JP6673484B2 - 圧電トランス - Google Patents
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Description
本発明は、圧電トランスに関するものである。
国際公開WO2015/171224(特許文献1)には、圧電体層を備える超音波トランスデューサが記載されている。特許文献1では、基板上に2種類の圧電体層の積層構造を載せることによって振動膜を構成している。この超音波トランスデューサでは、振動膜の中心部が腹となり、外周部が節となるようにして面に垂直な方向の変位を伴う振動モードを利用している。
特許文献1に記載されたものは超音波トランスデューサであるが、この超音波トランスデューサに含まれる圧電体層の積層構造を利用して圧電トランスフォーマ(以下「圧電トランス」という。)を実現しようとした場合、第2の圧電体層に電圧を印加し、積層構造で構成される振動膜を特定の振動モードで励振し、第1の圧電体層から変圧された電圧を取り出すということになる。
この変圧動作は、入力側のインピーダンスと出力側のインピーダンスとが異なることによって実現される。一般的には、入力側のインピーダンスが出力側のインピーダンスに対して低ければ、出力電圧としては昇圧された電圧を得ることができる。入力側のインピーダンスが出力側のインピーダンスに対して高ければ、出力電圧としては降圧された電圧を得ることができる。これらの昇圧/降圧の比率を併せて「変圧比」というものとすると、入出力のインピーダンス比を大きくすれば、より大きな変圧比を実現することができる。たとえば、特許文献1に記載された構造においては、圧電体の膜厚、材料、電極面積を変えることで変圧比をある程度まで大きくすることが可能である。ただし、圧電体の膜厚や材料は、製造面において品質やコストに大きく影響を与えるため自在に変えることは難しく、現実的には電極面積を変えることが最も容易な方法である。
しかしながら、電極面積は電気エネルギ−機械エネルギ間の変換効率に深く関わる因子であり、この変換効率を最大化する最適な電極面積が存在する。したがって、前記変圧比を高める目的で電極面積を変えると、変換効率は悪くなってしまい、結果的に圧電トランスとしての電力伝送効率が悪くなってしまうという問題があった。
そこで、本発明は、高い変圧比を実現することができる圧電トランスを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に基づく圧電トランスは、基材と、上記基材によって支持された上部層とを備える。上記上部層は、上記上部層のうち上記基材に重ならない部分である振動部集合部を含む。上記振動部集合部は、厚み方向に互いに離隔して厚み方向に順に並ぶように配置された出力電極、出力側中間電極、入力側中間電極および入力電極を含む。nを3以上の整数としたとき、上記振動部集合部は、1つの方向に並ぶn個の振動部を含む。上記上部層は、少なくとも上記n個の振動部の各々において上記出力電極および上記出力側中間電極によって挟み込まれる部分を含むように配置された第1圧電体層と、上記第1圧電体層に重なるように配置されつつ少なくとも上記n個の振動部の各々において上記入力側中間電極および上記入力電極によって挟み込まれる部分を含むように配置された第2圧電体層とを含む。上記入力電極は、上記n個の振動部のうち少なくとも1つの振動部に対応するように配列された1個以上n個以下の入力電極片を含む。上記出力電極は、上記n個の振動部のうち少なくとも1つの振動部に対応するように配列された1個以上n個以下の出力電極片を含む。上記出力側中間電極は、上記n個の振動部のうち少なくとも1つの振動部に対応するように配列された1個以上n個以下の出力側中間電極片を含む。上記第2圧電体層は、上記n個の振動部にわたって一定の向きに分極されている。上記n個の振動部の各々を、上記1つの方向に沿って一端から他端にかけて1番目からn番目の振動部と呼ぶこととしたとき、上記1個以上n個以下の入力電極片においては、奇数番目の振動部に対応する入力電極片のうち1つ以上が属する集合である第1入力電極片群と、偶数番目の振動部に対応する入力電極片のうち1つ以上が属する集合である第2入力電極片群とに対して、上記入力側中間電極の電位を基準として逆相となるような電圧を、それぞれ印加可能なように配線されている。上記第1圧電体層は、上記n個の振動部にわたって一定の向きに分極されている。上記1個以上n個以下の出力電極片は、互いに電気的に接続された第1出力電極片および第2出力電極片を含む。上記1個以上n個以下の出力側中間電極片は、互いに電気的に接続された第1出力側中間電極片および第2出力側中間電極片を含む。上記第2出力電極片と上記第1出力側中間電極片とが厚み方向に重なり合っている。上記第1出力電極片は、上記第1出力側中間電極片および上記第2出力側中間電極片のいずれに対しても厚み方向に重なり合っていない。上記第2出力側中間電極片は、上記第1出力電極片および上記第2出力電極片のいずれに対しても厚み方向に重なり合っていない。
本発明によれば、出力側中間電極片と出力電極片との連鎖的組合せによって電位差は大きくなるので、出力電圧を大きな電圧とすることできる。いいかえれば、高い変圧比を実現することができる。
図面において示す寸法比は、必ずしも忠実に現実のとおりを表しているとは限らず、説明の便宜のために寸法比を誇張して示している場合がある。以下の説明において、上または下の概念に言及する際には、絶対的な上または下を意味するとは限らず、図示された姿勢の中での相対的な上または下を意味する場合がある。
(実施の形態1)
図1〜図8を参照して、本発明に基づく実施の形態1における圧電トランスについて説明する。本実施の形態における圧電トランス101の外観を図1に示す。圧電トランス101の平面図を図2に示す。図2におけるIII−III線に関する矢視断面図を図3に示す。圧電トランス101に含まれる各層における導体パターンなどのレイアウトを、図4〜図7に示す。圧電トランス101の振動膜を、関連する配線と共に表示した概念図を図8に示す。
図1〜図8を参照して、本発明に基づく実施の形態1における圧電トランスについて説明する。本実施の形態における圧電トランス101の外観を図1に示す。圧電トランス101の平面図を図2に示す。図2におけるIII−III線に関する矢視断面図を図3に示す。圧電トランス101に含まれる各層における導体パターンなどのレイアウトを、図4〜図7に示す。圧電トランス101の振動膜を、関連する配線と共に表示した概念図を図8に示す。
図1に示すように、圧電トランス101は、基材1と、基材1によって支持された上部層15とを備える。基材1は、たとえばSiからなる部材であってもよい。基材1は板状のものとは限らないが、板状の部材を用いて形成することができる。たとえばSi基板を利用して基材1を形成してもよい。図3に示すように、上部層15は、上部層15のうち基材1に重ならない部分である振動部集合部9を含む。振動部集合部9は、厚み方向に互いに離隔して厚み方向に順に並ぶように配置された出力電極2、出力側中間電極41、入力側中間電極42および入力電極6を含む。ここで示す例では、基材1から近い側から順に、出力電極2、出力側中間電極41、入力側中間電極42および入力電極6と並んでいるが、逆の順であってもよい。nを3以上の整数としたとき、振動部集合部9は、1つの方向に並ぶn個の振動部9a〜9dを含む。ここでは、説明の便宜のため、n=4であるものとして以下の説明を続けるが、これはあくまで一例であって、nは4以外であってもよい。上部層15は、少なくともn個の振動部9a〜9dの各々において出力電極2および出力側中間電極41によって挟み込まれる部分を含むように配置された第1圧電体層3と、第1圧電体層3に重なるように配置されつつ少なくともn個の振動部9a〜9dの各々において入力側中間電極42および入力電極6によって挟み込まれる部分を含むように配置された第2圧電体層5とを含む。入力電極6は、n個の振動部9a〜9dのうち少なくとも1つの振動部に対応するように配列された1個以上n個以下の入力電極片6a〜6dを含む。出力電極2は、n個の振動部9a〜9dのうち少なくとも1つの振動部に対応するように配列された1個以上n個以下の出力電極片2a〜2dを含む。入力側中間電極42は、n個の振動部9a〜9dのうち少なくとも1つの振動部に対応するように配列された1個以上n個以下の入力側中間電極片42a〜42dを含む。出力側中間電極41は、n個の振動部9a〜9dのうち少なくとも1つの振動部に対応するように配列された1個以上n個以下の出力側中間電極片41a〜41dを含む。
図8に示すように、第2圧電体層5は、n個の振動部9a〜9dにわたって一定の向きに分極されている。第1圧電体層3も、n個の振動部9a〜9dにわたって一定の向きに分極されている。図8において第1圧電体層3および第2圧電体層5の内部に表示された矢印は分極の向きを表す。
n個の振動部の各々を、前記1つの方向に沿って一端から他端にかけて1番目からn番目の振動部と呼ぶこととしたとき、奇数番目の振動部に対応する入力電極片のうち1つ以上が属する集合である第1入力電極片群と、偶数番目の振動部に対応する入力電極片のうち1つ以上が属する集合である第2入力電極片群とに対して、入力側中間電極42の電位を基準として逆相となるような電圧を、それぞれ印加可能なように配線されている。
1個以上n個以下の出力電極片2a〜2dは、互いに電気的に接続された第1出力電極片および第2出力電極片を含む。ここでは、図7および図8に示すように、たとえば出力電極片2aと出力電極片2bとが互いに電気的に接続されているので、出力電極片2aが第1出力電極片に相当し、出力電極片2bが第2出力電極片に相当する。
1個以上n個以下の出力側中間電極片41a〜41dは、互いに電気的に接続された第1出力側中間電極片および第2出力側中間電極片を含む。ここでは、図6および図8に示すように、たとえば出力側中間電極片41bと出力側中間電極片41cとが互いに電気的に接続されているので、出力側中間電極片41bが第1出力側中間電極片であり、出力側中間電極片41cが第2出力側中間電極片であるとみなすことができる。
第2出力電極片としての出力電極片2bと第1出力側中間電極片としての出力側中間電極片41bとが厚み方向に重なり合っている。第1出力電極片としての出力電極片2aは、第1出力側中間電極片としての出力側中間電極片41bおよび第2出力側中間電極片としての出力側中間電極片41cのいずれに対しても厚み方向に重なり合っていない。第2出力側中間電極片としての出力側中間電極片41cは、第1出力電極片としての出力電極片2aおよび第2出力電極片としての出力電極片2bのいずれに対しても厚み方向に重なり合っていない。
圧電トランス101は、パッド電極35に与えられる電位を基準としてパッド電極31,32の間に互いに逆相となる電圧をそれぞれ入力して使用すべきものである。パッド電極31,32にそれぞれ入力される電圧を、互いに逆相とするための機構自体を、圧電トランス自体が備えていてもよい。入力される電圧を逆相とするための機構は、圧電トランス101に含まれないものとして、使用者が別途用意するものとしてもよい。
圧電トランス101を得るための製造方法について説明する。
基材1としてのSi基板の表面にMo膜を厚み100nmとなるように成膜し、このMo膜をパターニングする。これによって、出力電極2が形成される。なお、出力電極2を形成する前にAlN膜を成膜して、出力電極保護膜(図示せず)を形成してもよい。出力電極保護膜は、図3における出力電極2を下側から一括して覆う形で形成される保護膜である。図3では出力電極保護膜がない例を示している。
基材1としてのSi基板の表面にMo膜を厚み100nmとなるように成膜し、このMo膜をパターニングする。これによって、出力電極2が形成される。なお、出力電極2を形成する前にAlN膜を成膜して、出力電極保護膜(図示せず)を形成してもよい。出力電極保護膜は、図3における出力電極2を下側から一括して覆う形で形成される保護膜である。図3では出力電極保護膜がない例を示している。
出力電極2を上側から覆うように、第1圧電体層3としてのAlN膜を、厚み1000nmとなるようにスパッタ法を用いて成膜する。続いて、第1圧電体層3を覆うようにMo膜を厚み100nmとなるように成膜し、このMo膜をパターニングする。これにより出力側中間電極41を得る。さらに出力側中間電極41を覆うように、中間絶縁層10としてのAlN膜を、厚み1000nmとなるようにスパッタ法を用いて成膜する。
Pt膜を厚み100nmとなるように成膜し、このPt膜をパターニングする。Pt膜と第1圧電体層3であるAlN膜の間には密着層を形成してもよい。こうしてパターニングしたPt膜によって、入力側中間電極42を得る。
続いて、第2圧電体層5としてのPZT膜を、厚み1200nmでスパッタ法、あるいはゾルゲル法を用いて成膜する。続いて、第2圧電体層5を覆うように厚み100nmのAu膜を成膜し、パターニングする。このAu膜と第2圧電体層5であるPZT膜との間には、密着層を形成してもよい。こうして、パターニングしたAu膜によって、入力電極6が形成される。
続いて、出力電極2、出力側中間電極41、入力側中間電極42にそれぞれ接続するためのパッド電極となる部分を露出させるために、第1圧電体層3、中間絶縁層10および第2圧電体層5をエッチングする。パッド電極33,34は配線によって出力側中間電極41に接続されている。本実施の形態では、出力側中間電極41が1個以上n個以下の出力側中間電極片41a〜41dに分割されており、パッド電極33から出力側中間電極片41aに配線が接続されている。パッド電極34から出力側中間電極片41dに配線が接続されている。出力側中間電極片41bと出力側中間電極片41cとは互いに電気的に接続されている。パッド電極35は配線によって入力側中間電極42に接続されている。本実施の形態では、入力側中間電極42が1個以上n個以下の入力側中間電極片42a〜42dに分割されており、パッド電極35から1個以上n個以下の入力側中間電極片42a〜42dの各々に配線が接続されている。パッド電極33,34を露出させるためには、第2圧電体層5および中間絶縁層10をエッチングする。パッド電極35を露出させるためには、第2圧電体層5をエッチングする。その後、各パッド電極が露出した部分においては、露出した各パッド電極を覆うようにAl膜などを形成する。
続いて、基材1の裏面から、出力電極2および第1圧電体層3に到達するまで基材1をエッチングする。この際、上述した出力電極保護膜があれば、出力電極保護膜によってエッチングの進行を遮断することが容易にできる。こうして、基材1に開口部8が形成され、開口部8の上側に残る部分は振動部集合部9となる。ここで示す例では、開口部8は貫通孔として形成されている。
以上のようにして、図1〜図3に示した構造の圧電トランス101を得ることができる。
本実施の形態で示した例では、振動部集合部9は主に出力電極2、第1圧電体層3、出力側中間電極41、入力側中間電極42、第2圧電体層5、入力電極6の積層構造で構成されているが、これ以外にも可撓膜として1000nm程度の厚みで別途形成されたAlN膜やSiN膜、SiO2膜、ZrO2膜などが積層されていてもよい。また、基材1を得るためにSi基板の代わりにSOI基板などを用いて、活性層としてのSi層を可撓膜として用いてもよい。SOI基板における活性層としてのSi層の厚みはたとえば3μm以上50μm以下であってもよく、このSi層をそのままの厚みで可撓膜として用いることとしてもよい。
本実施の形態で示した例では、振動部集合部9に存在する出力電極2、出力側中間電極41、入力側中間電極42、入力電極6は、それぞれ4つの島状の部分に分割されている。ここで、出力電極2、出力側中間電極41、入力側中間電極42、入力電極6の各々の分割数を「4つ」としているが、これはあくまで一例であり、振動部の数nが変われば、出力電極2、出力側中間電極41、入力側中間電極42、入力電極6の各々の分割数もこれに合わせて変わりうる。各々の分割数は、適宜、他の数であってもよい。
図2に示すように、入力電極4においては、隣り同士の電極が電気的に分離されており、1つ飛ばしで配線を介して導通するように接続されている。入力電極6に属する1個以上n個以下の入力電極片6a〜6dは、2つの群に分けられる。すなわち、入力電極片6a,6cからなる第1入力電極片群と、入力電極片6b,6dからなる第2入力電極片群とに分けられる。同一の入力電極片群内では各入力電極片は同電位であるが、異なる入力電極片群同士は異なる電位となりうる。
図2では配線が実線および破線で示されているが、各パッド電極からどこに配線が接続されているかがわかりやすいように、異なる層にある配線の位置を少しずつずらして表示している。これらの配線のずらした配置はあくまで説明の便宜のためであって、実際には、異なる層にある配線同士が上から見たときに重なる位置関係となっていてもよい。配線の電気的接続関係については、図4〜図8にも示されている。
本実施の形態では、図8に示すように、入力側中間電極42を基準電位として、第1入力電極片群を交流電源の入力端子36に、第2入力電極片群を位相反転器30を介して入力端子36に接続した。ここでいう入力端子36は、パッド電極31,32とは別に存在するものとしたが、圧電トランス101が位相反転器30を備えるものとしてもよい。その場合、パッド電極31と第1入力電極片群との間、あるいは、パッド電極32と第2入力電極片群との間のいずれか一方に位相反転機能を備えてもよい。これらのうちいずれか一方に位相反転機能が備わっていれば、交流電源から供給される同位相の入力電圧Vinをパッド電極31,32の両方に同じく接続するだけで一方の位相が反転する構成とすることができる。
本実施の形態では、パッド電極33,34間において出力電圧Voutを取り出すことができる。
ここで示す例では、入力側中間電極42は、n個の振動部9a〜9dのうち少なくとも1つの振動部に対応するように配列された1個以上n個以下の入力側中間電極片42a〜42dを含むものとしたが、入力側中間電極42は、n個の振動部9a〜9dの全体を一括して覆う一体物の電極であってもよい。
たとえば図8においては、出力側中間電極片41bと出力側中間電極片41cとは別々の電極片であって配線によって電気的に接続されているものとして示したが、このような構成に限らない。このように電気的に接続されて同電位とされるべき電極片同士については、振動部ごとに個別に分割された形の電極片として設ける代わりに、複数の振動部にまたがって一体的となった形状の電極片として設けることとしてもよい。
出力電極においても同様であり、電気的に接続されて同電位とされるべき電極片同士については、複数の振動部にまたがって一体的となった形状の電極片として設けることとしてもよい。
たとえば図8においては、出力側中間電極片41bと出力側中間電極片41cとが配線によって互いに接続されて同電位とされているが、これらはフロート状態となっている。このようなフロート状態とする代わりに、図30に示すような構成としてもよい。すなわち、出力側中間電極片41bと出力側中間電極片41cとを接続する配線からパッド電極37を引き出し、パッド電極37を基準として2通りの出力電圧を取り出すことが考えられる。図30に示した例では、パッド電極34,37間において出力電圧Vout1を取り出し、パッド電極33,37間において出力電圧Vout2を取り出している。このようにすることで2通りの出力電圧を得ることができる。
以上のように得られた素子は、交流電源の電圧を変圧して出力端子に出力させる圧電トランスとして利用できる。本実施の形態によれば、高い変圧比を実現することができる。このことについて、以下に詳しく説明する。
本実施の形態における圧電トランスは、具体的には、以下のような原理で駆動する。まず、交流電源による印加電圧によって第2圧電体層5であるPZT膜が伸縮し、その結果、図9に示すように振動部9a〜9dの各々が駆動する。
図9では、第1圧電体層3および第2圧電体層5の中に表示された単純な矢印は分極の向きを表し、第2圧電体層5の中に表示された白抜き矢印は発生する電界の向きを表す。
この際、図9に示すように、第1入力電極片群としての入力電極片6a,6cが配置される領域と第2入力電極片群としての入力電極片6b,6dが配置される領域とで、与えられる電圧が逆位相であるので、これらの領域の第2圧電体層5に生じる変形は互いに逆相となる。第1入力電極片群が配置される領域と第2入力電極片群の配置される領域とは交互に並ぶように配列されているので、第1入力電極片群が配置される領域と第2入力電極片群の配置される領域とで変位が逆相となるような振動モードが励振される。こうして、振動部9a〜9dは共振振動となる。
振動部9a〜9dの共振振動によって第1圧電体層3であるAlN膜には電荷が発生する。第2圧電体層5によって引き起こされる変位が互いに逆相であるので、図9に「+」および「−」によって示すように、出力電極片2a,2cが配置される領域と出力電極片2b,2dが配置される領域とで、発生する電荷の極性は逆となる。出力電極片2aに「−」マークが表示されているのは出力側中間電極片41aと出力電極片2aとの間で、出力電極片2aには相対的に負の電荷が集まるという意味である。同様に、出力電極片2bに「+」マークが表示されているのは出力側中間電極片41bと出力電極片2bとの間で、出力電極片2bには相対的に正の電荷が集まるという意味である。出力電極片2aには「−」マークが表示され、出力電極片2bには「+」マークが表示されており、マークの種類としては異なるが、出力電極片2aと出力電極片2bとは、電気的に接続されているので、同電位である。出力側中間電極片41bと出力側中間電極片41cとの間も、電気的に接続されているので、同電位である。第2圧電体層5によって生じる電荷はそれぞれ相対的なものであるので、出力側中間電極片と出力電極片との連鎖的組合せによって電位差は大きくなる。こうして、出力電圧を大きな電圧とすることできる。これは、複数個の電池を直列につないだときに得られる電圧が大きくなるのと同じ原理である。たとえば出力側中間電極片41aと出力電極片2aとの間で生じる電位差に比べて、出力側中間電極片41a、出力電極片2a、出力電極片2b、出力側中間電極片41b、出力側中間電極片41c、出力電極片2c、出力電極片2d、出力側中間電極片41dの連なりによって出力側中間電極片41aと出力側中間電極片41dとの間で生じる電位差はほぼ4倍となる。
最終的に、生じた電位差はパッド電極33,34間から出力電圧として検出される。この際、得られる出力電圧Voutは入力電圧Vinに比べて大きな電圧とすることができる。特に、ここで示した例のように、第1圧電体層3をAlN膜によって形成し、第2圧電体層5をPZT膜によって形成することとすれば、出力電圧Voutは入力電圧Vinよりも大きくしやすいので、より大きな変圧比で昇圧動作を行なうことができる。
圧電トランスにおいて、1個以上n個以下の出力電極片2a〜2dは、互いに電気的に接続された第3出力電極片および第4出力電極片を含み、前記第第3出力電極片と前記第2出力電極片とは、互いに絶縁されており、前記第3出力電極片と前記第2出力側中間電極片とが厚み方向に重なり合っており、前記第4出力電極片は、前記第1出力側中間電極片および前記第2出力側中間電極片のいずれにも厚み方向に重なり合っていないことが好ましい。図8に示した例では、この条件が満たされている。図8に示した例では、圧電トランスは、第3出力電極片として出力電極片2cを備え、第4出力電極片として出力電極片2dを備える。出力電極片2cと出力電極片2dとは互いに電気的に接続されている。第4出力電極片として出力電極片2dは、第1出力側中間電極片としての出力側中間電極片41bおよび第2出力側中間電極片としての出力側中間電極片41cのいずれにも厚み方向に重なり合っていない。
圧電トランスを作製する際には、圧電トランスとして駆動する前に、第1入力電極片群としての入力電極片6a,6cと入力側中間電極42との間に、入力電圧Vinよりも大きい直流電圧であって、かつ、第2圧電体層5にその抗電界を超えるような電界を印加できるような直流電圧を印加することによって分極処理を行なうことが好ましい。この場合、併せて第2入力電極片群としての入力電極片6b,6dと入力側中間電極42との間にも、先ほど印加したのと同じ振幅、極性で直流電圧を印加することによって分極処理をすることが好ましい。
(実施の形態2)
図10〜図13を参照して、本発明に基づく実施の形態2における圧電トランスについて説明する。本実施の形態における圧電トランス102の外観を図10に示す。圧電トランス102の平面図を図11に示す。圧電トランス102に含まれる第2圧電体層5の上面における入力電極6などのレイアウトを図12に示す。他の各層における導体パターンなどのレイアウトは、実施の形態1において図5〜図7に示したものと同じである。圧電トランス102の振動膜を、関連する配線と共に表示した概念図を図13に示す。
図10〜図13を参照して、本発明に基づく実施の形態2における圧電トランスについて説明する。本実施の形態における圧電トランス102の外観を図10に示す。圧電トランス102の平面図を図11に示す。圧電トランス102に含まれる第2圧電体層5の上面における入力電極6などのレイアウトを図12に示す。他の各層における導体パターンなどのレイアウトは、実施の形態1において図5〜図7に示したものと同じである。圧電トランス102の振動膜を、関連する配線と共に表示した概念図を図13に示す。
図10に示すように、圧電トランス102は、基材1と、基材1によって支持された上部層15とを備える。基材1に関する詳細は、実施の形態1で説明した通りである。上部層15は、上部層15のうち基材1に重ならない部分である振動部集合部9を含む。振動部集合部9は、厚み方向に互いに離隔して基材1の側から順に厚み方向に並ぶように配置された出力電極2、出力側中間電極41、入力側中間電極42および入力電極6を含む。nを3以上の整数としたとき、振動部集合部9は、1つの方向に並ぶn個の振動部9a〜9dを含む。ここでは、説明の便宜のため、n=4であるものとして以下の説明を続けるが、これはあくまで一例であって、nは4以外であってもよい。上部層15は、少なくともn個の振動部9a〜9dの各々において出力電極2および出力側中間電極41によって挟み込まれる部分を含むように配置された第1圧電体層3と、第1圧電体層3に重なるように配置されつつ少なくともn個の振動部9a〜9dの各々において入力側中間電極42および入力電極6によって挟み込まれる部分を含むように配置された第2圧電体層5とを含む。入力電極6は、n個の振動部9a〜9dのうち少なくとも一部に対応するように分割されて配列された1個以上n個以下の入力電極片6a〜6dを含む。出力電極2は、n個の振動部9a〜9dのうち少なくとも一部に対応するように分割されて配列された1個以上n個以下の出力電極片2a〜2dを含む。出力側中間電極41は、n個の振動部9a〜9dのうち少なくとも一部に対応するように分割されて配列された1個以上n個以下の出力側中間電極片41a〜41dを含む。
n個の振動部の各々を、前記1つの方向に沿って一端から他端にかけて1番目からn番目の振動部と呼ぶこととしたとき、図13に示すように、第2圧電体層5は、n個の振動部9a〜9dのうち少なくとも一部に対応するように1個以上n個以下の分極領域を有しており、1個以上n個以下の分極領域においては、奇数番目の振動部に対応する分極領域のうち1つ以上が属する集合である第1分極領域群と、偶数番目の振動部に対応する分極領域のうち1つ以上が属する集合である第2分極領域群とで、互いに逆向きとなるようにそれぞれ分極されている。1個以上n個以下の入力電極片6a〜6dにおいては、入力側中間電極42の電位を基準として同位相の電圧を、それぞれ印加可能なように配線されている。第1圧電体層3は、n個の振動部9a〜9dにわたって一定の向きに分極されている。図13において第1圧電体層3および第2圧電体層5の内部に表示された矢印は分極の向きを表す。
1個以上n個以下の出力電極片2a〜2dは、互いに電気的に接続された第1出力電極片および第2出力電極片を含む。1個以上n個以下の出力側中間電極片41a〜41dは、互いに電気的に接続された第1出力側中間電極片および第2出力側中間電極片を含む。第2出力電極片と第1出力側中間電極片とが厚み方向に重なり合っている。第1出力電極片は、第1出力側中間電極片および第2出力側中間電極片のいずれに対しても厚み方向に重なり合っていない。第2出力側中間電極片は、第1出力電極片および第2出力電極片のいずれに対しても厚み方向に重なり合っていない。
本実施の形態では、図13に示すように、入力側中間電極42を基準電位として、1個以上n個以下の入力電極片6a〜6dの全てを交流電源の入力端子としてのパッド電極31に接続した。パッド電極35は配線によって入力側中間電極42に接続されている。
本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、パッド電極33,34間において出力電圧Voutを取り出すことができる。
本実施の形態では、実施の形態1に比べて入力側の構成が異なるが、出力側の構成は実施の形態1と同じである。本実施の形態においても、圧電トランスとして利用できる。本実施の形態により、実施の形態1と同様に、高い変圧比を実現することができる。本実施の形態では、入力側の第2圧電体層5を単一位相の電圧で駆動することができるので、入力側の配線や回路を簡素化することができる。
本実施の形態では、入力電圧Vinを印加したときの挙動は、図14に示すようになる。各矢印の意味は図9に関して説明したのと同様である。図14では、第2圧電体層5の1個以上n個以下の分極領域に印加される電圧はいずれも同位相であるので、電界を表す白抜き矢印の向きはいずれも同じとなっている。本実施の形態では、第2圧電体層5の1個以上n個以下の分極領域は図14に単純矢印で示すように隣り合うもの同士が逆向きとなるようにそれぞれ分極されているので、たとえ電界の向きが同じであってもそれぞれ逆向きに変形を引き起こす。こうして、振動部9a〜9dは共振振動となる。
この共振振動によって出力側の第1圧電体層3で電荷が発生する。この電荷が出力電圧として取り出される仕組みについては、実施の形態1で説明したものと同じである。
(実施の形態3)
図15〜図20を参照して、本発明に基づく実施の形態3における圧電トランスについて説明する。本実施の形態における圧電トランス103の平面図を図15に示す。圧電トランス103に含まれる各層における導体パターンなどのレイアウトを、図16〜図19に示す。圧電トランス103の振動膜を、関連する配線と共に表示した概念図を図20に示す。
図15〜図20を参照して、本発明に基づく実施の形態3における圧電トランスについて説明する。本実施の形態における圧電トランス103の平面図を図15に示す。圧電トランス103に含まれる各層における導体パターンなどのレイアウトを、図16〜図19に示す。圧電トランス103の振動膜を、関連する配線と共に表示した概念図を図20に示す。
圧電トランス103は、実施の形態1で説明した圧電トランス101においてn=2としたものに相当する。すなわち、図20に示すように、振動部集合部9は2個の振動部9a,9bを含む。入力電極6は、n個すなわち2個の振動部9a,9bのうち少なくとも一部に対応するように分割されて配列された1個以上n個以下の入力電極片6a,6bを含む。出力電極2は、n個すなわち2個の振動部9a,9bのうち少なくとも一部に対応するように分割されて配列された1個以上n個以下の出力電極片2a,2bを含む。出力側中間電極41は、n個すなわち2個の振動部9a,9bのうち少なくとも一部に対応するように分割されて配列された1個以上n個以下の出力側中間電極片41a,41bを含む。入力側中間電極42は、n個すなわち2個の振動部9a,9bのうち少なくとも一部に対応するように分割されて配列された1個以上n個以下の入力側中間電極片42a,42bを含む。
本実施の形態では、n=2であるので、第1入力電極片群には入力電極片6aのみが属し、第2入力電極片群には入力電極片6bのみが属する。第1入力電極片群と第2入力電極片群とに対して、入力側中間電極42の電位を基準として逆相となるような電圧を、それぞれ印加可能なように配線されている。
出力電極片2aと出力電極片2bとは互いに電気的に接続されている。出力側中間電極片41aは出力電極片2aに対して厚み方向に重なり合っている。出力側中間電極片41bは出力電極片2bに対して厚み方向に重なり合っている。出力側中間電極片41aはパッド電極33に接続されている。出力側中間電極片41bはパッド電極34に接続されている。
本実施の形態における圧電トランスは、以下のように表現することができる。本実施の形態における圧電トランスは、基材1と、基材1によって支持された上部層15とを備える。上部層15は、上部層15のうち基材1に重ならない部分である振動部集合部9を含む。振動部集合部9は、厚み方向に互いに離隔して厚み方向に順に並ぶように配置された出力電極2、出力側中間電極41、入力側中間電極42および入力電極6を含む。振動部集合部9は、1つの方向に並ぶ第1、第2の振動部9a,9bを含み、上部層15は、第1、第2の振動部9a,9bの各々において出力電極2および出力側中間電極41によって挟み込まれる部分を含むように配置された第1圧電体層3と、第1圧電体層3に重なるように配置されつつ第1、第2の振動部9a,9bの各々において入力側中間電極42および入力電極6によって挟み込まれる部分を含むように配置された第2圧電体層5とを含む。入力電極6は、第1、第2の振動部9a,9bに対応するように配列された第1、第2の入力電極片6a,6bを含む。出力電極2は、第1、第2の振動部9a,9bに対応するように配列された第1、第2の出力電極片2a,2bを含む。第2圧電体層5は、第1、第2の振動部9a,9bにわたって一定の向きに分極されている。第1の入力電極片6aと、第2の入力電極片6bとに対して、入力側中間電極42の電位を基準として逆相となるような電圧を、それぞれ印加可能なように配線されている。第1圧電体層3は、第1、第2の振動部9a,9bにわたって一定の向きに分極されている。出力側中間電極41は、第1出力側中間電極片41aおよび第2出力側中間電極片41bを含む。第1出力電極片2aと第1出力側中間電極片41aとが厚み方向に重なり合っている。第2出力電極片2bと第2出力側中間電極片41bとが厚み方向に重なり合っている。
本実施の形態では、交流電源による印加電圧によって第2圧電体層5であるPZT膜が伸縮し、その結果、振動部9a,9bの各々が駆動する。この際、図20に示すように、第1入力電極片群としての入力電極片6aが配置される領域と第2入力電極片群としての入力電極片6bが配置される領域とで、与えられる電圧が逆位相であるので、これらの領域の第2圧電体層5に生じる変形は互いに逆相となる。第1入力電極片群が配置される領域と第2入力電極片群の配置される領域とで変位が逆相となるような振動モードが励振される。こうして、振動部9a,9bは共振振動となる。
振動部9a,9bの共振振動によって第1圧電体層3であるAlN膜には電荷が発生する。出力電極片2aと出力電極片2bとは電気的に接続されていることにより、同電位であるので、出力側中間電極片41aと出力側中間電極片41bとの間の電位差は、出力側中間電極片41aと出力電極片2aとの間の電位差に比べて約2倍となる。パッド電極33,34においては、出力側中間電極片41aと出力側中間電極片41bとの間の電位差を取り出しているので、出力電圧Voutとして大きな電圧を得ることができる。
特に、ここで示した例のように、第1圧電体層3をAlN膜によって形成し、第2圧電体層5をPZT膜によって形成することとすれば、出力電圧Voutは入力電圧Vinよりも大きくしやすいので、より大きな変圧比で昇圧動作を行なうことができる。
ここでは、出力電極2は、第1、第2の振動部9a,9bに対応するように配列された第1、第2の出力電極片2a,2bを含むものとしたが、出力電極2がこのように2つの電極片に分かれておらず、第1、第2の振動部9a,9bをカバーするように延在する一体的な電極であってもよい。後述する変形例においても同様である。
本実施の形態における圧電トランスの変形例として、以下のようなものも考えられる。図31に主要部を示すように、圧電トランスは、基材1と、基材1によって支持された上部層15とを備える。上部層15は、上部層15のうち基材1に重ならない部分である振動部集合部9を含む。振動部集合部9は、厚み方向に互いに離隔して厚み方向に順に並ぶように配置された出力電極2、出力側中間電極41、入力側中間電極42および入力電極6を含む。振動部集合部9は、1つの方向に並ぶ第1、第2の振動部9a,9bを含む。上部層15は、第1、第2の振動部9a,9bの各々において出力電極2および出力側中間電極41によって挟み込まれる部分を含むように配置された第1圧電体層3と、第1圧電体層3に重なるように配置されつつ第1、第2の振動部9a,9bの各々において入力側中間電極42および入力電極6によって挟み込まれる部分を含むように配置された第2圧電体層5とを含む。入力電極6は、第1、第2の振動部9a,9bに対応するように配列された第1、第2の入力電極片6a,6bを含む。出力電極2は、第1、第2の振動部9a,9bに対応するように配列された第1、第2の出力電極片2a,2bを含む。第2圧電体層5は、第1の振動部9aと第2の振動部9bとで互いに逆向きとなるようにそれぞれ分極されている。第1の入力電極片6aと、第2の入力電極片6bとに対しては、入力側中間電極42の電位を基準として同位相の電圧を、それぞれ印加可能なように配線されている。第1圧電体層3は、第1、第2の振動部9a,9bにわたって一定の向きに分極されている。出力側中間電極41は、第1出力側中間電極片41aおよび第2出力側中間電極片41bを含む。第1出力電極片2aと第1出力側中間電極片41aとが厚み方向に重なり合っている。第2出力電極片2bと第2出力側中間電極片41bとが厚み方向に重なり合っている。
(実施の形態4)
図21〜図26を参照して、本発明に基づく実施の形態4における圧電トランスについて説明する。本実施の形態における圧電トランス104の平面図を図21に示す。圧電トランス104に含まれる各層における導体パターンなどのレイアウトを、図22〜図25に示す。圧電トランス104の振動膜を、関連する配線と共に表示した概念図を図26に示す。
図21〜図26を参照して、本発明に基づく実施の形態4における圧電トランスについて説明する。本実施の形態における圧電トランス104の平面図を図21に示す。圧電トランス104に含まれる各層における導体パターンなどのレイアウトを、図22〜図25に示す。圧電トランス104の振動膜を、関連する配線と共に表示した概念図を図26に示す。
圧電トランス104は、実施の形態1で説明した圧電トランス101においてn=3としたものに相当する。すなわち、図26に示すように、振動部集合部9は3個の振動部9a〜9cを含む。
入力電極6は、n個すなわち3個の振動部9a〜9cのうち少なくとも一部に対応するように分割されて配列された1個以上n個以下の入力電極片6a〜6cを含む。出力電極2は、n個すなわち3個の振動部9a〜9cのうち少なくとも一部に対応するように分割されて配列された1個以上n個以下の出力電極片2a〜2cを含む。出力側中間電極41は、n個すなわち3個の振動部9a〜9cのうち少なくとも一部に対応するように分割されて配列された1個以上n個以下の出力側中間電極片41a〜41cを含む。入力側中間電極42は、n個すなわち3個の振動部9a〜9cのうち少なくとも一部に対応するように分割されて配列された1個以上n個以下の入力側中間電極片42a〜42cを含む。
本実施の形態では、n=3であるので、第1入力電極片群には入力電極片6a,6cのみが属し、第2入力電極片群には入力電極片6bのみが属する。第1入力電極片群と第2入力電極片群とに対して、入力側中間電極42の電位を基準として逆相となるような電圧を、それぞれ印加可能なように配線されている。
出力電極片2aと出力電極片2bとは互いに電気的に接続されている。出力側中間電極片41aは出力電極片2aに対して厚み方向に重なり合っている。出力側中間電極片41bは出力電極片2bに対して厚み方向に重なり合っている。出力側中間電極片41bと出力側中間電極片41cとは互いに電気的に接続されている。出力側中間電極片41aはパッド電極33に接続されている。出力側中間電極片41bはパッド電極34に接続されている。
本実施の形態においても、実施の形態3と同様に、振動部9a〜9cは共振振動となる。
振動部9a〜9cの共振振動によって第1圧電体層3であるAlN膜には電荷が発生する。出力電極片2aと出力電極片2bとは同電位であり、かつ、出力側中間電極片41bと出力側中間電極片41cとは同電位であるので、出力側中間電極片41aと出力側中間電極片41bとの間の電位差は、出力側中間電極片41aと出力電極片2aとの間の電位差に比べて約3倍となる。パッド電極33,34においては、出力側中間電極片41aと出力側中間電極片41bとの間の電位差を取り出しているので、出力電圧Voutとして大きな電圧を得ることができる。
圧電トランスの出力側の構造について、さらに説明する。ここまでのいくつかの実施の形態で説明してきたように、振動部の個数をnとすると、圧電トランスは、1個以上n個以下の出力側中間電極片と1個以上n個以下の出力電極片とを備えている。ここでは一例として、圧電トランスが振動部の個数nと同じく、n個の出力側中間電極片と、n個の出力電極片とを備えているものとする。圧電トランスに備わるn個の出力側中間電極片と、n個の出力電極片とを取り出して、電気的接続および重なりの関係を模式的に図示すると、図27に示すようになる。図27では、n=5の場合を示している。図27では、出力電極片2a〜2eと、出力側中間電極片41a〜41eとが配列されている。
n=6の場合について、図28に示す。図28では、出力電極片2a〜2fと、出力側中間電極片41a〜41fとが配列されている。
nが6以上である場合には、以下の条件が満たされていることが好ましい。圧電トランスにおいて、前記1個以上n個以下の出力電極片は、互いに電気的に接続された第5出力電極片および第6出力電極片を含む。前記第5出力電極片と前記第2出力電極片とは、互いに絶縁されており、前記第5出力電極片と前記第4出力電極片とは、互いに絶縁されている。前記1個以上n個以下の出力側中間電極片は、互いに電気的に接続された第3出力側中間電極片および第4出力側中間電極片を含む。前記第3出力側中間電極片と前記第2出力側中間電極片とは、互いに絶縁されている。前記第4出力電極片と前記第3出力側中間電極片とが厚み方向に重なり合っている。前記第5出力電極片と前記第4出力側中間電極片とが厚み方向に重なり合っている。前記第6出力電極片は、前記第1から前記第4出力側中間電極片のいずれにも厚み方向に重なり合っていない。図28に示した例では、圧電トランスは、第5出力電極片としての出力電極片2dと、第6出力電極片2eとを含む。
圧電トランスにおいて、前記1個以上n個以下の出力側中間電極片は、2つの電極片が互いに電気的に接続された出力側中間電極片対を1以上含み、前記1個以上n個以下の出力電極片は、2つの電極片が互いに電気的に接続された出力電極片対を1以上含み、前記出力電極片対と前記出力側中間電極片対とにおいては、1つの対の内部でなされた電極片同士の電気的接続と、異なる対との間で電極片同士が厚み方向に重なり合うことによる幾何学的接続とを交互に繰り返すことによって、1以上の前記出力側中間電極片対と1以上の前記出力電極片対とが交互に直列に配列されている。このような関係を、一般的な整数nについて示すと、図29に示すようになる。この例では、振動部の個数がn個である。出力電極2は、n個の出力電極片に分割されている。出力側中間電極41は、n個の出力側中間電極片に分割されている。図29においては、説明の便宜のために最下部に、1,2,3,…,n−2,n−1,nというように番号を表示している。
前記出力側中間電極片対と前記出力電極片対とが前記電気的接続と前記幾何学的接続とを交互に繰り返すように直列に配列された連なりの両端は、前記1個以上n個以下の出力側中間電極片の集合に属する第1末端出力側中間電極片および第2末端出力側中間電極片であることが好ましい。図29に示した例では、出力側中間電極片41aが第1末端出力側中間電極片に相当し、出力側中間電極片41xが第2末端出力側中間電極片に相当する。入力側が基材1から遠い側であって出力側が基材1に近い側である場合には、上記連なりの両端がこのように1個以上n個以下の出力側中間電極片の集合に属していれば、出力電圧を取り出すためのパッド電極が少しでも基材1から遠い側に位置することとなるので、出力電圧の取出しが行ないやすい。
なお、上述のいずれの実施の形態においてもいえることであるが、第1圧電体層3の材料と第2圧電体層5の材料とで、インピーダンスが異なることが好ましい。このようになっていれば、入力側と出力側との間でインピーダンスを異ならせることが容易となり、所望の変圧比を容易に実現することができる。
なお、上記各実施の形態では、第1圧電体層3がAlN膜によって形成され、第2圧電体層5がPZT膜によって形成されている例を示したが、この材料の選択および組合せはあくまで一例であって、第1圧電体層3および第2圧電体層5の一方または両方の層において異なる材料を用いてもよい。第1圧電体層3の材料のインピーダンスに比べて、第2圧電体層5の材料のインピーダンスが低ければ、これまで述べてきたのと同様の効果が見込める。ここでは、第2圧電体層5を入力用、第1圧電体層3を出力用として昇圧を想定した実施の形態を示してきたが、第1圧電体層3と第2圧電体層5とで用いる材料を逆にすれば圧電トランスを降圧に用いることができる。
なお、上記各実施の形態では、基材に近い側の圧電体層が出力用、基材から遠い側の圧電体層が入力用としているが、この配置は逆であってもよい。
なお、上記各実施の形態では、振動膜は、基材1の開口部8を完全に塞ぐように配置されたものとして説明した。振動膜は振動部集合部9を含む。上部層15のうち基材1に重なる部分を、以下「基材被覆上部層」というものとする。上部層15のうち振動部集合部9となる部分は、振動部集合部9の外周の全てにおいて、基材被覆上部層とつながっていたが、これはあくまで一例であり、このような構成には限らない。上部層15のうち振動部集合部9と基材被覆上部層とは、限られた部分を介して接続されていてもよい。振動部集合部9の外周の一部は、振動部集合部9と基材被覆上部層とを隔てるようにスリットとなっていてもよい。振動部集合部9と基材被覆上部層とはブリッジ状の部分を介してつながっていてもよい。1つの振動部集合部9を支持するために2ヶ所以上のブリッジ状の部分が設けられていてもよい。
上記各実施の形態では、開口部8は貫通孔であるものとして説明したが、開口部8は貫通孔とは限らない。開口部8を取り囲む基材1は、平面図で見たときに完全に1周分がつながっている閉ループ形状とは限らず、1周分のうち途中で途切れた構造、たとえばC字形状、U字形状などであってもよい。
上記各実施の形態では、n個存在する振動部の全てに対して電圧が印加されている例を示して説明してきたが、たとえばn個存在する振動部のうちに電圧が印加されない振動部が1個以上混入していてもよい。電圧が印加されない振動部には入力電極片を形成しなくてもよい。振動部に対応して入力電極片が存在していても入力電極片に配線がつながっていない状態のものが混入していてもよい。このように、電圧が印加されない振動部が混入している場合には、そのような振動部が混入していない場合に比べて電気的特性は劣るが、全体として動作することができれば、ある程度の効果を得ることができる。
このことは入力側だけでなく出力側においてもいえる。上記各実施の形態では、全ての振動部から電圧が取り出されているが、たとえばn個存在する振動部のうちに電圧が取り出されない振動部が1個以上混入していてもよい。電圧が取り出されない振動部には出力電極片を形成しなくてもよい。振動部に対応して出力電極片が存在していても出力電極片に配線がつながっていない状態のものが混入していてもよい。このように、電圧が取り出されない振動部が混入している場合には、そのような振動部が混入していない場合に比べて電気的特性は劣るが、全体として動作することができれば、ある程度の効果を得ることができる。
これらの変更は、必要とされる電気的特性により適宜選択されるものである。
なお、上記実施の形態のうち複数を適宜組み合わせて採用してもよい。
なお、上記実施の形態のうち複数を適宜組み合わせて採用してもよい。
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
1 基材、2 出力電極、2a,2b,2c,2d 出力電極片、3 第1圧電体層、5 第2圧電体層、6 入力電極、6a,6b,6c,6d 入力電極片、8 開口部、9 振動部集合部、9a,9b,9c,9d 振動部、10 中間絶縁層、15 上部層、30 位相反転器、31,32,33,34,35,37 パッド電極、36 入力端子、41 出力側中間電極、41a,41b,41c,41d 出力側中間電極片、42 入力側中間電極、42a,42b,42c,42d 入力側中間電極片、101,102,103,104 圧電トランス。
Claims (9)
- 基材と、
前記基材によって支持された上部層とを備え、
前記上部層は、前記上部層のうち前記基材に重ならない部分である振動部集合部を含み、
前記振動部集合部は、厚み方向に互いに離隔して厚み方向に順に並ぶように配置された出力電極、出力側中間電極、入力側中間電極および入力電極を含み、
nを3以上の整数としたとき、
前記振動部集合部は、1つの方向に並ぶn個の振動部を含み、
前記上部層は、少なくとも前記n個の振動部の各々において前記出力電極および前記出力側中間電極によって挟み込まれる部分を含むように配置された第1圧電体層と、前記第1圧電体層に重なるように配置されつつ少なくとも前記n個の振動部の各々において前記入力側中間電極および前記入力電極によって挟み込まれる部分を含むように配置された第2圧電体層とを含み、
前記入力電極は、前記n個の振動部のうち少なくとも1つの振動部に対応するように配列された1個以上n個以下の入力電極片を含み、
前記出力電極は、前記n個の振動部のうち少なくとも1つの振動部に対応するように配列された1個以上n個以下の出力電極片を含み、
前記出力側中間電極は、前記n個の振動部のうち少なくとも1つの振動部に対応するように配列された1個以上n個以下の出力側中間電極片を含み、
前記第2圧電体層は、前記n個の振動部にわたって一定の向きに分極されており、
前記n個の振動部の各々を、前記1つの方向に沿って一端から他端にかけて1番目からn番目の振動部と呼ぶこととしたとき、
前記1個以上n個以下の入力電極片においては、奇数番目の振動部に対応する入力電極片のうち1つ以上が属する集合である第1入力電極片群と、偶数番目の振動部に対応する入力電極片のうち1つ以上が属する集合である第2入力電極片群とに対して、前記入力側中間電極の電位を基準として逆相となるような電圧を、それぞれ印加可能なように配線されており、
前記第1圧電体層は、前記n個の振動部にわたって一定の向きに分極されており、
前記1個以上n個以下の出力電極片は、互いに電気的に接続された第1出力電極片および第2出力電極片を含み、
前記1個以上n個以下の出力側中間電極片は、互いに電気的に接続された第1出力側中間電極片および第2出力側中間電極片を含み、
前記第2出力電極片と前記第1出力側中間電極片とが厚み方向に重なり合っており、前記第1出力電極片は、前記第1出力側中間電極片および前記第2出力側中間電極片のいずれに対しても厚み方向に重なり合っておらず、前記第2出力側中間電極片は、前記第1出力電極片および前記第2出力電極片のいずれに対しても厚み方向に重なり合っていない、圧電トランス。 - 基材と、
前記基材によって支持された上部層とを備え、
前記上部層は、前記上部層のうち前記基材に重ならない部分である振動部集合部を含み、
前記振動部集合部は、厚み方向に互いに離隔して厚み方向に順に並ぶように配置された出力電極、出力側中間電極、入力側中間電極および入力電極を含み、
nを3以上の整数としたとき、
前記振動部集合部は、1つの方向に並ぶn個の振動部を含み、
前記上部層は、少なくとも前記n個の振動部の各々において前記出力電極および前記出力側中間電極によって挟み込まれる部分を含むように配置された第1圧電体層と、前記第1圧電体層に重なるように配置されつつ少なくとも前記n個の振動部の各々において前記入力側中間電極および前記入力電極によって挟み込まれる部分を含むように配置された第2圧電体層とを含み、
前記入力電極は、前記n個の振動部のうち少なくとも一部に対応するように分割されて配列された1個以上n個以下の入力電極片を含み、
前記出力電極は、前記n個の振動部のうち少なくとも一部に対応するように分割されて配列された1個以上n個以下の出力電極片を含み、
前記出力側中間電極は、前記n個の振動部のうち少なくとも一部に対応するように分割されて配列された1個以上n個以下の出力側中間電極片を含み、
前記n個の振動部の各々を、前記1つの方向に沿って一端から他端にかけて1番目からn番目の振動部と呼ぶこととしたとき、
前記第2圧電体層は、前記n個の振動部のうち少なくとも一部に対応するように1個以上n個以下の分極領域を有しており、前記1個以上n個以下の分極領域においては、奇数番目の振動部に対応する分極領域のうち1つ以上が属する集合である第1分極領域群と、偶数番目の振動部に対応する分極領域のうち1つ以上が属する集合である第2分極領域群とで、互いに逆向きとなるようにそれぞれ分極されており、
前記1個以上n個以下の入力電極片においては、前記入力側中間電極の電位を基準として同位相の電圧を、それぞれ印加可能なように配線されており、
前記第1圧電体層は、前記n個の振動部にわたって一定の向きに分極されており、
前記1個以上n個以下の出力電極片は、互いに電気的に接続された第1出力電極片および第2出力電極片を含み、
前記1個以上n個以下の出力側中間電極片は、互いに電気的に接続された第1出力側中間電極片および第2出力側中間電極片を含み、
前記第2出力電極片と前記第1出力側中間電極片とが厚み方向に重なり合っており、前記第1出力電極片は、前記第1出力側中間電極片および前記第2出力側中間電極片のいずれに対しても厚み方向に重なり合っておらず、前記第2出力側中間電極片は、前記第1出力電極片および前記第2出力電極片のいずれに対しても厚み方向に重なり合っていない、圧電トランス。 - 前記1個以上n個以下の出力電極片は、互いに電気的に接続された第3出力電極片および第4出力電極片を含み、
前記第3出力電極片と前記第2出力電極片とは、互いに絶縁されており、
前記第3出力電極片と前記第2出力側中間電極片とが厚み方向に重なり合っており、前記第4出力電極片は、前記第1出力側中間電極片および前記第2出力側中間電極片のいずれにも厚み方向に重なり合っていない、請求項1または2に記載の圧電トランス。 - 前記1個以上n個以下の出力電極片は、互いに電気的に接続された第5出力電極片および第6出力電極片を含み、
前記第5出力電極片と前記第2出力電極片とは、互いに絶縁されており、
前記第5出力電極片と前記第4出力電極片とは、互いに絶縁されており、
前記1個以上n個以下の出力側中間電極片は、互いに電気的に接続された第3出力側中間電極片および第4出力側中間電極片を含み、
前記第3出力側中間電極片と前記第2出力側中間電極片とは、互いに絶縁されており、
前記第4出力電極片と前記第3出力側中間電極片とが厚み方向に重なり合っており、
前記第5出力電極片と前記第4出力側中間電極片とが厚み方向に重なり合っており、前記第6出力電極片は、前記第1から前記第4出力側中間電極片のいずれにも厚み方向に重なり合っていない、請求項3に記載の圧電トランス。 - 前記1個以上n個以下の出力側中間電極片は、2つの電極片が互いに電気的に接続された出力側中間電極片対を1以上含み、
前記1個以上n個以下の出力電極片は、2つの電極片が互いに電気的に接続された出力電極片対を1以上含み、
前記出力電極片対と前記出力側中間電極片対とにおいては、1つの対の内部でなされた電極片同士の電気的接続と、異なる対との間で電極片同士が厚み方向に重なり合うことによる幾何学的接続とを交互に繰り返すことによって、1以上の前記出力側中間電極片対と1以上の前記出力電極片対とが交互に直列に配列されている、請求項1または2に記載の圧電トランス。 - 前記出力側中間電極片対と前記出力電極片対とが前記電気的接続と前記幾何学的接続とを交互に繰り返すように直列に配列された連なりの両端は、前記1個以上n個以下の出力側中間電極片の集合に属する第1末端出力側中間電極片および第2末端出力側中間電極片である、請求項5に記載の圧電トランス。
- 前記第1圧電体層の材料と前記第2圧電体層の材料とで、インピーダンスが異なる、請求項1から6のいずれかに記載の圧電トランス。
- 基材と、
前記基材によって支持された上部層とを備え、
前記上部層は、前記上部層のうち前記基材に重ならない部分である振動部集合部を含み、
前記振動部集合部は、厚み方向に互いに離隔して厚み方向に順に並ぶように配置された出力電極、出力側中間電極、入力側中間電極および入力電極を含み、
前記振動部集合部は、1つの方向に並ぶ第1、第2の振動部を含み、
前記上部層は、前記第1、第2の振動部の各々において前記出力電極および前記出力側中間電極によって挟み込まれる部分を含むように配置された第1圧電体層と、前記第1圧電体層に重なるように配置されつつ前記第1、第2の振動部の各々において前記入力側中間電極および前記入力電極によって挟み込まれる部分を含むように配置された第2圧電体層とを含み、
前記入力電極は、前記第1、第2の振動部に対応するように配列された第1、第2の入力電極片を含み、
前記出力電極は、前記第1、第2の振動部に対応するように配列された第1、第2の出力電極片を含み、
前記第2圧電体層は、前記第1、第2の振動部にわたって一定の向きに分極されており、
前記第1の入力電極片と、前記第2の入力電極片とに対して、前記入力側中間電極の電位を基準として逆相となるような電圧を、それぞれ印加可能なように配線されており、
前記第1圧電体層は、前記第1、第2の振動部にわたって一定の向きに分極されており、
前記出力側中間電極は、第1出力側中間電極片および第2出力側中間電極片を含み、
前記第1出力電極片と前記第1出力側中間電極片とが厚み方向に重なり合っており、前記第2出力電極片と前記第2出力側中間電極片とが厚み方向に重なり合っている、圧電トランス。 - 基材と、
前記基材によって支持された上部層とを備え、
前記上部層は、前記上部層のうち前記基材に重ならない部分である振動部集合部を含み、
前記振動部集合部は、厚み方向に互いに離隔して厚み方向に順に並ぶように配置された出力電極、出力側中間電極、入力側中間電極および入力電極を含み、
前記振動部集合部は、1つの方向に並ぶ第1、第2の振動部を含み、
前記上部層は、前記第1、第2の振動部の各々において前記出力電極および前記出力側中間電極によって挟み込まれる部分を含むように配置された第1圧電体層と、前記第1圧電体層に重なるように配置されつつ前記第1、第2の振動部の各々において前記入力側中間電極および前記入力電極によって挟み込まれる部分を含むように配置された第2圧電体層とを含み、
前記入力電極は、前記第1、第2の振動部に対応するように配列された第1、第2の入力電極片を含み、
前記出力電極は、前記第1、第2の振動部に対応するように配列された第1、第2の出力電極片を含み、
前記第2圧電体層は、前記第1の振動部と前記第2の振動部とで互いに逆向きとなるようにそれぞれ分極されており、
前記第1の入力電極片と、前記第2の入力電極片とに対しては、前記入力側中間電極の電位を基準として同位相の電圧を、それぞれ印加可能なように配線されており、
前記第1圧電体層は、前記第1、第2の振動部にわたって一定の向きに分極されており、
前記出力側中間電極は、第1出力側中間電極片および第2出力側中間電極片を含み、
前記第1出力電極片と前記第1出力側中間電極片とが厚み方向に重なり合っており、前記第2出力電極片と前記第2出力側中間電極片とが厚み方向に重なり合っている、圧電トランス。
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