JP4093646B2 - 加速度検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加速度検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図6は、一般的な加速度検出装置の概略断面図である。本図に示すように、加速度検出装置は、ニッケル−クロム合金、真鍮等の金属板からなるダイアフラム101と、ダイアフラム101の裏面中央に取り付けられた金属製の重錘102と、ダイアフラム101の外周部を支持する金属、樹脂またはガラス等からなる筒状のベース103と、ダイアフラム101の重錘102が取り付けられた面とは反対側の面上に取付けられた加速度センサ104とを有している。この加速度センサ104は、圧電セラミックス基板104aの一方の面上に加速度検出用電極104bを有し他方の面上に対向電極104cを有する三軸加速度検出素子である。加速度センサ104は、重錘102に加速度が作用したときに変形するダイアフラム101の変形領域に接合されている。この加速度検出装置では、重錘102に作用する加速度に基づくダイアフラム101の変形に応じた加速度信号を加速度センサ104が出力する。従来の加速度検出装置では、接着剤からなる接合層106及び107を用いてダイアフラム101を重錘102及びベース103にそれぞれ接合していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の加速度検出装置では、線膨張係数の異なるダイアフラム101、重錘102及びベース103を接着剤により接合するため、各部材がそれぞれ熱膨脹・収縮することにより、各部材を接合する接合層106及び107が剥がれるという問題があった。
【0004】
また、加速度検出装置は、測定精度を高めるために、重錘102のダイアフラム101に対する取付け位置を一定にすることが求められる。例えば、一般的な加速度検出素子では、重錘102の中心軸とダイアフラム101の中心点とが一致するように重錘102をダイアフラム101に取付けることが求められている。しかしながら、従来の加速度検出装置では、製造上の誤差により重錘102のダイアフラム101に対する取付け位置が僅かにずれるという問題があった。また、線膨張係数の異なるダイアフラム101及び重錘102がそれぞれ熱膨脹・収縮することにより、重錘102のダイアフラム101に対する取付け位置がずれてしまうという問題があった。そのため、測定精度が低下するという問題があった。
【0005】
また、従来の加速度検出装置では、ダイアフラム101、重錘102及びベース103を別部材により形成しているため、加速度検出装置の部品点数が多くなり、製造が繁雑になるという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、ダイアフラム、重錘及びベースを確実に結合できる加速度検出装置を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、重錘のダイアフラムに対する取付け位置精度を高めることができる加速度検出装置を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、部品点数が少なく、製造が容易な加速度検出装置を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、安価な加速度検出装置を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、ダイアフラム、重錘及びベースをインサートとして所望の形状の絶縁樹脂製ケースを一体成形できる加速度検出装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明が改良の対象とする加速度検出装置は、中央部に重錘が設けられたダイアフラムと、ダイアフラムの外周部を支持するベースと、ダイアフラムの重錘が設けれた面とは反対側の面上に固定され、重錘に作用する加速度に基づくダイアフラムの変形に応じた加速度信号を出力する加速度センサとを具備している。なお、ここでいう加速度検出装置は、一軸(X軸)方向のみの加速度を検出する一軸加速度検出装置、二軸(X軸,Y軸)方向の加速度を検出する二軸加速度検出装置、三軸(X軸,Y軸,Z軸)方向の加速度を検出する三軸加速度検出装置のいずれであってもよい。
【0012】
本発明では、重錘、ダイアフラム及びベースを金属材料により一体に成形された単体ユニットとして構成する。本発明のように、重錘、ダイアフラム及びベースを一体成形すれば、各部材を接着剤により接合する従来の加速度検出装置と異なり、ダイアフラム、重錘及びベースを確実に結合できる。また、重錘とダイアフラムとが一体成形されているため、重錘のダイアフラムに対する取付け位置を一定にでき、加速度検出装置の測定精度の低下を抑制することができる。また、本発明によれば、加速度検出装置の部品点数を少なくして、加速度検出装置の製造が容易になる。特に本発明では、各部材を金属材料により成形するため、樹脂等の材料により各部を成形する場合に比べて、加速度検出装置を安価に製造することができる。
【0013】
また、本発明の加速度検出装置は、ダイアフラム、重錘及びベースが金属材料により成形されているため、これらの各部から成形された単体ユニットを樹脂射出成形のインサートとして用いることができる。そのため、所望の形状の絶縁樹脂製ケースをダイアフラム、重錘及びベース(単体ユニット)に一体成形できる。
【0014】
重錘、ダイアフラム及びベースは、種々の方法により一体成形できる。例えば、円柱状金属材料に切削加工を施して重錘、ダイアフラム及びベースを一体成形すれば、一体成形品を簡単に得ることができる。
【0015】
通常、加速度検出装置は、加速度センサに含まれる複数の電極に接続される複数の端子金具を有している。この複数の端子金具は、種々の方法で加速度検出装置に取り付けることができる。例えば、複数の端子金具を2つのグループに分けて、それぞれのグループを構成する複数の端子金具を1つの絶縁樹脂製の端子支持体に固定して2つの端子ユニットとする。この場合には、絶縁樹脂製ケースの外壁部に、2つの端子ユニットの端子支持体が嵌合されて固定される2つの支持体嵌合溝を形成し、2つの支持体嵌合溝に2つの端子ユニットをそれぞれ嵌合すればよい。このようにすれば、絶縁樹脂製ケースの外壁部に端子ユニットを簡単に取り付けることができる。また、2つの端子ユニットにより加速度検出装置を回路基板等に対して安定して支持することができる。
【0016】
また、複数の端子金具を2つのグループに分ける場合には、2つの端子ユニットを同じ形状寸法を有するように形成するのが好ましい。このようにすれば、1種類の端子ユニットを用意すればよいため、製造コストを下げられる。また、前述の端子ユニットを用いる場合には、加速度センサに含まれる複数の電極を、2つの支持体嵌合溝に嵌合された2つの端子ユニットに支持された複数の端子金具と接続可能な位置に2つのグループに分けて配置すればよい。
【0017】
端子ユニットの端子支持体を係合構造を介して絶縁樹脂製ケースに対して簡単に固定するためには、係合構造を用いればよい。その場合、支持体嵌合溝内への端子支持体の挿入は許容するが、支持体嵌合溝に嵌合された端子支持体が支持体嵌合溝から抜け出るのを阻止するように、端子支持体に設けられた少なくとも1つの係合部と絶縁樹脂製ケースに設けられて少なくとも1つの係合部が係合する少なくとも1つの被係合部とから係合構造を構成すればよい。
【0018】
具体的には、端子支持体に一対のフック状の係合部を設け、一対のフック状の係合部の係合面が接触する面を有する段部により絶縁樹脂製ケースの被係合部を構成することができる。このよう構成すれば、係合構造を簡単に構成できる。
【0019】
本発明のより具体的な加速度検出装置は、圧電セラミックス基板の一方の面上に加速度検出用の検出用電極パターンが形成され、他方の面上に検出用電極パターンと対向する対向電極パターンが形成された加速度センサ素子と、一方の面上に加速度センサ素子が接着剤層を介して接続されるダイアフラムと、ダイアフラムの他方の面の中心部に固定される重錘と、重錘を変位可能に収納する収納空間を有し且つダイアフラムの外周部を支持するベースと、少なくともベースが収納される絶縁樹脂製ケースとを具備している。そして、重錘、ダイアフラム及びベースを金属材料により一体に成形された単体ユニットとして構成し、単体ユニットをインサートとして絶縁樹脂製ケースを一体成形する。
【0020】
この場合、ダイアフラムの周囲に一体に設けられて圧電セラミックス基板の外周部と接触して、ダイアフラムと圧電セラミックス基板との位置決めを図る位置決め部を絶縁樹脂製ケースに一体に形成するのが好ましい。このようにすれば、ダイアフラムに対する圧電セラミックス基板の位置決めを容易に且つ確実に行える。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態の加速度検出装置の概略断面図である。本図に示すように、この加速度検出装置は、ダイアフラム1と、重錘3と、ベース5と、ダイアフラム1の重錘3が取り付けられた面側とは反対側の面上に取付けられた加速度センサ7とを備えている。なお、本図では、理解を容易にするため、加速度センサ7の各部の厚みを誇張して描いている。そして、これらの各部材は、絶縁樹脂製ケース9に収納されており、この絶縁樹脂製ケース9には、加速度センサ7内の出力電極OZ,OE0 …に接続される端子金具25…を備えた2つの端子ユニット11,11が取り付けられている。
【0022】
ダイアフラム1,重錘3及びベース5は、図1,図2(A)及び図2(B)に示すように、真鍮からなる金属材料により一体に成形された単体ユニット10として構成されている。なお、図2(A)は単体ユニット10の底面図であり、図2(B)は図2(A)のB−B線断面図である。ダイアフラム1は、円板形状を有しており、約0.1mmの厚みを有している。重錘3は、円柱形状を有しており、その軸線の延長部分がダイアフラム1の中心を通るようにダイアフラム1と一体化されている。ベース5は円筒形状を有しており、ダイアフラム1の外周部を支持している。また、ベース5の外周部には、周方向に連続するV字溝5aが形成されている。本実施例では、真鍮からなる円柱状金属材料を用意し、この円柱状金属材料に対して重錘3を削り出すように切削加工を施して環状部分Cの空洞部を形成し、また外周部に切削加工を施こしてV字溝5aを形成して単体ユニット10を一体成形した。
【0023】
この例では、加速度センサ7として、図1及び図3の平面図に示すように圧電セラミックス基板7aの表面に三軸加速度の検出用電極パターンE1 が形成され、裏面に検出用電極パターンE1 の主要部と対向する環状の対向電極パターンE0 が形成されて構成された圧電型三軸加速度センサを用いている。圧電セラミックス基板7aの裏面及び対向電極パターンE0 がエポキシ系の接着剤によりダイアフラム1の表面に接合されて、加速度センサ7はダイアフラム1に取り付けられている。圧電セラミックス基板7aは、輪郭形状が四角形をなしており、内部に応力が加わると自発分極電荷が発生するように電極に対応した部分に分極処理が施されている。分極処理については後に詳細に説明する。
【0024】
図3に示すように、圧電セラミックス基板7aは、重錘対向領域8Aと第1の応力発生領域8Bと第2の応力発生領域8Cとを有している。重錘対向領域8Aは、圧電セラミックス基板1の中心部において円形の形状を有している。この重錘対向領域8Aに対応する部分には、重錘3が位置している。
【0025】
第1の応力発生領域8Bは、重錘対向領域8Aを囲む環状の形状を有している。第1の応力発生領域8Bは、重錘3に対して圧電セラミックス基板7aと平行な方向に加速度が作用すると、重錘3の重心を中心として点対称に異なった状態(引っ張り応力が加わった状態と、圧縮応力が加わった状態と)に変形する。また、重錘3に対して圧電セラミックス基板7aと直交する方向に加速度が作用すると、第1の応力発生領域8Bの各部は同じ状態に変形する。
【0026】
第2の応力発生領域8Cは第1の応力発生領域8Bを囲む環状の形状を有している。重錘3に対して圧電セラミックス基板1と直交する方向に加速度が作用すると、第2の応力発生領域8Cの各部は第1の応力発生領域8Bと異なった状態に変形する。
【0027】
圧電セラミックス基板7aの表面及び裏面に形成された検出用電極パターンE1 及び対向電極パターンE0 は、いずれもスクリーン印刷により形成されている。重錘3に作用する加速度に基づいてダイアフラム1が変形すると圧電セラミックス基板7aが撓んで検出用電極パターンE1 と対向電極パターンE0 との間に発生する自発分極電荷が変化して、重錘3に加わった三軸(X軸,Y軸,Z軸)方向の加速度が電流または電圧の変化として測定される。なお、ここでいうX軸,Y軸,Z軸は互いに直交する方向に延びる軸である。X軸は仮想直線XLの方向に延びており、Y軸は仮想直線YLの方向に延びており、Z軸は圧電セラミックス基板7aの面方向と直交する方向に延びている。検出用電極パターンE1 はX軸方向検知電極パターン13とY軸方向検知電極パターン15とZ軸方向検知電極パターン17とを有している。
【0028】
X軸方向検知電極パターン13は、2つのX軸方向検知電極EX1,EX2とX軸出力電極OXとが接続線L1,L2により直列に接続された構造を有している。X軸方向検知電極EX1及びEX2は、大部分が第1の応力発生領域8Bに対応する面上に位置するように形成されており、第1の応力発生領域8Bの内周に沿う縁部分が重錘対向領域8A内に入り込んでいる。X軸出力電極OXはほぼ正方形の形状を有しており、第2の応力発生領域8Cの外側にある圧電セラミックス基板7aの外周縁部に位置するように形成されている。
【0029】
Y軸方向検知電極パターン15は、2つのY軸方向検知電極EY1,EY2とY軸出力電極OYとが接続線L3〜L5により直列に接続された構造を有している。Y軸方向検知電極EY1及びEY2もX軸方向検知電極EX1及びEX2と同様な形状を有しており、大部分が第1の応力発生領域8Bに対応する面上に位置するように形成されており、第1の応力発生領域8Bの内周に沿う縁部分が重錘対向領域8A内に入り込んでいる。またY軸方向検知電極EY1及びEY2は、電極EX1及びEX2が並ぶ仮想直線XLと直交して圧電セラミックス基板7aの面と水平に延びる仮想Y軸直線YL上に重錘対向領域8Aを間にして対称的に配置されている。仮想Y軸直線YLと仮想X軸直線XLとは互いに直交するので、X軸方向検知電極EX1,Y軸方向検知電極EY1,X軸方向検知電極EX2及びY軸方向検知電極EY2はそれぞれ90度の間隔を隔てて配置されることになる。Y軸出力電極OYはX軸出力電極OXと同様にほぼ正方形の形状を有しており、第2の応力発生領域8Cの外側にある圧電セラミックス基板7aの外周縁部に位置するようにX軸出力電極OXと並んで形成されている。
【0030】
Z軸方向検知電極パターン17は、Z軸方向検知電極EZ1,Z軸方向検知電極EZ2,Z軸方向検知電極EZ3,Z軸方向検知電極EZ4,Z軸出力電極OZが、これらの順に接続線L6〜L9によって直列に接続された構造を有している。4つのZ軸方向検知電極EZ1〜EZ4は、矩形に近い形状を有している。Z軸方向検知電極EZ1〜EZ4もX軸方向検知電極EX1及びEX2と同様に大部分が第1の応力発生領域8Bに対応する面上に位置するように形成されており、第1の応力発生領域8Bの内周に沿う縁部分が重錘対向領域8A内に入り込んでいる。またZ軸方向検知電極EZ1〜EZ4は、X軸方向検知電極EX2とY軸方向検知電極EY1との間,Y軸方向検知電極EY1とX軸方向検知電極EX1との間,X軸方向検知電極EX1とY軸方向検知電極EY2との間,Y軸方向検知電極EY2とX軸方向検知電極EX2との間の各中央部にそれぞれ配置されている。したがって、Z軸方向検知電極EZ1〜EZ4は、それぞれ90度の間隔を隔てて配置されることになる。また、このような配置により、X軸方向検知電極EX1,EX2、Y軸方向検知電極EY1,EY2及びZ軸方向検知電極EZ1〜EZ4は、圧電セラミックス基板7aの第1の応力発生領域8Bに対応する面上に重錘対向領域8Aを囲む環状の列をなすように形成される。Z軸出力電極OZもX軸出力電極OXと同様にほぼ正方形の形状を有しており、第2の応力発生領域8Cの外側にある圧電セラミックス基板7aの外周縁部に位置するようにX軸出力電極OX及びY軸出力電極OYと並んで形成されている。
【0031】
出力電極OX,OY,OZが並ぶ外周縁部と対称的に位置する圧電セラミックス基板7aの外周縁部には、3つのアース電極OE0 …が出力電極OX,OY,OZと平行をなすように並んで形成されている。アース電極OE0 は、圧電セラミックス基板7aを貫通するスルーホール導電部及び接続線(図示せず)を介して対向電極パターンE0 と接続されている。これにより、加速度センサ7に含まれる出力電極は、OX,OY,OZとOE0 …の2つのグループに分けられて配置されることになる。なお、この例では、圧電セラミックス基板7aの外周縁部に位置する3つの電極全てをアース電極OE0 …としたが、3つの電極の少なくとも1つをアース電極OE0 とし、残りの電極を端子を接続するためだけのダミー電極としても構わない。
【0032】
X軸方向検知電極EX1,EX2に対応する圧電セラミックス基板7aの各部分には、各部分に同種類の応力が発生したときに重錘対向領域8Aの一方の側に位置するX軸方向検知電極EX1と他方の側に位置するX軸方向検知電極EX2とにそれぞれ逆極性の自発分極電荷が現れるように分極処理が施されている。
【0033】
また、Y軸方向検知電極EY1,EY2に対応する圧電セラミックス基板7aの各部分もX軸方向検知電極EX1,EX2に対応する圧電セラミックス基板7aの各部分と同様に、各部分に同種類の応力が発生したときに重錘対向領域8Aの一方の側に位置するY軸方向検知電極EY1と他方の側に位置するY軸方向検知電極EY2とにそれぞれ逆極性の自発分極電荷が現れるように分極処理が施されている。
【0034】
また、Z軸方向検知電極EZ1〜EZ4に対応する圧電セラミックス基板7aの各部分は、各部分に同種類の応力が発生したときにすべてのZ軸方向検知電極EZ1〜EZ4に同じ極性の自発分極電荷が現れるように分極処理が施されている。これらの分極処理は、検出用電極パターンE1 及び対向電極パターンE0 を形成する前の圧電セラミックス基板7aに直流電圧を印加することにより行った。
【0035】
本実施例では、接続線L1〜L9を銀ペーストによりスクリーン印刷により形成した後に、X軸方向検知電極EX1,EX2、Y軸方向検知電極EY1,EY2、Z軸方向検知電極EZ1〜EZ4を銀ペーストを用いてスクリーン印刷により10μmの厚みに形成した。
【0036】
図4(A)〜(C)は、ダイアフラム1,重錘3及びベース5が一体に成形された単体ユニット10をインサートとして樹脂射出成形された絶縁樹脂製ケース9の平面図、側面側から見た一部破断断面図、正面側から見た半部破断断面図である。図4(A)から分るように絶縁樹脂製ケース9の輪郭は、ほぼ角形を呈しており、ダイアフラム1が位置する側に凹部9aを有している。ダイアフラム1は、この凹部9aの底面9a1 に露出している。凹部9aの下側に形成される単体ユニット収納部9bの内部には、単体ユニット10のベース5の外周部に形成したV字溝5aに樹脂が入り込んで突起部9b1 が形成されている。また、ダイアフラム1と反対側のベース5の端面5bと接触するように突起部9b2 が形成されている。本例では、単体ユニット10をインサートとして樹脂射出成形により絶縁樹脂製ケース9を一体成形しているため、突起部9b1 及び9b2 は、抜け止めとして機能している。また、凹部9aの底面9a1 には、圧電セラミックス基板7aの位置決め部を構成する4つの位置決め用突起9c…が一体に形成されている。これらの位置決め用突起9c…は、絶縁樹脂製ケース9の凹部9a内に圧電セラミックス基板7aを配置する際に、圧電セラミックス基板7aの隣接する2辺と接触して、ダイアフラム1の中心または重錘の中心と圧電セラミックス基板7aの中心を一致させる役割を果している。本例では、圧電セラミックス基板7aの直交する2つの辺7a1 ,7a1 (図3参照)に位置決め用突起9cがそれぞれ2つずつ当接するように位置決め用突起9c…が配置されている。
【0037】
図4に示されるように、絶縁樹脂ケース9の単体ユニット10を間に挟んで対向する一対の側壁部には、図5(A)及び(B)に示す端子ユニット11,11の端子支持体21がそれぞれ嵌合されて固定される支持体嵌合溝19,19が形成されている。端子ユニット11の構造を先に説明したほうが、支持体嵌合溝19の構造を理解しやすいため、端子ユニット11の構造を先に説明する。端子ユニット11は、3本の端子金具23〜27をインサートとしてインサート成形された端子支持体21を有している。端子金具23〜27は逆L字状に曲がっており、一方の端部23a〜27aが図5の紙面で見て横方向に延びており、また他方の端部23b〜27bは図5の紙面で見て下向き方向に延びている。これらの端子金具23〜27の中央部23c〜27cは両端部よりも幅広に形成されており、中央部には成形樹脂が入り込む貫通孔23d〜27dが形成されている。端子支持体21は、端子金具23〜27を中心にして端部23a〜27aが延びる方向に位置する第1の部分21aと端部23a〜27aが延びる方向と逆の方向に延びる第2の部分21bとを有している。第1の部分21aには、その幅方向の両側に下側に向かって(端子金具23〜27の他方の端部23b〜27bが延びる方向に向かって)延びる一対の腕部21c,21cが一体に設けられている。一対の腕部21c,21cと第1の部分21aの側面との間には、一対の21c,21cが第1の部分21aの側面に向かって変形することを許容する隙間が形成されている。そして一対の腕部21c,21cの先端部にフック状の係合部21d,21dが一体に設けられている。係合部21d,21dの係合面21e,21eは外側即ち第1の部分21aから離れる方向に延びている。また端子支持体21の第2の部分21bは、端子金具23〜27の一方の端部23a〜27aを越えて上方(端子金具23〜27の他方の端部23b〜27bが延びる方向と逆の方向)に向かって延びている。そして第2の部分21bの上方の端部の両側面からは、一対の突出部21f,21fが幅方向即ち3つの端子金具23〜27が並ぶ方向にそれぞれ突出している。
【0038】
絶縁樹脂ケース9に形成した支持体嵌合溝19,19は、前述の端子ユニット11,11の端子支持体21がそれぞれ嵌合可能で、しかも外部から力が加わっても端子支持体21抜け出ない形状を有している。具体的には、支持体嵌合溝19は、重錘3の中心が延びる方向または絶縁樹脂ケース9の厚み方向[図4(A)において紙面と直交する方向]と重錘3の径方向外側または絶縁樹脂ケース9の側壁部の側面と直交する方向に向かって開口している。そして支持体嵌合溝19は、端子ユニット11の端子支持体21の第1の部分21aが嵌合される第1の溝部分19aと端子支持体21の第2の部分21bが嵌合される第2の溝部分19bとを有している。第1の溝部分19aの主要部分の幅寸法W1 は、端子ユニット11の端子支持体21の第1の部分21aに一体に設けられた一対の腕部21c,21cに力が加わっていない状態における一対の腕部21c,21cを含めた第1の部分21aの幅方向の寸法W3 [図5(A)参照]よりも小さく、一対の腕部21c,21cを互いに近付ければ一対の腕部21c,21cを含めた第1の部分21aが嵌合可能な寸法を有している。また第2の溝部分19bの主要部分の幅寸法W2 は、端子ユニット11の端子支持体21の第2の部分21bが嵌合可能な寸法を有している。また図4(B)に示すように第1の溝部分19aは、凹部9aとは反対側の端部で幅寸法が大きくなっている。その結果、第1の溝部分19aには、端子支持体21の第1の部分21aに一体に設けられた一対の腕部21c,21の係合部21dの係合面21eと係合する係合面19c,19cを形成する一対の段部が形成されている。また第2の溝部分19bも凹部9a側の部分で、幅寸法が大きくなっており、その結果凹部9a側に端子支持体21の第2の部分21bに設けられた一対の突出部21f,21fが係合する係合面19d,19dを形成する一対の段部が形成されている。一対の突出部21f,21fと係合面19d,19dとの係合により、端子ユニット11が支持体嵌合溝19内に必要以上に押し込まれるのが阻止される。
【0039】
この例では、端子支持体21の第1の部分21aに一体に設けられた一対の腕部21c,21cの係合部21dと第1の溝部分19aに設けられた係合面19c,19cを形成する段部(被係合部)とにより第1の係合構造が構成され、また端子支持体21の第2の部分21bに一体に設けられた一対の突出部21f,21f(係合部)と第2の溝部分19bに設けられた係合面19d,19dを形成する一対の段部(被係合部)とにより第2の係合構造が構成されている。これら第1及び第2の係合構造により、支持体嵌合溝19に嵌合された端子支持体21の抜け止めが図られている。
【0040】
2つの支持体嵌合溝19に端子支持体21が嵌合されて固定された端子ユニット11のうち、一方の端子ユニットの端子金具23〜27の端部23a〜27aは、一方のグループの出力電極OX,OY,OZとそれぞれ半田導電性接着により接続され、他方の端子ユニットの端子金具23〜27の端部23a〜27aは、他方のグループのアース電極OEO …とそれぞれ半田導電性接着により接続される。
【0041】
上記例のように端子ユニット11を絶縁樹脂ケース9に嵌合構造を用いて固定する構造を採用すると、部品点数は増えるものの単体ユニット10と端子金具23〜27をインサートとして絶縁樹脂ケースをインサート成形する場合と比べて、絶縁樹脂ケースの金型が簡単になるだけでなく、絶縁樹脂ケースの製造コストを下げることができるので、加速度検出装置の価格を下げることができる。また上記例では、同じ構造の端子ユニット11を用いているので、部品の種類が少なくなって加速度検出装置の価格を下げることができる。
【0042】
上記例は、加速度センサとして圧電型加速度センサを用いたが、本発明は半導体型加速度センサや静電容量型加速度センサ等の他のタイプの加速度センサを用いる場合にも当然にして適用できる。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、重錘、ダイアフラム及びベースを一体成形するので、各部材を接着剤により接合する従来の加速度検出装置と異なり、ダイアフラム、重錘及びベースを確実に結合できる。また、重錘とダイアフラムとが一体成形されているため、重錘のダイアフラムに対する取付け位置を一定にでき、加速度検出装置の測定精度の低下を抑制することができる。また、本発明によれば、加速度検出装置の部品点数を少なくして、加速度検出装置の製造が容易になる。特に本発明では、各部材を金属材料により成形するため、樹脂等の材料により各部を成形する場合に比べて、加速度検出装置を安価に製造することができる。
【0044】
また、本発明の加速度検出装置は、ダイアフラム、重錘及びベースが金属材料により成形されているため、これらの各部から成形された単体ユニットを樹脂射出成形のインサートとして用いることができる。そのため、所望の形状の絶縁樹脂製ケースをダイアフラム、重錘及びベース(単体ユニット)に一体成形できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の加速度検出装置の概略断面図である。
【図2】(A)は本発明の実施の形態の加速度検出装置に用いる単体ユニットの底面図であり、(B)は図2(A)のB−B線断面図である。
【図3】本発明の実施の形態の加速度検出装置に用いる加速度センサの平面図である。
【図4】(A)〜(C)は、単体ユニットをインサートとして樹脂射出成形された絶縁樹脂製ケースの平面図、側面側から見た一部破断断面図、正面側から見た半部破断断面図である。
【図5】(A)及び(B)は、本発明の実施の形態の加速度検出装置に用いる端子ユニットの平面図及び側面図である。
【図6】従来の加速度検出装置の一例の概略断面図である。
【符号の説明】
1 ダイアフラム
3 重錘
5 ベース
7 加速度センサ
9 絶縁樹脂製ケース
10 単体ユニット
11 端子ユニット
19 支持体嵌合溝
21 端子支持体
21d フック状の係合部
21e フック状の係合部の係合面
21f 突出部(係合部)
23〜27 端子金具
OX,OY,OZ,OE0 …加速度センサに含まれる出力電極
Claims (7)
- 中央部に重錘が設けられたダイアフラムと、
前記ダイアフラムの外周部を支持するベースと、
前記ダイアフラムの前記重錘が設けれた面とは反対側の面上に固定され、前記重錘に作用する加速度に基づく前記ダイアフラムの変形に応じた加速度信号を出力する加速度センサと、
前記各部材が収納される絶縁樹脂製ケースと、
前記加速度センサに含まれる複数の電極に接続される複数の端子金具とを具備してなる加速度検出装置であって、
前記重錘、前記ダイアフラム及び前記ベースが金属材料により一体に成形された単体ユニットとして構成され、
前記絶縁樹脂製ケースが前記単体ユニットをインサートとして一体成形されており、
前記複数の端子金具は2つのグループに分けられ、
前記2つのグループをそれぞれ構成する複数の端子金具は、それぞれ絶縁樹脂製の端子支持体に固定されて2つの端子ユニットを構成しており、
前記絶縁樹脂製ケースの外壁部には、前記2つの端子ユニットの前記端子支持体が嵌合されて固定される2つの支持体嵌合溝が形成され、
前記2つの支持体嵌合溝に前記2つの端子ユニットがそれぞれ嵌合されていることを特徴とする加速度検出装置。 - 前記金属材料は円柱状金属材料からなり、前記円柱状金属材料に切削加工が施されて前記単体ユニットが一体に成形されていることを特徴とする請求項1に記載の加速度検出装置。
- 前記2つの端子ユニットは同じ形状寸法を有しており、
前記加速度センサに含まれる前記複数の電極は、前記2つの支持体嵌合溝に嵌合された前記2つの端子ユニットに支持された前記複数の端子金具と接続可能な位置に2つのグループに分けられて配置されている請求項1に記載の加速度検出装置。 - 前記端子支持体は係合構造を介して前記絶縁樹脂製ケースに対して固定されており、
前記係合構造は、前記支持体嵌合溝内への前記端子支持体の挿入は許容するが、前記支持体嵌合溝に嵌合された前記端子支持体が前記支持体嵌合溝から抜け出るのを阻止するように、前記端子支持体に設けられた少なくとも1つの係合部と前記絶縁樹脂製ケースに設けられて前記少なくとも1つの係合部が係合する少なくとも1つの被係合部とからなる請求項1に記載の加速度検出装置。 - 前記端子支持体には一対のフック状の係合部が設けられ、前記絶縁樹脂製ケースの被係合部は、前記一対のフック状の係合部の係合面が接触する面を有する段部からなる請求項4に記載の加速度検出装置。
- 圧電セラミックス基板の一方の面上に加速度検出用の検出用電極パターンが形成され、他方の面上に前記検出用電極パターンと対向する対向電極パターンが形成された加速度センサ素子と、
一方の面上に前記加速度センサ素子が接着剤層を介して接続されるダイアフラムと、
前記ダイアフラムの他方の面の中心部に固定される重錘と、
前記重錘を変位可能に収納する収納空間を有し且つ前記ダイアフラムの外周部を支持するベースと、
少なくとも前記ベースが収納される絶縁樹脂製ケースと、
前記加速度センサに含まれる複数の電極に接続される複数の端子金具とを具備してなる加速度検出装置であって、
前記重錘、前記ダイアフラム及び前記ベースが金属材料により一体に成形された単体ユニットとして構成され、
絶縁樹脂製ケースが前記単体ユニットをインサートとして一体成形されており、
前記複数の端子金具は2つのグループに分けられ、
2つのグループをそれぞれ構成する複数の端子金具は、それぞれ絶縁樹脂製の端子支持体に固定されて2つの端子ユニットを構成しており、
前記絶縁樹脂製ケースの外壁部には、前記2つの端子ユニットの前記端子支持体が嵌合されて固定される2つの支持体嵌合溝が形成され、
前記2つの支持体嵌合溝に前記2つの端子ユニットがそれぞれ嵌合されていることを特徴とする加速度検出装置。 - 絶縁樹脂製ケースには前記ダイアフラムの周囲に一体に設けられて前記圧電セラミックス基板の外周部と接触して、前記ダイアフラムと前記圧電セラミックス基板との位置決めを図る位置決め部が一体に形成されている請求項6に記載の加速度検出用装置。
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