JP6673325B2 - ゴム組成物、及び、ゴム組成物の製造方法 - Google Patents

ゴム組成物、及び、ゴム組成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ゴム組成物、及び、ゴム組成物の製造方法に関する。
従来、優れた機械的特性を有する重合体として、オレフィンと芳香族ビニルとジエンとの重合体(オレフィン−芳香族ビニル−ジエン重合体)が知られている(例えば、特許文献1)。
特開2002−265720号公報
このようななか、本発明者らが特許文献1を参考にエチレンとスチレンとブタジエンとの重合体(エチレン−スチレン−ブタジエン重合体)を製造し、これにカーボンブラックやシリカを配合してゴム組成物を調製したところ、得られたゴム組成物は強靭性に劣り、また、熱を加えたときに酸化劣化し易いこと(耐酸化劣化性が不十分であること)が明らかになった。
そこで、本発明は、上記実情を鑑みて、強靭性及び耐酸化劣化性に優れたゴム組成物、及び、上記ゴム組成物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らが上記課題について鋭意検討した結果、(i)特許文献1に記載の方法で上記エチレン−スチレン−ブタジエン重合体を製造した場合、重合体中にスチレン単位同士の頭−頭連鎖([−CH−CH(C)−][−CH(C)−CH−])及び/又は頭−尾連鎖([−CH(C)−CH−][−CH(C)−CH−])が存在し、上記連鎖を完全に無くすことは難しいこと、(ii)上記連鎖の結合エネルギーが小さく、切断され易いこと(特に、加熱したときに酸化によって切断され易いこと)、が明らかになった。なお、以下、スチレン単位同士の連鎖のうち、尾−尾連鎖([−CH(C)−CH−][−CH−CH(C)−])以外の連鎖、すなわち、頭−頭連鎖([−CH−CH(C)−][−CH(C)−CH−])と頭−尾連鎖([−CH(C)−CH−][−CH(C)−CH−])をまとめて「スチレン連鎖」とも言う。同様に、芳香族ビニル単位同士の連鎖のうち、尾−尾連鎖以外の連鎖、すなわち、頭−頭連鎖と頭−尾連鎖をまとめて「芳香族ビニル連鎖」とも言う。
本発明は上記知見に基づくものであり、その具体的な構成は以下のとおりである。
(1) 重合体を含むゴム成分とカーボンブラック及び/又はシリカとを含有し、
上記重合体が、後述する式(1)で表される繰り返し単位及び/又は後述する式(2)で表される繰り返し単位と、後述する式(3)で表される繰り返し単位及び/又は後述する式(4)で表される繰り返し単位とからなり、
全繰り返し単位のうち、上記式(1)で表される繰り返し単位及び上記式(2)で表される繰り返し単位の合計の占める割合が、0.1〜60モル%であり、
全繰り返し単位のうち、上記式(3)で表される繰り返し単位及び上記式(4)で表される繰り返し単位の合計の占める割合が、40〜99.9モル%であり、
全繰り返し単位のうち、上記式(1)で表される繰り返し単位及び上記式(3)で表される繰り返し単位の合計の占める割合が、20モル%以上であり、
全繰り返し単位のうち、上記式(2)で表される繰り返し単位及び上記式(4)で表される繰り返し単位の合計の占める割合が、80モル%以下である、重合体である、ゴム組成物。
(2) 上記芳香族炭化水素基が、置換基を有する芳香族炭化水素基である、上記(1)に記載のゴム組成物。
(3) 上記置換基が、電子供与性基である、上記(2)に記載のゴム組成物。
(4) 上記電子供与性基が、アルコキシ基である、上記(3)に記載のゴム組成物。
(5) 上記シリカの含有量が、上記ゴム成分100質量部に対して、10質量部以上である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のゴム組成物。
(6) 重合体を含むゴム成分とカーボンブラック及び/又はシリカとを含有し、
上記重合体が、後述する式(1)で表される繰り返し単位及び/又は後述する式(2)で表される繰り返し単位と、後述する式(3)で表される繰り返し単位及び/又は後述する式(4)で表される繰り返し単位とからなり、
全繰り返し単位のうち、上記式(1)で表される繰り返し単位及び上記式(2)で表される繰り返し単位の合計の占める割合が、0.1〜60モル%であり、
全繰り返し単位のうち、上記式(3)で表される繰り返し単位及び上記式(4)で表される繰り返し単位の合計の占める割合が、40〜99.9モル%であり、
全繰り返し単位のうち、上記式(1)で表される繰り返し単位及び上記式(3)で表される繰り返し単位の合計の占める割合が、20モル%以上であり、
全繰り返し単位のうち、上記式(2)で表される繰り返し単位及び上記式(4)で表される繰り返し単位の合計の占める割合が、80モル%以下である、重合体である、ゴム組成物を製造する、ゴム組成物の製造方法であって、
ルイス酸触媒の存在下、
後述する式(3)で表される繰り返し単位及び/又は後述する式(4)で表される繰り返し単位からなり、全繰り返し単位のうち上記式(3)で表される繰り返し単位の占める割合が20モル%以上であり、全繰り返し単位のうち上記式(4)で表される繰り返し単位の占める割合が80モル%以下である、ジエン系ポリマーと、
置換基を有していてもよい芳香族炭化水素とを反応させることで、上記重合体を製造する、ゴム組成物の製造方法。
以下に示すように、本発明によれば、強靭性及び耐酸化劣化性に優れたゴム組成物、及び、上記ゴム組成物の製造方法を提供することができる。
本発明の空気入りタイヤの実施態様の一例を表す部分断面概略図である。
以下、本発明のゴム組成物及び上記ゴム組成物の製造方法等について説明する。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[I]ゴム組成物
本発明のゴム組成物(以下、単に「本発明の組成物」とも言う)は、
重合体を含むゴム成分とカーボンブラック及び/又はシリカとを含有し、
上記重合体が、後述する式(1)で表される繰り返し単位及び/又は後述する式(2)で表される繰り返し単位と、後述する式(3)で表される繰り返し単位及び/又は後述する式(4)で表される繰り返し単位とからなり、
全繰り返し単位のうち、上記式(1)で表される繰り返し単位及び上記式(2)で表される繰り返し単位の合計の占める割合が、0.1〜60モル%であり、
全繰り返し単位のうち、上記式(3)で表される繰り返し単位及び上記式(4)で表される繰り返し単位の合計の占める割合が、40〜99.9モル%であり、
全繰り返し単位のうち、上記式(1)で表される繰り返し単位及び上記式(3)で表される繰り返し単位の合計の占める割合が、20モル%以上であり、
全繰り返し単位のうち、上記式(2)で表される繰り返し単位及び上記式(4)で表される繰り返し単位の合計の占める割合が、80モル%以下である、重合体(以下、「特定重合体」とも言う)である。
本発明のゴム組成物はこのような構成をとるため、上述した効果が得られるものと考えらえる。その理由は明らかではないが、後述する式(1)〜(4)から分かるように、本発明のゴム組成物に用いられる特定重合体は結合エネルギーの小さい芳香族ビニル連鎖を有さないため、酸化等によって切断され難いためと考えられる。
以下、本発明の組成物に含有される各成分について説明する。
[1]ゴム成分
本発明のゴム組成物に含有されるゴム成分は、後述する特定重合体を含む。
上記ゴム成分中の特定重合体の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、10質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。上限は特に制限されず、100質量%である。
上記ゴム成分は特定重合体以外のその他のゴム成分を含有していてもよい。そのようなゴム成分(好ましくは、ジエン系ゴム)としては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(Br−IIR、Cl−IIR)、クロロプレンゴム(CR)などが挙げられる。
上記ゴム成分中のその他のゴム成分の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、0〜30質量%であることが好ましい。
[特定重合体]
特定重合体は、後述する式(1)で表される繰り返し単位及び/又は後述する式(2)で表される繰り返し単位と、後述する式(3)で表される繰り返し単位及び/又は後述する式(4)で表される繰り返し単位とからなり、
全繰り返し単位のうち、上記式(1)で表される繰り返し単位及び上記式(2)で表される繰り返し単位の合計の占める割合が、0.1〜60モル%であり、
全繰り返し単位のうち、上記式(3)で表される繰り返し単位及び上記式(4)で表される繰り返し単位の合計の占める割合が、40〜99.9モル%であり、
全繰り返し単位のうち、上記式(1)で表される繰り返し単位及び上記式(3)で表される繰り返し単位の合計の占める割合が、20モル%以上であり、
全繰り返し単位のうち、上記式(2)で表される繰り返し単位及び上記式(4)で表される繰り返し単位の合計の占める割合が、80モル%以下である、重合体である。
最初に、具体例を用いて、特定重合体について説明する。
以下の構造式は、特定重合体が後述する式(1)で表される繰り返し単位と後述する式(3)で表される繰り返し単位とからなる重合体である場合の一態様について、重合体の一部(高分子鎖の一部)を表したものである。構造式中、Phはフェニル基を表し、数字は式の番号を表す。
上記構造式は、以下のとおり、オレフィン(O)とスチレン(S)とブタジエン(B)とが共重合したものと同じ構造を有する。
ここで、スチレン(S)同士が隣り合う場合には、必ず、尾−尾連鎖([−CH(C)−CH−][−CH−CH(C)−])となり、頭−尾連鎖や頭−頭連鎖が生じることは無い。このように、特定重合体は、スチレン連鎖(芳香族ビニル連鎖)を有することはない。なお、上述のとおり、本明細書において「スチレン連鎖(芳香族ビニル連鎖)」とは、尾−尾連鎖以外の連鎖、すなわち、頭−頭連鎖と頭−尾連鎖を指す。
以下、各繰り返し単位について説明する。
式(1)及び(2)中、R及びRは、一方が置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表し、他方が水素原子を表す。
式(1)〜(4)中、R及びRは、水素原子、アルキル基又はハロゲン原子を表す。ただし、R及びRのうち少なくとも一方は水素原子を表す。
特定重合体において、各繰り返し単位の順序は特に制限されない。
また、上記式(3)で表される繰り返し単位は、幾何異性体を区別するものではない。すなわち、上記(3)で表される繰り返し単位は、シス構造とトランス構造の両方を含むものである。
〔芳香族炭化水素基〕
上述のとおり、式(1)及び(2)中、R及びRは、一方が置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表す。上記芳香族炭化水素基は、アリール基であっても、ヘテロアリール基であってもよい。すなわち、上記芳香族炭化水素基は、複素環式芳香族炭化水素基(ヘテロアリール基)であってもよい。
上記芳香族炭化水素基は、本発明の効果がより優れる理由から、置換基を有する芳香族炭化水素基であることが好ましい。
上記芳香族炭化水素基を構成する環は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、炭素数3〜30の芳香族炭化水素環であることが好ましく、炭素数6〜20の芳香族炭化水素環であることがより好ましい。
上記芳香族炭化水素基を構成する環の具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環、トリフェニレン環、ナフタセン環、オキサゾール環、フラン環、ピリジン環などが挙げられる。
<置換基>
上記置換基は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、電子供与性基であることが好ましい。
なお、本明細書において、電子供与性基とは、ハメットの置換基定数σ値が0以下の置換基を指す。電子供与性基のハメットの置換基定数σ値の下限は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、−0.8以上であることが好ましい。
ここで、ハメットの置換基定数σ値について説明する。ハメット則はベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために、1935年にL.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσ値とσ値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J.A.Dean編,「Lange’s and book of Chemistry」,第12版,1979年(McGraw−Hill)や「化学の領域」増刊,122号,96〜103頁,1979年(南光堂)に詳しい。なお、本明細書において電子供与性基をハメットの置換基定数σにより限定したり、説明したりするが、これは上記の成書で見出せる文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではない。その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に包まれる置換基をも含む。
電子供与性基の具体例としては、ヒドロキシ基若しくはその塩、メルカプト基若しくはその塩、アルキル基(好ましくは、炭素数1〜30)、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜20)、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基(RS−:Rはアルキル基(好ましくは炭素数1〜30)を表す。)、アリールチオ基(好ましくは、炭素数6〜20)、ヘテロ環チオ基、アミノ基、アルキルアミノ基(RN−:R及びRはそれぞれ独立して水素原子又はアルキル基(好ましくは炭素数1〜30)を表す。ただし、R及びRの少なくとも一方はアルキル基を表す。)、アリールアミノ基(好ましくは、炭素数6〜20)、ヘテロ環アミノ基などが挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、ハメットの置換基定数σ値が−0.15以下の基であることが好ましい。具体的には、ハメットの置換基定数σ値が−0.15超であるアルキル基以外の基であることが好ましく、アルコキシ基であることがより好ましい。
なお、上記芳香族炭化水素基が2以上の置換基を有する場合、互いに結合して環を形成してもよい。例えば、フェニル基の隣り合う炭素に置換するプロピレニル基同士が互いに結合してベンゼン環を形成してもよい(全体としてナフチル基になる)。
置換基を有する芳香族炭化水素基としては、例えば、トリル基(トルエン基)、メトキシフェニル基(アニソール基)、ナフチル基などが挙げられる。
〔R及びR
上述のとおり、式(1)〜(4)中、R及びRは、水素原子、アルキル基又はハロゲン原子を表す。ただし、R及びRのうち少なくとも一方は水素原子を表す。
上記R及びRは、本発明の効果がより優れる理由から、水素原子であることが好ましい。
上記アルキル基は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
上記ハロゲン原子は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、塩素原子であることが好ましい。
〔繰り返し単位の割合〕
以下、各繰り返し単位の割合について説明する。
なお、特定重合体は、上記式(1)で表される繰り返し単位及び/又は上記式(2)で表される繰り返し単位と、式(3)で表される繰り返し単位及び/又は下記式(4)で表される繰り返し単位とからなるため、全繰り返し単位のうち上記式(1)で表される繰り返し単位の占める割合と上記式(2)で表される繰り返し単位の占める割合と上記式(3)で表される繰り返し単位の占める割合と上記式(4)で表される繰り返し単位の占める割合との合計は100モル%である。
<式(1)>
全繰り返し単位のうち、上記式(1)で表される繰り返し単位で表される繰り返し単位の占める割合(以下、「d1」とも言う)は、本発明の効果がより優れる理由から、1〜50モル%であることが好ましく、5〜40モル%であることがより好ましい。
<式(2)>
全繰り返し単位のうち、上記式(2)で表される繰り返し単位で表される繰り返し単位の占める割合(以下、「d2」とも言う)は、本発明の効果がより優れる理由から、1〜50モル%であることが好ましく、5〜40モル%であることがより好ましい。
<式(3)>
全繰り返し単位のうち、上記式(3)で表される繰り返し単位で表される繰り返し単位の占める割合(以下、「d3」とも言う)は、本発明の効果がより優れる理由から、30〜95モル%であることが好ましく、60〜90モル%であることがより好ましい。
<式(4)>
全繰り返し単位のうち、上記式(4)で表される繰り返し単位で表される繰り返し単位の占める割合(以下、「d4」とも言う)は、本発明の効果がより優れる理由から、1〜70モル%であることが好ましく、5〜60モル%であることがより好ましい。
<式(1)+式(2)>
全繰り返し単位のうち、上記式(1)で表される繰り返し単位及び上記式(2)で表される繰り返し単位の合計の占める割合(以下、「d1+d2」とも言う)は、0.1〜60モル%である。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、1〜50モル%であることが好ましく、5〜40モル%であることがより好ましい。
<式(3)+式(4)>
全繰り返し単位のうち、上記式(3)で表される繰り返し単位及び上記式(4)で表される繰り返し単位の合計の占める割合(以下、「d3+d4」とも言う)は、40〜99.9モル%である。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、51〜99モル%であることが好ましく、60〜95モル%であることがより好ましい。
<式(1)+式(3)>
全繰り返し単位のうち、上記式(1)で表される繰り返し単位及び上記式(3)で表される繰り返し単位の合計の占める割合(以下、「d1+d3」とも言う)は、20モル%以上である。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、30〜99モル%であることが好ましく、50〜99モル%であることがより好ましい。
<式(2)+式(4)>
全繰り返し単位のうち、上記式(2)で表される繰り返し単位及び上記式(4)で表される繰り返し単位の合計の占める割合(以下、「d2+d4」とも言う)は、80モル%以下である。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、0.01〜70モル%であることが好ましく、1〜50モル%であることがより好ましい。
上記d2+d4は0モル%であってもよい。すなわち、特定重合体は、上記式(2)で表される繰り返し単位及び上記式(4)で表される繰り返し単位のいずれも有さない重合体であってもよい。換言すると、特定重合体は、上記式(1)で表される繰り返し単位及び/又は上記式(3)で表される繰り返し単位からなる重合体であってもよい。
なお、以下、「d1(モル%)、d2(モル%)、d3(モル%)、d4(モル%)」を「d1/d2/d3/d4」とも表す。
〔分子量〕
<重量平均分子量>
特定重合体の重量平均分子量(Mw)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、100〜10,000,000であることが好ましく、200〜1,000,000であることがより好ましい。
<数平均分子量>
特定重合体の数平均分子量(Mn)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、100〜10,000,000であることが好ましく、200〜1,000,000であることがより好ましい。
<分子量分布>
特定重合体の分子量分布(Mw/Mn)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、10以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましい。分子量分布の下限は特に制限されないが、通常、1.0以上である。
なお、上記Mw及びMnは、以下の条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により得られる標準ポリスチレン換算値とする。
・溶媒:テトラヒドロフラン
・検出器:RI検出器
〔ガラス転移温度〕
特定重合体のガラス転移温度(Tg)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、−150〜200℃であることが好ましく、−120〜150℃であることがより好ましい。
なお、本明細書において、ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(DSC)を用いて10℃/分の昇温速度で測定し、中点法にて算出したものとする。
〔特定重合体の製造方法〕
上述した特定重合体を製造する方法は特に制限されないが、得られるゴム組成物について本発明の効果がより優れる理由から、ルイス酸触媒の存在下、ジエン系ポリマーと置換基を有していてもよい芳香族炭化水素とを反応させる方法(以下、「本発明の方法」とも言う)であることが好ましい。なお、以下、「得られるゴム組成物について本発明の効果がより優れる」ことを単に「本発明の効果がより優れる」とも言う。
上述のとおり、本発明の方法では、ルイス酸触媒の存在下、ジエン系ポリマーと置換基を有していてもよい芳香族炭化水素とを反応させる。
本発明の方法により上述した特定重合体が得られる理由は凡そ以下のとおりと推測される。すなわち、ルイス酸触媒によりジエン系ポリマーの二重結合にプロトンが付加し、カルボカチオンが生成する。そして、生成したカルボカチオンが置換基を有していてもよい芳香族炭化水素に対して求電子置換することで上述した特定重合体が得られるものと考えらえる(フリーデル・クラフツ型)。
以下に、反応式を用いて、本発明の方法の具体例を示す。
以下の反応式は、上記ルイス酸触媒が塩化アルミニウム(AlCl)であり、上記ジエン系ポリマーがブタジエンゴム(BR)であり、上記芳香族炭化水素がトルエンである場合の一態様について、重合体の一部(高分子鎖の一部)の反応式を表したものである。反応式中、Tyはトリル基を表す。
上記反応式に示されるように、ブタジエンゴムの二重結合の一部は、単結合になるとともにトルエン由来のトリル基が結合した構造となる。また、残りは二重結合のままとなる。このようにして上述した特定重合体が得られる。
なお、全ての二重結合のうち反応した割合を「変性率」とすると、上記反応式における変性率は約56%(=5/9)である。変性率は、例えば、反応温度、反応時間、及び、ジエン系ポリマーの使用量に対する置換基を有していてもよい芳香族炭化水素の使用量の割合、を調節することで変えることができる。
以下、本発明の方法で使用される成分について説明する。
<ジエン系ポリマー>
上記ジエン系ポリマーは、上述した式(3)で表される繰り返し単位(1,4−構造)及び/又は上述した式(4)で表される繰り返し単位(ビニル構造)からなり、全繰り返し単位のうち上述した式(3)で表される繰り返し単位の占める割合が20モル%以上であり、全繰り返し単位のうち上述した式(4)で表される繰り返し単位の占める割合が80モル%以下である、ポリマーである。
上記式(3)で表される繰り返し単位、及び、上記式(4)で表される繰り返し単位については上述のとおりである。
なお、ジエン系ポリマーにおいて、各繰り返し単位の順序は特に制限されない。
また、上記式(3)で表される繰り返し単位は、幾何異性体を区別するものではない。すなわち、上記(3)で表される繰り返し単位は、シス構造とトランス構造の両方を含むものである。
上述のとおり、上記ジエン系ポリマーにおいて、全繰り返し単位のうち、上記式(3)で表される繰り返し単位の占める割合は、20モル%以上である。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、30〜95モル%であることが好ましく、60〜90モル%であることがより好ましい。
上述のとおり、上記ジエン系ポリマーにおいて、全繰り返し単位のうち、上記式(4)で表される繰り返し単位の占める割合は、80モル%以下である。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、1〜70モル%であることが好ましく、5〜60モル%であることがより好ましい。
なお、以下、「全繰り返し単位のうち上記式(3)で表される繰り返し単位(1,4−構造)の占める割合(モル%)、全繰り返し単位のうち上記式(4)で表される繰り返し単位(ビニル構造)の占める割合(モル%)」を「1,4−構造/ビニル構造」とも表す。
上記ジエン系ポリマーの具体例としては、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)及びクロロプレンゴム(CR)などが挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、BRが好ましい。
上記ジエン系ポリマーの分子量は特に制限されない。上記ジエン系ポリマーのMw、Mn及びMw/Mnの好適な態様及びその理由は、上述した特定重合体と同じである。
<ルイス酸触媒>
ルイス酸触媒は特に制限されず、公知のものを使用することができる。
ルイス酸触媒の具体例としては、例えば、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、塩化鉄、臭化鉄、塩化チタン及び臭化チタンなどが挙げられ、なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、塩化アルミニウムが好ましい。
ルイス酸触媒の使用量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、ジエン系ポリマーの使用量に対して、0.1〜10質量%であることが好ましい。
<芳香族炭化水素>
上記芳香族炭化水素は特に制限されない。
上記芳香族炭化水素の具体例及び好適な態様としては、例えば、上述した芳香族炭化水素基の結合位置に水素原子を加えることで得られる芳香族炭化水素が挙げられる。より具体的には、例えば、トリル基の結合位置に水素原子を加えることで得られるトルエン、メトキシフェニル基の結合位置に水素原子を加えることで得られるアニソール、ナフチル基の結合位置に水素原子を加えることで得られるナフタレンなどが挙げられる。なお、好適な態様の理由は上述した芳香族炭化水素基と同じである。
上記芳香族炭化水素の使用量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、ジエン系ポリマーの使用量に対して、1〜100000質量%であることが好ましい。
<反応条件>
本発明の方法において、反応条件は特に制限されないが、反応温度は、本発明の効果がより優れる理由から、40〜120℃であることが好ましく、反応時間は、本発明の効果がより優れる理由から、0.1〜1000時間であることが好ましい。
<反応停止方法>
本発明の方法において、反応停止方法は特に制限されないが、例えば、アルコール(好ましくは、メタノール)でルイス酸触媒を失活させる方法などが挙げられる。
[2]カーボンブラック及び/又はシリカ
本発明の組成物は、カーボンブラック及び/又はシリカを含有する。本発明の組成物は、本発明の効果がより優れる理由から、カーボンブラック及びシリカを含有するのが好ましい。
以下、カーボンブラックとシリカを合せて「フィラー」とも言う。
[カーボンブラック]
本発明の組成物は、本発明の効果がより優れる理由から、カーボンブラックを含有するのが好ましい。上記カーボンブラックは、1種のカーボンブラックを単独で用いても、2種以上のカーボンブラックを併用してもよい。
上記カーボンブラックは特に限定されず、例えば、SAF−HS、SAF、ISAF−HS、ISAF、ISAF−LS、IISAF−HS、HAF−HS、HAF、HAF−LS、FEF、GPF、SRF等の各種グレードのものを使用することができる。
上記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、50〜200m/gであることが好ましく、70〜150m/gであることがより好ましい。
ここで、窒素吸着比表面積(N2SA)は、カーボンブラック表面への窒素吸着量をJIS K6217−2:2001「第2部:比表面積の求め方−窒素吸着法−単点法」にしたがって測定した値である。
本発明の組成物において、カーボンブラックの含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、上述したゴム成分100質量部に対して、1〜100質量部であることが好ましく、2〜10質量部であることがより好ましい。
[シリカ]
本発明の組成物は、本発明の効果がより優れる理由から、シリカを含有するのが好ましい。上記シリカは、1種のシリカを単独で用いても、2種以上のシリカを併用してもよい。
上記シリカは特に制限されず、従来公知の任意のシリカを用いることができる。
上記シリカの具体例としては、湿式シリカ、乾式シリカ、ヒュームドシリカ、珪藻土などが挙げられる。
上記シリカのセチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB)吸着比表面積(以下、「CTAB吸着比表面積」を単に「CTAB」とも言う)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、100〜300m/gであることが好ましく、150〜200m/gであることがより好ましい。
ここで、CTAB吸着比表面積は、シリカ表面へのCTAB吸着量をJIS K6217−3:2001「第3部:比表面積の求め方−CTAB吸着法」にしたがって測定した値である。
本発明の組成物において、シリカの含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、上述したゴム成分100質量部に対して、10質量部以上であることが好ましく、30〜200質量部であることがより好ましく、50〜120質量部であることがさらに好ましい。
[3]任意成分
本発明の組成物は、必要に応じて、その効果や目的を損なわない範囲で上述した成分以外の成分(任意成分)を含有することができる。
そのような成分としては、例えば、カーボンブラック及びシリカ以外の充填剤、シランカップリング剤、テルペン樹脂(好ましくは、芳香族変性テルペン樹脂)、熱膨張性マイクロカプセル、酸化亜鉛(亜鉛華)、ステアリン酸、老化防止剤、ワックス、加工助剤、プロセスオイル、液状ポリマー、熱硬化性樹脂、加硫剤(例えば、硫黄)、加硫促進剤などのゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤などが挙げられる。
[シランカップリング剤]
本発明の組成物は、本発明の効果がより優れる理由から、シランカップリング剤を含有するのが好ましい。シランカップリング剤は、加水分解性基および有機官能基を有するシラン化合物であれば特に制限されない。
上記加水分解性基は特に制限されないが、例えば、アルコキシ基、フェノキシ基、カルボキシル基、アルケニルオキシ基などが挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、アルコキシ基であることが好ましい。加水分解性基がアルコキシ基である場合、アルコキシ基の炭素数は、本発明の効果がより優れる理由から、1〜16であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。炭素数1〜4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などが挙げられる。
上記有機官能基は特に制限されないが、有機化合物と化学結合を形成し得る基であることが好ましく、例えば、エポキシ基、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アミノ基、スルフィド基、メルカプト基、ブロックメルカプト基(保護メルカプト基)(例えば、オクタノイルチオ基)などが挙げられ、なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、スルフィド基(特に、ジスルフィド基、テトラスルフィド基)、メルカプト基、ブロックメルカプト基が好ましい。
シランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記シランカップリング剤は、本発明の効果がより優れる理由から、硫黄含有シランカップリング剤であることが好ましい。
上記シランカップリング剤の具体例としては、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイル−テトラスルフィド、トリメトキシシリルプロピル−メルカプトベンゾチアゾールテトラスルフィド、トリエトキシシリルプロピル−メタクリレート−モノスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイル−テトラスルフィド、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン等が挙げられ、これらのうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物において、シランカップリング剤の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、上述したシリカの含有量に対して2〜20質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。
[4]用途
本発明の組成物は、タイヤ、コンベアベルト、ホース、防振材、ゴムロール、鉄道車両の外幌等に好適に用いられる。なかでも、タイヤ(空気入りタイヤ)に好適に用いられる。
[II]ゴム組成物の製造方法
本発明の組成物の製造方法は特に限定されず、その具体例としては、例えば、上述した各成分を、公知の方法、装置(例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなど)を用いて、混練する方法などが挙げられる。本発明の組成物が硫黄及び/又は加硫促進剤を含有する場合は、硫黄及び/又は加硫促進剤以外の成分を先に高温(好ましくは50〜160℃)で混合し、冷却してから、硫黄及び/又は加硫促進剤を混合するのが好ましい。
また、本発明の組成物は、従来公知の加硫または架橋条件で加硫または架橋することができる。
本発明の組成物の製造において、ゴム成分に含まれる特定重合体は、本発明の効果がより優れる理由から、上述した本発明の方法を用いて製造するのが好ましい。
[III]空気入りタイヤ
本発明の空気入りタイヤは、上述した本発明の組成物を用いて製造された空気入りタイヤである。なかでも、本発明の組成物をタイヤトレッド(キャップトレッド)に用いた(配置した)空気入りタイヤであることが好ましい。
図1に、本発明の空気入りタイヤの実施態様の一例を表す空気入りタイヤの部分断面概略図を示すが、本発明の空気入りタイヤは図1に示す態様に限定されるものではない。
図1において、符号1はビード部を表し、符号2はサイドウォール部を表し、符号3はタイヤトレッド部を表す。
また、左右一対のビード部1間においては、繊維コードが埋設されたカーカス層4が装架されており、このカーカス層4の端部はビードコア5およびビードフィラー6の廻りにタイヤ内側から外側に折り返されて巻き上げられている。
また、タイヤトレッド部3においては、カーカス層4の外側に、ベルト層7がタイヤ1周に亘って配置されている。
また、ビード部1においては、リムに接する部分にリムクッション8が配置されている。
なお、タイヤトレッド部3は上述した本発明の組成物により形成されている。
本発明の空気入りタイヤは、例えば、従来公知の方法に従って製造することができる。また、空気入りタイヤに充填する気体としては、通常のまたは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスを用いることができる。
以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔重合体の製造〕
下記のとおり重合体を製造した。
<特定重合体1>
BR(Mw=8,100、Mw/Mn=1.1、1,4−構造/ビニル構造=69/31)30gをトルエン(300mL)に溶解し、80℃に加熱した後、塩化アルミニウム(2.0g)を添加し、8時間攪拌した。その後メタノールを添加することで反応を停止した。そして、反応溶液を減圧下で濃縮し、濃縮した反応溶液をメタノール(500mL)に投入し、メタノール不溶成分を分離することで、重合体35gを得た。
得られた重合体は、上述した式(1)で表される繰り返し単位及び上述した式(2)で表される繰り返し単位と、上述した式(3)で表される繰り返し単位及び上述した式(4)で表される繰り返し単位とからなる特定重合体であった。ここで、式(1)及び(2)中、R及びRは、一方がトリル基を表し、他方が水素原子を表す。また、式(1)〜(4)中、R及びRは、水素原子を表す。得られた特定重合体を特定重合体1とする。
得られた特定重合体1のd1/d2/d3/d4は7/3/62/28、Mwは9,800、Mw/Mnは1.7、Tgは−75℃であった。
<特定重合体2>
BR(Mw=4.6×10、Mw/Mn=2.9、1,4−構造/ビニル構造=99/1)30gをアニソール(300mL)に溶解し、80℃に加熱した後、塩化アルミニウム(1.0g)を添加し、4時間攪拌した。その後メタノールを添加することで反応を停止した。そして、反応溶液を減圧下で濃縮し、濃縮した反応溶液をメタノール(500mL)に投入し、メタノール不溶成分を分離することで、重合体38gを得た。
得られた重合体は、上述した式(1)で表される繰り返し単位及び上述した式(2)で表される繰り返し単位と、上述した式(3)で表される繰り返し単位及び上述した式(4)で表される繰り返し単位とからなる特定重合体であった。ここで、式(1)及び(2)中、R及びRは、一方がメトキシフェニル基を表し、他方が水素原子を表す。また、式(1)〜(4)中、R及びRは、水素原子を表す。得られた特定重合体を特定重合体2とする。
得られた特定重合体2のd1/d2/d3/d4は15/0.2/84/0.8、Mwは3.4×10、Mw/Mnは2.6、Tgは−65℃であった。
<比較重合体>
特許文献1を参考に、エチレンとスチレンとブタジエンとを重合することでエチレン−スチレン−ブタジエン重合体を製造した。得られた重合体を比較重合体とする。比較重合体にはスチレン連鎖(芳香族ビニル連鎖)の存在が確認された。
得られた重合体の構造について下記表1にまとめて示す。
表1中、芳香族炭化水素基の欄は、上述した式(1)及び(2)中のR又はRで表される芳香族炭化水素基を表す。
また、表1中、d1〜d4、d1+d2、d3+d4、d1+d3及びd2+d4の欄は、それぞれ上述したd1〜d4、d1+d2、d3+d4、d1+d3及びd2+d4を表す。
また、表1中、芳香族ビニル連鎖の欄は、上述した芳香族ビニル連鎖の有無を表す。
〔ゴム組成物の調製〕
下記表2に示される成分を同表に示される割合(質量部)で配合した。
具体的には、まず、下記表2に示される成分のうち硫黄および加硫促進剤を除く成分を、60℃のバンバリーミキサーで5分間混合した。次に、ロールを用いて、硫黄および加硫促進剤を混合し、ゴム組成物を得た。
〔評価〕
得られた各ゴム組成物について下記のとおり評価を行った。
<強靭性>
得られた各ゴム組成物(未加硫)を、金型(15cm×15cm×0.2cm)中、160℃で15分間プレス加硫して、加硫ゴムシートを作製した。次いで、得られた加硫ゴムシートについて、JIS K6251:2010に準拠し、JIS3号ダンベル型試験片(厚さ2mm)を打ち抜き、温度20℃、引張り速度500mm/分の条件で切断時強度及び切断時伸びを評価した。そして、下記式から、強靭性パラメータを求めた。
強靭性パラメータ=切断時強度×切断時伸び
結果を表2に示す。結果は比較例1の強靭性パラメータを100とする指数で表した。指数が大きいほど強靭性に優れることを意味する。
<耐酸化劣化性>
上述のとおり作製した加硫ゴムシートを、空気中で加熱(80℃、100時間)した。その後、上述した強靭性の評価と同様に切断時強度及び切断時伸びを評価して、強靭性パラメータ(加熱後)を求めた。そして、下記式から、維持率を求めた。
維持率=加熱後の強靭性パラメータ/加熱前の強靭性パラメータ×100(%)
結果を表2に示す。維持率が大きいほど耐酸化劣化性に優れることを意味する。
<バウンドラバー量>
得られたゴム組成物(未加硫)0.5gを金網かごに入れ、室温で300mLのトルエン中に72時間浸漬した後取り出して乾燥し、サンプルの質量を測定して、バウンドラバー量を下記式から算出した。
バウンドラバー量=[(トルエン浸漬、乾燥後のサンプル質量)−(カーボンブラック及び/又はシリカの質量)]/(ゴム成分質量)
なお、カーボンブラックとシリカとを併用した場合は、上記式において、カーボンブラック及び/又はシリカの質量は両者の合計量となる。バウンドラバーの指数が大きいほどバウンドラバー(カーボンブラック及び/又はシリカと反応したゴム)が多く、カーボンブラック及び/又はシリカの分散性(フィラー分散性)に優れることを意味する。
上記表2に示される各成分の詳細は以下のとおりである。
・SBR−1:日本ゼオン社製 NIPOL 1502(乳化重合SBR)
・SBR−2:旭化成社製 タフデン2000R(溶液重合SBR)
・BR:日本ゼオン社製 NIPOL BR 1220
・特定重合体1:上述のとおり製造した特定重合体1
・特定重合体2:上述のとおり製造した特定重合体2
・カーボンブラック:キャボットジャパン社製 ショウブラックN220(窒素吸着比表面積:111m/g)
・シリカ:SOLVAY社製 ZEOSIL 1165MP
・シランカップリング剤:エボニックデグッサ社製 Si69
・老化防止剤:フレキシス製 サントフレックス6PPD
・酸化亜鉛:正同化学社製 亜鉛華3号
・ステアリン酸:NOF CORPORATION社製 ステアリン酸
・オイル:三共油化工業社製 A−OMIX
・加硫促進剤:大内新興化学社製 ノクセラーNS−P
・硫黄:鶴見化学工業社製 金華印油入微粉硫黄
表2から分かるように、重合体としてSBRを用いた比較例1及び比較例2、重合体としてBRを用いた比較例3、並びに、重合体として芳香族ビニル連鎖を有する比較重合体を用いた比較例4と比較して、重合体として特定重合体を用いた実施例1〜2は、優れた強靭性及び耐酸化劣化性を示した。なかでも、式(1)及び(2)中のR又はRで表される、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基の上記置換基が、ハメットの置換基定数σ値が−0.15以下である電子供与性基である実施例2は、より優れた強靭性及び耐酸化劣化性、並びに、優れたフィラー分散性を示した。
1 ビード部
2 サイドウォール部
3 タイヤトレッド部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 リムクッション

Claims (6)

  1. 重合体を含むゴム成分とカーボンブラック及び/又はシリカとを含有し、
    前記重合体が、下記式(1)で表される繰り返し単位及び/又は下記式(2)で表される繰り返し単位と、下記式(3)で表される繰り返し単位及び/又は下記式(4)で表される繰り返し単位とからなり、
    全繰り返し単位のうち、前記式(1)で表される繰り返し単位及び前記式(2)で表される繰り返し単位の合計の占める割合が、〜60モル%であり、
    全繰り返し単位のうち、前記式(3)で表される繰り返し単位及び前記式(4)で表される繰り返し単位の合計の占める割合が、40〜95モル%であり、
    全繰り返し単位のうち、前記式(1)で表される繰り返し単位及び前記式(3)で表される繰り返し単位の合計の占める割合が、20モル%以上であり、
    全繰り返し単位のうち、前記式(2)で表される繰り返し単位及び前記式(4)で表される繰り返し単位の合計の占める割合が、80モル%以下である、重合体である、ゴム組成物。ただし、前記ゴム成分が前記重合体以外のその他のゴム成分を含有する場合、前記その他のゴム成分から、下記式(X)で表される基を有するゴム成分、及び、下記式(Y)で表される基を有するゴム成分を除く。
    式(1)及び(2)中、R及びRは、一方が置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表し、他方が水素原子を表す。ただし、前記置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基から、下記式(X)で表される基を有する基、及び、下記式(Y)で表される基を有する基を除く。
    式(1)〜(4)中、R及びRは、水素原子、アルキル基又はハロゲン原子を表す。ただし、R及びRのうち少なくとも一方は水素原子を表す。
    *−C(R −CR −CR −C(R −* (X)
    *−CR −C(R −CR −C(R −* (Y)
    式(X)及び(Y)中、R は水素原子又は置換基を表し、R は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表し、*は結合手を表す。複数存在するR は同一であっても異なっていてもよい。複数存在するR は同一であっても異なっていてもよい。
  2. 前記式(1)及び(2)中、R 又はR で表される置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基が、置換基を有する芳香族炭化水素基である、請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記置換基が、電子供与性基である、請求項2に記載のゴム組成物。
  4. 前記電子供与性基が、アルコキシ基である、請求項3に記載のゴム組成物。
  5. 前記シリカの含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して、10質量部以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  6. 重合体を含むゴム成分とカーボンブラック及び/又はシリカとを含有し、
    前記重合体が、下記式(1)で表される繰り返し単位及び/又は下記式(2)で表される繰り返し単位と、下記式(3)で表される繰り返し単位及び/又は下記式(4)で表される繰り返し単位とからなり、
    全繰り返し単位のうち、前記式(1)で表される繰り返し単位及び前記式(2)で表される繰り返し単位の合計の占める割合が、〜60モル%であり、
    全繰り返し単位のうち、前記式(3)で表される繰り返し単位及び前記式(4)で表される繰り返し単位の合計の占める割合が、40〜95モル%であり、
    全繰り返し単位のうち、前記式(1)で表される繰り返し単位及び前記式(3)で表される繰り返し単位の合計の占める割合が、20モル%以上であり、
    全繰り返し単位のうち、前記式(2)で表される繰り返し単位及び前記式(4)で表される繰り返し単位の合計の占める割合が、80モル%以下である、重合体である、ゴム組成物を製造する、ゴム組成物の製造方法であって、
    ルイス酸触媒の存在下、
    下記式(3)で表される繰り返し単位及び/又は下記式(4)で表される繰り返し単位からなり、全繰り返し単位のうち前記式(3)で表される繰り返し単位の占める割合が20モル%以上であり、全繰り返し単位のうち前記式(4)で表される繰り返し単位の占める割合が80モル%以下である、ジエン系ポリマーと、
    置換基を有していてもよい芳香族炭化水素(ただし、前記置換基を有していてもよい芳香族炭化水素から、下記式(X)で表される基を有する化合物、及び、下記式(Y)で表される基を有する化合物を除く。)とを反応させることで、前記重合体を製造する、ゴム組成物の製造方法。ただし、前記ゴム成分が前記重合体以外のその他のゴム成分を含有する場合、前記その他のゴム成分から、下記式(X)で表される基を有するゴム成分、及び、下記式(Y)で表される基を有するゴム成分を除く。
    式(1)及び(2)中、R及びRは、一方が置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表し、他方が水素原子を表す。ただし、前記置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基から、下記式(X)で表される基を有する基、及び、下記式(Y)で表される基を有する基を除く。
    式(1)〜(4)中、R及びRは、水素原子、アルキル基又はハロゲン原子を表す。ただし、R及びRのうち少なくとも一方は水素原子を表す。
    *−C(R −CR −CR −C(R −* (X)
    *−CR −C(R −CR −C(R −* (Y)
    式(X)及び(Y)中、R は水素原子又は置換基を表し、R は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表し、*は結合手を表す。複数存在するR は同一であっても異なっていてもよい。複数存在するR は同一であっても異なっていてもよい。
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