このような圧電型加速度センサでは、加速度検出信号の出力感度を高めることが求められている。しかしながら、出力感度を高めるには、重錘を大きくしたり、ベースの径寸法を大きくしなければならず、寸法を大きくしなければならないという問題があった。
本発明の目的は、寸法を大きくすることなく、加速度検出信号の出力感度を高められる圧電型加速度センサ及び圧電型三軸加速度センサを提供することにある。
本発明の他の目的は、寸法を大きくすることなく、加速度検出信号の出力感度を高められる圧電型加速度センサ及び圧電型三軸加速度センサを簡単に量産できる圧電型加速度センサ及び圧電型三軸加速度センサの製造方法を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、圧電セラミックス基板とベースとの線膨張係数の違いにより生じる温度変化に伴う出力の変化が大きくなるのを抑制できる圧電型加速度センサ及び圧電型三軸加速度センサを提供することにある。
本発明が改良の対象とする圧電型加速度センサは、加速度の作用により圧電セラミックス基板内に生じた応力によって発生する自発分極電荷を加速度の検出に利用するタイプの圧電型加速度センサである。本発明では、厚み方向に積層された第1及び第2の圧電セラミックス基板を備える。そして、第1の圧電セラミックス基板の第2の圧電セラミックス基板と対向しない表面には、複数の表面電極を含む表面電極パターンを形成し、第1の圧電セラミックス基板の第2の圧電セラミックス基板と対向する裏面及び第2の圧電セラミックス基板の第1の圧電セラミックス基板と対向する表面のいずれか一方には、複数の表面電極に対向する複数の中間電極を含む中間電極パターンを形成し、第2の圧電セラミックス基板の第1の圧電セラミックス基板と対向しない裏面には、複数の中間電極に対向する複数の裏面電極を含む裏面電極パターンを形成する。そして、第1及び第2の圧電セラミックス基板には、内部に応力が発生すると、相互に対向する表面電極と中間電極との間、及び相互に対向する中間電極と裏面電極との間に自発分極電荷が発生するように分極処理を施こす。
本発明のように、第1及び第2の圧電セラミックス基板の2枚の圧電セラミックス基板を積層し、これらの圧電セラミックス基板を介して表面電極パターン,中間電極パターン及び裏面電極パターンを配置する構造(いわゆるバイモルフ構造)にすれば、表面電極パターンと中間電極パターンとの間に発生する自発分極電荷及び裏面電極パターンと中間電極パターンとの間に発生する自発分極電荷の両方の電荷量に基づいて加速度を求めることができる。そのため、理論的には加速度検出信号の出力感度を2倍に高めることができる。その結果、寸法をあまり大きくすることなく、加速度検出信号の出力感度を高められる圧電型加速度センサを得ることができる。
通常、加速度センサ素子に積極的に応力を発生させるために加速度センサ素子にはダイヤフラムを接合させるが、本発明の圧電型加速度センサでは、このようなダイヤフラムを用いてもよいし、用いなくてもよい。ダイヤフラムを用いない圧電型加速度センサでは、加速度の作用により圧電セラミックス基板内に生じた応力によって発生する自発分極電荷を加速度の検出に利用する加速度センサ素子と、加速度センサ素子の中央部に対応して設けられて加速度の作用で変位して圧電セラミックス基板に加速度に応じた撓みを生じさせる重錘と、重錘の変化を許容するように圧電セラミックス基板の周縁部を直接支持するベースとを具備し、重錘を加速度センサ素子の裏面の中央部に直接接合する。このような圧電型加速度センサでは、圧電セラミックス基板を2枚の圧電セラミックス基板から構成しても、ダイヤフラムを用いない分だけ、全体の厚み寸法が大きくなるのを抑えることができる。
このようなダイヤフラムを用いない圧電型加速度センサでは、圧電セラミックス基板とベースとの線膨張係数の違いにより生じる温度変化に伴う出力の変化が大きくなるおそれがある。そこで、ベースを、環状の横断面を有するベース本体と、ベース本体の加速度センサ素子と対向するセンサ素子対向面上に一体に設けられてベース本体から加速度センサ素子側に突出する3以上の突出部とから構成する。これらの3以上の突出部は、ベース本体の中心からセンサ素子対向面に沿って外側に延びて加速度センサ素子に少なくとも一部が接合される接合面を有している。これらの3以上の突出部の少なくとも2つの突出部は、接合面が重錘の径方向に位置する一対の表面電極に対応するように、配置するのが好ましい。このようにすれば、加速度センサ素子とベースとの接合面積を小さくできるので、両者の線膨張係数の違いによって生じる温度変化に伴う出力の変化を抑制できる。なお、3以上の突出部の少なくとも2つの突出部を、接合面が重錘の径方向に位置する一対の表面電極に対応するように配置するので、加速度センサ素子の一対の表面電極に対応する位置が安定してベースに支持されるため、測定値にばらつきが生じるのを防ぐことができる。
複数の突出部の横断面形状は、ベース本体から加速度センサ素子に向かうに従って幅が狭くなるようにほぼ台形の形状を有しているのが好ましい。このようにすれば、複数の突出部の強度を維持した上で、圧電セラミックス基板とベースとの接合面積を小さくできる。
また、第1の圧電セラミックス基板には、第1の圧電セラミックス基板の表面を覆う第1のセラミックス保護板を接合し、第2の圧電セラミックス基板には、第2の圧電セラミックス基板の裏面を覆う第2のセラミックス保護板を接合することができる。このようなセラミックス保護板を設ければ、表面電極パターン及び裏面電極パターンが外部に露出されるのを防ぐことができ、表面電極パターン及び裏面電極パターンの損傷を防ぐことができる。
この場合、第1のセラミックス保護板の表面から出力を取り出せるように、第1のセラミックス保護板の第1の圧電セラミックス基板と対向しない表面には、第1の圧電セラミックス基板の表面に形成された各出力電極と電気的に接続されたセラミックス保護板上出力電極が形成するのが好ましい。
また、各板の加速度の作用による撓みを等しくするように第1のセラミックス保護板,第1の圧電セラミックス基板,第2の圧電セラミックス基板及び第2のセラミックス保護板は、いずれも同材質のセラミックスによって形成するのが好ましい。
本発明の圧電型加速度センサは、一軸、二軸、三軸のいずれの加速度センサにも適用できる。三軸の加速度センサ(圧電型三軸加速度センサ)に適用する場合には、表面電極パターンをX軸方向仮想線上に配置された一対のX軸表面電極,X軸方向仮想線と直交するY軸方向仮想線上に配置された一対のY軸表面電極及びZ軸方向の加速度を検出するための複数のZ軸表面電極と、X軸表面出力電極,Y軸表面出力電極及びZ軸表面出力電極とがX軸表面接続線,Y軸表面接続線及びZ軸表面接続線を介してそれぞれ電気的に接続して形成する。また、中間電極パターンを一対のX軸表面電極,一対のY軸表面電極及び複数のZ軸表面電極にそれぞれ対向する一対のX軸中間電極,一対のY軸中間電極及び複数のZ軸中間電極を含むように形成する。また、裏面電極パターンを一対のX軸中間電極,一対のY軸中間電極及び複数のZ軸中間電極にそれぞれ対向する一対のX軸裏面電極,一対のY軸裏面電極及び複数のZ軸裏面電極を含むように形成する。そして、第1及び第2の圧電セラミックス基板は、内部に応力が発生すると、相互に対向する表面電極と中間電極との間、及び相互に対向する中間電極と裏面電極との間に自発分極電荷が発生するように分極処理を施こせばよい。
圧電型三軸加速度センサの中間電極パターンの印可用電極(中間印加用電極)及び裏面電極パターンの出力電極(裏面出力電極)は、種々の態様で形成することができる。例えば、第1の圧電セラミックス基板の表面に1つの中間印加用電極と第1の裏面出力電極と第2の裏面出力電極とを形成することができる。この場合、一対のX軸表面電極,一対のY軸表面電極及び複数のZ軸表面電極と対向する環状の中間環状電極と中間連結電極とを中間接続線を介して電気的に接続して中間電極パターンを形成する。また、中間環状電極と対向する一対のX軸裏面電極,一対のY軸裏面電極及び複数のZ軸裏面電極と、第1の裏面連結電極と、一対のX軸裏面電極の一方の電極と一対のY軸裏面電極の一方の電極と第1の裏面連結電極とを接続する第1の裏面接続線と、第2の裏面連結電極と、一対のX軸裏面電極の他方の電極と一対のY軸裏面電極の他方の電極と第2の裏面連結電極とを接続する第2の裏面接続線と、複数のZ軸裏面電極と第1の裏面接続線とを電気的に接続する第3の裏面接続線とを有する裏面電極パターンを形成する。そして、第1の裏面出力電極及び第2の裏面出力電極と、第1の裏面連結電極及び第2の裏面連結電極とを第1及び第2の圧電セラミックス基板を貫通するビアホール接続体またはスルーホール接続体によりそれぞれ電気的に接続し、中間印加用電極と中間連結電極とを第1の圧電セラミックス基板を貫通するビアホール接続体またはスルーホール接続体により電気的に接続する。
このように構成すれば、第1の圧電セラミックス基板の表面に1つの中間印加用電極と2つの裏面出力電極(第1の裏面出力電極及び第2の裏面出力電極)だけを形成すればよいため、圧電型三軸加速度センサの構造を簡素化できる。
中間環状電極は、一対のX軸中間電極,一対のY軸中間電極及び複数のZ軸中間電極と、これらの各中間電極を共通接続する環状の共通接続線とから構成しても構わない。
上述の例では、各中間電極を共通接続したが、各裏面電極を共通接続し、第1の圧電セラミックス基板の表面に、1つの裏面出力電極と、一対のX軸中間印加用電極,一対のY軸中間印加用電極及び複数のZ軸中間印加用電極とを形成することができる。この場合、一対のX軸中間電極,一対のY軸中間電極及び複数のZ軸中間電極と一対のX軸中間連結電極,一対のY軸中間連結電極及び複数のZ軸中間連結電極とを一対のX軸中間接続線,一対のY軸中間接続線及び複数のZ軸中間接続線を介してそれぞれ電気的に接続して中間電極パターンを形成する。また、一対のX軸中間電極,一対のY軸中間電極及び複数のZ軸中間電極に対向する環状の裏面環状電極と裏面連結電極とを裏面接続線を介して電気的に接続して裏面電極パターンを形成する。そして、裏面出力電極と裏面連結電極とを第1及び第2の圧電セラミックス基板を貫通するビアホール接続体またはスルーホール接続体により電気的に接続し、一対のX軸中間印加用電極,一対のY軸中間印加用電極及び複数のZ軸中間印加用電極と、一対のX軸中間連結電極,一対のY軸中間連結電極及び複数のZ軸中間連結電極とを第1の圧電セラミックス基板を貫通するビアホール接続体またはスルーホール接続体によりそれぞれ電気的に接続する。
裏面環状電極は、一対のX軸裏面電極,一対のY軸裏面電極及び複数のZ軸裏面電極と、これらの各裏面電極を共通接続する環状の共通接続線とから構成することができる。
また、第1の圧電セラミックス基板の表面に一対のX軸裏面出力電極,一対のY軸裏面出力電極及び複数のZ軸裏面出力電極と、一対のX軸中間印加用電極,一対のY軸中間印加用電極及び複数のZ軸中間印加用電極とを形成してもよい。この場合、一対のX軸中間電極,一対のY軸中間電極及び複数のZ軸中間電極と一対のX軸中間連結電極,一対のY軸中間連結電極及び複数のZ軸中間連結電極とが一対のX軸中間接続線,一対のY軸中間接続線及び複数のZ軸中間接続線を介してそれぞれ電気的に接続して中間電極パターンを形成する。また、一対のX軸裏面電極,一対のY軸裏面電極及び複数のZ軸裏面電極と、一対のX軸裏面連結電極,一対のY軸裏面連結電極及び複数のZ軸裏面連結電極とを一対のX軸裏面接続線,一対のY軸裏面接続線及び複数のZ軸裏面接続線を介してそれぞれ電気的に接続して裏面電極パターンを形成する。そして、一対のX軸裏面出力電極,一対のY軸裏面出力電極及び複数のZ軸裏面出力電極と、一対のX軸裏面連結電極,一対のY軸裏面連結電極及び複数のZ軸裏面連結電極とを第1及び第2の圧電セラミックス基板を貫通するビアホール接続体またはスルーホール接続体によりそれぞれ電気的に接続し、一対のX軸中間印加用電極,一対のY軸中間印加用電極及び複数のZ軸中間印加用電極と、一対のX軸中間連結電極,一対のY軸中間連結電極及び複数のZ軸中間連結電極とを第1の圧電セラミックス基板を貫通するビアホール接続体またはスルーホール接続体によりそれぞれ電気的に接続する。このように構成すれば、各電極の出力電極がそれぞれ独立して第1の圧電セラミックス基板の表面に配置されることになり、各電極から出力される加速度検出信号を正確に測定できる。
上述の例では、各裏面出力電極と各裏面電極との電気的接続及び各中間印加用電極と各中間電極との電気的接続をビアホール接続体またはスルーホール接続体により行ったが、これらの電気的接続を基板の側方端面上に延びる導電部により行ってもよい。この場合、第1の圧電セラミックス基板の表面に、一対のX軸裏面出力電極,一対のY軸裏面出力電極及び複数のZ軸裏面出力電極にそれぞれ接続されて第1の圧電セラミックス基板の側方端面側に延びる一対のX軸裏面対応導通線,一対のY軸裏面対応導通線及び複数のZ軸裏面対応導通線と、一対のX軸中間印加用電極,一対のY軸中間印加用電極及び複数のZ軸中間印加用電極にそれぞれ接続されて第1の圧電セラミックス基板の側方端面側に延びる一対のX軸中間対応導通線,一対のY軸中間対応導通線及び複数のZ軸中間対応導通線とを形成する。また、第1の圧電セラミックス基板の裏面または第2の圧電セラミックス基板の表面のいずれか一方に、一対のX軸中間電極,一対のY軸中間電極及び複数のZ軸中間電極に接続されて第1の圧電セラミックス基板または第2の圧電セラミックス基板の側方端面側に延びる一対のX軸中間接続線,一対のY軸中間接続線及び複数のZ軸中間接続線を形成する。また、第2の圧電セラミックス基板の裏面に、一対のX軸裏面電極,一対のY軸裏面電極及び複数のZ軸裏面電極にそれぞれ接続されて第2の圧電セラミックス基板の側方端面側に延びる一対のX軸裏面接続線,一対のY軸裏面接続線及び複数のZ軸裏面接続線を形成する。そして、一対のX軸裏面対応導通線,一対のY軸裏面対応導通線及び複数のZ軸裏面対応導通線と一対のX軸裏面接続線,一対のY軸裏面接続線及び複数のZ軸裏面接続線とを第1及び第2の圧電セラミックス基板の側方端面上を延びる導電部によりそれぞれ電気的に接続し、一対のX軸中間対応導通線,一対のY軸中間対応導通線及び複数のZ軸中間対応導通線と一対のX軸中間接続線,一対のY軸中間接続線及び複数のZ軸中間接続線とを第1の圧電セラミックス基板の側方端面上を延びる導電部によりそれぞれ電気的に接続すればよい。
中間電極パターンは、第1の圧電セラミックス基板の裏面または第2の圧電セラミックス基板の表面のいずれか一方に形成された厚膜または薄膜から構成することができる。
本発明の圧電型加速度センサの圧電型加速度センサ素子は次のようにして作ることができる。まず、第1及び第2のセラミックスグリーンシートを用意し、第1のセラミックスグリーンシートの表面に、相互に導通接続されていない複数の表面電極を含む表面電極パターンを複数個印刷形成する。また、第2のセラミックスグリーンシートの裏面に、複数の裏面電極を含む裏面電極パターンを複数個印刷形成する。また、第1のセラミックスグリーンシートの裏面及び第2のセラミックスグリーンシートの表面のいずれか一方に、複数の中間電極を含む中間電極パターンを複数個印刷形成する。次に、第1のセラミックスグリーンシートの裏面と第2のセラミックスグリーンシートの表面とが当接するように第1のセラミックスグリーンシートと第2のセラミックスグリーンシートとを積層した状態で、第1及び第2のセラミックスグリーンシート並びに各電極パターンを焼成して圧電セラミックス基板重合体を形成する。次に、中間電極パターンをアース電位にして複数の表面電極及び複数の裏面電極と中間電極との間に所定の電圧を印可して分極処理を施こす。次に、圧電セラミックス基板重合体を切断して複数個の圧電型加速度センサ素子を作る。
本製造方法では、複数の表面電極が相互に導通接続されていないので、各電極パターンが複数個印刷形成された複数個取りの第1及び第2のセラミックスグリーンシートを積層した状態で分極処理を一度に行える。そのため、圧電型加速度センサを簡単に量産できる。特に第1及び第2のセラミックスグリーンシートを焼成して両者を接合するので、接着剤を用いることなく、第1及び第2の圧電セラミックス基板の接合を行える。そのため、接着剤の誘電率によって自発分極電荷が影響を受けることがない。
三軸方向の加速度を検出する加速度センサ素子(圧電型三軸加速度センサ素子)は次のようにして作ることができる。まず、第1及び第2のセラミックスグリーンシートを用意し、第1のセラミックスグリーンシートの表面に、X軸方向仮想線上に配置された一対のX軸表面電極,X軸方向仮想線と直交するY軸方向仮想線上に配置された一対のY軸表面電極及びZ軸方向の加速度を検出するための複数のZ軸表面電極と一対のX軸表面出力電極,一対のY軸表面出力電極及び複数のZ軸表面出力電極とが一対のX軸表面接続線,一対のY軸表面接続線及び複数のZ軸表面接続線を介してそれぞれ電気的に接続された表面電極パターンを複数個印刷形成する。また、第1のセラミックスグリーンシートの裏面及び第2のセラミックスグリーンシートの表面のいずれか一方に、一対のX軸中間電極,一対のY軸中間電極及び複数のZ軸中間電極を含む中間電極パターンを複数個印刷形成する。また、第2のセラミックスグリーンシートの裏面に、一対のX軸裏面電極,一対のY軸裏面電極及び複数のZ軸裏面電極を含む裏面電極パターンを複数個印刷形成する。次に、第1のセラミックスグリーンシートの裏面と第2のセラミックスグリーンシートの表面とが当接するように第1のセラミックスグリーンシートと第2のセラミックスグリーンシートとを積層した状態で、第1及び第2のセラミックスグリーンシート並びに各電極パターンを焼成して圧電セラミックス基板重合体を形成する。次に、中間電極パターンをアース電位にして複数の表面電極及び複数の裏面電極と中間電極との間に所定の電圧を印可して分極処理を施こす。次に、圧電セラミックス基板重合体を切断して複数個の圧電型三軸加速度センサ素子を作る。
第1及び第2のセラミックスグリーンシートの接合を確実に行うには、第1及び第2のセラミックスグリーンシート並びに各電極パターンクスの焼成を、第1及び第2のセラミックスグリーンシートを厚み方向にプレスして行うのが好ましい。
第1のセラミックスグリーンシートの表面には、裏面電極パターンに電気的に接続された裏面出力電極と、中間電極パターンに電気的に接続された中間印加用電極とを形成することができる。このようにすれば、分極処理は、同一表面上にある複数の表面出力電極と中間印加用電極との間及び中間印加用電極と裏面出力電極との間にそれぞれ所定の電圧を同時に印加して行うことができる。例えば、移動式の複数のピン電極を用いて、ピン電極の先端と各出力電極とを接触させて印加を行う分極処理を行えば、短時間で簡単に分極処理が行える。
この場合、裏面出力電極と裏面電極パターンとは第1及び第2の圧電セラミックス基板を貫通するビアホール接続体またはスルーホール接続体により電気的に接続し、中間印加用電極と中間電極パターンとを第1の圧電セラミックス基板を貫通するビアホール接続体またはスルーホール接続体により電気的に接続すればよい。
以下、図面を参照して圧電型三軸加速度センサに適応した本発明の実施の形態の圧電型加速度センサを説明する。図1及び図2は、本発明の一実施の形態の圧電型三軸加速度センサの概略断面図及び平面図であり、図3は図2のIII-III線断面図である。各図に示すように、この圧電型三軸加速度センサは、ベース1と、重錘3と、圧電型加速度センサ素子5とを備えている。なお、本図では理解を容易にするため、加速度センサ素子5の各部の厚みを誇張して描いている。ベース1は、円筒状を有しており、合成樹脂や金属により形成されている。このベース1は、ベース本体1aと、ベース本体1aの加速度センサ素子5と対向するセンサ素子対向面1c上に一体に設けられてベース本体1aから加速度センサ素子5側に突出する4つの突出部1b…とから構成されている。突出部1bの横断面形状は、図3に示すように、ベース本体1aから加速度センサ素子5に向かうに従って幅が狭くなるようにほぼ台形の形状を有している。そして、突出部1bは、ベース本体1aの中心からセンサ素子対向面1cに沿って外側に延びて加速度センサ素子5に少なくとも一部が接合される接合面1dを有している。これらの接合面1d…は、重錘3の径方向に位置する後述する一対のX軸表面電極FX1,FX2及び一対のY軸表面電極FY1,FY2[図4(A)参照]に対応するように、加速度センサ素子5の第2の圧電セラミックス基板9の裏面にエポキシ系接着剤等の適宜の接着剤により接合されている。これにより、ベース1は、重錘3の変位を許容するように加速度センサ素子5に直接接合されることになる。
重錘3は、円柱形状を有しており、真鍮等の金属により形成されている。この重錘3は、中心線の延長部分が加速度センサ素子5の中心を通るように加速度センサ素子5の裏面の中央部に接着剤により直接接合されている。
加速度センサ素子5は、厚み方向に積層された第1の圧電セラミックス基板7と第2の圧電セラミックス基板9とを有している。第1の圧電セラミックス基板7及び第2の圧電セラミックス基板9は、いずれもチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等のセラミックス板により形成されており、100μmの厚み寸法を有するほぼ正方形の板形状を有している。図4(A)及び(B)は、第1の圧電セラミックス基板7の平面図及び裏面図であり、図5は、第2の圧電セラミックス基板9の裏面図であり、図6は、第1の圧電セラミックス基板7と第2の圧電セラミックス基板9とが積層された状態で図4(A)のVI−VI線に沿って切断した断面の部分図である。積層された第1の圧電セラミックス基板7及び第2の圧電セラミックス基板9は、図4(A)に示すように、重錘対向領域11Aと、ベース対向領域11Bと、重錘対向領域11Aとベース対向領域11Bとの間に位置する環状の応力発生領域11Cとを有している。重錘対向領域11Aに対応する部分には重錘3が位置しており、ベース対向領域11Bに対応する部分にはベース1が位置している。また、第1の圧電セラミックス基板7の第2の圧電セラミックス基板9と対向しない表面7aには、表面電極パターン13と、中間印加用電極AMと、第1の裏面出力電極OR1と、第2の裏面出力電極OR2とが形成されている。表面電極パターン13は、X軸方向仮想線XL上に配置された一対のX軸表面電極FX1,FX2、X軸方向仮想線XLと直交するY軸方向仮想線YL上に配置された一対のY軸表面電極FY1,FY2及び4つのZ軸表面電極FZ1〜FZ4と、一対のX軸表面出力電極FO1,FO2、一対のY軸表面出力電極FO3,FO4及び4つのZ軸表面出力電極FO5〜FO8とが一対のX軸表面接続線FL1,FL2,一対のY軸表面接続線FL3,FL4及び4つのZ軸表面接続線FL5〜FL8を介してそれぞれ電気的に接続されて構成されている。表面電極FX1〜FZ4は、重錘対向領域11Aを囲む環状の列を形成しており、各電極は、いずれも重錘対向領域11Aと応力発生領域11Cとに跨がる矩形に近い形状を有している。また、表面接続線FL1〜FL8は、第1の圧電セラミックス基板7の中心から放射状に広がるように形成されている。これにより、表面出力電極FO1〜FO8は、第1の圧電セラミックス基板7の周縁部近傍に分散して配置されている。表面電極FX1〜FZ4は、Ag−Pd粉末を溶剤に分散したAg−Pd溶剤ペーストを用いて印刷により形成されており、表面接続線FL1〜FL8及び表面出力電極FO1〜FO8も表面電極FX1〜FZ4と同様に、Ag−Pd溶剤ペーストを用いて印刷により形成されている。また、これらの電極及び接続線は、スパッタリング等からなる薄膜形成技術により形成してもよい。
図4(B)に示すように、第1の圧電セラミックス基板7の裏面7bには、環状の中間環状電極15aと中間連結電極MCとが中間接続線MLを介して電気的に接続された中間電極パターン15と、第1の裏面中継電極RJ1と、第2の裏面中継電極RJ2とが形成されている。中間環状電極15aは、一対のX軸表面電極FX1,FX2、一対のY軸表面電極FY1,FY2及び4つのZ軸表面電極FZ1〜FZ4とそれぞれ対向する一対のX軸中間電極MX1,MX2、一対のY軸中間電極MY1,MY2及び4つのZ軸中間電極MZ1〜MZ4と、これらの中間電極MX1〜MZ4を共通接続する円環状の共通接続線17とから形成されている。この例では、中間接続線MLは、Z軸中間電極MZ3に接続されることにより中間環状電極15aと電気的に接続されている。中間電極MX1〜MZ4は、Ag−Pd溶剤ペーストを用いて印刷により形成されており、中間連結電極MC,中間接続線ML及び共通接続線17も中間電極MX1〜MZ4と同様には、Ag−Pd溶剤ペーストを用いて印刷により形成されている。また、これらの電極及び接続線も、スパッタリング等からなる薄膜形成技術により形成してもよい。
図5に示すように、第2の圧電セラミックス基板9の第1の圧電セラミックス基板と対向しない裏面9bには、裏面電極パターン19が形成されている。この裏面電極パターン19は、一対のX軸中間電極MX1,MX2、一対のY軸中間電極MY1,MY2及び4つのZ軸中間電極MZ1〜MZ4にそれぞれ対向する一対のX軸裏面電極RX1,RX2,一対のY軸裏面電極RY1,RY2及び4つのZ軸裏面電極RZ1〜RZ4と、第1の裏面連結電極RC1と、第1の裏面接続線RL1と、第2の裏面連結電極RC2と、第2の裏面接続線RL2と、第3の裏面接続線RL3とを有している。第1の裏面接続線RL1は、一対のX軸裏面電極RX1,RX2の一方の電極RX1と一対のY軸裏面電極RY1,RY2の一方の電極RY1と第1の裏面連結電極RC1とを接続している。第2の裏面接続線RL2は、一対のX軸裏面電極RX1,RX2の他方の電極RX2と一対のY軸裏面電極RY1,RY2の他方の電極RY2と第2の裏面連結電極RC2とを接続している。第3の裏面接続線RL3は、4つのZ軸裏面電極RZ1〜RZ4と第1の裏面接続線RC1とを接続している。裏面電極RX1〜RZ4,第1の裏面連結電極RC1,第1の裏面接続線RL1,第2の裏面連結電極RC2,第2の裏面接続線RL2及び第3の裏面接続線RL3は、Ag−Pd溶剤ペーストを用いて印刷により形成されている。また、これらの電極及び接続線も、スパッタリング等からなる薄膜形成技術により形成してもよい。
第2の裏面出力電極OR2と第2の裏面連結電極RC2は、図6に示すように、第1の圧電セラミックス基板7を貫通するビアホール接続体21と第2の裏面中継電極RJ2と第2の圧電セラミックス基板9を貫通するビアホール接続体22とにより電気的に接続されている。また、図示されていないが、第1の裏面出力電極OR1と第1の裏面連結電極RC1も、図6に示す例と同様にして、第1の圧電セラミックス基板7を貫通するビアホール接続体と第1の裏面中継電極RJ1と第2の圧電セラミックス基板9を貫通するビアホール接続体とにより電気的に接続されている。また、中間印加用電極AMと中間連結電極MCとは、図6に示すように、第1の圧電セラミックス基板7を貫通するビアホール接続体23により電気的に接続されている。ビアホール接続体21及び23は、Ag−Pd溶剤ペーストを用いて印刷により形成されている。このようなビアホール接続体21及び23の接続により、第1の裏面出力電極OR1,第2の裏面出力電極OR2及び中間印加用電極AMを通して裏面電極RX1,RY1,RZ1〜RZ4及び中間電極MX1〜MZ4に電圧を印可できる。また、裏面電極RX1,RY1,RZ1〜RZ4に現れる電荷は第1の裏面出力電極OR1を通して外部に出力され、裏面電極RX2,RY2に現れる電荷は第2の裏面出力電極OR2を通して外部に出力される。本例では、第1の裏面出力電極OR1及び第2の裏面出力電極OR2は、いずれも接地されている。
第1及び第2の圧電セラミックス基板7及び9には、内部に応力が発生すると、相互に対向する表面電極FX1〜FZ4及び中間電極MX1〜MZ4、並びに相互に対向する中間電極MX1〜MZ4及び裏面電極RX1〜RZ4に自発分極電荷が発生するように分極処理が施されている。分極処理の具体的な方法は後に説明するが、ここでは図7及び図8の模式図を用いて第1及び第2の圧電セラミックス基板7及び9に施された分極処理により各電極に発生する自発分極電荷について説明する。図7(A)に示すように、重錘3にZ軸方向の加速度が作用して応力発生領域11Cの各部分に同種類の応力(この例では引っ張り応力)が発生した場合、一対のX軸表面電極FX1,FX2には、それぞれ逆極性の正極及び負極の自発分極電荷が現れ、一対のX軸裏面電極RX1,RX2には、それぞれが対応する一対のX軸表面電極FX1,FX2と同極性の正極及び負極の自発分極電荷が現れる。本例の圧電型三軸加速度センサでは、図9に示すように、表面電極FX1と裏面電極RX1との間、及び表面電極FX2と裏面電極RX2との間が並列になるように接続して、測定電位差Vを求め、この測定電位差Vに基づいて加速度を求める。そのため、表面電極FX1と中間電極MX1との電位差V1が+10mVであれば、中間電極MX1と裏面電極RX1との電位差V2,表面電極FX2と中間電極MX2との電位差V3,中間電極MX2と裏面電極RX2との電位差V4は、それぞれ+10mV,−10mV,−10mVとなり各電位差に基づいた測定電位差は0Vとなって、X軸方向に加速度が検出されることはない。
図7(B)に示すように、重錘3にX軸方向の加速度が作用して応力発生領域11Cの各部分に異種類の応力(引っ張り応力と圧縮応力)が発生した場合は、一対のX軸表面電極FX1,FX2に、それぞれ同極性の正極の自発分極電荷が現れ、一対のX軸裏面電極RX1,RX2にも、それぞれが対応する一対のX軸表面電極FX1,FX2と同極性の正極の自発分極電荷が現れる。そのため、電位差V1が+10mVであれば、電位差V2,V3,V4は、いずれも+10mVとなり各電位差に基づいた測定電位差は、+20mVとなり、従来より高い(理論的には2倍)の加速度検出信号の感度でX軸方向の加速度が検出される。
一対のY軸表面電極FY1,FY2及び一対のY軸裏面電極RY1,RY2も、一対のX軸表面電極FX1,FX2及び一対のX軸裏面電極RX1,RX2と同様に、重錘3にZ軸方向の加速度が作用して応力発生領域11Cの各部分に同種類の応力が発生した場合は、一対のY軸表面電極FY1,FY2に、それぞれ逆極性の自発分極電荷が現れ、一対のY軸裏面電極RY1,RY2に、それぞれが対向する一対のX軸表面電極FY1,FY2と同極性の自発分極電荷が現れる。また、重錘3にY軸方向の加速度が作用して応力発生領域11Cの各部分に異種類の応力(引っ張り応力と圧縮応力)が発生した場合は、一対のY軸表面電極FY1,FY2には、それぞれ同極性の自発分極電荷が現れ、一対のX軸裏面電極RY1,RY2には、それぞれが対向する一対のY軸表面電極FY1,FY2と同極性の自発分極電荷が現れる。これにより、重錘3にZ軸方向の加速度が作用してもY軸方向に加速度が検出されることはなく、重錘3にY軸方向の加速度が作用すると従来より高いの加速度検出信号の感度でY軸方向の加速度が検出される。
図8(A)に示すように、重錘3にZ軸方向の加速度が作用して応力発生領域11Cの各部分に同種類の応力(この例では引っ張り応力)が発生した場合、重錘3を挟んで対向するZ軸表面電極(この例ではFZ1,FZ3)には、それぞれ同極性の正極の自発分極電荷が現れ、Z軸裏面電極RZ1,RZ3には、それぞれが対向するZ軸表面電極FZ1,FZ3と同極性の正極の自発分極電荷が現れる。そのため、電位差V11が+10mVであれば、電位差V12,V13,V14は、いずれも+10mVとなり各電位差に基づいた測定電位差は+20mVとなり従来より高い加速度検出信号の感度でZ軸方向の加速度が検出される。
図8(B)に示すように、重錘3にX軸方向またはY軸方向の加速度が作用して応力発生領域11Cの各部分に異種類の応力(引っ張り応力と圧縮応力)が発生した場合は、Z軸表面電極FZ1,FZ3に、それぞれ逆極性の正極及び負極の自発分極電荷が現れ、一対のX軸裏面電極RZ1,RZ3にも、それぞれが対向する一対のX軸表面電極FZ1,FZ3と同極性の正極及び負極の自発分極電荷が現れる。そのため、電位差V11が+10mVであれば、電位差V12,V13,V14は、それぞれ+10mV,−10mV,−10mVとなり各電位差に基づいた測定電位差は0Vとなって、Z軸方向に加速度が検出されることはない。
なお、本例では、図7(A)の裏面電極RX1及び図8(B)の裏面電極RZ1の例に示すように、裏面電極RX1,裏面電極RY1及び裏面電極RZ1〜RZ4は同種の応力が発生した場合にそれぞれの電極に同極性の電荷が生じるので、これらの電極RX1,RY1,RZ1〜RZ4は図5に示すように共通接続することができる。
本例の圧電型三軸加速度センサの加速度センサ素子は次のようにして作った。まず、多数個取りの第1及び第2のセラミックスグリーンシートを用意する。そして、第1のセラミックスグリーンシートの所定位置に貫通孔を形成してから該貫通孔にAg−Pd溶剤ペーストを充填してビアホール接続体21,23を複数個形成する。次に第1のセラミックスグリーンシートの表面に、表面電極パターン13と中間印加用電極AMと第1及び第2の裏面出力電極OR1,OR2とを複数個印刷形成し、第1のセラミックスグリーンシートの裏面に中間電極パターン15とビアホール接続体21に接続される裏面中継電極RJ2とを複数個印刷形成する。また、第2のセラミックスグリーンシートの所定位置に貫通孔を形成してから該貫通孔にAg−Pd溶剤ペーストを充填してビアホール接続体22を複数個形成する。次に第2のセラミックスグリーンシートの裏面に裏面電極パターン19を複数個印刷形成する。
次に、第1のセラミックスグリーンシートの裏面中継電極RJ2と第2のセラミックスグリーンシートのビアホール接続体22とが接合するように第1のセラミックスグリーンシートの裏面と第2のセラミックスグリーンシートの表面とを当接させて、第1のセラミックスグリーンシートと第2のセラミックスグリーンシートとを積層する。次に第1及び第2のセラミックスグリーンシートを厚み方向にプレスした状態で、第1及び第2のセラミックスグリーンシート並びに各電極パターンを焼成して圧電セラミックス基板重合体を形成する。次に、中間電極MX1〜MZ4をアース電位にして表面電極FX1〜FZ4と裏面電極RX1〜RZ4との間に所定の電圧を印可して分極処理を施こす。この例では、表面電極FX1〜FZ4に電気的に接続された表面出力電極FO1〜FO8、中間電極MX1〜MZ4に電気的に接続された中間印加用電極AM、裏面電極RX1〜RZ4に電気的に接続された第1の裏面出力電極OR1及び第2の裏面出力電極OR2のいずれもが第1のセラミックスグリーンシートの表面に形成されているため、移動式の複数のピン電極を用いて、複数のピン電極の先端と各出力電極FO1〜FO8,AM,OR1,OR2とを接触させて印加を行う分極処理を行えば、短時間で簡単に分極処理が行える。次に圧電セラミックス基板重合体を切断して複数個の加速度センサ素子5…を完成する。
なお、この例では、第2の裏面出力電極OR1,OR2と第2の裏面連結電極RC1,RC2との接続及び中間印加用電極AMと中間連結電極MCとの接続をビアホール接続体21,23により行ったが、電極を形成した後に電極及び基板を貫通する貫通孔を形成し、この貫通孔に形成する接続導体(スルーホール接続導体)により各接続を行っても構わない。
図10(A)及び(B)は、本発明の別の実施の形態の圧電型三軸加速度センサ(第2実施例)の第1の圧電セラミックス基板37の平面図及び裏面図であり、図11は、第2の圧電セラミックス基板39の裏面図である。本例では、裏面電極が共通接続されている。図10(A)に示すように、第1の圧電セラミックス基板37の表面37aには、図4(A)に示す表面電極パターン13と同様の表面電極パターン33に加えて1つの裏面出力電極ORと、一対のX軸中間印加用電極AM11,AM12と、一対のY軸中間印加用電極AM13,AM14と、4つのZ軸中間印加用電極AM15〜AM18とが形成されている。また、第1の圧電セラミックス基板37の裏面37bには、中間電極パターン35が形成されている。この中間電極パターン35は、一対のX軸中間電極MX11,MX12,一対のY軸中間電極MY11,MY12及び4つのZ軸中間電極MZ11〜MZ14と一対のX軸中間連結電極MC11,MC12,一対のY軸中間連結電極MC13,MC14及び4つのZ軸中間連結電極MC15〜MC18とが一対のX軸中間接続線ML11,ML12,一対のY軸中間接続線ML13,ML14及び4つのZ軸中間接続線MC15〜MC18を介してそれぞれ電気的に接続されて形成されている。また、図11に示すように、第2の圧電セラミックス基板39の裏面39bには、環状の裏面環状電極32aと裏面連結電極RCとが裏面接続線RLを介して電気的に接続された裏面電極パターン32が形成されている。裏面環状電極32aは、一対のX軸裏面電極RX11,RX12,一対のY軸裏面電極RY11,RY12及び4つのZ軸裏面電極RZ11〜RZ14と、これらの裏面電極RX11〜RZ14を共通接続する環状の共通接続線34とから構成されている。そして、裏面出力電極ORと裏面連結電極RCとは、第1及び第2の圧電セラミックス基板37,39を貫通する図示しないビアホール接続体により電気的に接続されており、中間印加用電極AM11〜AM18と中間連結電極MC11〜MC18とは、第1の圧電セラミックス基板37を貫通する図示しないビアホール接続体によりそれぞれ電気的に接続されている。
図12(A)及び(B)は、更に別の実施の形態の圧電型三軸加速度センサ(第3実施例)の第1の圧電セラミックス基板47の平面図及び裏面図であり、図13は、第2の圧電セラミックス基板49の裏面図である。本例では、複数の中間電極及び複数の裏面電極が共通接続されることなくそれぞれ独立して出力される。図12(A)に示すように、第1の圧電セラミックス基板47の表面47aには、図4(A)に示す表面電極パターン13と同様の表面電極パターン43に加えて一対のX軸裏面出力電極OR21,OR22,一対のY軸裏面出力電極OR23,OR24及び4つのZ軸裏面出力電極OR25〜OR28と、一対のX軸中間印加用電極AM21,AM22,一対のY軸中間印加用電極AM23,AM24及び4つのZ軸中間印加用電極AM25〜AM28とが形成されている。また、図12(B)に示すように、第1の圧電セラミックス基板47の裏面47bには、図10(B)に示す中間電極パターン35と同様の表面電極パターン45が形成されている。また、図13に示すように、第2の圧電セラミックス基板49の裏面49bには、裏面電極パターン42が形成されている。裏面電極パターン42は、一対のX軸裏面電極RX21,RX22,一対のY軸裏面電極RY21,RY22及び4つのZ軸裏面電極RZ21〜RZ24と、一対のX軸裏面連結電極RC21,RC22,一対のY軸裏面連結電極RC23,RC24及び4つのZ軸裏面連結電極RC25〜RC28とが一対のX軸裏面接続線RL21,RL22,一対のY軸裏面接続線RL23,RL24及び4つのZ軸裏面接続線RL25〜RL28を介してそれぞれ電気的に接続されて形成されている。そして、裏面出力電極OR21〜OR28と裏面連結電極RC21〜RC28とは、第1及び第2の圧電セラミックス基板47,49を貫通する図示しないビアホール接続体によりそれぞれ電気的に接続されており、中間印加用電極AM21〜AM28と中間連結電極MC21〜MC28とは、第1の圧電セラミックス基板47を貫通する図示しないビアホール接続体によりそれぞれ電気的に接続されている。
図14(A)及び(B)は、更に別の実施の形態の圧電型三軸加速度センサ(第4実施例)の第1の圧電セラミックス基板57の平面図及び裏面図であり、図15は、第2の圧電セラミックス基板59の裏面図である。本例では、複数の中間電極及び複数の裏面電極は、ビアホール接続体を用いずに、基板の側方端面に亘って延びる導電部を介して第1の圧電セラミックス基板57の表面57a上に形成された複数の出力電極にそれぞれ電気的に接続されている。図14(A)に示すように、第1の圧電セラミックス基板57の表面57aには、図4(A)に示す表面電極パターン13と同様の表面電極パターン53に加えて一対のX軸裏面出力電極OR31,OR32,一対のY軸裏面出力電極OR33,OR34及び4つのZ軸裏面出力電極OR35〜OR38と、これらの裏面出力電極OR31〜OR38にそれぞれ接続されて第1の圧電セラミックス基板57の側方端面側に延びる一対のX軸裏面対応導通線RT31,RT32,一対のY軸裏面対応導通線RT33,RT34及び4つのZ軸裏面対応導通線RT35〜RT38と、一対のX軸中間印加用電極AM31,AM32,一対のY軸中間印加用電極AM33,AM34及び4つのZ軸中間印加用電極AM35〜AM38と、これらの中間印加用電極AM31〜AM38にそれぞれ接続されて第1の圧電セラミックス基板57の側方端面側に延びる一対のX軸中間対応導通線MT31,MT32,一対のY軸中間対応導通線MT33,MT34及び4つのZ軸中間対応導通線MT35〜MT38とが形成されている。また、図14(B)に示すように、第1の圧電セラミックス基板57の裏面57bには、中間電極パターン55が形成されている。この中間電極パターン55は、一対のX軸中間電極MX31,MX32,一対のY軸中間電極MY31,MY32及び4つのZ軸中間電極MZ31〜MZ34と、これらの各中間電極MX31〜MZ34に接続されて第1の圧電セラミックス基板57の側方端面側に延びる一対のX軸中間接続線ML31,ML32,一対のY軸中間接続線ML33,ML34及び4つのZ軸中間接続線ML35〜ML38とを有している。また、図15に示すように、第2の圧電セラミックス基板59の裏面59bには、裏面電極パターン52が形成されている。裏面電極パターン52は、一対のX軸裏面電極RX31,RX32,一対のY軸裏面電極RY31,RY32及び4つのZ軸裏面電極RZ31〜RZ34と、これらの各裏面電極RX31〜RZ34にそれぞれ接続されて第2の圧電セラミックス基板59の側方端面側に延びる一対のX軸裏面接続線RL31,RL32,一対のY軸裏面接続線RL33,RL34及び4つのZ軸裏面接続線RL35〜RL38とを有している。そして、図14(A)に示す一対のX軸裏面対応導通線RT31,RT32,一対のY軸裏面対応導通線RT33,RT34及び4つのZ軸裏面対応導通線RT35〜RT38と、図15に示す一対のX軸裏面接続線RL31,RL32,一対のY軸裏面接続線RL33,RL34及び4つのZ軸裏面接続線RL35〜RL38とは、第1及び第2の圧電セラミックス基板57,59の側方端面上を延びる図示しない導電部によりそれぞれ電気的に接続されている。また、図14(A)に示す一対のX軸中間対応導通線MT31,MT32,一対のY軸中間対応導通線MT33,MT34及び4つのZ軸中間対応導通線MT35〜MT38と、図14(B)に示す一対のX軸中間接続線ML31,ML32,一対のY軸中間接続線ML33,ML34及び4つのZ軸中間接続線ML35〜ML38とは第1の圧電セラミックス基板57の側方端面上を延びる図示しない導電部によりそれぞれ電気的に接続されている。
なお、対応導通線RT31〜RT38,裏面接続線RL31〜RL38及び導電部、又は対応導通線MT31〜MT38,中間接続線ML31〜ML38及び導電部は、それぞれ異なった工程で別々に形成してもよいし、同じ材質を用いて同じ工程で同時に形成してもよい。
また、上記各例では、中間電極パターンの印加用電極及び裏面電極パターンの出力電極を第1の圧電セラミックス基板の表面上に形成したが、これらの電極は、必ずしも第1の圧電セラミックス基板の表面上に形成する必要はない。例えば、図16は、第1の圧電セラミックス基板の側方端面に中間印加用電極を有する中間電極パターン65を示している。この中間電極パターン65は、中間電極MX41,MX42,MY41,MY42,MZ41〜MZ44と、これらの中間電極MX31〜MZ44にそれぞれ接続されて第1の圧電セラミックス基板57の側方端面側に放射状に延びる中間接続線ML41〜ML48とを有している。そして、中間接続線ML41〜ML48の端部は、第1の圧電セラミックス基板67の側方端面上に該第1の圧電セラミックス基板67の周囲を囲むように線状に形成された中間印加用電極AM40に共通接続されている。この中間電極パターン65は、中間電極MX41〜MZ44を電気的に共通接続した例であるので、図4(B)の中間電極パターン15等のように中間電極を電気的に共通接続したものに代えて用いることができる。
また、上記各例では、第1の圧電セラミックス基板7…及び第2の圧電セラミックス基板9…により加速度センサ素子5…を構成したが、図17に示すように、各基板に各基板上の電極パターンの保護を図るセラミックス保護板を組み合わせることができる。この例では、第1の圧電セラミックス基板77に該第1の圧電セラミックス基板77の表面77aを覆う第1のセラミックス保護板76が接合され、第2の圧電セラミックス基板79に該第2の圧電セラミックス基板79の裏面79bを覆う第2のセラミックス保護板78が接合されて加速度センサ素子75が構成されている。第1のセラミックス保護板76及び第2のセラミックス保護板78は、いずれも第1の圧電セラミックス基板77及び第2の圧電セラミックス基板79と同材質のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等のセラミックスによって第1の圧電セラミックス基板77及び第2の圧電セラミックス基板79と同じ厚み寸法に形成されている。なお、各保護板76,78は、第1の圧電セラミックス基板77及び第2の圧電セラミックス基板79と異なる任意の厚み寸法に設定できるのは勿論である。また、第1のセラミックス保護板76の第1の圧電セラミックス基板77と対向しない表面76aには、第1の圧電セラミックス基板77の表面77aに形成された各出力電極と電気的に接続されたセラミックス保護板上出力電極(図示せず)が形成されている。これにより、第1のセラミックス保護板76上のセラミックス保護板上出力電極を利用して圧電セラミックス基板の分極処理及び出力電圧の取り出しを行う。第1のセラミックス保護板76,第1の圧電セラミックス基板77,第2の圧電セラミックス基板79及び第2のセラミックス保護板78を併せた厚み寸法は、測定する加速度によって各板に応力が生じる寸法に設定する必要がある。そのため、本例では、各板を併せた厚み寸法Tは、図1に示す第1の圧電セラミックス基板7及び第2の圧電セラミックス基板9を併せた厚み寸法と等しい寸法に設定されている。具体的には、第1のセラミックス保護板76,第1の圧電セラミックス基板77,第2の圧電セラミックス基板79及び第2のセラミックス保護板78の各板の厚み寸法は、図1に示す第1の圧電セラミックス基板7及び第2の圧電セラミックス基板9の各板の厚み寸法の半分の寸法(50μm)に設定されている。
なお、上記各例では、第1の圧電セラミックス基板の裏面に中間電極パターンを形成したが、中間電極パターンは、第2の圧電セラミックス基板の表面に形成しても構わない。
また、上記各例では、ダイヤフラムを用いずにベース及び重錘を加速度センサ素子に直接接合したが、本発明は、加速度センサ素子にダイヤフラムを接合する圧電型三軸加速度センサにも適用できるのは勿論である。
また、上記各例では、各表面電極に対応して表面出力電極をそれぞれ設けたが、2つのX軸表面電極に対応する1つの共通の出力電極、2つのY軸表面電極に対応する1つの共通の出力電極、4つのZ軸表面電極に対応する1つの共通の出力電極をそれぞれ設けてもよい。この場合、分極処理を行った後に検出用電極と表面出力電極とを接続する表面接続線を形成すればよい。
また、上記各例では、圧電型三軸加速度センサに本発明を適用した例を示したが、本発明は、圧電型一軸加速度センサ、圧電型二軸加速度センサのように他の圧電型加速度センサにも適用できるのは勿論である。
以下、本明細書に記載した発明を付記する。
(1) 圧電セラミックス基板と前記圧電セラミックス基板を介して対向し前記圧電セラミックス基板に生じた応力により自発分極電荷を発生する電極とを有する加速度センサ素子を具備してなる圧電型三軸加速度センサであって、
厚み方向に積層された第1及び第2の圧電セラミックス基板を備え、
前記第1の圧電セラミックス基板の前記第2の圧電セラミックス基板と対向しない表面には、X軸方向仮想線上に配置された一対のX軸表面電極,前記X軸方向仮想線と直交するY軸方向仮想線上に配置された一対のY軸表面電極及びZ軸方向の加速度を検出するための複数のZ軸表面電極と一対のX軸表面出力電極,一対のY軸表面出力電極及び複数のZ軸表面出力電極とが一対のX軸表面接続線,一対のY軸表面接続線及び複数のZ軸表面接続線を介してそれぞれ電気的に接続された表面電極パターンと、第1の裏面出力電極と、第2の裏面出力電極とが形成され、
前記第1の圧電セラミックス基板の前記第2の圧電セラミックス基板と対向する裏面または前記第2の圧電セラミックス基板の前記第1の圧電セラミックス基板と対向する表面のいずれか一方には、前記一対のX軸表面電極,前記一対のY軸表面電極及び前記複数のZ軸表面電極にそれぞれ対向する一対のX軸中間電極,一対のY軸中間電極及び複数のZ軸中間電極と、前記各中間電極に接続されて前記第1の圧電セラミックス基板または前記第2の圧電セラミックス基板の側方端面側に延びる一対のX軸中間接続線,一対のY軸中間接続線及び複数のZ軸中間接続線とを有する中間電極パターンが形成されており、
前記第2の圧電セラミックス基板の前記第1の圧電セラミックス基板と対向しない裏面には、前記一対のX軸中間電極,前記一対のY軸中間電極及び前記複数のZ軸中間電極に対向する一対のX軸裏面電極,一対のY軸裏面電極及び複数のZ軸裏面電極と、第1の裏面連結電極と、前記一対のX軸裏面電極の一方の電極と前記一対のY軸裏面電極の一方の電極と前記第1の裏面連結電極とを接続する第1の裏面接続線と、第2の裏面連結電極と、前記一対のX軸裏面電極の他方の電極と前記一対のY軸裏面電極の他方の電極と前記第2の裏面連結電極とを接続する第2の裏面接続線と、前記複数のZ軸裏面電極と前記第1の裏面接続線とを電気的に接続する第3の裏面接続線と有する裏面電極パターンが形成され、
前記一対のX軸中間接続線,前記一対のY軸中間接続線及び前記複数のZ軸中間接続線の端部は、前記第1の圧電セラミックス基板の側方端面上に該第1の圧電セラミックス基板67の周囲を囲むように線状に形成された中間印加用電極に共通接続されており、
前記第1の裏面出力電極及び前記第2の裏面出力電極と、前記第1の裏面連結電極及び前記第2の裏面連結電極とが前記第1及び第2の圧電セラミックス基板を貫通するビアホール接続体またはスルーホール接続体によりそれぞれ電気的に接続されており、
前記第1及び第2の圧電セラミックス基板は、内部に応力が発生すると、相互に対向する前記各表面電極及び前記各中間電極、並びに相互に対向する前記各中間電極及び前記各裏面電極に自発分極電荷が発生するように分極処理が施されていることを特徴とする圧電型三軸加速度センサ。