JP2002223145A - 圧電共振子とそれを用いたフィルタおよび電子機器 - Google Patents

圧電共振子とそれを用いたフィルタおよび電子機器

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JP2002223145A
JP2002223145A JP2001245449A JP2001245449A JP2002223145A JP 2002223145 A JP2002223145 A JP 2002223145A JP 2001245449 A JP2001245449 A JP 2001245449A JP 2001245449 A JP2001245449 A JP 2001245449A JP 2002223145 A JP2002223145 A JP 2002223145A
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diaphragm
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piezoelectric resonator
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JP2001245449A
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Masaki Takeuchi
雅樹 竹内
Hajime Yamada
一 山田
Yoshihiko Goto
義彦 後藤
Tadashi Nomura
忠志 野村
Akihiko Shibata
明彦 柴田
Yukio Yoshino
幸夫 吉野
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Murata Manufacturing Co Ltd
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  • Piezo-Electric Or Mechanical Vibrators, Or Delay Or Filter Circuits (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 素子の破壊や特性の劣化を防止することがで
き、低コストで生産することができる小型の圧電共振子
を得る。 【解決手段】 圧電共振子10は、中空部16を有する
基板12を含む。中空部16を横切るようにして、基板
12に梁18を形成し、基板12と梁18の上に誘電体
層20を形成する。誘電体層20上に、圧電体層と対向
電極とを含む共振子22を形成し、ダイアフラム型圧電
共振子を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、圧電共振子に関
し、特に、たとえば複数の共振子が同一基板上に形成さ
れ、これらの共振子が組合されてフィルタなどとして使
用される圧電共振子に関する。
【0002】
【従来の技術】図14は、従来の圧電共振子の一例を示
す断面図解図である。圧電共振子1は、たとえば{10
0}Si基板などのような基板2を含む。基板2には、
貫通する中空部3が形成される。基板2の一方面上に
は、中空部3を覆うようにして誘電体層4が形成され
る。誘電体層4は、たとえば厚さ数μm〜数十μmのS
iO 2 薄膜などで形成される。さらに、誘電体層4上に
は、共振子5が形成され、ダイアフラム型圧電共振子が
形成される。共振子5は、ZnOなどの圧電薄膜と、圧
電薄膜を挟んで対向するAl電極薄膜などで形成され
る。この電極の対向部が、その部分の厚さおよび膜構成
に応じた周波数の厚み縦振動モードで共振し、共振子と
しての特性が得られる。
【0003】図14では、1つの基板2上に1つの共振
子5が形成されているが、1つの基板2上に複数の共振
子5を形成する場合、図15に示すように、基板2に複
数の中空部3および誘電体層4を形成し、これらの誘電
体層4上に共振子5を1つずつ形成することができる。
また、図16に示すように、基板2に大型の中空部3お
よび誘電体層4を形成し、この誘電体層4上に複数の共
振子5を配置することもできる。これらの共振子を接続
することによって、1つのチップ上に複数の共振子を組
合せたフィルタを形成することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このようなダイアフラ
ム構造を有する圧電共振子においては、ダイアフラムが
数μm〜数十μmの厚みの膜のみで構成されており、こ
のような薄膜に数100MPaという大きい応力がかか
っている。このような応力のため、ダイアフラムが変形
し、共振子の機械的な振動が妨害されて、特性の劣化が
生じたり、変形によって配線が断線したり、ダイアフラ
ムの機械的強度が損なわれて、耐衝撃性が低下するなど
の問題が生じていた。
【0005】このような傾向は、1つのダイアフラム上
に複数の共振子を配列するなどしてダイアフラムの平面
サイズが大きくなるほど顕著となり、応力に耐えかねて
ダイアフラムが破壊され、歩留まりが低下するなどの問
題も発生していた。そこで、1つのチップに複数の共振
子を形成する場合、1つの基板上に複数のダイアフラム
を形成して、各ダイアフラムに共振子を形成する構造が
好んで採用されたが、素子サイズが大型化するため、素
子小型化およびコストダウンの面で問題となっていた。
【0006】また、このようなダイアフラム上に形成さ
れる共振子において、共振抵抗を低減するためには、圧
電薄膜の両面の電極薄膜を大きくし、これらの電極薄膜
の対向面積を大きくすることによって、静電容量を大き
くすればよい。しかしながら、電極薄膜を大きくする
と、不要振動が発生して共振特性が劣化するという問題
がある。
【0007】それゆえに、この発明の主たる目的は、素
子の破壊や特性の劣化を防止することができ、低コスト
で生産することができる小型の圧電共振子を提供するこ
とである。さらに、この発明の目的は、上述のような圧
電共振子において、共振抵抗が小さく、かつ不要振動の
影響の少ない圧電共振子を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明は、貫通する中
空部を有する基板と、中空部を覆うようにして基板の一
方面上に形成され、少なくとも1層以上の薄膜からなる
ダイアフラムと、ダイアフラムを保持する部分から中空
部を横切ってダイアフラムの面に接するように形成され
る梁とを含み、ダイアフラム上に複数の共振子が形成さ
れた、圧電共振子である。このような圧電共振子におい
て、基板と梁とは、ダイアフラムの一方面側において一
体的に形成することができる。また、基板と梁とは、ダ
イアフラムの反対面に形成されてもよい。さらに、複数
の共振子は、圧電体層と、圧電体層の一方面上に形成さ
れる一方の電極と、圧電体層の他方面上に形成される他
方の電極とを含み、一方の電極および他方の電極のそれ
ぞれは、引出し電極と、引出し電極に接続される1つ以
上の振動電極とを含み、一方の電極の振動電極と他方の
電極の振動電極とが誘電体層を介して交差して形成され
る複数の振動部を有し、複数の振動部が電気的に並列に
接続された構成とすることができる。このような複数の
振動部を有する圧電共振子において、隣接する振動部間
の距離は、振動部に励振される振動の波長の1/2以上
であることが好ましい。さらに、振動部とダイアフラム
の固定端との距離は、振動部に励振される振動の波長の
1/2以上であることが好ましい。また、振動部と梁と
の距離は、振動部に励振される振動の波長の1/2以上
であることが好ましい。さらに、この発明は、上述のい
ずれかに記載の圧電共振子を用いた、フィルタである。
また、この発明は、上述のいずれかに記載の圧電共振子
またはフィルタを用いた、電子機器である。
【0009】ダイアフラムを保持する部分から中空部を
横切ってダイアフラムの面に接するように梁を形成する
ことにより、薄膜からなるダイアフラムが補強される。
それにより、応力によるダイアフラムの変形を小さくす
ることができる。このような梁は、ダイアフラムの一方
面側において基板と一体的に形成してもよいし、ダイア
フラムを介して基板の反対側に形成してもよい。また、
ダイアフラム上に形成される共振子として、圧電体層の
両面に形成される電極の振動電極を交差させて、複数の
振動部が形成されるようにすれば、個々の振動部におけ
る各振動電極の大きさを不要振動の影響がでる大きさよ
りも小さくすることができるため、共振特性の劣化を抑
えることができる。また、引出し電極から分岐された振
動電極を圧電体層を介して交差させることにより、一方
の電極と他方の電極との配置がずれても、振動電極の対
向面積は変わらないため、個々の振動部の共振抵抗およ
び共振周波数が変化しない。さらに、圧電体層の両面の
振動電極が交差することにより、複数の振動部が形成さ
れるので、小さい面積に複数の振動部を配置することが
できる。また、共振周波数が等しいn個の共振子を電気
的に並列接続することにより、全体として不要振動が抑
えられ、共振周波数が個々の振動部の1/nである共振
子を得ることができる。さらに、隣接する振動部間の距
離、振動部とダイアフラムの固定端との距離、振動部と
梁との距離を、振動部に励振される振動波長の1/2以
上とすることにより、横方向に漏れる振動が十分に減衰
して、このような振動によるスプリアスの発生を抑える
ことができる。
【0010】この発明の上述の目的,その他の目的,特
徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明の実施
の形態の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0011】
【発明の実施の形態】図1はこの発明の圧電共振子の一
例を示す平面図であり、図2はその断面図解図である。
圧電共振子10は、たとえば{100}Si基板などの
基板12を含む。基板12の一方の面上には、SiO2
などの誘電体層14が形成される。これらの基板12お
よび誘電体層14には、平面形状が矩形の貫通した中空
部16が形成される。さらに、中空部16を十字状に横
切るようにして、基板12の面と同一面を有する梁18
が形成される。梁18は、基板12と同じ材料で一体的
に形成される。
【0012】また、梁18が形成された側において、基
板12の全面には、中空部16を覆うようにして誘電体
層20が形成される。誘電体層20は、たとえばSiO
2 などで形成される。この誘電体層20の一方面は、中
空部16上において、梁18に接するように形成され
る。さらに、誘電体層20上には、4つの共振子22が
形成される。共振子22は、中空部16上において、梁
18と基板12とで囲まれた部分に形成される。共振子
22は、ZnOなどの圧電体層と、その両面に形成され
るAlなどの対向電極と、誘電体層などで構成されたも
のであり、電極対向部の厚さや膜構成に応じた周波数の
厚み縦振動モードで共振する。また、誘電体層20上に
は、共振子22間の接続用あるいは電気信号取り出し用
の配線(図示せず)が形成される。
【0013】このような圧電共振子10を形成するため
に、図3(A)に示すように、{100}Si基板30
が準備される。次に、図3(B)に示すように、Si基
板30の両面に、熱酸化、スパッタリング、CVD法な
どによってSiO2 膜32,34が形成される。そし
て、図3(C)に示すように、一方のSiO2 膜32に
梁作製用のパターニングを行い、開口部36が形成され
る。
【0014】次に、図3(D)に示すように、KOH,
TMAHなどのアルカリエッチング液で、梁の太さ分だ
けSi基板30が異方性エッチングされる。そののち、
図3(E)に示すように、不用となった一方のSiO2
膜32が、フッ酸などで除去される。このとき、他方の
SiO2 膜34にはレジストなどが塗布され、SiO 2
膜34が除去されないように保護される。
【0015】Si基板30のエッチングされた面には、
図3(F)に示すように、犠牲層38が形成される。犠
牲層38としては、たとえばZnOや多結晶Siなどが
用いられるが、除去が容易なものであれば、特に種類は
限定されない。次に、図3(G)に示すように、犠牲層
38の不要部分が除去され、Si基板30の表面と犠牲
層38の表面とが平坦化される。不要部分の除去には、
たとえばフォトリソグラフィ技術を用いて、レジストパ
ターニングののち、不要部分のエッチングを行ってもよ
いし、基板表面を研磨することにより平坦化してもよ
い。基板表面を平坦化したのち、図3(H)に示すよう
に、スパッタリングやCVD法などによって、平坦化し
た面にSiO2 膜40が形成される。
【0016】次に、Si基板30に形成された他方のS
iO2 膜34にパターニングが行われ、図3(I)に示
すように、エッチング用の開口部42が形成される。ま
た、犠牲層38上に形成されたSiO2 膜40の上に
は、図3(J)に示すように、共振子22が形成され
る。図では、共振子22が簡素化して記載されている
が、共振子22は、誘電体、圧電体、電極となる金属薄
膜などの多層構造で形成される。
【0017】そして、図3(K)に示すように、KOH
やTMAHなどのアルカリエッチング液を用いて、開口
部42側からSi基板30が異方性エッチングされる。
さらに、図3(L)に示すように、犠牲層38が除去さ
れ、中空部16が形成される。このとき、中空部16内
に残されたSi基板30が梁18となる。このようにし
て、圧電共振子10が作製される。この圧電共振子10
の誘電体層20(SiO2 膜40)上に形成された共振
子22を接続することにより、フィルタを構成すること
ができる。
【0018】なお、図1では、4つの共振子22が形成
された圧電共振子10が示されているが、4素子に限る
ものではなく、要求される素子特性に応じて、n×n個
あるいはn×m個(n,mは自然数)の共振子22を形
成してもよい。また、梁18で囲まれた領域の全てに共
振子22を形成する必要はなく、たとえばコンデンサや
インダクタなどの他の素子を形成してもよいし、何も形
成しない領域があってもよい。また、特性上の問題がな
ければ、梁18に囲まれた領域ではなく、梁18の上を
跨ぐように素子を配置してもよい。
【0019】このような圧電共振子10では、中空部1
6を横切るようにして梁18が形成されているため、誘
電体層20が補強されて、応力などによる誘電体層20
の変形が小さくなる。ダイアフラム型の圧電共振子の変
形を調べるために、梁が形成されたものと、梁が形成さ
れていないものについて、有限要素法解析を行い、その
結果を図4に示した。ここでは、誘電体層20として厚
さ1μmのSiO2 薄膜を用い、共振子22の圧電体層
として厚さ1μmのZnO薄膜を用い、合計厚さが2μ
mで平面サイズ1mm×1mmの正方形ダイアフラムに
ついて解析を行った。そして、梁がない場合、および幅
10μmで、厚さがそれぞれ10μm,20μm,30
μmの梁を縦横等間隔に1本または2本ずつ配置した場
合の変形量を示した。図4では、梁がないときのダイア
フラムの変形量を100として、梁を形成したときの変
形量を示してある。
【0020】図4からわかるように、梁の厚さが30μ
mで本数が縦横それぞれ2本ずつ形成したとき最大で3
5%変位を小さくできるという結果が得られた。このよ
うに、梁が太く、本数が多くなるほど、ダイアフラムの
変形量が小さくなり、変形による特性の劣化、破壊など
を抑える効果がある。
【0021】このような梁18は、Si基板を削り出し
て形成したものであり、Si基板が単結晶であることか
ら、機械的に強固な梁となっている。そのため、変形を
抑える効果だけでなく、ダイアフラムの破壊を防ぐ効果
が高く、素子の歩留まりを改善できるという効果もあ
る。
【0022】また、異方性エッチングを用いてダイアフ
ラムを形成すると、中空部の側壁は約55°の傾斜をも
って形成される。これは、Siの異方性エッチングが
{100}面と{111}面のエッチング速度の差を利
用していることに起因している。このため、図5に示す
ように、ダイアフラム作製のためには、所望のダイアフ
ラムサイズに加えて、一辺あたりおよそ(基板厚み)×
0.7だけダイアフラム1つにつき余分なエリアが必要
となる。そのため、基板に複数のダイアフラムを形成す
ると、ダイアフラムの個数分だけ余分なエリアが必要と
なるが、この発明の圧電共振子のように、単一のダイア
フラムに複数の共振子を形成することにより、余分なエ
リアによる寸法ロスを小さくすることができ、素子の小
型化を図ることができる。
【0023】図6は、この発明の圧電共振子を作製する
ための他の方法を示す図解図である。この製造方法で
は、図6(A)に示すように、{100}Si基板50
が準備される。次に、図6(B)に示すように、梁とな
る部分に、ボロンイオンまたはリンイオンなどがイオン
注入され、イオン注入部52が形成される。さらに、図
6(C)に示すように、基板50の両面に、熱酸化、ス
パッタリング、CVD法などによってSiO2 膜54,
56が形成される。
【0024】次に、図6(D)に示すように、イオン注
入部52側のSiO2 膜54はレジストなどで保護しな
がら、他方のSiO2 膜56に開口部58が形成され
る。そして、図6(E)に示すように、SiO2 膜54
上に共振子22が形成される。そののち、図6(F)に
示すように、開口部58側からSi基板50を異方性エ
ッチングすることにより、中空部16が形成されて、ダ
イアフラムが形成される。このとき、イオン注入部52
はエッチング速度が極端に低下しているため、Si基板
50と選択的にエッチングされ、イオン注入部52が梁
を形成する。
【0025】また、梁18は、誘電体層20を介して基
板12の反対側に形成されてもよい。このような圧電共
振子10を作製するためには、たとえば図7(A)に示
すように、{100}Si基板60が準備される。この
Si基板60の両面に、図7(B)に示すように、熱酸
化、スパッタリング、CVD法などによりSiO2 膜6
2,64が形成される。そして、図7(C)に示すよう
に、SiO2 膜64に開口部66が形成される。
【0026】次に、図7(D)に示すように、SiO2
膜62上に、CVD法などによって多結晶Siを形成
し、フッ酸、硝酸、酢酸の混合液でパターニングを行っ
て、梁18が形成される。このように、梁18が多結晶
Siで形成される場合、後の異方性エッチングによって
エッチングされないように、梁18の表面がSiO2
膜で保護される。なお、梁18は、多結晶Siに限るも
のではなく、ダイアフラムの変形を抑止するのに十分な
剛性を有する材料であれば、特に限定されるものではな
い。そして、図7(E)に示すように、SiO2 膜62
上に共振子22が形成され、図7(F)に示すように、
開口部66側からSi基板60を異方性エッチングする
ことにより、中空部16が形成される。
【0027】このように、梁18を形成することによ
り、ダイアフラム型の圧電共振子の製造方法や梁18の
形成位置に限らず、ダイアフラムの変形や破損を防止す
ることができ、特性の劣化や歩留まりの悪化を防ぐこと
ができる。また、異方性エッチングによって生じる余分
なエリアによる寸法ロスを小さくすることができ、素子
の小型化を図ることができる。
【0028】また、ダイアフラムに形成される共振子2
2として、図8に示すように、圧電体層70を介して、
電極72,74が対向するように形成された共振子を採
用することができる。この場合、たとえば電極72がダ
イアフラムの誘電体層20側に形成され、その上に圧電
体層70が形成され、さらにその上に電極74が形成さ
れる。
【0029】電極72,74は、圧電体層70の両側か
ら延びる引出し電極72a,74aを含む。引出し電極
72a,74aから分岐するようにして、それぞれ3つ
の振動電極72b,74bが形成される。振動電極72
bは、引出し電極72aが延びる方向と同じ向きに延び
るように形成される。また、振動電極74bは、引出し
電極74aが延びる向きと直交するように延びて形成さ
れる。したがって、振動電極72bと振動電極74b
は、圧電体層70を介して対向し、かつ互いに直交する
ようにして交差する。
【0030】この共振子22では、振動電極72bと振
動電極74bとが圧電体層70を介して対向する部分に
振動部76が形成される。ここでは、それぞれ3つの振
動電極72b,74bが交差することにより、9箇所に
振動部76が形成される。この場合、全ての振動部76
が1つのダイアフラム上に形成されてもよいし、それぞ
れの振動部76が1つのダイアフラム上に形成されても
よい。そして、これらの振動部76は、それぞれ電気的
に並列接続された構造となる。
【0031】このような共振子22を形成するには、図
3、図6、図7などに示す方法で形成されたダイアフラ
ムの誘電体層20上に、たとえばリフトオフ蒸着などの
方法により、電極72が形成される。さらに、図9に示
すように、電極72上にZnOなどの圧電体層70が形
成される。圧電体層70は、たとえばスパッタリングな
どによって薄膜状に形成される。圧電体層70上には、
リフトオフ蒸着などによって、電極74が形成される。
さらに、図10に示すように、電極74上にパシベーシ
ョン膜76を形成してもよい。
【0032】このような圧電共振子10では、引出し電
極72a,74aから分岐した振動電極72b,74b
が交差することによって振動部76が形成されているた
め、1対の電極が対向する共振子に比べて、各振動部7
6を小さくすることができる。そのため、各振動部76
の大きさが不要振動の影響がでる大きさよりも小さくな
るため、共振特性の劣化を抑えることができる。
【0033】また、一方の電極72と他方の電極74の
配置がずれても、振動電極72bと振動電極74bとの
対向面積は変化しないため、個々の振動部76の共振抵
抗および共振周波数は変化しない。
【0034】さらに、3つの振動電極72bと3つの振
動電極74bとが交差することによって9つの振動部7
6が形成されるため、小さい面積に多数の振動部76を
配置することができる。また、振動電極72b,74b
を一定の幅とすることにより、全ての振動部76におけ
る振動電極72b,74bの対向面積が等しくなり、共
振周波数の等しい9つの振動部76が形成される。これ
らの振動部76が電気的に並列接続されるため、圧電共
振子10の共振抵抗は、個々の振動部76の共振抵抗の
1/9にすることができる。
【0035】なお、隣接する振動部76の間の距離は、
振動部76に励振される振動の波長の1/2以上となる
ように設定される。このような距離とすることにより、
横方向に漏れる振動が十分に減衰して、隣接する振動部
76の振動が干渉し合うことがなく、スプリアスの発生
を抑えることができる。
【0036】また、図11に示すように、圧電体層70
の両面の振動電極72b,74bが、それぞれ引出し電
極72a,74aと略45度の角度をもって形成され、
互いに略直交するように交差させてもよい。図11に示
す共振子22では、それぞれ2つの振動電極72b,7
4bが交差することにより、4つの振動部76が形成さ
れている。このような圧電共振子10では、引出し電極
72a,74aと振動電極72b,74bとの屈曲角度
が小さいので、高周波での外部信号の不要な反射を防止
することができる。このように、引出し電極と振動電極
との屈曲角度は、任意に変更可能である。
【0037】また、図12に示すように、十字状に形成
された梁18によって形成された4つのダイアフラム上
に、それぞれ1つの振動部76を形成してもよい。図1
2に示す圧電共振子10においては、一方の電極72の
引出し電極72aと直交するように、2つの振動電極7
2bが形成されている。また、梁18を介して一方の電
極72の反対側に形成された他方の電極74について
も、引出し電極74aと直交する振動電極74bが形成
されている。これらの引出し電極72b,74bは、ダ
イアフラム上で直線状に対向するが、梁18上では振動
が励振されないため、4つのダイアフラム上に、それぞ
れ振動部76が形成される。この場合、図12に示すよ
うに、振動部76とダイアフラム固定端との間の距離
が、振動部76に励振される振動の波長λの1/2以上
となるように設定される。このような距離に設定するこ
とにより、振動部76から漏れた振動が十分に減衰し、
ダイアフラム固定端での反射を防止することができ、共
振特性の劣化を防止することができる。
【0038】さらに、図13に示すように、直線状の1
つの梁18の両側に形成された2つのダイアフラム上
に、4つの振動部76が形成されてもよい。図13に示
す圧電共振子10では、一方の電極72の引出し電極7
2aが梁18に沿って形成され、その両側のダイアフラ
ムに向かってそれぞれ2つの振動電極72bが形成され
ている。さらに、他方の電極74の引出し電極74aが
ダイアフラムの外側まで延びて形成され、そこで分岐し
た振動電極74bが梁18の両側に延びるように形成さ
れている。したがって、振動電極72a,74aが、ダ
イアフラム上において、互いに直行するようにして交差
している。このように、この圧電共振子10では、梁1
8の両側のダイアフラム上において、それぞれ2つずつ
の振動部76が形成される。
【0039】この圧電共振子10では、図13に示すよ
うに、隣接する振動部76間の距離が、振動部76に励
振される振動の波長λの1/2以上となるように設定さ
れる。さらに、振動部76と梁18との間の距離も、振
動部76に励振される振動の波長λの1/2以上となる
ように設定される。もちろん、振動部76とダイアフラ
ム固定端との間の距離も、振動部76に励振される振動
の波長λの1/2以上となるように設定される。このよ
うな距離とすることにより、振動部76から漏れた振動
を十分に減衰させることができ、このような不要振動の
影響を抑えることができる。
【0040】このようにして得られた圧電共振子10を
複数接続して、フィルタを形成することができる。この
ような圧電共振子10を用いることにより、小型で不要
振動の影響が少なく、良好な特性を有するフィルタを得
ることができる。さらに、このような圧電共振子10
や、複数の圧電共振子10を用いたフィルタを使用する
ことにより、良好な特性を有する電子機器を得ることが
できる。
【0041】
【発明の効果】この発明によれば、梁でダイアフラムを
補強することにより、ダイアフラムの変形を抑えること
ができ、変形による特性の劣化の少ない圧電共振子を得
ることができる。また、梁でダイアフラムを補強するこ
とにより、ダイアフラムの破壊を防ぐことができ、破壊
による歩留まりの悪化を防ぐことができる。また、大き
い電力を共振子に投入した場合、共振子が発熱して高温
となるが、基板に直結した梁が熱を逃がす役割を果たす
ため、耐電力性が向上する。さらに、1つの基板に1つ
のダイアフラムを形成することにより、1つの基板に複
数のダイアフラムを形成する場合に比べて、素子の小型
化およびコストダウンを図ることができる。また、ダイ
アフラム上に形成される共振子として、圧電体層の両面
において互いに交差する振動電極により形成される振動
部を用いることにより、共振抵抗が小さく、不要な振動
による影響を防止して、良好な特性を有する圧電共振子
を得ることができる。さらに、上述のような圧電共振子
を用いてフィルタを形成することにより、小型で、良好
な特性を有するフィルタを得ることができる。さらに、
このような圧電共振子やフィルタを用いることにより、
良好な特性を有する電子機器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の圧電共振子の一例を示す平面図であ
る。
【図2】図1に示す圧電共振子の断面図解図である。
【図3】この発明の圧電共振子を製造するための製造方
法を示す図解図である。
【図4】梁を形成した場合におけるダイアフラムの変形
量を示すグラフである。
【図5】異方性エッチングによって生じる余分なエリア
を示す図解図である。
【図6】この発明の圧電共振子を製造するための製造方
法の他の例を示す図解図である。
【図7】この発明の圧電共振子を製造するための製造方
法のさらに他の例を示す図解図である。
【図8】この発明の圧電共振子において、ダイアフラム
上に形成される共振子の一例を示す平面図解図である。
【図9】図8に示す共振子の断面図解図である。
【図10】図9に示す共振子にパシベーション膜を形成
した状態を示す断面図解図である。
【図11】図8に示す共振子の変形例を示す平面図解図
である。
【図12】この発明の圧電共振子において、共振子の振
動部とダイアフラム固定端との距離を示すための図解図
である。
【図13】この発明の圧電共振子において、共振子の振
動部間の距離および振動部と梁との間の距離を示すため
の図解図である。
【図14】従来の圧電共振子の一例を示す断面図解図で
ある。
【図15】1つの基板に複数のダイアフラムを形成した
従来の圧電共振子を示す断面図解図である。
【図16】1つのダイアフラムに複数の共振子を形成し
た従来の圧電共振子を示す断面図解図である。
【符号の説明】
10 圧電共振子 12 基板 14 誘電体層 16 中空部 18 梁 20 誘電体層 22 共振子 70 圧電体層 72,74 電極 72a,74a 引出し電極 72b,74b 振動電極 76 振動部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 後藤 義彦 京都府長岡京市天神二丁目26番10号 株式 会社村田製作所内 (72)発明者 野村 忠志 京都府長岡京市天神二丁目26番10号 株式 会社村田製作所内 (72)発明者 柴田 明彦 京都府長岡京市天神二丁目26番10号 株式 会社村田製作所内 (72)発明者 吉野 幸夫 京都府長岡京市天神二丁目26番10号 株式 会社村田製作所内 Fターム(参考) 5J108 BB07 CC04 CC11 DD01 DD06 EE03 FF02 JJ01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 貫通する中空部を有する基板、 前記中空部を覆うようにして前記基板の一方面上に形成
    され、少なくとも1層以上の薄膜からなるダイアフラ
    ム、および前記ダイアフラムを保持する部分から前記中
    空部を横切って前記ダイアフラムの面に接するように形
    成される梁を含み、 前記ダイアフラム上に複数の共振子が形成された、圧電
    共振子。
  2. 【請求項2】 前記基板と前記梁とは、前記ダイアフラ
    ムの一方面側において一体的に形成される、請求項1に
    記載の圧電共振子。
  3. 【請求項3】 前記基板と前記梁とは、前記ダイアフラ
    ムの反対面に形成される、請求項1に記載の圧電共振
    子。
  4. 【請求項4】 前記複数の共振子は、圧電体層と、前記
    圧電体層の一方面上に形成される一方の電極と、前記圧
    電体層の他方面上に形成される他方の電極とを含み、 前記一方の電極および前記他方の電極のそれぞれは、引
    出し電極と、前記引出し電極に接続される1つ以上の振
    動電極とを含み、 前記一方の電極の前記振動電極と前記他方の電極の前記
    振動電極とが前記誘電体層を介して交差して形成される
    複数の振動部を有し、前記複数の振動部が電気的に並列
    に接続されたことを特徴とする、請求項1ないし請求項
    3に記載の圧電共振子。
  5. 【請求項5】 隣接する前記振動部間の距離が、前記振
    動部に励振される振動の波長の1/2以上であることを
    特徴とする、請求項4に記載の圧電共振子。
  6. 【請求項6】 前記振動部と前記ダイアフラムの固定端
    との距離が、前記振動部に励振される振動の波長の1/
    2以上であることを特徴とする、請求項4または請求項
    5に記載の圧電共振子。
  7. 【請求項7】 前記振動部と前記梁との距離が、前記振
    動部に励振される振動の波長の1/2以上であることを
    特徴とする、請求項4ないし請求項6のいずれかに記載
    の圧電共振子。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし請求項7のいずれかに記
    載の圧電共振子を用いた、フィルタ。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし請求項7のいずれかに記
    載の圧電共振子または請求項8に記載のフィルタを用い
    た、電子機器。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004088840A1 (ja) * 2003-03-31 2004-10-14 Ube Industries, Ltd. 圧電薄膜デバイス及びその製造方法
JP2010063142A (ja) * 2002-08-08 2010-03-18 Intel Corp 薄膜バルク音響共鳴器フィルタの製造方法および薄膜バルク音響共鳴器フィルタを用いた回路
US11195984B2 (en) 2016-07-14 2021-12-07 Murata Manufacturing Co., Ltd. Piezoelectric transformer
US11233190B2 (en) 2016-08-24 2022-01-25 Murata Manufacturing Co., Ltd. Piezoelectric transformer

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