JP4154404B2 - 振動型アクチュエータおよび振動型アクチュエータ製造方法 - Google Patents

振動型アクチュエータおよび振動型アクチュエータ製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、振動型アクチュエータおよび振動型アクチュエータ製造方法に関し、特に、圧電体に電圧を印加することで発生する変形を利用して、直接または間接的に被移動体を移動させる振動型アクチュエータ、および該振動型アクチュエータを製造するための製造方法に関する。
一般に、振動型アクチュエータ(圧電アクチュエータ)は、弾性体上に励起した数ミクロン程度の振幅をもつ振動を利用して、特定の方向の力を選択的に取り出すことで、この弾性体に摩擦接触する移動体を移動させるように構成されている。
振動型アクチュエータにはいくつかの駆動方式が提案されているが、振動の形態によって定在波型と進行波型とに大きく分類される。定在波型は、形状の自由度が高く、小型化しやすい利点があり、進行波型は、常に弾性体と移動体とが接しているので、高トルクを比較的得やすい利点がある。
進行波型の振動型アクチュエータでは、円環または円盤型の弾性体を用いるのが一般的であり、弾性体の円周に沿って進行する曲げ振動により振動波の波頭の質点が楕円軌跡を描いて運動することを利用して移動体を駆動するようにしている。この楕円軌跡の上側の運動に移動体が接することで、移動体が一方向に運動するようになっている。
このような円環タイプの振動型アクチュエータの加振源として、単板の圧電体に複数の交流電圧給電用の電極を設けたものが用いられており、この圧電体に弾性体が接着されている。
また、小型の振動型アクチュエータには、積層した圧電体を用いて駆動電圧の低電圧化を図ったものもある。
またなお、板状の圧電体の表面に設けられた複数の電極において、隣接する電極間に分極を施し、この分極された電極間に交流電圧を印加して振動させる振動型アクチュエータが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、1枚の円環状の圧電体の厚さ方向に交互に分極方向の異なる圧電体を用いた振動型アクチュエータが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開昭61−30973号公報 特公平05−014511号公報
しかしながら、上記従来の単板の圧電体を用いた振動型アクチュエータでは、高出力を得るために、高振幅の交流電圧を圧電体に印加しなくてはならない。
また、上記従来の積層した圧電体を用いた振動型アクチュエータでは、低電圧駆動を行うことが可能であるが、圧電体での損失が増え、そのため、振動型アクチュエータの低電圧化ができる代わりに振動効率が低下するという問題があった。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであって、振動効率の改善及び印加電圧の低電圧化を図った振動型アクチュエータおよび振動型アクチュエータ製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明によれば、圧電体に電圧を印加することで発生する変形を利用して、直接または間接的に被移動体を移動させる振動型アクチュエータであって、前記圧電体に設けられた少なくとも1対の面と、前記圧電体の前記1対の面に面方向に互いに隣接してそれぞれ設けられ、前記圧電体の前記1対の面間に電界を形成するための少なくとも第1および第2の電極対と、前記第1の電極対を構成する第1および第2の電極と、前記第2の電極対を構成し、前記第1および第2の電極とそれぞれ同一面に位置する第3および第4の電極と、前記第1の電極から前記第2の電極へ向かう方向の極性を主成分とする第1の分極と、前記第2の電極から前記第4の電極へ向かう方向の極性を主成分とする第2の分極と、前記第4の電極から前記第3の電極へ向かう方向の極性を主成分とする第3の分極と、前記第1の電極から前記第3の電極へ向かう方向の極性を主成分とする第4の分極とを有することを特徴とする振動型アクチュエータが提供される。
また、請求項4記載の発明によれば、圧電体に電圧を印加することで発生する変形を利用して、直接または間接的に被移動体を移動させる振動型アクチュエータであって、前記圧電体に設けられた第1及び第2の面からなる少なくとも1対の面と、前記圧電体の前記1対の面に面方向に並んでそれぞれ設けられ、前記圧電体の前記1対の面間に電界を形成するための複数の電極対と、前記圧電体にそれぞれ設けられ、前記第1の面から前記第2の面へ向けた方向の極性を主成分とする分極をそれぞれ有するとともに、前記第1および第2の面に電極をそれぞれ備えた複数の第1の圧電区画部と、前記圧電体にそれぞれ設けられ、前記第2の面から前記第1の面へ向けた方向の極性を主成分とする分極をそれぞれ有するとともに、前記第1および第2の面に電極をそれぞれ備え、前記第1の圧電区画部の各々にそれぞれ隣接する複数の第2の圧電区画部と、前記圧電体の前記第2の面の近傍にそれぞれ設けられ、前記第1の圧電区画部の各々から前記第2の圧電区画部の対応する部分へそれぞれ向かう方向の極性を主成分とする分極をそれぞれ有する複数の第3の圧電区画部とを有することを特徴とする振動型アクチュエータが提供される。
また、請求項11記載の発明によれば、1対の面に面方向に互いに隣接してそれぞれ設けられた第1および第2の電極対と、前記第1の電極対を構成する第1および第2の電極と、前記第2の電極対を構成し、前記第1および第2の電極とそれぞれ同一面に位置する第3および第4の電極とを備えた圧電体で構成される振動型アクチュエータの製造方法であって、前記第1の電極、前記第2の電極、前記第4の電極、前記第3の電極の順に電圧が低くなる各直流電圧を前記第1乃至第4の電極に対して印加して、少なくとも前記圧電体における前記第1の電極対間、前記第2の電極対間、前記第2の電極と前記第4の電極との間、および前記第1の電極と前記第3の電極との間に分極を施すことを特徴とする振動型アクチュエータ製造方法が提供される。
また、請求項12記載の発明によれば、1対の面に面方向に互いに隣接してそれぞれ設けられた第1および第2の電極対と、前記第1の電極対を構成する第1および第2の電極と、前記第2の電極対を構成し、前記第1および第2の電極とそれぞれ同一面に位置する第3および第4の電極とを備えた圧電体で構成される振動型アクチュエータの製造方法であって、前記第1および第2の電極間、前記第2および第4の電極間、前記第4および第3の電極間、並びに前記第1および第3の電極間に個別に複数回に亘って直流電圧を印加して、少なくとも前記圧電体における前記第1の電極対間、前記第2の電極対間、前記第2の電極と前記第4の電極との間、および前記第1の電極と前記第3の電極との間に分極を施すことを特徴とする振動型アクチュエータ製造方法が提供される。
本発明によれば、第1の電極対における第1の分極と、第2の電極対における第3の分極との他に、第2および第4の電極間の第2の分極も圧電体を変形させるのに利用できるため、従来に比べ、振動効率の改善及び印加電圧の低電圧化が可能である。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
〔第1の実施の形態〕
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る振動型アクチュエータの構成を示す側面図である。
図1において、1は板状の圧電体、2−a、2−b、2−c、2−dは、圧電体1に設けられた電極である。電極2−aと電極2−bとが、また電極2−cと電極2−dとが、圧電体1を挟んでそれぞれ対向する。
3は、電極2−bおよび電極2−dを介して圧電体1に接着される金属製の弾性体、3−aは、弾性体3と一体に、弾性体3の面方向(図1における左右方向)の中心からずれた位置に設けられた突起である。4は、不図示の加圧機構によって突起3−aと加圧接触する摩擦部材である。
図中に示す矢印群5−a、5−b、5−c、5−dは、圧電体1の各部における分極方向を示している。以下では、これらの矢印群を分極5−a、5−b、5−c、5−dと呼ぶことにする。
図1に示す振動型アクチュエータの動作原理について、図2を参照して以下に説明する。
図2は、弾性体3の振動の様子を示す図である。時刻T1、T2、T3の順で時間が経過している。
電極2−a、2−b、2−c、2−dに対して、後述するように交流電圧が印加されることにより、図2に示すように、弾性体3が面外の1次の曲げモードで振動される。これに伴い、曲げ振動の腹の位置P1からずれた位置に設けられた突起3−aが、図2の平面上で振動する。振動した突起3−aは、不図示のベースに固定された摩擦部材4に対して時刻T3において接触する。これにより、推力が発生し、摩擦部材4と弾性体3とが相対的に移動することになる。
図3は、図1に示す振動型アクチュエータを駆動するための駆動回路を示す図である。
図1、図3を参照しながら、図2に示す1次の曲げ振動が発生する様子を説明する。
電極2−a、電極2−bからなる第1の電極対に挟まれる圧電体1の第1の部分と、電極2−c、電極2−dからなる第2の電極対に挟まれる圧電体1の第2の部分とには、それぞれ逆方向の分極5−a、5−cが施される。また、電極2−aと電極2−cとの間及び電極2−bと電極2−dとの間における板状の圧電体1の表面に沿った2つの領域には同一方向の分極5−b、5−dが施される。
6は交流電圧発生部であり、圧電体1と弾性体3とからなる振動体の共振周波数近傍の周波数をもつ交流電圧を発生し、電極2−aと電極2−cとに対して逆相の交流電圧を印加する。なお、電極2−b及び電極2−dは金属製の弾性体3に接触しているため、両電極は常に同電位となる。
圧電体1の上記第1および第2の部分にそれぞれ施された分極5−a、5−cは分極方向が逆方向であり、また、電極2−aと電極2−cとの間に逆相の交流電圧が印加されて電極2−aの電位と電極2−cの電位とは互いに逆相となるので、圧電体1には上記第1および第2の部分で厚さ方向に対して同一方向の変形が発生する。また、電極2−aと電極2−cとの間に逆相の交流電圧が印加されるので、電極2−aと電極2−cとの間にも分極5−bによる変形が生ずる。
なお、電極2−bと電極2−dとの間にも分極5−dがあるが、電極2−bと電極2−dとは常に同電位となるため、分極5−dによる変形はない。
またなお、弾性体3は、交流電圧発生部6によって電極2−aと電極2−cとに対して印加される交流電圧の振幅の中間の電位となるので、交流電圧発生部6が、振幅の中間電位をグランド電位とする交流電圧を出力するようにして、弾性体3をグランド電位に接続するようにしてもよい。
次に、それぞれの分極によって圧電体1に発生するひずみを説明する。
ここで、図1に示した分極5−a、5−b、5−c、5−dにおいて、各分極の矢印方向と同じ方向の電界がかけられた場合に、各分極の矢印の方向に圧電体1の伸びが発生し、逆に、各分極の矢印方向と反対方向の電界がかけられた場合に、各分極の矢印の方向に圧電体1の縮みが発生すると仮定する。
まず、交流電圧発生部6によって電極2−aに正の電圧、電極2−cに負の電圧が印加されたとすると、電極2−a、電極2−bからなる第1の電極対に挟まれる圧電体1の第1の部分と、電極2−c、電極2−dからなる第2の電極対に挟まれる圧電体1の第2の部分とには、分極5−a及び分極5−cとそれぞれ逆方向の電界が発生するので、上記第1の部分及び第2の部分が、圧電体1の厚さ方向に縮む変形を行う。また、電極2−aと電極2−cとの間には分極5−bと同方向の電界が発生するので、圧電体1が面方向に伸びる変形を行う。上記第1の部分及び第2の部分の厚さ方向に縮む変形は、圧電体1のポアソン比に応じて圧電体1の厚さ方向と直交する面方向に延びる変形となる。
次に、交流電圧発生部6によって電極2−aに負の電圧、電極2−cに正の電圧が印加されると、圧電体1の上記第1の部分及び第2の部分には、分極5−a及び分極5−cとそれぞれ同一方向の電界が発生するので、上記第1の部分及び第2の部分が、圧電体1の厚さ方向に延びる変形をする。また、電極2−aと電極2−cとの間には分極5−bと逆方向の電界が発生するので、圧電体1が面方向に縮む変形をする。上記第1の部分及び第2の部分の厚さ方向に延びる変形は、圧電体1のポアソン比に応じて圧電体1の厚さ方向と直交する面方向に縮む変形となる。
これにより、図2に示すような弾性体3の1次の曲げ振動が発生する。
このように、弾性体3の1次の曲げ振動は、圧電体1の面方向の伸縮変形によって発生する。ところで、圧電体1の厚さ方向に電圧を印加することにより圧電体1に発生した、電界の方向(圧電体1の厚さ方向)と同一方向の歪みに比べて、圧電体1のポアソン比に応じて電界の方向と直交する方向(圧電体1の面方向)に発生する歪みは、その大きさが3分の1程度である。そのため、圧電体1の厚さ方向の歪みに基づいて、圧電体1の面方向に大きな歪みを発生させるためには、比較的大きな電圧を圧電体1に印加しなければならない。
ところが第1の実施の形態例では、圧電体1の面方向の電極2−aと電極2−cとの間にも分極5−bを施すとともに、電極2−aと電極2−cとに逆相の交流電圧を印加し、しかもこの電極2−aと電極2−cとに印加される電圧は、圧電体1の上記第1および第2の部分にそれぞれ印加される電圧の2倍の電圧となっている。これにより、電極2−aと電極2−cとの間の大きな変形が、上記第1および第2の部分に発生する変形に加わり、比較的低電圧で大きな振幅の振動を弾性体3に発生させることができるようになる。
このように圧電体1において、弾性体3側の電極2−bから電極2−aに向けた分極5−a、電極2−aから電極2−cに向けた分極5−b、電極2−cから弾性体3側の電極2−dに向けた分極5−cを施すことで、印加電圧が比較的低電圧でありながら振動効率が高い振動型アクチュエータを実現できる。
〔第2の実施の形態〕
図1に示す第1の実施の形態における振動型アクチュエータでは、圧電体1に電極対を2対設けているが、第2の実施の形態における振動型アクチュエータでは、電極対を3対設けるようにしている。
図4は、圧電体に電極対を3対設けた第2の実施の形態における振動型アクチュエータの構成を示す側面図である。
図4に示す構成は図1に示す第1の実施の形態における構成と基本的には同じであるので、同一部分には同一符号を付して、その説明を省略する。
電極2−a、電極2−b、電極2−c、電極2−dは図1と同じ構成であり、これらの電極間の圧電体1には分極5−a、分極5−b、分極5−c、分極5−dが同様に施されている。
電極2−e、電極2−fは第3の電極対であり、この第3の電極対間の圧電体1には分極5−fが施されており、電極2−eと電極2−cとの間には分極5−eが、電極2−fと電極2−dとの間には分極5−gが施されている。また全体の分極状態は、第2の電極対である電極2−c、電極2−dを中心に対称になっている。
図5は、図4に示す第2の実施の形態における振動型アクチュエータを駆動するための駆動回路を示す図である。図5に示す構成は図3に示す第1の実施の形態における構成と基本的には同じであるので、同一部分には同一符号を付して、その説明を省略する。
第2の実施の形態における振動型アクチュエータでは第2の電極対を中心に対称な配置となっているので、交流電圧発生手段6の出力電圧を対称に各電極に与えるように構成する。すなわち、電極2−aと電極2−eとに交流電圧発生手段6の出力端子の一方を接続する。
これによって、第2の電極対と第3の電極対とによる動作は、第1の実施の形態で説明した第1の電極対と第2の電極対とによる動作と同様であり、弾性体3側の電極2−fから電極2−eに向けた分極5−f、電極2−eから電極2−cに向けた分極5−e、電極2−cから弾性体3側の電極2−dに向けた分極5−cを施すことで、第2の実施の形態では、第1の電極対と第2の電極対とによることは勿論、第2の電極対と第3の電極対とによっても、印加電圧が比較的低電圧でありながら振動効率が高い振動型アクチュエータを実現できる。
図6は、第2の実施の形態における振動型アクチュエータの圧電体1に対して分極を施す方法を示す図である。
(A)は第1の分極方法を、(B−1)、(B−2)は第2の分極方法を、(C−1)、(C−2)、(C−3)は第3の分極方法を示す。
第1の分極方法(A)では1回の給電で分極する。
Vpは単位分極電圧であり、Vgは0V(グランド電位)を表している。電極2−b及び電極2−fには単位分極電圧Vpの3倍の電圧3Vpが、電極2−a及び電極2−eには単位分極電圧Vpの2倍の電圧3Vpが、電極2−cには単位分極電圧Vpが、電極2−dにはグランド電位Vgが給電される。これにより、圧電体1に発生した電界に沿って分極5−a〜分極5−gが形成される。
この1回の給電で分極する方法では、電極2−b及び電極2−fと電極2−dとの各電極間に単位分極電圧Vpの3倍の電圧3Vpが印加され、他の電極間で印加される単位分極電圧Vpに比べ高電圧となる。このため、分極時に電極2−b及び電極2−fと電極2−dとの各電極間の絶縁耐圧を高くする必要がある。そのため電極2−b及び電極2−fと電極2−dとの各電極間の電極間隔を広げるか、または分極する際に油中で分極を行うか等の放電対策が必要となる。
第2の分極方法(B−1)、(B−2)では、(B−1)、(B−2)の順で2回の給電で分極する。
第1の分極方法(A)では電極間の最大電圧が単位分極電圧Vpの3倍の電圧となるのに対し、第2の分極方法では電極間の最大電圧が単位分極電圧Vpである。
最初の給電ステップ(B−1)では、電極2−a、電極2−d、電極2−eにグランド電位Vgを給電し、電極2−b、電極2−c、電極2−fに単位分極電圧Vpを給電する。すると分極5−b、分極5−eが最終分極方向と逆方向に分極されるが、他の分極5−a,5−c,5−d,5−f,5−gは最終分極方向と同じになる。
次の給電ステップ(B−2)では、電極2−a、電極2−b、電極2−e、電極2−fに単位分極電圧Vpを給電し、電極2−c、電極2−dにグランド電位Vgを給電する。これにより、分極5−b及び分極5−eの方向を反転させて最終分極方向にすることができる。
第3の分極方法(C−1)、(C−2)、(C−3)では、3回の給電で分極する。
第3の分極方法も第2の分極方法と同様に、電極間に印加される最大電圧は単位分極電圧Vpである。第2の分極方法では一部の分極を反転させたのに対して、第3の分極方法では分極を反転させる必要が無い。第3の分極方法では、3回の給電に決められた順番はないが、(C−1)、(C−2)、(C−3)の順番で行うものとして以下に説明する。
最初の給電ステップ(C−1)では、電極2−b、電極2−fに単位分極電圧Vpを給電し、残りの電極にグランド電位Vgを給電する。すると同電位の電極間は分極されず、分極5−a、分極5−d、分極5−f、分極5−gのみが施される。
次の給電ステップ(C−2)では、電極2−a、電極2−eのみグランド電位Vgから単位分極電圧Vpに変更し、その他の電極は給電ステップ(C−1)のままとする。すると同電位の電極間は給電ステップ(C−1)と同様に分極されず、既に分極されている部分は分極に変化が生じない。そして電極間に単位分極電圧Vpが印加された電極2−aと電極2−cとの間および電極2−cと分極5−eとの間に、電極5−b、電極5−eが施される。
最終の給電ステップ(C−3)では、電極2−cのみをグランド電位Vgから単位分極電圧Vpに変更し、その他の電極は給電ステップ(C−2)のままとする。すると同電位の電極間は給電ステップ(C−2)と同様に分極されず、既に分極されている部分は分極に変化が生じない。そして電極間に単位分極電圧Vpが印加された電極2−cと電極2−dとの間に分極5−cが施され、最終分極状態となる。
ここで従来の分極方法で分極した場合の圧電体の分極状態について説明しておく。
なお。従来の圧電体に設ける電極は、通常は圧電体の片面を全面電極として、他方の面に分割した電極を設けるようにしている。
図7は、片面のみ分割電極とした従来の圧電体の分極状態を示す側面図である。
10は圧電体であり、11−a、11−b、11−c、11−dは、圧電体10に設けられた電極であり、12−a、12−b、12−c、12−d、12−eの矢印は、圧電体10の分極の方向を示している。
ここで図7の分極状態と図6(B−1)の分極状態とを比較すると、図7の分極状態では、電極11−dが分割されていないため、電極11−d側での分極が無いが、その他の電極間の分極状態は、図6(B−1)の分極状態と一致している。
図7の分極状態では、電極11−aおよび電極11−cと、電極11−bとの各電極間に逆相の交流電圧を印加すると、分極12−a、12−eによる圧電体10の面方向の変形と、分極12−b、12−dによる圧電体10の面方向の変形とが、伸縮反対となり、振動効率が低下してしまうという問題があった。
〔第3の実施の形態〕
第1および第2の実施の形態では、圧電体1に電極対を1次元的に配置しているが、第3の実施の形態では、電極対を2次元的に配置するようにしている。
図8は、圧電体に2次元的に電極対を4対設けた第3の実施の形態における振動型アクチュエータの構成を示す平面図である。
図8に示す表面の奥行き方向(圧電体の厚さ方向)の裏面には、表面と対向して不図示の電極が同様に設けられている。
7は圧電体であり、8−a、8−b、8−c、8−dは、圧電体7に設けられた給電用の電極であり、9−a、9−b、9−c、9−dは、電極8−a、電極8−b、電極8−c、電極8−dの相互間に施された各分極の方向を示す矢印であり、以下では、分極9−a、9−b、9−c、9−dと呼ぶ。
また各電極8−a、8−b、8−c、8−dと、圧電体7の裏面側に設けられた対応する不図示の各電極との各間には、分極が施される。各電極8−a、8−b、8−c、8−d上に示された符号は、+が圧電体7の表面から裏面に向かう分極を示しており、−はその逆方向の分極を示している。圧電体7の裏面側の各電極は全て互いに接続されており、同電位になっている。また裏面には更に不図示の弾性体が接着されている。
圧電体7には、図1、図4に示す分極と同様に、裏面の弾性体側から表面の電極へ向かい、次に隣接する2つの電極へ向かい、次に表面から弾性体側へ向かうように連続した分極が施されており、これによって、第1および第2の実施の形態と同様に、低電圧で弾性体を振動させることが可能となる。
なお、第1乃至第3の実施の形態において、圧電体の厚さと、圧電体の面方向の電極間隔との間には最適な大きさの関係があって、圧電体の厚さをt、電極間隔をdとすると、概ね0.5t<d<2tの条件を満たす場合が最適な関係である。
〔第4の実施の形態〕
図9は、第4の実施の形態における振動型アクチュエータの圧電体の電極配置を示す平面図である。この振動型アクチュエータは進行波型の振動型アクチュエータである。
13は円環状の圧電体であり、裏面が不図示の円環状の弾性体に接着されている。14−a、14−b、14−c、14−d、14−e、14−fは、圧電体13の周方向に沿って連続的に同じパターンで繰り返し設けられた給電用の電極である。図9では一部の符号のみを示したが、時計回りに沿って電極14−fの隣から再び電極14−a、電極14−b、・・・と言うように同じパターンの給電用の電極が繰り返し形成されている。圧電体13の裏面にも対向する電極がそれぞれ設けられている。また圧電体13の円周上に片面30個の電極が設けられている。15−a、15−b、15−cは、各電極に接続される給電用の配線部である。
圧電体13の各表面電極と、対応する各裏面電極との間にはそれぞれ分極が施されており、図9の各電極上に示す符号は圧電体13の厚さ方向の分極状態を示しており、+は紙面の表面から裏面方向への分極を示しており、−は裏面から表面方向への分極を示している。また、圧電体13の各表面電極の相互間には、電極上に−と示した電極から+と示した電極へ向かう分極が施されている。同様に、各裏面電極の相互間にも分極が施されている。
図10は、第4の実施の形態における圧電体13の各電極に印加される交流電圧波形及び各部の歪み波形を示すタイミングチャートである。
図10の(1)、(2)、(3)は、配線部15−a、15−b、15−cにそれぞれ印加される交流電圧の波形を示し、120度ずつ位相のずれた3相の交流電圧波形となっている。
図10の(4)、(6)、(8)、(10)、(12)、(14)の実線は、電極14−a、14−b、14−c、14−d、14−e、14−fにそれぞれ印加される交流電圧の波形を示し、点線は、圧電体13の厚さ方向の分極によってそれぞれ発生する圧電体13の歪み波形を示す。駆動電圧は120度ずつ位相のずれた3相交流電圧であるが、歪み波形は、60度ずつ位相のずれた6相の交流波形となる。
図10の(5)、(7)、(9)、(11)、(13)、(15)の実線は、圧電体13の周方向に隣接する電極間、すなわち、隣接する電極14−a,14−b間、電極14−b,14−c間、電極14−c,14−d間、電極14−d,14−e間、電極14−e,14−f間、電極14−f,14−a間(電極14−fの隣の電極14−a)にそれぞれ印加される電圧の波形を示しており、点線は、圧電体13の周方向に隣接する電極間に発生する分極方向に応じた圧電体13の歪み波形を示す。ただし、ここで示した歪み波形の大きさは、印加電圧や分極の状態と関係なく同じ振幅であると仮定する。この圧電体13の周方向に隣接する電極間の周方向の分極による歪みの波形の位相を、各電極の厚み方向の分極による歪み波形(4)、(6)、(8)、(10)、(12)、(14)と比較すると、各電極間の歪み波形が、それを挟む2つの電極対の歪み波形の位相の中間となることが分かる。このことから、歪みは圧電体13の周上に6度ずつずれた位置に30度ずつ時間的位相がずれて発生する。つまり、3相の駆動電圧で12相駆動が可能となる。
〔第5の実施の形態〕
図11は、第5の実施の形態における振動型アクチュエータの圧電体の電極配置を示す平面図である。第5の実施の形態における圧電体の電極配置は、基本的に第4の実施の形態における圧電体の電極配置と同じであるので、同一部分には同一符号を付す。
第5の実施の形態では、5相の駆動電圧で振動型アクチュエータの圧電体を駆動するようにする。
図11において、13は円環状の圧電体であり、裏面が不図示の円環状の弾性体に接着されている。14−a、14−b、14−c、14−d、14−e、14−f、14−g、14−h、14−i、14−jは、圧電体13の周方向に沿って連続的に繰り返し設けられた給電用の電極である。図11では一部の符号のみを示したが、時計回りに沿って電極14−jの隣から再び電極14−a、電極14−b、・・・と言うように同じパターンの給電用の電極が繰り返し形成されている。圧電体13の裏面にも対向する電極がそれぞれ設けられている。また圧電体13の円周上に片面30個の電極が設けられている。15−a、15−b、15−c、15−d、15−eは、各電極に接続される給電用の配線部である。
圧電体13の各表面電極と、対応する各裏面電極との間にはそれぞれ分極が施されており、図11の各電極上に示す符号は圧電体13の厚さ方向の分極状態を示しており、+は紙面の表面から裏面方向への分極を示しており、−は裏面から表面方向への分極を示している。また、圧電体13の各表面電極の相互間には、電極上に−と示した電極から+と示した電極へ向かう分極が施されている。同様に、各裏面電極の相互間にも分極が施されている。
図12は、第5の実施の形態における圧電体13の各電極に印加される交流電圧波形及び各部の歪み波形を示すタイミングチャートである。
図12の(1)、(2)、(3)、(4)、(5)は、配線部15−a、15−b、15−c、15−d、15−eにそれぞれ印加される交流電圧波形を示し、144度ずつ位相のずれた5相の交流電圧波形となっている。
図12の(6)、(8)、(10)、(12)、(14)、(16)、(18)、(20)、(22)、(24)の実線は、電極14−a、14−b、14−c、14−d、14−e、14−f、14−g、14−h、14−i、14−jにそれぞれ印加される交流電圧の波形を示し、点線は、圧電体13の厚さ方向の分極に応じて発生する圧電体13の歪み波形を示す。駆動電圧は144度ずつ位相のずれた5相交流電圧であるが、歪み波形は、36度ずつ位相のずれた10相の交流波形となる。
図12の(7)、(9)、(11)、(13)、(15)、(17)、(19)、(21)、(23)、(25)の実線は、圧電体13の周方向に隣接する電極間、すなわち、隣接する電極14−a,14−b間、電極14−b,14−c間、電極14−c,14−d間、電極14−d,14−e間、電極14−e,14−f間、電極14−f,14−g間、電極14−g,14−h間、電極14−h,14−i間、電極14−i,14−j間、電極14−j,14−a間(電極14−jの隣の電極14−a)にそれぞれ印加される電圧の波形を示しており、点線は、圧電体13の周方向に隣接する電極間に発生する分極方向に応じた圧電体13の歪み波形を示す。
ただし、ここで示した歪み波形の大きさは、印加電圧や分極の状態と関係なく同じ振幅であると仮定する。この圧電体13の周方向に隣接する電極間の周方向の分極による歪みの波形の位相を、各電極の厚み方向の分極による歪み波形(6)、(8)、(10)、(12)、(14)、(16)、(18)、(20)、(22)、(24)と比較すると、各電極間の歪み波形が、それを挟む2つの電極対の歪み波形の位相の中間となることが分かる。このことから、歪みは圧電体13の周上に6度ずつずれた位置に18度ずつ時間的位相がずれて発生する。つまり、5相の駆動電圧で20相駆動が可能となる。
従来の分極方法では、圧電体の厚み方向の分極しか利用していない上、駆動電圧と同じ相数の歪みしか発生させることができない。本実施の形態では、歪みの相数が印加電圧の相数の4倍となるため、従来の分極方法と比較して、不図示の円環状の弾性体に滑らかな進行性の振動波を形成できると共に、多相化により圧電体13の力係数を等価的に高めることができ、従来と比較して低電圧で駆動することが可能となる。また圧電体の厚み方向の分極だけでなく、従来使用していなかった面方向の電極間の分極を利用することで更に力係数を高くすることが可能となる。
なお、本実施の形態のように奇数相の駆動電圧であれば、同様の効果を得ることができる。その場合nを1以上の整数として駆動電圧の相数を(2n+1)とした場合、位相が360n/(2n+1)度ずつずれた駆動電圧を、環状の圧電体に沿って印加する構成となる。
図13は、第5の実施の形態における振動型アクチュエータの斜視図である。
16は、圧電体13が接着される弾性体であり、17は、弾性体16に不図示の加圧機構によって加圧接触されたロータである。ロータ17は、圧電体13に交流電圧を印加することで弾性体16上に進行性の振動波が発生し、弾性体16に摩擦接触するロータ17は、弾性体16からの摩擦力によって回転する。
なお、図9に示す第4の実施の形態における振動型アクチュエータも、図13と同じ構成となっている。
〔第6の実施の形態〕
図14は、第6の実施の形態における振動型アクチュエータの圧電体の電極配置を示す平面図である。第6の実施の形態における圧電体の電極配置は、基本的に図9に示す第4の実施の形態における圧電体の電極配置と同じであるので、同一部分には同一符号を付す。
第4および第5の実施の形態における振動型アクチュエータの圧電体に供給される駆動電圧の相数は奇数であったが、第6の実施の形態では偶数の例を示す。
図14において、13は円環状の圧電体であり、裏面が不図示の円環状の弾性体に接着されている。14−a、14−b、14−c、14−dは、圧電体13の周方向に沿って連続的に繰り返し設けられた給電用の電極である。図14では一部の符号のみを示したが、時計回りに沿って電極14−dの隣から再び電極14−a、電極14−b、・・・と言うように同じパターンの給電用の電極が繰り返し形成されている。圧電体13の裏面にも対向する電極がそれぞれ設けられている。また圧電体13の円周上に片面28個の電極が設けられている。15−a、15−b、15−c、15−dは、各電極に接続される給電用の配線部である。
圧電体13の各表面電極と、対応する各裏面電極との間にはそれぞれ分極が施されており、図14の各電極上に示す符号は圧電体13の厚さ方向の分極状態を示しており、+は紙面の表面から裏面方向への分極を示しており、−は裏面から表面方向への分極を示している。また、圧電体13の各表面電極の相互間には、電極上に−と示した電極から+と示した電極へ向かう分極が施されている。同様に、各裏面電極の相互間にも分極が施されている。
図15は、第6の実施の形態における圧電体13の各電極に印加される交流電圧波形及び各部の歪み波形を示すタイミングチャートである。
図15の(1)、(2)、(3)、(4)は、配線部15−a、15−b、15−c、15−dにそれぞれ印加される交流電圧波形を示し、90度ずつ位相のずれた4相の交流電圧波形となっている。
図15の(5)、(7)、(9)、(11)の実線は、電極14−a、14−b、14−c、14−dにそれぞれ印加される交流電圧の波形を示し、点線は、圧電体13の厚さ方向の分極に応じて発生する圧電体13の歪み波形を示す。駆動電圧は90度ずつ位相のずれた4相交流電圧であるが、歪み波形も、90度ずつ位相のずれた4相の交流波形となる。
図12の(6)、(8)、(10)、(12)の実線は、圧電体13の周方向に隣接する電極間、すなわち、隣接する電極14−a,14−b間、電極14−b,14−c間、電極14−c,14−d間、電極14−d,14−a間(電極14−dの隣の電極14−a)にそれぞれ印加される電圧の波形を示しており、点線は、圧電体13の周方向に隣接する電極間に発生する分極方向に応じた圧電体13の歪み波形を示す。
ただし、ここで示した歪み波形の大きさは、印加電圧や分極の状態と関係なく同じ振幅であると仮定する。この圧電体13の周方向に隣接する電極間の周方向の分極による歪みの波形の位相を、各電極の厚み方向の分極による歪み波形(5)、(7)、(9)、(11)と比較すると、各電極間の歪み波形が、それを挟む2つの電極対の歪み波形の位相の中間となることが分かる。このことから、歪みは圧電体13の周上に6.43度ずつずれた位置に45度ずつ時間的位相がずれて発生する。つまり、4相の駆動電圧で8相駆動が可能となる。
このように、駆動電圧の相数が奇数である第4および第5の実施の形態では、駆動電圧の相数の4倍の相数の歪を発生できるのに対して、駆動電圧の相数が偶数である第6の実施の形態では、駆動電圧の相数の2倍の相数の歪しか発生させることができない。しかし、駆動電圧の相数と同数の相数の歪しか発生させることができない従来の振動型アクチュエータと比較して2倍の相数で歪を発生させることができる。
〔第7の実施の形態〕
図16は、第7の実施の形態における振動型アクチュエータの圧電体の電極配置を示す平面図である。第7の実施の形態における圧電体の電極配置は、基本的に図9に示す第4の実施の形態における圧電体の電極配置と同じであるので、同一部分には同一符号を付す。
進行波型の振動型アクチュエータである上記第1乃至第6の実施の形態では、圧電体の複数の表面電極と、対応する各裏面電極との間にはそれぞれ分極が施されているとともに、各分極方向は圧電体の周方向に沿って交互に反転しており、且つ圧電体の周方向に並んだ隣接する電極間には面方向の分極が施されている。しかし、定在性の振動波を用いて駆動する定在波型の振動型アクチュエータの場合、定在波の節にあたる部分では歪みを発生させる必要が無い。第7の実施の形態における振動型アクチュエータは、定在波型の振動型アクチュエータである。
図16において、13は円環状の圧電体であり、裏面が不図示の円環状の弾性体に接着されている。14−a、14−b、14−c、14−dは、圧電体13の周方向に沿って連続的に繰り返し設けられた給電用の電極であり、図16では一部の符号のみを示したが、時計回りに沿って電極14−dの隣から再び電極14−a、電極14−b、・・・と言うように同じパターンの給電用の電極が繰り返し形成されている。圧電体13の裏面にも対向する電極がそれぞれ設けられている。また圧電体13の円周上に片面28個の電極が設けられている。15−a、15−bは、各電極に接続される給電用の配線部である。配線部15−aと配線部15−bとには逆相の交流電圧が印加される。
圧電体13の各表面電極と、対応する各裏面電極との間にはそれぞれ分極が施されており、図16の各電極上に示す符号は圧電体13の厚さ方向の分極状態を示しており、+は紙面の表面から裏面方向への分極を示しており、−は裏面から表面方向への分極を示している。また、圧電体13の各表面電極の相互間には、電極上に−と示した電極から+と示した電極へ向かう分極が施されている。 ただし、第7の実施の形態では、圧電体13の各表面電極と、対応する各裏面電極との間に施される厚さ方向の各分極の方向は、周方向に沿って+、−交互に反転されるのではなく、+、−、−、+を基本として、この反転パターンが周上に繰り返される。
また、第7の実施の形態では、圧電体13の周方向で隣接する電極間のうち、厚さ方向の分極方向が異なる電極間に、面方向の分極が施されており、一方、厚さ方向の分極方向が同一の電極間には、面方向の分極が施されない。この圧電体13の周方向で隣接する電極間であって面方向の分極が施されていない電極間が、振動の節にあたり、電極14−bと電極14−cとの間と電極14−dと電極14−a(電極14−dの隣の電極14−a)との間がこれにあたる。圧電体13の周方向で隣接する電極間であって面方向の分極が施されている電極間は、振動の腹にあたり、電極14−aと電極14−bとの間と電極14−cと電極14−dとの間がこれにあたる。
電極14−aと電極14−cとの間と、電極14−bと電極14−dとの間とでは分極の方向が逆なので、互いに逆方向の歪みが発生し、隣接する4つの電極14−a,14−b,14−c,14−dを1波長とする定在波が形成される。
〔第8の実施の形態〕
上記第1乃至第7の実施の形態では、単板の圧電体を用いた振動型アクチュエータを説明をしたが、複数の圧電体を積層するようにしてもよい。第8の実施の形態における振動型アクチュエータは、複数の圧電体が積層されたものである。
図17は、複数の圧電体を積層した第8の実施の形態における振動型アクチュエータの構成を示す側面図である。
図17の(1)は、複数の圧電体を積層することで対向することになる電極どうしを面方向の同じ位置に重ねた例、(2)は、対向することになる電極どうしを面方向にずらして、対向することになる電極全てが電気的に接続するように構成した例である。(3)、(4)は、(1)、(2)にそれぞれ示す圧電体の積層数を更に増やした例である。
いずれも、単板の圧電体を分極した後に重ねて接着したものである。接着面の電極同士は電気的に接続されるものとする。
18、19は圧電体、20−a〜20−gは電極である。
図17の(1)の例では、電極20−aと電極20−dとに、電極20−bと電極20−eとに、電極20−cと電極20−fとに、逆相交流電圧をそれぞれ印加する。これにより、給電されている各電極対に挟まれた各内部電極はそれぞれ中間電位となる。従って、各内部電極は全てほぼ同じ電位となる。上記第1乃至第7の実施の形態では、圧電体の裏面側の各電極を金属製の弾性体に接触させて同電位としているが、第8の実施の形態では、給電されている電極対に挟まれた内部電極を電気的に浮かしたままでも、各内部電極がほぼ同電位となり、それらを接続した場合と同じ状態になる。
(2)の例では、圧電体18と圧電体19との相互位置を面方向にずらすことで、対向する電極どうしが全て接続される。これにより、内部電極全てを同電位とすることができる。
この例では、圧電体18と圧電体19との電極位置が異なるために圧電体18と圧電体19との歪み波形の時間的位相がずれることになるが、双方の歪みの総和が少なくならない程度の位置ずれであれば、積層による特性の向上を見込むことができる。
(3)は、(1)の構成をもつ2つを上下に線対称に構成したものであり、(4)は、(2)の構成をもつ2つを上下に線対称に構成したものである。
本発明の第1の実施の形態に係る振動型アクチュエータの構成を示す側面図である。 弾性体の振動の様子を示す図である。 図1に示す振動型アクチュエータを駆動するための駆動回路を示す図である。 圧電体に電極対を3対設けた第2の実施の形態における振動型アクチュエータの構成を示す側面図である。 図4に示す第2の実施の形態における振動型アクチュエータを駆動するための駆動回路を示す図である。 第2の実施の形態における振動型アクチュエータの圧電体に対して分極を施す方法を示す図である。 片面のみ分割電極とした従来の圧電体の分極状態を示す側面図である。 圧電体に2次元的に電極対を4対設けた第3の実施の形態における振動型アクチュエータの構成を示す平面図である。 第4の実施の形態における振動型アクチュエータの圧電体の電極配置を示す平面図である。 第4の実施の形態における圧電体の各電極に印加される交流電圧波形及び各部の歪み波形を示すタイミングチャートである。 第5の実施の形態における振動型アクチュエータの圧電体の電極配置を示す平面図である。 第5の実施の形態における圧電体の各電極に印加される交流電圧波形及び各部の歪み波形を示すタイミングチャートである。 第5の実施の形態における振動型アクチュエータの斜視図である。 第6の実施の形態における振動型アクチュエータの圧電体の電極配置を示す平面図である。 第6の実施の形態における圧電体13の各電極に印加される交流電圧波形及び各部の歪み波形を示すタイミングチャートである。 第7の実施の形態における振動型アクチュエータの圧電体の電極配置を示す平面図である。 複数の圧電体を積層した第8の実施の形態における振動型アクチュエータの構成を示す側面図である。
符号の説明
1、7、10、13 圧電体
2、8、11、14 電極
3、16 弾性体
4 摩擦部材
5、9、12 分極
6 交流電圧発生部
15 配線部
17 ロータ

Claims (16)

  1. 圧電体に電圧を印加することで発生する変形を利用して、直接または間接的に被移動体を移動させる振動型アクチュエータであって、
    前記圧電体に設けられた少なくとも1対の面と、
    前記圧電体の前記1対の面に面方向に互いに隣接してそれぞれ設けられ、前記圧電体の前記1対の面間に電界を形成するための少なくとも第1および第2の電極対と、
    前記第1の電極対を構成する第1および第2の電極と、
    前記第2の電極対を構成し、前記第1および第2の電極とそれぞれ同一面に位置する第3および第4の電極と、
    前記第1の電極から前記第2の電極へ向かう方向の極性を主成分とする第1の分極と、
    前記第2の電極から前記第4の電極へ向かう方向の極性を主成分とする第2の分極と、
    前記第4の電極から前記第3の電極へ向かう方向の極性を主成分とする第3の分極と
    前記第1の電極から前記第3の電極へ向かう方向の極性を主成分とする第4の分極と
    を有することを特徴とする振動型アクチュエータ。
  2. 前記第1の電極と前記第3の電極とは電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の振動型アクチュエータ。
  3. 前記第2の電極と前記第4の電極とは逆相の交流電圧が印加されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の振動型アクチュエータ。
  4. 圧電体に電圧を印加することで発生する変形を利用して、直接または間接的に被移動体を移動させる振動型アクチュエータであって、
    前記圧電体に設けられた第1及び第2の面からなる少なくとも1対の面と、
    前記圧電体の前記1対の面に面方向に並んでそれぞれ設けられ、前記圧電体の前記1対の面間に電界を形成するための複数の電極対と、
    前記圧電体にそれぞれ設けられ、前記第1の面から前記第2の面へ向けた方向の極性を主成分とする分極をそれぞれ有するとともに、前記第1および第2の面に電極をそれぞれ備えた複数の第1の圧電区画部と、
    前記圧電体にそれぞれ設けられ、前記第2の面から前記第1の面へ向けた方向の極性を主成分とする分極をそれぞれ有するとともに、前記第1および第2の面に電極をそれぞれ備え、前記第1の圧電区画部の各々にそれぞれ隣接する複数の第2の圧電区画部と、
    前記圧電体の前記第2の面の近傍にそれぞれ設けられ、前記第1の圧電区画部の各々から前記第2の圧電区画部の対応する部分へそれぞれ向かう方向の極性を主成分とする分極をそれぞれ有する複数の第3の圧電区画部と
    を有することを特徴とする振動型アクチュエータ。
  5. 前記圧電体の前記第1の面に設けられた各電極は電気的に接続されることを特徴とする請求項4に記載の振動型アクチュエータ。
  6. 前記圧電体は環状であって、前記第1の圧電区画部の各々と前記第2の圧電区画部の各々とが、前記環状の圧電体に沿って交互に配列されるとともに、前記第1の圧電区画部の各々と前記第2の圧電区画部の対応する部分との各間に、前記第3の圧電区画部の各々がそれぞれ配列されることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の振動型アクチュエータ。
  7. 前記第1の圧電区画部と前記第2の圧電区画部とには、前記圧電体の厚さ方向に関して互いに逆方向の電界が生成されることを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれかに記載の振動型アクチュエータ。
  8. 前記第1および第2の圧電区画部にそれぞれ備えられた前記圧電体の前記第2の面上の各電極には、前記環状の圧電体に沿って交互に配列された順序で、交流電圧が90度以上の位相ずれをもって順に印加されることを特徴とする請求項6に記載の振動型アクチュエータ。
  9. 前記第1および第2の圧電区画部にそれぞれ備えられた前記圧電体の前記第2の面上の各電極には、前記環状の圧電体に沿って交互に配列された順序で、交流電圧が(360n/(2n+1))度ずつの位相ずれをもって順に印加されることを特徴とする請求項6に記載の振動型アクチュエータ。
  10. 前記圧電体は、複数が積層された構成であることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の振動型アクチュエータ。
  11. 1対の面に面方向に互いに隣接してそれぞれ設けられた第1および第2の電極対と、前記第1の電極対を構成する第1および第2の電極と、前記第2の電極対を構成し、前記第1および第2の電極とそれぞれ同一面に位置する第3および第4の電極とを備えた圧電体で構成される振動型アクチュエータの製造方法であって、
    前記第1の電極、前記第2の電極、前記第4の電極、前記第3の電極の順に電圧が低くなる各直流電圧を前記第1乃至第4の電極に対して印加して、少なくとも前記圧電体における前記第1の電極対間、前記第2の電極対間、前記第2の電極と前記第4の電極との間、および前記第1の電極と前記第3の電極との間に分極を施す
    ことを特徴とする振動型アクチュエータ製造方法。
  12. 1対の面に面方向に互いに隣接してそれぞれ設けられた第1および第2の電極対と、前記第1の電極対を構成する第1および第2の電極と、前記第2の電極対を構成し、前記第1および第2の電極とそれぞれ同一面に位置する第3および第4の電極とを備えた圧電体で構成される振動型アクチュエータの製造方法であって、
    前記第1および第2の電極間、前記第2および第4の電極間、前記第4および第3の電極間、並びに前記第1および第3の電極間に個別に複数回に亘って直流電圧を印加して、少なくとも前記圧電体における前記第1の電極対間、前記第2の電極対間、前記第2の電極と前記第4の電極との間、および前記第1の電極と前記第3の電極との間に分極を施す
    ことを特徴とする振動型アクチュエータ製造方法。
  13. まず、前記第2および第3の電極を接地するとともに、前記第1および第4の電極に所定の直流電圧を印加し、
    次に、前記第3および第4の電極を接地するとともに、前記第1および第2の電極に前記所定の直流電圧を印加する
    ことを特徴とする請求項12記載の振動型アクチュエータ製造方法。
  14. 前記分極をそれぞれ施された第1および第2の圧電体において、前記第1の圧電体の前記第1及び第3の電極が位置する側と、前記第2の圧電体の前記第2および第4の電極が位置する側とを、前記第1の圧電体の前記第1及び第3の電極が、前記第2の圧電体の前記第2および第4の電極にそれぞれ電気的に接続するように接合することを特徴とする請求項11または請求項12に記載の振動型アクチュエータ製造方法。
  15. 前記分極をそれぞれ施された第1および第2の圧電体において、前記第1の圧電体の前記第1及び第3の電極が位置する側と、前記第2の圧電体の前記第2および第4の電極が位置する側とを、前記第1の圧電体の前記第1及び第3の電極、並びに前記第2の圧電体の前記第2および第4の電極がすべて電気的に接続するように接合することを特徴とする請求項11または請求項12に記載の振動型アクチュエータ製造方法。
  16. 前記接合された第1および第2の圧電体でそれぞれ構成される2つの積層圧電体を、面対称に接合することを特徴とする請求項14または請求項15記載の振動型アクチュエータ製造方法。
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