −1 以上に設定することを特徴とする凝集剤の注入率決定装置。
  4. 前記光学的測定装置の原液入口が前記撹拌装置の原液出口よりも高い位置にあることを特徴とする請求項に記載の凝集剤の注入率決定装置。
  5. 前記制御装置は、
    前記数値解析値に基づいて、前記凝集剤の注入率が適正であるか否かを決定し、
    前記凝集剤の適正な注入率が決定されるまで、前記凝集剤注入装置および前記供給装置のうちのいずれか一方または両方と、前記撹拌装置、前記光学的測定装置、および前記数値解析装置を操作して、前記撹拌槽への原液の供給、前記原液への凝集剤の注入、前記原液の撹拌、前記光学的測定値の取得、および前記数値解析値の取得を、前記注入率を変えながら繰り返すことを特徴とする請求項3または4に記載の凝集剤の注入率決定装置。
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