以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
図1乃至図20に、本発明の座及び背凭れの支持フレーム並びにこの支持フレームを備える椅子の実施形態の一例を示す。
本実施形態では、図1乃至図3に全体構成を示す椅子に本発明が適用された場合を例に挙げて説明する。
また、本発明の説明においては、椅子の座に座った着座者を基準にして「上」及び「下」,「前」及び「後」,並びに「左」及び「右」を定義する(言い換えると、着座者から見て「上」及び「下」,「前」及び「後」,並びに「左」及び「右」を意味する)。
本実施形態の椅子は、脚羽根タイプの脚ベース21に立設する脚柱22の上端部に取り付けられる支持基部1と、当該支持基部1に支持される座受けフレーム2及び背凭れ支持フレーム3と、座受けフレーム2に受け支えられる座10と、背凭れ支持フレーム3に取り付けられて支持される背凭れ15とを有する。
脚羽根タイプの脚ベース21は、一体に成形された、脚基部21aと複数本の脚羽根21bとを有する。
複数本の脚羽根21bは、それぞれ、基端部が脚基部21aに連接し、且つ、長手方向が脚基部21aを中心とする放射方向に沿うように配設される。
本実施形態では、五本の脚羽根21bが放射状に配設され、各々の先端部の下面にキャスタ23が備えられる。すなわち、本実施形態の椅子は、所謂回転脚と呼ばれる態様の脚体を備える。ただし、脚羽根21bにキャスタ23が備えられることは本発明において必須の構成ではなく、さらに言えば、脚体として脚羽根タイプの脚ベース21を有することは本発明において必須の構成ではない。
なお、脚ベース21の材質は、脚ベースとして必要な強度が確保され得るものであれば、特定のものに限定されるものではなく、例えば金属や樹脂などが用いられ得る。
脚ベース21の中心部の脚基部21aには、支持基部1を介して座10及び背凭れ15を支持する脚柱22が嵌め込まれて取り付けられる。
具体的には、脚基部21aに、横断面(言い換えると、平面視)が円形で上下方向の貫通孔が設けられ、当該貫通孔に脚柱22が嵌合されて固定される。
本実施形態では、シリンダ22aと当該シリンダ22aに対して昇降可能であるロッド22bとを有するガススプリングによって脚柱22が構成される。
そして、脚基部21aに設けられた貫通孔にシリンダ22aが嵌合して固定されることによって脚ベース21に対して脚柱22(即ち、ガススプリング)が固定される。
具体的には、脚基部21aの貫通孔の内周面(言い換えると、貫通孔を構成する内壁)が、上側から下側にいくに連れて横断面における内径が次第に小さくなるテーパ状、すなわち、下方側にいくに連れて貫通孔の平面視における中心位置(即ち、軸心位置)に向けて次第に迫り出す斜面として、言い換えると、下向きの荷重を受け支え得るように傾斜する面として形成される。
一方、本実施形態において脚柱22を構成するガススプリングのシリンダ22aは、下端側の部分が、上側から下側にいくに連れて横断面における外径が次第に小さくなるテーパ状に形成される。
そして、脚柱22を構成するガススプリング(シリンダ22a,ロッド22b)が脚ベース21の脚基部21aに設けられた貫通孔に上方から挿入された際に、シリンダ22aの下端側のテーパ状の部分が脚基部21aの貫通孔に嵌合して固定される。
このとき、脚基部21aの貫通孔の内周面は下方側にいくに連れて横断面における内径が縮小するテーパ面であると共にシリンダ22aの下端側のテーパ状部分は下方側にいくに連れて横断面における外径が縮小するテーパ面であるので、脚柱22としてのガススプリングが貫通孔に上方から挿入されると、シリンダ22aのテーパ状部分がこれを受け支えるように傾斜している貫通孔の内周面と当接(言い換えると、面接触)し、シリンダ22aのテーパ状部分の外周面にかけられる下向きの荷重が貫通孔の内周面によって外周方向から受け支えられて支持される。
これにより、脚柱22としてのガススプリングが、貫通孔に嵌合して脚基部21aに固定され、延いては脚ベース21に固定されて取り付けられる。
また、脚柱22としてのガススプリングのシリンダ22aの上端寄りの位置に、足掛け台24が取り付けられる。
足掛け台24は、中心部の基部24aと、当該基部24aに基端部が連接すると共に長手方向が基部24aを中心とする放射方向に沿うように配設された複数のスポーク24bと、これら複数のスポーク24bそれぞれの先端部に取り付けられて支持される環状の足載せ部24cとを有する。
そして、基部24aに設けられた貫通孔がシリンダ22aに嵌合すると共にねじなどで固定されることによって脚柱22(具体的には、ガススプリングのシリンダ22a)に対して足掛け台24が固定されて取り付けられる。
また、脚柱22としてのガススプリングのロッド22bの先端部に、支持基部1が装着される。
支持基部1は、座受けフレーム2と背凭れ支持フレーム3とを支持するものであり、ケース部1Aと当該ケース部1Aを覆うように被せられる上カバー部1Bとからなる。
ケース部1Aは、平面視において概ね矩形の底板部1cと当該底板部1cの周囲を取り囲む周壁1dとを有し、また、脚柱固定部材7とフレーム固定部材8とが備えられる。
ケース部1Aの底板部1cには脚柱22の上端部分(図に示す例では具体的には、ガススプリングのロッド22bの先端部分)を貫通させるための貫通孔1eが設けられる。
脚柱固定部材7は、概ね円筒状に形成されると共に下端周縁部に外向きのフランジ7aが形成され、円筒部分が下方から貫通孔1eへと挿し込まれると共に下端周縁部のフランジ7aが底板部1cの下面に当接した状態で溶接され、これによって底板部1cに固定されて取り付けられる。
フレーム固定部材8は、側面視における縦断面が下面開口のコ字形に形成され且つ天板部に貫通孔8aが形成されると共に、ケース部1Aの底板部1cの左右方向の寸法と同等の寸法に調整されて形成される。
フレーム固定部材8は、左右方向に沿って配置されると共に天板部の貫通孔8aに脚柱固定部材7の上端部を貫通させた状態で、ケース部1Aに配設される。
そして、脚柱22としてのガススプリングのロッド22bの先端部分に、ケース部1Aに固定されている脚柱固定部材7が溶接などによって固定され、これにより、支持基部1が脚柱22に装着されて固定され支持される。
ガススプリングのロッド22bの先端には、当該ガススプリングのロック及びロック解除を行うための操作ボタン22cが設けられている。当該操作ボタン22cは、フレーム固定部材8の天板部に対して上下に揺動可能に取り付けられた昇降操作用レバー25により、押し込まれたり押し込みが解除されたりすることによって操作される。
そして、本実施形態の座及び背凭れの支持フレームは、パイプ部材が折り曲げられて一連に、支持基部1に固定される第一の固定部2a(以下、単に「固定部2a」と表記する)と、座10を受け支える座受け部2cと、これら固定部2aと座受け部2cとを繋ぐ前方傾斜部2bと、座受け部2cと連なる固定端部2dとが、連接して形成される座受けフレーム2、及び、パイプ部材が折り曲げられて一連に、支持基部1に固定される第二の固定部3a(以下、単に「固定部3a」と表記する)と、背凭れ15を支持する背凭れ支持部3cと、これら固定部3aと背凭れ支持部3cとを繋ぐ後方傾斜部3bとが、連接して形成される背凭れ支持フレーム3を有するようにしている。
座受けフレーム2は、椅子としての組み立て状態において支持基部1に取り付けられて固定される左右方向の固定部2aと、当該固定部2aの左右方向における両端部のそれぞれと連接して左右外方へと斜行し且つ上方へと傾斜しつつ前方へと延出する左右一対の前方傾斜部2b,2bと、当該左右一対の前方傾斜部2b,2b各々の前端部と連接して後方へと延出する左右一対の座受け部2c,2cと、当該左右一対の座受け部2c,2c各々の後端部と連接して前方へと傾斜しつつ上方へと延出する左右一対の固定端部2d,2dとを有する。
上述の構成により、座受けフレーム2は、固定部2a,前方傾斜部2b,及び座受け部2cが連接して平面視において前向きのM字形(M字形に近い形状)になる。
座受けフレーム2は、溶接されることなく(言い換えると、溶接部を有することなく)、パイプ部材が折り曲げられて一連一体のものとして固定部2a,前方傾斜部2b,座受け部2c,及び固定端部2dが連続的に形成される。
左側の固定部2a,前方傾斜部2b,座受け部2c,及び固定端部2dと、右側の固定部2a,前方傾斜部2b,座受け部2c,及び固定端部2dとは、左側と右側との両側が一本のパイプ部材によって一連一体のものとして連続的に形成されても、或いは、左側の各部2a,2b,2c,及び2dと右側の各部2a,2b,2c,及び2dとの各々が一本ずつ(即ち、合計二本)のパイプ部材によって別体のものとして形成されても、どちらでも良い。
なお、座受けフレーム2の左右の各部2a,2b,2c,及び2dが別々のパイプ部材によって別体のものとして形成される場合には、例えば、固定部2aの中間を分割点として、左側の各部2a,2b,2c,及び2dと右側の各部2a,2b,2c,及び2dとが別体のものとして、前後方向の鉛直面に対して面対称である形態を備える左右一対のフレームとして形成されるようにする。これにより、左右別々ではあっても、左右合わさって座受けフレーム2を構成する左右一対のフレームのそれぞれは、溶接されることなく、一本のパイプ部材が折り曲げられて一連一体のものとして固定部2a,前方傾斜部2b,座受け部2c,及び固定端部2dが連続的に形成される。
座受けフレーム2の左右の各部2a,2b,2c,及び2dが別々のパイプ部材によって別体のものとして形成される場合には、また、左右の固定部2a,2aのそれぞれは、椅子としての組み立て状態において、上述の形態のように左右方向になるように形成されて配設されるようにしても良く、或いは、前後方向になるように形成されて配設されるようにしても良い。左右の固定部2a,2aのそれぞれが前後方向になるように形成されて配設される場合には、左右合わさって座受けフレーム2を構成する左右一対のフレームのそれぞれは、平面視において後ろ向きのV字形に近い形状になる。
また、固定部2a,前方傾斜部2b,座受け部2c,及び固定端部2dはパイプ部材が曲げ加工されて形成されるため、固定部2aと前方傾斜部2bとの連接部分2ab,前方傾斜部2bと座受け部2cとの連接部分2bc,及び座受け部2cと固定端部2dとの連接部分2cdは、いずれも、湾曲する形状になっている。
このうち、座受け部2cと固定端部2dとの連接部分2cdは、座10の座枠体11内に納められるようにする場合に座枠体11の形状に与える影響を小さくし得る程度に折り曲げの径が小さい値に設定される。座受け部2cと固定端部2dとの連接部分2cdの折り曲げの径(半径)の値は、特定の値に限定されるものではないものの、具体的には例えば13〜17 mm 程度に設定され、15 mm 程度に設定されることが好ましい。さらに言えば、座受けフレーム2の材質や外径・内径などを考慮して可能であると考えられる折り曲げの径の値のうちの最小値に設定されることが好ましい。
他方、背凭れ支持フレーム3は、椅子としての組み立て状態において支持基部1に取り付けられて固定される左右方向の固定部3aと、当該固定部3aの左右方向における両端部のそれぞれと連接して左右外方へと斜行し且つ上方へと傾斜しつつ後方へと延出する左右一対の後方傾斜部3b,3bと、当該左右一対の後方傾斜部3b,3b各々の後端部と連接して前方へと傾斜しつつ上方へと延出する左右一対の背凭れ支持部3c,3cとを有する。
上述の構成により、背凭れ支持フレーム3は、平面視において、後ろ向きのV字形に近い形状になる。
背凭れ支持フレーム3は、溶接されることなく(言い換えると、溶接部を有することなく)、パイプ部材が折り曲げられて一連一体のものとして固定部3a,後方傾斜部3b,及び背凭れ支持部3cが連続的に形成される。
左側の固定部3a,後方傾斜部3b,及び背凭れ支持部3cと、右側の固定部3a,後方傾斜部3b,及び背凭れ支持部3cとは、左側と右側との両側が一本のパイプ部材によって一連一体のものとして連続的に形成されても、或いは、左側の各部3a,3b,及び3cと右側の各部3a,3b,及び3cとの各々が一本ずつ(即ち、合計二本)のパイプ部材によって別体のものとして形成されても、どちらでも良い。
なお、背凭れ支持フレーム3の左右の各部3a,3b,及び3cが別々のパイプ部材によって別体のものとして形成される場合には、例えば、固定部3aの中間を分割点として、左側の各部3a,3b,及び3cと右側の各部3a,3b,及び3cとが別体のものとして、前後方向の鉛直面に対して面対称である形態を備える左右一対のフレームとして形成されるようにする。これにより、左右別々ではあっても、左右合わさって背凭れ支持フレーム3を構成する左右一対のフレームのそれぞれは、溶接されることなく、一本のパイプ部材が折り曲げられて一連一体のものとして固定部3a,後方傾斜部3b,及び背凭れ支持部3cが連続的に形成される。
背凭れ支持フレーム3の左右の各部3a,3b,及び3cが別々のパイプ部材によって別体のものとして形成される場合には、また、左右の固定部3a,3aのそれぞれは、椅子としての組み立て状態において、上述の実施形態のように左右方向になるように形成されて配設されるようにしても良く、或いは、前後方向になるように形成されて配設されるようにしても良い。
なお、背凭れ支持フレーム3に、さらに、背凭れ15を支持するように、左右一対の背凭れ支持部3c,3c各々の上端部と連接して椅子としての組み立て状態において左右方向内側(言い換えると、内向き)に延出する左右一対の横杆部が形成されて含められるようにしても良い。
本実施形態では、座受けフレーム2の左右一対の固定端部2d,2dは、それぞれ、座受け部2cの後端部と連接して背凭れ支持フレーム3の背凭れ支持部3cに沿う方向に曲がって形成され、背凭れ支持部3cに対して直線状に溶接されて取り付けられる。すなわち、座受けフレーム2と背凭れ支持フレーム3とは、左右一対の固定端部2d,2dと背凭れ支持部3c,3cとの溶接部が直線形状をなすものとして溶接される。
このように、座受けフレーム2の固定端部2dと背凭れ支持フレーム3の背凭れ支持部3cとが相互に平行になるように配設された上で直線状に溶接されて取り付けられるようにすることにより、溶接部を長く設けるようにすることができ、必要とされる強度を十分に確保して溶接箇所が破損し易くなってしまうという問題を回避することが可能になる。
座受けフレーム2や背凭れ支持フレーム3を形成し構成するパイプ部材の材質は、特定のものに限定されるものではなく、例えば用途などが考慮されて必要とされる強度及び耐久性や曲げ加工の容易性などが勘案された上で、適当なものが適宜選択される。具体的には例えば、パイプ部材の材質として、スティール,ステンレススティール,或いはアルミ合金が選択され得る。
また、パイプ部材の外径・内径(及び、これらによって決定される管としての厚み)は、特定の値に限定されるものではなく、例えば用途などが考慮されて必要とされる強度や曲げ加工の容易性などが勘案された上で、適当な値に適宜設定される。
なお、パイプ部材としては、中空のパイプに加えて中実の無垢棒も用いられ得る。すなわち、本発明の説明におけるパイプ部材には、中空のパイプと中実の無垢棒とが含まれる。
上述の座受けフレーム2の固定部2aは、支持基部1のケース部1Aの底板部1cに固定される脚柱固定部材7の前方位置に左右方向に沿って配設される。
また、背凭れ支持フレーム3の固定部3aは、支持基部1のケース部1Aの底板部1cに固定される脚柱固定部材7の後方位置に左右方向に沿って配設される。
そして、座受けフレーム2の固定部2aは、下端部分がケース部1Aの底板部1cの上面に溶接づけなどによって接合されると共に、上端部分がケース部1Aに配設されるフレーム固定部材8の前側壁の下端に溶接づけなどによって接合される。
また、背凭れ支持フレーム3の固定部3aは、下端部分がケース部1Aの底板部1cの上面に溶接づけなどによって接合されると共に、上端部分がケース部1Aに配設されるフレーム固定部材8の後側壁の下端に溶接づけなどによって接合される。
これにより、座受けフレーム2及び背凭れ支持フレーム3が、支持基部1に固定されて取り付けられる。
なお、フレーム固定部材8は、また、天板部の貫通孔8aの周縁部が脚柱固定部材7と溶接づけなどによって接合される。
座受けフレーム2には、左右一対の座受け部2c,2cの前部における間隔が固定されるように規制すると共に座10の前部を受け支えるための前部横連結部材4が備えられ、さらに、左右一対の座受け部2c,2cの後部における間隔が固定されるように規制すると共に座10の後部を受け支えるための後部横連結部材5が備えられる。
前部横連結部材4は、座受けフレーム2の左右一対の連接部分2bc(即ち、前方傾斜部2bと座受け部2cとが連接する湾曲部分)の間に左右方向に沿って配設される。
そして、前部横連結部材4は、左右両端部それぞれが座受けフレーム2の左右一対の連接部分2bc,2bc各々においてこれら左右一対の連接部分2bc,2bc同士を連結するように溶接づけによって接合されることにより、座受けフレーム2に対して固定されて取り付けられる。
ここで、座受けフレーム2の連接部分2bcは、左右外方へと斜行し且つ上方へと傾斜しつつ前方へと延出する前方傾斜部2bと、後方へと延出する座受け部2cとが連接する湾曲部分である。このため、前部横連結部材4の左右両端部(左右両端面)は、それぞれ、連接部分2bcの湾曲形状に沿うように形成され、連接部分2bcに対して曲線状に溶接されて取り付けられる。すなわち、前部横連結部材4と座受けフレーム2とは、前部横連結部材4の左右両端部と連接部分2bc,2bcとの溶接部が湾曲形状をなすものとして溶接される。
このように、前部横連結部材4と座受けフレーム2とが連接部分2bcにおいて曲線状に溶接されて取り付けられるようにすることにより、様々な向きの変形や荷重(例えば、左右の座受け部2c,2cを相互に引き離す左右外向きの変形や、着座による下向きの荷重など)に対して応力(抵抗力)を発揮することができ、溶接箇所が破損し易くなってしまうという問題を回避することが可能になる。また、本実施形態における前方傾斜部2bの方向と座受け部2cの方向との関係により、連接部分2bcにおける溶接部の一部は下向きの荷重を下から受け支えるように機能するので、前部横連結部材4は座10の前部を強固に受け支えることができる。
なお、前部横連結部材4は、支持基部1に直接接触しておらず、すなわち、支持基部1に支持されていない。
他方、後部横連結部材5は、例えば座受けフレーム2や背凭れ支持フレーム3と同様の材質の一本のパイプ部材が折り曲げられることにより、椅子としての組み立て状態において左右方向の横杆部5aと、当該横杆部5aの左右方向における両端部のそれぞれと連接して前方へと延出する左右一対の取付部5b,5bとが連続するものとして形成される。
そして、後部横連結部材5は、左右両端の取付部5b,5bそれぞれが座受けフレーム2の左右一対の座受け部2c,2c各々の後端部分においてこれら左右一対の座受け部2c,2c同士を連結するように溶接づけによって接合されることにより、座受けフレーム2に対して固定されて取り付けられる。
ここで、後部横連結部材5の左右一対の取付部5b,5bは、それぞれ、横杆部5aの左右端部と連接して座受けフレーム2の座受け部2cに沿う方向に曲がって形成され、座受け部2cに対して直線状に溶接されて取り付けられる。すなわち、後部横連結部材5と座受けフレーム2とは、左右一対の取付部5b,5bと座受け部2c,2cとの溶接部が直線形状をなすものとして溶接される。
このように、後部横連結部材5の取付部5bと座受けフレーム2の座受け部2cとが相互に平行になるように配設された上で直線状に溶接されて取り付けられるようにすることにより、溶接部を長く設けるようにすることができ、必要とされる強度を十分に確保して溶接箇所が破損し易くなってしまうという問題を回避することが可能になる。
なお、後部横連結部材5は、支持基部1に直接接触しておらず、すなわち、支持基部1に支持されていない。
座10は、座受けフレーム2の左右一対の座受け部2c,2cの間に架け渡され、これら左右一対の座受け部2c,2cに載せられて設けられる。
座10は、平面視において概ね矩形状の座枠体11と、当該座枠体11に周縁が支持されて張設されて座面を構成できるだけの張力や強度を有するメッシュ状の座膜部材14とを有する。
座10の座枠体11は、一体として連接する、椅子としての組み立て状態において左右方向の前部枠辺11a,左右一対の前後方向の右部及び左部枠辺11b,11b,並びに左右方向の後部枠辺11cの四つの帯状の枠辺を有する概ね矩形状の枠体として形成される。
座枠体11は、右部及び左部枠辺11b,11bそれぞれの下面に形成された概ねU字形の溝12b,12bを有すると共に後部枠辺11cの下面に形成された概ねU字形の溝12cを有する。
そして、座10は、座枠体11の右部・左部枠辺11b,11b下面の溝12b,12bのそれぞれが座受けフレーム2の左右の座受け部2c,2cに嵌合すると共に後部枠辺11c下面の溝12cが後部横連結部材5に嵌合することにより、座受けフレーム2に装着される。
なお、座10の座枠体11は、溝12b,12cが用いられる態様ではなく、ビスなどの締結具・接合具によって座受けフレーム2の左右の座受け部2c,2cや後部横連結部材5に取り付けられるようにしても良い。この場合、座枠体11と座受け部2cや後部横連結部材5との間に介在等する受止めや把持態様などの別途の固定用の部品が用いられるようにしても良い。
座10の座枠体11は、左右一対の座受け部2c,2cに載せられた状態で、前部枠辺11aが前部横連結部材4にねじ止めされると共に後部枠辺11cが後部横連結部材5にねじ止めされることによって固定される。
座10の座枠体11は、また、後部枠辺11cの左右両縁部(言い換えると、右部及び左部枠辺11b,11b各々の後端位置)に、前方へと傾斜しつつ上下方向に貫通し且つ貫通方向直交断面が長孔状に形成された左右一対の貫通孔13,13を有する。
そして、これら左右一対の貫通孔13,13の各々を、座受けフレーム2の固定端部2dと背凭れ支持フレーム3の背凭れ支持部3cとが左右横並びで下方から上方へと貫通する。
なお、座10の材質や態様は、特定の種類に限定されるものではなく、例えば用途などが考慮されて必要とされる強度が勘案された上で、適当なものが適宜選択される。具体的には例えば、座10の座枠体11の材質としては、ガラス繊維入りナイロンなどの種々の樹脂が選択され得る。
一方、背凭れ15は、背凭れ支持フレーム3の左右一対の背凭れ支持部3c,3cから立ち上がるように、これら左右一対の背凭れ支持部3c,3cに取り付けられて設けられる。
背凭れ15は、正面視において概ね矩形状の背枠体16と、当該背枠体16に周縁が支持されて張設されて背凭れ面を構成できるだけの張力や強度を有するメッシュ状の背膜部材19とを有する。
背凭れ15の背枠体16は、一体として連接する、椅子としての組み立て状態において左右方向の上部枠辺16a,左右一対の上下方向の右部及び左部枠辺16b,16b,並びに左右方向の下部枠辺16cの四つの帯状の枠辺を有する概ね矩形状の枠体として形成される。
背凭れ15の背枠体16は、また、右部及び左部枠辺16b,16b各々の下端側の部分に、背枠体16の下端面において開口すると共に右部及び左部枠辺16b,16bの方向に沿って且つ相互に平行に形成された左右一対の背フレーム受け孔17,17を有し、さらに、これら左右一対の背フレーム受け孔17,17それぞれの内側(即ち、背凭れ15の左右方向における中央位置寄りの側)に隣接して(言い換えると、左右に連なって)、背枠体16の下端面において開口すると共に背フレーム受け孔17の方向に沿って形成された左右一対の座フレーム受け凹部18,18を有する。
そして、背凭れ15は、左右一対の背フレーム受け孔17,17のそれぞれに、座10の座枠体11の貫通孔13を貫通して上方に突出している背凭れ支持フレーム3の背凭れ支持部3cが挿し込まれて嵌合することにより、背凭れ支持フレーム3に装着される。
そして、背凭れ15の背フレーム受け孔17と背凭れ支持フレーム3の背凭れ支持部3cとは、背フレーム受け孔17の下端開口から背凭れ支持部3cが差し込まれた状態で、必要に応じ、例えば背枠体16の後面から前後方向にねじ込まれるビスなどの締結具・接合具によって相互に固定されたり、予め塗布された接着剤が用いられて相互に接着されたりする。
なお、背凭れ15の背枠体16は、背フレーム受け孔17,17が用いられる態様ではなく、ビスなどの締結具・接合具によって背凭れ支持フレーム3の左右一対の背凭れ支持部3c,3cに取り付けられるようにしても良い。この場合、背枠体16と背凭れ支持部3cとの間に介在等する受止めや把持態様などの別途の固定用の部品が用いられるようにしても良い。
また、座10の座枠体11の貫通孔13を貫通して上方に突出している座受けフレーム2の左右一対の固定端部2d,2dのそれぞれが、背凭れ15の左右一対の座フレーム受け凹部18,18に差し込まれて嵌合する。
なお、背凭れ15の材質や態様は、特定の種類に限定されるものではなく、例えば用途などが考慮されて必要とされる強度が勘案された上で、適当なものが適宜選択される。具体的には例えば、背凭れ15の背枠体16の材質としては、ガラス繊維入りナイロンなどの種々の樹脂が選択され得る。
また、例えば、座受けフレーム2の左右一対の座受け部2c,2cによって座10が受け支えられ得ると共に、座10の座枠体11との嵌合や背凭れ15の背枠体16との嵌合による固定力によって座受けフレーム2の左右一対の座受け部2c,2cの間隔が固定されるように拘束され得る場合などには、前部横連結部材4と後部横連結部材5とのうちの一方若しくは両方が設けられないようにしても良い(この点において、座10の態様や材質などによるものの、前部横連結部材4や後部横連結部材5は左右一対の座受け部2c,2cの間隔を補助的に固定するものであると共に座10の前部や後部を補助的に受け支えるためのものである)。この場合には、必要に応じ、座受けフレーム2の座受け部2cと座10の座枠体11の右部・左部枠辺16bとが例えばビスなどの締結具・接合具によって相互に固定されたり、予め塗布された接着剤が用いられて相互に接着されたりする。
また、例えば、座10の座枠体11の下面の溝12b,12cや貫通孔13との嵌合による固定力によって座受けフレーム2,座10,背凭れ支持フレーム3,及び背凭れ15の相互の位置関係が必要とされる程度には少なくとも固定されるように拘束され得る場合などには、座受けフレーム2の左右一対の固定端部2d,2dは設けられない(言い換えると、形成されない)ようにしても良い。
また、本発明においては背凭れ15は必須の構成ではなく、背凭れ15を備えない構成の椅子においても、座10の支持フレームとしての座受けフレーム2は用いられ得る。そして、背凭れ15を備えない椅子の場合には、背凭れ支持フレーム3の左右一対の背凭れ支持部3c,3cは、上述の実施形態のように座10の座枠体11の左右一対の貫通孔13,13を下方から上方へと貫通するのではなく、上述の実施形態の場合と比べて短く形成され、座10の座枠体11の貫通孔13の代わりに設けられる凹部に上端が当接することによって座10を(補助的に)支持するものとして構成されるようにしても良い。この場合には、上述の実施形態における背凭れ支持フレーム3は座支持フレームと呼ばれ、上述の実施形態における背凭れ支持フレーム3のうちの左右一対の背凭れ支持部3c,3cは左右一対の座支持部と呼ばれる。
以上の構成を備える座受けフレーム2と背凭れ支持フレーム3とを有する座及び背凭れの支持フレーム並びにこの支持フレームを備える椅子によれば、座10の支持フレームとしての座受けフレーム2と背凭れ15の支持フレームとしての背凭れ支持フレーム3とのそれぞれが、延いては座10及び背凭れ15の支持フレーム全体としての座受けフレーム2及び背凭れ支持フレーム3が、パイプ部材が折り曲げられて一連に連接して形成される、言い換えると、溶接部を有することなく形成されるようにしているので、溶接箇所に大きな応力が集中することによる破損や、着座によって荷重がかけられた際にパイプ同士の溶接を引き離す向きに力が働くことによる破損、さらに、溶接箇所及びその周辺の硬化による耐久性の低下を防止することができ、椅子の安全性を確保すると共に耐久性を向上させることが可能になり、延いては椅子の信頼性を向上させることが可能になる。
以上の構成を備える座受けフレーム2と背凭れ支持フレーム3とを有する座及び背凭れの支持フレーム並びにこの支持フレームを備える椅子によれば、また、座10の支持フレームとしての座受けフレーム2と背凭れ15の支持フレームとしての背凭れ支持フレーム3とのそれぞれが、延いては座10及び背凭れ15の支持フレーム全体としての座受けフレーム2及び背凭れ支持フレーム3が、パイプ部材が折り曲げられて一連に連接して形成されるようにしているので、椅子の座や背凭れを支持するフレームを構成するための種々の部品を接合するための部品が不要になるために部品点数が少なくて済み、延いては、組み立て作業を簡便にして効率的に椅子の座や背凭れを支持するフレームを製作し、また、座や背凭れを支持するフレームのコストを低廉にすることができ、汎用性の高い座や背凭れの支持フレームを提供することが可能になる。
なお、上述の実施形態は本発明を実施する際の好適な形態の一例ではあるものの本発明の実施の形態が上述のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において本発明は種々変形実施可能である。
例えば、上述の実施形態では図1乃至図3に全体構成を示す椅子に本発明が適用されるようにしているが、本発明が適用され得る椅子の各構成部材の具体的な形状や態様は、上述の実施形態におけるものに限定されるものではなく、椅子の用途やデザインなどを踏まえて適宜選択される。具体的には、座受けフレーム2の固定部2aと背凭れ支持フレーム3の固定部3aとが取り付けられて固定される構成、即ち上述の実施形態における支持基部1のケース部1Aに相当する構成を少なくとも備えるものであれば、椅子の態様や各構成部材の形状等はどのようなものであっても構わない。
また、上述の実施形態では背凭れ15が矩形状の背枠体16と当該背枠体16に周縁が支持されて張設されるメッシュ状の背膜部材19とを有するものとして構成されるようにしているが、背凭れの構成態様は上述の実施形態におけるものに限定されるものではなく、背凭れは例えば樹脂製の板材によって構成されるようにしても良い。この場合には、板状の部材(背板)のみによって背凭れが構成されるようにしても良く、或いは、板状の部材(背板)がパッドで覆われて背凭れが構成されるようにしても良い。
具体的には例えば、図21乃至図23に示すように、樹脂製の背板部材31と当該背板部材31を覆う布製のパッド32とを有するものとして背凭れが構成されるようにしても良い(なお、図21乃至図23では、左右の肘掛け34,34を備える背凭れを例として挙げている)。この場合には、例えば、パッド32が下端開口の袋状に形成され、パッド32の前面部32Aの内側面の下端部分に柔軟性を備える樹脂製の前部インナーシェル33Aが取り付けられると共に後面部32Bの内側面の下端部分に柔軟性を備える樹脂製の後部インナーシェル33Bが取り付けられる。そして、これら前部・後部インナーシェル33A,33Bそれぞれの下端に左右一対のフック33c,33cが備えられ、また、背板部材31の下端面にこれら左右一対のフック33c,33cが係合する左右一対の凹部が形成される。そして、左右一対のフック33c,33cのそれぞれが前記左右一対の凹部に係合することにより、前部・後部インナーシェル33A,33Bを介してパッド32が背板部材31に取り付けられる。このとき、前部・後部インナーシェル33A,33Bそれぞれの左右一対のフック33c,33c同士の間の寸法が背板部材31の板形状に沿っての前記左右一対の凹部同士の間の寸法に基づいて調節されることにより、左右一対のフック33c,33cのそれぞれが前記左右一対の凹部に係合した状態において前部・後部インナーシェル33A,33Bが背板部材31の下端部分の形状に沿って変形する。このとき、さらに、前部・後部インナーシェル33A,33Bが取り付けられた部分において、前部インナーシェル33Aとパッド32の前面部32Aとが、また、後部インナーシェル33Bとパッド32の後面部32Bとが、大きく離れないように相互に接合される(好ましくは、密着させられる)ことにより、前部・後部インナーシェル33A,33Bと一緒に背板部材31の下端部分の形状に沿ってパッド32が取り付けられるようになるので背板部材31に対してパッド32が浮いてしまうことがない。したがって、パッド32が弛んだ部分が縒れて痛んでしまうことや、見栄えが悪くなってしまうことを防止することができる。また、特に前部インナーシェル33Aの形状を調整することにより、背凭れ面を意図した形状にすることができる。