JP6673195B2 - シフトレンジ制御装置 - Google Patents
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Description
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、コギングトルクを低減可能であるシフトレンジ制御装置を提供することにある。
シフトレンジ切替システムは、モータと、シフトレンジ切替機構(20)と、を備える。
モータは、コイル(12)が巻回されるステータ(11)、および、コイルへの通電により回転するロータ(13)を有する。
シフトレンジ切替機構は、被駆動部材(21)、係合部材(26)、および、付勢部材(25)を有する。被駆動部材は、複数の凹部(22)が形成され、モータにより駆動される。係合部材は、モータの駆動により凹部間を移動可能であって、シフトレンジに応じた凹部に嵌まり合う。付勢部材は、係合部材を凹部に嵌まり込む方向に付勢する。
駆動制御部は、シフトレンジが切り替えられたとき、係合部材がシフトレンジに応じた凹部に嵌まり合うように、モータの駆動を制御する。
極性判定部は、ロータに対向するステータの極性を判定する。
ステータの磁束密度を低減させるキャンセル電流の通電により、ステータとロータとの間の磁気的吸引力が低減するので、コギングトルクを低減することができる。
(一実施形態)
本発明の一実施形態によるシフトレンジ制御装置を図1〜図13に示す。
図1および図2に示すように、シフトバイワイヤシステム1は、モータ10、シフトレンジ切替機構20、パーキングロック機構30、および、シフトレンジ制御装置40等を備える。
ロータ13は、コイル12の通電により、図示しないモータ軸と一体となって回転する。
図8等に示すように、ステータ11のスロット数は12であり、ロータ13の磁極数は8である。
エンコーダ14は、ロータ13の回転に同期して、パルス信号を出力する。
ディテントプレート21は、出力軸16に固定され、モータ10により駆動される。本実施形態では、ディテントプレート21がディテントスプリング25の基部から離れる方向を正回転方向、基部に近づく方向を逆回転方向とする。
ディテントプレート21のディテントスプリング25側には、マニュアルバルブ28を各レンジに対応する位置に保持するための4つの凹部22が設けられる。凹部22は、ディテントスプリング25の基部側から、D、N、R、Pの各レンジに対応している。
ディテントスプリング25は、ディテントローラ26をディテントプレート21の回動中心側に付勢する。ディテントプレート21に所定以上の回転力が加わると、ディテントスプリング25が弾性変形し、ディテントローラ26が凹部22を移動する。ディテントローラ26が凹部22のいずれかに嵌まり込むことで、ディテントプレート21の揺動が規制され、マニュアルバルブ28の軸方向位置、および、パーキングロック機構30の状態が決定され、自動変速機5のシフトレンジが固定される。
パーキングロッド31は、略L字形状に形成され、一端311側がディテントプレート21に固定される。パーキングロッド31の他端312側には、円錐体32が設けられる。円錐体32は、他端312側にいくほど縮径するように形成される。ディテントプレート21が逆回転方向に揺動すると、円錐体32が矢印Pの方向に移動する。
モータドライバ41は、コイル12の通電を切り替える3相インバータであって、スイッチング素子411〜416がブリッジ接続される。対になるU相のスイッチング素子411、414の接続点には、U相コイル121の一端が接続される。対になるV相のスイッチング素子412、415の接続点には、V相コイル122の一端が接続される。対になるW相のスイッチング素子413、416の接続点には、W相コイル123の一端が接続される。コイル121〜123の他端は、結線部125で結線される。すなわち本実施形態のコイル12はY結線されているが、Δ結線としてもよい。
本実施形態のスイッチング素子411〜416は、MOSFETであるが、IGBT等の他の素子を用いてもよい。
また、ECU50は、車速、アクセル開度、および、ドライバ要求シフトレンジ等に基づき、変速用油圧制御ソレノイド6の駆動を制御する。変速用油圧制御ソレノイド6を制御することで、変速段が制御される。変速用油圧制御ソレノイド6は、変速段数等に応じた本数が設けられる。本実施形態では、1つのECU50がモータ10およびソレノイド6の駆動を制御するが、モータ10を制御するモータ制御用のモータECUと、ソレノイド制御用のAT−ECUとを分けてもよい。以下、モータ10の駆動制御を中心に説明する。
角度演算部51は、エンコーダ14の検出値に基づき、モータ10の回転角を演算する。
極性判定部52は、エンコーダ14の検出値に基づき、ステータ11の極性を判定する。
駆動制御部53は、スイッチング素子411〜416のオンオフ作動を制御し、コイル12の通電を切り替えることで、モータ10の駆動を制御する。以下、コイル12の通電によりステータ11の磁極が変化することによりロータ13が回転することを、適宜、単に「モータ10が回転する」という。
上述したように、ディテントプレート21は、出力軸16と一体に回転するように設けられており、モータ10の回転に伴って回転する。ディテントプレート21が回転することで、ディテントローラ26が要求シフトレンジに応じた凹部22に移動する。
図4中に矢印Ysで示すように、ディテントローラ26は、ディテントスプリング25により、ディテントプレート21の回動中心O方向、すなわち凹部22の最底部に向かう方向に付勢されている。そのため、ディテントローラ26が凹部22の最底部以外の箇所にある場合、ディテントトルクTdetがディテントプレート21に発生する。図4中にて、ディテントトルクを矢印Ydetで示す。
また、図4(b)に示すように、ディテントローラ26が凹部22の最底部よりもディテントスプリング25の基部から遠い側にある場合、ディテントプレート21を正回転方向に回転させるディテントトルクTdetが発生する。
一方、モータ10のコギングトルクTcggが許容トルクTdet_bより大きいと、停止許容範囲外にてモータ10への通電が停止された場合、ディテントローラ26を凹部22の最底部に嵌め込むことができない。
本実施形態のモータ駆動処理を図6および図7のフローチャートに基づいて説明する。この処理は、イグニッションスイッチ等である始動スイッチがオンされているとき、ECU50にて所定の周期で実行される。以下、ステップS101の「ステップ」を省略し、単に記号「S」と記す。他のステップについても同様である。
S102では、駆動制御部53は、要求シフトレンジに応じた目標位置まで回転し、目標位置にて停止するように、モータ10を駆動する。ここでのモータ制御は、例えば電流フィードバック制御や、速度フィードバック制御等、どのような制御方法であってもよい。
S104では、駆動制御部53は、モータ10を停止させるモータ停止制御を行う。本実施形態では、モータ停止制御として、モータ10のロータ位置に応じて選択される2相を固定相とし、固定相に通電する固定相通電制御を行う。
S105では、駆動制御部53は、モータ停止制御を所定時間継続した後、コギングトルクを低減するキャンセル通電処理を行う。
S151では、極性判定部52は、エンコーダ14の検出値に基づき、通電相を判定する。また、極性判定部52は、現在の通電状態での磁束密度を低減する電流であるキャンセル電流の通電相を決定する。エンコーダ14のホールIC141〜143の状態と、キャンセル電流の通電相との関係は、図12(a)に示す通りである。また、通電相と、スイッチング素子411〜416のスイッチング状態との関係は、図12(b)に示す通りである。例えば、図12(a)の状態1では、ホールIC141がN、ホールIC142がN、ホールIC143がSであるので、U相がN、V相がSとなるように、キャンセル通電を行う。U相がN、V相がSとなるスイッチングパターンは、図12(b)に示すように、スイッチングパターン<6>であるので、スイッチング素子411、415をオンにする。なお図12(b)では、スイッチング素子を「SW」と記載した。
S153では、ECU50は、エンコーダ14の検出値に基づき、ロータ13が回転したか否かを判断する。ロータ13が回転したと判断された場合(S153:YES)、S151へ戻り、通電相を切り替えて、キャンセル通電を行う。ロータ13が回転していないと判断された場合(S153:NO)、S154へ移行する。
また、図8〜図11では、(b)において、ステータ11の磁化状態とロータ13の位置との関係を示しており、梨地で示した相が通電相である。以下、ロータ13に対向する側の磁極を、各相のステータ11の磁極とする。
なお、図8〜図11では、通電相の切り替えにより、モータ軸が回転していくことを示すべく、モータ角度の数値を例示的に記載しているが、この数値は、固定相通電時の通電相等に応じた値となる。
一方、本実施形態では、モータ10はDCブラシレスモータであって、ロータ13に永久磁石が設けられているので、通電をオフしても、破線で示すコギングトルクTcggが残る。そのため、モータ10は、ディテントトルクTdetとコギングトルクTcggとが釣り合う位置P0まで移動するものの、それ以上には移動させることができず、ディテントローラ26を凹部22の停止許容範囲まで移動させることができない虞がある。
補足として、図9(b)は出力軸16が位置P1であって、キャンセル通電開始かつロータ回転前の状態を示しており、図10(b)は出力軸16が位置P2でであって、キャンセル通電開始かつロータ回転前の状態を示している。
このような構成において、モータ10のコギングトルクTcggが大きいと、ディテントスプリング25の付勢力ではディテントローラ26を所望の凹部22に落とし込めない虞がある。なお、ディテントトルクTdetを大きくすべく、ディテントスプリング25の付勢力を大きくすると、ディテントローラ26が凹部22間の山を乗り越えるのに必要な駆動トルクも大きくする必要があり、モータ10の大型化が必要となる。
コギングキャンセル処理によりコギングトルクTcggが低減すると、ディテントトルクTdetにより、ディテントプレート21および出力軸16が回転するとともに、減速機15を経由してモータ10も回転し、ディテントトルクTdetとコギングトルクTcggとが釣り合う箇所にて停止する。そして、モータ10の回転方向および回転量に応じて通電相を切り替え、再度キャンセル通電を行う。ロータ位置に応じたキャンセル通電を繰り返していくことで、ディテントトルクTdetにより、ディテントローラ26を凹部22の最底部に向かって移動させていくことができる。
これにより、モータ10を大型化することなく、ディテントローラ26を所望の凹部22に適切に移動させるとともに、出力軸16を安定して保持することができる。
Tcgg×DR<Tdet ・・・(1)
換言すると、上記式(1)を満たせなければ、ディテントトルクTdetによりモータ軸を回転させることができず、ディテントローラ26を所望の凹部22に落とし込めない可能性が高い。すなわち、減速比が大きいほど、コギングトルクTcggの影響が大きい。したがって、本実施形態のコギングキャンセル処理を行い、コギングトルクTcggをキャンセルすることが有効である。
シフトバイワイヤシステム1は、モータ10と、シフトレンジ切替機構20と、を備える。
シフトレンジ切替機構20は、ディテントプレート21、ディテントローラ26、および、ディテントスプリング25を有する。
ディテントプレート21は、複数の凹部22が形成され、モータ10により駆動される。ディテントローラ26は、モータ10の駆動により凹部22間を移動可能であって、シフトレンジに応じた凹部22に嵌まり合う。ディテントスプリング25は、ディテントローラ26を凹部22に嵌まり込む方向に付勢する。
駆動制御部53は、シフトレンジが切り替えられたとき、ディテントローラ26がシフトレンジに応じた凹部22に嵌まり合うようにモータ10の駆動を制御する。
極性判定部52は、ロータ13に対向するステータ11の極性を判定する。
駆動制御部53は、シフトレンジに応じた凹部22までディテントローラ26を移動させた後、ステータ11の極性に応じ、ステータ11の磁束密度を低減させる電流であるキャンセル電流をコイル12に通電するキャンセル通電制御を行う。
ステータ11の磁束密度を低減させるキャンセル電流の通電により、ステータ11とロータ13との間の磁気的吸引力が低減されるので、コギングトルクTcggを低減することができる。
そこで本実施形態では、キャンセル通電制御を行うことで、コギングトルクを低減しているので、ディテントスプリング25の付勢力により、ディテントローラ26を凹部22の最底部側へ適切に移動させることができる。
通電相を切り替えながらキャンセル電流の通電を繰り返していくことで、ディテントローラ26を凹部22の最底部側へより適切に移動させることができる。特に、本実施形態のように、モータ10とディテントプレート21との間に減速機15が設けられている場合、減速比が大きいほど、1回のキャンセル通電によるディテントプレート21の回転量が小さくなるので、キャンセル通電を繰り返していくことが、より有効である。
駆動制御部53は、キャンセル電流の通電によりロータ13が回転しなかった場合、コイル12への通電を終了する。これにより、キャンセル通電制御を適切に終了させることができる。
(1)モータ
上記実施形態では、モータは、DCブラシレスモータである。他の実施形態では、モータは、永久磁石を用いるどのようなモータであってもよい。また、モータは、1組のコイルを有する。他の実施形態では、2組以上のコイルを設けてもよい。
上記実施形態では、ステータのスロット数が12であり、ロータの磁極数が8である。他の実施形態では、スロット数および磁極数は、適宜設定可能である。また、本実施形態では、1回のキャンセル通電によりロータが約15°回転するが、1回のキャンセル通電による回転角度は、スロット数および磁極数に応じた角度となる。
また、他の実施形態では、例えばレゾルバ等のエンコーダ以外のもので、ロータの回転を検出してもよい。
減速機の詳細について、上記実施形態では言及していないが、例えば、サイクロイド歯車、遊星歯車、モータ軸と略同軸の減速機構から駆動軸へトルクを伝達する平歯歯車を用いたものや、これらを組み合わせて用いたもの等、どのような構成であってもよい。また他の実施形態では、モータと被駆動部材との間の減速機を省略してもよい。
上記実施形態では、被駆動部材であるディテントプレートには、4つの凹部が形成される。他の実施形態では、凹部の数は、4つに限らず、いくつであってもよい。例えば、ディテントプレートには、Pレンジ、および、Pレンジ以外のnotPレンジに対応する2つの凹部が形成されていてもよい。
また他の実施形態では、被駆動部材、係合部材および付勢部材の形状等は、上記実施形態と異なっていてもよい。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
10・・・モータ 101・・・ステータ 102・・・ロータ
11・・・コイル
20・・・シフトレンジ切替機構
21・・・ディテントプレート(被駆動部材)
25・・・ディテントスプリング(付勢部材)
26・・・ディテントローラ(係合部材)
40・・・シフトレンジ制御装置
52・・・極性判定部
53・・・駆動制御部
Claims (2)
- コイル(12)が巻回されるステータ(11)、および、前記コイルへの通電により回転するロータ(13)を有するモータ(10)と、
複数の凹部(22)が形成され、前記モータにより駆動される被駆動部材(21)、前記モータの駆動により前記凹部間を移動可能であってシフトレンジに応じた前記凹部に嵌まり合う係合部材(26)、および、前記係合部材を前記凹部に嵌まり込む方向に付勢する付勢部材(25)を有するシフトレンジ切替機構(20)と、
を備えるシフトレンジ切替システム(1)における前記モータの駆動を制御するシフトレンジ制御装置であって、
シフトレンジが切り替えられたとき、前記係合部材がシフトレンジに応じた前記凹部に嵌まり合うように、前記モータの駆動を制御する駆動制御部(53)と、
前記ロータに対向する前記ステータの極性を判定する極性判定部(52)と、
を備え、
前記駆動制御部は、
シフトレンジに応じた前記凹部に前記係合部材を移動させた後、前記ステータの極性に応じ、前記ステータの磁束密度を低減させる電流であるキャンセル電流を前記コイルに通電するキャンセル通電制御を行い、
前記キャンセル電流の通電により前記ロータが回転しなかった場合、前記コイルへの通電を停止するシフトレンジ制御装置。 - 前記駆動制御部は、前記キャンセル電流の通電により前記ロータが回転した場合、前記ロータの回転方向に応じ、前記キャンセル電流の通電相を変更する請求項1に記載のシフトレンジ制御装置。
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