JP2015054284A - 水処理システム - Google Patents

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Abstract

【課題】凝集剤及び凝集助剤の添加量を適切に制御でき、処理後の水質を安定的に維持することができる水処理システムを提供する。【解決手段】水処理システムは、原水に凝集剤及び/又は凝集助剤を加える凝集剤注入装置40等と、凝集剤及び/又は凝集助剤が注入された原水にフロックを形成させる反応槽20等と、形成されたフロックの強度を測定するフロック強度測定装置80と、を備えている。又、水処理システムは、計測されたフロックの強度の値に基づいて凝集剤及び/又は凝集助剤の過不足を算出する注入量算出手段と、注入量算出手段の算出結果に基づき、フロックの強度が所定値に維持されるよう、凝集剤及び/又は凝集助剤の注入量を調整する注入量調整手段と、を備えている。【選択図】 図1

Description

本発明の実施形態は、原水にフロックを形成させる凝集剤や凝集助剤を注入し、形成されたフロックを原水から分離して浄化させる水処理システムに関する。
浄水場や下水処理場、排水処理設備などでは、固液を分離すること、例えば処理対象の原水に含まれる懸濁物質の除去や、汚泥の脱水のために、凝集処理が広く用いられている。この凝集処理は、原水に凝集剤や凝集助剤を添加・混合してフロックと呼ばれる凝集物を形成させ、その粒子を大きくすることで沈降速度を高めて固液分離を促進したり、あるいは脱水機に掛けられる形状にして、分離した後の固体を処理するために行われる。
一般的に、原水の固形物濃度が変化すると、凝集処理において適切とされる凝集剤注入率も変化する。そのため、フロックの粒径分布を光学センサで計測し、計測したフロック粒径分布から被処理水中のフロック直径及びフロック数等を求め、水質の変化に凝集剤や凝集助剤の注入率を対応させるようにしている。
特開2008−55299号公報
水処理システムにおいて、安定的な処理を行い、処理後の水質を維持することは、重要な課題である。しかし実際には、プラントの稼働状態や環境要因から、処理すべき原水の水質が安定せず、結果処理水の水質を維持することに多くの労力を費やしている。
本発明が解決しようとする課題は、凝集剤及び凝集助剤の添加量を適切に制御でき、処理後の水質を安定的に維持することができる水処理システムを提供する。
実施形態にかかる水処理システムは、次のように構成されている。原水に凝集剤及び/又は凝集助剤を加える薬剤注入装置と、薬剤注入装置により凝集剤及び/又は凝集助剤が注入された原水にフロックを形成させるフロック形成装置と、フロック形成装置で形成されたフロックの強度を測定するフロック強度測定装置と、フロック強度測定装置で計測されたフロックの強度の値に基づいて前記凝集剤及び/又は凝集助剤の過不足を算出する注入量算出手段と、注入量算出手段の算出結果に基づき、フロックの強度が所定値に維持されるよう、薬剤注入装置における凝集剤及び/又は凝集助剤の注入量を調整する注入量調整手段と、を備えている。
図1は、各実施形態に係る水処理システムを実行させるための水処理装置を示す概略ブロック図である。 図2は、図1のシステムに組み込まれたフロック強度測定装置を示す概略ブロック図である。 図3は、図2のフロック強度測定装置に組み込まれたせん断力発生装置を示す概略図である。 図4は、第2実施形態にかかる第2水処理システムの制御を示す流れ図である。 図5は、第6実施形態にかかる第6水処理システムの水処理装置の一部を示す概略ブロック図である。
以下、図面を参照しながら各実施形態の水処理システムついて説明する。各実施形態の水処理システムついて説明に先立ち、各実施形態に共通の水処理装置について説明する。
図1に、水処理システムにかかる水処理装置100の全体の構成を示す。
水処理装置100は、各実施形態の水処理システムにおける装置類の全てを含んでいる。そのため、水処理装置100には、各実施形態の水処理システムにおいて説明に用いられない装置類が含まれていることがある。個々の実施形態の説明において説明がなされていない装置等は、その実施形態においては設けられていない、もしくは機能しないものとする。
図1に示すように水処理装置100は、第1送水ポンプ12と、原水槽14と、第2送水ポンプ16と、混和槽18と、反応槽20と、フロック形成槽22と、分離槽24と、汚泥貯留槽26と、制御装置30と、を備えている。第1送水ポンプ12から分離槽24までの各部材は、直列に連結されている。この連結された流れを第1流路28として説明する。第1送水ポンプ12から分離槽24に向かう方向が、第1流路28の順方向である。以下、水処理装置100について、第1流路28の順方向に従い、各槽ごとの上流と下流を定めて説明する。
第1送水ポンプ12は、原水槽14の上流に設けられ、モータドライバを介して制御装置30に接続し、制御装置30からの指示により作動する。第1送水ポンプ12は、固形物を含む処理すべき原水を河川等から取水し、原水槽14に送水する。原水槽14は、所定の容量を有する収納容器であり、第1送水ポンプ12から送水されてきた原水を貯留する。
原水槽14の下流には、第2送水ポンプ16が設けられている。第2送水ポンプ16には、モータドライバ38が設けられている。第2送水ポンプ16は、制御装置30の指示に従い作動し、原水槽14に貯留されている原水を混和槽18に送る。モータドライバ38には、回転数調整機構(インバータ)が設けられている。回転数調整機構により、第2送水ポンプ16は、モータドライバ38を介して任意の回転速度で駆動される。
原水槽14と第2送水ポンプ16の間には、pH調整剤注入装置32が接続されている。pH調整剤注入装置32は、pH調整剤注入ポンプ34と、pH調整剤を収納した収納容器36とを備えている。pH調整剤注入装置32は、制御装置30からの指示に従い、pH調整剤注入ポンプ34が作動し、収納容器36からpH調整剤を第1流路28内に注入する。
第2送水ポンプ16の下流には、混和槽18が設けられている。第2送水ポンプ16と混和槽18の間には、薬剤注入装置としての凝集剤注入装置40が接続されている。凝集剤注入装置40は、凝集剤注入ポンプ42と、凝集剤を収納した収納容器44とを備えている。
凝集剤注入装置40は、制御装置30からの指示に従い、凝集剤注入ポンプ42が作動し、収納容器44から凝集剤を第1流路28内に注入する。凝集剤は、例えば、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸第2鉄あるいは硫酸アルミニウム、鉄系などの無機系凝集剤を用いることができる。凝集剤は、水中の懸濁物質と結合して細かなフロックとなる。
混和槽18は、凝集剤が注入された原水を収容する容器体である。混和槽18は内部に、混和槽攪拌器としてのモータ48で回転可能に設けられた攪拌羽根46を備えている。モータ48は、モータドライバを介して制御装置30により駆動される。又、モータ48は、調整機構により回転数が調整される。混和槽18では、凝集剤注入装置40から注入された凝集剤と原水とを攪拌羽根46で攪拌する。
混和槽18の下流には、反応槽20が設けられている。混和槽18と反応槽20の間には、もう一つの薬剤注入装置としての凝集助剤注入装置50が接続されている。凝集助剤注入装置50は、凝集助剤注入ポンプ52と、凝集助剤を収納した収納容器54とを備えている。凝集助剤注入装置50は、制御装置30からの指示に従い、凝集助剤注入ポンプ52が作動し、収納容器54から凝集助剤を第1流路28内に注入する。
凝集助剤は、例えば、有機系高分子凝集剤を用いることができる。凝集助剤は、細かなフロックの粒を含んだ原水に混入して攪拌すると、フロックの粒をまとめて、ある程度の大きさのフロックに成長させる。水処理装置100では、凝集剤注入装置40と凝集助剤注入装置50とにより薬剤注入装置を構成している。
反応槽20は、凝集助剤と凝集剤とが注入された原水を収容する容器体である。反応槽20は内部に、反応槽攪拌器としてのモータ58で回転可能に設けられた攪拌羽根56を備えている。又、モータ58は、調整機構により回転数が調整される。反応槽20では、凝集剤を含んだ原水に、凝集助剤注入装置50から注入された凝集助剤が混入され、凝集剤と凝集助剤とを含んだ原水が攪拌される。
反応槽20の下流には、フロック形成槽22が設けられている。フロック形成槽22は、反応槽20から送り込まれた処理中の原水を緩やかに攪拌する。このことによって、原水に含まれているある程度の大きさのフロック同士が、緩やかに衝突して凝集され、比較的大きな粒径のフロックが形成される。水処理装置100では、混和槽18と反応槽20とフロック形成槽22とにより、フロック形成装置を構成している。
フロック形成槽22の下流には、分離槽24が設けられている。分離槽24には、フロック形成槽22から比較的大きな粒径のフロックを含む処理中の原水が送り込まれる。分離槽24では、このフロックが重力により沈殿し、フロックの上層に比較的きれいな水(処理水)が作られる。尚、処理水とフロックとの分離は重力でなく、遠心分離機(サイクロン)によるものであっても良い。
分離槽24には、処理水を流出させる処理水配管60と汚泥を排出する汚泥配管62が設けられている。汚泥配管62は、汚泥貯留槽26に接続している。汚泥貯留槽26は、汚泥を貯留する容器体で、脱水機70に接続している。脱水機70は、汚泥に含まれている水分を分離させる。固形物である沈降したフロックは脱水機70で脱水された後、乾燥汚泥として処分される。又、凝集助剤は、固形物がある程度高濃度になった汚泥などの脱水のためにも用いられる。水処理装置100は、更に、フロック強度測定装置80を備えている。
フロック強度測定装置80について、図2を用いて説明する。フロック強度測定装置80は、流入管82と、サンプリングポンプ84と、粒径測定装置85と、サンプリングポンプ84を制御するためのサンプリング制御装置86と、せん断力発生装置90と、フロック破損判定装置92と、フロック評価センサ94と、流出管96とを備えている。
サンプリングポンプ84は、サンプリング制御装置86の指示に従い作動し、フロックを含む処理中の原水をサンプルとして採取する(以下、「対象水」と称する)。本実施例では流入管82は、フロック形成槽22と分離槽24との間の流路に接続されており、対象水はフロック形成槽22から流出した処理中の原水である。
サンプリング制御装置86は、サンプリングポンプ84が対象水をサンプリングするタイミングや、対象水をせん断力発生装置90へ送り込む量などをコントロールする。高いフロック強度を測定する場合には、せん断力発生装置90においてフロックにせん断力を与える時間が長く必要となる。その際、サンプリング制御装置86は、サンプリングを一時停止し、半連続で判定するようサンプリングの時間を制御する。また、サンプルの一部からフロック強度を判断してもよい。
せん断力発生装置は、サンプリングした対象水にせん断力を与えるもので、本実施例では回転円柱型せん断力発生手段を用いる。
図3に、せん断力発生装置90を示す。せん断力発生装置90は、円筒容器102と、円筒容器102の内部に設けられた回転体104とを備え、モータ106に回転体104が接続されている。
円筒容器102の底壁108には、サンプリングポンプ84からの配管が接続されている。底壁108の周縁には、周壁110が設けられ、周壁110の途中部位には、送水管112が取り付けられている。
送水管112は、フロック破損判定装置92に接続され、円筒容器102内に送り込まれた対象水を、一時滞留させた後、フロック破損判定装置92へ送り出す。すなわち、サンプリングポンプ84により円筒容器102内に送り込まれた対象水は、回転体104の回転によって所定の大きさのせん断力を受ける。せん断力が与えられたフロックは凝集が崩れ微細化する。そして、所定の時間滞留した後、送水管112を介して円筒容器102から流出(オーバーフロー)し、フロック破損判定装置92へと送られる。
尚、図3には図示していないが、円筒容器102の底壁108にドレンを接続し、対象水を定期的に排出するようにしても良い。この場合、ドレンによる対象水の排出先は、例えば、フロック形成槽22である。
フロック破損判定装置92は、フロックが微細化されている状態を測定するため、フロックの粒径分布を、連続的にモニタする方法を用いて判定する。すなわち、フロック破損判定装置92は、粒径測定装置85とフロック破損判定装置92とで、せん断力発生装置90の前後のフロックの粒径分布を測定し、分布曲線のピーク値や中央値の位置のずれから優位な破損が行われているかを判断する。フロック破損判定装置92には、フロック評価センサ94が備えられ、フロックの評価結果(破損の有無)を信号として、フロック評価センサ94を介して制御装置30に送信する。
尚、流路を切り替えることにより、粒径測定装置85とフロック破損判定装置92を1台で兼用してもよい。又、流出管96は、図1ではフロック形成槽22と反応槽20との間に接続させ、凝集プロセスのサンプリングしたポイントと異なる位置に流入させているが、凝集プロセスに応じて原水側に戻しても、サンプリングしたポイントの後段に流入させてもよい。
制御装置30のメモリ31には、予め計算用のプログラムが記憶されている。計算プログラムは、フロックの評価結果から、凝集剤及び凝集助剤の注入量を算出する。尚、計算プログラムでなく、換算表等であってもよい。又、メモリ31には、フロック評価センサ94から、フロックが強固であるという評価結果を受けると、凝集剤注入装置40や凝集助剤注入装置50に、凝集剤や凝集助剤の注入量を低減させる指示を出すプログラムと、反対にフロックが弱いという評価結果を受けると、凝集剤注入装置40や凝集助剤注入装置50に、凝集剤や凝集助剤の注入量を増加させる指示を出すプログラムが記憶されている。これらにより、制御装置30に、注入量算出手段と注入量調整手段とが構成されている。
<第1実施形態>
次に、第1実施形態にかかる第1水処理システムについて説明する。第1水処理システムは、水処理が開始されると、制御装置30が、第1送水ポンプ12を作動させ、処理すべき対象である原水を、原水槽14に一旦貯留させる。制御装置30は、第2送水ポンプ16を作動させ、原水槽14に貯留された固形部を含む原水を、フロック形成装置へ送る。その過程で、原水は、凝集剤注入装置40より凝集剤が添加された後、混和槽18へ送られ混合される。
更に原水は、凝集助剤注入装置50より凝集助剤が添加され反応槽20へ送られる。反応槽20で攪拌された後、原水はフロック形成槽22へ送られ、緩やかな攪拌を受け固形物同士が衝突し凝集フロックを成長させていく。ここで作られるフロックの壊れ難さ、すなわち、フロックの硬さ(以下、このようなフロックの物性をフロック強度と称する)は、例えば、凝集剤や凝集助剤の添加率に応じて変化する。
フロックが成長した状態で、次の分離槽24へ送られる。分離槽24では、重力等の力を受けてフロックが分離され、清澄な処理水が分離槽24から排出される。
フロック強度測定装置80は、フロックが成長したフロック形成槽22における原水の一部をサンプリングしてフロック強度測定装置80内へ取り込みフロック強度を測定する。せん断力に対する強度をフロック強度としてモニタすることで、制御装置30は、凝集剤や凝集助剤の注入率等凝集条件が適切か否かを判断する。凝集剤や凝集助剤の注入率等凝集条件が適切か否かの判断結果に基づき、制御装置30は、凝集剤及び凝集助剤の注入量を算出し、薬剤注入装置における注入量を調整する。
第1水処理システムでは、このように、凝集剤及び凝集助剤の注入量を、フロック強度の判定結果から適切に制御でき、処理水の水質を安定的に維持することができる。また、凝集剤及び凝集助剤の注入量を適切に保つことができ、ランニングコストを低減できる。更には、凝集操作は多くのノウハウを必要とするため、技術継承が困難であるが、フロック強度測定装置を用いて凝集プロセスを制御可能とすることで、運転管理を容易にすることができる。
<第2実施形態>
第2実施形態にかかる第2水処理システムについて説明する。第2水処理システムは、第1実施形態の第1水処理システムと、原水槽14に設けられた原水センサ15を用いる点が異なっている。原水センサ15は、原水槽14に貯留されている原水の水質を検出し、その信号を制御装置30に送出する。
原水センサ15は、濁度計や色度計、MLSS計、光センサ、粒子カウンターといった原水中の固形物を測定するもの、pH計、導電率計、ORP計等の排水の性状を総合的に測定するもの、例えば硝酸などの特定のイオンを含む原水である場合に、特定のイオンを測定する電極等である。すなわち、原水の水質変動を捉えられるセンサであれば良い。また、原水センサ15からの測定値を、フロック強度測定装置80の起動条件としても良い。
第2実施形態に係る第2水処理システムでは、制御装置30は、フロック評価センサ94の評価結果と、原水センサ1からの測定結果を併せて制御を行う。第2水処理システムで行う制御の説明として、図4にフローチャートを示す。
フロック強度測定装置80は、連続的、あるいは間欠的に用いられる。間欠に用いる場合の起動条件は、タイマー等を用いた時間的条件でも、配管の一部を分岐して透明にし、目視で水質が変化したことを確認するような手動条件であっても良い。
フロック強度測定装置80が起動した後(S−1)、フロック評価センサ94から信号が得られ、判定結果が良好(フロック破損無)(S−2でYES)ならば、制御装置30は、制御を終了(エンド)とする。
判定結果が不良(フロック破損有)(S−2でNO)ならば、制御装置30は、原水センサ15の測定値αを読み取る(S−3)。原水センサ15からの測定値αが閾値よりも小さい場合(S−4でYESのとき)、原水の水質が変動して処理すべき対象物質濃度が小さくなったことを表している。そのため、凝集剤及び凝集助剤が過注入となっていると判断し、制御装置30は、凝集剤及び凝集助剤注入ポンプ42、52に信号を送って注入量を減らす(S−5)。
原水センサ15の測定値αが閾値よりも小さくない場合(S−4でNOのとき)、ステップ6(S−6)に進む。ステップ6で、測定値αが閾値よりも大きい場合(S−6でYES)、処理すべき対象物質濃度が大きくなったことを表している。そのため、凝集剤及び凝集助剤が注入不足であると判断し、制御装置30は、凝集剤及び凝集助剤注入ポンプに信号を送って注入量を増やす(S−7)。凝集剤と凝集助剤の注入量の増減は同時に行われなく、一方ずつ制御しても良い。
ステップ6で、測定値αが閾値よりも大きくない場合(S−6でNO)、すなわち、測定値αが閾値と同等であった場合(S−8)、原水の水質変動はないことが想定される。この場合は、配管等の閉塞や機器トラブルといった別の要因が考えられるため、警報を発する(S−9)。
第2水処理システムによれば、フロック評価センサ94の判定結果と、原水センサ15の測定結果を併せて、凝集剤及び凝集助剤の注入量の制御を行うので、凝集剤及び凝集助剤の注入量を適切に制御でき、処理水の水質を安定的に維持することができる。
<第3実施形態>
第3実施形態にかかる第3水処理システムを説明する。第3実施形態の水処理システムにおいて第2実施形態の水処理システムと異なる点は、第2送水ポンプ16のモータドライバ38に、流量を調整できる回転数調整機構が備えられていることである。フロック評価センサ94と、原水センサ15とから信号を受け取った制御装置30は、モータドライバ38へ、第2送水ポンプ16の流量を調整する信号を送り出す。
この処置は、凝集剤注入ポンプ42や凝集助剤注入ポンプ52の注入量制御が水質の変動に対応しきれない場合などに用いることができる。第2送水ポンプ16の送水量を増減させることで、凝集剤及び凝集助剤ポンプの注入量をほぼ一定量としても、注入率(注入濃度)を変化させることができ、処理水の水質を安定化させることができる。
<第4実施形態>
第4実施形態にかかる第4水処理システムを説明する。第4水処理システムにおいて、第3水処理システムと異なる点は、混和槽18と反応槽20の、それぞれのモータ48、58のモータドライバに制御装置30から速度調整用の制御信号が送られている点である。
一般的に、凝集剤や凝集助剤と処理対象水とを撹拌する撹拌強度は、フロック形成を左右する重要な要因であることが知られている。原水の水質が変動し、凝集剤及び凝集助剤の注入量が変化した場合や、第2送水ポンプ16の制御によって送水量が変化した場合には、混和槽18と反応槽20における撹拌強度を適切に調整する必要がある。
フロック強度の測定結果から、凝集剤や凝集助剤の注入量を変更したとき、モータ48やモータ58の回転を制御することにより、混和槽18や反応槽20における撹拌強度を適切に設定できる。これにより、適切にフロックを形成でき、水処理を適切に実施できる。
<第5実施形態>
第5実施形態にかかる第5水処理システムを説明する。第5水処理システムにおいて、第4水処理システムと異なる点は、汚泥貯留槽26を備えている点である。分離槽24で分離された固形物は、汚泥貯留槽26に貯留され、後段の脱水機で減容処理される。
汚泥貯留槽26に貯留された汚泥(フロックが固液分離されて例えば沈降したもの)は、基本的にはフロック形成槽22の直後の配管から採取されるフロックと同等のものである。一般的な汚泥の脱水処理では、汚泥貯留槽26にて汚泥を貯留した後、凝集助剤を新たに添加して脱水のための凝集を行い、脱水機で処理できるフロックに形成する。したがって、分離槽24で分離された汚泥貯留槽26の汚泥と、脱水機に掛けられる汚泥は異なる性状のものである。
第5水処理システムでは、フロック強度測定装置80を用いて凝集剤及び凝集助剤の注入量を制御し、フロック強度を保つ。このことで、フロック形成槽22の直後のフロックの強度を高め、分離槽24での分離効率を良好にして清澄な処理水が得られ、かつ汚泥貯留槽26の汚泥の強度を向上させることができる。従って、新たに汚泥に添加する凝集助剤を無くす、もしくは従来よりも減らすことができる。
汚泥貯留槽26の汚泥は、フロック強度測定装置80により、十分な強度が確保されているため、フロック形成槽22の直後のフロックと、汚泥貯留槽26の汚泥は同等の性質であるとみなすことができる。フロック形成槽22の直後のフロックを評価すると同時に、汚泥貯留槽26の汚泥の性状を判定することができる。
この場合のせん断力発生装置90のモータ106は、通常のフロックを評価する際の回転速度よりも大きくし、より大きなせん断力を与える必要がある。尚、脱水機としては、ろ布式、スクリュープレス、ベルトプレス等の汚泥に凝集助剤を用いる方式であればいずれであっても良い。
<第6実施形態>
第6実施形態にかかる第6水処理システムを説明する。第6水処理システムにおいて、第5水処理システムと異なる点は、フロック形成槽22の直後のフロックではなく、図5に示すように、汚泥貯留槽26とフロック強度測定装置80とを流入管82で接続させ、汚泥貯留槽26に貯留された汚泥をフロック強度測定装置80の評価対象とした点である。
分離槽24が沈殿池等の穏やかな水槽であった場合は、フロックに加わるせん断力が小さく、分離槽24の前後のフロックの性状はほとんど変化しない。ところが、分離槽24が、例えば液体サイクロンのような遠心力を利用した固液分離装置であって、強いせん断力が加わる場合は、例えば崩壊して微細化するといったフロックの性状に影響する可能性がある。
そういった場合は、フロック形成槽22の直後のフロックよりも、汚泥貯留槽26の汚泥をフロック強度測定装置80の対象とすると、分離槽24の影響を見越したうえでの制御が可能となる。
このように、汚泥貯留槽26に貯留した汚泥をフロック強度測定装置80の評価対象とすることで、処理水の水質を安定的に維持するとともに、汚泥貯留槽26の後の凝集剤や凝集助剤の注入といった操作を省略することができ、汚泥の脱水操作を簡略的に行うことができる。
<第7実施形態>
第7実施形態に係る第7水処理システムを説明する。第7水処理システムにおいて、第6水処理システムと異なる点は、pH調整剤注入装置32を備えている点である。pH調整剤注入装置32は、pH調整剤注入ポンプ34と収納容器36とを備えている。収納容器36には、pH調整剤が収納されている。pH調整剤注入装置32には、フロック強度測定装置80の評価結果が、制御装置30から伝送され、pH調整剤注入ポンプ34がpH調整剤の注入量を調整する。
pH調整剤は酸塩基である。凝集剤及び凝集助剤には、薬剤の性質が最も発揮される至適なpH領域があり、原水の水質に合わせてpHを調整する必要がある。特に凝集助剤は、pHに対して敏感に性状を変化させる種があり、pHを調整することで、凝集助剤が発揮する性能を変化させることができる。例えば、アニオン系の凝集助剤の一部には、pHが高いと性能が発揮される種があり、注入率を増やすよりもpHを高pH域に調整することで、凝集性を高めることができる。
このため、pH調整剤注入ポンプ34によって原水のpHを調整することで、凝集性を良好にし、処理水の水質を安定的に維持できる。又、pH調整剤を注入する点は、対象とする原水の凝集性から判断し、撹拌機構を持つ反応槽20の上流側であればいずれの位置であっても良い。
以上説明したように、本実施形態の水処理システムによれば、対象水中のフロック強度をオンラインで測定し、評価結果を即座に凝集プロセスに反映させることで、水処理システムの処理を効果的に行い、処理水の水質悪化を防止することができる。
又、本実施形態の水処理システムによれば、制御を行うための入力信号が処理水の水質ではなく、プロセスの前々段のフロックが形成された直後のフロック強度や分離槽24で得られた汚泥の評価結果であるため、凝集条件の変更等の対応を素早くでき、水質の悪化した処理水が処理水槽まで送られることがなく、処理水水質の悪化を防止することができる。
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
10…水処理システム、12…第1送水ポンプ、14…原水槽、15…原水センサ、16…第2送水ポンプ、18…混和槽、20…反応槽、22…フロック形成槽、24…分離槽、26…汚泥貯留槽、28…流路、30…制御装置、32…pH調整剤注入装置、34…pH調整剤注入ポンプ、36…収納容器、38…モータドライバ、40…凝集剤注入装置、42…凝集剤注入ポンプ、44…収納容器、46…攪拌羽根、48…モータ、50…凝集助剤注入装置、52…凝集助剤注入ポンプ、54…収納容器、56…攪拌羽根、58…モータ、60…処理水配管、62…汚泥配管、70…脱水機、80…フロック強度測定装置、82…流入管、84…サンプリングポンプ、86…サンプリング制御装置、90…せん断力発生装置、92…フロック破損判定装置、94…フロック評価センサ、96…流出管、102…円筒容器、104…回転体、106…モータ。

Claims (7)

  1. 原水に凝集剤及び/又は凝集助剤を加える薬剤注入装置と、
    前記薬剤注入装置により凝集剤及び/又は凝集助剤が注入された原水にフロックを形成させるフロック形成装置と、
    前記フロック形成装置で形成された前記フロックの強度を測定するフロック強度測定装置と、
    前記フロック強度測定装置で計測された前記フロックの強度の値に基づいて前記凝集剤及び/又は凝集助剤の過不足を算出する注入量算出手段と、
    前記注入量算出手段の算出結果に基づき、前記フロックの強度が所定値に維持されるよう、前記薬剤注入装置における前記凝集剤及び/又は凝集助剤の注入量を調整する注入量調整手段と、を備えたことを特徴とする水処理システム。
  2. 前記原水を貯留する原水槽と、
    前記原水槽内に貯留している原水の水質を測定する水質測定装置と、を更に具備し、
    前記注入量調整手段は、前記水質測定装置の測定結果及び前記注入量算出手段の算出結果に基づき、前記薬剤注入装置における前記凝集剤及び/又は凝集助剤の注入量を調整することを特徴とする請求項1に記載の水処理システム。
  3. 前記原水を送水する送水ポンプに回転数を調整する回転数調整手段、を更に具備し、
    前記薬剤注入装置における前記凝集剤及び/又は凝集助剤の注入量の調整に加え、前記回転数調整手段により前記送水ポンプの回転数を調整して前記原水の供給量を、前記フロックの強度を所定値に維持するように調整することを特徴とする請求項1又は2に記載の水処理システム。
  4. 凝集剤が注入された原水を収納する混和槽と、前記混和槽に設けられた第1の攪拌機と、前記第1の攪拌機の攪拌速度を調整する混和槽攪拌調整手段と、
    凝集助剤及び凝集剤が注入された原水を収納する反応槽と、前記反応槽に設けられた第2の攪拌機と、前記第2の攪拌機の攪拌速度を調整する反応槽攪拌調整手段と、を更に具備し、
    前記第1の攪拌機及び/又は第2の攪拌機の各攪拌速度を、前記フロックの強度を所定値に維持するように、調整することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の水処理システム。
  5. 前記フロック形成装置に接続され、前記原水から固形物を分離する分離槽と、
    前記分離槽で分離された固形物を貯留する汚泥貯留槽と、を更に具備したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の水処理システム。
  6. 前記汚泥貯留槽に貯留された固形物の強度を計測する固形物強度測定装置、を更に具備し、
    前記フロック強度測定装置で計測された前記フロックの強度の値に代え、前記固形物の強度の計測結果から、前記注入量調整手段は、前記薬剤注入装置における前記凝集剤及び/又は凝集助剤の注入量を調整することを特徴とする請求項5に記載の水処理システム。
  7. pH調整剤を前記原水に注入するpH調整剤注入装置、を更に具備し、
    前記pH調整剤注入装置から注入されるpH調整剤により、前記フロック形成装置における原水のpH値を、前記フロックの強度を所定値に維持するよう調整することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の水処理システム。
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