JP6674061B2 - Vリブドベルト及びその用途 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車エンジン補機駆動などに用いられるVリブドベルトに関し、詳しくは、摩擦伝動面の摩擦状態を安定化して耐発音性(静粛性)を維持しつつ、省燃費性を向上(トルクロスを低減)できるVリブドベルト及びその用途に関する。
近年、自動車などの内燃機関(エンジンなど)において、省燃費性(トルクロスの低減)と耐発音性(静粛性)との両立が求められている。
通常、自動車などの内燃機関には、オルタネータ、ウォータポンプ、パワーステアリングポンプ、エアコンなどの補機が取り付けられており、これらの補機は、エンジンのクランク軸により伝動ベルトを懸架した動力伝達機構を介して機械的に駆動される。例えば、自動車エンジンにおける補機駆動システムにおいて、エンジンの内燃機関(主機)で生成されるエネルギー(動力)は、駆動軸であるクランク軸(クランクプーリ)から各補機の従動軸(従動プーリ)に向けて、Vリブドベルトを介した摩擦伝動により伝達される。
このように動力を伝達する際には、エネルギー的な損失(ロス)が生じる。このエネルギー損失は、エンジンの分野ではフリクションロスと呼ばれており、例えば、ベルトを構成するゴム組成物の自己発熱による内部損失や、ベルトの曲げ変形に起因する屈曲損失などが挙げられる。このようなエネルギー損失の指標としては、通常、クランク軸における駆動トルク値と、従動軸(補機)における従動トルク値との差で算出される「トルクロス」値が用いられるため、「フリクションロス」と「トルクロス」とは同義に用いられる。
そのため、このようなエンジンの燃費の向上にはフリクションロスの低減が有効であり、動力伝達機構におけるトルクロス(クランク軸における駆動トルクと、従動軸(補機)における従動トルクとの差)を低減することが望まれている。
具体的には、前述のように、エンジンの補機駆動システムにおける伝動ベルトとしてVリブドベルトがよく用いられるが、ベルト走行中では、プーリへの巻き付け前後におけるベルトの屈曲(曲げ又は歪み)/解放(又は伸び)の一連の動作(屈曲変形)が繰り返される。詳しくは、プーリに巻き掛けられたベルトは心線を中心に屈曲するため、心線より外周側では曲げ変形に伴う曲げ応力が生じ、心線より内周側では圧縮変形に伴う圧縮応力が生じた状態で歪む。そして、走行に伴ってプーリから離れるにつれて、前記歪みが解放される。ベルト走行中において、この歪んだ状態(湾曲形状)と解放された状態(平面形状)とが繰り返されることにより、内部損失(又は自己発熱)が増大して屈曲損失(又は曲げロス)が生じる。この屈曲損失が、トルク損失(又はトルクロス)の主な原因となる。
自動車エンジンなどにおける補機駆動システムでは、通常、外径が最も大きいクランクプーリと、複数の従動プーリとを、1本のVリブドベルトを巻きかけるレイアウト(例えば、図6及び7のレイアウトよりもプーリ数が多く、より複雑な又は込み入ったレイアウト)で駆動させる場合が多い。ベルトは各プーリを通過する度に前記屈曲/解放の動作を繰り返すため、この動作の頻度がプーリ数に応じて高くなり、結果として大きなトルクロスが生じ易くなる。さらに、プーリのなかでも、発電装置であるオルタネータ(ALT)のようなプーリ径が小さい部位(小径プーリ、特に外径が65mm以下のプーリ)においては、巻き掛けたベルトの曲げ量(変形量又は歪み)が大きくなるため、より大きな曲げロスに伴うトルクロスが生じる。このように大きなトルクロスが発生する部位は、エンジンのフリクションロスに大きく影響するため、トルクロスのさらなる低減が大きな課題となっている。
一方、自動車エンジンなどの補機駆動システムにおける耐発音性に関しては、プーリに接するベルト表面(プーリ係合面)の摩擦係数を小さくして、プーリのミスアライメント(軸ずれ)発生時に生じ易い騒音や、スティック・スリップ現象による騒音の改善が課題となっている。
スティック・スリップ現象とは、摩擦面間に生ずる微視的な摩擦面の付着や、滑りの繰り返しによって引き起こされる自励振動のことで、摩擦係数が滑り速度の増加とともに低下する場合や、静摩擦から動摩擦に移るときの不連続な摩擦低下が生ずる場合などに発生する現象である。Vリブドベルトにおいても、プーリと摩擦する伝動面の摩擦係数が高い(特に粘着性が高い)場合は、ベルトとプーリとの摩擦間にて、付着(スティック)と滑り(スリップ)とを繰り返すスティック・スリップ現象(振動)が生じ、付着から滑りへ移行する段階で異音(鳴き音)が生じる。
さらに、被水時での走行において発生するスティック・スリップ音も問題となっている。詳しくは、摩擦伝動面の濡れ性が低く、ベルトとプーリとの間(ベルト−プーリ間)における水の進入状態が均一でない場合、水が進入していない箇所(乾燥状態)では摩擦係数が高くなるのに対して、水が浸入した箇所(被水状態)では、部分的に摩擦係数が著しく低下するため、摩擦状態が不安定になり、スティック・スリップ音が発生する。
このようなスティック・スリップ現象に対して、耐発音性を向上するための添加剤(耐発音性向上剤、例えば、超高分子量ポリエチレン粉体、無機質粉体、界面活性剤、可塑剤など)を摩擦伝動面を形成する圧縮ゴム層に配合し、摩擦伝動面の摩擦係数を低減したり、摩擦伝動面の水に対する親和性を改善して異音の発生を抑制する手段が知られている。
しかし、このような耐発音性向上剤を用いると、ゴム中における挙動が不安定であるためか、内部損失(又は損失正接tanδ)を増加させることが多く、トルクロスが大きくなる欠点を有している。
すなわち、Vリブドベルトを構成するゴム組成物の配合設計においては、耐発音性(静粛性)と省燃費性(トルクロス低減)とは背反特性となっており、配合設計のみでこれらの特性を両立させることは困難であった。そのため、トルクロス低減が重要視されるエンジン用途においては、このような耐発音性向上剤の添加は避けるべきものとされている。従って、配合設計ではなくベルト形状などの別の観点、例えば、リブ底部(又はリブ溝底部)やリブ先端部の曲率半径などの形状から、耐発音性の向上やトルクロスを低減する方法が検討されている。
例えば、材料条件などに依らず発音自体を封じ込める耐発音性にすぐれたベルト伝動装置として、特開2003−74650号公報(特許文献1)には、ベルト周方向に複数のリブ条部を有するVリブドベルトを2以上のVリブドプーリに巻き掛けて動力を伝達するベルト伝動装置において、Vリブドプーリのリブ先端部と、Vリブドベルトのリブ溝底部とが圧接状態で係合されることを特徴とするベルト伝動装置が開示されている。この文献には、プーリのリブ先端部の曲率半径を、ベルトのリブ溝底部の曲率半径Rの1/2以下にすることなどが記載され、実施例では、リブ溝底部の曲率半径が0.24mmのベルトと、リブ先端部の曲率半径が0.12mmのプーリとを圧接状態で係合したベルト伝動装置を用いて、発音抑止効果を確認している。
このようなベルト伝動装置では、ある程度の発音抑止効果を有するものの、ベルトのリブ溝底部(又はリブ底部)が摩耗損傷し易いためか、粘着摩耗音を有効に抑制できない。また、特許文献1には、トルクロスの低減について何ら記載されていない。
また、Vリブドベルトのプーリへの食い込みに伴う摩擦抵抗に起因するトルク損失を抑制する軸受として、特開2011−252548号公報(特許文献2)には、転がり軸受と、この軸受の外輪(1)に一体成形されたプーリ(2)とからなる樹脂プーリ付き軸受であって、プーリ(2)に架けられるVリブドベルト(3)のV溝(5)に、プーリ(2)のリブ(4)が所定位置を越えて食い込むのを防止する食い込み制限手段(6,8)や;リブ(4)の所定位置よりも先端側の先端位置に、Vリブドベルト(3)と、プーリ(2)とが当接しないようにする当接回避手段(9、10)を設けたことを特徴とする軸受が開示されている。前記当接回避手段として、プーリ(2)の前記先端位置からリブ(4)の先端部に向かって、ベルト(3)のV溝(5)の溝底に形成された円弧よりも大きい曲率半径(例えば、曲率半径が0.5mm以上)を有する円弧を、プーリ軸周りに回転させて形成された第二丸め部(10)などが記載されている。この文献には、前記第二丸め部(10)の曲率半径を大きくすると、ベルトとの当接が回避された分だけ面圧が生じる領域を狭めることができ、面圧に起因するトルク損失を最小限に抑制できることが記載されている。
しかし、特許文献2には、耐発音性の向上について何ら記載されていないのみならず、当接回避手段によりベルトとプーリとの接触面積が狭まることから、動力伝達性能が低下してスリップし易く、耐発音性が低いことが予想される。また、特許文献2は、アイドラープーリやテンションプーリなどのトルク伝達の機能を必要としないプーリにおいて、前記摩擦抵抗による発熱に起因するトルク損失を抑制するものである。しかし、この摩擦抵抗に起因するトルク損失は、トルク伝達を目的とするプーリにおける屈曲変形に起因するトルク損失と比べて、ほとんど無視できる程わずかな損失である。そのため、この特許文献2のプーリ及びベルトを用いても、エンジンの補機駆動システムなどにおいてトルクロスを十分に低減することはできず、耐発音性と省燃費性とを両立できない。
特表平4−503557号公報(特許文献3)には、同じ形状で長手方向に延びる複数の突部(38)及び溝(39)を有する無端伝動ベルト構造体(20)と、該ベルト構造体(20)の突部(38)及び溝(39)と順次に噛合するための突部(42)及び溝(43)を有する回転自在プーリー(41)との組合せ体であって、該ベルト構造体(20)の各突部(38)の両側縁(44)は、弛緩状態でほぼ60°の夾角(A)を有し、ベルト構造体(20)の厚み(T)は、前記夾角をほぼ40°とした同様構造の従来のベルト構造体の厚みと実質的に同じ厚さであり、該ベルト構造体(20)の突部(38)の両側にある2つの溝(39)の中心線(CL)間の距離(P)は、該同様な構造のベルト構造体の距離より大きいことを特徴とする組合せ体が開示されている。この文献には、プーリー(41)の突部(42)及び溝(43)は、ベルト構造体(20)の突部(38)及び溝(39)とほぼ同じ寸法を有していることが記載されており、具体的には、ベルト構造体(20)の各溝(39)の頂点(45)は、ほぼ0.048cmの曲率半径によって画定され、プーリー(41)の各突部(42)の頂点(49)は、ほぼ0.076cmの曲率半径によって画定されることが記載されている。また、この文献には、慣用の40°夾角のリブを備えたベルト構造体の基本的寸法を維持し、距離(P)を大きくし、溝(39)の頂点を画定するための曲率半径を大きくすることによって、剛性の高いリブ(38)を形成でき、作動音が静かになることが記載されている。
しかし、特許文献3には、トルクロスの低減について何ら記載されていない。
なお、耐発音性と省燃費性とを両立できるVリブドベルトとして、特開2018−35940号公報(特許文献4)には、ベルト長手方向に延びる複数のVリブ部を有し、かつ少なくとも一部がプーリのVリブ溝部と接触可能な摩擦伝動面を有する圧縮ゴム層を備えたVリブドベルトであって、前記圧縮ゴム層の摩擦伝動面が、ゴム成分及び耐発音性向上剤を含むゴム組成物の加硫物で形成され、かつ前記Vリブ部のVリブ角度が、前記プーリのVリブ溝角度よりも5〜9°大きいVリブドベルトが開示されている。
しかし、特許文献4には、ベルトのリブ底部(又はリブ溝底部)やプーリのリブ先端部の曲率半径と、耐発音性や省燃費性との関係について、何ら記載されていない。
特開2003−74650号公報(特許請求の範囲、段落[0010][0031]、実施例) 特開2011−252548号公報(請求項1及び4〜6、段落[0001][0008][0018]〜[0023][0047]) 特表平4−503557号公報(請求項1及び4〜6、第6頁左上欄第4〜22行、第6頁左下欄第5〜14行) 特開2018−35940号公報(請求項1、段落[0027])
本発明の目的は、耐発音性と省燃費性とを両立できるVリブドベルト並びにこのVリブドベルトを備えたベルト伝動装置及び前記Vリブドベルトを用いてベルト伝動装置のトルクロスを低減する方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、摩擦伝動面を形成するゴムに耐発音性向上剤を配合しても、スティック・スリップ音や粘着摩耗音などに対する耐発音性を維持したまま、トルクロス(特に、屈曲損失)を低減できるVリブドベルト並びにこのVリブドベルトを備えたベルト伝動装置及び前記Vリブドベルトを用いてベルト伝動装置のトルクロスを低減する方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、動力伝達(又はトルク伝達)を目的とするプーリ、特に、発電装置であるオルタネータなどの小径プーリを含むプーリにおいても、トルクロスを低減できるVリブドベルト並びにこのVリブドベルトを備えたベルト伝動装置及び前記Vリブドベルトを用いてベルト伝動装置のトルクロスを低減する方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、耐発音性向上剤を含む圧縮ゴム層を備えたVリブドベルトにおいて、プーリのリブ先端部の曲率半径Rpと、前記Vリブドベルトのリブ底部の曲率半径Rbとの差Rp−Rbを所定の範囲に調整することにより、耐発音性と省燃費性とを両立できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明のVリブドベルトは、ベルト長手方向に沿って互いに平行して延びる複数のVリブ部を有し、かつ少なくとも一部がプーリのVリブ溝部と接触可能な摩擦伝動面を有する圧縮ゴム層を備えたVリブドベルトであって、前記圧縮ゴム層の摩擦伝動面が、ゴム成分及び耐発音性向上剤を含むゴム組成物の加硫物で形成され、かつ前記プーリのリブ先端部の曲率半径Rpと、前記Vリブドベルトのリブ底部の曲率半径Rbとの差Rp−Rbが−0.08〜0.08mmである。
前記Vリブドベルトのリブ底部の曲率半径Rbは0.1〜0.5mm(例えば、0.15〜0.45mm)程度であってもよい。前記曲率半径の差Rp−Rbは−0.05〜0.05mm程度であってもよい。前記プーリは、外径65mm以下のプーリを含んでいてもよい。前記VリブドベルトのVリブ部のVリブ角度αは30〜60°程度であってもよく、前記Vリブ角度αと、前記プーリのVリブ溝角度βとの差α−βは−1〜1°程度であってもよい。
前記耐発音性向上剤は、界面活性剤、ゴム成分よりも大きい溶解度指数を有する可塑剤、無機粒子及びポリエチレン系樹脂粒子からなる群より選択される少なくとも1種(特に、ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤及び/又はエーテルエステル系可塑剤)を含んでいてもよい。前記ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤の割合は、ゴム成分100質量部に対して2〜20質量部程度であってもよい。また、前記エーテルエステル系可塑剤の割合は、ゴム成分100質量部に対して5〜15質量部程度であってもよい。前記ゴム成分は、エチレン−α−オレフィンエラストマーを含んでいてもよい。
本発明は、前記Vリブドベルトと、このVリブドベルトのVリブ部と嵌合可能なVリブ溝部を有するプーリとを備え、前記プーリのリブ先端部の曲率半径Rpと、前記Vリブドベルトのリブ底部の曲率半径Rbとの差Rp−Rbが−0.08〜0.08mm(例えば、−0.05〜0.05mm)であるベルト伝動装置を包含する。前記プーリは、外径65mm以下のプーリを含んでいてもよい。
また、本発明は、外径65mm以下のプーリを含むプーリに、前記Vリブドベルトを掛架してベルト伝動装置のトルクロスを低減する方法も包含する。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、数値範囲「XX〜YY」は、数値「XX」と数値「YY」とを含む意味、すなわち、数値「XX」以上であり、かつ数値「YY」以下であることを意味する。
本発明では、耐発音性向上剤を含む圧縮ゴム層を備えたVリブドベルトにおいて、プーリのリブ先端部の曲率半径Rpと、前記Vリブドベルトのリブ底部の曲率半径Rbとの差Rp−Rbを所定の範囲に調整されているため、耐発音性と省燃費性とを両立できる。詳しくは、摩擦伝動面を形成するゴムに異物である耐発音性向上剤を配合しても、スティック・スリップ音や粘着摩耗音などに対する耐発音性を維持したまま、トルクロス(特に、屈曲損失)を低減できる。特に、発電装置であるオルタネータなどの小径プーリにおいても、トルクロスを低減できる。
図1は、本発明のVリブドベルトの一例を示す概略断面図である。 図2は、本発明のVリブドベルトを懸架(又は掛架)するためのプーリの一例を示す概略断面図である。 図3は、プーリのリブ先端部の曲率半径Rpと、本発明のVリブドベルトのリブ底部の曲率半径Rbとの関係[(a)Rp>Rb、(b)Rp=Rb、(c)Rp<Rb]に基づくベルト及びプーリの嵌合状態の違いを説明するための概略断面図である。 図4は、実施例で用いたVリブドベルトの寸法を説明するための概略断面図である。 図5は、実施例におけるVリブドベルトのフリクションロスの測定方法を説明するための概略図である。 図6は、実施例におけるVリブドベルトの耐発音性試験(実車での発音測定)を説明するための概略図である。 図7は、実施例におけるVリブドベルトの耐発音性試験(ミスアライメント発音測定)を説明するための概略図である。 図8は、実施例におけるVリブドベルトのリブ底部の粘着摩耗試験を説明するための概略図である。
[Vリブドベルトの構造]
本発明のVリブドベルトの形態は、ベルト長手方向に沿って互いに平行して延びる複数のVリブ部を有し、かつプーリのリブ先端部の曲率半径Rpと、前記Vリブドベルトのリブ底部の曲率半径Rbとの差Rp−Rbが、−0.08〜0.08mm程度であれば、特に制限されず、例えば、図1に示す形態が例示される。図1は本発明のVリブドベルトの一例を示す概略断面図である。図1に示されるVリブドベルトは、ベルト下面(内周面)からベルト上面(背面)に向かって順に、圧縮ゴム層2、ベルト長手方向に芯体1を埋設した接着層4、カバー帆布(織物、編物、不織布など)で構成された伸張層5を積層した形態を有している。圧縮ゴム層2には、ベルト長手方向に伸びる複数の断面V字状の溝が形成され、この溝の間には断面V字形(逆台形)の複数のVリブ部3(図1に示す例では3個)が形成されており、このVリブ部3の二つの傾斜面(表面)が摩擦伝動面を形成し、プーリと接して動力を伝達(摩擦伝動)する。
本発明のVリブドベルトはこの形態に限定されず、少なくとも一部がプーリのVリブ溝部(V溝部)と接触可能な伝動面を有する圧縮ゴム層を備えていればよく、典型的には、伸張層と圧縮ゴム層と、その間にベルト長手方向に沿って埋設される芯体とを備えていればよい。本発明のVリブドベルトにおいて、例えば、伸張層5をゴム組成物で形成してもよく、接着層4を設けることなく伸張層5と圧縮ゴム層2との間に芯体1を埋設してもよい。さらに、接着層4を圧縮ゴム層2又は伸張層5のいずれか一方に設け、芯体1を接着層4(圧縮ゴム層2側)と伸張層5との間、もしくは接着層4(伸張層5側)と圧縮ゴム層2との間に埋設する形態であってもよい。
なお、少なくとも前記圧縮ゴム層が以下に詳細に説明するゴム組成物の加硫物で形成されていればよい。前記伸張層及び接着層は、伸張層及び接着層として利用される慣用のゴム組成物の加硫物で形成されていればよく、必ずしも前記圧縮ゴム層と同一のゴム組成物の加硫物で形成されていなくてもよい。なお、伸張層及び接着層を形成するゴム組成物の加硫物は、耐発音性向上剤を含んでいる必要はない。
本発明のVリブドベルトでは、図2に示すプーリ(又はVリブドプーリ)のリブ先端部6の曲率半径Rpと、図1に示すVリブドベルトのリブ底部(リブ溝底部)3aの曲率半径Rbとの差Rp−Rbを所定の範囲に調整する。詳しくは、図3に、前記Rp及びRbと、ベルト及びプーリの嵌合(又は係合)状態との関係を説明するための概略断面図を示す。なお、図3において、図1に示すVリブドベルトのVリブ角度αと、図2に示すプーリのVリブ溝角度βとが等しい形態(α−β=0°)に形成されている。
図3では、(a)Rp>Rb(又はRp−Rb>0)である場合、(b)Rp=Rb(又はRp−Rb=0)である場合、(c)Rp<Rb(又はRp−Rb<0)である場合のそれぞれのベルトとプーリとの嵌合状態を示している。本発明では、前記(b)Rp−Rb=0の形態、又は(a)もしくは(c)であっても、差Rp−Rbを小さく形成した形態とすることにより、耐発音性と省燃費性とを両立できる。
より具体的には、前記差Rp−Rbを、例えば、−0.08〜0.08mm(例えば、−0.075〜0.075mm)、好ましくは−0.07〜0.07mm(例えば、−0.06〜0.06mm)、より好ましくは−0.05〜0.05mm(例えば、−0.04〜0.04mm)、さらに好ましくは−0.03〜0.03mm(例えば、−0.02〜0.02mm)、なかでも、−0.01〜0.01mm(例えば、−0.005〜0.005mm)、特に、−0.003〜0.003mm(特に、実質的に0mm)に調整することにより、耐発音性(静粛性)などの他の特性を低下させることなく、フリクションロス(ベルト伝動装置のトルクロス)を低減できる。差Rp−Rbがプラス側に大きすぎると、トルクロスを低減できなくなったり、スティック・スリップ異音(特に、ミスアライメント状態におけるスティック・スリップ異音)が発生し易くなるおそれがあり、差Rp−Rbがマイナス側に大きすぎると、トルクロスを低減できなくなったり、粘着摩耗が生じ易くなり耐発音性が低下するおそれがある。
このような挙動を示す理由は、以下のように推測される。まず、差Rp−Rbがプラス側に大きい場合、図3(a)の形態において、ベルトのリブ底部と、プーリのリブ先端部との間に形成される空間(隙間)が大きくなる。走行状態のベルトには張力がかかっているため、前記空間がベルトの変形しろとなり、巻き掛けられたベルトは、プーリの溝の深さ方向に(又はプーリの中心に向かって)変形して落ち込む。すなわち、前記空間が大きくなるにつれて、ベルトの変形しろが大きくなり、ベルトがプーリを通過する際の曲げ量(又は変形量)が大きくなるため、屈曲損失が増大してトルクロスが大きくなる。また、前記空間が大きくなるにつれて、ベルト−プーリ間の接触面積が減少するため、動力伝達性能が低下して、スティック・スリップ異音(特に、ミスアライメント状態におけるスティック・スリップ異音)が発生し易くなる。
逆に、差Rp−Rbがマイナス側に大きい場合、図3(c)の形態において、ベルトのリブテーパ面と、プーリのリブテーパ面との間に形成される空間(隙間)が大きくなる。このような形態においても、前記空間がベルトの変形しろとなって、ベルトが張力によりプーリの溝の深さ方向(又はプーリ溝方向)に変形して落ち込むため、差Rp−Rbがプラス側に大きい場合と同様に、ベルトの曲げ量が大きくなり、屈曲損失が増大してトルクロスが大きくなる。また、差Rp−Rbがマイナス側に大きい場合では、ベルトのリブ底部が曲率半径の小さなプーリのリブ先端部と接触しつつ、張力によりベルトがプーリの溝方向に落ち込む状態で走行するため、ベルトのリブ底部が摩耗により削れ、粘着摩耗音が生じ易くなる。
従来の方式では、通常、ベルトとプーリとの間に空間が設けられているため、上記理由から省燃費性や耐発音性の向上は困難であると推測される。しかし、本発明では、ベルトのリブ底部及びプーリのリブ先端部の曲率半径の差を小さくすることで(特に、ベルトのリブ底部とプーリのリブ先端部との形状、並びにベルト及びプーリのリブのテーパ面の形状をほぼ一致させることで)、ベルトとプーリとの間に形成される空間を小さくし(又はなくし)、ベルトが張力によってプーリ溝方向に変形する(又は落ち込む)のを抑制して、屈曲損失又はトルクロスを有効に低減できるようである。
Vリブドベルトのリブ底部の曲率半径Rbとして具体的には、0.1〜0.5mm(例えば、0.15〜0.45mm)程度の範囲から選択でき、例えば、0.2〜0.43mm(例えば、0.25〜0.42mm)、好ましくは0.28〜0.41mm(例えば、0.3〜0.4mm)、さらに好ましくは0.32〜0.38mm(例えば、0.33〜0.37mm)程度であってもよく、通常、0.26〜0.48mm(例えば、0.27〜0.44mm)、好ましくは0.29〜0.47mm(例えば、0.31〜0.46)程度であってもよい。本発明のVリブドベルトでは、前記差Rp−Rbの絶対値を小さく(Rp−Rb≒0)[さらには、後述する角度差α−βの絶対値が小さく(α−β≒0)]所定の範囲に調整するため、リブ底部の曲率半径Rbの曲率半径が小さすぎると、トルクロスを十分に低減できないおそれや、粘着摩耗が生じ易くなるおそれがある。逆に大きすぎると、リブ部の厚みが小さくなるため、伝達性能が低下するおそれがある。
また、本発明のVリブドベルトでは、図1に示すVリブドベルトのVリブ角度αと、図2に示すプーリのVリブ溝角度βとの角度差α−βは、通常、ほぼ同等程度(α−β≒0°)であることが多い。前記角度差α−βとして具体的には、例えば、−3〜3°(例えば、−2〜2°)、好ましくは−1〜1°(例えば、−0.5〜0.5°)、さらに好ましくは−0.1〜0.1°(特に、0°)であってもよい。
VリブドベルトのVリブ角度αとして具体的には、30〜60°程度の範囲から選択してもよく、例えば、33〜50°、好ましくは35〜45°、さらに好ましくは38〜42°程度であってもよい。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、曲率半径Rb及びRpや、角度α及びβは、弛緩状態(懸架していない状態)におけるベルトやプーリの縦断面を投影機やマイクロスコープなどで観察し、撮影した画像から読み取ることにより測定できる。また、本発明のVリブドベルトを巻き掛ける(又は接触可能な)複数のプーリのうち、少なくとも1つのプーリの前記曲率半径Rp(及び前記Vリブ溝角度β)が、前記差Rp−Rb(及び前記角度差α−β)を満たす範囲内にあればよく、複数のプーリのRp(及びβ)は、それぞれ互いに同一または異なっていてもよいが、全てのプーリのRp(及びβ)が前記差Rp−Rb(及び前記角度差α−β)を満たす範囲内であるのが好ましい。なお、プーリが後述する小径プーリを含む場合、トルクロスをより一層低減できる点から、少なくとも前記小径プーリのRp(及びβ)が前記差Rp−Rb(及び前記角度差α−β)を満たす範囲内であるのが好ましい。
本発明のVリブドベルトは、トルク伝達を目的とするプーリに対して有効であり、なかでも、径が小さくて屈曲に伴う歪み/解放の繰り返し動作が激しく、巻き掛けたベルトの曲げ量(変形量)が大きくなる小径のプーリに対して特に有効である。トルクロスは、プーリとの面圧が最も高くなる小径プーリで最も大きくなり易く、小径プーリでのトルクロスがエンジンのフリクションロスに大きく影響するためである。そのため、本発明のVリブドベルトは、小径プーリを含むプーリに掛架するのが好ましく、このような小径プーリの外径は65mm以下であってもよく、例えば10〜65mm、好ましくは20〜62mm(例えば、30〜60mm)、さらに好ましくは40〜55mm程度であってもよい。
芯体としては、特に限定されないが、通常、ベルト幅方向に所定間隔で配列した心線(撚りコード)を使用できる。心線は、高モジュラスな繊維、例えば、ポリエステル繊維(ポリアルキレンアリレート系繊維など)、アラミド繊維などの合成繊維、炭素繊維などの無機繊維などがよく利用され、ポリエステル繊維(ポリエチレンテレフタレート系繊維、ポリエチレンナフタレート系繊維)、アラミド繊維が好ましい。繊維はマルチフィラメント糸、例えば、繊度2000〜10000デニール(特に4000〜8000デニール)程度のマルチフィラメント糸であってもよい。
心線としては、通常、マルチフィラメント糸を使用した撚りコード(例えば、諸撚り、片撚り、ラング撚りなど)を使用できる。心線の平均線径(撚りコードの繊維径)は、例えば0.5〜3mm、好ましくは0.6〜2mm、さらに好ましくは0.7〜1.5mm程度であってもよい。心線はベルトの長手方向に埋設され、単数又は複数の心線がベルトの長手方向に平行に所定のピッチで並列的に埋設されていてもよい。
ゴム成分との接着性を改善するため、心線は、レゾルシン−ホルマリン−ラテックス(RFL)液、エポキシ化合物、イソシアネート化合物などによる種々の接着処理を施した後に、伸張層と圧縮ゴム層との間(特に接着層)に埋設してもよい。
さらに、伸張層は補強布、例えば、織布、広角度帆布、編布、不織布などの布材(好ましくは織布)を有していてもよい。補強布は、必要であれば、前記接着処理を施し、伸張層の表面に接着層を積層してもよい。
[圧縮ゴム層]
本発明のVリブドベルトは、少なくとも一部がプーリのVリブ溝部と接触可能な伝動面を有する圧縮ゴム層を備えており、この圧縮ゴム層は、摩擦伝動面がゴム成分及び耐発音性向上剤を含むゴム組成物の加硫物で形成されていればよく、例えば、摩擦伝動面において、前記ゴム組成物の加硫物で形成された表層部を形成し、他の部分(内層部)は耐発音性向上剤を含まない圧縮ゴム層であってもよいが、耐発音性(特に長期間に亘る耐発音性)や生産性などの点から、圧縮ゴム層全体が耐発音性向上剤を含むゴム組成物の加硫物で形成された圧縮ゴム層が好ましい。
(ゴム成分)
ゴム成分としては、公知のゴム成分及び/又はエラストマー、例えば、ジエン系ゴム[天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(ニトリルゴム)、水素化ニトリルゴム(水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩との混合ポリマーを含む)など]、エチレン−α−オレフィンエラストマー、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、アルキル化クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリル系ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴムなどが例示できる。これらのゴム成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。これらのゴム成分のうち、有害なハロゲンを含まず、耐オゾン性、耐熱性、耐寒性を有し、経済性にも優れる点から、エチレン−α−オレフィンエラストマー(エチレン−プロピレン共重合体(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDMなど)などのエチレン−α−オレフィン系ゴム)が好ましい。
(耐発音性向上剤)
圧縮ゴム層の少なくとも摩擦伝動面が耐発音性向上剤を含むため、ベルト−プーリ間の摩擦状態を安定化でき、耐発音性を向上できるものの、耐発音性向上剤はゴム中での挙動が不安定なため、内部損失を上昇し易く、結果としてトルクロスの増加を引き起こす。しかし、本発明では、圧縮ゴム層が耐発音性向上剤を含むにも拘わらず、プーリのリブ先端部の曲率半径Rpと、ベルトのリブ底部の曲率半径Rbとの差Rp−Rbが所定の範囲に調整されているため、トルクロスを有効に低減でき、トレードオフな関係にある耐発音性と省燃費性とを高い水準で両立できる。
耐発音性向上剤の割合は、耐発音性向上剤の種類に応じて、ゴム成分100質量部に対して1〜100質量部程度の範囲から選択でき、例えば1〜40質量部(特に2〜35質量部)程度である。耐発音性向上剤の割合が少なすぎると、耐発音性(特に、スティック・スリップ異音に対する耐発音性)が低下するおそれがあり、逆に多すぎるとトルクロスが大きくなるおそれがある。
耐発音性向上剤としては、ベルト−プーリ間の摩擦状態を安定化するための慣用の耐発音性向上剤を利用できるが、耐発音性の向上効果に優れる点から、界面活性剤、可塑剤、無機粒子、ポリエチレン系樹脂粒子が好ましい。これらの耐発音性向上剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(A)界面活性剤
界面活性剤は、イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤のいずれであってもよく、ゴム成分の種類などに応じて選択できるが、ゴム成分がエチレン−α−オレフィンエラストマーである場合、耐発音性を向上できる点から、非イオン界面活性剤が好ましく、ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤、多価アルコール型非イオン界面活性剤が特に好ましい。
ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤は、高級アルコール、アルキルフェノール、高級脂肪酸、多価アルコール高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、ポリプロピレングリコールなどの疎水基を有する疎水性ベース成分に、エチレンオキサイドが付加して親水基が付与された非イオン界面活性剤である。
疎水性ベース成分としての高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、テトラデシルアルコール、セチルアルコール、オクタデシルアルコール、アラルキルアルコールなどのC10−30飽和アルコール、オレイルアルコールなどのC10−26不飽和アルコールなどが例示できる。アルキルフェノールとしては、オクチルフェノール、ノニルフェノールなどのC4−16アルキルフェノールなどが例示できる。これらの高級アルコールは、単独で又は二種以上組み合わせてもよい。
疎水性ベース成分の高級脂肪酸としては、飽和脂肪酸[例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸などのC10−30飽和脂肪酸、好ましくはC12−28飽和脂肪酸、さらに好ましくはC14−26飽和脂肪酸、特に好ましくはC16−22飽和脂肪酸など;ヒドロキシステアリン酸などのオキシカルボン酸など]、不飽和脂肪酸[例えば、オレイン酸、エルカ酸、エルシン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸などのC10−30不飽和脂肪酸など]などが例示できる。これらの高級脂肪酸は、単独で又は二種以上組み合わせてもよい。
多価アルコール高級脂肪酸エステルは、多価アルコールと前記高級脂肪酸とのエステルであって、未反応のヒドロキシル基を有している。多価アルコールとしては、アルカンジオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールなどのC2−10アルカンジオールなど)、アルカントリオール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなど)、アルカンテトラオール(ペンタエリスリトール、ジグリセリンなど)、アルカンヘキサオール(ジペンタエリスリトール、ソルビトール(又はソルビット)など)、アルカンオクタオール(ショ糖など)、これらのアルキレンオキサイド付加体(C2−4アルキレンオキサイド付加体など)などが例示できる。これらの高級脂肪酸エステルは、単独で又は二種以上組み合わせてもよい。
以下に、「オキシエチレン」、「エチレンオキサイド」又は「エチレングリコール」を「EO」で表し、「オキシプロピレン」、「プロピレンオキサイド」又は「プロピレングリコール」を「PO」で表すと、ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤の具体例としては、例えば、ポリEO高級アルコールエーテル(ポリEOラウリルエーテル、ポリEOステアリルエーテルなどのポリEOC10−26アルキルエーテル)、ポリEOポリPOアルキルエーテルなどのC10−26高級アルコール−EO−PO付加体;ポリEOオクチルフェニルエーテル、ポリEOノニルフェニルエーテルなどのアルキルフェノール−EO付加体;ポリEOモノラウレート、ポリEOモノオレエート、ポリEOモノステアレートなどの脂肪酸−EO付加体;グリセリンモノ又はジ高級脂肪酸エステル−EO付加体(グリセリンモノ又はジラウレート、グリセリンモノ又はジパルミテート、グリセリンモノ又はジステアレート、グリセリンモノ又はジオレートなどのグリセリンモノ又はジC10−26脂肪酸エステルのEO付加体)、ペンタエリスリトール高級脂肪酸エステル−EO付加体(ペンタエリスリトールジステアレート−EO付加体などのペンタエリスリトールモノ乃至トリC10−26脂肪酸エステル−EO付加体など)、ジペンタエリスリトール高級脂肪酸エステル−EO付加体、ソルビトール(又はソルビット)高級脂肪酸エステル−EO付加体、ポリEOソルビタンモノラウレート、ポリEOソルビタンモノステアレート、ポリEOソルビタントリステアレートなどのソルビタン脂肪酸エステル−EO付加体、ショ糖高級脂肪酸エステル−EO付加体などの多価アルコール脂肪酸エステル−EO付加体;ポリEOラウリルアミノエーテル、ポリEOステアリルアミノエーテルなどの高級アルキルアミン−EO付加体;ポリEO椰子脂肪酸モノエタノールアマイド、ポリEOラウリン酸モノエタノールアマイド、ポリEOステアリン酸モノエタノールアマイド、ポリEOオレイン酸モノエタノールアマイドなどの脂肪酸アミド−EO付加体;ポリEOヒマシ油、ポリEO硬化ヒマシ油などの油脂−EO付加体;ポリPO−EO付加体(ポリEO−ポリPOブロック共重合体など)などが挙げられる。これらのポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
多価アルコール型非イオン界面活性剤は、前記多価アルコール(特に、グリセロール、ペンタエリスリトール、ショ糖、ソルビトールなどのアルカントリオール乃至アルカンヘキサオール)に高級脂肪酸などの疎水基が結合した非イオン界面活性剤である。多価アルコール型非イオン界面活性剤としては、例えば、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレエートなどのグリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリストールモノステアレート、ペンタエリストールジ牛脂脂肪酸エステルなどのペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレートなどのソルビタン脂肪酸エステル、ソルビトールモノステアレートなどのソルビトール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、椰子脂肪酸ジエタノールアマイドなどのアルカノールアミン類の脂肪酸アミド、アルキルポリグリコシドなどが挙げられる。これらの多価アルコール型非イオン界面活性剤も単独で又は二種以上組み合わせて使用でき、前記ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤と組み合わせて使用してもよい。
好ましい界面活性剤は、非イオン界面活性剤、特に、ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤(例えば、ポリEOC10−26アルキルエーテル、アルキルフェノール−EO付加体、多価アルコールC10−26脂肪酸エステル−EO付加体など)である。
界面活性剤のHLB(Hydrophile-Lipophile-Balance)値は、ゴム成分がエチレン−α−オレフィンエラストマーである場合、例えば8.7〜17、好ましくは9〜15、さらに好ましくは9.5〜14(特に10〜13.5)程度である。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、HLB値はグリフィン法によって算出された値である。
界面活性剤の粘度(25℃)は、例えば10〜300MPa・s、好ましくは20〜200MPa・s程度である。
界面活性剤(特に、ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤)の割合は、ゴム成分100質量部に対して、例えば1〜25質量部、好ましくは2〜20質量部、さらに好ましくは3〜15質量部(例えば、3.5〜10質量部)、特に、4〜8質量部(例えば、4.5〜6質量部)程度である。界面活性剤の割合が少なすぎると、耐発音性(特に、実車におけるスティック・スリップ異音に対する耐発音性)が低下するおそれがあり、逆に多すぎるとトルクロスが大きくなるおそれがある。
(B)可塑剤
可塑剤は、ゴム成分よりも大きい溶解度指数(Solubility Parameters:SP値)を有する可塑剤であればよく、耐発音性を向上できる点から、例えば8.3〜10.7(cal/cm1/2、好ましくは8.4〜10.5(cal/cm1/2、さらに好ましくは8.5〜10(cal/cm1/2程度の溶解度指数を有する可塑剤が好ましい。前記溶解度指数は、ゴム成分がエチレン−α−オレフィンエラストマーである場合に特に有効である。
可塑剤としては、このような溶解度指数を有する慣用の可塑剤を利用できる。慣用の可塑剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸系可塑剤(アジピン酸エステル系可塑剤、セバシン酸エステル系可塑剤など)、芳香族カルボン酸エステル系可塑剤(フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤など)、オキシカルボン酸エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、エーテル系可塑剤、エーテルエステル系可塑剤などが挙げられる。これらの可塑剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの可塑剤のうち、ゴム成分がエチレン−α−オレフィンエラストマーである場合、耐発音性の向上効果が大きい点から、エーテルエステル系可塑剤が好ましい。
エーテルエステル系可塑剤としては、例えば、ポリEOジブタン酸エステル、ポリEOジイソブタン酸エステル、ポリEOジ2−エチルブタン酸エステル、ポリEOジ2−エチルヘキサン酸エステル、ポリEOジデカン酸エステルなどのポリC2−4アルキレングリコールジC2−18脂肪酸エステル;アジピン酸ポリEO付加体などのC2−12脂肪族ジカルボン酸のポリC2−4アルキレンオキサイド付加体;アジピン酸モノ又はジ(ブトキシエチル)エステル、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシロキシエチル)エステル、アジピン酸ジ(オクトキシエチル)エステルなどのC2−12脂肪族ジカルボン酸ジ(C1−12アルコキシC2−4アルキル)エステルなどが挙げられる。これらのエーテルエステル系可塑剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのエーテルエステル系可塑剤のうち、ポリEOジ2−エチルヘキサン酸エステルなどのポリC2−4アルキレングリコールジC4−12脂肪酸エステルが好ましい。
可塑剤(特にエーテルエステル系可塑剤)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)において、ポリスチレン換算で、例えば300〜2000、好ましくは350〜1500(例えば370〜1000)、さらに好ましくは400〜800(特に450〜600)程度である。
可塑剤(特にエーテルエステル系可塑剤)の割合は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、3〜20質量部、好ましくは4〜18質量部、さらに好ましくは5〜15質量部(特に、8〜12質量部)程度である。可塑剤の割合が少なすぎると、耐発音性(特に、ミスアライメント状態におけるスティック・スリップ異音に対する耐発音性)が低下するおそれがあり、逆に多すぎるとトルクロスが大きくなるおそれがある。
(C)無機粒子
無機粒子(無機充填剤又は無機質粉体)としては、慣用の無機粒子を利用できる。慣用の無機粒子としては、例えば、グラファイト、金属酸化物(酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化鉄、酸化銅、酸化チタン、酸化アルミニウムなど)、金属炭酸塩(炭酸マグネシウムや炭酸カルシウムなど)、金属ケイ酸塩(ケイ酸カルシウムやケイ酸アルミニウムなど)、金属炭化物(炭化ケイ素や炭化タングステンなど)、金属窒化物(窒化チタン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素など)、金属硫化物(二硫化モリブデンなど)、金属硫酸塩(硫酸カルシウムや硫酸バリウムなど)、クレー(含水珪酸アルミニウム:パイロフィライト、カオリナイト、セリサイト、モンモリロナイト、ベントナイト、スメクタイトなどの粘土鉱物で構成されたクレー)、タルク(含水珪酸マグネシウム:滑石、ソープストーン、ステアタイトと称される無機粒子など)、マイカ、アルミナ、シリカ、ゼオライト、珪藻土、焼成珪成土、活性白土などが挙げられる。これらの無機粒子は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、炭酸カルシウムなどの金属炭酸塩、モンモリロナイトなどのクレー、タルクが好ましい。
無機粒子の形状としては、特に限定されず、例えば、球状、楕円体状、多角体形(多角錘状、正方体状、直方体状など)、扁平状(板状、鱗片状など)、棒状、繊維状、不定形状などが挙げられる。これらのうち、扁平状、不定形状などが汎用される。
無機粒子の平均粒径(個数平均一次粒径)は、例えば、0.1〜100μm、好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは1〜30μm程度である。無機粒子のサイズが小さすぎると、耐発音性を十分に向上できないおそれがあり、逆に大きすぎると、ベルトの機械的特性が低下するおそれがある。なお、本明細書及び特許請求の範囲では、平均粒径及びアスペクト比は、50倍で撮影した走査型電子顕微鏡写真を基に寸法を計測する方法やレーザー回折散乱法などにより測定できる。
無機粒子は、非多孔質又は多孔質のいずれであってもよいが、BET法による窒素吸着比表面積は、例えば、5000〜30000cm/g、好ましくは6000〜25000cm/g程度である。比表面積が小さすぎると、粒子が大きくなるため、ベルトの機械的特性が低下するおそれがあり、逆に大きすぎると、粒子が小さくなるため、耐発音性が十分に向上できないおそれがある。
無機粒子の見掛け密度は、例えば、0.2〜0.7g/ml、好ましくは0.25〜0.65g/ml程度である。無機粒子の吸油量は、例えば、10〜40ml/100g、好ましくは20〜38ml/100g程度である。
無機粒子の割合は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、10〜50質量部、好ましくは15〜45質量部(例えば15〜35質量部)、さらに好ましくは20〜40質量部(特に30〜35質量部)程度である。無機粒子の割合が少なすぎると、耐発音性が低下するおそれがあり、逆に多すぎるとトルクロスが大きくなるおそれがある。
(D)ポリエチレン系樹脂粒子
ポリエチレン系樹脂粒子を構成するポリエチレン系樹脂は、ポリエチレンホモポリマー(単独重合体)であってもよく、ポリエチレンコポリマー(共重合体)であってもよい。コポリマーに含まれる共重合性単量体としては、例えば、オレフィン類(例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチルペンテン、4−メチルペンテン、1−オクテンなどのα−C3−8オレフィンなど)、(メタ)アクリル系単量体[例えば、(メタ)アクリル酸メチルや(メタ)アクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸C1−6アルキルエステルなど]、不飽和カルボン酸類(例えば、無水マレイン酸など)、ビニルエステル類(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなど)、ジエン類(例えば、ブタジエン、イソプレンなど)などが挙げられる。これらの共重合性単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの共重合性単量体のうち、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン、1−オクテンなどのα−C3−8オレフィンが好ましい。共重合性単量体の割合は、単量体単位全体に対して、30モル%以下(例えば0.01〜30モル%)、好ましくは20モル%以下(例えば0.1〜20モル%)、さらに好ましくは10モル%以下(例えば1〜10モル%)程度である。コポリマーは、ランダム共重合体、ブロック共重合体などであってもよい。
ポリエチレン系樹脂としては、例えば、低、中又は高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−(4−メチルペンテン−1)共重合体などが挙げられる。これらのポリエチレンは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのポリエチレンのうち、耐発音性の向上効果が大きい点から、中又は高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンなどのポリエチレンが好ましい。
ポリエチレン系樹脂の粘度平均分子量は、例えば10000以上の範囲から選択でき、例えば10万〜900万、好ましくは15万〜500万、さらに好ましくは20万〜300万程度である。分子量が小さすぎると、耐発音性の向上効果が十分に発揮できないおそれがある。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、粘度平均分子量は、ASTM D4020に準拠して測定できる。
ポリエチレン系樹脂の密度は、ASTM D792に準拠した方法で、例えば、0.9〜0.97g/cm程度の範囲から選択でき、耐発音性向上効果が大きい点から、例えば、0.92〜0.97g/cm、好ましくは0.93〜0.97g/cm、さらに好ましくは0.94〜0.97g/cm程度である。
ポリエチレン系樹脂の融点(又は軟化点)は、耐発音性向上効果が大きい点から、ゴム組成物の混練りや圧延などの加工温度以上であり、かつ加硫温度以下であるの好ましく、例えば、160℃以下(例えば、120〜160℃)、好ましくは125〜150℃、さらに好ましくは125〜140℃程度である。
ポリエチレン系樹脂粒子の形状としては、前記無機粒子の項で例示された形状などが挙げられる。前記形状のうち、ポリエチレン系樹脂粒子の形状としては、球状、楕円体状、多角体形、不定形状のなどの粒状がよく利用される。
ポリエチレン系樹脂粒子の平均粒径(一次粒径)は、例えば、10〜200μm、好ましくは20〜150μm、さらに好ましくは25〜120μm程度である。ポリエチレン系樹脂粒子の粒径が小さすぎると、耐発音性を十分に向上できないおそれがあり、逆に大きすぎると、ベルトの機械的特性が低下するおそれがある。
ポリエチレン系樹脂粒子の割合は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、1〜30質量部(例えば、3〜25質量部)、好ましくは5〜25質量部(例えば、10〜15質量部)、さらに好ましくは15〜25質量部(特に、17〜23質量部)程度である。ポリエチレン系樹脂粒子の割合が少なすぎると、耐発音性が低下するおそれがあり、逆に多すぎるとトルクロスが大きくなるおそれがある。
これらの耐発音性向上剤のうち、スティック・スリップ異音に対する耐発音性を特に向上し易い点から、界面活性剤、可塑剤が好ましい。特に、実車におけるスティック・スリップ異音に対する耐発音性が重要な場合では、界面活性剤(特に、ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤)を含むのが好ましく、ミスアライメント状態におけるスティック・スリップ異音に対する耐発音性が重要な場合では、可塑剤(特に、エーテルエステル系可塑剤)を含むのが好ましい。なかでも、耐発音性と省燃費性とのバランスにより一層優れる点から、界面活性剤(特に、ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤)を含むのが特に好ましい。
(補強剤)
圧縮ゴム層を形成するゴム組成物は、前記ゴム成分及び前記耐発音性向上剤に加えて、さらに補強剤を含んでいてもよい。補強剤には、補強繊維や、補強性充填剤としてのカーボンブラックなどが含まれる。
補強繊維としては、例えば、ポリオレフィン系繊維(ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維など)、ポリアミド繊維(ポリアミド6繊維、ポリアミド66繊維、ポリアミド46繊維、アラミド繊維など)、ポリエステル繊維[ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリエチレンナフタレート(PEN)繊維などのC2−4アルキレンC6−14アリレート系繊維など]、ビニロン繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維などの合成繊維;綿、麻、羊毛などの天然繊維;炭素繊維などの無機繊維が例示できる。これらの繊維は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの補強繊維のうち、ポリアミド66繊維やアラミド繊維などのポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ビニロン繊維などから選択された少なくとも一種が好ましい。補強繊維はフィブリル化していてもよい。さらに、補強繊維にも、心線と同様に種々の接着処理を施してもよい。
補強繊維は、通常、短繊維の形態で圧縮ゴム層に含有させてもよく、短繊維の平均長さは、例えば、0.1〜20mm、好ましくは0.5〜15mm(例えば、1〜10mm)、さらに好ましくは1.5〜5mm(特に、2〜4mm)程度であってもよい。プーリからの側圧と摩擦力を大きく受ける圧縮ゴム層中で短繊維をベルト幅方向に配向させることにより、Vリブドベルトの耐側圧性を確保できる。補強繊維の平均繊維径は、例えば、1〜100μm、好ましくは3〜50μm、さらに好ましくは5〜40μm(特に、10〜30μm)程度である。
カーボンブラックは、圧縮ゴム層を形成するゴム組成物の内部発熱を低く抑えて省燃費性を向上させるため、粒径の大きいカーボンブラック、特にヨウ素吸着量が40mg/g以下の大粒径カーボンブラックを含むのが好ましい。大粒径カーボンブラックとしては、FEF、GPF、APF、SRF−LM、SRF−HMなどが例示できる。これらのカーボンブラックは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。大粒径カーボンブラックの個数平均一次粒径は、例えば、40〜200nm、好ましくは45〜150nm、さらに好ましくは50〜125nm程度であってもよく、通常、40〜100nm(例えば、40〜80nm)、好ましくは40〜60nm(例えば、40〜50nm)程度であってもよい。
大粒径カーボンブラックは補強効果が低いため、粒径が小さく補強効果の高い小粒径カーボンブラック(ヨウ素吸着量が40mg/gより高い)を併用するのが好ましい。粒径の異なる少なくとも2種のカーボンブラックを用いることで、省燃費性と補強効果とを両立させることができる。小粒径カーボンブラックとしては、SAF、ISAF−HM、ISAF−LM、HAF−LS、HAF、HAF−HSなどが例示できる。これらのカーボンブラックは単独又は二種以上組み合わせて使用できる。小粒径カーボンブラックの個数平均一次粒径は、40nm未満、例えば、5〜38nm、好ましくは10〜35nm(例えば、15〜33nm)、さらに好ましくは20〜30nm(例えば、25〜30nm)程度であってもよい。
なお、大粒径カーボンブラックの平均粒径と小粒径カーボンブラックの平均粒径との比率は、前者/後者=1.5/1〜3/1、好ましくは1.7/1〜2.7/1、さらに好ましくは1.8/1〜2.5/1程度であってもよく、通常、1.5/1〜2/1(例えば、1.5/1〜1.8/1)、好ましくは1.5/1〜1.7/1(例えば、1.5/1〜1.6/1)程度であってもよい。
また、大粒径カーボンブラックと小粒径カーボンブラックとの質量比率は、省燃費性と補強効果とを両立可能な範囲、例えば、前者/後者=20/80〜55/45、好ましくは25/75〜50/50、さらに好ましくは30/70〜50/50(例えば、40/60〜50/50)程度であってもよい。なお、カーボンブラックのうち、小粒径カーボンブラックの割合が多すぎると、省燃費性が低下するおそれがあり、大粒径カーボンブラックが多すぎると、補強効果が低下するおそれがある。
補強剤の割合は、ゴム成分100質量部に対して40質量部以上であってもよく、例えば50〜200質量部、好ましくは60〜180質量部、さらに好ましくは80〜150質量部(特に100〜120質量部)程度である。本発明では、補強剤の割合が多量でも、トルクロスを低減できる。
補強繊維の割合は、ゴム成分100質量部に対して80質量部以下(例えば0〜80質量部)であってもよく、例えば、60質量部以下(例えば、1〜60質量部)、好ましくは50質量部以下(例えば、5〜50質量部)、さらに好ましくは40質量部以下(例えば、10〜40質量部)程度であってもよく、通常、20〜40質量部(例えば、25〜35質量部)程度である。補強繊維の割合が多すぎると、トルクロスを低減できないおそれがある。
カーボンブラックの割合は、ゴム成分100質量部に対して10質量部以上であってもよく、例えば、20〜180質量部、好ましくは30〜150質量部、さらに好ましくは50〜120質量部(例えば、60〜100質量部)、特に、65〜90質量部(例えば、70〜80質量部)程度である。
(他の可塑剤)
圧縮ゴム層を形成するゴム組成物は、前記ゴム成分及び前記耐発音性向上剤に加えて、ゴム成分の溶解度指数以下の溶解度指数を有する他の可塑剤(又は軟化剤)をさらに含んでいてもよい。他の可塑剤は、ゴム成分がエチレン−α−オレフィンエラストマーである場合、例えば、6.0〜8.1(cal/cm1/2、好ましくは6.5〜8.0(cal/cm1/2、さらに好ましくは7.0〜7.8(cal/cm1/2程度の溶解度指数を有する可塑剤であってもよい。他の可塑剤としては、例えば、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、プロセスオイルなどのオイル類などが挙げられる。
他の可塑剤(軟化剤)の割合は、ゴム成分100質量部に対して30質量部以下であってもよく、例えば、1〜30質量部、好ましくは2〜25質量部(例えば、3〜20質量部)、さらに好ましくは3.5〜15質量部(例えば、4〜10質量部)、特に、5〜8質量部(例えば、6〜8質量部)程度である。
(加硫剤及び共架橋剤)
圧縮ゴム層を形成するゴム組成物は、前記ゴム成分及び前記耐発音性向上剤に加えて、さらに加硫剤を含んでいてもよい。
加硫剤(又は架橋剤)としては、ゴム成分の種類に応じて慣用の成分が使用でき、例えば、有機過酸化物(ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアルキルパーオキサイドなど)、オキシム類(キノンジオキシムなど)、グアニジン類(ジフェニルグアニジンなど)、金属酸化物(酸化マグネシウム、酸化亜鉛など)、硫黄系加硫剤などが例示できる。これらの加硫剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。ゴム成分がエチレン−α−オレフィンエラストマーである場合、加硫剤としては、有機過酸化物、硫黄系加硫剤などが汎用される。
加硫剤の割合は、加硫剤及びゴム成分の種類に応じて、ゴム成分100質量部に対して1〜20質量部程度の範囲から選択できる。例えば、加硫剤としての有機過酸化物の割合は、ゴム成分100質量部に対して1〜8質量部、好ましくは1.5〜5質量部、さらに好ましくは2〜4.5質量部程度であってもよく、通常、3〜7質量部程度であってもよい。
圧縮ゴム層を形成するゴム組成物は、ビスマレイミド類(N,N’−m−フェニレンジマレイミドなどのアレーンビスマレイミド又は芳香族ビスマレイミド)などの共架橋剤をさらに含んでいてもよい。
共架橋剤の割合は、ゴム成分100質量部に対して0.01〜10質量部程度の範囲から選択でき、例えば、0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜6質量部、さらに好ましくは1〜5質量部(例えば、1〜3質量部)程度である。
(他の添加剤)
圧縮ゴム層を形成するゴム組成物は、前記ゴム成分及び前記耐発音性向上剤に加えて、さらに他の添加剤として、慣用の添加剤を含んでいてもよい。
慣用の添加剤としては、例えば、加硫促進剤、加硫遅延剤、加工剤又は加工助剤(ステアリン酸、ステアリン酸金属塩、ワックス、パラフィン、脂肪酸アマイドなど)、安定剤又は老化防止剤(紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱老化防止剤又は熱安定剤、屈曲き裂防止剤、オゾン劣化防止剤など)、着色剤、接着性改善剤[レゾルシン−ホルムアルデヒド共縮合物、ヘキサメトキシメチルメラミンなどのメラミン樹脂、これらの共縮合物(レゾルシン−メラミン−ホルムアルデヒド共縮合物など)など]、粘着付与剤、カップリング剤(シランカップリング剤など)、潤滑剤、難燃剤、帯電防止剤などを含んでいてもよい。これら他の添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これら他の添加剤の割合は、種類に応じて慣用の範囲から選択でき、例えば、ゴム成分100質量部に対して、それぞれ0.1〜5質量部(特に、0.5〜3質量部)程度であってもよい。
[Vリブドベルトの製造方法]
本発明のVリブドベルトの製造方法は特に制限されず、公知又は慣用の方法が採用できる。例えば、圧縮ゴム層と、芯体が埋設された接着層と、伸張層とを、それぞれ未加硫ゴム組成物で形成して積層し、この積層体を成形型で筒状に成形し、加硫してスリーブを成形し、この加硫スリーブを所定幅にカッティングすることにより形成できる。より詳細には、以下の方法でVリブドベルトを製造できる。
(第1の製造方法)
先ず、表面が平滑な円筒状の成形モールドに伸張層用シートを巻きつけ、このシート上に芯体を形成する心線(撚りコード)を螺旋状にスピニングし、さらに接着層用シート、圧縮ゴム層用シートを順次巻き付けて成形体を作製する。その後、加硫用ジャケットを成形体の上から被せて金型(成形型)を加硫缶内に収容し、所定の加硫条件で加硫した後、成形モールドから脱型して筒状の加硫ゴムスリーブを得る。そして、この加硫ゴムスリーブの外表面(圧縮ゴム層)を研削ホイールにより研磨して複数のリブを形成した後、カッターを用いてこの加硫ゴムスリーブをベルト長手方向に所定の幅にカットしてVリブドベルトに仕上げる。なお、カットしたベルトを反転させることにより、内周面にリブ部を有する圧縮ゴム層を備えたVリブドベルトが得られる。
(第2の製造方法)
先ず、内型として外周面に可撓性ジャケットを装着した円筒状内型を用い、外周面の可撓性ジャケットに未加硫の伸張層用シートを巻きつけ、このシート上に芯体を形成する心線を螺旋状にスピニングし、さらに未加硫の圧縮ゴム層用シートを巻き付けて積層体を作製する。次に、前記内型に装着可能な外型として、内周面に複数のリブ型が刻設された筒状外型を用い、この外型内に、前記積層体が巻き付けられた内型を、同心円状に設置する。その後、可撓性ジャケットを外型の内周面(リブ型)に向かって膨張させて積層体(圧縮ゴム層)をリブ型に圧入し、加硫する。そして、外型より内型を抜き取り、複数のリブを有する加硫ゴムスリーブを外型から脱型した後、カッターを用いて、加硫ゴムスリーブをベルト長手方向に所定の幅にカットしてVリブドベルトに仕上げる。この第2の製造方法では、伸張層、芯体、圧縮ゴム層を備えた積層体を一度に膨張させて複数のリブを有するスリーブ(又はVリブドベルト)に仕上げることができる。
(第3の製造方法)
第2の製造方法に関連して、例えば、特開2004−82702号公報に開示される方法(圧縮ゴム層のみを膨張させて予備成形体(半加硫状態)とし、次いで伸張層と芯体とを膨張させて前記予備成形体に圧着し、加硫一体化してVリブドベルトに仕上げる方法)を採用してもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。以下の例において、実施例に用いた原料、各物性における測定方法又は評価方法を以下に示す。なお、特にことわりのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
[原料]
EPDM:三井化学(株)製「EPT2060M」
ナイロン短繊維:66ナイロン、平均繊維径27μm、平均繊維長3mm
綿短繊維:デニム、平均繊維径13μm、平均繊維長6mm
酸化亜鉛:正同化学工業(株)製「酸化亜鉛3種」
ステアリン酸:日油(株)製「ステアリン酸つばき」
カーボンブラックHAF:東海カーボン(株)製「シースト3」、平均粒径28nm
カーボンブラックFEF:東海カーボン(株)製「シーストSO」、平均粒径43nm
含水シリカ:東ソー・シリカ(株)製「Nipsil VN3」
パラフィン系オイル(軟化剤):出光興産(株)製「ダイアナプロセスオイルPW−90」
界面活性剤:ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、日本乳化剤(株)製「ニューコール2304−Y」
エーテルエステル系可塑剤:(株)ADEKA製「RS−700」
炭酸カルシウム:白石カルシウム(株)製「ホワイトンSSB」
クレー(カオリナイト):白石カルシウム(株)製「ハードトップクレー」
クレー(モンモリロナイト):ホージュン(株)製「ベンゲルA」
タルク:富士タルク工業(株)製「RL217」、メディアン径20μm
ポリエチレン粒子:三井化学(株)製「ハイゼックスミリオン240S」
レゾルシン・ホルマリン共重合物(レゾルシノール樹脂):レゾルシノール20%未満、ホルマリン0.1%未満のレゾルシン・ホルマリン共重合物
老化防止剤:精工化学(株)製「ノンフレックスOD3」
有機過酸化物:日油(株)製「パークミルD−40」
加硫促進剤A:テトラメチルチウラム・ジスルフィド(TMTD)
加硫促進剤B:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジル−スルフェンアミド(CBS)
共架橋剤A:p,p’−ジベンジルキノンジオキシム、大内新興化学工業(株)製「バルノックDGM」
共架橋剤B:N,N’−m−フェニレンジマレイミド、大内新興化学工業(株)製「バルノックPM」
心線:1,000デニールのPET繊維を2×3の撚り構成で、上撚り係数3.0、下撚り係数3.0で諸撚りしたトータルデニール6,000のコードを接着処理した撚糸コード、心線径1.0mm。
実施例1〜22及び比較例1〜18
(Vリブドベルトの製造)
表1及び2に示す伸張層形成用のゴム組成物、圧縮ゴム層形成用のゴム組成物及び接着層形成用のゴム組成物を、それぞれバンバリーミキサーなどの公知の方法を用いてゴム練りを行い、この練りゴムをカレンダーロールに通して所定の厚みを有する伸張層形成用シート、圧縮ゴム層形成用シート及び接着層形成用シートを作製した。
Figure 0006674061
Figure 0006674061
次に、以下のような公知の方法を用いてVリブドベルトを作製した。先ず、表面が平滑な円筒状成形モールドに伸張層用シートを巻きつけ、この伸張層用シート上に芯体を形成する心線(撚りコード)を螺旋状にスピニングし、接着層用シート、圧縮ゴム層用シートを順次巻き付けて成形体を形成した。その後、加硫用ジャケットを成形体の上から被せた状態で、前記成形モールドを加硫缶に設置し、温度160℃、時間30分の条件で加硫した後、成形モールドから脱型して筒状の加硫ゴムスリーブを得た。そして、この加硫ゴムスリーブの外面(圧縮ゴム層)を研削ホイールにより所定の間隔で研削して複数のリブを形成した後、カッターを用いて、加硫ゴムスリーブをベルト長手方向に所定の幅でカットして、Vリブドベルトに仕上げた。
(Vリブドベルトの寸法)
得られたVリブドベルトは、図4及び表3に示すように、心線中央[2]からVリブドベルト背面[1]までの距離aを1.00mm、心線底部[3]からVリブドベルト背面[1]までの距離bを1.50mm、リブ底部[4]からVリブドベルト背面[1]までの距離cを2.30mm、リブ先端部[5]からVリブドベルト背面[1]までの距離dを4.30mm、リブピッチeを3.56mm、心線底部[3]からリブ底部[4]までの距離gを0.80mm、リブ先端部[5]からリブ底部[4]までの距離hを2.00mm、リブ先端部[5]から心線底部[3]までの距離iを2.80mmに調整した。
また、Vリブドベルトのリブ底部における曲率半径Rbは、表4〜6に示す値に調整し、Vリブ部のVリブ角度αは40°に調整した。
なお、後述する測定で使用した全てのプーリ(図5〜8記載の全てのプーリ)のリブ先端部における曲率半径Rpは、表4〜6に示す値であり、前記全てのプーリのVリブ溝角度βは40°であった。
Figure 0006674061
[フリクションロス(トルクロス)の測定]
図5に示すように、直径55mmの駆動(Dr)プーリと、直径55mmの従動(Dn)プーリで構成される2軸走行試験機にVリブドベルト(リブ数4、長さ750mm)を巻き掛け、100〜600N/ベルト1本の張力範囲でVリブドベルトに所定の初張力を付与し、従動プーリ無負荷で駆動プーリを2000rpmで回転させたときの駆動トルクと従動トルクとの差をトルクロスとして算出した。得られた結果を表4〜6に示す。なお、表には500Nの初張力を付与したときのトルクロスを示した。
なお、この測定で求められるトルクロスは、Vリブドベルトの屈曲損失によるトルクロス以外に、試験機の軸受けに起因するトルクロスも含まれている。そのため、Vリブドベルトとしてのトルクロスが実質0と考えられる金属ベルト(材質:マルエージング鋼)を予め走行させておき、このときの駆動トルクと従動トルクとの差が軸受けに起因するトルクロス(軸受け損失)と考え、Vリブドベルトを走行させて算出したトルクロス(Vリブドベルトと軸受けの二つに起因するトルクロス)から軸受けに起因するトルクロスを差し引いた値をVリブドベルト単体に起因するトルクロスとして求めた。ここで、差し引くトルクロス(軸受け損失)は所定の初張力で金属ベルトを走行させたときのトルクロス(例えば、初張力500N/ベルト1本でVリブドベルトを走行させた場合、この初張力で金属ベルトを走行させたときのトルクロス)である。このVリブドベルトのトルクロスが小さいほど省燃費性に優れていることを意味する。自動車エンジンでの省燃費性の観点から、トルクロスの目安として、0.25N・m以下に低減していることが好ましい。
[耐発音性試験(実車での発音測定)]
実車エンジンを使用し、図6に示すレイアウトでウォーターポンププーリ(直径107mm)、クランクプーリ(直径120mm)及び発電機プーリ(直径55mm)にVリブドベルトを掛架し、ベルト張力:300N/ベルト1本、発電機負荷:70A、クランク回転数:アイドリングの条件で、Vリブドベルト(リブ数4、長さ750mm)に注水して被水させた時のスティック・スリップ異音の発生を確認し、以下の基準で評価した。結果を表4〜6に示す。
◎:異音が発生しなかった
○:3秒以内の微小な異音が生じた(実用的に問題ないレベル)
△:3秒以内の小さな異音が生じた(エンジンルームでは聞き取れるが車内では聞き取れない。高度な静粛性が要求される場合にはNGであるが、通常は問題ないレベル)
×:3秒以上の連続した異音が生じた。
[耐発音性試験(ミスアライメント発音測定)]
耐発音性について、ミスアライメント発音試験でも評価した。評価に用いた試験機は、図7に示すように、駆動(Dr)プーリ(直径101mm)、アイドラー(Id)プーリ(直径70mm)、従動(Dn)プーリ(直径120mm)、テンション(Ten)プーリ(直径61mm)を配置して構成され、駆動プーリと従動プーリとの間で1.5°の角度でミスアライメントを設定した。この試験機の各プーリ間にVリブドベルト(リブ数6、長さ1200mm)を掛架し、25℃条件下で、駆動プーリの回転数1000rpmで走行させた。このときベルト張力が50N/リブになるように駆動プーリに荷重を付与した。そして、100ml/分で1分間ベルトに注水した際のスティック・スリップ異音(「キュルキュル」と聞こえる異音)の発生を確認し、実車での発音測定と同様の基準で評価した。結果を表4〜6に示す。
[リブ底部の粘着摩耗試験]
粘着摩耗試験は、図8にレイアウトを示すように、駆動(Dr)プーリ(直径120mm)、アイドラー(Id)プーリ(直径45mm)、従動(Dn)プーリ(直径120mm)を順に配置した試験機を用いて行った。詳しくは、試験機の各プーリにVリブドベルト(リブ数4、長さ1200mm)を掛架し、駆動プーリの回転数を4900rpm、アイドラープーリ及び従動プーリの負荷を11.7kWとし、ベルト初期張力(940N/4リブ)を付与してベルトを雰囲気温度25℃で5時間走行させた。走行後のVリブ部の底部(リブ底部)の粘着摩耗(「ネチャネチャ」と聞こえる粘着による異音)の発生を以下の基準で評価した。結果を表4〜6に示す。
◎:粘着摩耗が生じなかった
○:微小な粘着摩耗が生じたが、走行性能には問題ないレベルであった
×:走行上問題になる粘着摩耗が生じた。
Figure 0006674061
Figure 0006674061
Figure 0006674061
表4〜6の結果から明らかなように、内部損失(tanδ)が高い(又は耐発音性向上剤を添加した)ゴム組成物(A〜P)を使用し、曲率半径の差Rp−Rbが0.05mmよりも大きい(又はRb−Rpが−0.05mmよりも小さい)比較例4〜16では、トルクロスの値が0.30〜0.34N・mと大きくなった。
それに対して、内部損失(tanδ)が高いゴム組成物(A〜P)を使用しても曲率半径の差Rp−Rb(又はRb−Rp)が−0.05〜0.05mmの範囲内にある実施例1〜22では、耐発音性向上剤を添加したにもかかわらず、トルクロスの値が0.20〜0.25N・mと小さくなった。
なお、トルクロスが「0.30〜0.34N・m」の水準と「0.20〜0.25N・m」の水準との差、すなわち、トルクロスが「0.05〜0.14N・m」低減されることは、例えば、軽自動車の燃費で0.2%の向上に相当する有意な差である(自動車分野で燃費を0.1%向上させることは大きな効果)。
また、比較例1〜3は、内部損失(tanδ)が低い(又は耐発音性向上剤を添加していない)ゴム組成物(Q)を使用しているので、曲率半径の差Rp−Rb(又はRb−Rp)に拘わらずトルクロスは小さくなった。
さらに、曲率半径がRb>Rpで、その差が0.10mmと大きい比較例17〜18では、トルクロスは小さいものの、リブ底部の粘着摩耗が走行上問題になるレベルで生じた。
可塑剤や界面活性剤を配合したゴム組成物を用いた実施例1〜6及び17〜20、並びに比較例4〜11及び17〜18では、スティック・スリップ異音は発生しなかった(◎か○のレベル)。無機充填剤やポリエチレン粒子を配合したゴム組成物を用いた実施例7〜16及び21〜22、並びに比較例12〜16では、可塑剤や界面活性剤を配合した場合よりは劣るが、スティック・スリップ異音の発生は軽微であった(○か△のレベル)。これに対して、これらの耐発音性向上剤を用いない比較例1〜3では、スティック・スリップ異音が発生した。
以上の結果から実施例1〜22(特に、実施例2)のVリブドベルトとVリブドプーリとを組み合わせた駆動装置において、耐発音性(静粛性)を維持しつつ、省燃費性を向上(トルクロスを低減)できることが確認できた。
実施例23〜26
ベルトのリブ底部の曲率半径Rbを表7のように変更する以外は、実施例2と同様にしてVリブドベルトを調製し、試験に用いる全てのプーリのリブ先端部の曲率半径Rpを表7のように変更する(α=β=40°のまま、Rp−Rb=0となるよう変更する)以外は、実施例2と同様にして各種評価を行った。評価結果を実施例2と合わせて表7に示す。
Figure 0006674061
表7から明らかなように、曲率半径の差Rp−Rbを0にそろえた実施例のなかでも、ベルトのリブ底部の曲率半径Rbが小さい実施例(実施例23〜25、特に実施例23)では、実施例2に比べてトルクロスがやや大きくなる傾向が見られた。また、実施例23及び24では、ベルトと接触するプーリのリブ先端部の曲率半径Rpが小さく鋭利な形状となるためか、ベルトのリブ底部が削られ易く、走行に問題ないレベルではあるが微小な粘着摩耗が生じた。
本発明のVリブドベルトは、各種のベルト伝動システムのVリブドベルトとして利用でき、特に、発電装置であるオルタネータなどの小径プーリを含むシステム、例えば、自動車エンジン補機駆動システムのVリブドベルトとして有用である。
1…芯体
2…圧縮ゴム層
3…リブ(リブ部又はVリブ部)
3a…リブ底部(リブ溝底部)
4…接着層
5…伸張層
6…プーリのリブ先端部

Claims (9)

  1. Vリブドベルトと、このVリブドベルトのVリブ部と嵌合可能なVリブ溝部を有するプーリとを備えたベルト伝動装置であって;
    前記Vリブドベルトは、ベルト長手方向に沿って互いに平行して延びる複数のVリブ部を有し、かつ少なくとも一部が前記プーリのVリブ溝部と接触可能な摩擦伝動面を有する圧縮ゴム層を備え、前記圧縮ゴム層の摩擦伝動面が、ゴム成分及び耐発音性向上剤を含むゴム組成物の加硫物で形成され
    前記プーリは、トルク伝達を目的とし、かつ外径が65mm以下の小径プーリを含み;
    前記小径プーリのリブ先端部の曲率半径Rpと、前記Vリブドベルトのリブ底部の曲率半径Rbとの差Rp−Rbが−0.08〜0.08mmであり、かつ前記VリブドベルトのVリブ部のVリブ角度αと、前記小径プーリのVリブ溝角度βとの差α−βが−3〜3°であるベルト伝動装置
  2. 前記Vリブドベルトのリブ底部の曲率半径Rbが0.1〜0.5mmである請求項1記載のベルト伝動装置
  3. 前記曲率半径の差Rp−Rbが−0.05〜0.05mmである請求項1又は2記載のベルト伝動装置
  4. 前記VリブドベルトのVリブ部のVリブ角度αが30〜60°であり、前記Vリブ角度αと、前記小径プーリのVリブ溝角度βとの差α−βが−1〜1°である請求項1〜のいずれか一項に記載のベルト伝動装置
  5. 前記耐発音性向上剤が、界面活性剤、ゴム成分よりも大きい溶解度指数を有する可塑剤、無機粒子及びポリエチレン系樹脂粒子からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1〜のいずれか一項に記載のベルト伝動装置
  6. 前記耐発音性向上剤が、ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤を含み、ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤の割合が、ゴム成分100質量部に対して2〜20質量部である請求項1〜のいずれか一項に記載のベルト伝動装置
  7. 前記耐発音性向上剤が、エーテルエステル系可塑剤を含み、エーテルエステル系可塑剤の割合が、ゴム成分100質量部に対して5〜15質量部である請求項1〜のいずれか一項に記載のベルト伝動装置
  8. 前記ゴム成分が、エチレン−α−オレフィンエラストマーを含む請求項1〜のいずれか一項に記載のベルト伝動装置
  9. トルク伝達を目的とし、かつ外径65mm以下の小径プーリを含むプーリに、請求項1〜のいずれか一項に記載のVリブドベルトを掛架してベルト伝動装置のトルクロスを低減する方法。
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