JP6671964B2 - トナー及びトナーの製造方法 - Google Patents
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Description
近年電子写真装置では、今以上の高速化及び小型化、そして長寿命化が追求されている。さらに、省エネルギー化に対する要望も依然として高く、その要望に応えるべく、トナーにおいて優れた低温定着性が求められ、様々な提案がなされている。
例えば、特許文献1では、1価の脂肪族アルコールや1価のカルボン酸を導入したポリエステル樹脂を含有するトナーが提案されている。
また、特許文献2では、粘度の異なるポリエステル樹脂に、それぞれ1価の脂肪族アルコールや1価のカルボン酸を導入する手法が提案されている。
さらに、特許文献3では、1価の脂肪族アルコールや1価のカルボン酸を導入したポリエステル樹脂と結晶性ポリエステルを併用することで、さらに低温定着性が向上し、且つ結晶性ポリエステルの再結晶化を促進し、結晶性ポリエステルの課題でもあった経時安定性を克服できるとの記載がある。
上記特許文献2に記載された手法によって、ワックスの分散性が良好となり、従来の課題であった材料分散性を改善させているが、磁性粒子の分散性に対する記載はなく、磁性粒子の含有量が少ないトナーの場合には、更なる分散性の向上が望まれていた。
上記特許文献3に関しても、材料の分散性に関する記載は見られず、磁性粒子の含有量が少ないトナーの場合において、改良の余地はあると考えられる。
上記特許文献では、1価の脂肪族アルコールや1価のカルボン酸を導入したポリエステル樹脂を用いた様々な提案がなされている。これらは、低温定着性向上の手段として、非常に有効な手段である。しかしながら、材料の分散性、特に磁性粒子の分散性という観点においては、上記にも述べた通り、課題が残る。
今以上の高速化及び小型化、そして長寿命化が追求される中、磁性粒子の分散性の低下は様々な画像弊害の要因となる可能性があり、未だ改善の余地があると考えられる。
具体的には、結着樹脂に1価の脂肪族アルコールや1価の脂肪族カルボン酸を導入することで、結着樹脂が可塑化され局所的に低粘度になった系においても、磁性粒子が適切に分散されたトナーを提供するものである。
結着樹脂及び磁性粒子を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該磁性粒子が、マグネタイトを含むコア粒子と、該コア粒子の表面上に設けられた被覆層と、を有し、
該被覆層が、鉄を含む酸化物、ケイ素を含む酸化物及びアルミニウムを含む酸化物を含有し、
該被覆層における、鉄に対するケイ素のモル比が0.20以上1.00以下であり、
該被覆層における、鉄に対するアルミニウムのモル比が0.50以上2.00以下であり、
該磁性粒子が、八面体の形状を有し、かつ該八面体における平面部に凸部を有し、
該結着樹脂が、以下の(i)及び(ii)の規定を満たす樹脂を含有する
(i)ポリエステル部位を有する。
(ii)R1―O―又はR2―COO―、で表される部分構造を有する。
[前記構造式中、R1は、炭素数のピーク値が12以上102以下の鎖状アルキル基を表し、R2は、炭素数のピーク値が11以上101以下の鎖状アルキル基を表す。]
ことを特徴とするトナーに関する。
また、本発明は、
本発明のトナーを製造するトナーの製造方法であって、
該製造方法が、前記結着樹脂及び前記磁性粒子を混合して混合物を得て、該混合物を溶融混練し、冷却固化し、粉砕及び分級を行い、前記トナー粒子を得る工程を有することを特徴とするトナーの製造方法に関する。
その結果、従来よりも部材が小型化し現像プロセスが高速化した電子写真装置においても、トナーの低温定着性を損なわずに、帯電性に優れ、耐久使用の後半における、ベタ白画像出力後に出力される画像と、ベタ黒画像出力後に出力される画像との濃度差の少ないトナーを提供できる。
先にも述べたとおり、近年の高速化及び小型化が求められる電子写真装置において、低温定着性と画像品質の向上とを両立させるためには、トナーに含まれる磁性粒子の分散性の更なる改良が必要である。
高速化及び小型化が求められる電子写真装置においては、磁性粒子の分散性が低下することによって、様々な弊害を引き起こすと考えられる。
磁性粒子の分散性の低下による弊害の例として、ベタ白画像出力後に出力される画像とベタ黒画像出力後に出力される画像との間に濃度差が生じる現象(いわゆるゴーストの発生)が挙げられる。
現像プロセスにおいて、ベタ白画像を出力すると、現像スリーブ上のトナーは、現像スリーブからの帯電付与を受けるものの、感光体ドラムへと飛翔せずに現像スリーブ上に保持される。
一方、ベタ黒画像を出力すると、現像スリーブ上のトナーの大部分は、感光体ドラムへと飛翔し、その後フレッシュなトナーが供給されることになる。
つまりベタ白画像出力後とベタ黒画像出力後では、現像スリーブ上のトナーの帯電状態が大きく異なり、この差が次に出力する画像の濃度差となって現われる(いわゆる、ゴーストが発生する)。
高速化及び小型化した電子写真装置において、トナー中において磁性粒子の分散性が低下すると、現像スリーブ上でのトナーの帯電分布がより不均一となり、上記ベタ白画像出力後とベタ黒画像出力後の現像スリーブ上のトナーの帯電状態の差異を助長する。その結果、ベタ白画像出力後に出力される画像とベタ黒画像出力後に出力される画像の濃度差が大きくなる。
トナー中において、磁性粒子は電荷のリークサイトとして機能する。よって、トナー中における磁性粒子の存在状態は、トナーの帯電性に大きく寄与することが分かっている。磁性粒子の分散性が低下すると、トナー中に異なる帯電特性を持つトナー粒子が存在するようになり、その結果、現像プロセスにおいて、現像スリーブ上でのトナーの帯電特性が非常に不均一になってしまう。
それに加えて、現像システムが高速化すると、それに付随して現像スリーブなどの回転速度も高速化し、その分トナーと接触していられる時間が短くなる。さらに、電子写真装置の小型化に伴い、現像スリーブなども小型化することで、トナーとの接触面積が小さくなる。現像プロセスにおいて、トナーに生じる電荷の大部分は現像スリーブとの摺擦によって得られるものである。よって、電子写真装置の高速化及び小型化は現像スリーブからトナーへの電荷付与能力の低下を招く。すなわち、現像スリーブ上でトナーが十分な電荷が得られないという弊害を招いてしまう。
このような高速化及び小型化に付随した現像プロセスの弊害と、先述した磁性粒子分散性の低下が相まって、トナーの帯電性の顕著な低下を引き起こし、ベタ白画像出力後に出力される画像とベタ黒画像出力後に出力される画像との間に生じる濃度差が大きくなる。
さらに、ベタ白画像出力後に出力される画像とベタ黒画像出力後に出力される画像との間に生じる濃度差は、耐久使用の後半に顕著に現われると考える。
一般的にトナーは、耐久使用が進むにつれて外添剤が埋没し、流動性が低下する。加えて、耐久使用を重ねることにより、現像スリーブ上のトナーが過度に帯電し(いわゆるチャージアップ)、現像スリーブとの付着力が上昇する。その結果、現像スリーブ上のトナーの入れ替わりが起りにくくなる。それゆえ、耐久使用が進むほど、現像スリーブ上のトナーが過度に帯電したベタ白画像出力後の状態と、フレッシュなトナーが供給されたベタ黒画像出力後の状態では、現像スリーブ上におけるトナーの帯電状態が大きく異なってしまう。
以上の観点から検討を重ねた結果、本発明者らは、結着樹脂として、1価の脂肪族アルコールや1価の脂肪族カルボン酸が導入された樹脂を使用しても、特定の磁性粒子を用いることで、磁性粒子の良好な分散状態を維持できることを見出した。
つまり、本発明により、トナーの低温定着性を損なわずに、従来よりも部材が小型化し現像プロセスが高速化した電子写真装置においても、帯電性に優れ、耐久使用の後半における、ベタ白画像出力後に出力される画像と、ベタ黒画像出力後に出力される画像との濃度差の少ないトナーを提供することができる。
結着樹脂及び磁性粒子を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該磁性粒子が、マグネタイトを含むコア粒子と、該コア粒子の表面上に設けられた被覆層とを有し、
該被覆層が、鉄を含む酸化物、並びに、ケイ素を含む酸化物及びアルミニウムを含む酸化物の少なくとも一方を含有し、
該結着樹脂は、以下のi)及びii)の規定を満たす樹脂を含有することを特徴とする。
i)ポリエステル部位を有する。
ii)R1―O―又はR2―COO―、で表される部分構造を有する。
[該構造式中、R1は、炭素数のピーク値が12以上102以下の鎖状アルキル基を表し、R2は、炭素数のピーク値が11以上101以下の鎖状アルキル基を表す。]
トナーの製造時に、磁性粒子の被覆層に存在する金属イオンと、結着樹脂に存在する、R1―O―又はR2―COO―、で表される部分構造との間に相互作用が働き、樹脂中に磁性粒子が均一に分散するのではないかと考えている。
さらに、この相互作用により樹脂が一時的に増粘することで、結着樹脂の粘度ムラを抑制し、磁性粒子の分散性改良の一助となっていると考えられる。
ここで、コア粒子は、本発明の効果を損なわない程度に、マグネタイト以外の磁性体を含んでもよい。
また、被覆層は、コア粒子の表面の全域をまんべんなく被覆していてもよいし、又はコア粒子の表面が一部露出した状態で被覆していてもよい。いずれの被覆態様であっても、該被覆層は、最外層であることが好ましく、コア粒子の表面を薄く被覆していることが好ましい。具体的な被覆層の厚みは、1nm以上50nm以下であることが好ましく、2nm以上20nm以下であることがより好ましい。被覆層の厚みには、後述の凸部の高さは含まれない。
該被覆層の形成方法は、特に限定されることなく、公知の方法を用いるとよい。例えば、マグネタイトを含むコア粒子を製造した後、硫酸第一鉄水溶液に、ケイ酸ナトリウムや硫酸アルミニウムなどの、ケイ素源やアルミニウム源を添加し、混合液のpH及び温度を調整しつつ空気を吹き込むことで、コア粒子表面に特定の酸化物を含有する被覆層を形成するとよい。また、硫酸第一鉄水溶液、ケイ酸ナトリウム及び硫酸アルミニウムなどの添加量などを調整することで被覆層の厚みを上記範囲に制御することができる。
磁性粒子が無機的な被覆層を有することで、先述したとおり、結着樹脂に存在する、R1―O―又はR2―COO―で表される部分構造との相互作用が働き、樹脂中における磁性粒子の分散性が大幅に改善する。
例えば、磁性粒子が有する被覆層を、脂肪酸などの有機物で構成し、結着樹脂に存在する、R1―O―又はR2―COO―、で表される部分構造と相互作用を促すという手法も考えられる。しかしながら、このような有機物は、樹脂をさらに可塑し、かえって磁性粒子の分散性を低下させてしまう可能性がある。さらに、トナーとしての保存安定性の低下も同時に懸念される。
なお、該八面体形状の磁性粒子は、例えばコア粒子の製造において酸化反応時のpHを9以上にすることにより製造することができる。
該磁性粒子は、八面体における平面部に凸部を有することが好ましい。凸部を有すると、磁性粒子間で凸部がスペーサーのように働き、磁性粒子の凝集性を抑制しやすくなる。また、凸部が結着樹脂との間の摩擦力を増大させ、トナー製造時に磁性粒子の解砕が発生
しやすくなる。これらの効果によって、トナー中の磁性粒子の分散性がさらに向上し、トナーの帯電分布の均一性を高めることができる。
なお、該凸部は、鉄を含む酸化物、並びに、ケイ素を含む酸化物及びアルミニウムを含む酸化物の少なくとも一方を含有する微粒子から構成されていることが好ましい。
また、凸部は、被覆層の表面に隙間なく存在していてもよく、疎らに存在していてもよい。
さらに、凸部の個数は特に限定されるものではないが、磁性粒子1粒子に対して、1個以上であることが好ましい。
磁性粒子の形状は後述するように走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて確認することができる。
一方、磁性粒子に存在する凸部は、図1に示すように、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて確認することができる。
また、凸部の高さとは、TEMを用いて観察したときに、被覆層の基面から突出している高さのことである。また、その測定方法は、TEMを用いた観察画像に存在する、15個の凸部を対象として、図3に示すとおり、被覆層の基面から凸部の頂点までの高さh(ただし、h≧1nm)を測定し、測定値を相加平均することで求める。
なお、これら凸部の個数、及び凸部の高さは、被覆層における、鉄に対するケイ素のモル比、鉄に対するアルミニウムのモル比、コア粒子の一次粒子の個数平均粒径を調整することで上記範囲に制御することが可能である。
該磁性粒子が八面体の平面部に凸部を有するためには、該被覆層における、鉄に対するケイ素のモル比は、0.20以上1.00以下であることが好ましく、より好ましくは0.30以上0.90以下である。一方、鉄に対するアルミニウムのモル比は、0.50以上2.00以下であることが好ましく、より好ましくは0.50以上1.80以下である。
なお、磁性粒子の一次粒子の個数平均粒径は、磁性粒子の合成条件により上記範囲に制御することができる。
また、磁性粒子の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、30質量部以上95質量部以下であることが好ましく、40質量部以上60質量部以下であることがより好ましい。
本発明に用いられる結着樹脂は、良好な低温定着性を達成するために、ポリエステル部位を有する。
また、上記に加えて、R1―O―又はR2―COO―、で表される部分構造を有する。
上記構造式中、R1は、炭素数のピーク値が12以上102以下、好ましくは25以上70以下の鎖状アルキル基を表し、R2は、炭素数のピーク値が11以上101以下、好ましくは24以上69以下の鎖状アルキル基を表す。
R1又はR2において、炭素数のピーク値が上記で示した数値よりも小さい場合、ポリエステル部位を有する樹脂への可塑効果が強くなり過ぎ、磁性粒子の良好な分散状態が保てない。また、磁性粒子との相互作用が発現しにくい。
一方、R1又はR2において、炭素数のピーク値が上記で示した数値よりも大きい場合、ポリエステル部位を有する樹脂への可塑効果が十分に得られず低温定着性が低下する。
また、該ポリエステル部位は、該構造の末端にヒドロキシ基やカルボキシ基を多く持つため、R1―O―又はR2―COO―で表される部分構造を容易に形成することができる。
具体的には、該ポリエステル部位は、該ポリエステル部位と、炭素数のピーク値が12以上102以下の飽和の非環式炭化水素の水素原子をOHで置換したモノアルコール、又は、炭素数のピーク値が11以上101以下の飽和の非環式炭化水素の水素原子をCOOHで置換したモノカルボン酸(以下、両者を合わせて「長鎖モノマー」ともいう)との縮合物を容易に形成することができる。
該長鎖モノマーは、ポリエステル部位を構成する他のモノマー成分と同時に添加し、縮重合を行うとよい。これによって、ポリエステル部位の末端に、十分に長鎖モノマーを縮合させることができ、上記R1―O―又はR2―COO―で表される部分構造を容易に形成することができる。
また、R1―O―、及び/又は、R2―COO―で表される部分構造の含有量は、ポリエステル部位を構成する全モノマー成分に対して、2.5質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、3.5質量%以上7.5質量%以下であることがより好ましい。
アルコール成分としては、以下のものが挙げられる。
エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェールA、下記式Iで表されるビスフェノール及びその誘導体、下記式IIで示されるジオール類が挙げられる。
[式中、Rはエチレン又はプロピレン基であり、x及びyは、それぞれ0以上の整数であり、かつx+yの平均値は0以上10以下である。]
フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸のようなベンゼンジカルボン酸類又はその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸のようなアルキル
ジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6以上18以下のアルキル基又はアルケニル基で置換されたコハク酸、又はその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸のような不飽和ジカルボン酸又はその無水物。
3価以上の多価アルコール成分としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼンなどが挙げられる。
3価以上のカルボン酸成分としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシ−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、及びこれらの無水物などが挙げられる。
結着樹脂が、ハイブリッド樹脂である場合、ビニル重合体部位、及び/又は、ポリエステル部位中に、両部位と反応し得るモノマー成分を含むことが好ましい。
ポリエステル部位を構成するモノマーのうちビニル重合体部位と反応し得るものとしては、例えば、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸のような不飽和ジカルボン酸又はその無水物が挙げられる。
ビニル重合体部位を構成するモノマーのうちポリエステル部位と反応し得るものとしては、カルボキシ基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸、メタクリル酸、及びそれらのエステル類が挙げられる。
ビニル重合体部位とポリエステル部位との結合物を得る方法としては、先に挙げたビニル重合体部位及びポリエステル部位のそれぞれと反応しうるモノマー成分を含むポリマーが存在しているところで、どちらか一方又は両方の部位の(縮)重合反応をさせるとよい。
なお、ビニル重合体は、トナーの結着樹脂に用いられる公知のビニル樹脂を構成するモノマーを用い、公知の方法で製造するとよい。
本発明において、結着樹脂における、ポリエステル部位の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。なお、結着樹脂において、ポリエステル部位以外の樹脂については、トナー粒子に用いられる公知の樹脂を用いるとよい。
また、ハイブリッド樹脂における、ポリエステル部位の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。
ワックスとしては、特に限定されることはなく、公知のものを用いることができる。
例えば、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスのような脂肪族炭化水素系ワックス、エステルワックスなどが挙げられる。
該ワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下にするとよい。
本発明のトナーは、磁性粒子を含有する磁性トナーであるが、公知の着色剤を含有していてもよい。公知の着色剤としては、黒色着色剤としてのカーボンブラックや、公知のイエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤を用い黒色に調色されたものが挙げられる。
電荷制御剤としては、トナー粒子を負帯電性に制御するものと、正帯電性に制御するものとが知られており、トナー粒子の種類や用途に応じて種々のものを一種又は二種以上用いることができる。
トナー粒子を負帯電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。
有機金属錯体(モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体);芳香族ヒドロキシカルボン酸又は芳香族ジカルボン酸の金属錯体又は金属塩;芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩や無水物;エステル類やビスフェノールなどのフェノール誘導体が挙げられる。
トナー粒子を正帯電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。
ニグロシン及びニグロシンと脂肪酸金属塩によるニグロシン変性物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどの四級アンモニウム塩、並びに、これらの類似体であるホスホニウム塩のようなオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン酸、フェロシアン化合物など);高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。
電荷制御剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下にするとよい。
粉砕法では、まず、結着樹脂及び磁性粒子、並びに、必要に応じてワックス及び電荷制御剤などを、ヘンシェルミキサやボールミルなどの混合機により充分に混合する。
次いで、得られた混合物を、二軸混練押出機、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーなどの熱混練機を用いて溶融混練し、冷却固化後、粉砕及び分級を行い、トナー粒子を得るとよい。
該トナー粒子はそのままトナーとしてもよいが、必要に応じ、後述する外添剤を三井ヘンシェルミキサ(三井三池化工機社製)のような混合機により充分混合し、トナーとしてもよい。
該流動性向上剤としては、例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフウルオロエチレン微粉末のようなフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカ又は乾式製法シリカのようなシリカ微粒子、酸化チタン微粒子、及びアルミナ微粒子、並びに、それらをシラン化合物、チタンカップリング剤、シリコーンオイルにより表面処理を施した処理微粒子;酸化亜鉛、酸化スズのような酸化物;チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウム、及びジルコン酸カルシウムのような複酸化物;炭酸カルシウム、及び炭酸マグネシウムのような炭酸塩化合物が挙げられる。
これらのうち、好ましい流動性向上剤としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粒子であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものである。例えば、四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次のようなものである。
SiCl4+2H2+O2→SiO2+4HCl
この製造工程において、塩化アルミニウム又は塩化チタンなどの他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粒子を得ることも可能であり、シリカ微粒子としてはそれらも包含する。
より好ましくは、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粒子に疎水化処理した処理シリカ微粒子である。
また、該処理シリカ微粒子のBET法で測定した窒素吸着による比表面積は、30m2/g以上300m2/g以下であることが好ましい。
該外添剤の添加量は、トナー粒子100質量部に対して、0.010質量部以上8.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.10質量部以上4.0質量部以下である。
<トナーからの磁性粒子の単離方法>
(1)50mLのバイアル瓶にトナーを50mg、テトラヒドロフラン(THF)を20mL秤量して5時間静置する。その後、十分振とうして、試料の合一体が無くなるまでTHFへ溶解する。溶解温度は25℃を基本とし、試料の溶解性に応じて25〜50℃の範囲で溶解させる。
(2)次にバイアル瓶の外側からネオジム磁石(アズワン社製 型式NE019、直径×厚みφ22mm×10mm、表面磁束密度450mT)をあて、磁性粒子をバイアル瓶の底面に担持させて、上澄みのTHF溶液と分離する。
(3)その後、バイアル瓶にTHFを20mL追加し、再度十分振とうして磁性粒子を洗浄した後、バイアル瓶の外側からネオジム磁石をあてて、磁性粒子をバイアル瓶の底面に担持させて、上澄みのTHF溶液と分離する。
(4)(3)の操作を少なくとも100回繰り返し行うことにより磁性粒子を十分に洗浄する。
(5)洗浄後の磁性粒子を乾燥することにより、トナーから磁性粒子を単離する。
<磁性粒子の一次粒子の個数平均粒径(D1)の測定方法、及び、磁性粒子の形状の確認方法>
磁性粒子の一次粒子の個数平均粒径(D1)、及び、磁性粒子の形状は、走査型電子顕微鏡(日本電子製JSM−6830F)を用いて測定又は確認する。
磁性粒子の一次粒子の個数平均粒径(D1)は、磁性粒子を3万倍で観察し、任意の磁性粒子の一次粒子100個の粒径(最大径)を測定し、100個の粒径の測定結果の平均値である。また、該100個の磁性粒子の形状を観察することにより、形状を判断する。
磁性粒子は、原材料として使用した磁性粒子を用いてもよいが、前述した、トナーからの磁性粒子の単離方法に準じて単離した磁性粒子を用いてもよい。
透過型電子顕微鏡(日本電子製JEM−2100)を用い、3万倍で磁性粒子を観察し、図3に示すとおり、磁性粒子の八面体形状の平面部における、被覆層の基面から凸部の頂点までの高さh(ただし、h≧1nm)を測定する。そして、ランダムに選択した15個の凸部の高さを測定し、その平均値を求め、凸部の高さとする。なお、凸部の有無は、被覆層の基面から凸部の頂点までの高さh(ただし、h≧1nm)となる部分が存在するか否かで判断する。
磁性粒子は、原材料として使用した磁性粒子を用いてもよいが、前述した、トナーからの磁性粒子の単離方法に準じて単離した磁性粒子を用いてもよい。
磁性粒子の被覆層に含まれる各元素の割合は、以下の方法で算出する。
50℃の5質量%希硫酸5Lに、磁性粒子25gを懸濁して測定液を得た後、測定液の
一部を一定時間毎(5、15、25、35、45、60、75、90、105、120分)に25mLずつサンプリングする。得られたサンプリング液をメンブランフィルタで濾過し、得られたろ液に含まれるケイ素、アルミニウム及び鉄の濃度をICP(高周波誘導結合プラズマ)発光分光分析装置(装置名:ICP−S2000、供給元:島津製作所)にて定量することで測定する。
この測定において、ケイ素及びアルミニウムの検出量が一定となった時点までのケイ素、アルミニウム及び鉄、それぞれの総量(g)を25gで除し、100を乗じることで、各元素の割合(質量%)を算出する。
磁性粒子は、原材料として使用した磁性粒子を用いてもよいが、前述した、トナーからの磁性粒子の単離方法に準じて単離した磁性粒子を用いてもよい。
結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量分析装置「Q2000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、試料約2mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲−10℃から200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。
なお、測定においては、一度、−10℃から200℃まで昇温速度10℃/minで加熱し、続いて200℃から−10℃まで降温速度10℃/minで降温し、その後に再度昇温を行う。
この2度目の昇温過程で温度30℃から100℃の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、結着樹脂のガラス転移温度(Tg)とする。
結着樹脂の軟化点は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。
本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得る。
本発明においては、「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。なお、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。
まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax−Smin)/2)。
そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとSminの和となるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度である。
測定試料は、1.0gの試料を、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(NT−100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
CFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
昇温速度:4℃/min
開始温度:40℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
炭素数のピーク値は、ガスクロマトグラフィー(GC)を用いて、以下のようにして測定する。サンプル10mgを精秤しサンプルビンに入れる。このサンプルビンに精秤した10gのヘキサンを加えてフタをした後、ホットプレートで温度150℃に加温して混合する。その後、長鎖アルキル成分が析出してこないようすばやくガスクロマトグラフィーの注入口へこのサンプルを注入して分析を行い、横軸を炭素数、縦軸をシグナルの強度とするチャートを得る。
次いで、得られたチャートにおいて、検出された全ピークの合計面積に対する各炭素数成分のピークの面積の割合を算出し、これを各炭化水素化合物の存在比率(面積%)とする。そして、横軸に炭素数、縦軸に炭化水素化合物の存在比率(面積%)を取り、炭素数分布チャートを作成し、存在比率(面積%)の最も大きい炭素数を炭素数のピーク値とする。
炭素数のピーク値が35の飽和の非環式(鎖状)炭化水素1200gをガラス製の円筒型反応容器に入れ、硼酸38.5gを温度140℃で添加した。その後、直ちに空気50体積%と窒素50体積%の酸素濃度約10体積%の混合ガスを毎分20リットルの割合で吹き込み、200℃で3.0時間反応させた。
得られた反応液に温水を加え、95℃で2時間加水分解を行い、静置後上層の反応物を得た。
得られた反応物20質量部にn−ヘキサン100質量部を加え、未変性成分を溶解除去し、炭素数のピーク値が35である飽和の非環式炭化水素の水素原子をOHで置換した長鎖モノマー1(1価のアルキルアルコール)を得た。得られた長鎖モノマー1の諸物性を表1に示す。
炭素数のピーク値が35の飽和の非環式炭化水素をアクリル酸によって変性させ、反応物を得た。得られた反応物20質量部にn−ヘキサン100質量部を加え、未変成分を溶解除去させた長鎖モノマー2(1価のアルキルカルボン酸)を得た。得られた長鎖モノマー2の諸物性を表1に示す。
飽和の非環式炭化水素の炭素数のピーク値を変更した以外は、長鎖モノマー1の製造例と同様にして、長鎖モノマー3〜9を得た。得られた長鎖モノマー3〜9の諸物性を表1に示す。
・ビスフェールAエチレンオキサイド付加物(2.2mol付加) 30.0質量部・テレフタル酸 18.0質量部・無水トリメリット酸 6.0質量部・アクリル酸 3.0質量部・長鎖モノマー1 3.0質量部
上記混合物を4口フラスコに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び撹拌装置を装着して窒素雰囲気下にて160℃で撹拌する。そこに、スチレン40質量部とベンゾイルパーオキサイド5.0質量部との混合物を滴下ロートから4時間かけて滴下した。その後、160℃で3時間反応した後、230℃に昇温してジブチル錫オキシドを全ポリエステルモノマーに対して0.2質量%添加した。
反応終了後容器から取り出し、冷却、粉砕してハイブリッド樹脂1を得た。得られたハイブリッド樹脂の諸物性を表2に示す。
・ビスフェールAプロピレンオキサイド付加物(2.2mol付加) 60.0質量部・ビスフェールAエチレンオキサイド付加物(2.2mol付加) 40.0質量部・テレフタル酸 77.0質量部
上記ポリエステルモノマーと、上記ポリエステルモノマー混合物の総量に対して0.05質量%のテトライソブチルチタネートを5Lのオートクレーブに仕込み、還流冷却器、水分分離装置、窒素ガス導入管、温度計及び攪拌装置を付し、オートクレーブ内に窒素ガスを導入しながら230℃、5時間重縮合反応を行った。その後、長鎖モノマー1を全ポリエステルモノマーに対して5.0質量%になるように添加し、減圧下で200℃に昇温し、5時間反応させた。反応終了後、反応物を容器から取り出し、冷却、粉砕してポリエステル樹脂1を得た。得られたポリエステル樹脂1の諸物性を表2に示す。
長鎖モノマー1を長鎖モノマー2〜9に変更した以外は、ポリエステル樹脂1の製造例と同様にして、ポリエステル樹脂2〜9を得た。ポリエステル樹脂2〜9の処方及び物性を表2に示す。
長鎖モノマー1を使用しない以外はポリエステル樹脂1の製造例と同様にして、ポリエステル樹脂10を得た。ポリエステル樹脂10の物性を表2に示す。
(高分子量成分の製造例)
・スチレン 75.3質量部・アクリル酸n−ブチル 20.0質量部・アクリル酸 4.7質量部・ジビニルベンゼン 0.008質量部・2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン
0.150質量部・長鎖モノマー1 5.0質量部
4つ口フラスコにキシレン200質量部を仕込み、撹拌しながら容器内を十分に窒素で置換し120℃に昇温させた後、上記の混合物を4時間かけて滴下した。さらにキシレン還流下で重合を完了し、減圧下で溶媒を蒸留除去した。このようにして得られた樹脂を高分子量成分とする。
・スチレン 69.5質量部・アクリル酸n−ブチル 22.0質量部・アクリル酸 8.5質量部・ジ−t−ブチルパーオキサイド 1.1質量部・長鎖モノマー1 5.0質量部
4つ口フラスコにキシレン200質量部を仕込み、撹拌しながら容器内を十分に窒素で置換し140℃に昇温させた後、上記の混合物を4時間かけて滴下した。さらに、キシレン還流下で重合を完了し、減圧下で溶媒を蒸留除去した。このようにして得られた樹脂を低分子量成分とする。
キシレン200質量部、高分子量成分20質量部、及び低分子量成分80質量部を混合し、各成分を溶解した後に、昇温して還流下で12時間、撹拌混合した後、有機溶剤を留去した。その後、得られた樹脂を冷延及び固化後、粉砕して、スチレンアクリル樹脂1を得た。得られたスチレンアクリル樹脂1の諸物性を表2に示す。
(1)コア粒子の製造
Fe2+濃度が1.79mo1/Lの硫酸第一鉄水溶液92Lと、3.74mo1/Lの水酸化ナトリウム水溶液88Lを加えて混合撹拌した。この溶液のpHは6.5であった。
この溶液を温度89℃、pH9〜12に維持しながら、20L/minの空気を吹き込み、酸化反応を起こさせてコア粒子を生成させた。水酸化第一鉄が完全に消費された時点で、空気の吹き込みを停止し、酸化反応を終了させた。得られたマグネタイトからなるコア粒子は八面体形状を有するものであった。
(2)被覆層の形成
0.70mo1/Lのケイ酸ナトリウム水溶液2.00Lと、0.90mo1/Lの硫酸第一鉄水溶液2.00Lを混合した後、水1.00Lを加え、5.00Lの水溶液とし、13500gのコア粒子を含む上記反応後のスラリーにpH7〜9を維持しながら添加した。その後、スラリー中のFe2+が残存しなくなるまで10L/minの空気を吹き込んだ。
続いて、1.50mo1/Lの硫酸アルミニウム水溶液2.00Lと0.90mo1/Lの硫酸第一鉄水溶液2.00Lを混合した後、水1.00Lを加え、5.00Lの水溶液とし、コア粒子を含む上記反応後のスラリーにpH7〜9を維持しながら添加した。その後、スラリー中のFe2+が残存しなくなるまで10L/minの空気を吹き込んだ。スラリーの温度は89℃に維持した。30分間、混合撹拌後にスラリーを濾過して、洗浄、乾燥させて、磁性粒子1を得た。
磁性粒子1の形状は八面体であり、該八面体の平面部に凸部を有し、該凸部の高さは10.3nmであった。また、磁性粒子1の一次粒子の個数平均粒径(D1)は120nmであった。磁性粒子1の諸物性及び添加した金属塩の量及び種類を表4に示す。
最終的に得られる磁性粒子が表4の物性になる様にコア粒子の製造条件及び被覆層の形成条件を適宜変更した以外は磁性粒子1の製造例と同様にして磁性粒子2〜11を得た。磁性粒子2〜11で用いられた金属塩の種類及び添加量を表3に、磁性粒子2〜11の諸物性を表4に示す。
・ポリエステル樹脂1 100.0質量部
・磁性粒子1 60.0質量部
・ワックス(C105、サゾール社製) 2.0質量部
・電荷制御剤(T−77、保土谷化学工業社製) 2.0質量部
上記材料を三井ヘンシェルミキサ(三井三池化工機社製)で前混合した後、二軸混練押出機PCM−30(池貝鉄工所社製)を用いて、吐出口における溶融物温度が150℃になるように、温度を設定し、溶融混練した。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、粉砕機ターボミルT250(
ターボ工業社製)を用いて微粉砕した。得られた微粉砕粉末を、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級して、重量平均粒径(D4)7.0μmのトナー粒子1を得た。
100質量部のトナー粒子1にヘキサメチルジシラザンで表面処理された疎水性シリカ微粒子(一次粒子の個数平均粒径:10nm、原体シリカのBET比表面積200m2/g)1.2質量部を三井ヘンシェルミキサで外添混合しトナー1を得た。
トナー1の製造例において、結着樹脂及び磁性粒子の種類及び添加量を表5の様に変更した以外はトナー1の製造例と同様にして、トナー2〜23を得た。
本実施例において評価に用いるマシンは、市販の磁性一成分方式のプリンターHP LaserJet Enterprise600 M603dn(ヒューレットパッカード社製:プロセススピード350mm/s)を用い、現像スリーブの直径をオリジナルの70%に改造を施したカートリッジを用い、トナー1を用いて下記の評価を実施した。評価結果を表6に示す。
トナー2〜16を用いる以外は実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表6に示す。実施例11〜16は、それぞれ参考例11〜16とする。
トナー17〜22を用いる以外は実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表6に示す。
ベタ白画像出力後に出力される画像とベタ黒画像出力後に出力される画像の濃度差の評価は高温高湿環境下(32.5℃、90%RH)で実施した。
印字率2%となる横線パターンを2枚/1ジョブとして、ジョブとジョブの間にマシンがいったん停止してから次のジョブが始まるように設定したモードで、計9000枚の画出しをした。その後、ベタ白画像を2枚/1ジョブとして、ジョブとジョブの間にマシンがいったん停止してから次のジョブが始まるように設定したモードで計1000枚の画出しをした。
そして、ベタ白画像を1枚プリントアウトした後にもう1枚ベタ黒画像をプリントアウトし、その画像のスリーブ1周目の画像濃度を測定した(この時の画像濃度を、ベタ白後濃度とする)。
さらに、その後、ベタ黒画像を1枚プリントアウトした後に1枚ベタ黒画像をプリントアウトし、その画像のスリーブ1周目の画像濃度を測定した(この時の画像濃度を、ベタ黒後濃度とする)。
画像濃度は、反射濃度計であるマクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して、スリーブ1周目のベタ黒部分の反射濃度を測定し、5点平均で算出し以下の基準で評価した。
高温高湿環境下、印字率2%で評価を実施した理由は、耐久使用に伴う外添剤の埋没が発生しやすく、トナーの耐久性を評価する上で最も厳しい条件だからである。
また、耐久使用時における画像パターンをベタ白画像で実施した理由は、耐久使用に伴う現像スリーブ上のトナーのチャージアップを促進し、ベタ白画像出力後に出力される画像とベタ黒画像出力後に出力される画像の濃度差を評価する上で厳しい条件だからである。
(評価基準)
A:ベタ黒後濃度とベタ白後濃度の差分が0.10未満
B:ベタ黒後濃度とベタ白後濃度の差分が0.10以上0.15未満
C:ベタ黒後濃度とベタ白後濃度の差分が0.15以上0.20未満
D:ベタ黒後濃度とベタ白後濃度の差分が0.20以上0.25未満
E:ベタ黒後濃度とベタ白後濃度の差分が0.25以上
定着装置の定着温度を任意に設定できるように改造した。この改造機を用いて、定着器の温度を180℃以上230℃以下の範囲で5℃おきに温調して、普通紙(90g/m2
)に画像濃度が0.60〜0.65となるようにハーフトーン画像を出力する。
得られた画像を4.9kPaの荷重をかけたシルボン紙で5往復摺擦し、摺擦前後の画像濃度の濃度低下率が10%以下になる最も低い温度をもって、低温定着性の評価とした。
この温度は、低い方が低温定着性が良いことを示す。評価は常温常湿環境下(23℃、60%RH)で行った。
なお、画像濃度は、反射濃度計であるマクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して測定した。
(評価基準)
A:濃度低下率が10%以下になる温度が200℃以下
B:濃度低下率が10%以下になる温度が205℃以上210℃以下
C:濃度低下率が10%以下になる温度が215℃以上220℃以下
D:濃度低下率が10%以下になる温度が225℃以上
Claims (5)
- 結着樹脂及び磁性粒子を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該磁性粒子が、マグネタイトを含むコア粒子と、該コア粒子の表面上に設けられた被覆層と、を有し、
該被覆層が、鉄を含む酸化物、ケイ素を含む酸化物及びアルミニウムを含む酸化物を含有し、
該被覆層における、鉄に対するケイ素のモル比が0.20以上1.00以下であり、
該被覆層における、鉄に対するアルミニウムのモル比が0.50以上2.00以下であり、
該磁性粒子が、八面体の形状を有し、かつ該八面体における平面部に凸部を有し、
該結着樹脂が、以下の(i)及び(ii)の規定を満たす樹脂を含有する
(i)ポリエステル部位を有する。
(ii)R1―O―又はR2―COO―、で表される部分構造を有する。
[前記構造式中、R1は、炭素数のピーク値が12以上102以下の鎖状アルキル基を表し、R2は、炭素数のピーク値が11以上101以下の鎖状アルキル基を表す。]
ことを特徴とするトナー。 - 前記磁性粒子の一次粒子の個数平均粒子径が、50nm以上200nm以下である、請求項1に記載のトナー。
- 前記凸部の高さが、1nm以上40nm以下である、請求項1又は2に記載のトナー。
- 前記凸部の高さが、7nm以上20nm以下である、請求項3に記載のトナー。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のトナーを製造するトナーの製造方法であって、
該製造方法が、前記結着樹脂及び前記磁性粒子を混合して混合物を得て、該混合物を溶融混練し、冷却固化し、粉砕及び分級を行い、前記トナー粒子を得る工程を有することを特徴とするトナーの製造方法。
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